JP6072538B2 - 高ピリング性耐熱布帛 - Google Patents
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Description
本発明においては、耐熱性布帛を構成するメタ型全芳香族ポリアミド繊維に、後述する染着性や耐変褪色性が改善された繊維を用いることによってこれを達成することができる。また、耐熱性布帛に適正な素材を選定し、これを適正な混合率で混合することが好ましい。
ポリ−m−フェニレンイソフタルアミドとアルキルベンゼンスルフォン酸オニウム塩を混合する方法としては、溶媒中にポリ−m−フェニレンイソフタルアミドを混合、溶解し、それにアルキルベンゼンスルフォン酸オニウム塩を溶媒に溶解し、得られたドープを、公知の方法により繊維に形成する方法などを採用することができる。
−(NH−Ar1−NH−CO−Ar1−CO)− ・・・式(1)
ここで、Ar1はメタ配位又は平行軸方向以外に結合基を有する2価の芳香族基である。
H2N−Ar2−NH2 ・・・式(2)
H2N−Ar2−Y−Ar2−NH2 ・・・式(3)
XOC−Ar3−COX ・・・式(4)
XOC−Ar3−Y−Ar3−COX ・・・式(5)
ここで、Ar2はAr1とは異なる2価の芳香族基、Ar3はAr1とは異なる2価の芳香族基、Yは酸素原子、硫黄原子、アルキレン基からなる群から選ばれる少なくとも1種の原子又は官能基であり、Xはハロゲン原子を表す。
上記の難燃繊維としては、メタ型全芳香族ポリアミド繊維を除く、限界酸素指数20以上の繊維を指し、例えばパラ型全芳香族ポリアミド繊維やポリベンズビスアゾール繊維、全芳香族ポリエステル繊維、ポリスルホンアミド繊維、ポイミド繊維、ポエーテルアミド繊維などを好適挙げることができる。パラ型全芳香族ポリアミド繊維としては、パラフェニレンテレフタラミド繊維またはコパラフェニレン・3、4’オキシジフェニレンテレフタルアミド繊維がより好ましい。
メタ型芳香族ポリアミドポリマーの重合方法としては、特に限定する必要はなく、例えば特公昭35−14399号公報、米国特許第3360595号、特公昭47−10863号公報などに記載された溶液重合法、界面重合法を用いてもよい。
ここで用いられるアミド系溶媒としては、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、N−メチル−2−ピロリドン、ジメチルスルホキシドなどを例示することができるが、特にN,N−ジメチルアセトアミドが好ましい。
紡糸・凝固工程においては、上記で得られた紡糸液(メタ型全芳香族ポリアミド重合体溶液)を凝固液中に紡出して凝固させる。
また、紡糸口金から紡出する際の紡糸液(メタ型全芳香族ポリアミド重合体溶液)の温度は、20〜90℃の範囲が適当である。
洗浄後の繊維は、温度270〜290℃にて乾熱処理を施し、上記の結晶化度および残存溶媒量の範囲を満たすメタ型全芳香族アラミド繊維を得ることができる。
JIS L1076 A法に準じ測定した。
JIS L1091 E法に基づき、50mm以上燃え続けるのに必要な酸素濃度を限界酸素指数(LOI)とした。
原繊維を約8.0g採取し、105℃で120分間乾燥させた後にデシケーター内で放冷し、繊維質量(M1)を秤量する。続いて、この繊維について、メタノール中で1.5時間、ソックスレー抽出器を用いて還流抽出を行い、繊維中に含まれるアミド系溶媒の抽出を行う。抽出を終えた繊維を取り出して、150℃で60分間真空乾燥させた後にデシケーター内で放冷し、繊維質量(M2)を秤量する。繊維中に残存する溶媒量(アミド系溶媒質量)は、得られるM1およびM2を用いて、下記式により算出する。
残存溶媒量(%)=[(M1−M2)/M1]×100
得られた原繊維を用いて、捲縮加工、カットを行い、長さ51mmのステープルファイバー(原綿)を得た。
X線回折測定装置(リガク社製 RINT TTRIII)を用い、原繊維を約1mm径の繊維束に引きそろえて繊維試料台に装着して回折プロファイルを測定した。測定条件は、Cu−Kα線源(50kV、300mA)、走査角度範囲10〜35°、連続測定0.1°幅計測、1°/分走査でおこなった。実測した回折プロファイルから空気散乱、非干渉性散乱を直線近似で補正して全散乱プロファイルを得た。次に、全散乱プロファイルから非晶質散乱プロファイルを差し引いて結晶散乱プロファイルを得た。結晶化度は、結晶散乱プロファイルの面積強度(結晶散乱強度)と全散乱プロファイルの面積強度(全散乱強度)から、次式により求めた。
結晶化度(%)=[結晶散乱強度/全散乱強度]×100
メタ型全芳香族アラミド繊維は、次の方法で作成した。
特公昭47−10863号公報記載の方法に準じた界面重合法により製造した、固有粘度(I.V.)が1.9のポリメタフェニレンイソフタルアミド粉末20.0質量部を、−10℃に冷却したN−メチル−2−ピロリドン(NMP)80.0質量部中に懸濁させ、スラリー状にした。引き続き、懸濁液を60℃まで昇温して溶解させ、透明なポリマー溶液を得た。該ポリマー溶液に、ポリマー対比3.0質量%の2−[2H−ベンゾトリアゾール−2−イル]−4−6−ビス(1−メチル−1−フェニルエチル)フェノール粉末(水への溶解度:0.01mg/L)を混合溶解させ、減圧脱法して紡糸液(紡糸ドープ)とした。
実施例1では紡糸液に紫外線吸収剤である2−[2H−ベンゾトリアゾール−2−イル]−4−6−ビス(1−メチル−1−フェニルエチル)フェノールを、実施例2では紫外線反射剤である酸化チタンをそれぞれ紡糸液に添加した。
上記紡糸ドープを、孔径0.07mm、孔数500の紡糸口金から、浴温度30℃の凝固浴中に吐出して紡糸した。凝固液の組成は、水/NMP=45/55(質量部)であり、凝固浴中に糸速7m/分で吐出して紡糸した。
引き続き、温度40℃の水/NMP=45/55(質量部)の組成の可塑延伸浴中にて、3.7倍の延伸倍率で延伸を行った。
延伸後、20℃の水/NMP=70/30の浴(浸漬長1.8m)、続いて20℃の水浴(浸漬長3.6m)で洗浄し、さらに60℃の温水浴(浸漬長5.4m)に通して十分に洗浄を行った。
洗浄後の繊維について、表面温度280℃の熱ローラーにて乾熱処理を施し、メタ型芳香族ポリアミド繊維を得た。
得られたメタ型全芳香族アラミド繊維の物性は、繊度が1.7dtex、残存溶媒量が0.08質量%、結晶化度が19%、LOIが29であった。
その他の繊維原綿は下記のものを用いた。
ポリエステル繊維(ポリエチレンテレフタレート繊維);帝人製「テトロン(登録商標)」
難燃レーヨン繊維;レンチング社製「LenzingFR(登録商標)」
パラ型全芳香族ポリアミド繊維;テイジンアラミド社製「トワロン(登録商標)」
導電糸(ナイロン);ソルシア社製「NO SHOCK(登録商標)」(導電性カーボン微粒子を練り込みナイロン導電糸)
染色後の布帛の明度Lは、基布によらず、染料によりL値を49(中間色)に調整した。場合によっては染め直しも行い、正確にL値をそろえた。染色および染色物の還元浴中(pH5.5)での洗浄は、下記の条件で実施した。
(染色条件)
カチオン染料:日本化薬社製、商品名:Kayacryl Red GL−ED 1%owf
浴比;1:20
温度×時間;120℃×30分間
(還元浴組成および洗浄条件)
還元浴;二酸化チオ尿素1g/l
浴比;1:20
温度×時間;70℃×15分間
次いで、温度110℃で10分間乾燥した後に、温度130℃で2分間の乾熱セットを施し、着色された布帛を得た。
メタ型全芳香族ポリアミド繊維(MA)、パラ型全芳香族ポリアミド繊維(PA)、ポリエステル繊維(PE)、難燃レーヨン繊維(RY)の各ステープルファイバー(いずれも繊維長は51mm)を、MA/PA/PE/RY=55/5/15/25の質量比率で混紡した紡績糸36番手/双糸とし、織密度 経100本/25.4mm、緯56本/25.4mmで製織し、目付230g/m2のツイル織物を得た。これを用いて、上記の方法で中間色(L値49)に染色した。結果を表1に示す。
紡績糸を、メタ型全芳香族ポリアミド繊維(MA)、パラ型全芳香族ポリアミド繊維(PA)、ナイロン導電糸(AS)を表1の混率で混紡した紡績糸に変更した以外は、実施例1と同様の操作を行った。結果を表1に示す。
紡績糸を、メタ型全芳香族ポリアミド繊維(MA)、パラ型全芳香族ポリアミド繊維(PA)、ポリエステル繊維(PE)を表1の混率で混紡した紡績糸に変更した以外は、実施例1と同様の操作を行った。結果を表1に示す。
紡績糸を、メタ型全芳香族ポリアミド繊維(MA)、パラ型全芳香族ポリアミド繊維(PA)、難燃レーヨン繊維(RY)を表1の混率で混紡した紡績糸に変更した以外は、実施例1と同様の操作を行った。結果を表1に示す。
メタ型全芳香族ポリアミド繊維(MA)の製作において、凝固工程における凝固液の組成を、水/NMP=40/60(質量部)に変更した以外は、実施例1〜5と同様の操作を行った。結果を表1に示す。
メタ型全芳香族ポリアミド繊維(MA)の製作において、乾熱処理工程における熱ローラーの表面温度を315℃に変更した以外は、実施例1と同様の操作を行った。結果を表1に示す。
紡績糸を、メタ型全芳香族ポリアミド繊維(MA)、難燃レーヨン繊維(RY)を表1の混率で混紡した紡績糸に変更した以外は、実施例1と同様の操作を行った。結果を表1に示す。
紡績糸を、難燃レーヨン繊維(RY)のみからなる紡績糸に変更した以外は、実施例1と同様の操作を行った。結果を表1に示す。
紡績糸を、ポリエステル繊維(PE)のみからなる紡績糸に変更した以外は、実施例1と同様の操作を行った。結果を表1に示す。
Claims (12)
- メタ型全芳香族ポリアミド繊維を含む耐熱布帛であって、パラ型全芳香族ポリアミド繊維と結晶化度が15〜27%のメタ型全芳香族ポリアミド繊維とを含む紡績糸を含み、かつJIS L1076 A法で規定する布帛のピリングが4級以上を満たすことを特徴とする高ピリング性耐熱布帛。
- メタ型全芳香族ポリアミド繊維が有機染料を含む請求項1記載の高ピリング性耐熱布帛。
- メタ型全芳香族ポリアミドが、下記の式(1)で示される反復構造単位を含む芳香族ポリアミド骨格中に、反復構造の主たる構成単位とは異なる芳香族ジアミン成分、または芳香族ジカルボン酸ハライド成分を、第3成分として芳香族ポリアミドの反復構造単位の全量に対し1〜10mol%となるように共重合させた全芳香族ポリアミドである請求項1または2記載の高ピリング性耐熱布帛。
−(NH−Ar1−NH−CO−Ar1−CO)− ・・・式(1)
ここで、Ar1はメタ配位又は平行軸方向以外に結合基を有する2価の芳香族基である。 - 第3成分となる芳香族ジアミンが式(2)、(3)、または芳香族ジカルボン酸ハライドが、式(4)、(5)である請求項3に記載の高ピリング性耐熱布帛。
H 2 N−Ar2−NH 2 ・・・式(2)
H 2 N−Ar2−Y−Ar2−NH 2 ・・・式(3)
XOC−Ar3−COX ・・・式(4)
XOC−Ar3−Y−Ar3−COX ・・・式(5)
ここで、Ar2はAr1とは異なる2価の芳香族基、Ar3はAr1とは異なる2価の芳香族基、Yは酸素原子、硫黄原子、アルキレン基からなる群から選ばれる少なくとも1種の原子又は官能基であり、Xはハロゲン原子を表す。 - メタ型全芳香族ポリアミド繊維の残存溶媒量が0.1質量%以下である請求項1〜4のいずれかに記載の高ピリング性耐熱布帛。
- 耐熱布帛が、セルロース繊維、ポリエステル繊維、アクリル繊維、ポリアミド繊維から選択される少なくとも一つを、該耐熱布帛の質量を基準として2〜50質量%含む請求項1〜5のいずれかに記載の高ピリング性耐熱布帛。
- セルロース系繊維がレーヨンである請求項6に記載の高ピリング性耐熱布帛。
- セルロース系繊維、ポリエステル繊維、アクリル繊維、またはポリアミド繊維が、難燃剤を含む請求項6に記載の高ピリング性耐熱布帛。
- 耐熱布帛が、パラ型全芳香族ポリアミド繊維、ポリベズビスオキサゾール繊維、全芳香族ポリエステル繊維から選択される少なくとも1つを、該耐熱布帛の質量を基準として1〜20質量%含む請求項1〜8のいずれかに記載の高ピリング性耐熱布帛。
- パラ型全芳香族ポリアミド繊維が、パラフェニレンテレフタラミド繊維またはコパラフェニレン・3、4’オキシジフェニレンテレフタルアミド繊維である請求項1〜9のいずれかに記載の高ピリング性耐熱布帛。
- 耐熱布帛を構成する繊維に、紫外線吸収剤および/または紫外線反射剤が含まれる請求項1〜10のいずれかに記載の高ピリング性耐熱布帛。
- 耐熱布帛の表面に、紫外線吸収剤および/または紫外線反射剤が固着されている請求項1〜10のいずれかに記載の高ピリング性耐熱布帛。
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