JP6072471B2 - 除塵機構、集塵装置およびそれを備えた電気掃除機 - Google Patents
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Description
このような電気掃除機のなかには、フィルタを振動させて除塵する除塵機構を備え、掃除運転の終了後に一定の時間だけ除塵機構を駆動させてフィルタに付着した細かな塵埃をふるい落とすように構成されたものがある。
例えば、特許文献1に記載の電気掃除機では、掃除運転の終了後、除塵モータにより除塵機構を駆動させてフィルタの除塵を行うのと同時に、圧縮部材を集塵容器内で軸回転させて塵埃を圧縮するように構成されている。
このような電気掃除機によれば、掃除運転の終了後にフィルタの除塵と塵埃の圧縮が行われるので掃除能力の低下を防止でき、また塵埃の廃棄も容易になるが、更なる利便性と掃除能力の向上が求められている。
フィルタの各リブは中心から放射状に延びる直線状であり、フレームは除塵部材の本体部を揺動可能に軸支する軸支部を有し、軸支部の軸線は軸部の中心と軸支部の軸端中心とを結ぶ線に対して角度をなすように設定され、当接部とリブが回転方向に作る角度が鋭角で当接するときに、当接部とリブが線接触する除塵機構を提供するものである。
また、本発明の別の観点によれば、複数のリブによって支持されたフィルタと、フィルタに対して軸回転するフレームと、フレームに弾性部材を介して揺動可能に支持されフィルタに対してフレームが軸回転したときにリブに断続的に当接してフィルタの除塵を行う除塵部材とを備え、除塵部材はフレームに支持される本体部と、本体部からフィルタに向かって延びフレームが軸回転したときにリブと当接する当接部とを有し、当接部はフレームが所定の方向に軸回転したときに、除塵部材の本体部が弾性部材からの付勢力を受けておらず、かつ、当接部がリブに接触している状態において、当接部とリブとが回転方向に作る角度が鋭角で当接し、前記所定の方向と逆方向に軸回転したときには、除塵部材の本体部が弾性部材からの付勢力を受けておらず、かつ、当接部がリブに接触している状態において、当接部とリブとが回転方向に作る角度が鈍角で当接するように形成されてなる除塵機構と、
フィルタを保持する集塵容器と、
集塵容器内の塵埃を圧縮するよう集塵容器内に軸回転可能にかつ除塵機構と連動するように設けられた圧縮機構とを備え、
圧縮機構は、当接部とリブが回転方向に作る角度が鈍角で当接するように回転したときのみ集塵容器内の塵埃を圧縮する螺旋状の羽根を有する集塵装置が提供される。
このため、当接部がリブを乗り越える際に弾性部材から受ける抵抗力をフレームの回転方向によって変化させることができる。つまり、当接部がリブと鋭角に当接したとき、当接部は当該リブを乗り越えるために弾性部材の付勢力に抗して大きく変位しなければならず、弾性部材から強い抵抗力を受ける。一方、当接部がリブと鈍角に当接したとき、当接部は僅かに変位するだけで当該リブを乗り越えることができ、弾性部材から受ける抵抗力は少なくて済む。
これにより、フレームが所定の方向に軸回転するときは当接部がリブに強く干渉し、リブを乗り越えた際の反発力により隣接するリブを強く叩いてフィルタの除塵を行い、フレームが所定の方向と逆方向に軸回転するときは当接部がリブに強く干渉せず、フィルタに対してほぼ抵抗なくフレームを軸回転させることが可能となる。
この結果、フレームの回転方向によっては除塵部材の当接部がリブを叩くことにより発生する音を極力抑制でき、除塵機構と連動して駆動するように構成された塵埃の圧縮機構であっても騒音を抑えつつ掃除運転中に当該圧縮機構を駆動させることが可能となる。
掃除運転中に塵埃の圧縮機構を駆動させることができれば、集塵容器内で塵埃が舞い上がることを抑制でき、集塵容器からフィルタに通ずる気流の通路に塵埃が詰まって掃除能力が低下することを防止できる。また、集塵容器内における塵埃の圧縮率も向上し、塵埃の廃棄も容易になる。
フィルタの各リブは中心から放射状に延びる直線状であり、フレームは除塵部材の本体部を揺動可能に軸支する軸支部を有し、軸支部の軸線は軸部の中心と軸支部の軸端中心とを結ぶ線に対して角度をなすように設定され、当接部とリブが回転方向に作る角度が鋭角で当接するときに、当接部とリブが線接触することを特徴とする。
また、除塵とはフィルタに付着した塵埃を除去することを意味し、この発明では除塵部材の当接部がフィルタを支持するリブに当接した際に生じるリブの振動を利用して除塵を行う。
また、鋭角とは90°より小さい角度を意味し、鈍角とは90°より大きく180°よりも小さい角度を意味する。
このような構成によれば、フレームの回転方向に関わらず、除塵部材がリブと干渉していないときには除塵部材を速やかに元の姿勢に戻すことができる。この結果、リブに対する除塵部材の追従性が向上し、フレームを高速で回転させても除塵部材が暴れて制御不能の状態に陥ることを防止できる。これにより所期の除塵性能を発揮できるばかりでなく、除塵機構の故障等を防止することもできる。
このような構成によれば、当接部がリブと線接触するようになり、リブの一部に過剰な負荷がかかってリブが損傷することを防止できる。
このような構成によれば、複数設けられた除塵部材がそれぞれ異なるタイミングでリブに当接するので、リブを叩く音が複数箇所で同時に発生することを防止でき、騒音を抑えることができる。
このような構成によれば、複数設けられた除塵部材がそれぞれリブの異なる箇所に当接するので、リブの一箇所に負荷が集中してリブが損傷することを防止できる。
図1は本発明の実施形態に係る電気掃除機の斜視図、図2は図1に示される電気掃除機の本体部の斜視図、図3は図2に示される本体部の断面図である。
図示しないが、操作部4には電動送風機11の出力を切り替える出力切替スイッチや、電動送風機11を停止させる停止スイッチなどが設けられている。
また、図3に示されるように、本体部10の前方側と後方側には本体部10を床面から浮かして本体部10のスムーズな移動を助ける補助車輪15,16がそれぞれ設けられている。
一方、本体部10の前方側の差込口12は、集塵部30の前方側に設けられた流入口31に接続され、集塵部30の上部後方に設けられた第2排気口32は本体部10のダクト17に接続されている。
これにより、電動送風機11が作動すると第2排気口32を介してダクト17と接続された集塵部30内に負圧が発生し、塵埃を含んだ空気が吸込口体7、延長パイプ6、ホース3および差込口12を介して集塵部30の流入口31から流入する。
塵埃の分離がなされた後の気流には細かな塵埃が含まれている可能性があるが、フィルタ50を通過することによって当該気流中の細かな塵埃はフィルタ50に捕集され、きれいな空気が第2排気口32およびダクト17を介して第1排気口19から外部に排出される。
図4〜6に示されるように、本体部10は集塵部30を着脱可能に収納するための集塵室20を有している。集塵室20は集塵部30に対応した有底円筒状の空間で上部は開放されている。
図6に示されるように、集塵室20の前方上部にはホース3(図1参照)の差込口12の端が露出している。一方、図4および図5に示されるように、集塵室20の後方上部には電動送風機11(図3参照)と繋がったダクト17の端が露出している。
このような集塵室20に集塵部30を上方から挿入すると、本体部10の差込口12と集塵部30の流入口31が接続されると共に、集塵部30の第2排気口32と本体部10のダクト17が接続される。
図2に示されるように、集塵室20に集塵部30が装着されている状態において、ハンドル36、前方化粧カバー37および後方化粧カバー38は本体部10の上部筐体21と一体的な外観を呈するように形成されている。
図3および図7に示されるように、ハンドル36は、前方化粧カバー37および後方化粧カバー38と共に取付ベース39に取り付けられている。ハンドル36は取付ベース39に対して上下に回動できるように枢支され、内面側に突出した係合部36bが取付ベース39上にスライド可能に配置されたスライド部材40と係合している。
図7に示されるように、取付ベース39にはスライド部材40を前後方向にスライド可能に案内する案内部41が形成されており、案内部41の後端には開口部41aが形成されている。一方、スライド部材40には後方側の端に集塵室20の被係合部22(図4および図5参照)と係合するための係合爪40aが形成されている。スライド部材40は案内部41上に配置された状態で係合爪40aが開口部41aから突出するように図示しない弾性部材によって付勢されている。
係合爪40aが開口部41a内に引っ込むと、集塵部30の係合爪40aと集塵室20の被係合部22との係合が解除される。係合爪40aと被係合部22との係合が解除された状態でハンドル36をそのまま上方へ持ち上げると、図4〜6に示されるように本体部10の集塵室20から集塵部30を取り外すことができる。
図8に示されるように、集塵室20(図4〜6参照)から取り外された集塵部30は、ツマミ48を移動させることでツメ49が集塵容器33から外れて底蓋80を開くことにより、集塵容器33内に溜まった塵埃を廃棄することができる。塵埃の廃棄後、底蓋80は再び閉じられ、集塵部30は次回の掃除運転に備えて本体部10の集塵室20に装着される。
この際、ハンドル36を上方へ持ち上げながら集塵部30を集塵室20の所定の位置に収容し、ハンドル36を元の位置に戻すと係合爪40aが集塵室20の被係合部22(図4および図5参照)に係合し、集塵部30が集塵室20に固定される。
このため、集塵部30を本体部10の集塵室20に装着する際にハンドル36の操作は必須でなく、所定の向きで集塵部30を集塵室20に押し込むようにして装着してもよい。
図9は集塵部の斜視図、図10は図9に示される集塵部の右側面図、図11は図10に示される集塵部の平面図、図12は図11のA−A矢視断面図、図13は図11のB−B矢視断面図である。
図9および図10に示されるように、流入口31は集塵容器33の周側面から該周側面の接線方向に沿って延びるように形成され、先端には差込口12(図6参照)との接続を確実にするフランジ31aが形成されている。
図9〜13に示されるように、上部カバー部42は、上述のハンドル36、前方化粧カバー37、後方化粧カバー38および取付ベース39によって主に構成され、取付ベース39の後部によって第2排気口32が形成されている。
また、内筒35の上部には内筒35と連通した漏斗状のフィルタ収容部44が設けられ、フィルタ収容部44の拡径部44aにフィルタ50が収容されている。また、フィルタ50の上部にはフィルタ50に付着した塵埃の除去を行う除塵機構60がフィルタ50に対して軸回転可能に設けられている。
図14および図15に示されるように、圧縮部材43と結合部35dは互いに同軸となるように結合され、結合部35dの上端35bがフィルタ収容部44の底面44bの中心に形成された底部開口44cに軸回転可能に嵌っている。
フィルタ収容部44の拡径部44aは、フィルタ50を収容するためにフィルタ50よりも僅かに大きな直径を有し、拡径部44aの外側には除塵機構60を駆動させるための上下一対の第1ギア45および第2ギア46を収納したギアハウジング47が取り付けられている。
なお、図15に示されるように、圧縮部材43の羽根43aの裏面には塵埃の圧縮を促進する突起43bが形成されている。突起43bの作用については後述する。
上述のように集塵部30が本体部10の集塵室20に装着されると、集塵部30側の第2ギア46が集塵室20側の出力ギア23と噛み合い、出力ギア23の駆動力が第2ギア46を介して第1ギア45に伝達される。
前出の図14および図15、並びに、図16に示されるように、フィルタ50は平面視円形で、中心に除塵機構60のフレーム61の回転軸66を挿通させるための貫通孔51が形成された軸孔部52を有している。軸孔部52の上端と下端からは複数の上リブ(リブ)53と下リブ54が放射状に延び、上リブ53と下リブ54の先端は軸孔部52と同心円をなす内環状部55に繋がっている。
軸孔部52、上リブ53、下リブ54および内環状部55によってHEPAフィルタ(図示せず)を支持する骨格が形成されHEPAフィルタはプリーツ状に支持される。
また、内環状部55の外側には内環状部55と同心円をなす外環状部56が形成され、内環状部55と外環状部56との間には所定の間隔が空いている。
フレーム61はフィルタ50の軸孔部52に軸回転可能に嵌る軸部66と、軸部66の上端近傍から放射状に延びる3本の接続用腕部67と、同じく軸部66の上端近傍から放射状に延びる3本の第1、第2および第3軸支用腕部68,69,70と、接続用腕部67、並びに、第1、第2および第3軸支用腕部68,69,70の先端と繋がった平面視円形の環状部71とから構成されている。環状部71の外周には部分的に突出した突出リブ71bが形成されている。突出リブ71bの作用については後述する。
前出の図16、並びに、図17〜20に示されるように、第1、第2および第3軸支用腕部68,69,70には、軸部66と環状部71との間において第1、第2および第3除塵部材63,64,65を揺動可能に軸支するための第1、第2および第3軸支部68a,69a,70aがそれぞれ形成されている。
第1、第2および第3軸支部68a,69a,70aは断面半円状のカバー72によってそれぞれ覆われており、各カバー72の内面には弾性部材62の係止端62aと係合するための段差部72aがそれぞれ形成されている。
また、第1、第2および第3除塵部材63,64,65は、第1、第2および第3軸支部68a,69a,70aにそれぞれ軸支される本体部63a,64a,65aと、フィルタ50に対してフレーム61が軸回転したときにフィルタ50の上リブ53に断続的に当接するレバー状の当接部63b,64b,65bとを有している。
第1、第2および第3軸支部68a,69a,70aは軸端にねじ穴が形成されている。第1、第2および第3除塵部材63,64,65は、第1、第2および第3軸支部68a,69a,70aに弾性部材62がそれぞれ挿通された上で、貫通部63a1,64a1,65a1が第1、第2および第3軸支部68a,69a,70aの軸端に通され、フランジ付きの抜け止めネジ(図示せず)で止められる。
図19に示されるように、第1、第2および第3軸支部68a,69a,70aは、軸端が貫通部63a1,64a1,65a1よりも僅かに突出するように形成されているので、抜け止めネジのフランジと貫通部63a1,64a1,65a1との間には僅かな間隙が確保され、第1、第2および第3除塵部材63,64,65(図16参照)は第1、第2および第3軸支部68a,69a,70aに対して揺動可能に取り付けられる。
そして、図13に示されるように、突出リブ71bは、集塵容器33のフィルタ収容部44に除塵機構60が組み付けられたフィルタ50が収容され、上部カバー部42によって覆われる際に、上部カバー部42の取付ベース39の下端と僅かな間隔を空けて対向するように形成されている。
このため、集塵部30内でフィルタ50に対してフレーム61が軸回転する際、何らかの要因によりフレーム61の回転軸が本来の軸心からぶれて回転するような事態になったとしても、集塵部30内ではフレーム61の突出リブ71bが取付ベース39の下端に当接することとなり、フレーム61が集塵部30内でぶれて回転するといった事態を防止できる。また、上部カバー部42を取り付けた際に突出リブ71bと接触するようにすることで、フィルタ50の浮き上がりを防止できる。
また、図15に示されるように、スクレーパ部材74の下端には内筒35に向かって突出する係合片74aが形成されている。一方、図14に示されるように結合部35dの上端35bからは上方へ向かって突出する係合片35cが形成されている。
これにより、第1ギア45の駆動力によりフレーム61がフィルタ50に対して軸回転すると、フレーム61の軸回転に連動してスクレーパ部材74、結合部35dおよび圧縮部材43が全て同方向に軸回転する。
なお、係合片74aと係合片35cの先端は三角形の山を形成しており、除塵機構60が組み付けられたフィルタ50をフィルタ収容部44に収容する際に、互いに乗り上げることなく収容可能となる。係合片の形状は三角形の山ではなく、半円状の山であってもよい。
なお、図14および図16に示されるように、フレーム61の軸部66の上端にはユーザーが手動でフレーム61をフィルタ50に対して軸回転させることを可能にする凹凸付きの把持部66aが形成されている。
前出の図16〜19に示されるように、第1、第2および第3除塵部材63,64,65を揺動可能に支持する第1、第2および第3軸支部68a,69a,70aは、第1、第2および第3除塵部材63,64,65の当接部63b,64b,65bが上リブ53と平行に接触するように軸部66の中心に対する角度が決定されている。これは、図21(e)に示すように、当接部63bが上リブ53を強打する位置と、第1軸支部68aの軸の中心点とが異なっている(L4)ことにより、そのままでは、当接部63bと上リブ53とが平行に接触できない状態となっているためである。
詳しくは、図20に示されるように、第1、第2および第3軸支部68a,69a,70aの軸線は、軸部66の中心と第1、第2および第3軸支部68a,69a,70aの軸端中心とを結ぶ線に対してθ1、θ2、θ3の角度をなすように設定されている。
これにより、フレーム61がフィルタに対して反時計方向に軸回転するときに、第1、第2および第3除塵部材63,64,65の当接部63b,64b,65bと上リブ53はそれぞれ線接触するようになり、上リブ53の一部に過剰な負荷が加わることを防止できる。
具体的には、フレーム61がフィルタ50に対して反時計方向に軸回転すると、第1除塵部材63、第2除塵部材64および第3除塵部材65の順で上リブ53に当接するように配置されている。
これにより、第1、第2および第3除塵部材63,64,65の当接部63b,64b,65bが複数の上リブ53に同時に接触することがなくなり、騒音の増大を抑えることができる。
これにより、第1、第2および第3軸支部68a,69a,70aに軸支された第1、第2および第3除塵部材63,64,65の当接部63b,64b,65bはそれぞれ上リブ53の異なる箇所に当接するようになり、上リブ53の一箇所に負荷が集中することを防止できる。
図21(a)に示される状態において、弾性部材62は圧縮力が加わっていない自由状態であり、第1除塵部材63は弾性部材62からの付勢力を受けていないが、当接部63bは上リブ53に鋭角な角度α1で接触している。
この際、弾性部材62の一方の係止端62aはカバー72の一方の段差部72aに係止されると共に、他方の係止端62aは本体部63aの一方の係合部63a2に係合し、弾性部材62には圧縮力が加わる。弾性部材62が圧縮されることにより第1除塵部材63には抵抗力が加わる。
そして、さらにフレーム61が軸回転を継続すると、図21(d)に示されるように当接部63bの先端63b1が上リブ53の頂部を乗り越え、弾性部材62の圧縮力が一気に開放される。
弾性部材62の圧縮力が開放されると、図21(e)に示されるように当接部63bは弾性部材62の付勢力により隣接する上リブ53を強く叩き、当該上リブ53に振動を与えてフィルタ(図示せず)に付着した塵埃を振るい落とす。
以降は、上述したような動作が繰り返されることにより、第1除塵部材63は当接部63bが上リブ53に断続的に当接し、フィルタ50の除塵を行う。
当接部63bが上リブ53に鈍角な角度α2で接触しているので、図22(b)および図22(c)に示されるように、フレーム61がフィルタ50に対して時計方向(圧縮方向)に軸回転しても、僅かに変位するだけで上リブ53を乗り越えることができる。この際、弾性部材62が受ける圧縮力は僅かであり、第1除塵部材63は弾性部材62からの抵抗をほとんど受けない。
そして、さらにフレーム61が軸回転を続けると、図22(e)に示されるように当接部63bは弾性部材62からの付勢力により速やかに元の位置に戻される。
このため、当接部63bが上リブ53を乗り越えるときに発生する音は非常に小さく抑えられ、フレーム61がフィルタ50に対して時計方向に回転する際の騒音も非常に小さく抑えられる。
一方、フレーム61をフィルタ50に対して時計方向に回転させた際には、第1、第2および第3除塵部材63,64,65の当接部63b,64b,65bをフィルタ50の上リブ53に強く当接させずに済み、騒音を抑えつつフレーム61をフィルタ50に対して軸回転させることができる。
圧縮部材43は螺旋状の羽根43aを有しているので、掃除運転中に集塵容器33内で軸回転させることにより、気流から分離された塵埃が集塵容器33内で舞い上がり、内筒35の開口35aが塵埃によって閉塞されることを防止できる。さらには、集塵容器33内において塵埃の圧縮率を上げることもでき、塵埃の廃棄を容易にすることもできる。
除塵機構60の動作によりフィルタ50から振るい落とされた塵埃は、フィルタ収容部44の底面44b(図14参照)上に溜まるが、フレーム61に連動して軸回転するスクレーパ部材74の下端に装着された可撓性のスクレーパ74b(図15参照)が底面44b上を摺動し、底面44b上に溜まった塵埃を底部開口44cから内筒35内へ掻き落とす。内筒35内へ掻き落とされた塵埃は圧縮部材43の内部に落下し、底蓋80によって塞がれた圧縮部材43の下端に溜まる。
このため、操作に不慣れなユーザーが、フィルタ50の除塵をユーザー自身で行うために、把持部66aを掴んでフレーム61を手動でどちらの方向に回転させたとしても、除塵機構60が構造的に故障する恐れはない。
図23は集塵容器の底蓋の分解組立図である。
図23に示されるように、底蓋80は集塵容器33の下端近傍に軸支される軸部81を有し、軸部81と集塵容器33との間には弾性部材82が介設される。
これにより、前出の図8に示されるように、集塵容器33に対する底蓋80の係合を解除すると、弾性部材82の付勢力により底蓋80が開き、集塵容器33内で圧縮された塵埃や圧縮部材43の下端に溜まった塵埃を廃棄することが可能となる。
ここで、底蓋80の内面83は円形の底部83aと、底部83aの周縁から立ち上げる周壁部83bとから構成されており、スロープ84と段差85は底部83aと周壁部83bにわたって形成されている。なお、段差85は圧縮部材43の回転方向に対して直交する方向に延びるように形成されている。
仮に、上記のような段差85が底蓋80の内面83に形成されないと、螺旋状の羽根43aの回転に伴って塵埃も底蓋80上で移動するため、螺旋状の羽根43aの回転による圧縮力がうまく作用せず、塵埃の圧縮効率が低下してしまう。
しかしながら、本実施形態のように、底蓋80の内面に段差85を形成し塵埃を底蓋80上で係止させるようにすれば、羽根43aの回転による圧縮力が効率よく伝わり、塵埃の圧縮率を向上させることができる。
これにより、圧縮部材43が塵埃を圧縮する際に回転する方向と反対の方向に軸回転しても、圧縮された塵埃が螺旋状の羽根43aに沿って集塵容器33内を逆流する現象が防止され、塵埃の圧縮率は低下することなく維持される。
なお、図15に示されるように、圧縮部材43の羽根43aの裏面には複数の突起43bが形成されている。そして、突起43bには傾斜部が設けられている。掃除運転時に圧縮部材43が時計方向に向かって軸回転する際、塵埃は突起43bに引っ掛かり塵埃の圧縮が促進される。一方、掃除運転の終了後、除塵機構60の動作に連動して圧縮部材43が反時計方向に軸回転する際にも塵埃は突起43bに引っ掛かり、塵埃が螺旋状の羽根43aに沿って集塵容器33内を逆流する現象が防止される。
本実施形態においては、底蓋80の内面83に1つのスロープ84を設ける場合について説明したが、スロープ84は複数個設けてもよい。このように底蓋80を構成した場合、圧縮部材43による圧縮時において、圧縮された塵埃が底蓋80上で滑って移動することをより効果的に規制することができる。
また、本実施形態においては、スロープ84を底蓋80の内面83の底部83a及び周壁部83bの両方に設ける場合について説明したが、スロープ84は、底部83a及び周壁部83bのいずれか一方にのみ設けてもよい。このように底蓋80を構成した場合、上述の効果が得られるとともに、底蓋80の設計の自由度が向上する。
さらに、本実施形態においては、底蓋80が開閉可能であり、集塵容器33内で圧縮された塵埃は、底蓋80を開いて廃棄される場合について説明したが、底蓋80は、集塵容器33に固着されていてもよく、集塵容器33と一体に形成されていてもよい。この場合には、例えば、集塵容器33を集塵部30から取り外した後、集塵容器33内の塵埃を廃棄することができる。このように底蓋80を構成した場合にも上述の効果が得られる。
図23に示されるように、底蓋80の中心には角柱状の突起86が形成され、この突起86に環状のシール材87を保持するための保持部材88が嵌め入れられている。
保持部材88は、底蓋80上に支持されるベース部88aと、圧縮部材43の下端に嵌り込むように上方へ突出した突起部88bとを有し、ベース部88aと突起部88bとの間に環状のシール材87を保持するための環状溝88cが形成されている。保持部材88は、底蓋80の下側よりビス止めにより固定される。
環状のシール材87は環状溝88cに嵌め入れられることにより保持部材88に支持され、圧縮部材43と密封する。
図24に示されるように圧縮部材43の下端と底蓋80の内面83との間には僅かな隙間(D1)が形成されており、圧縮部材43は底蓋80に対して抵抗なく軸回転するようになっている。また、圧縮部材43の下端と底蓋80の内面83との間に形成される僅かな隙間により、圧縮部材43の寸法精度も緩和される。
しかし、圧縮部材43は内筒35および除塵機構60と共に軸回転する回転体であり、圧縮部材43の下端が全く支持されないことは回転の安定性を確保するうえで好ましくない。
そこで、本実施形態では圧縮部材43の内面側の下端面より上方の位置に段差43cを形成し、この段差に環状のシール材87が当接するように構成している。
環状のシール材87は段差43cと当接する部分が傾斜面となっているので、圧縮部材43は自ずと軸心が定まり、安定して軸回転することが可能となる。
なお、環状のシール材87の表面には潤滑剤が塗布することで、段差43cに対する摩擦抵抗はほとんどなくなる。
変形例1に係る除塵部材について図25に基づいて説明する。
図25は本発明の変形例1に係る除塵部材の図20(a)対応図である。
図25に示されるように変形例1に係る除塵部材163は、上述の実施形態に係る第1除塵部材63に対し、本体部163aに対する当接部163bの向きを変更したものである。
具体的には、除塵部材163の本体部163aが弾性部材62からの付勢力を受けておらず、かつ、当接部163bが上リブ53に接触している状態において、当接部163bと上リブ53とのなす角度α3が上述の実施形態における同角度α1(図21(a)参照)より大きくなるように当接部163bの向きが変更されている。
一方、除塵部材163が圧縮方向(フレーム61がフィルタ50に対して時計方向に軸回転する方向)に移動する際には、当接部163bが上リブ53を乗り越えるのに必要な変位量がより小さくなり、当接部163bが上リブ53を乗り越える際に弾性部材62から受ける抵抗力はより小さくなる。
変形例2に係る除塵部材について図26に基づいて説明する。
図26は本発明の変形例2に係る除塵部材の図20(a)対応図である。
図26に示されるように変形例2に係る除塵部材263は、上述の実施形態に係る第1除塵部材63に対し、本体部263aに対する当接部263bの向きを変更したものである。
具体的には、除塵部材263の本体部263aが弾性部材62からの付勢力を受けておらず、かつ、当接部263bが上リブ53に接触している状態において、当接部263bと上リブ53とのなす角度α4が上述の実施形態における同角度α1(図21(a)参照)より小さくなるように当接部263bの向きが変更されている。
一方、除塵部材263が圧縮方向(フレーム61がフィルタ50に対して時計方向に軸回転する方向)に移動する際には、当接部263bが上リブ53を乗り越えるのに必要な変位量が大きくなり、当接部263bが上リブ53を乗り越える際に弾性部材62から受ける抵抗力は大きくなる。
また、本発明は上述の実施形態に限定されるものではなく、発明の思想の範囲内において様々な改変が可能である。例えば、本実施形態では除塵部材を軸支する軸支部を水平方向に設けたが、軸支部を垂直方向に設けフィルタの上部に設けた突起を叩くように構成してもよい。
10 本体部
20 集塵室
30 集塵部
31 流入口
33 集塵容器
50 フィルタ
53 上リブ(リブ)
54 下リブ
60 除塵機構
61 フレーム
62 弾性部材
63 第1除塵部材
63a,64a,65a 本体部
63b,64b,65b 当接部
63b1 先端
64 第2除塵部材
65 第3除塵部材
68 第1軸支用腕部
68a 第1軸支部
69 第2軸支用腕部
69a 第2軸支部
70 第3軸支用腕部
70a 第3軸支部
Claims (6)
- 複数のリブによって支持された軸孔部を有するフィルタと、フィルタの軸孔部に嵌め込まれて軸回転する軸部を有するフレームと、フレームに弾性部材を介して揺動可能に支持されフィルタに対してフレームが軸回転したときにリブに断続的に当接してフィルタの除塵を行う除塵部材とを備え、除塵部材はフレームに支持される本体部と、本体部からフィルタに向かって延びフレームが軸回転したときにリブと当接する当接部とを有し、当接部はフレームが所定の方向に軸回転したときに、除塵部材の本体部が弾性部材からの付勢力を受けておらず、かつ、当接部がリブに接触している状態において、当接部とリブとが回転方向に作る角度が鋭角で当接し、前記所定の方向と逆方向に軸回転したときには、除塵部材の本体部が弾性部材からの付勢力を受けておらず、かつ、当接部がリブに接触している状態において、当接部とリブとが回転方向に作る角度が鈍角で当接するように形成され、
フィルタの各リブは中心から放射状に延びる直線状であり、フレームは除塵部材の本体部を揺動可能に軸支する軸支部を有し、軸支部の軸線は軸部の中心と軸支部の軸端中心とを結ぶ線に対して角度をなすように設定され、当接部とリブが回転方向に作る角度が鋭角で当接するときに、当接部とリブが線接触する除塵機構。 - 複数のリブによって支持されたフィルタと、フィルタに対して軸回転するフレームと、フレームに弾性部材を介して揺動可能に支持されフィルタに対してフレームが軸回転したときにリブに断続的に当接してフィルタの除塵を行う除塵部材とを備え、除塵部材はフレームに支持される本体部と、本体部からフィルタに向かって延びフレームが軸回転したときにリブと当接する当接部とを有し、当接部はフレームが所定の方向に軸回転したときに、除塵部材の本体部が弾性部材からの付勢力を受けておらず、かつ、当接部がリブに接触している状態において、当接部とリブとが回転方向に作る角度が鋭角で当接し、前記所定の方向と逆方向に軸回転したときには、除塵部材の本体部が弾性部材からの付勢力を受けておらず、かつ、当接部がリブに接触している状態において、当接部とリブとが回転方向に作る角度が鈍角で当接するように形成されてなる除塵機構と、
フィルタを保持する集塵容器と、
集塵容器内の塵埃を圧縮するよう集塵容器内に軸回転可能にかつ除塵機構と連動するように設けられた圧縮機構とを備え、
圧縮機構は、当接部とリブが回転方向に作る角度が鈍角で当接するように回転したときのみ集塵容器内の塵埃を圧縮する螺旋状の羽根を有する集塵装置。 - 弾性部材はフレームの回転方向に関わらず除塵部材を元の姿勢に戻すように除塵部材を付勢する請求項1または2に記載の集塵装置。
- フィルタの各リブは中心から放射状に延びる直線状であり、フレームは除塵部材の本体部を揺動可能に軸支する軸支部を有し、軸支部は当接部がリブに平行に接触するようにフィルタの中心に対する角度が決定される請求項2又は3に記載の集塵装置。
- 除塵機構は、フレームが所定の方向に軸回転したときには除塵部材が大きく変位し、フレームが所定の方向と逆方向に軸回転したときには除塵部材が小さく変位するように構成された請求項1または2に記載の集塵装置。
- 請求項2〜5のいずれか1つに記載の集塵装置を着脱可能に備えた電気掃除機。
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