JP6070947B2 - 圧延機の圧延ロール組替用レールの取り付け構造 - Google Patents

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本発明は、圧延機の圧延ロールの組替の際に用いられるレールの取り付け構造に関し、特には補修時期間のレールの継続使用を可能にした取り付け構造に関するものである。
製鉄所圧延機のスタンドに組み込まれた圧延ロール(ワークロールやバックアップロール)は、補修等のために予備のものと組み替える必要があり、その組替には、例えば図1に示すように、ロール単体またはロールセット1を支持する車輪2a付きのチョック(軸受け部材)2をモータや油圧シリンダによってレール3上で図中両方向矢印で示す如く横引きすることで、圧延ロールをスタンド4から取り出す方式が知られている(例えば特許文献1参照)。
特開2000−024708号公報
上記の圧延ロールの組替に用いられるレールには、チョックの移動の度にチョックの車輪から多大な負荷が加わるため、従来はクロムモリブデン鋼等の高強度材のものが使用されていたが、圧延ロールの冷却水や圧延機前後のデスケーリング水がかかる腐食環境下にあるため、近年はステンレス材等の耐腐食性の材質のものが使用されている。このステンレス材は、クロムモリブデン鋼等と比較すると低強度であるため、チョックの車輪からの多大な負荷で圧延されて伸びが発生する。このため、上記レールはその長手方向に複数分割されており、各分割レールは、伸びがある程度以上になる時期に、その伸びた分を切除したり新たな分割レールに交換したりする補修が施されている。
ところで、図2および図3は、従来のレール取り付け構造を模式的に示す平面図および断面図であり、圧延機の圧延ロール組替用の、上記の如く分割されたレール3は、レール3の長手方向へ整列して位置して各々そのレール3を貫通する複数のボルト穴3aにそれぞれ挿通した複数本のボルト5によってレール支持部6に取り付けており、それらのボルト穴3aは各々、ボルト5の外径より僅かに大きい内径の丸穴と、ボルト頭部を収容する座ぐりとを有している。チョックの車輪2aは主にこのレール3の上面の、幅方向略中央から図2では下側の範囲Rを走行するため、図3(a)中下向き矢印で示す車輪2aからの荷重による、図3(a)中横向き矢印で示すレール3の伸びは、図3(b)に示す車輪2aの走行範囲Rで多く発生し、レール3は、図4の平面図に変形量を誇張して示すように、全体的に伸び変形Lをすると同時に、車輪2aの走行範囲R側と反対側に曲がり変形Bをする。
このため上記従来のレール取り付け構造では、このレール3の伸び変形と曲がり変形とによってボルト穴3aの位置が大きくずれて、図3(a)中横向き矢印で示すようにボルト5に過大な剪断荷重や曲げ荷重が加わり易いことから、次回の補修時期が到来するまでの間にボルト5に折損が発生し、これによりレール3がレール支持部6から脱落して圧延ロールの組替ができなくなるという問題があった。
また、複数のボルト穴3aは、車輪2aの走行範囲R内であるレール3の幅方向略中央の位置でレール3の長手方向へ整列し、レール3に対する車輪2aの接触面積を減らしてレール3に対する車輪2aからの荷重による面圧を高め、レール3の変形を増大させており、この点からも、ボルト穴3aの位置が大きくずれてボルト5に過大な剪断荷重や曲げ荷重が加わり易かった。
それゆえ本発明は、このような過大な荷重によるボルトの折損を防止して補修時期間のレールの継続使用を可能にしたレール取り付け構造を提供することを目的としている。
前記課題を解決する本発明の圧延機の圧延ロール組替用レールの取り付け構造は、圧延機の圧延ロール組替の際にいられ、圧延ロールを支持するチョックの車輪が上面上を走行するレールを、レール支持部上に配置して、そのレールの上面上でそのレールの長手方向へ整列して位置して各々そのレールを上下方向に貫通する複数のボルト穴にそれぞれ挿通した複数本のボルトによって前記レール支持部に取り付けるレール取り付け構造において、前記複数のボルト穴を各々、前記レールの長手方向へ延在する長穴を有するものとしたことを特徴とするものである。
かかる本発明の圧延機の圧延ロール組替用レールの取り付け構造にあっては、レール支持部上に配置され、圧延機の圧延ロール組替の際に、圧延ロールを支持するチョックの車輪が上面上を走行するレールの上面上で長手方向へ整列して位置して各々そのレールを上下方向に貫通するとともに、それらに挿通した複数本のボルトによってそのレールを前記レール支持部に取り付ける複数のボルト穴が各々、前記レールの長手方向へ延在する長穴を有しているので、レールが伸び変形および曲がり変形しても、その長穴の延在する範囲内でボルトが相対的に移動して長穴の位置ずれを許容する。
従って、本発明の圧延機の圧延ロール組替用レールの取り付け構造によれば、圧延ロールの組替の際のチョックの移動の度にレール上を走行するチョックの車輪から多大な負荷を受け、レールに伸び変形および曲がり変形が生じてレールのボルト穴の位置が大きくずれても、ボルトに過大な剪断荷重や曲げ荷重が加わることがなくなるので、次回の補修時期が到来するまでの間のボルト折損の発生を回避することができ、ひいては、レール支持部からのレールの脱落による圧延ロールの組替不能の事態を防止することができる。
なお、本発明の圧延機の圧延ロール組替用レールの取り付け構造においては、前記複数のボルト穴を各々、そのボルト穴の少なくとも一部が前記レールの上面上で前記レールの幅方向に車輪の走行範囲から外れて位置するように配置すると好ましい。このようにすれば、レールの上面上で車輪の走行範囲からボルト穴が外れた分だけ、車輪とレールとの接触面積が増加するので、車輪からの荷重による面圧が低下してレールの変形量が少なくなり、このためボルト穴の相対的な位置ずれ量が減って、ボルトに加わる剪断荷重や曲げ荷重が小さくなる。また、変形量が多い車輪の走行範囲からボルト穴が外れて位置するので、この点からも、ボルト穴の相対的な位置ずれ量が減って、ボルトに加わる剪断荷重や曲げ荷重が小さくなる。
レール上を走行する車輪付きチョックを用いた圧延ロール組替方式を例示する圧延機スタンドの断面図である。 従来の圧延ロール組替用レールの取り付け構造を示す平面図である。 (a),(b)は、上記従来の圧延ロール組替用レールの取り付け構造を示す、図2中のA−A線およびB−B線に沿う断面図である。 上記従来の圧延ロール組替用レールの取り付け構造におけるレールの変形状態を、変形量を誇張して示す平面図である。 本発明の圧延ロール組替用レールの取り付け構造の一実施形態を示す平面図である。 (a),(b)は、上記実施形態の圧延ロール組替用レールの取り付け構造を示す、図5中のC−C線およびD−D線に沿う断面図である。
図5は、本発明の圧延ロール組替用レールの取り付け構造の一実施形態を示す平面図、また図6(a),(b)は、その実施形態の圧延ロール組替用レールの取り付け構造を示す、図5中のC−C線およびD−D線に沿う断面図であり、図中、従来例と同様の部分はそれと同一の符号にて示す。
すなわち、この実施態様の圧延ロール組替用レールの取り付け構造も、従来例と同様に、図1に示す如きレール3上を走行する車輪2a付きのチョック2を用いた圧延ロール組替方式に用いられるものであり、この実施形態においては、圧延機の圧延ロール組替用の、前述の如く分割されたレール3は、従来と同様、レール3の長手方向へ整列して位置して各々そのレール3を貫通する複数のボルト穴3aにそれぞれ挿通した複数本のボルト5によってレール支持部6に取り付けているものの、それらのボルト穴3aは各々、ボルト5の外径より多少大きい幅で、レール3の長手方向へ、例えばその幅の2〜4倍程度の長さで延在する長穴3bと、その長穴3bに沿って延在してボルト頭部を収容する座ぐり3cとを有している。なお、図5中、二点鎖線で示す丸穴のボルト穴は、参考のために示す従来のボルト穴である。
図6の断面図に示すように、ロールセット1の組替の際にチョック2の車輪2aは主にこのレール3の上面の、幅方向略中央から図5では下側の範囲Rを走行するため、図6(a)中下向き矢印で示す車輪2aからの荷重による、図6(a)中横向き矢印で示すレール3の伸び変形および曲がり変形は、図6(b)に示す車輪2aの走行範囲Rで大きく発生する。
このレール3の変形に対し、この実施形態の圧延機の圧延ロール組替用レールの取り付け構造にあっては、レール3の長手方向へ整列して位置して各々そのレール3を貫通するとともに、それらに挿通した複数本のボルト5によってそのレール3をレール支持部に取り付ける複数のボルト穴3aが各々、レール3の長手方向へ延在する長穴3bを有しているので、レール3が伸び変形および曲がり変形してもその長穴3bの延在する範囲内でボルト5が相対的に移動して長穴3bの位置ずれを許容する。
従って、この実施形態の圧延機の圧延ロール組替用レールの取り付け構造によれば、ロールセット1の組替の際のチョック2の移動の度にレール3上を走行するチョック2の車輪2aから多大な負荷を受け、レール3に伸び変形および曲がり変形が生じてレール3のボルト穴3aの位置が大きくずれても、ボルト5に過大な剪断荷重や曲げ荷重が加わることがなくなるので、次回の補修時期が到来するまでの間のボルト折損の発生を回避することができ、ひいては、レール支持部6からのレール3の脱落によるロールセット1の組替不能の事態を防止することができる。
また、この実施形態の圧延機の圧延ロール組替用レールの取り付け構造においては、複数のボルト穴3aを各々、その長穴からなるボルト穴3aの座ぐりを含む全体がレール3の幅方向に車輪2aの走行範囲Rから外れて位置するように配置している。このため、車輪2aの走行範囲Rからボルト穴3aが外れた分だけ、車輪2aとレール3との接触面積が増加するので、車輪2aからの荷重による面圧が低下してレール3の変形量が少なくなり、ボルト穴3aの相対的な位置ずれ量が減って、ボルト5に加わる剪断荷重や曲げ荷重が小さくなる。また、変形量が多い車輪2aの走行範囲Rからボルト穴3aが外れて位置するので、この点からも、ボルト穴3aの相対的な位置ずれ量が減って、ボルト5に加わる剪断荷重や曲げ荷重が小さくなる。これにより、ボルト折損の発生の可能性を低下させることができ、ひいては、レール支持部6からのレール3の脱落によるロールセット1の組替不能の事態を防止することができる。
以上、図示例に基づき説明したが、本発明は上述の例に限定されるものでなく、特許請求の範囲の記載範囲内で適宜変更し得るものであり、例えば、上記実施形態では座ぐりを含むボルト穴3a全体が車輪2aの走行範囲Rから外れて位置しているが、座ぐりを含むボルト穴3aの一部が車輪2aの走行範囲Rから外れて位置していても良い。また、ボルト穴3a全体が車輪2aの走行範囲Rから外れて位置している場合には、座ぐりを省略することもできる。そして、上記実施形態ではロールセットの組替用レールに適用したが、圧延ロール単体の組替用レールに適用することもできる。
かくして本発明の圧延機の圧延ロール組替用レールの取り付け構造によれば、圧延ロールの組替の際のチョックの移動の度にレール上を走行するチョックの車輪から多大な負荷を受け、レールに伸び変形および曲がり変形が生じてレールのボルト穴の位置が大きくずれても、ボルトに過大な剪断荷重や曲げ荷重が加わることがなくなるので、次回の補修時期が到来するまでの間のボルト折損の発生を回避することができ、ひいては、レール支持部からのレールの脱落による圧延ロールの組替不能の事態を防止することができる。
1 ロールセット
2 チョック
2a 車輪
3 レール
3a ボルト穴
3b 長穴
3c 座ぐり
4 スタンド
5 ボルト
6 レール支持部
R 車輪の走行範囲

Claims (2)

  1. 圧延機の圧延ロール組替の際にいられ、圧延ロールを支持するチョックの車輪が上面上を走行するレールを、レール支持部上に配置して、そのレールの上面上でそのレールの長手方向へ整列して位置して各々そのレールを上下方向に貫通する複数のボルト穴にそれぞれ挿通した複数本のボルトによって前記レール支持部に取り付けるレール取り付け構造において、
    前記複数のボルト穴を各々、前記レールの長手方向へ延在する長穴を有するものとしたことを特徴とする圧延機の圧延ロール組替用レールの取り付け構造。
  2. 前記複数のボルト穴を各々、そのボルト穴の少なくとも一部が前記レールの上面上で前記レールの幅方向に車輪の走行範囲から外れて位置するように配置したことを特徴とする、請求項1記載の圧延機の圧延ロール組替用レールの取り付け構造。
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