以下、本発明の好ましい実施形態について、添付図面を参照して説明する。図1は、本発明の画像処理装置の一実施形態である多機能周辺装置(以下、「MFP(Multi Function Peripheral)」と称す)1の電気的構成を示したブロック図である。
MFP1は、コピー機能、FAX機能、スキャン機能、メディアプリント機能などの各種機能を有している。特に、本実施形態のMFP1は、設定値を示す登録情報を登録する際におけるユーザの作業負担を抑制できるように構成されている。
MFP1には、CPU10、フラッシュメモリ11、RAM12、LCD16、タッチパネル17、スキャナ18、プリンタ19、NCU20、モデム21、LANインターフェイス(I/F)22、メモリカードI/F23が主に設けられている。CPU10、フラッシュメモリ11、RAM12は、バスライン24を介して互いに接続されている。また、LCD16、タッチパネル17、スキャナ18、プリンタ19、NCU20、モデム21、LANI/F22、メモリカードI/F23、バスライン24は、入出力ポート25を介して互いに接続されている。
CPU10は、フラッシュメモリ11に記憶される固定値やプログラム、RAM12に記憶されているデータ、或いは、NCU20を介して送受信される各種信号に従って、MFP1が有している各機能の制御や、入出力ポート25と接続された各部を制御する。
フラッシュメモリ11は、制御プログラム11a、カスタム設定メモリ11b、設定値階層テーブル11c、特定条件テーブル11d、同時動作禁止テーブル11e、デフォルト設定メモリ11fなどが設けられた書換可能な不揮発性のメモリである。CPU10は、制御プログラム11aに従い、図6〜図9を参照して後述する処理を実行する。カスタム設定メモリ11bには、ユーザにより設定された1または複数の設定値を示す登録情報が登録される。設定値階層テーブル11c、特定条件テーブル11d、同時動作禁止テーブル11eについては、図2,図3を参照して後述する。デフォルト設定メモリ11fには、MFP1が実行可能な機能毎に予め設定されている設定項目および各設定項目の初期設定値(デフォルト設定値)が機能毎に関連付けて記憶される。RAM12は、書換可能な揮発性のメモリであり、ユーザにより選択された設定値が設定される設定値メモリ12aが設けられる。
LCD16は液晶表示装置である。LCD16の画面には、タッチパネル17が設けられる。タッチパネル17は、LCD16の画面がユーザに押下された場合、それを検知し、押下された位置をMFP1に入力する。スキャナ18は、原稿を読み取って画像データに変換する。プリンタ19は、画像データに基づく画像を記録紙に印刷する。NCU20は、電話回線の制御を行う。モデム21は、FAX送信時には送信信号を変調し、FAX受信時には受信した変調信号を復調する。LANI/F22は、パーソナルコンピュータなどの外部機器にMFP1をLAN接続する。メモリカードI/F23は、不揮発性の記憶媒体であるメモリカード(図示せず)が装着されるインターフェイスであって、メモリカードに対するデータの書き込み又は読み出しを制御する。
図2は、設定値階層テーブル11cの構成を模式的に示す図である。図2に示すように、設定値階層テーブル11cには、機能記憶エリア11c1と、設定項目記憶エリア11cと、設定値記憶エリア11c3とが設けられる。
機能記憶エリア11c1には、MFP1が実行可能な機能が記憶される。設定項目記憶エリア11c2には、各機能について設定値を設定可能な設定項目が、当該機能の下位階層の設定項目として記憶される。例えば、本実施形態では、コピーの下位階層の設定項目として、画質、スタック/コピー、拡縮コピー、レイアウトNin1、インクセーブが準備されているものとする。
設定値記憶エリア11c3には、各設定項目について設定可能な設定値が、当該設定項目の下位階層の設定値として記憶される。なお、図2に示す例においては、1つの設定項目について準備された複数の設定値を、コンマ(,)で区切って図示する。また、コピー以外の他の機能についても、同様に設定項目および設定値が記憶されるが、図示及び詳細な説明を省略する。
図3(a)は、特定条件テーブル11dの構成の一例を模式的に示す図である。図3(a)に示すように、特定条件テーブル11dは、特定条件と、特定条件の成立下でのみ実現可能な処理内容を示す設定値との対応関係を記憶する。
例えば、特定条件「ADFに原稿がセットされている」について、コピー(機能)、拡縮コピー(設定項目)、Auto(設定値)が対応付けられている。これは、拡縮コピーの設定値「Auto」が示す処理、具体的には原稿サイズと用紙サイズとに基づいて、拡大または縮小の倍率を自動で決定するコピー処理は、MFP1において、ADFに原稿がセットされている場合にのみ実現可能であることを意味している。
以下、特定条件に対応付けられた設定値を「特定設定値」と称する。例えば、図3(a)に示す例では、特定条件「ADFに原稿がセットされている」については設定値「Auto」が特定設定値に該当する。
また、特定条件「外部機器に接続されている」には、スキャン(機能)、スキャンtoPC(設定項目)、オン(設定値)が対応付けられている。これは、MFP1が外部機器に接続されている場合にのみ、スキャンtoPC(スキャナ18で生成した画像データを外部機器に送信する処理)をオンに設定可能であることを意味している。この例では、設定項目「スキャンtoPC」についての設定値「オン」が「特定設定値」に該当する。
図3(b)は、同時動作禁止テーブル11eの構成を模式的に示す図である。同時動作禁止テーブル11eは、デフォルト設定値以外の設定値どうしを同時に設定することが不可能な設定項目の組み合わせを記憶する。例えば、レイアウトNin1(Nページの原稿を1枚の用紙にコピーすること)について、デフォルト設定値(例えばN=1)以外の設定値を設定した場合において、さらに、拡縮コピーの設定値としてデフォルト設定値(例えば100%)以外の設定値を設定すると、処理の負荷が大きくなるため、MFP1では、これらの設定を同時に行うことを禁止している。また、レイアウトNin1をデフォルト設定値以外の設定値で設定すると画像が縮小されて視認性が低下する。よって、レイアウトNin1とインクセーブ(インク使用量を節約して印刷すること)についても、デフォルト設定値以外の設定値については、その同時設定を禁止している。すなわち、Nを1以外の値に設定し、且つ、インクセーブをオンに設定することを禁止している。
図4を参照して、カスタム登録処理について説明する。カスタム登録処理は、ユーザが1または複数の設定値を登録情報としてカスタム設定メモリ11bに登録する処理である。
まず、初期設定画面では、MFP1が実行可能な機能の候補一覧30と、カスタム設定を指示するカスタム設定ボタン32とを含む初期画面34が、LCD16に表示される。ここで、カスタム設定ボタン32がユーザにより押下された場合、カスタム設定画面38が、LCD16に表示される。
カスタム設定画面38は、登録情報の登録要求を受け付けるための追加登録ボタン36を含む。追加登録ボタン36が押下された場合にカスタム登録処理が開始される。具体的には、まず、MFP1が実行可能な機能の候補一覧を含む機能選択画面40が表示され、機能の選択を受け付ける。ユーザは、機能選択画面の中から、登録情報を登録したい1の機能を選択する。
ユーザにより機能が選択された場合、設定項目選択画面46が表示される。設定項目選択画面46には、選択された機能の下位階層の設定項目の候補一覧42が含まれ、設定項目の選択を受け付ける。また、候補一覧42内の各設定項目について記憶されているデフ
ォルト設定値が、各設定項目に対応付けて表示される。さらに、設定項目選択画面46には、選択した設定値を登録情報として登録することを指示する登録ボタン44が含まれる。
ユーザにより設定項目が選択された場合、設定値選択画面50が表示される。設定値選択画面50には、選択された設定項目の下位階層の設定値の候補一覧48が含まれ、設定値の選択を受け付ける。
ここで、カスタム登録処理においては、特定設定値であるか否かに関わらず、設定値の候補が表示される。例えば、図3(a)を参照して説明したように、拡縮コピーの設定値「Auto」は、ADFに原稿がセットされているという特定条件の成立下でのみ実現可能な処理内容を示す。すなわち、ADFに原稿がセットされていない場合、実現不可能な処理である。しかしながら、カスタム登録処理では、ユーザは、登録情報として登録するために設定値を設定しているので、特定条件が成立しているか否かに関わらず、特定値も設定値の候補として表示させ、選択可能とする。
次に、設定値選択画面50において設定値が選択され、且つ、当該設定値が特定設定値であった場合、確認画面58が表示される。確認画面58は、選択された特定設定値が示す処理内容を実現するための特定条件を報知するためのガイダンス52、特定設定値の設定を確定する確定指示をユーザに入力させるためのOKボタン54、特定設定値の選択の受け付けをキャンセルするための戻るボタン56が含まれる。
ガイダンス52により、ユーザが選択した特定設定値が示す処理内容を実現するために必要な特定条件を、ユーザに認識させることができる。よって、ユーザは、特定条件を認識した上でカスタム登録処理を進めることができ、ユーザにとって操作性が良い。
確認画面58においてOKボタン54が押下された場合、すなわち、特定設定値を設定することを確定する指示を受け付けた場合、MFP1は、当該特定設定値を設定値メモリ12aに設定して、設定項目選択画面46に戻り、次の設定項目の選択を受け付ける。すなわち、ユーザに特定条件を認識させた上で、その特定設定値の設定をユーザが望んだ場合に、特定設定値が設定される。
なお、ユーザが選択した設定値が特定設定値ではない場合、MFP1は、当該設定値を設定値メモリ12bに設定し、設定項目選択画面46に戻る。すなわち、確認画面58の表示をスキップする。また、特定設定値であるか否かに関わらず、設定値が設定された後に設定項目選択画面46を表示させるときには、設定済みの設定値を、設定項目に対応付けて表示させる。例えば、設定項目「拡縮コピー」設定値として「Auto」を設定した場合、それを表示させる。したがって、ユーザは、自分が既に設定した設定値を視認しつつ、作業を継続できる。
また、設定項目選択画面46に戻る場合、同時動作禁止テーブル11d(図3(b))に従い、設定済みの設定値と組み合わせて実現することが不可能な処理内容について、その処理内容を示す設定値の設定が禁止される。例えば、図3に示す例では、設定項目「拡縮コピー」について設定値「Auto」が設定された後は、「拡縮コピー」と組み合わせて、デフォルト設定値以外の設定値を設定することができない設定項目「レイアウトNin1」が、設定項目選択画面46に表示されず、その設定が禁止される。したがって、実現不可能な処理内容を示す組み合わせの設定値が設定されることを抑制できる。
このようにして処理を繰り返すうちに、登録ボタン44が押下された場合、MFP1は、機能選択画面46において1の機能が選択された後、登録ボタン44が押下されるまで
に設定された1または複数の設定値を示す登録情報をカスタム設定メモリ11bに登録する。また、MFP1は、カスタム設定メモリ11bに登録された登録情報に対応するカスタムボタン60をカスタム設定画面38に表示させる。
登録情報の登録後、ユーザは、カスタムボタン60を押下することにより登録情報を呼び出し、登録情報が示す処理内容で、機能を実行させることができる。したがって、頻繁に使う設定を登録情報として登録しておくことにより、設定作業を簡単にできる。
なお、カスタムボタン60に対応する登録情報が、少なくとも1つの特定設定値を示す場合、当該特定設定値が示す処理内容(図4に示す例ではAuto)が、カスタムボタン60内またはカスタムボタン60の近傍に表示される。このようにすれば、登録情報に対応した処理内容をユーザに視認させることができる。
図5は、初期画面34において、ユーザが処理の実行を指示するために、1の機能を選択した場合の通常設定実行処理を説明する図である。図5に示す例では、機能として「コピー」が選択されたものとする。
この場合、次の設定項目選択画面46では、選択された機能の下位階層の設定項目およびデフォルト設定値が候補一覧42に表示される。そして、設定項目の候補一覧42の中から1つの設定項目が選択されると、次の設定値選択画面50では、選択された設定項目の下位階層の設定値が候補一覧48に表示される。そして、ユーザが設定値を設定し、図示しない実行ボタンを押下すると、MFP1は、機能の選択を受け付けてから実行ボタンが押下されるまでに設定された設定値が示す処理内容で、機能を実行する。
ここで、通常設定実行処理の場合、MFP1は、設定値のうち特定設定値については、特定条件が成立していない限り、設定値の候補として表示させない。例えば、図5に示す例では、拡縮コピーの設定値のうち、ADFに原稿がセットされている場合にのみ実現可能な処理を示す特定設定値「Auto」は、特定条件が成立している場合にのみ、設定値選択画面50に表示される。すなわち特定条件が成立していない場合、特定設定値は表示されない。したがって、特定条件の不成立下では実現不可能な処理内容を示す特定設定値を、ユーザが誤って設定することを抑制でき、ユーザにとって操作性が良い。
なお、通常設定実行処理の途中で、登録ボタン44が押下された場合、MFP1は、登録ボタン44が押下されるまでの間に選択を受け付けた設定値を示す登録情報を登録するが、詳細は図7を参照して後述する。
図6は、MFP1のCPU10が制御プログラム11aに従って実行するメイン処理を示すフローチャートである。この処理は、ユーザ操作に応じてMFP1を動作させるための処理であって、MFP1の起動中、繰り返し実行される。
まず、ステップS601(以下、ステップを省略)において、CPU10は、初期画面34をLCD16に表示させ、実行すべき1の機能の選択を受け付ける(S601)。初期画面34において、1の機能の選択を受け付けた場合(S602:Yes)、CPU10は、設定値の選択を受け付けて機能を実行する通常設定実行処理を実行する(S603)。通常設定実行処理(S603)については、図7を参照して後述する。
また、初期画面34において機能が選択されず(S602:No)、カスタム設定ボタン32が押下された場合(S604:Yes)、CPU10は、カスタム設定処理(S605)を実行する。カスタム設定処理(S605)については、図8を参照して後述する。機能が選択されず(S602:No)、カスタム設定ボタン32が押下されない間(S
604:No)、CPU10はS602から処理を繰り返す。なお、図示は省略するが、機能が選択されてから(S602:Yes)、所定時間経過しても次の操作が行われない場合、CPU10は、S601に戻って、初期画面34をLCD16に表示させる。
図7は、通常設定実行処理(S603)を示すフローチャートである。この処理は、メイン処理において、実行すべき1つの機能がユーザにより選択されてから実行される処理であって、設定項目および設定値の選択を受け付け、ユーザが選択した機能を実行する処理である。
まず、CPU10は、選択された機能に関連付けてデフォルト設定メモリ11fに記憶されているデフォルト設定値を読み出し、設定値メモリ12aに設定する(S701)。なお、本実施形態において、デフォルト設定値は特定設定値以外の設定値とする。
次に、CPU10は、同時動作禁止テーブル11eを参照し、選択された機能の下位階層の設定項目のうち、設定済みの設定値と併用可能な設定項目を抽出する(S702)。設定値メモリ12aに設定されている設定値が全てデフォルト設定値である場合には、全ての設定項目が併用可能な設定項目として抽出される。CPU10は、抽出された設定項目を候補一覧42に配置した設定項目選択画面46(図5参照)をLCD16に表示させる(S703)。
次に、設定項目のいずれかが選択された場合(S704:Yes)、CPU10は、設定値選択画面50(図5参照)をLCD16に表示させる。
具体的には、選択された設定項目の下位階層の設定値が特定設定値を含まない場合(S710:No)、CPU10は、選択された設定項目の下位階層の設定値を候補一覧48に配置した設定値選択画面50をLCD16に表示させる(S711)。
一方、設定値が特定設定値を含む場合であって(S710:Yes)、当該特定設定値に対応する特定条件が成立していない場合(S712:No)、CPU10は、設定値から特定設定値を除外して、設定値選択画面50に表示させる(S711)。
なお、設定値が特定設定値を含む場合であって(S710:Yes)、特定条件が成立している場合(S712:Yes)、当該特定設定値を含む設定値を設定値選択画面50に表示させる(S713)。
そして、設定値が選択されない場合(S714:No)、CPU10は次のステップに移行しない。ただし、図示は省略するが、設定値選択画面50が表示されてから所定時間経過するまでに設定値が選択されない場合、CPU10は、S601に戻って、初期画面34をLCD16に表示させる。一方、設定値が選択された場合(S714:Yes)、CPU10は、ユーザが選択した設定値を設定値メモリ12aに設定し(S715)、S702の処理に戻る。この場合、既に設定済みの設定値と併用可能な設定項目の抽出が行われる(S702)。すなわち、設定済みの設定値と組み合わせる場合にデフォルト設定値以外の設定値を設定できない設定項目については、次の設定項目選択画面46に表示しない(S703)。このようにすれば、既に設定済みの設定値が示す処理内容と組み合わせて実現することが不可能な処理内容については、その処理内容を示す設定値の設定を禁止することができる。
設定項目選択画面46において設定項目が選択されず(S704:No)、実行ボタン(図示せず)が押下された場合(S705:Yes)、CPU10は、設定値メモリ12aに設定された設定値が示す処理内容で、選択された機能を実行し(S706)、処理を
終了する。
また、実行ホタンが押下されず(S705:No)、登録ボタン44(図5参照)が押下されることにより登録要求を受け付けた場合(S707:Yes)、CPU10は、機能を選択してから(S602:Yes)、登録要求を受け付けるまで(S707:Yes)の間に選択を受け付けた設定値(具体的には、設定値メモリ12aに設定された設定値)を、登録情報としてカスタム設定メモリ11bに登録する(S708)。そして、新たに登録した登録情報に対応するカスタムボタン60を作成し(S709)、S703に戻る。ここで作成されたカスタムボタン60は、次回、カスタム設定画面38が表示されるときに、表示される。なお、実行ボタンが押下されず(S705:No)、登録ボタン44が押下されない場合(S707:No)、CPU11はS703から処理を繰り返す。ただし、図示は省略するが、設定項目選択画面46が表示されてから所定時間経過するまでに実行ボタンも登録ボタン44も押下されない場合、CPU10は、S601に戻って、初期画面34をLCD16に表示させる。
通常設定実行処理(S603)によれば、ユーザが選択した1の機能について、処理内容を示す設定値が設定値メモリ12aに設定される。また、特定条件の不成立下では、特定設定値の設定が禁止される。
また、特定条件の成立下では、当該特定条件の成立下で実現可能な処理内容を示す特定設定値が設定値の候補として表示される。例えば、ユーザがこれから所望の処理内容で機能を実行させようとする場合において、その処理内容が特定条件の成立下で実現可能なものである場合、ユーザは、機能実行の前準備として、所望の処理内容を実現するために必要な作業(例えば、ADFに原稿をセットする作業)を行い、特定条件を成立させる。よって、その場合には、特定設定値を設定値の候補として表示させることにより、ユーザが特定設定値を容易に選択できるようにする。さらに、通常設定実行処理(S603)の途中において登録要求を受け付けた場合、当該登録要求を受け付けるまでの間に選択を受け付けた設定値を示す登録情報が登録される。よって、ユーザは、所望の処理内容を実現するために必要な作業を行って特定条件を成立させた状態で、ついでに、特定設定値を示す登録情報を登録でき、操作性が良い。
また、通常設定実行処理(S603)によれば、設定済みの設定値が示す処理内容と組み合わせて実現することが不可能な処理内容については、その処理内容を示す設定値の設定が禁止されるので、実現不可能な処理内容を示す組み合わせの設定値が設定されることを抑制できる。すなわち、複数の設定値を設定した後に、実行ボタンを押下して初めて、その組み合わせでは機能を実行不可能であるとユーザが認識するという事態の発生を回避できる。
図8は、カスタム設定処理(S605)を示すフローチャートである。この処理は、初期画面34において、カスタム設定ボタン32が押下された場合に実行される。まず、CPU10は、カスタム設定画面38をLCD16に表示させる(S801)。
カスタム設定画面38においてカスタムボタン60が押下された場合(S802:Yes)、CPU10は、押下により選択されたカスタムボタン60に対応する登録情報を、カスタム設定メモリ11bから読み出す(S803)。そして、実行ボタンが押下されない間(S804:No)、CPU10は次のステップに進まない。一方、実行ボタンが押下された場合(S804:Yes)、CPU10は、当該登録情報が示す設定値が特定設定値を含むか否かを判断する(S805)。登録情報が示す設定値が特定設定値を含まない場合(S805:No)、CPU10は、登録情報が示す処理内容で機能を実行し(S806)、処理を終了する。
一方、登録情報が示す設定値が特定設定値を含むと判断される場合(S805:Yes)、CPU10は、当該特定設定値が示す処理内容を実現するための特定条件が成立しているかを判断する(S807)。特定条件が成立している場合(S807:Yes)、CPU10は、選択された登録情報が示す処理内容で機能を実行する(S806)。
一方、特定条件が成立していないと判断される場合(S807:No)、CPU10は、エラー情報(図示せず)をLCD16に表示させることにより、選択した登録情報に基づく処理内容での機能の実行が不可能であることをユーザに報知する(S808)。
カスタム設定処理(S605)によれば、選択されたカスタムボタン60に対応する登録情報が示す設定値が特定設定値を含む場合、MFP1の状態に応じて(すなわち、特定条件が成立しているか否かに応じて)、機能が実行され、または、エラー情報が報知される。したがって、特定条件が成立していないのにも関わらず、ユーザが誤って特定設定値を示す登録情報を選択したとしても、適切に対応できる。
なお、カスタム設定画面38において、カスタムボタン60が押下されず(S802:No)、追加登録ボタン36が押下された場合(S810:Yes)、CPU10は、カスタム登録処理を実行する(S812)。カスタム登録処理については、図9を参照して後述する。また、カスタムボタン60が押下されず(S802:No)、追加登録ボタン36が押下されない場合(S810:No)、CPU10はS802から処理を繰り返す。ただし、図示は省略するが、カスタム設定画面38が表示されてから所定時間経過するまでにカスタムボタン60も追加登録ボタン36も押下されない場合、CPU10は、S601に戻って、初期画面34をLCD16に表示させる。
図9は、カスタム登録処理(S812)を示すフローチャートである。この処理は、ユーザが追加登録ボタン36を押下した場合、すなわち、設定値の登録要求を受け付けた場合に開始される処理であり、ユーザにより選択された設定値を設定し、その設定値を示す登録情報を登録する。
まず、CPU10は、LCD16に機能選択画面40(図4参照)を表示させ(S900)、機能の選択を受け付ける。機能選択画面40の中から機能が選択されない間(S901:No)、CPU10は次のステップに移行しない。そして、機能がユーザによって選択された場合(S901:Yes)、CPU10は、選択された機能に関連付けてデフォルト設定メモリ11fに記憶されているデフォルト設定値を読み出し、設定値メモリ12aに設定する(S902)。次に、CPU10は、選択された機能の下位階層の設定項目のうち、設定済みの設定値と併用可能な設定項目を抽出する(S903)。そして、CPU10は、抽出された設定項目を候補一覧42に配置した設定項目選択画面46(図4参照)をLCD16に表示させる(S904)。
設定項目選択画面46に表示された設定項目のいずれかが選択された場合(S905:Yes)、CPU10は、設定値選択画面50(図4参照)をLCD16に表示させる(S906)。カスタム登録処理(S812)の場合、設定値選択画面50には、特定条件が成立しているか否かに関わらず、特定設定値も設定値の候補として表示させる。
そして、設定値が選択されない間(S907:No)、CPU10は次の処理に移行しない。ただし、図示は省略するが、設定値選択画面50が表示されてから所定時間経過するまでに設定値が選択されない場合、CPU10は、S601に戻って、初期画面34をLCD16に表示させる。一方、設定値が選択された場合であって(S907:Yes)、その設定値が特定設定値ではない場合(S908:No)、CPU10は、当該設定値
を設定値メモリ12aに設定する(S911)。一方、特定設定値の選択を受け付けた場合(S908:Yes)、CPU10は、ガイダンス52を含む確認画面58をLCD16に表示させる(S909)。そして、確認画面58において、戻るボタン56が押下された場合(S910:No)、CPU10は、特定設定値を設定値メモリ12aに記憶させることなく、S903に戻る。すなわち、特定設定値の選択の受け付けをキャンセルし、S903に戻る。一方、OKボタン54が押下された場合(S910:Yes)、CPU10は、ユーザが選択した設定値を設定値メモリ12aに設定し(S911)、S903に戻る。この場合、既に設定済みの設定値と併用可能な設定項目の抽出が行われる(S903)。すなわち、通常設定実行処理(図7)と同様に、設定済みの設定値と組み合わせる場合にデフォルト設定値以外の設定値を設定できない設定項目については、次の設定項目選択画面46に表示しない(S904)。
なお、設定項目が選択されず(S905:No)、ユーザによって登録ボタン44が押下された場合(S912:Yes)、CPU10は、設定値メモリ12aに設定された設定値を示す登録情報を、カスタム設定メモリ11bに登録する(S913)。そして、新たに登録した登録情報に対応するカスタムボタン60を作成し(S914)、処理を終了する。ここで作成されたカスタムボタン60は、次回、カスタム設定画面38が表示されるときに、表示される。
なお、ユーザによって登録ボタン44が押下されない場合(S912:No)、CPU10はS904から処理を繰り返す。ただし、図示は省略するが、設定値選択画面50が表示されてから(S906)、所定時間経過するまでにいずれの操作も行われない場合、CPU10は、S601に戻って、初期画面34をLCD16に表示させる。
カスタム登録処理によれば、特定条件が成立しているか否かに関わらず、特定設定値の設定を許可することができる。すなわち、特定条件が成立しているか否かに関わらず、特定値が設定値の候補として表示されるので、ユーザは、特定設定値を示す登録情報を容易に登録できる。よって、ユーザは、わざわざ特定条件を成立させるための作業を行う必要がなく、登録情報を登録する際におけるユーザの作業負担を抑制できる。
上記実施形態において、MFP1が画像処理装置の一例である。CPU10がコンピュータの一例である。制御プログラム11aが画像処理プログラムの一例である。LCD16が表示部の一例である。カスタムボタン60が識別画像の一例である。設定値メモリ12aが設定部の一例である。カスタム設定メモリ11bが登録部の一例である。
通常設定実行処理(S603)を実行するCPU10が第1設定手段、第1設定制御手段の一例である。S706を実行するCPU10が第1実行手段の一例である。S801を実行するCPU10が登録要求受付手段の一例である。S812を実行するCPU10が第2設定手段、第2設定制御手段の一例である。S708,S913を実行するCPU10が登録手段、登録制御手段の一例である。S804を実行するCPU10が登録情報受付手段の一例である。S806を実行するCPU10が第2実行手段の一例である。S909を実行するCPU10が報知手段の一例である。S601を実行するCPU10が選択受付手段の一例である。S801を実行するCPU10が識別画像表示手段の一例である。S803を実行するCPU10が読出手段の一例である。S807を実行するCPU10が判断手段の一例である。S808を実行するCPU10がエラー報知手段の一例である。
以上、実施形態に基づき本発明を説明したが、本発明は上述した実施形態に何ら限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲内で種々の改良変更が可能であることは容易に推察できるものである。
例えば、上記実施形態では、複合機であるMFP1に本発明を適用するものとして説明したが、スキャナ、プリンタなど、原稿の読み取りまたは画像の形成に関する機能を少なくとも1つ有する装置に、本発明を適用可能である。
また、上記実施形態では、画像処理装置の一例であるMFP1に、画像処理プログラムの一例である制御プログラム11aが搭載されている例を説明した。しかしながら、画像処理装置とデータ通信可能に接続されて当該画像処理装置を制御するパーソナルコンピュータなどの外部装置に、本発明の画像処理プログラムの一例であるドライバがインストールされても良い。その場合、外部装置のCPUがコンピュータの一例に相当する。
上記実施形態では、識別画像の一例であるカスタムボタン60に対応する登録情報が特定設定値を示す場合、当該特定設定値が示す処理内容をカスタムボタン60と共に表示するものとして説明した。しかしながら、処理内容に代えて又は処理内容に加えて、特定条件を示すテキストや図柄で構成された特定情報を、識別画像と共に表示させるように構成しても良い。
また、特定条件は、例えば、画像処理装置が他の装置と無線接続されていること、メモリカードが装着されていること、など、装置の性能や仕様に応じて適宜変更され得る。
また、設定値選択画面において、特定設定値の表示色を変更するなど、特定設定値と他の設定値と区別して表示しても良い。このようにすれば、特定設定値の選択の際、ユーザの注意を喚起できる。さらに、特定条件の不成立下において特定設定値を表示させる場合には、特定条件の近傍に特定条件を表示させるように構成しても良い。
上記実施形態では、初期画面34に表示されたカスタム設定ボタン32が押下された場合、カスタム設定画面38に切替えられるものとして説明した。これに対し、初期画面34とカスタム設定画面38とを、フリック操作またはタブ押下により切り替え可能に構成しても良い。その場合、カスタム設定ボタン32の表示は不要である。
上記実施形態では、登録ボタン44が押下された場合、設定値メモリ12aに記憶された設定値を示す登録情報が登録されるものとして説明した。これに対し、カスタム登録処理(図9)においては、設定値選択画面50にて設定値が設定値メモリ12aに設定される毎に(S911)、当該設定された設定値が登録情報に追加され、設定項目選択画面42の表示に戻るようにしても良い。その場合、登録ボタン44の表示は不要である。
上記実施形態の通常実行処理(図7)では、設定値選択画面50が表示されてから(S711またはS713)、所定時間経過するまでに設定値が選択されない場合、初期画面34に戻ると説明した。これに代えて、設定項目選択画面46に戻るようにしても良い。
またカスタム設定処理(図8)では、カスタム設定画面38が表示されてから(S810)、所定時間経過するまでに、カスタムボタン60、追加登録ボタン36のいずれもが押下されない場合、初期画面34に戻ると説明した。これに代えて、カスタム設定画面38において戻るボタン(非図示)が押下された場合に、初期画面34に戻るように構成しても良い。
またカスタム登録処理(図9)では、設定値選択画面50が表示されてから(S906)、所定時間経過するまでに設定値が選択されない場合、初期画面34に戻ると説明したが、これに代えて、機能選択画面40または設定項目選択画面46に戻るように変形しても良い。
上記実施形態の通常設定実行処理(図7)、カスタム登録処理(図9)では、機能が選択された場合、当該機能のデフォルト設定を設定値メモリ12aに設定するものとして説明した(S701,S902)。しかしながら、デフォルト設定ではなく、当該機能についてユーザが前回設定した設定値を、設定値メモリ12aに設定するように変形しても良い。この場合、設定済みの設定値が特定設定値を含むか否か、および、特定条件成立下であるか否かを判断し、特定条件成立下では設定済みの設定値及び設定項目を表示し、特定条件不成立下では特定設定値が設定されている設定項目の設定値を特定設定値ではないデフォルト設定値に変更して表示させても良い。
上記実施形態では、設定済みの設定値と組み合わせて実現することが不可能な処理内容を示す設定項目は表示させない構成としていたが、このような設定項目を表示させた状態で選択を受け付けないように変形しても良い。
上記実施形態では、通常設定実行処理(図7)の場合において、特定条件が成立していない限り、特定設定値を設定値の候補として表示させない構成としていたが、表示させた状態で特定設定値の選択を受け付けないように変形しても良い。
上記実施形態では、機能の次の階層に設定項目を設けていた。しかしながら、機能と設定項目の間の階層として、その機能の中をさらに分類した詳細機能(例えば、コピー機能の場合、詳細機能として、標準コピー、ブックコピーなど)の階層を設けてもよい。
上記実施形態の通常設定実行処理(図7)では、設定項目が選択され(S704:Yes)、その選択項目の下位階層の設定値が特定設定値を含む場合(S710:Yes)、特定条件の不成立下では(S712:No)、特定設定値を含まない設定値選択画面50を表示させるものとして説明した(S711)。これに対し、ある設定項目の設定値としてデフォルト設定値と特定設定値との2種類のみが準備されている場合には、特定条件が成立していない場合、当該設定項目を設定項目選択画面46に表示させない、または、当該設定項目の選択を受け付けないようにしても良い。
例えば、設定項目「スキャンtoPC」については、特定条件の成立下のみで設定が許可される特定設定値「オン」と、デフォルト設定値「オフ」のみが準備されているものとする。この場合には、設定済みの設定値と併用可能な設定項目を抽出した後(S702)、抽出した設定項目の中に「スキャンtoPC」が含まれる場合には、特定条件が成立しているか否かを判断し、特定条件の成立下では「スキャンtoPC」を含む設定項目選択画面46を表示させ、特定条件の不成立下では「スキャンtoPC」を含まない設定項目選択画面46を表示させるようにすれば良い。
また、上記実施形態の通常設定実行処理(図7)およびカスタム登録処理(図9)では、設定値が選択された後、設定項目選択画面46の表示に戻り、その設定項目選択画面46において登録ボタン44が押下された場合に、設定値が登録情報として登録されていた。これに対し、設定値選択画面50にも登録ボタン44を設け、その登録ボタン44の押下により登録情報を登録するようにしてもよい。
明細書に記載の形態の効果
本明細書に開示された画像処理装置によれば、画像処理装置の状態が特定条件の成立下で実現可能な処理内容を示す特定設定値については、特定条件が成立していない場合、特定設定値の設定が禁止される。一方、特定設定値を示す登録情報を登録するために、登録要求を受け付けた場合において設定値が設定される場合には、特定条件が成立しているか否かに関わらず、特定設定値の設定が許可される。よって、ユーザは、特定設定値を示す登録情報を登録するために、わざわざ特定条件を成立させるための作業を行う必要がなく、登録情報を登録する際におけるユーザの作業負担を抑制できるという効果がある。また、受け付けた登録情報が示す設定値が特定設定値を含む場合、特定設定値が示す処理内容を実現するための特定条件が成立しているかが判断され、特定設定値が示す処理内容を実現するための特定条件が成立していないと判断される場合には、エラー情報が報知される。一方、特定条件が成立していると判断される場合のみ、登録情報が示す処理内容で機能が実行される。よって、ユーザにとって操作性が良いという効果がある。
また、本明細書に開示された画像処理装置によれば、上述した効果に加え、特定条件が成立していない場合、特定設定値は設定値の候補として表示されないので、特定条件の不成立下では実現不可能な処理内容を示す特定設定値をユーザが誤って設定することを抑制でき、ユーザにとって操作性が良い。また、登録要求を受け付けた場合において設定値が設定される場合には、特定条件が成立しているか否かに関わらず、特定設定値が設定値の候補として表示されるので、ユーザは、特定設定値を示す登録情報を容易に登録できるという効果がある。
本明細書に開示された画像処理装置によれば、上述した効果に加え、登録要求を受け付けた場合において特定設定値の選択を受け付けた場合、当該特定設定値が示す処理内容を実現するための特定条件が報知されるので、選択された特定設定値が示す処理内容を実現するために必要な特定条件をユーザに認識させることができる。よって、ユーザにとって操作性が良いという効果がある。
また、本明細書に開示された画像処理装置によれば、上述した効果に加え、特定条件の報知後、当該特定条件に対応した特定設定値を設定することを確定する確定指示を受け付けた場合に特定設定値が設定されるので、ユーザに特定条件を認識させた上で、特定設定値が設定されるという効果がある。
また、本明細書に開示された画像処理装置によれば、上述した効果に加え、設定値の候補のうちいずれかが設定された後は、当該設定済みの設定値が示す処理内容と組み合わせて実現することが不可能な処理内容については、その処理内容を示す設定値の設定が禁止されるので、実現不可能な処理内容を示す組み合わせで設定値が設定されることを抑制できるという効果がある。
また、本明細書に開示された画像処理装置によれば、上述した効果に加え、実行すべき1の機能の選択を受け付けた場合であって、且つ、特定条件が成立している場合、特定条件の成立下で実現可能な処理内容を示す特定設定値が設定値の候補として表示される。すなわち、ユーザがこれから所望の処理内容で機能を実行させようとする場合において、その処理内容が特定条件の成立下で実現可能なものである場合、ユーザは、機能実行の前準備として、所望の処理内容を実現するために必要な作業を行い、特定条件を成立させる。よって、その場合には、特定設定値を設定値の候補として表示させることにより、ユーザが特定設定値を容易に選択できるようにする。さらに、登録要求を受け付けた場合、当該登録要求を受け付けるまでの間に選択を受け付けた設定値を示す登録情報が登録される。よって、ユーザは、所望の処理内容を実現するために必要な作業を行って特定条件を成立させた状態で、ついでに、特定設定値を示す登録情報を登録でき、操作性が良いという効果がある。
また、本明細書に開示された画像処理装置によれば、上述した効果に加え、登録情報が特定設定値を示す場合、当該特定設定値が示す処理内容または特定条件を示す特定情報が識別画像と共に表示されるので、登録情報に対応した処理内容または当該処理内容を実現するために必要な特定条件を、ユーザに視認させることができるという効果がある。