JP6067605B2 - パターン形成方法 - Google Patents

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Description

本発明は、パターン形成方法に関し、特に、所定のハジキ速度でパターン形成可能なパターン形成方法に関する。
近年、電子回路の配線、および基板上に電気配線パターン等の微細パターンを形成する技術が注目されている。この微細パターンの形成には、例えば、インクジェット方式の液体吐出ヘッド(インクジェットヘッド)が用いられる。この場合、金属粒子または樹脂粒子を拡散させた液体をインクジェットヘッドから打滴してパターンを描画し、加熱等により硬化させて、電気配線パターンが形成される。
また、現在、PETまたはPEN等のフレキシブルな基板(支持体)上に撥液性の膜を形成し、その上に、上述の電子回路の配線および基板上に電気配線パターン等の微細パターンを形成することもなされている。
特許文献1には、基板上に形成された、親疎水性変換機能を有する第1の膜において、パターンが形成されるパターン形成領域を親疎水性に変化させる工程と、パターン形成領域に第2の膜を形成し、第2の膜が乾燥してパターンを形成する工程とを有し、第2の膜は厚さが0.1μmになったときの粘度が3mPa・s以下であるパターン形成方法が記載されている。
特許文献1では、パターンとなる第2の膜の厚さが0.1μmのときの粘度を規定することにより、ハジキ時間を2秒程度にできるとされている。
特開2013−105797号公報
上述のように、特許文献1では、静的な解析により、ハジく、ハジかないを検証しており、ハジキ時間について言及されているものの、パターン形成の際の動的な解析がなされていない。
本発明の目的は、前述の従来技術に基づく問題点を解消し、パターン形成の際の動的な解析を行い、所定のハジキ速度でパターン形成可能なパターン形成方法を提供することにある。
上記目的を達成するために、本発明は、表面に親水部と疎水部を有する基板の表面にパターンを形成するパターン形成方法であって、基板の表面に親水性溶液で1.2μm以上6.2μm以下の厚さを有する液膜を形成する工程を有し、親水性溶液が塗布された状態において、親水部と疎水部との表面間力差が0.0055Pa以上であり、親水性溶液は、粘度が2.6mPa・s以下であることを特徴とするパターン形成方法を提供するものである。
表面間力差は、0.0055Pa以上0.5Pa以下であることが好ましい。
水部は、幅が80μm以下の直線状に形成されており、親水性溶液の粘度は2.11mPa・s以下であることが好ましい。
さらに、基板の表面は、親疎水性変換機能を有し、表面に親水部と疎水部を形成する工程を有してもよい。
また、基板の表面の疎水部上の液膜の表面間力が0.006Pa以上であり、かつ、液膜のハジキ開始点の出現頻度が1ヶ/40mm /分以上であることが好ましい。
本発明によれば、所定のハジキ速度、例えば、18μm/s以上のハジキ速度でパターンを形成することができる。
(a)は、ハジキの先端部分を示す模式図であり、(b)は、ハジキの解析モデルを示す模式的斜視図である。 親水領域で疎水領域が挟まれた状態での液面の変化を示す液膜断面プロファイルである。 (a)は、本発明の実施形態のパターン形成方法を説明するための模式的斜視図であり、(b)は、本発明の実施形態のパターン形成方法で形成されたパターンを説明するための模式的斜視図である。 最大ハジキ速度と表面間力差との関係を示すグラフである。 膜厚とハジキ速度の関係を示すグラフである。 最大ハジキ速度と親水性溶液の粘度との関係を示すグラフである。 ハジキ個数と疎水部上液膜の表面間力との関係を示すグラフである。 (a)〜(c)は、ハジキの進行を時系列で示す模式図である。 (a)〜(d)は、本発明の実施形態のパターン形成方法を工程順に示す模式的斜視図である。
以下に、添付の図面に示す好適実施形態に基づいて、本発明のパターン形成方法を詳細に説明する。
本発明者が、表面間力のパターンに倣ってハジキ形状を制御する方法について鋭意実験研究した結果、以下に詳細に説明する所定のハジキ速度でパターンを形成するための知見を得た。本発明は、この知見に基づいてなされたものである。
具体的には、プリンテッドエレクトロニクスの実用化のためには、高精細な配線、電極パターンを作成することが必須である。特にインクジェットおよび種々の印刷方式で幅が10μm以下の精度を実現することは難しく、それを補う方法として、疎水性のポリマー塗膜にUV照射等のパターン描画を行い親水化して、その上に塗設または印刷された親水性インクをハジキによってパターン化する親疎水パターニングという技術が開発された。
しかしながら、ハジキの速度は製品のタクトタイムを左右するので、十分速くなければ実用に供せない。一般的な枚葉生産のタクトタイムをストライプのハジキ進行速度に換算すると18μm/sが必要な速度である。また、このような撥水現象が起こる一般的な液膜厚は0.1μmといわれているが、本発明者は、厚さ6.2μmの液膜を18μm/s以上でハジかせる条件を実験によって得た。さらに、ハジキ開始点の出現頻度を1ヶ/40mm/分以上とすることにより、迅速なパターニングを起こす条件を見出した。
従来より、ハジキによるパターニング技術は多くの材料技術者によって研究が行われ、金属粒子分散物等の親水性インクが撥水剤表面で示すべき好ましい接触角等の開示が行われてきた。しかしながら、現実の産業では、特にロールツーロールプロセスにおいてはパターニングの速度が遅いと致命的に生産効率を落としてしまう。
このような観点から、本発明者はパターニングの速度についての実験的検討を行い、以下の2つの観点で、迅速なパターニングの方法を見出した。これらは、第1に、親水部固体上の液膜と疎水部固体上の液膜の間に働く表面間力の差を大きくすることにより、疎水部上の液膜を親水部側に排除する効果を得る。第2に、疎水部上の液膜に働く表面間力を薄膜化する方向である値より大きくすることで、不安定化を促進し、多数の点で同時にハジキが始まるようにする。このようなそれぞれ別な原理に基づいた方法である。
表面間力差を利用する方法については、図1(a)に示すようなハジキの先端部分100を、図1(b)に示すような模式化したモデル102を用いて検討した。図1(b)に示すモデル102にあるように、ストライプ状の疎水部104上の液膜106は表面間力によって膜内圧力が高く、疎水部104の上の液膜106は表面間力が低い。このような場合、よく知られた潤滑理論によって液膜内に疎水部104中心から親水部に向かう流れ(図1(b)符号P参照)が生じる。このとき、流れの推進力となる圧力差は表面間力Πの差(ΔΠ)であり、下記式(1)のように表される。なお、図1(b)のモデル102において、符号108は図1(a)のハジキの先端部分100に相当する。
上記式(1)において、aHWは親水部上の液膜に働く表面間力を表すパラメーターであり、親水部のハマカー定数である。親水部のハマカー定数aHWは下記式(2)で表される。aHDWは疎水部上の液膜に働く表面間力のパラメーターであり、疎水部のハマカー定数である。疎水部のハマカー定数aHDWは下記式(3)で表される。
hは液膜の厚さである。ここで、疎水部のハマカー定数aHDWと親水部のハマカー定数aHWは、それぞれ液物性と疎水性固体物性、液物性と親水性固体物性に関連付けられているので、表面間力差ΔΠは、液物性、疎水性固体物性、親水性固体物性の3因子に依存している。
上述の観点から、実験で測定したハジキの進行速度をそれぞれの表面間力の差で整理すると、ハジキ速度は表面間力差(ΔΠ)に比例するという結果が得られた。
疎水部ハジキ性を利用する方法については、一般的に、親水−疎水パターンでなく、疎水部のみの平面に親水インクの液膜を均一に塗布してもハジキは発生する。この場合、場所はランダムではあるが、固体表面ではあちこちに撥水核が生じ、それが成長して水玉と露出した表面に分かれる。ここで、撥水剤でストライプ状の疎水部を形作っている場合の理論解析の結果を図2に示す。図2に示す液膜断面プロファイルが表しているように、当初水平であった液面Cは時間とともに変化し、疎水部中央は薄膜化していく(液面C参照)。この場合、液膜の表面のくぼみが生成するかしないかは主に液膜内の表面間力に依存していると考えられ、ハジキ核の発生頻度の実測値をこの考え方にしたがって整理したところ、種々の条件であっても、時間当たり、基準面積あたりのハジキ核発生頻度は疎水部上の液膜に働く表面間力(ΠDW)に依存することがわかった。なお、疎水部上の液膜に働く表面間力(ΠDW)は、下記式(4)で表される。
また、図2に示すように、十分時間が経過した後は、液面Cに示すように、液の疎水部からの排除には、それを吸収する親水部の濡れ性が関与するので、疎水部のみならず親水部の表面間力も寄与する。
以上のように、親水部固体上の液膜と疎水部固体上の液膜の間に働く表面間力の差を大きくすることにより、疎水部上の液膜を親水部側に排除する効果を得ることができる。
疎水部上の液膜に働く表面間力を薄膜化する方向である値より大きくすることで、不安定化を促進し、多数の点で同時にハジキが始まるようにすることができる。これらのいずれか、または両方用いることで迅速なパターニングが達成できることを見出した。
以下、本発明の実施形態のパターン形成方法について具体的に説明する。
図3(a)は、本発明の実施形態のパターン形成方法を説明するための模式的斜視図であり、(b)は、本発明の実施形態のパターン形成方法で形成されたパターンの一例を示す模式的斜視図である。
図3(a)に示すように、基板10の表面10aに、親水部12aと疎水部12bとを設ける。親水部12aは、例えば、基板10の表面10aに、UVオゾン処理を施すことで形成することができる。疎水部12bは、例えば、基板10の表面10aに撥水剤を塗布することで形成することができる。
親水部12aと疎水部12bが設けられた基板10の表面10aに、親水性の溶液、例えば、水系のインクを塗布し、厚さhの液膜14を形成する。液膜14は、親水部12aと疎水部12bとにまたがる。液膜14には親水部12aに対応する親水領域14aと、疎水部12bに対応する疎水領域14bが生じる。液膜14と親水部12aとの表面間力Πは上記式(1)で表される。液膜14と疎水部12bとの表面間力ΠWDは上記式(1)で表される。
疎水部12bに対応する疎水領域14bの液体が表面間力により除去される。これにより、図3(b)に示すように、疎水部12bが露出し、基板10上の液膜14で液体が除去された領域である除去部16と、除去されていない領域である残存部18が生じる。
本発明の実験検討では、基板に、種々のプラスチックフィルムを用い、プラスチックフィルム上にストライプ状に油溶性撥水インクを印刷して親水部と疎水部とを形成した。乾燥後全面に親水性インクをバー塗布して液膜を形成し、自発的なハジキによりパターンがどの程度できたかを評価する手法を用いて、以下に示すように、表面間力差とハジキ速度の関係、液膜の厚さhとハジキ速度の関係、液膜の粘度とハジキ速度の関係を求めた。
本発明では、疎水部12bの幅Wを変えて実験したところ、疎水部12bと液膜14との表面間力(ΠDW)と親水部12aと液膜14との表面間力(Π)との差、すなわち、表面間力差(ΔΠ)が、0.0055Pa以上であれば、ハジくことはもとより、ハジキ速度を加速することができ、図3(a)に示す疎水部12bに対応する疎水領域14bの液体を、図4に示すように最大ハジキ速度が18μm/s以上でハジくことができ、図3(b)に示す除去部16が形成されることを確認した。なお、図4では液膜14の厚さhを6.2μmとした。図4の最大ハジキ速度とは、図3(a)に示す疎水部12bが伸びる方向Dにおいて、液膜14の疎水領域14bの液体がハジかれる速度のうち、最大の速度のことである。
表面間力差が0.0055Pa以上である場合、液膜14の厚さhについて調べたところ、図5に示すように、厚さhが6.2μm以下であれば、ハジキ速度が18μm/s以上となることを確認している。なお、図5に示すように、ハジキ速度が10μm/s以上であれば12μm程度の厚さhにできる。図5では、疎水部の幅は80μmである。
表面間力差が0.0055Pa以上である場合、液膜14の粘度について調べたところ、図6に示すように、粘度が2.6mPa・s以下であれば、最大ハジキ速度が18μm/s以上となることを確認している。図6では、疎水部の幅は80μmである。
また、ハジキ開始点の出現頻度を1ヶ/40mm/分以上とすることにより、迅速なパターニングを起こす条件を見出している。この場合、図7に示すように、ハジキ数と疎水部上の液膜の表面間力との間には関係があり、疎水部上の液膜の表面間力が0.006Pa以上であると、ハジキ開始点の出現頻度が1ヶ/40mm/分以上になる。図7では、疎水部の幅は80μmである。
以上のように、本発明者が、パターン形成の際の動的な解析を行ったところ、厚さが6.2μm以下の親水性溶液の液膜が形成された状態において、親水部と疎水部との表面間力差が0.0055Pa以上、親水性溶液の粘度が2.6mPa・s以下であれば、18μm/s以上ハジキ速度で、液体をハジキ、パターンを形成することができる。
以下、実験検討に用いた、基板、疎水部を形成するための疎水インク、親水インクについて説明する。なお、疎水インクは、撥水インクとも呼ばれるものである。
基板10には、PETフィルム(東レ社製ルミラー(登録商標))を用いた。表面エネルギーを変えるために、UVオゾン処理を、処理時間を変えて施した。これにより、上記支持体1〜3を得た。なお、UVオゾン処理ではJelight 社(米国)製UVOクリーナー144X(28mW/cm)を用いた。塗布実験または測定を2時間〜3時間後に行えるようにした。
疎水部には、疎水インクを用いた。疎水インクについては、撥水剤はポリマー添加剤として供給されているものなので、油溶性ポリマーとしてハードコート剤として用いられるメタクリル酸系コポリマーA(固形分40.5%)、それをMMPG−Ac(1−メトキシ−2プロピルアセテート)で27%に希釈した低濃度ポリマーAおよびその混合物を用いて、粘度を3水準用意し、印刷画質を評価し、粘度は1075mPa.sを目標とした。混合物の処方を下記表1に示す。
撥水剤としてはDIC社のフッ素系界面活性剤(添加用防汚剤)メガファックRS−75(対固形分2.0%)を主に、一部にそれの高濃度添加物(5%)を用いた。高濃度添加物(5%)が入っていないものが疎水インク1であり、高濃度添加物(5%)が入っているものが疎水インク2である。
疎水部は、グラビアオフセット機(イギリス RK Print Coat Instruments社のK プリンティングプルーファー)を用い、PETフィルム表面にストライプ印刷を行うことで形成した。
親水インクには、ハジキ現象を観察するため、下記表2に示す組成の水系インク(親水インク1〜3)を用いた。水系インク(親水インク1〜3)は、表面張力を変えるためのオルフィンE1010(品名:日信化学工業社製)の量が異なる以外は、同じ組成である。また、水系インク(親水インク1〜3)の表面エネルギー成分γ 、γ nd、γの値は上記表4に示す通りである。インク面の接触角測定では、水系インク(親水インク1〜3)をバー塗布し同様の乾燥後に測定した。なお、親水インク1〜3には、ハジキの観察を容易にするために、色素として青色1号を含有させた。
ストライプ印刷を終えたPETフィルム(サンプル)に対して、#3.3のワーヤーバーで0.1cc程度の液を均一に塗布した。このバーの標準wet塗布量は6.2cc/mである。そのあと、ハジキが発生し、良好な条件の場合には非印刷部をきれいに埋めるようにインクのパターンが生成する。
ハジキ速度については、以下のようにして求めた。
ハジキ速度は、作製したサンプルに対して、親水インクの塗布後、速やかに、キーエンス社製デジタルマイクロスコープVHX100(対物倍率設定50倍、画像上の倍率は94.5倍)の視野に移動して、既に撥水している箇所の継続観察を行い、ハジキ速度(μm/sec)を計算した。具体的には、疎水部が形成されたPETフィルム上の水系インク(親水インク1〜3)の液膜を、カメラの最短オートタイマーである15秒毎の自動撮影で11枚撮影し、その画像からハジキ部先端位置を各時刻で読み取って、ハジキ速度(μm/sec)を計算した。
例外は、粘度の高い場合で、理論計算上、粘度に比例して所要時間が長くなることが予想されたので、最大120秒まで間隔を長くした。次に、ハジキ速度の中の最大値を代表ハジキ速度として、要因効果の分析に用いた。
ハジキの進行については、まず、図8(a)に示すように疎水部の直上に薄層化したハジキ部15が生成する。時間が経過すると、図8(b)、(c)に示すように、ハジキ部15はその長さが、疎水部12bが伸びる方向Dに伸長する。この伸長速度がハジキ速度である。なお、ハジキ部15は長さを増すように増大するが、ハジキ部15の伸長速度は最大値があり、いずれ低下する。
本発明では、表面間力差(ΔΠ)を規定しているが、表面間力(Π)は、以下のようにして求めることができる。
まず、疎水部を形成するための撥水インクの表面エネルギー測定について説明する。
疎水部(撥水インク)の全表面エネルギーをγDW、それの分散力成分をγ DW、非分散力成分をγnd DWとすると、拡張Fowkes式が下記式(5)のように成り立つ。Owens等(D. K. Owens and R. C. Wendt, J. Appl. Polym. Sci., 13, 1741(1969).)は下記式(5)とYoungの式から、水と沃化メチレンの接触角θを測定することで、固体の表面エネルギーの分散力、非分散力を容易に計算できることを示した(下記式(6)参照)。
ここで、下付き添字Lは試験液体、下付き添字DWは疎水部(撥水剤固体)、上付き添字dは分散力成分、上付き添字ndは非分散力成分を表わす。上記式(6)で2種類の液体に対し、γ、γ 、γnd を文献等から得て、接触角θを測定すると二つの未知数√γ DW、√γnd DWが求められる。ここで実際に用いた値を表3に示す。この結果、解くべき式は下記式(7)であり、γnd MI=0のため簡単に解けた。
液体の表面エネルギー成分も固体と同じ手法で計算できるが、分散力成分と非分散力成分の和が通常の測定法による表面張力値から大きく離れることがないように材料、計算方法とも多少の工夫が必要であった。種々の表面エネルギーがわかっているプラスチック基板に対する親水インクの接触角測定を行い、データーの整合性のよいアクリル−ポリプロの組合せのみを採用した。以下に計算に用いた式を下記式(8)、(9)に示す。
上記式(8)と(9)は2元連立方程式なので解けるが非線形のため工夫が必要である。上記式(10)のγは別途表面張力計で測った値があるので、仮にその値を使って単純な線形連立方程式で解が求められる。その後、そのγ 、γnd の値を用いてγとして繰り返し計算が可能であった。ここで係数と計算の結果を、下記式(11)、(12)に示す。
次に、ハマカー定数の算出方法について説明する。
実験で使用した材料の表面エネルギー測定値から、親水部、疎水部それぞれの表面のハマカー定数を推算し、それと種々のハジキ速度の相関を検討した。ここでハマカー定数推算に用いたのは、Sharma等によって提案された下記式(13)であるが、これは非分散力成分項を用いていないので仮説的であることに注意する必要がある。下記式(13)をそれぞれの領域に適用する。すなわち、上記式(2)、(3)を用いて親水部、疎水部それぞれの表面のハマカー定数を求める。なお、ハマカー定数の差は、下記式(14)で表される。
一般的に、表面間力Πは下記式(15)で表され、ハマカー定数の異なる親水部、疎水部の間の表面間力差ΔΠは、下記式(16)で表される。この式(16)は、上記式(1)と同じである。
ここで、親水部と疎水部の液膜の厚さhは同じであるため、ハマカー定数の差Δaと表面間力差ΔΠは比例関係にあるが、表面間力Πで考えることによって、液膜の厚みhによらず普遍的な議論ができる。
上記式(15)をそれぞれの領域に適用し、各条件について、親水部のハマカー定数aHWを上記式(2)によって計算し、疎水部のハマカー定数aHDWを上記式(3)によって計算する。そして、表面間力差ΔΠを計算する。表面間力差ΔΠとハジキ速度をプロットした。最大を示したハジキ速度を表面間力差ΔΠに対してプロットしたのが上述の図4である。図4に示すように、表面間力差ΔΠが大きいとハジキやすいだけではなく、そのハジキ速度は比例して大きくなる。また、疎水部の幅に関し、最大ハジキ速度に関しては大きな差異がない。
実験検討に用いた基板(PET支持体)の表面エネルギーの測定結果を下記表4に、疎水部の表面エネルギーの測定結果を下記表5に、親水インクの表面エネルギーの測定結果を下記表6に示す。
なお、本発明では、表面間力差は0.0055Pa以上であり、その上限値は特に限定されるものではないが、表面間力の調整等の都合、その上限値は0.5Pa以下であることが好ましい。
また、厚さhについても6.2μm以下としており、その下限値は特に限定されるものではないが、本発明では1.2μmであることが好ましい。なお、上述のように、撥水現象が起こる一般的な液膜厚は0.1μmといわれているが、本発明では、一般的な知見に比して遥かに厚くとも18μm/s以上のハジキ速度でパターン形成が可能である。
疎水部に関し、幅Wが80μm以下の直線状に形成されたものである場合、親水性溶液の粘度は2.11mPa・s以下であることが好ましい。これは、図6に示すように、疎水部の幅が80μmで、粘度が2.11mPa・s以下であれば、ハジキ速度を早くすることができ、より速いハジキ速度でパターン形成が可能である。
次に、パターン形成方法について具体的に説明する。
図9(a)〜(d)は、本発明の実施形態のパターン形成方法を工程順に示す模式的斜視図である。
なお、図9(a)〜(d)において、図3(a)、(b)と同一構成物には、同一符号を付して、その詳細な説明は省略する。
まず、図9(a)に示す基板10を用意する。この基板10は、特に限定されるものではなく、剛性の高い基板でも、可撓性を有する基板であってもよい。基板10には、例えば、樹脂フィルムを用いることができる。
樹脂フィルムとしては、例えば、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンナフタレート(PEN)変性ポリエステル等のポリエステル系樹脂フィルム、ポリエチレン(PE)樹脂フィルム、ポリプロピレン(PP)樹脂フィルム、ポリスチレン樹脂フィルム、環状オレフィン系樹脂等のポリオレフィン類樹脂フィルム、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン等のビニル系樹脂フィルム、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)樹脂フィルム、ポリサルホン(PSF)樹脂フィルム、ポリエーテルサルホン(PES)樹脂フィルム、ポリカーボネート(PC)樹脂フィルム、ポリアミド樹脂フィルム、ポリイミド樹脂フィルム、アクリル樹脂フィルム、トリアセチルセルロース(TAC)樹脂フィルム等を挙げることができる。
基板10の表面10aに、例えば、疎水部12bを直線状に形成し、親水部12aと疎水部12bにわける。図9(a)では疎水部12bがストライプ状に形成されており、最終的にストライブ状のパターンが形成される。
疎水部12bの形成方法は、特に限定されるものではなく、疎水インクを塗布して形成してもよい。この場合、グラビア印刷等の各種の印刷方法を用いることができる。
親水部12aは、基板10の表面10aになる。このため、表面エネルギーを変えるためにUVオゾン処理等の表面処理を基板10の表面10aに施しておいてもよい。
これ以外にも、基板10の表面10aに所定の波長の光、例えば、紫外光(UV光)により、親水性の程度が変化する機能を有する撥水剤を塗布しておく。そして、親水部12aとなる領域に紫外光(UV光)を照射して、基板10の表面10aに親水部12aと疎水部12bを形成してもよい。
なお、親水性の程度が変化する機能とは、例えば、親疎水性変換機能のことである。親水性の程度が変化する機能を有する撥水剤としては、光により親水性の程度が変わる公知のものを用いることができる。また、親水性の程度が変化する機能を有する撥水剤としては、光により親水性の程度が変わるものに限定されるものではない。
次に、図9(b)に示すように、基板10の表面10aに、表面間力差が0.0055Pa以上、粘度が2.6mPa・s以下となる物性値を有する親水性溶液を用いて、6.2μm以下の厚さhの液膜14を形成する。なお、親水性溶液には、例えば、上述の親水インクのように水系インクを用いることができるが、これに限定されるものではない。親水性溶液は、上述の物性値を有するものであれば、水系インク以外のインクも適宜用いることができる。
液膜14の形成方法は、特に限定されるものではなく、例えば、厚さを均一にできることから、ワイヤーバーを用いて形成される。これ以外にも、装置コスト、生産コスト等が低いインクジェット法を用いる形成することもできる。
液膜14の形成後、図9(c)に示すように、疎水部12bに対応する疎水領域14bに、薄層化したハジキ部15が生成する。このハジキ部15は、液膜14が上述のように本発明の条件を満たしており、時間経過とともに方向Dに伸長する。
これにより、図9(d)に示すように、基板10上の液膜14で液体が除去された除去部16と、除去されていない残存部18が生じ、疎水部12bに応じたパターンが形成される。図9(d)に示す例では、ストライブ状のパターンが形成される。このように、疎水部12bに応じたパターンが形成されるので、疎水部12bの形成領域を変えることで、種々のパターンを形成することができる。
また、液膜14に、例えば、導電性粒子が含まれるものを用いた場合、残存部18を焼成して含まれる液体を蒸発させることで残存部18を、導電性を有するものとし、残存部18を配線または電極として利用することができる。パターンを変えることで、配線または電極の形状等を適宜変えることが可能である。しかも、ハジキ部15のハジキ速度は18μm/s以上であることから、生産性も確保されている。
本発明は、基本的に以上のように構成されるものである。以上、本発明のパターン形成方法について詳細に説明したが、本発明は上記実施形態に限定されず、本発明の主旨を逸脱しない範囲において、種々の改良または変更をしてもよいのはもちろんである。
10 基板
10a 表面
12a 親水部
12b 疎水部
14 液膜
14a 親水領域
14b 疎水領域
15 ハジキ部
16 除去部
18 残存部

Claims (5)

  1. 表面に親水部と疎水部を有する基板の前記表面にパターンを形成するパターン形成方法であって、
    前記基板の前記表面に親水性溶液で1.2μm以上6.2μm以下の厚さを有する液膜を形成する工程を有し、
    前記親水性溶液が塗布された状態において、前記親水部と前記疎水部との表面間力差が0.0055Pa以上であり、
    前記親水性溶液は、粘度が2.6mPa・s以下であることを特徴とするパターン形成方法。
  2. 前記表面間力差は、0.0055Pa以上0.5Pa以下である請求項1に記載のパターン形成方法。
  3. 前記疎水部は、幅が80μm以下の直線状に形成されており、前記親水性溶液の粘度は2.11mPa・s以下である請求項1又は2に記載のパターン形成方法。
  4. 前記基板の前記表面は、親疎水性変換機能を有し、前記表面に親水部と疎水部を形成する工程を有する請求項1〜のいずれか1項に記載のパターン形成方法。
  5. 前記基板の前記表面の疎水部上の液膜の表面間力が0.006Pa以上であり、かつ、前記液膜のハジキ開始点の出現頻度が1ヶ/40mm /分以上である請求項1〜4のいずれか1項に記載のパターン形成方法。
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