JP6067605B2 - パターン形成方法 - Google Patents
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Description
また、現在、PETまたはPEN等のフレキシブルな基板(支持体)上に撥液性の膜を形成し、その上に、上述の電子回路の配線および基板上に電気配線パターン等の微細パターンを形成することもなされている。
特許文献1では、パターンとなる第2の膜の厚さが0.1μmのときの粘度を規定することにより、ハジキ時間を2秒程度にできるとされている。
疎水部は、幅が80μm以下の直線状に形成されており、親水性溶液の粘度は2.11mPa・s以下であることが好ましい。
さらに、基板の表面は、親疎水性変換機能を有し、表面に親水部と疎水部を形成する工程を有してもよい。
また、基板の表面の疎水部上の液膜の表面間力が0.006Pa以上であり、かつ、液膜のハジキ開始点の出現頻度が1ヶ/40mm 2 /分以上であることが好ましい。
本発明者が、表面間力のパターンに倣ってハジキ形状を制御する方法について鋭意実験研究した結果、以下に詳細に説明する所定のハジキ速度でパターンを形成するための知見を得た。本発明は、この知見に基づいてなされたものである。
しかしながら、ハジキの速度は製品のタクトタイムを左右するので、十分速くなければ実用に供せない。一般的な枚葉生産のタクトタイムをストライプのハジキ進行速度に換算すると18μm/sが必要な速度である。また、このような撥水現象が起こる一般的な液膜厚は0.1μmといわれているが、本発明者は、厚さ6.2μmの液膜を18μm/s以上でハジかせる条件を実験によって得た。さらに、ハジキ開始点の出現頻度を1ヶ/40mm2/分以上とすることにより、迅速なパターニングを起こす条件を見出した。
このような観点から、本発明者はパターニングの速度についての実験的検討を行い、以下の2つの観点で、迅速なパターニングの方法を見出した。これらは、第1に、親水部固体上の液膜と疎水部固体上の液膜の間に働く表面間力の差を大きくすることにより、疎水部上の液膜を親水部側に排除する効果を得る。第2に、疎水部上の液膜に働く表面間力を薄膜化する方向である値より大きくすることで、不安定化を促進し、多数の点で同時にハジキが始まるようにする。このようなそれぞれ別な原理に基づいた方法である。
hは液膜の厚さである。ここで、疎水部のハマカー定数aHDWと親水部のハマカー定数aHWは、それぞれ液物性と疎水性固体物性、液物性と親水性固体物性に関連付けられているので、表面間力差ΔΠは、液物性、疎水性固体物性、親水性固体物性の3因子に依存している。
以上のように、親水部固体上の液膜と疎水部固体上の液膜の間に働く表面間力の差を大きくすることにより、疎水部上の液膜を親水部側に排除する効果を得ることができる。
疎水部上の液膜に働く表面間力を薄膜化する方向である値より大きくすることで、不安定化を促進し、多数の点で同時にハジキが始まるようにすることができる。これらのいずれか、または両方用いることで迅速なパターニングが達成できることを見出した。
図3(a)は、本発明の実施形態のパターン形成方法を説明するための模式的斜視図であり、(b)は、本発明の実施形態のパターン形成方法で形成されたパターンの一例を示す模式的斜視図である。
図3(a)に示すように、基板10の表面10aに、親水部12aと疎水部12bとを設ける。親水部12aは、例えば、基板10の表面10aに、UVオゾン処理を施すことで形成することができる。疎水部12bは、例えば、基板10の表面10aに撥水剤を塗布することで形成することができる。
疎水部12bに対応する疎水領域14bの液体が表面間力により除去される。これにより、図3(b)に示すように、疎水部12bが露出し、基板10上の液膜14で液体が除去された領域である除去部16と、除去されていない領域である残存部18が生じる。
基板10には、PETフィルム(東レ社製ルミラー(登録商標))を用いた。表面エネルギーを変えるために、UVオゾン処理を、処理時間を変えて施した。これにより、上記支持体1〜3を得た。なお、UVオゾン処理ではJelight 社(米国)製UVOクリーナー144X(28mW/cm2)を用いた。塗布実験または測定を2時間〜3時間後に行えるようにした。
撥水剤としてはDIC社のフッ素系界面活性剤(添加用防汚剤)メガファックRS−75(対固形分2.0%)を主に、一部にそれの高濃度添加物(5%)を用いた。高濃度添加物(5%)が入っていないものが疎水インク1であり、高濃度添加物(5%)が入っているものが疎水インク2である。
疎水部は、グラビアオフセット機(イギリス RK Print Coat Instruments社のK プリンティングプルーファー)を用い、PETフィルム表面にストライプ印刷を行うことで形成した。
ストライプ印刷を終えたPETフィルム(サンプル)に対して、#3.3のワーヤーバーで0.1cc程度の液を均一に塗布した。このバーの標準wet塗布量は6.2cc/m2である。そのあと、ハジキが発生し、良好な条件の場合には非印刷部をきれいに埋めるようにインクのパターンが生成する。
ハジキ速度は、作製したサンプルに対して、親水インクの塗布後、速やかに、キーエンス社製デジタルマイクロスコープVHX100(対物倍率設定50倍、画像上の倍率は94.5倍)の視野に移動して、既に撥水している箇所の継続観察を行い、ハジキ速度(μm/sec)を計算した。具体的には、疎水部が形成されたPETフィルム上の水系インク(親水インク1〜3)の液膜を、カメラの最短オートタイマーである15秒毎の自動撮影で11枚撮影し、その画像からハジキ部先端位置を各時刻で読み取って、ハジキ速度(μm/sec)を計算した。
例外は、粘度の高い場合で、理論計算上、粘度に比例して所要時間が長くなることが予想されたので、最大120秒まで間隔を長くした。次に、ハジキ速度の中の最大値を代表ハジキ速度として、要因効果の分析に用いた。
まず、疎水部を形成するための撥水インクの表面エネルギー測定について説明する。
疎水部(撥水インク)の全表面エネルギーをγDW、それの分散力成分をγd DW、非分散力成分をγnd DWとすると、拡張Fowkes式が下記式(5)のように成り立つ。Owens等(D. K. Owens and R. C. Wendt, J. Appl. Polym. Sci., 13, 1741(1969).)は下記式(5)とYoungの式から、水と沃化メチレンの接触角θを測定することで、固体の表面エネルギーの分散力、非分散力を容易に計算できることを示した(下記式(6)参照)。
実験で使用した材料の表面エネルギー測定値から、親水部、疎水部それぞれの表面のハマカー定数を推算し、それと種々のハジキ速度の相関を検討した。ここでハマカー定数推算に用いたのは、Sharma等によって提案された下記式(13)であるが、これは非分散力成分項を用いていないので仮説的であることに注意する必要がある。下記式(13)をそれぞれの領域に適用する。すなわち、上記式(2)、(3)を用いて親水部、疎水部それぞれの表面のハマカー定数を求める。なお、ハマカー定数の差は、下記式(14)で表される。
上記式(15)をそれぞれの領域に適用し、各条件について、親水部のハマカー定数aHWを上記式(2)によって計算し、疎水部のハマカー定数aHDWを上記式(3)によって計算する。そして、表面間力差ΔΠを計算する。表面間力差ΔΠとハジキ速度をプロットした。最大を示したハジキ速度を表面間力差ΔΠに対してプロットしたのが上述の図4である。図4に示すように、表面間力差ΔΠが大きいとハジキやすいだけではなく、そのハジキ速度は比例して大きくなる。また、疎水部の幅に関し、最大ハジキ速度に関しては大きな差異がない。
また、厚さhについても6.2μm以下としており、その下限値は特に限定されるものではないが、本発明では1.2μmであることが好ましい。なお、上述のように、撥水現象が起こる一般的な液膜厚は0.1μmといわれているが、本発明では、一般的な知見に比して遥かに厚くとも18μm/s以上のハジキ速度でパターン形成が可能である。
疎水部に関し、幅Wが80μm以下の直線状に形成されたものである場合、親水性溶液の粘度は2.11mPa・s以下であることが好ましい。これは、図6に示すように、疎水部の幅が80μmで、粘度が2.11mPa・s以下であれば、ハジキ速度を早くすることができ、より速いハジキ速度でパターン形成が可能である。
図9(a)〜(d)は、本発明の実施形態のパターン形成方法を工程順に示す模式的斜視図である。
なお、図9(a)〜(d)において、図3(a)、(b)と同一構成物には、同一符号を付して、その詳細な説明は省略する。
樹脂フィルムとしては、例えば、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンナフタレート(PEN)変性ポリエステル等のポリエステル系樹脂フィルム、ポリエチレン(PE)樹脂フィルム、ポリプロピレン(PP)樹脂フィルム、ポリスチレン樹脂フィルム、環状オレフィン系樹脂等のポリオレフィン類樹脂フィルム、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン等のビニル系樹脂フィルム、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)樹脂フィルム、ポリサルホン(PSF)樹脂フィルム、ポリエーテルサルホン(PES)樹脂フィルム、ポリカーボネート(PC)樹脂フィルム、ポリアミド樹脂フィルム、ポリイミド樹脂フィルム、アクリル樹脂フィルム、トリアセチルセルロース(TAC)樹脂フィルム等を挙げることができる。
疎水部12bの形成方法は、特に限定されるものではなく、疎水インクを塗布して形成してもよい。この場合、グラビア印刷等の各種の印刷方法を用いることができる。
親水部12aは、基板10の表面10aになる。このため、表面エネルギーを変えるためにUVオゾン処理等の表面処理を基板10の表面10aに施しておいてもよい。
これ以外にも、基板10の表面10aに所定の波長の光、例えば、紫外光(UV光)により、親水性の程度が変化する機能を有する撥水剤を塗布しておく。そして、親水部12aとなる領域に紫外光(UV光)を照射して、基板10の表面10aに親水部12aと疎水部12bを形成してもよい。
なお、親水性の程度が変化する機能とは、例えば、親疎水性変換機能のことである。親水性の程度が変化する機能を有する撥水剤としては、光により親水性の程度が変わる公知のものを用いることができる。また、親水性の程度が変化する機能を有する撥水剤としては、光により親水性の程度が変わるものに限定されるものではない。
液膜14の形成方法は、特に限定されるものではなく、例えば、厚さを均一にできることから、ワイヤーバーを用いて形成される。これ以外にも、装置コスト、生産コスト等が低いインクジェット法を用いる形成することもできる。
これにより、図9(d)に示すように、基板10上の液膜14で液体が除去された除去部16と、除去されていない残存部18が生じ、疎水部12bに応じたパターンが形成される。図9(d)に示す例では、ストライブ状のパターンが形成される。このように、疎水部12bに応じたパターンが形成されるので、疎水部12bの形成領域を変えることで、種々のパターンを形成することができる。
また、液膜14に、例えば、導電性粒子が含まれるものを用いた場合、残存部18を焼成して含まれる液体を蒸発させることで残存部18を、導電性を有するものとし、残存部18を配線または電極として利用することができる。パターンを変えることで、配線または電極の形状等を適宜変えることが可能である。しかも、ハジキ部15のハジキ速度は18μm/s以上であることから、生産性も確保されている。
10a 表面
12a 親水部
12b 疎水部
14 液膜
14a 親水領域
14b 疎水領域
15 ハジキ部
16 除去部
18 残存部
Claims (5)
- 表面に親水部と疎水部を有する基板の前記表面にパターンを形成するパターン形成方法であって、
前記基板の前記表面に親水性溶液で1.2μm以上6.2μm以下の厚さを有する液膜を形成する工程を有し、
前記親水性溶液が塗布された状態において、前記親水部と前記疎水部との表面間力差が0.0055Pa以上であり、
前記親水性溶液は、粘度が2.6mPa・s以下であることを特徴とするパターン形成方法。 - 前記表面間力差は、0.0055Pa以上0.5Pa以下である請求項1に記載のパターン形成方法。
- 前記疎水部は、幅が80μm以下の直線状に形成されており、前記親水性溶液の粘度は2.11mPa・s以下である請求項1又は2に記載のパターン形成方法。
- 前記基板の前記表面は、親疎水性変換機能を有し、前記表面に親水部と疎水部を形成する工程を有する請求項1〜3のいずれか1項に記載のパターン形成方法。
- 前記基板の前記表面の疎水部上の液膜の表面間力が0.006Pa以上であり、かつ、前記液膜のハジキ開始点の出現頻度が1ヶ/40mm 2 /分以上である請求項1〜4のいずれか1項に記載のパターン形成方法。
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