JP6066549B2 - 研磨物品及びその製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、研磨物品及びその製造方法に関する。
研磨粒子がマトリックス樹脂中に分散してなる研磨製品には、様々な態様が知られており、例えば特許文献1には、特定のポリウレタン結合剤マトリックス中に分散された研磨材料粒子を含む、研磨物品が開示されている。
特開平2−294336号公報
このような研磨物品においては、研磨時の研磨物品の磨耗量が、十分に少ないことが求められる。また、研磨物品の磨耗による研磨性能の変化が生じ難く、均一な研磨性能が維持されることが望まれる。
本発明の一側面は、エチレン性不飽和結合及び2つ以上の活性水素官能基を有する多官能化合物、2つ以上のイソシアネート基を有するポリイソシアネート、架橋開始剤、ウレタン化反応阻害剤、発泡剤及び研磨粒子を含む原料成分の混合物から得られる発泡体を備える、研磨物品に関するものである。
この研磨物品が具備する発泡体は、研磨粒子とそれを担持するマトリックス樹脂とから形成されており、上記特定の原料成分の混合物から得られたものである。この発泡体は、良好な研磨性能を有するとともに発泡体全体で均一な研磨性能を有する。そのため、上記研磨物品においては、研磨時の磨耗量が十分に低減されるとともに、均一な研磨性能が維持される。
本発明の一態様において、上記原料成分は、2つ以上の活性水素官能基を有し且つエチレン性不飽和結合を有しない第二多官能化合物を更に含んでいてもよい。原料成分が第二多官能化合物を含むことで発泡体がより強靭になるという効果が奏される。
上記第二多官能化合物としては、例えば、「重量平均分子量が400未満である化合物」を用いることができる。
また、本発明の一態様において、上記ウレタン化反応阻害剤は、酸を含んでいてもよい。また、上記ウレタン化反応阻害剤は、カルボキシ基を有するポリエステル樹脂を含んでいてもよい。
また、本発明の一態様において、上記架橋開始剤は、自己促進分解温度が50〜90℃の有機過酸化物であってもよい。
本発明の他の側面は、研磨粒子を含む発泡体を備える研磨物品の製造方法に関するものである。この製造方法は、エチレン性不飽和結合及び2つ以上の活性水素官能基を有する多官能化合物、2つ以上のイソシアネート基を有するポリイソシアネート、架橋開始剤、ウレタン化反応阻害剤、発泡剤及び研磨粒子を含む原料成分の混合物を反応容器に充填して、上記反応容器の内容積と略同体積の発泡体を得る発泡工程を備える。また、上記発泡工程において、上記反応容器の内容積V(cm)に対する上記混合物の充填量X(g)の比X/Vは、0.5〜2.5である。
この製造方法によれば、発泡工程で得られる発泡体が、良好な研磨性能を有し且つ発泡体全体で均一な研磨性能を有するものとなる。そのため、上記製造方法により得られる研磨物品は、研磨時の磨耗量が十分に低減されるとともに均一な研磨性能が維持される、という優れた効果を有するものとなる。
本発明によれば、研磨時の磨耗量が十分に少なく、均一な研磨性能が得られる研磨物品、及びその製造方法が提供される。
本発明の研磨物品の好適な実施形態について以下に説明する。
本実施形態に係る研磨物品は、(a)エチレン性不飽和結合及び2つ以上の活性水素官能基を有する多官能化合物(以下、「(a)成分」と称する。)、(b)2つ以上のイソシアネート基を有するポリイソシアネート(以下、「(b)成分」と称する。)、(c)架橋開始剤(以下、「(c)成分」と称する。)、(d)ウレタン化反応阻害剤(以下、「(d)成分」と称する。)、(e)発泡剤(以下、「(e)成分」と称する。)及び(f)研磨粒子(以下、「(f)成分」と称する。)を含む原料成分の混合物から得られる発泡体を備える。
(a)成分は、エチレン性不飽和結合及び2つ以上の活性水素官能基を有する多官能化合物である。(a)成分は、発泡体のマトリックス樹脂を形成するための原料成分であり、(b)成分と反応して共重合体を形成する成分である。
本実施形態では、上記原料成分を混合することで、(a)成分が有する活性水素官能基と(b)成分が有するイソシアネート基とが反応して、(a)成分と(b)成分の共重合体が形成される。また、(a)成分のエチレン性不飽和結合が、(c)成分によって架橋反応に供される。本実施形態においては、この重合反応及び架橋反応によって発泡体のマトリックス樹脂が形成される。
活性水素官能基は、活性水素を有する官能基であり、例えば、ヒドロキシ基、アミノ基、カルボキシ基、チオール基が挙げられる。活性水素官能基としては、ヒドロキシ基が最も好適であり、(a)成分は、2つ以上のヒドロキシ基を有する化合物であることが好ましい。
(a)成分が有する活性水素官能基の数は、2つ以上であればよく、2〜5個であってもよく、2〜4個であってもよい。なお、(a)成分が活性水素官能基数が異なる2種以上の混合物であるとき、(a)成分が有する活性水素官能基数は、平均活性水素官能基数で表すことができる。
(a)成分の重量平均分子量は、400〜25000であることが好ましく、1000〜10000であることがより好ましい。なお、本明細書中、重量平均分子量は、クロマトグラフィーを用いて測定した標準ポリスチレン換算の重量平均分子量を示す。
(a)成分の一例として、2つ以上の活性水素官能基を有するジエンプレポリマーが挙げられる。ジエンプレポリマーとしては、ポリブタジエン、ポリイソプレン等が挙げられ、これらのジエンプレポリマーに2つ以上の活性水素官能基が付加したものを(a)成分として用いることができる。
(a)成分は商業的に入手したものであってよく、例えば、商品名「Polybd R-45HT」(出光興産株式会社製)として平均活性水素官能基数2.4〜2.6、重量平均分子量2800のヒドロキシ基末端ポリブタジエンが、商業的に容易に入手可能である。
(b)成分は、2つ以上のイソシアネート基を有するポリイソシアネートである。(b)成分は、発泡体のマトリックス樹脂を形成するための原料成分であり、(a)成分と反応して共重合体を形成する成分である。また、原料成分の混合に際しては、(b)成分に由来する2つのイソシアネート基が、(e)成分(発泡剤)の作用により尿素結合を形成するとともに二酸化炭素を放出し、この二酸化炭素により発泡が形成される。
(b)成分は、ジイソシアネート又はトリイソシアネートであることが好ましく、ジイソシアネートであることがより好ましい。
(b)成分としては、例えば、1,6−ヘキサメチレンジイソシアナート、1,4−シクロヘキサンジイソシアナート、トリレンジイソシアナート、p−フェニレンジイソシアナート、ジフェニルメタンジイソシアナート、ナフチレン−1,5−ジイソシアナートが挙げられる。
(b)成分の配合量は、(a)成分100質量部に対して、30〜120質量部であることが好ましく、50〜90質量部であることがより好ましい。(b)成分の配合量を上記範囲とすることで本発明の効果が一層顕著に奏される。
(c)成分は、架橋開始剤であり、(a)成分に由来するエチレン性二重結合に作用して架橋反応を生じさせる成分である。(c)成分は、エチレン性二重結合を有する2つの分子間を架橋し得るものであれば特に制限されないが、好ましくは、有機過酸化物である。
有機過酸化物としては、例えば、t−ブチルペルオキシイソブチレート、ベンゾイルペルオキシド、p−クロロベンゾイルペルオキシド、ヒドロキシヘプチルペルオキシド、シクロヘキサノンペルオキシド、ジ−t−ブチルジペルフタレート、t−ブチルペルアセテート、t−ブチルペルベンゾエート、ジクミルペルオキシド、t−ブチルヒドロペルオキシド、ジ−t−ブチルペルオキシド、p−メタンヒドロペルオキシド、ピナンヒドロペルオキシド、クメンヒドロペルオキシド、t−ブチルペルオキシ−2−エチルヘキサノエート、1,1−ビス−(t−ブチルペルオキシ)−3,3,5−トリメチル−シクロヘキサン、2,5−ジメチル−2,5−ジ(t−ブチルペルオキシ)ヘキサン、2,5−ジメチル−2,5−ジヒドロペルオキシド、1,1−ジ(t−ブチルペルオキシ)シクロヘキサンが挙げられる。
(c)成分としては、自己促進分解温度が50〜90℃(より好ましくは50〜80℃、さらに好ましくは55〜75℃)である有機過酸化物を用いることが好ましい。このような(c)成分によれば、研磨性能の均一性に一層優れた発泡体が得られる。
このような発泡体が得られる理由は、必ずしも明らかではないが、自己促進分解温度が上記範囲であると、原料成分が混合されてから架橋反応が生じるまでの間に十分な保持時間が得られ、混合による均一化が十分に行われた後に架橋反応生じ易くなるためと考えられる。ここで自己促進分解温度(SADT)は、1週間以内に6℃以上の発熱又は分解する最低温度を示し、以下のSADT試験で求めることができる。
(SADT試験)
試料400mlを約50L相当の放熱量(100mW/Kg・K以下)のジュワー瓶に入れ、ガラス製の蓋をして3本のばねで止める。温度をガラス保護管に通した熱電対でレコーダーに記録する。ジュワー瓶を任意の温度に設定された高温槽(空気浴)にいれ、液温が一週間以内に6℃以上発熱するか分解に至る最低温度を求める。
自己促進分解温度が50〜90℃である有機過酸化物としては、1,1−ジ(t−ブチルペルオキシ)シクロヘキサン等が挙げられる。
(c)成分の配合量は、(a)成分100質量部に対して、2〜10質量部であることが好ましく、4〜8質量部であることがより好ましい。
(d)成分は、ウレタン化反応阻害剤であり、活性水素官能基とイソシアネート基との反応を阻害する機能を有するものである。本実施形態においては、上記(a)、(b)、(c)及び(e)成分と組み合わせて(d)成分を用いることにより、発泡体が、良好な研磨性能を有し且つ均一な研磨性能を有するものになる。
このような効果が奏される理由は、必ずしも明らかではないが、(d)成分を配合することにより、原料成分が混合されてからウレタン化反応(活性水素官能基とイソシアネート基との反応、イソシアネート基と発泡剤との反応)が生じるまでの間に十分な保持時間が得られ、原料成分の均一な混合が達成されることが一因と考えられる。
(d)成分は、酸を含むことが好ましく、有機酸を含むことが好ましい。有機酸としては、例えば、カルボン酸化合物、スルホン酸化合物、リン酸化合物が挙げられ、これらのうち(d)成分としてはカルボン酸化合物が好ましく、カルボキシル基を2以上有する化合物(ポリメリック酸)がより好ましい。
(d)成分は、他の原料成分との相溶性に優れることから、カルボキシル基を有する樹脂であることが好ましい。このような樹脂としては、例えば、カルボキシル基を有するポリエステル樹脂、カルボキシル基を有するポリウレタン樹脂等が挙げられる。
カルボキシル基を有する樹脂としては、酸価が約210mgKOH/gの樹脂を特に好適に用いることができる。カルボキシル基を有する樹脂の酸価は、例えば、200〜220mgKOH/gとすることができ、205〜215mgKOH/gとすることもできる。
(d)成分の配合量は、(b)成分100質量部に対して、0.04〜0.8質量部であることが好ましく、0.08〜0.2質量部であることがより好ましい。
(e)成分は、発泡剤である。本実施形態においては、原料成分の混合に際して、(b)成分に由来する2つのイソシアネート基が尿素結合を形成するとともに二酸化炭素を放出し、この二酸化炭素により発泡が形成される。
(e)成分は、上記二酸化炭素の発生による発泡を生じさせ得るものであれば特に制限されず、例えば、水等を用いることができる。
(e)成分の配合量は、(a)成分100質量部に対して、0.1〜1.5質量部であることが好ましく、0.4〜1.0質量部であることがより好ましい。
(f)成分は、研磨粒子である。(f)成分としては、研磨物品の用途等に応じて、研磨業界において常用される任意の研磨粒子を用いることができる。
研磨粒子の材質としては、炭化ケイ素、酸化アルミニウム、ザクロ石、軽石、砂、金剛砂、雲母、コランダム、石英、ダイアモンド、炭化ホウ素、溶融アルミナ、焼結アルミナ、α−アルミナをベースとするセラミック材料、これらの混合物等が挙げられる。
用途別に見ると、木工用途用の好ましい研摩粒子は、24グレード〜3000グレード(平均粒径0.710mm〜0.004mm)のザクロ石及び酸化アルミニウム粒子である。また、金属加工用途用の好ましい研摩粒子は、24グレード〜3000グレード(平均粒径0.710mm〜0.004mm)の炭化ケイ素及び酸化アルミニウム粒子である。物品の特別の用途および企図された用途により適切な研摩粒径および型を選択することは十分に当業界の熟練の範囲内である。
(f)成分の配合量は、(a)成分及び(b)成分の合計量100質量部に対して、100〜600質量部とすることができ、150〜450質量部とすることもできる。
(その他の成分)
本実施形態において、原料成分には、上記以外の成分が含まれていてもよく、例えば原料成分は、2つ以上の活性水素官能基を有し且つエチレン性不飽和結合を有しない第二多官能化合物(以下、「(a’)成分」と称する。)を更に含んでいてもよい。
(a’)成分における活性水素官能基としては、例えば、ヒドロキシ基、アミノ基、カルボキシ基、チオール基が挙げられる。活性水素官能基としては、ヒドロキシ基が最も好適であり、(a’)成分は、2つ以上のヒドロキシ基を有する化合物であることが好ましい。
(a’)成分が有する活性水素官能基の数は、2つ以上であればよく、2〜5個であってもよく、2〜4個であってもよい。なお、(a’)成分が活性水素官能基数が異なる2種以上の混合物であるとき、(a’)成分が有する活性水素官能基数は、平均活性水素官能基数で表すことができる。
(a’)成分としては、分子量400未満の短鎖化合物、分子量約500〜10000の長鎖化合物等が挙げられる。
上記短鎖化合物としては、例えば、トリメチロールプロパンモノアリルエーテル、エタノールアミン、ジエタノールアミン、メチレンジアニリン、ジエチルトルエンジアミン、2−メチルペンタメチレンジアミン、パラフェニレンジアミン、エチレングリコール、プロピレングリコール(1,2および1,3)、ブチレングリコール(1,4および2,3)、1,4ブテンジオール、1,4ブタンジオール、ペンタンジオール、ヘキサンジオール、オクタンジオール、トリメチロールプロパン等が挙げられる。
上記長鎖化合物としては、例えば、アミン末端ポリエステル、ポリエーテル、ポリアセタール、ポリラクトン、ポリジチルシロキサン等が挙げられる。
(a’)成分の配合量は、(a)成分100質量部に対して、1〜150質量部であることが好ましく、30〜70質量部であることがより好ましい。
また、原料成分は、上記成分以外に、潤滑剤、可塑剤、希釈材、充填剤、補強繊維、着色剤、加工助剤等の添加剤を更に含有していてもよい。
本実施形態においては、原料成分を混合して、発泡、重合反応及び架橋反応を生じさせることにより、発泡体を得ることができる。
原料成分の混合方法は特に制限されず、各成分を同時に混合してもよく、一部の成分を事前に混合して残りの成分と混合させてもよい。混合方法の具体例としては、(b)成分以外の原料成分を混合したプレミックス液と、(b)成分と、をミキサーで混合する方法等が挙げられる。
原料成分の混合物は、発泡によりその体積が約1.1〜3倍にまで膨張し得る。そのため、反応容器に、該反応容器の内容積より少ない量の混合物を充填した場合でも、発泡により膨張した発泡体が反応容器内を満たして、反応容器と略同体積の発泡体が得られる。すなわち、本実施形態においては、反応容器の形状と反応容器に充填する混合物の量を適宜調整して、所望の形状及び密度を有する発泡体を得ることができる。
発泡体の密度は、0.5〜2.5g/cmであることが好ましく、0.7〜2.0g/cmであることがより好ましい。このような発泡体を得るため、反応容器の内容積V(cm)に対する混合物の充填量X(g)の比X/Vは、0.5〜2.5とすることが好ましく、0.7〜2.0とすることがより好ましい。
原料成分の混合物は、反応容器内で発泡させた後、必要に応じて未反応の原料成分を反応させるために100〜130℃に加熱してもよい。加熱時間は、例えば、5〜7時間とすることができる。
研磨物品は、反応容器と略同体積となるように形成された発泡体をそのまま備えるものであってもよく、所望の形状に成形された発泡体を備えるものであってもよい。例えば、円筒状の反応容器を用いた場合には、得られた円筒状の発泡体をそのまま研磨物品に適用してもよく、円筒状の発泡体から所望の厚みの円盤状の発泡体を切り出して研磨物品に適用してもよい。
ここで、本実施形態の発泡体は、その全体で均一な研磨性能を有する。そのため、例えば円筒状の発泡体から複数の円盤状の発泡体を切り出したとき、複数の円盤状発泡体間での研磨性能の差は十分に小さく、研磨製品間の性能差は十分に抑制される。
本実施形態に係る研磨物品は、発泡体を備えるものであり、当該発泡体により研磨対象を研磨する。研磨物品は、発泡体以外の構成要素を備えていてもよい。例えば、発泡体以外の構成要素としては、発泡体を保持する保持部、研磨機に接続するための接続部、等が挙げられる。
本実施形態に係る研磨物品の製造方法について、以下に説明する。
本実施形態において、研磨物品の製造方法は、エチレン性不飽和結合及び2つ以上の活性水素官能基を有する多官能化合物((a)成分)、2つ以上のイソシアネート基を有するポリイソシアネート((b)成分)、架橋開始剤((c)成分)、ウレタン化反応阻害剤((d)成分)、発泡剤((e)成分)及び研磨粒子((f)成分)を含む原料成分の混合物を反応容器に充填して、該反応容器の内容積と略同体積の発泡体を得る発泡工程を備える。
発泡工程において、反応容器の内容積V(cm)に対する混合物の充填量X(g)の比X/Vは、0.5〜2.5であることが好ましく、0.7〜2.0であることがより好ましい。
本実施形態において、研磨物品の製造方法は、発泡工程で得た発泡体を加熱する加熱工程を更に備えていてもよい。加熱温度は、好ましくは100〜130℃であり、加熱時間は、好ましくは5〜7時間である。
以上、本発明の好適な実施形態について説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではない。
以下、実施例により本発明をより具体的に説明するが、本発明は実施例に限定されるものではない。
(実施例1)
原料成分として、下記表1に示す成分を準備した。表1に示す原料成分のうち、(b)成分及び(f)成分以外を混合し、プレミックス液を調製した。このプレミックス液と(b)成分と(f)成分とをミキサーで混合して、混合物を円筒形の反応容器(外径320mm、内径137mm、高さ320mm、内容積21019cm)に20kg/分の速度で63.1秒流し込んだ。発泡による漏出が無いよう反応容器に蓋をして、25分間静置した。反応容器から発泡体を取り出し、オーブンに入れて120℃、390分の条件で加熱して、円筒状発泡体を得た。
得られた円筒状発泡体を25mm幅でカットするとともに外周を削り整えて、円盤状のサンプル(外径305mm、内径137mm、厚さ25mm)を複数枚製造した。得られたサンプルのうち6枚について、下記の方法で研磨量、磨耗量、密度の測定を行った。測定結果は、表2に示すとおりであった。
<研磨量及び磨耗量の測定>
円盤状のサンプルを2228rpmの回転数で回転させ、幅40mm、厚さ1.5mmのテストブレードをサンプルの外周に押し当てて研磨した。テストブレードにかける荷重は8LBS(3630gr)とし、研磨時間は60秒とした。研磨後、サンプルの重量及びテストブレードの重量を測定して、下記式により、研磨量及び磨耗量を測定した。
研磨量=(テストブレードの初期重量(g))−(研磨後のテストブレードの重量(g))
磨耗量=(サンプルの初期重量(g))−(研磨後のサンプルの重量(g))
<密度>
サンプルの重量を測定して、下記式により密度を求めた。
密度(g/cm)=サンプルの重量(g)/サンプルの容積(cm
(実施例2)
原料成分を表1に示すとおりに変更したこと以外は、実施例1と同様にして円盤状のサンプルを複数枚製造し、得られたサンプルのうち6枚について実施例1と同様にして研磨量、磨耗量、密度の測定を行った。測定結果は、表3に示すとおりであった。
(比較例1)
原料成分を表1に示すとおりに変更したこと以外は、実施例1と同様にして円盤状のサンプルを複数枚製造した。得られたサンプルのうち9枚について、上記の方法で研磨量、磨耗量、密度の測定を行った。測定結果は、表4に示すとおりであった。
(比較例2)
原料成分を表1に示すとおりに変更したところ、原料成分を混合した直後に発泡が生じて均一な発泡体を成形することができなかった。
Figure 0006066549
表1中の各成分の詳細は以下のとおりである。また、表1の数値は各成分の配合量(質量比)を表す。
(a)成分
・Poly−bd−R45:ヒドロキシル基末端ポリブタジエン、出光興産株式会社製
(a’)成分
・PTMG2000:ポリテトラメチレンエーテルグリコール、三菱化学株式会社製
・1,4−butandiol:1,4−ブタンジオール、三菱化学株式会社製
・Ethacure100:ジエチルトルエンジアミン、アルベマール日本株式会社製
(b)成分
・Cosmonate LL:製品名「コスモネート LL」、4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート、三井化学ポリウレタン株式会社製
(c)成分
・Perhexa C:1,1−ジ(t−ブチルパーオキシ)シクロヘキサン、自己促進分解温度60℃、日本油脂株式会社製
・Percure O:t−ブチル−パーオキシ−2−エチルヘキサノエート、自己促進分解温度40℃、日本油脂株式会社製
(d)成分
・Dabco BA 100:反応阻害剤、カルボキシル基含有ポリエステル樹脂(ポリメリック酸)、Air Products社製
(f)成分
・Alodure BFRPL P120:酸化アルミニウム粒子、平均粒径125μm、Treibacher Schleifmittel社製
・Alodure BFRPL P80:酸化アルミニウム粒子、平均粒径200μm、Treibacher Schleifmittel社製
・デンシック C ♯1000:炭化ケイ素粒子、平均粒径12μm、昭和電工株式会社製
(その他)
・Dabco DC−1:ウレタン化触媒、Air Products社製
・Dabco DC−2:ウレタン化触媒、Air Products社製
・L−655:商品名「NIAX SILICONE L−655」、モメンティブ・パフォーマンス・マテリアルズ・ジャパン合同会社製
・KR−55:商品名「プレンアクト KR 55」、有機チタン化合物、味の素ファインテクノ株式会社製
・PL−200:ジアルキルフタレート、シージーエスター株式会社製
Figure 0006066549
Figure 0006066549
Figure 0006066549

Claims (1)

  1. 研磨粒子を含む発泡体を備える研磨物品の製造方法であって、
    エチレン性不飽和結合及び2つ以上の活性水素官能基を有する多官能化合物、2つ以上のイソシアネート基を有するポリイソシアネート、架橋開始剤、ウレタン化反応阻害剤、発泡剤及び研磨粒子を含む原料成分の混合物を反応容器に充填して、前記反応容器の内容積と略同体積の発泡体を得る発泡工程を備え、
    前記発泡工程における、前記反応容器の内容積V(cm)に対する前記混合物の充填量X(g)の比X/Vが、0.5〜2.5である、製造方法。
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