JP6066061B2 - 静電容量式タッチセンサ - Google Patents

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Description

本発明は静電容量式タッチセンサに関し、特に同期反転積分方式を利用した静電容量式タッチセンサに関する。
従来、リモコン、オーディオ機器、ゲーム機、携帯電話等の電子機器の操作部には、一般的にいわゆる押しボタンが用いられていた。押しボタンでは、機械的スイッチの接点の接触・非接触を監視するようになっている。しかし、近年、静電容量式タッチセンサを操作部へ搭載することが増えている。静電容量式タッチセンサは、機械的スイッチに比べて意匠的な自由度が高く、耐久性にも優れている。更に、静電容量式タッチセンサは、密閉された筐体内に実装可能であるため、耐水性にも優れている。
静電容量式タッチセンサは、検出用の電極(送信電極及び受信電極)に電子機器のユーザの人体(通常は指先)が近接することによる電極周辺の静電容量の変化を検出する。このため、静電容量式タッチセンサでは、送信電極に対して検出信号を印加し、検出信号の印加によって生じる受信信号を受信電極で受け、この受信信号に基づいて検出処理を行う。例えば、静電容量式タッチセンサの一方式として同期反転積分方式が知られている(特許文献1参照)。
特開2009−287993号公報
電気機器において、操作部はユーザによって常時操作されるわけではなく、操作されない状態(すなわち、待機状態)の方が大幅に長い。しかしながら、静電容量式タッチセンサでは、電極へユーザがタッチ動作又は近接動作をしたことを検出するため、常に静電容量検出回路を動作して検出処理を実行し続ける必要がある。したがって、電子機器の操作部が操作されていない状態であっても、静電容量式タッチセンサは常時電力を消費するため、機械的スイッチよりも電力消費が大きいという問題があった。
また、電子機器を待機状態から動作状態に素早く移行させるためには、静電容量式タッチセンサの検出周期を短くする必要がある。さらに、タッチセンサに複数の電極(複数の操作スイッチ)がある場合、その数に比例して検出処理回数が増大するため、待機時消費電力も増大する。この待機時消費電力の増大は、特に電池を電源とする電子機器にとって重大な問題となる。
例えば、温水洗浄便座用のリモコンの場合、トイレ内の操作し易い位置に自由に取り付け可能にするため、電源に乾電池を使用するものが多い。このリモコンには、種々の機能に対してそれぞれスイッチが設けられている。具体的には、「止め」、「おしり洗浄」、「ビデ洗浄」、「温風乾燥」、「おしりソフト洗浄」、「ビデワイド洗浄」、「便器大洗浄」、「便器小洗浄」、「便座開閉」、「便蓋開閉」等のスイッチである。これらのうち、複数のスイッチに静電容量式タッチセンサが用いられる。
例えば、操作部が10個のタッチセンサを備えている場合、検出周期を0.1sec(すなわち、検出周波数が10Hz)とすると、1個のタッチセンサの検出処理時間(動作時間)が10msecであっても、1sec当たりの検出回路の動作時間は、「10msec×10個×10Hz=1sec」となる。すなわち、静電容量検出回路は、常時動作することになる。この結果、消費電力量が多くなり、電源である乾電池を短期間で消耗してしまう。
この問題を解決するために、タッチセンサ1個当たりの静電容量検出回路の検出処理時間を短くして、消費電力を削減する方法が考えられる。しかしながら、タッチセンサの静電容量の変化は極めて微小であるため、外来ノイズを除去して誤作動の無いタッチ検出を実現するには、検出処理に相応な時間が必要であり、検出処理時間を単純に短縮化することは難しい。
特許文献1に記載された同期反転積分方式のタッチセンサでは、送信信号(送信パルス)に同期して、受信電極に接続された増幅手段の出力と、その極性を反転させた反転出力とを交互に選択して積分するので、送信信号に同期していないノイズ成分を除去することができる。しかしながら、検出処理時間を短くすると、消費電力は低減できるが、同時に積分時間も短くなってしまうので、ノイズ除去の効果も低減され、誤検出のおそれが生じてしまう。このように、検出処理時間を短くする方法では、大幅な省電力化は難しく、更に誤検出のおそれも生じてしまう。
また、上記問題を解決するために、複数の送信電極について、同時に送信パルスを印加し、受信電極からの受信信号を同時に積分する方法も考えられる。しかしながら、検出回路の動作には、回路構成や電源電圧によって決まるダイナミックレンジの制限がある。すなわち、複数の電極について同時に積分を行うと、電極の数に応じて積分値が増大するので、この積分値がダイナミックレンジを超えてしまうおそれがある。これを回避するためには、積分時間を短くするような、ノイズが増える方向での対策が必要となり、結果的に誤検出のおそれが生じてしまう。
更に、複数の電極について同時に積分を行う場合、1つの電極がタッチされることによる積分値の変化は、複数の電極に対する電極1つ分の割合にしか過ぎない。このため、電極数が増えると、変化の割合が小さくなるので、検出が難しくなってしまう。
なお、乾電池ではなく電源プラグからのAC電源で動作する電子機器においても、待機時消費電力の低減は重要な課題となっている。このため、AC電源駆動の電子機器において、例えば、待機時はスイッチング電源などの電源回路を停止し、内蔵バッテリや大容量コンデンサで消費電力をまかなうことにより、電子機器の待機時消費電力を低減する方式が提案されている。このような電子機器は、待機時消費電力が実質的にゼロワットとなる。
このように、電池を電源とする電子機器に限らず、電子機器全般において、操作部の待機時消費電力を低減することは重要な課題である。このため、静電容量式タッチセンサの検出動作に要する消費電力は、電子機器の操作部に静電容量式タッチセンサを採用することを妨げるものとなっていた。特に、乾電池を電源とし、多数の操作スイッチを有するリモコンでは、タッチセンサの採用そのものが困難であった。
本発明は、このような課題を解決するためになされたものであり、複数の電極を備えた静電容量式タッチセンサにおいて、待機時及び動作時における消費電力を大幅に低減させると共に、誤検知の発生を抑制することができる静電容量式タッチセンサを提供することを目的としている。
上述した課題を解決するために、本発明は、所定周波数のパルス信号を出力するパルス出力手段と、互いに近接して配置され静電結合された送信電極及び受信電極を有し、送信電極に前記パルス信号が印加されることにより受信電極が誘導電圧出力を出力するように構成された検出部と、受信電極から受けた誘導電圧出力を増幅して増幅出力を出力する増幅手段と、増幅手段から受けた増幅出力の極性を反転させて反転出力を出力する反転手段と、増幅出力及び反転出力を、パルス信号に同期して交互に選択して積分し積分出力を出力する積分手段と、積分手段から受けた積分出力に基づいて、検出部への人体の近接を判定する判定手段と、を備えた静電容量式タッチセンサにおいて、検出部を複数有し、複数の検出部を構成する複数の受信電極は、互いに電気的に接続されており、パルス出力手段は、複数の検出部を構成する複数の送信電極の各々に対して、パルス信号を印加する第1出力モードと、パルス信号の極性を反転させた反転パルス信号を印加する第2出力モードとを備え、静電容量式タッチセンサは、複数の検出部のいずれかに人体が近接したことを検出する第1動作モードを備えており、この第1動作モードにおいて、パルス出力手段は、複数の検出部を第1グループと第2グループとにグループ分けし、第1グループに属する検出部の送信電極へ第1出力モードでパルス信号を印加し、第2グループに属する検出部の送信電極へ第2出力モードで反転パルス信号を印加し、積分手段は、増幅出力及び反転出力を、パルス信号及び反転パルス信号に同期して交互に選択して積分し積分出力を算出し、判定手段は、積分出力が、基準値に対して正側の第1閾値以上又は負側の第2閾値以下である場合、複数の検出部のいずれかに人体の近接があったと判定し、積分出力が、第1閾値より小さく且つ第2閾値よりも大きい場合、複数の検出部のいずれにも人体の近接がないと判定することを特徴としている。
このように構成された本発明では、複数の検出部の受信電極を電気的に接続しており、いずれかの検出部に人体の近接があった場合には積分出力に変化が現れるので、第1動作モードにおいて、この積分出力の値に基づいて、いずれかの検出部への人体の近接を検出することができる。したがって、この検出では、複数の検出部の全てに対して所定の検出周期に1度のみ、センサ回路に検出処理を行わせればよいので、待機期間中の省電力化を図ることができる。
その際、本発明では、複数の検出部に対してパルス信号をそのまま印加する検出部(第1グループ)と、パルス信号の極性を反転させて印加する検出部(第2グループ)とにグループ分けすることにより、検出部のグループ間で受信電極に現れる電圧出力の極性を反転させている。この構成により、グループ間で電圧出力を相殺させることができるので、積分手段から出力される積分出力を、1つの検出部のみを処理するセンサ回路と同じダイナミックレンジで取り扱うことができる。これにより、検出感度を維持したまま、複数の検出部に対する電圧変化を同時に監視することが可能である。
詳しくは、2つの各グループに対して、互いに逆極性のパルス信号を印加することにより、いずれの検出部にも人体の近接がない場合(非近接時)には、各検出部の受信電極からの誘導電圧出力の増幅出力及び反転出力が相殺され、積分出力はゼロ(すなわち、基準電圧)となる。したがって、複数の検出部からの受信信号を同時に検出処理しても、積分出力が検出部の数の倍数になることがなく、検出回路のダイナミックレンジを有効に使用することができ、検出感度を維持することが可能となる。非近接時である待機状態では、ゼロ(基準電圧)からの差異を監視するだけで、複数の検出部への人体の近接を同時に監視することができる。積分出力の大小判定ではなく、ゼロバランスで判定することができる。
また、静電容量検出動作は、検出する容量の変化が微小であるため、温度や回路電圧等が原因の電気的な動作の変化(パルス周波数や回路特性の変化)や、湿度等の静電結合に対する変化等、様々な影響を受け易いが、本発明では、これらの影響が相殺されるように機能する。例えば、出力パルスの変化が鈍くなる(シャープでなくなる)と、同じ結合容量に対して積分出力は減少する傾向となるが、これが互いに極性が反対の積分処理に略同等に影響するので、結果として現われなくなる。このように、本発明では、回路や構造の変動分をキャンセルする効果を有している。
また、本発明において好ましくは、第1動作モードにおいて、第1グループに属する検出部の送信電極と受信電極の静電結合の総和と、第2グループに属する検出部の送信電極と受信電極の静電結合の総和が、略等しくなるようにグループ分けが実行される。
このように構成された本発明では、静電結合の総和が等しくなるように複数の検出部をグループ分けすることにより、非近接時に積分出力をゼロ又は基準電圧にすることができるので、外部の影響を相殺しつつ、高感度な人体の近接の監視を行うことができる。
また、本発明において好ましくは、第1動作モードにおいて、積分出力が、第1閾値以上又は第2閾値以下であるときに第2動作モードに移行し、この第2動作モードにおいて、判定手段は、積分出力が第1閾値以上であるか第2閾値以下であるかに応じて、人体の近接がある検出部がいずれのグループに含まれるかを判定し、パルス出力手段は、人体の近接がある検出部が含まれると判定された判定グループの検出部を更に第2動作モードにおける第1グループと第2グループにグループ分けし、第2動作モードにおける第1グループに属する検出部の送信電極へ第1出力モードでパルス信号を印加し、第2動作モードにおける第2グループに属する検出部の送信電極へ第2出力モードで反転パルス信号を印加し、パルス出力手段は、人体の近接がある検出部が含まれると判定されなかった非判定グループの検出部の送信電極には固定電圧を印加する第3出力モードで固定電圧を印加し、積分手段は、積分出力を算出し、判定手段は、積分出力に基づいて、人体の近接がある検出部が第2動作モードにおける第1グループと第2グループのいずれに含まれるかを判定する。
このように構成された本発明では、第1動作モードにおいて、全ての検出部を同時に監視して、いずれかの検出部に人体が近接したか否かを判定することができるが、その際、人体が近接した検出部は特定されない。このため、本発明では、第1動作モード(待機モード)でいずれかの検出部に人体の近接があったことが判定されると、第2動作モード(分別モード)に移行して、人体の近接がある検出部(近接検出部)を絞り込む。このため、第1動作モードの積分出力によって近接検出部を含むグループを特定し、さらにこの判定グループをグループ分けして、極性の異なるパルス信号をそれぞれ印加して、積分出力を求め、この積分出力の特性(極性、大きさ)から近接検出部を含むグループを特定していくことができる。そして、第2動作モードを1回又は複数回行うことにより、最終的に、近接検出部を1つに特定することができる。このように、本発明では、分別モードにおいても、グループ分けにより近接検出部を特定していくので、検出処理の回数を少なくすることができる。これにより、検出部の数が多い場合には、個々の検出部を検出処理していく方式に比べて、より大きな省電力効果を得ることができる。
また、本発明において好ましくは、第2動作モードでは、判定グループを更にグループ分けするとき、判定グループに属する検出部の総数が偶数の場合は、検出部を2等分して、第2動作モードにおける第1及び第2グループを形成し、判定グループに属する検出部の総数が奇数の場合は、1つの検出部の送信電極のみに固定電圧を印加し、他の検出部を2等分して、第2動作モードにおける第1及び第2グループを形成する。
このように構成された本発明では、判定グループに含まれる検出部の個数が偶数の場合は、2等分して第1及び第2グループを形成するが、奇数の場合は、1つの検出部に固定電圧を印加して、他を2等分してグループ分けを行う。これにより、積分出力が正負いずれかの方向で閾値以上となれば、これに応じて近接検出部が含まれるグループを判定でき、積分出力が正負いずれかの方向で閾値を超えなければ、固定電圧を印加した1つの検出部が近接検出部であると判定することができる。
また、本発明において好ましくは、第3動作モードをさらに備え、この第3動作モードにおいて、パルス出力手段は、複数の検出部のうちの1つの検出部の送信電極にパルス信号を印加し、他の検出部の送信電極に固定電圧を印加し、積分手段は、積分出力を算出し、判定手段は、積分出力に基づいて、1つの検出部に人体の近接があるか否かを判定する。
このように構成された本発明では、最終的に近接検出部が1つに特定された場合に、この検出部に対して、個別にパルス信号を印加することにより、この検出部が近接検出部であることを確認することができる。また、人体の近接の後、人体の近接がなくなった際(例えば、指が離れる)に、この検出部が近接検出部でなくなったことを確認することができ、再び第1動作モード(待機モード)に戻ることができる。
また、本発明において好ましくは、第3動作モードをさらに備え、この第3動作モードにおいて、パルス出力手段は、複数の検出部のうちの1つの検出部の送信電極にパルス信号を印加し、他の検出部の送信電極に固定電圧を印加し、積分手段は、積分出力を算出し、判定手段は、積分出力に基づいて、1つの検出部に人体の近接があるか否かを判定し、第1動作モードにおいて、積分出力が第1閾値以上又は第2閾値以下になったときに、第2動作モードへ移行し、第2動作モードにおいて、人体の近接がある検出部が1つに特定された場合に、第3動作モードに移行する。
このように構成された本発明では、第1動作モードにより待機状態で作動している間は、所定の検出周期毎(例えば、8Hz)に1回の検出処理を行えばよく、待機電力を大幅に低減することができる。さらに、待機モードから分別モード(第2動作モード)へ移行した後には、グループ分けをして近接検出部を含むグループを順次に特定していくので、検出処理の回数を少なくすることができると共に、素早く近接検出部を特定することができる。このため、ユーザが指で検出部を瞬間的にタッチしたような場合であっても、確実に近接検出することができる。さらに、分別モードから確認モード(第3動作モード)へ移行して、近接検出部に対して人体の近接があることを及び人体の近接がなくなったことを検出することができる。
本発明によれば、複数の電極を備えた静電容量式タッチセンサにおいて、待機時及び動作時における消費電力を大幅に低減させると共に、誤検知の発生を抑制することができる。
本発明の第1実施形態における電子機器(リモコン)の外観図である。 本発明の第1実施形態における電子機器の電気ブロック図である。 本発明の第1実施形態における第1動作モードの説明図である。 本発明の第1実施形態における第1動作モードの説明図である。 本発明の第1実施形態における第2動作モードの説明図である。 本発明の第1実施形態における第3動作モードの説明図である。 本発明の第1実施形態における静電容量式タッチセンサの検出動作の流れを示す説明図である。 本発明の第1実施形態における静電容量式タッチセンサの動作フローである。 本発明の第1実施形態における静電容量式タッチセンサの動作フローである。 本発明の第2実施形態における電子機器(リモコン)の外観図である。 本発明の第2実施形態における電子機器の電気ブロック図である。 本発明の第2実施形態における静電容量式タッチセンサの動作フローである。 本発明の第2実施形態における静電容量式タッチセンサの動作フローである。
図1乃至図8を参照して、本発明の第1実施形態による静電容量式タッチセンサ(以下、「タッチセンサ」ともいう)を説明する。まず、図1及び図2により、タッチセンサの構成を説明する。
本実施形態は、温水洗浄便座用のリモコンにタッチセンサを適用した例である。図1に示すように、リモコン1は、複数のスイッチ2a−2hと、液晶表示部3を有している。
複数のスイッチには、「止め」(スイッチ2a)、「おしり洗浄」(スイッチ2b)、「ビデ洗浄」(スイッチ2c)、「温風乾燥」(スイッチ2d)、「便器大洗浄」(スイッチ2e)、「便器小洗浄」(スイッチ2f)、「便座開閉」(スイッチ2g)、「便蓋開閉」(スイッチ2h)が含まれる。これらのスイッチのうち、4つのスイッチ2a−2dが静電容量式スイッチである。
図2は、リモコン1のセンサ回路の構成を示している。本実施形態のリモコン1は、CPUを備えた制御部10と、4つのスイッチ2a−2dに対応した電極としての電極20と、電極20からの検出信号を処理する検出回路30とを備えている。
制御部10は、出力ポートP01,P02,P03,P04,P11,P12と、入力ポートP20を有している。出力ポートP01,P02,P03,P04は、4つのスイッチにそれぞれ接続されており、パルス出力手段としての制御部10は、複数のパルスの列からなるパルス送信信号(又は固定電圧の送信信号)V1,V2,V3,V4を出力する。なお、パルス信号又はパルス送信信号は、複数のパルスを含み、交互にオン/オフ(Hiレベル/Loレベルの電圧)が繰り返される信号である。出力ポートP11は、検出回路30へ複数の矩形パルス列からなるパルス信号のタイミング信号INTを出力する。出力ポートP12は、検出回路30へリセット信号RSTを出力する。入力ポートP20は、検出回路30からのアナログ積分出力を受ける。制御部10は、この積分出力をA/D変換したデジタル積分出力に基づいて、スイッチへの人体の近接を判定する。
電極20は、4つの電極21,22,23,24からなり、それぞれ送信電極21a及び受信電極21bと、送信電極22a及び受信電極22bと、送信電極23a及び受信電極23bと、送信電極24a及び受信電極24bを有している。各電極では、送信電極と受信電極が、静電結合するように互いに近接して配置されている。静電結合は、送信電極と受信電極の面積、距離、間に存在する物質の誘電率によって決定される。
いずれかの電極にユーザの指が接触又は近接すると、電極或いはその近傍は人体を介してGND電位(接地電位)にほぼ固定される。このとき、送信電極と受信電極の間にGND電位の電極(実際にはユーザの指)が入った状態となり、送信電極と受信電極との間の静電容量がGND電位の電極により遮断される。よって、送信電極と受信電極との間の結合容量は低下する。この結合容量の変化により、人体の近接を判断することができる。
送信電極21a,22a,23a,24aは、それぞれ出力ポートP01,P02,P03,P04に電気配線を介して接続されている。また、受信電極21b,22b,23b,24bは、電気的に互いに接続された状態で電気配線により検出回路30へ接続されている。制御部10の出力ポートから送信電極へパルス信号が送信されると、このパルス信号に基づく送信電極の電位変化により、対応する受信電極に電位変化が誘起される。これは、図2において、送信電極から受信電極への電気力線(破線)で表現されている。これにより、送信電極への送信信号の印加により、受信電極から誘導電圧出力が出力される。
検出回路30は、増幅手段と、反転手段と、積分手段を備えている。電極20からの出力配線は、コンデンサ31を介して固定電位であるGNDに接続されると共に、増幅手段に接続されている。したがって、制御部10からの送信信号は、送信電極及び受信電極からなるコンデンサとコンデンサ31との直列回路に印加される。
増幅手段は、抵抗32,34及びOPアンプ33を備えている。抵抗32は、電極20の出力配線に接続されると共に、OPアンプ33の反転入力に接続されている。したがって、OPアンプ33の反転入力には、送信電極及び受信電極からなるコンデンサとコンデンサ31との直列回路における、両コンデンサの接続部位の電位が入力される。なお、コンデンサ31は、受信電極から増幅手段へ繋がる回路の浮遊容量の影響を(相対的に)減らす目的で付加した静電容量であり、タッチ検出の動作原理的には不要である。抵抗34は、OPアンプ33の反転入力と出力との間に接続されている。OPアンプ33の非反転入力は、基準電圧源45に接続されている。基準電圧源45は、GNDに対して検出回路30の基準電圧Vref(例えば、1.5V)を提供する。
反転手段は、抵抗35,37及びOPアンプ36を備えている。抵抗35は、増幅手段の出力とOPアンプ36の反転入力との間に接続されている。抵抗37は、OPアンプ36の反転入力と出力との間に接続されている。OPアンプ36の非反転入力は、基準電圧源45に接続されている。抵抗35,37は同じ抵抗値であり、反転手段の入出力では、信号振幅が等しく、極性が反転される。
積分手段は、抵抗38と、OPアンプ39と、コンデンサ40を備えている。増幅手段及び反転手段の出力は、抵抗38を介して選択的にOPアンプ39の反転入力に入力される。コンデンサ40は、OPアンプ39の反転入力と出力との間に接続されている。OPアンプ39の非反転入力は、基準電圧源45に接続されている。積分手段は、積分処理によりコンデンサ40に形成された基準電圧Vrefとの電位差に基づく積分出力を制御部10の入力ポートP20へ出力している。
コンデンサ40の両端間には、リセット手段としてのアナログスイッチ41が接続されている。アナログスイッチ41は、常時はオフであり、制御部10からのリセット信号RSTによりオンされるように構成されている。リセット信号RSTにより、アナログスイッチ41が所定期間オンになると、コンデンサ40の両端電圧がゼロリセットされる。
更に、積分手段は、選択手段としてのアナログスイッチ42,43及びインバータ回路(反転回路)44を備えている。インバータ回路44の入出力では、信号の極性が反転される。アナログスイッチ42は、増幅手段の出力と積分手段の抵抗38との間に配置されており、制御部10からのタイミング信号INTによりオン、オフされるように構成されている。一方、アナログスイッチ43は、反転手段の出力と積分手段の抵抗38との間に配置されており、インバータ回路44によって反転されたタイミング信号INTによりオン、オフされるように構成されている。したがって、アナログスイッチ42,43は、タイミング信号INTの出力中は、一方がオンのとき他方がオフであり、一方がオフのとき他方がオンとなり、時間的に交互にオン、オフする。
タイミング信号INTは、Hi/Lo電位レベルが切り替わる所定周波数の矩形波パルス信号である。アナログスイッチ42,43は、タイミング信号INT又は反転タイミング信号INTのHiレベル電位が入力したときにオンとなり、その他の期間はオフとなる。
なお、本実施形態では、タイミング信号INTは、デューティー比が50%のパルス信号であり、HiレベルとLoレベルのパルス幅が同じであるが、必ずしもデューティー比は50%でなくてもよい。
次に、図3乃至図8により、本実施形態のタッチセンサの動作を説明する。
本実施形態のタッチセンサは、第1動作モード(待機モード)、第2動作モード(分別モード又は絞込みモード)、第3動作モード(確認モード)で動作するように構成されている。
第1動作モードは、タッチセンサが操作されるのを待機するモードである。まず、図3により、ユーザが電極20に近接又は触れていない待機状態を説明する。
第1動作モードにおいて、図3に示すように、制御部10は、検出処理動作開始時の時間T0にリセット信号RSTを出力ポートP12から出力してアナログスイッチ41をオンにし、コンデンサ41の電位差をゼロリセットする。これにより、積分手段の出力(積分値)は、基準電圧源45の基準電圧Vrefとなる。
次に、パルス出力手段としての制御部10は、タイミング信号INTを出力ポートP11から出力する。これにより、タイミング信号INTのパルス信号がHiレベルのときに、アナログスイッチ42がオンになる。一方、インバータ回路44で極性が反転された反転タイミング信号INTがHiレベルのとき(すなわち、タイミング信号INTがLoレベルのとき)に、アナログスイッチ43がオンになる。
制御部10は、タイミング信号INTに同期して出力ポートP01,P02,P03,P04からパルス信号V1,V2,V3,V4を出力する。その際、制御部10は、複数の出力ポート(又は、電極20)を2つのグループにグループ分けする。本実施形態では、電極20の総数が4個であり、偶数であるので、各グループを等しい数に分ける。すなわち、グループ間で、各電極の静電結合の総和が略等しくなるようにグループ分けが行われる。この例では、第1グループが出力ポートP01,P02(電極21,22)であり、第2グループが出力ポートP03,P04(電極23,24)である。
なお、電極の総数が奇数である場合は、等分することができないので、いずれかのグループが1個多くなる。第1動作モードにおいてグループ間で電極の数を等しくできなくても、後述する閾値を適宜に設定することにより、ユーザの指等が近接した電極を含むグループを特定することが可能である。
制御部10は、出力ポートから信号を出力するモードとして、3つの出力モードを有している。第1出力モードでは、タイミング信号INTと同期した同じ周波数且つ同じ極性の矩形パルス信号が出力される。第2出力モードでは、タイミング信号INTと同期した同じ周波数ではあるが、逆極性の矩形波パルス信号が出力される。すなわち、第1出力モードと第2出力モードでは、極性が逆のパルス信号が出力される。また、第3出力モードでは、固定電圧の信号が出力される。具体的には、パルス信号は、例えば、Hi電位レベル(通常、回路の電源電圧であり、例えば、3V)とLo電位レベル(通常、接地電位の0V)が4回切り替わるパルス出力であり、固定電圧をLo電位レベルと同じ(例えば、0V)とすることができる。または、固定電圧をHi電位レベルとしてもよい。なお、パルス信号の切り替わり回数は、1回以上であれば4回でなくても良いが、消費電力を過度に増加してしまわない範囲で、ノイズ除去の観点から複数回が好ましい。
本実施形態では、図3に示すように、第1グループを第1出力モードで動作させ、第2グループを第2出力モードで動作させる。
電極21,22,23,24では、制御部10の各出力ポートからパルス信号V1,V2,V3,V4を送信電極21a,22a,23a,24aで受け、これにより、対応する受信電極21b,22b,23b,24bに電位変化が誘起される。
期間T1−T2において、電極21,22では、送信電極にHi電位レベルのパルスが入力し、これにより、受信電極に正方向の電圧が誘起されるが、電極23,24では、送信電極にLo電位レベルのパルスが入力するので、受信電極にはLo電位レベルに応じた電圧が誘起される。しかしながら、4つの受信電極は電気的に接続されているので同電位となり、電極20から検出回路30へある電位の受信信号(受信電極電圧)が出力される。
そして、次の期間T2−T3においては、期間T1−T2と同様に、電極21,22にはLo電位レベルのパルスが入力され、電極23,24にはHi電位レベルのパルスが入力するので、期間T1−T2と同じ大きさの受信信号が出力される。このように、ユーザがスイッチ(電極20)を操作しない状態(指等を近接又はタッチしない状態)では、タイミング信号INTのHiレベル期間とLoレベル期間における入力がバランスするので、期間T1−T9まで一定の振幅の受信信号が出力される。
検出回路30の増幅手段では、基準電圧Vrefを基準として受信信号を増幅する。このとき、ユーザ操作がないので、増幅手段の出力はゼロ(信号としてはゼロだが、出力電位は基準電圧Vref)となる。実際には、ノイズ成分等がふくまれるので増幅手段の出力はわずかな値を有する。また、反転手段では、増幅手段の出力を基準電圧Vrefに対して等振幅で反転させる。
検出回路30の積分手段では、増幅手段と反転手段の出力を交互に選択的に受ける。具体的には、タイミング信号INTがHiレベルのときに増幅手段の出力が入力され、Loレベルのときに反転手段の出力が入力される。例えば、期間T1−T2において、増幅手段の出力が積分手段によって積分され、続く期間T2−T3において、反転手段の出力が積分手段によって積分される。そして、期間T1−T3の積分動作が、期間T1−T9において合計4回繰り返される。図3では、この積分動作により、積分出力Vintが得られる。
なお、積分出力Vintは、基準電圧Vrefを基準値として正負の値をとるものとして説明する。すなわち、積分出力Vintは、回路的には0Vを基準とした電位であるため、基準電圧Vref分のオフセットが加わっており、積分手段の出力信号として扱うには不適当である。つまり、Vintと基準電圧Vrefとの差[Vint−Vref]を信号という意味の積分出力として扱うべきだが、説明が煩雑になるので、これをVintとして説明する。
期間T1−T3の積分動作は、信号の積分という信号蓄積作用だけではなく、ノイズ除去効果を有している。つまりノイズとなる信号の周波数が、期間T1−T3を1周期とする周波数に一致しなければ、期間T1−T2と期間T2−T3で積分量が相殺され、ノイズは低減される。よって、期間T1−T3の動作だけで、ひとつのノイズ除去積分動作と言うことができる。これにより、積分出力のS/N比を向上させることができる。
なお、本実施形態では、積分回数を4回に設定しているが、積分回数が多いほど信号量とノイズ除去性能が向上し、積分回数を多く設定する方が検出感度とS/N比にとって有利であるため、積分回数に制限はない。
待機状態において、パルス信号の送信期間(T1−T9)の終了後、直ちに積分手段出力をA/D変換する。なお、検出回路30に常時通電を行っていると消費電力の低減ができないため、図3のT0のタイミングで検出回路30の電源をオンし、A/D変換が終了したT10のタイミングで電源をオフするように構成する。図3には示していないが、検出回路30のOPアンプ33、36、39に制御部10から操作可能な電源スイッチを設ければよい。判定手段としての制御部10は、A/D変換した積分出力(積分値)Vintを閾値と比較して、いずれかの電極21−24に対してユーザの指等の近接があったか否かを判定する。本実施形態では、閾値として、基準電圧Vrefに対する正側の第1閾値Vth1と負側の第2閾値Vth2が設定されており、これらの絶対値は同じ値Vthである(Vth1=Vth、Vth2=−Vth)。
なお、第1閾値と第2閾値の絶対値を異ならせてもよい。
図3の場合は、積分出力Vintが第1閾値Vth1と第2閾値Vth2のいずれにも達していないので(−Vth<Vint<Vth)、制御部10は、いずれの電極21−24に対してもユーザの指等の近接がないと判定する。この非近接の判定の場合、制御部10は、所定の検出周期毎に第1動作モード(待機モード)を繰り返す。
したがって、本実施形態の待機モードでは、1回の検出周期当たりで1回の検出処理動作を行うのみであり、すべての電極に対して個々に検出処理動作を行う場合と比べて、待機時消費電力を大幅に低減することができる。
次に、図4により、第1動作モードにおいて、ユーザが電極20を操作した場合について説明する。
ユーザの指等がいずれかの電極に近接すると(この例では、ユーザは電極23をタッチする)、送信電極23aに入力したパルス信号V3により、受信電極23bに誘起されるはずの誘起電圧がほとんど誘起されなくなる。このため、電極23には実質的に送信信号V3が入力されず、電極21,22に第1出力モードの送信信号V1,V2が入力され、電極24に第2出力モードの送信信号V4が入力される状況と等しくなる。
このため、受信信号は、電極23への入力信号V2と逆極性(すなわち、タイミング信号INTと同極性)で変動するものとなる。したがって、受信信号を反転増幅する増幅手段は、タイミング信号INTと逆極性で変動する増幅信号を出力し、更にこれを等振幅で反転する反転手段は、タイミング信号INTと同極性で変動する反転信号を出力する。
積分手段は、増幅信号と反転信号をタイミング信号INTのパルスの切り替わりに同期して交互に選択して積分し、積分出力Vintを入力ポートP20へ出力する。図4に示すように、積分手段への入力信号は基準電圧Vrefに対して負の値を有し、積分手段がこれを反転して積分するので、積分出力Vintは、複数回の積分により基準電圧Vrefに対して正の値となる。
制御部10は、この積分出力Vintの大きさ(振幅)と極性に基づいて、第1グループと第2グループのいずれのグループの電極にユーザの指等が近接またはタッチしたのかを判定する。すなわち、制御部10は、積分出力Vintが第1閾値Vth1以上であるので(Vint≧Vth)、閾値を超えているからユーザの指等がいずれかの電極に近接したと判定する。
更に、制御部10は、積分出力Vintが正方向の値であるから、タイミング信号INTに対して逆極性のパルス信号が入力した電極である第2グループに、ユーザの指等が近接したと判定する。
なお、タイミング信号INTに対して同極性のパルス信号が入力した第1グループの電極にユーザの指等が近接した場合は、積分出力Vintは基準電圧Vrefに対して負方向の値となる。
第1動作モードにおいて、制御部10がいずれかの電極へのユーザの指等の近接を判定すると、第1動作モードが終了し、第2動作モードへ移行する。
次に、図5により、第2動作モードについて説明する。
第2動作モードへ移行すると、制御部10は、ユーザの指等の近接があったと判定したグループ(この例では第2グループ)の電極を更に第1グループと第2グループにグループ分けする。グループ分けは、対象の電極の総数が偶数であれば2等分し、奇数であれば任意に選択した1つの電極を除いた他の電極を2等分する(奇数の場合は、第2実施形態で説明する)。この例では、対象の電極の総数が偶数(2個)であるので、第1グループは電極23のみであり、第2グループは電極24のみである。
制御部10は、リセット信号RSTを出力後、第2動作モードにおいて設定された第1グループを第1出力モードで動作させ、第2グループを第2出力モードで動作させる。また、第1動作モードでユーザの指等が近接した電極を含むと判定されなかったグループの電極(この例では、電極21,22)には、第2動作モードにおいて、第3出力モードにより固定電圧の信号が印加される。
なお、電極21,22への固定電圧信号は、積分出力に実質的に影響を与えない。
図5の例では、ユーザの指等が近接している電極23には、タイミング信号INTと同極性のパルス信号V3が入力されているが、ユーザの指等の近接により、電極23にはパルス信号V3が実質的に入力していないものと見なせる。このため、図5の例では、電極21,22及び23には実質的に信号が入力せず、電極24のみに反転パルス信号V4が入力しているものと見なせる。
したがって、主に電極24への反転パルス信号V4の入力に起因して、積分出力Vintは負方向の値となり、この積分出力Vintは第2閾値Vth2に達する(Vint≦−Vth)。これにより、制御部10は、積分出力Vintの大きさと極性から、タイミング信号INTと同極性のパルス信号が入力したグループ(この例では第1グループ)に、ユーザの指等が近接した電極が含まれると判断する。
すなわち、積分出力Vintの大きさが、第2閾値Vth2に達しているので、いずれかのグループ内で指等の近接があると判定し、更に、積分出力Vintが基準電圧Vrefに対して負方向で閾値に達しているのでタイミング信号INTと同極性のパルス信号が入力したグループが特定される。したがって、図5の例では、第1グループ(すなわち、電極23)が指等の近接があった電極であると特定される。
第2動作モードにおいて、制御部10がユーザの指等の近接があった電極を1つに特定できたので、第2動作モードは終了し、第3動作モードへ移行する。
なお、この例では、1回の第2動作モードの実行により、指等の近接があった電極が1つに特定されたが、第2動作モードで特定されたグループに複数の電極が含まれる場合は、更に第2動作モードを繰返し実行することにより、唯一の電極に絞り込む処理を行うことができる。
次に、図6により、第3動作モードについて説明する。
第3動作モードへ移行すると、制御部10は、ユーザの指等の近接を判定した電極(この例では、電極23)のみにパルス信号V3を入力し、特定されなかった他の電極には固定電圧の信号を入力する。
制御部10は、リセット信号RSTを出力後、電極23を第1出力モードで動作させ、他の電極21,22及び24を第3出力モードで動作させる。
図6の例では、ユーザの指が近接している電極23には、タイミング信号INTと同極性のパルス信号V3が入力されているが、ユーザの指等の近接により、電極23にはパルス信号が実質的に入力していないものと見なせる。このため、図6の例では、すべての電極21−24に実質的に信号が入力していないものと見なせる。
したがって、積分出力Vintは、第1閾値Vth1と第2閾値Vth2のいずれにも達しない(−Vth<Vint<Vth)。これにより、制御部10は、パルス信号を入力している電極23にユーザの指等が依然として近接していることを確認する。
一方、ユーザが電極23への操作を終了し、電極23から指等を離すと、電極23へのパルス信号V3の入力に起因して、受信電圧は、図4で示したように変動した値となる。これにより、積分出力Vintは、第1閾値Vth1以上の値となる。
制御部10は、第3動作モードにおいて、積分出力Vintが第1閾値又は第2閾値に達していることを判定すると、ユーザの指等が電極から離れたものと判定する。この判定により、第3動作モードが終了し、再び第1動作モード(待機モード)へ戻る。
図7に図3−図6に示した例の全体的な流れを示す。
図7では、第1動作モードの検出周期を期間T100で示している。本実施形態では、検出周波数が8Hz(検出周期が125msec)である。このため、第1動作モードでユーザの指等の近接が検出されない場合は、検出周期当たり1回の検出動作のみが行われる。これは、電極20に含まれる電極の総数にかかわらず1回である。また、本実施形態では、1回の検出動作に要する検出処理時間(T0−T10)は、例えば2msec程度である。
したがって、ユーザ操作がない待機状態では、検出動作の頻度を少なくすることができ、その結果、ほとんどの時間において検出動作を行う必要がなくなるので、待機時消費電力を大幅に低減することができる。
第1動作モードの検出周期T100に続く、125msecの検出周期(T101−T103)でユーザ操作がある場合、期間T101(2msec)で積分出力Vintが第1閾値Vth1又は第2閾値Vth2に達する。積分出力Vintが第1閾値Vth1と第2閾値Vth2のいずれに達したかに応じて、ユーザが操作している電極が含まれるグループが特定される。さらに、ユーザが操作している電極を素早く特定するため、期間T101の終了後に引き続いて、検出周期の残りの期間において第2動作モードの期間T102(2msec)が開始される。
電極の総数に応じて第2動作モードが複数回実行されるが、この例では、第2動作モードが1回のみ行われることにより、ユーザの指等が近接した電極が特定されるので、期間T102の終了後に、検出周期の残りの期間において第3動作モードの期間T103が開始される。
期間T101の開始から、検出周期(125msec)が経過する前に、期間T102及び期間T103が終了する。
このように、分別モードである第2動作モードでは、電極のグループ分けを実行して、複数の中から検出すべき電極を絞っていくので、従来のように、個別の電極に対して検出動作を順次に行っていく場合と比べて、検出動作の回数を低減することができる。よって、本実施形態では、分別モードにおいても、消費電力の低減を図ることができる。
期間T101−T103の検出期間(125msec。但し、検出動作を行っているのは計6ms)に引き続く新たな検出期間では、ユーザ操作が終了するまで第3動作モードが繰返し実行される。この例では、第3動作モードが検出期間T104(125msec),検出期間T105(125msec)において繰り返されている。
第3動作モードの検出期間T105において、ユーザの指等が電極から離れると、検出期間の終了により、第3動作モードが終了し、次の検出期間では、再度、第1動作モードが繰り返される。
このように、確認モードである第3動作モードでは、特定した電極に対してのみ検出動作を行うので、第3動作モードでの検出周期当たり1回の検出動作のみが行われる。よって、本実施形態では、確認モードにおいても、消費電力の低減を図ることができる。
次に、図8A及び図8Bにより、本実施形態のタッチセンサの検出処理の動作フローを説明する。
この動作フローは、8Hz毎に実行される。このため、制御部10は、前回の検出周期(125msec)が終了するのを待つ(ステップS1)。
次に、制御部10は、第1動作モードを実行するため、グループ分けに基づいて、タイミング信号INTと同極性のパルス信号(これを、動作フローにおいて「正パルス」と記載する)V1,V2を出力ポートP01,P02(第1グループ)から出力し、逆極性のパルス信号(これを、動作フローにおいて「負パルス」と記載する)V3,V4を出力ポートP03,P04(第2グループ)から出力する(ステップS2)。
パルス信号の出力に伴い、検出回路30は、増幅処理、反転処理及び積分処理を実行し、積分出力Vintを制御部10の入力ポートP20へ出力する(ステップS3)。
制御部10は、積分出力Vintを受けると、積分出力Vintと閾値とを比較する(ステップS4)。
積分出力Vintが第1閾値Vth1と第2閾値Vth2のいずれにも達していない場合(ステップS4;−Vth<Vint<Vth)、制御部10は、いずれの電極もユーザによって操作されていないと判定して、今回の検出処理を終了する(ステップS5)。
また、積分出力Vintが第2閾値Vth2以下である場合(ステップS4;Vint≦−Vth)、制御部10は、第2動作モードへ移行する。この場合、積分出力Vintが負側に振れているので、制御部10は、正側(タイミング信号INTと同極性)の電極の第1グループに人体の近接があったものと判定する。そして、このグループを更にグループ分けし、第1グループの出力ポートP01から電極21へタイミング信号INTと同極性のパルス信号V1を出力し、第2グループの出力ポートP02から電極22へ逆極性のパルス信号V2を出力し、他の出力ポートP03,P04からは固定電位の信号(GND=0V)を出力する(ステップS6)。
次いで、ステップS3と同様に積分処理等が実行され(ステップS7)、ステップS8へ移行する。
一方、積分出力Vintが第1閾値Vth1以上である場合(ステップS4;Vint≧Vth)、制御部10は、第2動作モードへ移行する。この場合、積分出力Vintが正側に振れているので、制御部10は、負側(タイミング信号INTと逆極性)の電極の第2グループに人体の近接があったものと判定する。そして、このグループを更にグループ分けし、第1グループの出力ポートP03から電極23へタイミング信号INTと同極性のパルス信号V3を出力し、第2グループの出力ポートP04から電極24へ逆極性のパルス信号V4を出力し、他の出力ポートP01,P02からは固定電位の信号を出力する(ステップS16)。
次いで、ステップS3と同様に積分処理等が実行され(ステップS17)、ステップS18へ移行する。
再び、ステップS8に戻ると、制御部10は、積分出力Vintの比較処理を行う。
積分出力Vintが第1閾値Vth1と第2閾値Vth2のいずれにも達していない場合(ステップS8;−Vth<Vint<Vth)、制御部10は、複数の電極が同時にユーザによってタッチされたものと見なして、処理を終了する(ステップS5)。
なお、この処理は、本実施形態のタッチセンサを適用する電子機器(例えばリモコン)が、複数のスイッチの同時タッチ操作を無効とする動作仕様の場合であり、同時タッチによって何かを行う動作仕様であれば、それに応じた判定処理にしても良い。
また、積分出力Vintが第2閾値Vth2以下である場合(ステップS8;Vint≦−Vth)、制御部10は、第3動作モードへ移行する。この場合、積分出力Vintが負側に振れているので、制御部10は、正側(タイミング信号INTと同極性)の電極の第1グループに人体の近接があったものと判定する。第1グループには電極21しか含まれていないから、ユーザが電極21を操作しようとしていることが判定される(ステップS9)。
制御部10は、確認モードにおいて、特定された電極21に対してタイミング信号INTと同極性のパルス信号V1を出力し、他の電極22−24には固定電圧の信号を出力する(ステップS10)。
一方、積分出力Vintが第1閾値Vth1以上である場合(ステップS8;Vint≧Vth)、制御部10は、第3動作モードへ移行する。この場合、積分出力Vintが正側に振れているので、制御部10は、負側(タイミング信号INTと逆極性)の電極の第2グループに人体の近接があったものと判定する。第2グループには電極22しか含まれていないから、ユーザが電極22を操作しようとしていることが判定される(ステップS11)。
制御部10は、確認モードにおいて、特定された電極22に対してタイミング信号INTと同極性のパルス信号V2を出力し、他の電極21,23,24には固定電圧の信号を出力する(ステップS12)。
再び、ステップS18に戻ると、制御部10は、積分出力Vintの比較処理を行う。
積分出力Vintが第1閾値Vth1と第2閾値Vth2のいずれにも達していない場合(ステップS18;−Vth<Vint<Vth)、制御部10は、複数の電極が同時にユーザによってタッチされたものと見なして、処理を終了する(ステップS5)。
また、積分出力Vintが第2閾値Vth2以下である場合(ステップS18;Vint≦−Vth)、制御部10は、第3動作モードへ移行する。この場合、積分出力Vintが負側に振れているので、制御部10は、正側(タイミング信号INTと同極性)の電極の第1グループに人体の近接があったものと判定する。第1グループには電極23しか含まれていないから、ユーザが電極23を操作しようとしていることが判定される(ステップS19)。
制御部10は、確認モードにおいて、特定された電極23に対してタイミング信号INTと同極性のパルス信号V3を出力し、他の電極21,22,24には固定電圧の信号を出力する(ステップS20)。
一方、積分出力Vintが第1閾値Vth1以上である場合(ステップS18;Vint≧Vth)、制御部10は、第3動作モードへ移行する。この場合、積分出力Vintが正側に振れているので、制御部10は、負側(タイミング信号INTと逆極性)の電極の第2グループに人体の近接があったものと判定する。第2グループには電極24しか含まれていないから、ユーザが電極24を操作しようとしていることが判定される(ステップS21)。
制御部10は、確認モードにおいて、特定された電極24に対してタイミング信号INTと同極性のパルス信号V4を出力し、他の電極21−23には固定電圧の信号を出力する(ステップS22)。
元に戻って、ステップS10,S12,S20,S22において、確認モードでのパルス信号を出力すると、制御部10は、同様に積分処理等を実行し(ステップS13)、積分出力Vintの比較処理を行う(ステップS14)。
積分出力Vintが第1閾値Vth1に達していない場合(ステップS14;Vint<Vth)、制御部10は、特定した電極にユーザの指等が依然として近接又はタッチしている状態であると判定して、今回の検出期間が終了するのを待つ(ステップS15)。
今回の検出期間が終了すると、再びステップS13に戻り、積分処理等を実行し、ステップS14を繰り返す。なお、ステップS13の実行時には、特定された電極へパルス信号、他の電極へ固定電圧の信号が出力される。
一方、積分出力Vintが第1閾値Vth1以上である場合(ステップS14;Vint≧Vth)、制御部10は、特定した電極からユーザの指等が離れたと判定して、処理を終了してステップS1の第1動作モードに戻る。
次に、図9乃至図11により、本発明の第2実施形態によるタッチセンサを説明する。
なお、第2実施形態では、理解の容易のため、主に第1実施形態との相違点について説明する。第2実施形態は、静電容量式スイッチの数が6個の場合である。
本実施形態のリモコン101と第1実施形態のリモコン1の相違は、リモコン101が、静電容量式スイッチ2i(「おしりやわらか」),2j(「ワイドビデ」)を更に備えていることである。
図10に示すように、電極20は、スイッチ2i,2jに対応する電極25,26を更に備えており、それぞれの送信電極25a,26aに対して制御部10の出力ポートP05,P06からパルス信号V5,V6が送信されるように構成されている。また、電極25,26の受信電極25b,26bは、他の受信電極と同様にこれらに電気的に接続されている。
図11により、第2実施形態のタッチセンサの動作フローを説明する。
ステップS101−S105は、第1実施形態のステップS1−S5と同様である。ただし、ステップS102において、制御部10は、電極21−23を第1グループとして第1出力モードでパルス信号V1−V3を出力し、電極24−25を第2グループとして第2出力モードでパルス信号V4−V6を出力する。
ステップS104で、積分出力Vintが第2閾値Vth2以下である場合(ステップS104;Vint≦−Vth)、制御部10は、第1動作モードから第2動作モードへ移行し、第1動作モードでの第1グループのいずれかの電極にユーザの指等が近接したと判定し、この判定グループに対して更にグループ分けを実行する。この場合、判定グループに含まれる電極の数が奇数(3個)である。よって、2等分することができない。このため、制御部10は、まず電極22を除外した残りの電極を2つのグループに分ける。すなわち、電極21を第1グループに設定し、電極23を第2グループに設定する。また、除外した電極22を第3グループに設定する。
そして、制御部10は、第1グループに対して第1出力モードでパルス信号を出力し、第2グループに対して第2出力モードでパルス信号を出力し、第3グループ(除外した電極22)に対して第3出力モードで固定電圧の信号を出力する(ステップS106)。
次いで、ステップS7と同様に積分処理等(ステップS107)を実行し、積分出力Vintの比較処理(ステップS108)を実行する。
比較処理において、積分出力Vintが第2閾値Vth2以下である場合(Vint≦−Vth)、制御部10は、第1出力モードでパルス信号を出力した第2動作モードでの第1グループにユーザの指等が近接した電極が含まれると判定する。第1グループには、電極21しか含まれないから、制御部10は、電極21をユーザが操作していると判定する(ステップS109)。次いで、制御部10は、第3動作モードに移行し、特定した電極21に対して、第1出力モードでパルス信号V1を出力し、他の電極には固定電圧の信号を出力する。
また、比較処理において、積分出力Vintが第1閾値Vth1と第2閾値Vth2のいずれにも達していない場合(−Vth<Vint<Vth)、制御部10は、第3出力モードで信号を出力した第2動作モードでの第3グループにユーザの指等が近接した電極が含まれると判定する。すなわち、第3グループには、第3出力モードで出力しているので、人体の近接にかかわらず積分出力は影響をほとんど受けないからである。第3グループには、電極22しか含まれないから、制御部10は、電極22をユーザが操作していると判定する(ステップS111)。次いで、制御部10は、第3動作モードに移行し、特定した電極22に対して、第1出力モードでパルス信号V2を出力し、他の電極には固定電圧の信号を出力する。
また、比較処理において、積分出力Vintが第1閾値Vth1以上である場合(Vint≧Vth)、制御部10は、第2出力モードでパルス信号を出力した第2動作モードでの第2グループにユーザの指等が近接した電極が含まれると判定する。第2グループには、電極23しか含まれないから、制御部10は、電極23をユーザが操作していると判定する(ステップS113)。次いで、制御部10は、第3動作モードに移行し、特定した電極23に対して、第1出力モードでパルス信号V3を出力し、他の電極には固定電圧の信号を出力する。
一方、ステップS104の比較処理において、積分出力Vintが第1閾値Vth1以上である場合(ステップS104;Vint≧Vth)、制御部10は、第1動作モードから第2動作モードへ移行し、第1動作モードでの第2グループのいずれかの電極にユーザの指等が近接したと判定し、この判定グループに対して、ステップS106と同様に更にグループ分けを実行する。この場合も判定グループに含まれる電極の数が奇数(3個)であるので、制御部10は、電極24,25,26をそれぞれ第1,第3,第2グループに設定する。
次いで、ステップS107と同様に積分処理等(ステップS119)を実行し、積分出力Vintの比較処理(ステップS120)を実行する。
比較処理において、積分出力Vintが第2閾値Vth2以下である場合(Vint≦−Vth)、積分出力Vintが第1閾値Vth1以上である場合(Vint≧Vth)、積分出力Vintが第1閾値Vth1以上である場合(ステップS104;Vint≧Vth)のそれぞれにおいて、制御部10は、第1,第3,第2グループにユーザの指等が近接した電極が含まれると判定する。その結果、ステップS121,S123,S125において、電極24,25,26が人体の近接した電極であると特定される。更に、ステップS122,S124,S126において、それぞれ特定された電極に対して、第1出力モードでパルス信号が出力され、他の電極に対して固定電圧の信号が出力される。
ステップS110,S112,S114,S122,S124,S126において、第3動作モードである確認モードにおけるパルス信号を出力すると、第1実施形態のステップS13−S15と同様に、ステップS115−S117が実行される。
このように、第2実施形態では、第1動作モードの実行の結果、特定されたグループに含まれる電極の数が奇数である場合に、更に絞り込みを実行するように構成されている。したがって、電極の総数が、2以上の任意の数であっても、第1実施形態と第2実施形態における第2動作モードを組み合わせることにより、唯一の電極に絞り込むことができる。すなわち、絞り込まれた電極の数が偶数か奇数かに応じて、偶数の場合は第1実施形態の第2動作モードを実行し、奇数の場合は第2実施形態の第2動作モードを実行するように構成してもよい。
なお、上記実施形態では、第1動作モードにより特定されたグループを、第2動作モードにおいて、更にグループ分けしてユーザの指等が近接した電極を絞り込んでいくが、これに限らず、第1動作モードにより特定されたグループ内の複数の電極の各々に対して、順次に第3動作モードと同様の検出処理を行って、ユーザの指等が近接した電極を1つに特定してもよい。
1 リモコン
10 制御部
20 電極(検出部)
30 処理回路

Claims (6)

  1. 所定周波数のパルス信号を出力するパルス出力手段と、
    互いに近接して配置され静電結合された送信電極及び受信電極を有し、前記送信電極に前記パルス信号が印加されることにより前記受信電極が誘導電圧出力を出力するように構成された検出部と、
    前記受信電極から受けた誘導電圧出力を増幅して増幅出力を出力する増幅手段と、
    前記増幅手段から受けた増幅出力の極性を反転させて反転出力を出力する反転手段と、 前記増幅出力及び前記反転出力を、前記パルス信号に同期して交互に選択して積分し積分出力を出力する積分手段と、
    前記積分手段から受けた積分出力に基づいて、前記検出部への人体の近接を判定する判定手段と、を備えた静電容量式タッチセンサにおいて、
    前記検出部を複数有し、
    前記複数の検出部を構成する複数の受信電極は、互いに電気的に接続されており、
    前記パルス出力手段は、前記複数の検出部を構成する複数の送信電極の各々に対して、前記パルス信号を印加する第1出力モードと、前記パルス信号の極性を反転させた反転パルス信号を印加する第2出力モードとを備え、
    前記静電容量式タッチセンサは、前記複数の検出部のいずれかに人体が近接したことを検出する第1動作モードを備えており、この第1動作モードにおいて、
    前記パルス出力手段は、前記複数の検出部を第1グループと第2グループとにグループ分けし、前記第1グループに属する検出部の送信電極へ前記第1出力モードで前記パルス信号を印加し、前記第2グループに属する検出部の送信電極へ前記第2出力モードで前記反転パルス信号を印加し、
    前記積分手段は、前記増幅出力及び前記反転出力を、前記パルス信号及び前記反転パルス信号に同期して交互に選択して積分し積分出力を算出し、
    前記判定手段は、前記積分出力が、基準値に対して正側の第1閾値以上又は負側の第2閾値以下である場合、前記複数の検出部のいずれかに人体の近接があったと判定し、前記積分出力が、前記第1閾値より小さく且つ前記第2閾値よりも大きい場合、前記複数の検出部のいずれにも人体の近接がないと判定することを特徴とする静電容量式タッチセンサ。
  2. 前記第1動作モードにおいて、前記第1グループに属する検出部の送信電極と受信電極の静電結合の総和と、前記第2グループに属する検出部の送信電極と受信電極の静電結合の総和が、略等しくなるようにグループ分けが実行されることを特徴とする請求項1に記載の静電容量式タッチセンサ。
  3. 前記第1動作モードにおいて、前記積分出力が、前記第1閾値以上又は前記第2閾値以下であるときに第2動作モードに移行し、この第2動作モードにおいて、
    前記判定手段は、前記積分出力が前記第1閾値以上であるか前記第2閾値以下であるかに応じて、人体の近接がある検出部がいずれのグループに含まれるかを判定し、
    前記パルス出力手段は、人体の近接がある検出部が含まれると判定された判定グループの検出部を更に第2動作モードにおける第1グループと第2グループにグループ分けし、前記第2動作モードにおける第1グループに属する検出部の送信電極へ前記第1出力モードで前記パルス信号を印加し、前記第2動作モードにおける第2グループに属する検出部の送信電極へ前記第2出力モードで前記反転パルス信号を印加し、
    前記パルス出力手段は、人体の近接がある検出部が含まれると判定されなかった非判定グループの検出部の送信電極には固定電圧を印加する第3出力モードで固定電圧を印加し、
    前記積分手段は、前記積分出力を算出し、
    前記判定手段は、前記積分出力に基づいて、人体の近接がある検出部が前記第2動作モードにおける第1グループと第2グループのいずれに含まれるかを判定することを特徴とする請求項1又は2に記載の静電容量式タッチセンサ。
  4. 前記第2動作モードでは、前記判定グループを更にグループ分けするとき、前記判定グループに属する検出部の総数が偶数の場合は、前記検出部を2等分して、前記第2動作モードにおける第1及び第2グループを形成し、
    前記判定グループに属する検出部の総数が奇数の場合は、1つの検出部の送信電極のみに固定電圧を印加し、他の検出部を2等分して、前記第2動作モードにおける第1及び第2グループを形成することを特徴とする請求項3に記載の静電容量式タッチセンサ。
  5. 第3動作モードをさらに備え、この第3動作モードにおいて、
    前記パルス出力手段は、前記複数の検出部のうちの1つの検出部の送信電極に前記パルス信号を印加し、他の検出部の送信電極に固定電圧を印加し、
    前記積分手段は、積分出力を算出し、
    前記判定手段は、前記積分出力に基づいて、前記1つの検出部に人体の近接があるか否かを判定することを特徴とする請求項1ないし4のいずれか1項に記載の静電容量式タッチセンサ。
  6. 第3動作モードをさらに備え、この第3動作モードにおいて、
    前記パルス出力手段は、前記複数の検出部のうちの1つの検出部の送信電極に前記パルス信号を印加し、他の検出部の送信電極に固定電圧を印加し、
    前記積分手段は、積分出力を算出し、
    前記判定手段は、前記積分出力に基づいて、前記1つの検出部に人体の近接があるか否かを判定し、
    前記第1動作モードにおいて、前記積分出力が前記第1閾値以上又は前記第2閾値以下になったときに、前記第2動作モードへ移行し、
    前記第2動作モードにおいて、人体の近接がある検出部が1つに特定された場合に、前記第3動作モードに移行することを特徴とする請求項3又は4に記載の静電容量式タッチセンサ。
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