JP6064938B2 - 内燃機関の制御装置 - Google Patents

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Description

ここに開示する技術は、油圧駆動式のバルブ位相可変機構を備えた内燃機関の制御装置に関する。
特許文献1には、内燃機関の気筒に設けられる吸気弁及び排気弁のうちの少なくとも一方の開閉タイミング、いわゆるバルブタイミングを変更可能なバルブ位相可変機構を備えた内燃機関の制御装置の一例が記載されている。この制御装置は、例えば使用者による内燃機関の停止操作(つまり、イグニッションスイッチのオフ操作(停止操作))を検出したとき、気筒内に燃料を噴射する動作、及び気筒内の混合気に点火する動作等を所定の時間にわたって継続させた後に停止させる遅延制御を実行すると共に、この停止操作の検出から内燃機関の停止までの間にバルブ位相可変機構(Variable Valve Timing:VVT)を駆動させて、次回の始動に適したバルブタイミング(以下では、このタイミングに対応するバルブ位相可変機構の位置を始動位置と記載)に設定するようにしている。
また、特許文献2には、前記のような遅延制御を実行可能な制御装置を搭載した車両において、さらに、その内燃機関からの動力が駆動輪に伝達可能な状況にあるときには、遅延制御の実行を禁止する禁止手段を備えた構成が記載されている。この禁止手段は、遅延制御の実行により生じ得る問題の発生を予防する。例えば、自動変速機を備えた車両(AT車)において停止操作を検出したとき、自動変速機のレンジが走行レンジ(ドライブレンジ及びリバースレンジ等が該当)にあると判断したときには、車両の発進を防止すべく、遅延制御の実行を禁止するようにしている。
特開2002−357136号公報 特開2008−286127号公報
しかしながら、特許文献2の禁止手段には、遅延制御を一旦、開始してしまえば、それを実行している最中のドライバーの操作に対応できない、という不都合がある。例えば、特許文献2に記載の制御装置を備えたAT車では、遅延制御を実行している最中にブレーキペダルを開放した場合(つまり、ブレーキペダルの踏み込みを解除して、ブレーキ圧を開放した場合)には、禁止手段はもはや機能しないため、自動変速機のレンジ次第では、いわゆるクリープ現象により車両が発進してしまうことが懸念される。
また、手動変速機を備えた車両(MT車)に対し前記のような制御装置を適用した場合にも、遅延制御中の操作により問題が生じ得る。すなわち、遅延制御を実行している最中に、手動変速機のギアを非ニュートラル状態にすると共にクラッチペダルを開放した場合
(つまり、クラッチペダルの踏み込みを解除して、クラッチを締結した場合)には、駆動中の内燃機関と駆動輪とが手動変速機を介して連結してしまうため、いわゆる飛び出し及びエンストが生じてしまう恐れがある。
さらには、AT車及びMT車のうちのいずれについても、遅延制御を実行している最中にアクセルペダルを踏み込んだ場合には、内燃機関の機関回転数の急上昇、いわゆる吹け上がりが生じてしまう恐れがある。
以上のように、イグニッションスイッチをオフ操作したにも拘らず、発進、飛び出し、エンスト及び吹け上がり等を招くのは、実用性という点では不都合でありまた、特に、遅延制御を実行しないものと比べて操作感が異なるという点では、ドライバーに対して違和感を与えてしまう恐れがある。
ここに開示する技術は、かかる点に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、油圧駆動式のバルブ位相可変機構を備えた内燃機関の制御装置において、遅延制御を実行している最中のドライバーの操作に対応するように構成することにより、実用性を高めると共に、ドライバーに対する違和感を低減することにある。
本願発明者らは、遅延制御を実行している最中に、所定の挙動を招く操作を検出したときには、この遅延制御の強制終了を図ることにした。
具体的に、ここに開示する技術は、内燃機関からの動力により供給される油圧によって駆動され、該内燃機関のバルブタイミングを変更可能なバルブ位相可変機構と、前記内燃機関の停止命令を検出したとき、該内燃機関の作動を所定の遅延時間にわたって継続させた後に停止させる遅延制御を実行すると共に、前記停止命令の検出から前記内燃機関の停止までの間に前記バルブ位相可変機構を駆動させて該内燃機関のバルブタイミングを所定のタイミングに設定させるエンジン制御手段とを有し、車両に搭載される内燃機関の制御装置に係る。
そして、前記エンジン制御手段は、前記遅延制御を実行している最中に、前記車両の発進、又は前記内燃機関のストール若しくは機関回転数の上昇を招く操作を検出したときには、該遅延制御を強制終了する。
この構成によると、エンジン制御手段は、遅延制御を実行している最中に、車両の発進、飛び出し及び吹け上がり等を招く操作を検出したときには、遅延制御を強制終了する。ここで、「遅延制御の強制終了」とは、内燃機関の作動を所定の遅延時間にわたって継続させるのではなく、その所定の遅延時間に至る前に、内燃機関の作動を停止させることを意味する。内燃機関の作動停止は、所定の操作の検出をした後、できるだけ速やかに行うことが好ましい。こうすることで、この内燃機関の制御装置は、遅延制御実行中に、ドライバーの操作に起因して、車両の発進、飛び出し、内燃機関のストール、又は内燃機関の機関回転数の上昇といった車両や内燃機関の挙動の変化を抑制できるため、実用性を高めると共に、ドライバーに与え得る違和感を低減する上で有利になる。
また、前記エンジン制御手段は、前記遅延制御を実行している最中に、アクセルペダルが踏み込まれたことを検出したときには、前記内燃機関の機関回転数の上昇を招くとして、該遅延制御を強制終了するとしてもよい。
この構成によると、エンジン制御手段は、遅延制御を実行している最中に、機関回転数の急上昇、つまり吹け上がりが予想される操作を検出したときには、遅延制御を強制終了する。よって、この内燃機関の制御装置によると、イグニッションスイッチをオフ操作したにも拘わらず、内燃機関の吹け上がりが生じてしまう事態が避けられるため、実用性を高めると共に、ドライバーに与え得る違和感を低減する上で有利になる。
さらに、前記内燃機関の制御装置をMT車に適用した場合には、以下の様に構成してもよい。
前記内燃機関の出力は、手動変速機を介して駆動輪に伝達され、前記エンジン制御手段は、前記遅延制御を実行している最中に、前記手動変速機が動力伝達可能な状態にあり且つクラッチペダルが開放されたことを検出したときには、前記内燃機関のストールを招くとして、該遅延制御を強制終了する。
公知のように、MT車は、内燃機関と手動変速機との間で動力を伝達可能な状態(クラッチを締結した状態)と、動力伝達を遮断する状態(クラッチを開放した状態)とに切り替えるクラッチ機構を備えている。そして、手動変速機において所定の変速段が選択される(ギアイン)と共に、クラッチペダルの踏み込みが解除されたときには、クラッチ機構を作動させてクラッチを締結することによって、内燃機関からの動力を駆動輪に伝達可能な状態になり、飛び出しが生じてしまう恐れがある。さらに、こうしたMT車においては、アイドル状態のような内燃機関の機関回転数が低いときに、内燃機関と停止状態にある駆動系とを完全に連結させてしまうと、駆動系を十分に動作させることができずに内燃機関の回転が停止してしまう(エンジンストール、いわゆるエンスト)恐れがある。エンストになった場合は、メータランプなどが全て点灯状態になることから、内燃機関の停止操作後にエンストになってしまうと、ドライバーに対し、違和感を与えることになる。
この構成によると、エンジン制御手段は、遅延制御を実行している最中に、飛び出し及びエンストの発生が予想される操作、すなわち、内燃機関と駆動輪とが手動変速機を介して完全に連結してしまったことを検出したときには、遅延制御を強制終了し、内燃機関をただちに停止する。よって、この内燃機関の制御装置によると、イグニッションスイッチをオフ操作したにも拘らず、遅延制御による内燃機関の動作によって、飛び出し及びエンストしてしまう事態が避けられるため、実用性を高めると共に、ドライバーに与え得る違和感を低減する上で有利になる。
また、前記内燃機関の出力は、手動変速機を介して駆動輪に伝達され、クラッチペダル操作に独立して、クラッチを開放することにより、前記内燃機関と前記手動変速機との間の出力の伝達を遮断するクラッチリリース制御手段を備え、前記エンジン制御手段は、前記遅延制御を実行している最中に、前記クラッチリリース制御手段が前記クラッチを開放しているときには、前記クラッチペダル操作に拘わらず、該遅延制御を、前記所定の遅延時間にわたって継続するとしてもよい。
クラッチリリース制御とは、クラッチペダル操作とは独立して、例えば前記クラッチ機構を自動的に作動させて、クラッチを開放する制御である。この制御を、例えば、クラッチペダルの踏み込みが甘いことや、クラッチペダルを踏まずしてシフト操作を行おうとしたこと等を検知したときに実行することにより、飛び出し及びエンスト等を防止する。
この構成によると、エンジン制御手段は、遅延制御を実行している最中に、クラッチリリース制御を行っているときには、前記エンストが予想される操作(つまり、手動変速機においていずれかの変速段を選択し(ギアイン)かつ、クラッチを締結する操作)を検出したとしても、クラッチリリース制御によって飛び出し及びエンストは回避可能であるから、遅延制御を強制終了せずに継続する(つまり、内燃機関の作動を、停止させずに継続させる)。よって、この内燃機関の制御装置は、バルブ位相可変機構の始動位置までの移動を完了させる上で有利になる。
さらに、前記内燃機関の制御装置をAT車に適用した場合には、以下の様に構成してもよい。
前記内燃機関の出力は、自動変速機を介して駆動輪に伝達され、前記エンジン制御手段は、前記遅延制御を実行している最中に、前記自動変速機のレンジが走行レンジであり且つブレーキペダルが開放されたことを検出したときには、前記車両の発進を招くとして、該遅延制御を強制終了する。
公知のように、AT車の自動変速機は、走行レンジ(いわゆるドライブレンジ等から成る前進走行レンジと、リバースレンジとも呼称される後退速用レンジとを含む)にあるときには、トルクコンバータなどの流体継手を介して連結された内燃機関からの動力が駆動輪に伝達可能な状態となっているため、内燃機関の作動を継続している遅延制御中にブレーキペダルを開放してしまうと、車両は発進しようとする(クリープ現象)。よって、自動変速機のレンジが走行レンジにあるときに車両の発進を防止するためには、アイドリング状態であってもブレーキペダルを踏み込み続けなければならない。
この構成によると、エンジン制御手段は、クリープ現象による車両の発進が生じると予想されるときに遅延制御を強制終了するから、イグニッションスイッチをオフ操作したにも拘らず、遅延制御による内燃機関の動作によって、車両が発進してしまう事態が避けられるため、実用性を高めると共に、ドライバーに与え得る違和感を低減する上で有利になる。
さらに、前記自動変速機のレンジが走行レンジであり且つ停車していると判定したときには、前記自動変速機における出力の伝達を遮断するニュートラルアイドル制御を少なくとも実行する自動変速機制御手段を備え、前記エンジン制御手段は、前記遅延制御を実行している最中に、前記自動変速機制御手段が前記ニュートラルアイドル制御を実行中であると判定したときには、前記ブレーキペダルが開放されたことを検出したときでも、該遅延制御を、前記所定の遅延時間にわたって継続するとしてもよい。
公知のように、ニュートラルアイドル制御とは、走行レンジでの停車時に、この摩擦締結要素の締結力を低下させたり、摩擦締結要素を開放したりすることで、自動変速機における出力の伝達を遮断する制御である。この制御が実行された状態では、内燃機関からの出力は駆動系に伝達しないため、自動変速機のレンジが走行レンジにあってかつ、ブレーキペダルを開放しても、車両が発進してしまうことはない。
この構成によると、エンジン制御手段は、ニュートラルアイドル制御が実行中であると判定したときには、もはや車両が発進してしまう恐れが無いため、ブレーキペダルが開放されたとしても遅延制御を強制終了しない。よって、この内燃機関の制御装置は、バルブ位相可変機構の始動位置までの移動を完了させる上で有利になる。
さらに、前記エンジン制御手段は、前記遅延制御を実行している最中に、パーキングブレーキが作動していると判定したときには、前記ブレーキペダルが開放されたことを検出したときでも、該遅延制御を、前記所定の遅延時間にわたって継続するとしてもよい。
公知のように、パーキングブレーキが作動している状態では、車両の発進は防止されるため、自動変速機のレンジが走行レンジにあるときに、ブレーキペダルを開放しても、車両が発進してしまうことはない。
この構成によると、エンジン制御手段は、パーキングブレーキが作動していると判定したときには、もはや車両が発進してしまう恐れが無いため、ブレーキペダルが開放されたとしても遅延制御を強制終了しない。よって、この内燃機関の制御装置は、バルブ位相可変機構の始動位置までの移動を完了させる上で有利になる。
さらに、ブレーキペダル操作に独立して、前記車両のブレーキ圧を保持させるブレーキ保持制御手段を備え、前記エンジン制御手段は、前記遅延制御を実行している最中に、前記ブレーキ保持制御手段がブレーキ保持制御を実行中であると判定したときには、前記ブレーキペダルが開放されたことを検出したときでも、該遅延制御を、前記所定の遅延時間にわたって継続するとしてもよい。
公知のように、ブレーキ保持制御とは、ブレーキペダル操作に独立して、車輪に設けられるブレーキ装置のブレーキ圧を保持させる制御である。この制御が実行された状態では、ブレーキペダルの踏み込みを解除してもブレーキ圧が保持されるため、車両の発進が防止される。
この構成によると、エンジン制御手段は、ブレーキ保持制御を実行中であると判定したときには、もはや車両が発進してしまう恐れが無いため、ブレーキペダルが開放されたとしても遅延制御を強制終了しない。よって、この内燃機関の制御装置は、バルブ位相可変機構の始動位置までの移動を完了させる上で有利になる。
以上説明したように、前記内燃機関の制御装置によると、遅延制御を実行している最中に、車両の発進、内燃機関のストール又は回転数の上昇を招く操作を検出したときには、この遅延制御を強制終了するようにしたから、イグニッションスイッチのオフ操作をしたにも拘らず、車両の発進、飛び出し、エンスト及び吹け上がりが生じてしまう事態が防止され、遅延制御の実用性を向上させると共に、ドライバーに与える違和感を低減する上で有利になる。
MT車に搭載される内燃機関の制御装置の構成を概略的に示すブロック図である。 前記MT車における遅延制御の手順を示すフローチャート図である。 図3(a)は、前記遅延制御を実行したときの機関回転数の時間変化を示すグラフであり、図3(b)は、前記遅延制御を実行している最中に、アクセルペダルを踏み込んだときの機関回転数の時間変化を示すグラフである。 前記MT車において、さらにクラッチリリース制御を考慮した遅延制御の手順を示すフローチャート図である。 AT車に搭載される内燃機関の制御装置の構成を概略的に示すブロック図である。 前記AT車における遅延制御の手順を示すフローチャート図である。 ニュートラルアイドル制御の手順を示すフローチャート図である。 前記AT車において、さらにブレーキ保持制御、ニュートラルアイドル制御及びパーキングブレーキの作動を考慮した遅延制御の手順を示すフローチャート図である。
以下、内燃機関の制御装置の実施形態を図面に基づいて説明する。以下の好ましい実施形態の説明は、本質的に例示に過ぎず、本発明、その適用物或いはその用途を制限することを意図するものでは全くない。
<MT車に係る制御装置>
初めに、MT車に搭載される内燃機関の制御装置の実施形態について説明する。
図1に示すように、制御装置Aは、内燃機関としてのエンジン1と、エンジン1に付随する複数のアクチュエータ11〜13と、各アクチュエータ11〜13を作動させるエンジン作動部4と、エンジン1、及びエンジン1が搭載される車両の動作状況等を検知して出力する種々のセンサ71〜75及び78〜79と、センサ71〜75及び78〜79からの信号に基づくアクチュエータ11〜13の制御を介してエンジン1を作動させる、エンジン制御手段としての、エンジン制御器100(Engine Control Unit:ECU)及び車両制御ユニット300と、を備えている。
制御装置Aはまた、エンジン1に連結される手動変速機9と、後述するクラッチリリース制御を行うように手動変速機9を作動させる、クラッチリリース制御手段としての手動変速機制御器900とを備えている。
制御装置Aはまた、エンジン1乃至車両を操作するための、アクセルペダル31及びクラッチペダル32を備えている。
以下では、エンジン1、エンジン1に付随する各種アクチュエータ11〜13、エンジン作動部4の構成要素41〜43、手動変速機9について、それぞれの構成の主要部について説明するが、いずれも周知のものを採用しているため、一部を除き図示及び説明しないものとする。
このエンジン1は、例えば火花点火式内燃機関として構成されていて、その内部には、複数の気筒が配設されている。エンジン1は、自動車等の車両に搭載されていて、その出力軸は、手動変速機9を介して駆動系としての駆動輪5に連結されている。エンジン1の出力を駆動輪5に伝達することによって、車両が推進する。
エンジン1は、シリンダブロックと、その上に載置されるシリンダヘッドとを備えており、シリンダブロックの内部には前記気筒が形成されている。シリンダブロックには、クランクシャフトが回転自在に支持されていると共に、このクランクシャフトは、コネクティングロッドを介してピストンに連結されている。このピストンは、各気筒内に往復動可能に嵌挿されていて、シリンダヘッド及び気筒と協働することにより燃焼室を区画形成している。
シリンダヘッドには、気筒毎に吸気ポート及び排気ポートが形成されており、それぞれが燃焼室に連通している。これら吸気ポート及び排気ポートには、燃焼室側から該ポートを遮断することができるように、吸気弁及び排気弁がそれぞれ配設されている。吸気弁は吸気弁駆動機構により、排気弁は排気弁駆動機構により、それぞれ駆動され、それによって所定のタイミングで往復動して、吸気ポート及び排気ポートを開閉する。
吸気弁駆動機構及び排気弁駆動機構は、それぞれ吸気カムシャフト及び排気カムシャフトを有する。これらのカムシャフトは、周知の動力伝達機構を介して前記クランクシャフトに駆動連結されていて、クランクシャフトの回転に連動して回転する。吸気弁駆動機構及び排気弁駆動機構は、例えばスイングアームを備えたロッカーアーム式に構成されている。
この実施形態では、少なくとも吸気弁駆動機構は、バルブタイミングとしての吸気弁の閉弁時期を変更可能なバルブ位相可変機構11(以下では、単にVVT11と記載)を含んで構成されている。このVVT11は、吸気カムシャフトの位相を所定の角度範囲内で連続的に変更する。
具体的に、VVT11としては、詳細な図示は省略するが、公知のものが採用されていて、エンジン駆動のオイルポンプからの油圧の供給を受けて動作する。このVVT11が作動することによって、クランクシャフトに対して吸気カムシャフトが進角又は遅角し、吸気弁の閉弁時期を、吸気下死点以降における所定の最進角時期と最遅角時期との間で連続的に変更する。このVVT11を駆動するためのVVT駆動部41は、例えば電気回路を備えており、エンジン制御器100から入力されるバルブ位相角信号に従ってVVT11を作動させることによって、吸気弁の閉弁時期の変更動作を制御する。
VVT11はまた、エンジン1が停止しているときには、例えば係合ピン等の係止手段を用いることによって、吸気弁の閉弁時期を、エンジン1の始動位置に対応する所定の時期、例えば最遅角時期に変更した状態にロックする。
シリンダヘッドには、気筒毎に燃料噴射弁12が取り付けられている。この燃料噴射弁12は、例えば、多噴口型の燃料噴射弁である。この燃料噴射弁を作動させる燃料供給システム42は、例えば、燃料噴射弁12を駆動する電気回路と、燃料噴射弁12に燃料を供給する燃料供給系とを備えており、エンジン制御器100からの燃料噴射パルスに従って、ガソリン等の燃料を、所定の量だけ、且つ所定のタイミングで気筒内に噴射するよう、燃料噴射弁12の作動を制御する。
さらに、シリンダヘッドには、点火プラグ13が取り付けられている。この点火プラグ13は、その先端部が燃焼室に臨むように取り付けられており、燃焼室内に火花を発生させることによって、その燃焼室内の混合気に点火する。そして、この点火プラグ13を作動させる点火システム43は、電気回路を備えており、エンジン制御器100からの点火信号を受けて、点火プラグ13が所望の点火タイミングで火花を発生するよう、それに通電する。点火プラグ13及び点火システム43としては、それぞれ周知のものが使用されている。
手動変速機9は、エンジン1の出力軸に連結されるクラッチ機構91と、このクラッチ機構91を介してエンジン1からの出力が入力されるギア機構92とを備えており、エンジン1の出力軸を通じて伝達される回転動力を、変速した上で駆動輪5に伝達する。クラッチ機構91及びギア機構92としては、それぞれ周知のものが使用されている。例えば、この実施形態では、クラッチ機構91は、エンジン1の出力軸に一体的に連結されるフライホイールと、ギア機構92の入力軸に連結されるクラッチプレートとを備えた機構として構成されている。このクラッチプレートを駆動させてフライホイールに締結又は開放することにより、エンジン1からの回転動力がギア機構92に伝達可能な状態と、伝達不可能な状態との間で切り替える。クラッチ機構91は、クラッチペダル32を踏み込んだときにクラッチプレートの締結を開放し(“クラッチの開放”、或いは“クラッチ機構91の開放”とも記載)、クラッチペダル32の踏み込みを解除したときに(つまり、クラッチペダル32を開放したとき)、該プレートを締結する(“クラッチの締結”、或いは“クラッチ機構91の締結”とも記載)。また、ギア機構92は、変速比が異なる複数のギアの組を備えた機構として構成されている。このギア機構92は、シフトレバーの操作位置に従って、所定のギアの組を選択すること(いわゆるギアイン状態にすること)によって、例えば前進6速及び後退速を実現する。
手動変速機9は、ドライバーにより前進6速のうちのいずれか1つが選択されたときには、エンジン1から駆動輪5の間で車両を前進させるように動力を伝達可能な状態となり、後退速を選択したときには、エンジン1から駆動輪5の間で車両を後退させるように動力を伝達可能な状態となる。そして、前進6速及び後退速のうちのいずれにも対応しない、いわゆるニュートラルを選択したときには、ギア機構92のいずれのギアの組も選択されていない状態になり、エンジン1から駆動輪5の間で動力を伝達不可能な状態となる。ギアがニュートラル状態にあるか否かは、ニュートラルセンサ78によって検出され、検出結果に係る情報をエンジン制御器100に入力する。
以下では、このようにして構成されたエンジン1や手動変速機9の作動を制御するエンジン制御器100及び車両制御ユニット300と、後述するようなクラッチリリース制御を実行する手動変速機制御器900の主要部について説明するが、周知のものを採用している部分については、一部を除き図示及び説明しないことにする。
エンジン制御器100及び車両制御ユニット300は、周知のマイクロコンピュータをベースとするコントローラであって、プログラムを実行する中央演算処理装置(CPU)と、例えばRAMやROMにより構成されてプログラム及びデータを格納するメモリと、電気信号の入出力をする入出力(I/O)バスとをそれぞれ備えている。
エンジン制御器100には、図1に示すように、少なくとも、エンジン1の出力回転(機関回転数)を検出する回転センサ72からの回転数信号、アクセルペダル31の踏み込み量を検出するアクセル開度センサ73からのアクセル開度信号、手動変速機9の出力軸の回転速度を検出する車速センサ74からの車速信号、及びエンジン1のスロットル開度を検出するスロットル開度センサ75からのスロットル開度信号が、それぞれ入力される。
また、車両制御ユニット300は、ドライバーによる機関始動又は停止命令として、イグニッションスイッチ71(以下、IG‐SWと記載)のオン/オフ操作(始動/停止操作とも記載)を検出したときに、この操作に応じてIG‐SW71から入力された制御信号に基づいて、エンジン制御器100に機関始動又は停止信号を入力する。
エンジン制御器100は、前記のような入力に基づいて種々の演算を行うことによってエンジン1や車両の状態を判定する制御パラメータを算出し、その制御パラメータに基づいて、例えば、所望の燃料噴射パルス、点火信号及びバルブ位相角信号等の制御信号を出力する。エンジン制御器100は、そうした制御信号を、燃料供給システム42、点火システム43又はVVT駆動部41等に出力する。
エンジン制御器100及び車両制御ユニット300は、IG‐SW71の停止操作を検出したときには、エンジン1の作動を所定の時間にわたって継続させた後に停止させる遅延制御を実行する。具体的には、車両制御ユニット300は、IG−SW71の停止操作を検出してから所定の時間が経過した後に、エンジン制御器100に向けて機関停止信号を出力して、エンジン1の作動を停止させる。さらに、エンジン制御器100は、この遅延制御と並行して、エンジン1の回転駆動が完全に停止するまでの期間、すなわち車両制御ユニット300が停止操作を検出してから機関回転数がゼロになるまでの期間にわたって供給される油圧を利用してVVT11を駆動させて、吸気弁の閉弁時期を最遅角時期に変更させると共にロックさせる始動位置設定制御も実行する。
なお、ここでいう“エンジン1の作動”とは、例えば、点火プラグ13による点火動作、及び燃料噴射弁12による燃料噴射動作のうちの少なくとも一方を含む。この実施形態では、前述したような遅延制御により、少なくとも、点火動作及び燃料噴射動作の両方を含む、種々のアクチュエータの作動を継続させる。
エンジン制御器100、及び車両制御ユニット300は、互いに制御信号がやりとりできるように、例えばCAN(Controller Area Network)を介して接続されていて、例えば、アクセル開度センサ73から出力されたアクセル開度信号を、エンジン制御器100を経由させた上で、車両制御ユニット300に入力する。
また、エンジン制御器100には、同じく図1に示すように、例えば、手動変速機9のギア機構92のギアがニュートラル状態にあることを検出する前記ニュートラルセンサ78からのニュートラル検出信号、及びクラッチペダル32が踏み込まれたことを検出するクラッチセンサ79からのクラッチ開放信号等も入力される。
手動変速機制御器900は、クラッチペダル32の踏み込みが甘い(つまり、クラッチ機構91が完全に開放するまでクラッチペダル32が踏み込まれていない)こと、及びクラッチペダル32を踏まずしてシフト操作を行おうとしたこと(例えばクラッチ機構91を締結した状態で、シフトレバーをニュートラルに操作したこと)等を検知したとき、エンジン制御器100から入力される制御信号にしたがって、クラッチペダル32の踏み込み操作とは独立して、クラッチプレートとフライホイールとの締結を自動的に解除させる制御、いわゆるクラッチリリース制御を実行する。クラッチリリース制御を実行している状態では、クラッチプレートの締結が解除されているので、エンジン1の動力はギア機構92、ひいては駆動輪5には伝達しない。
(MT車における遅延制御)
次に、MT車に係る制御装置Aにおいて、エンジン制御器100によるエンジン1の制御動作のうち、特に、前記遅延制御の実行と、その強制終了とに関する制御動作の詳細を、図2に示すフローチャートに基づいて説明する。
最初のステップS1では、各センサからの入力を読み込む。読み込みの対象となるセンサには、IG‐SW71、回転センサ72、アクセル開度センサ73、車速センサ74、スロットル開度センサ75、ニュートラルセンサ78及びクラッチセンサ79が含まれる。
次のステップS2では、IG‐SW71からの信号を基に、エンジン1を停止させるための停止操作を検出したか否かを判定し、この判定がYESであるときにはステップS3に進む一方、NOであるときにはステップS1に戻る。つまり、少なくとも遅延制御に係る制御動作については、ステップS1からS2にかけては、停止操作を検出するまで待機状態にある。
ステップS3では、始動位置設定制御を開始すべく、VVT駆動部41に向けて制御信号を出力する。VVT11は、始動位置(つまり、最遅角時期に対応する最遅角位置)となるように、移動し始める。
それに続くステップS4では、車速センサ74、スロットル開度センサ75及び回転センサ72からの信号を基に、エンジン1がアイドル状態にあるときにIG‐SW71の停止操作を検出したか否かを判定し、この判定がYESであるときにはステップS5に進む一方、NOであるときにはステップS10に進む。アイドル状態にあるときにIG‐SW71の停止操作を検出したときには、ステップS5に進んで遅延タイマTの設定を行う。一方、アイドル状態にないときにIG‐SW71の停止操作を検出したときには、遅延タイマTを設定せずにステップS10に進み、燃料噴射動作及び点火動作を含む種々の動作を停止させて、エンジン1を直ちに停止させる。なお、この実施形態では、スロットル弁の開度が所定以下(エンジン負荷が所定以下)であり、且つ機関回転数が所定のアイドル回転数以下であり、且つ車速がほぼゼロ(所定の車速以下)であるときに、アイドル状態であると判定する。
ステップS5では、遅延タイマT=T0に設定する。
ステップS6では、エンジン1の作動を継続させる(IG‐ONの状態を継続させる)。つまり、車両制御ユニット300は、IG‐SW71の停止操作が行われているにもかかわらず、エンジン制御器100に機関停止信号を入力せずに待機すると共に、IG‐SW71の停止操作を検出してからの経過時間のカウントアップを開始する。
そして、ステップS6から続くステップS7では、アクセル開度センサ73からの信号を基に、アクセルペダル31が踏み込まれたか否かを判定し、この判定がNOであるときにはステップS8に進む。そして、ステップS8ではさらに、ニュートラルセンサ78及びクラッチセンサ79からの信号を基に、ギアが非ニュートラル状態(ギアイン状態)で、その上クラッチペダル32が踏み込まれた状態から解除されたか否かを判定し、この判定もNOであるときにはS9に進み、前記経過時間の判定を実行する。一方で、ステップS7及びS8のうちのいずれか一方にてYESと判定されたときには、遅延制御を強制終了すべくステップS10に進み、エンジン制御器100に機関停止信号を入力して、エンジン1を停止させる(つまり、IG‐OFFにする)。つまり、燃料噴射動作及び点火動作等を含むエンジン1の作動を継続させている最中に、ステップS7及びS8により指定される条件を満たしたときには、これらの動作を即座に停止させて、エンジン1を停止させる。
ステップS8にてNOと判定されたときから続くステップS9では、前記経過時間(ステップS6においてカウントアップが開始された経過時間)が遅延タイマTの設定時間T0以上になったか否かを判定し、その判定がYESであるときにはステップS10に進む一方、NOであるときにはステップS6に戻る。ステップS9からステップS6に戻り、ステップS7乃至S8を経て再びステップS9に進んだ場合、経過時間のカウントアップを新たに開始するのでは無く、それまでに行われた経過時間のカウントをリセットせずに継続する。すなわち、ステップS6乃至S9では、遅延制御が強制終了されない限り、設定時間T0にわたって遅延制御を継続する。つまり、車両制御ユニット300は、IG‐SW71の停止操作を検出した後、ステップS7及びS8により指定される条件を満たさない限りは、設定時間T0が経過するまで、エンジン制御器100に機関停止信号を入力しない。
設定時間T0が経過して、ステップS9の判定がYESであるときから続くステップS10に進んだ場合、車両制御ユニット300は、遅延制御を終了すべく、車両制御ユニット300に機関停止信号を入力して、燃料供給システム42及び点火システム43を含む種々のアクチュエータの作動を停止させることで、燃料噴射動作及び点火動作等を停止させる。エンジン1は、惰性で回転した後、停止に至る。
なお、遅延タイマTの設定時間T0は、エンジン1の構成に応じて適宜決定される。例えば、設定時間T0は、この実施形態では1秒程度である。
以下では、こうしたエンジン制御器100及び車両制御ユニット300を有する制御装置Aを備えたMT車の停止動作について、図3(a)及び(b)を用いて説明する。
まず、ドライバーによるIG‐SW71の停止操作を検出すると、エンジン制御器100及び車両制御ユニット300は、ステップS1乃至S10を備えたフローチャートにしたがって遅延制御を実行する。つまり、図3(a)に示すように、車両制御ユニット300は、停止操作を検出してから、設定時間T0が経過した後に、エンジン制御器100に機関停止信号を入力して、エンジン1を停止させる。停止操作を検出してから機関停止信号を入力するまでの間は、燃料噴射動作及び点火動作の継続によりエンジン1の回転駆動も継続するため、エンジン1の機関回転数Neは、遅延制御を実行している最中はほぼ一定に保たれる。そして、遅延制御が終了すると(つまり、エンジン制御器100に機関停止信号を入力すると)、エンジン1を駆動させていた燃料噴射動作及び点火動作が停止するため、エンジン1の機関回転数Neは、単調に減少した後、ゼロに至る。エンジン制御器100はまた、遅延制御を実行する一方で、始動位置設定制御も併せて実行する。すなわち、車両制御ユニット300が停止操作を検出してからエンジン1の機関回転数Neがゼロに至るまでの期間にわたって発生する油圧を利用してVVT11を作動させて、吸気弁の閉弁時期を最遅角時期に変更させると共にロックさせる。
一方で、遅延制御を実行している最中に、例えばドライバーがアクセルペダル31を踏み込むと、エンジン制御器100及び車両制御ユニット300は、その踏み込みを検出し、遅延制御を強制終了する。つまり、図3(b)に示すように、エンジン1の作動は、アクセルペダル31の踏み込み動作が検出されるやいなや、設定時間T0の経過を待たずして即座に停止される。図示していないが、遅延制御を実行している最中に、手動変速機9のギアが非ニュートラル状態で、且つクラッチペダル32が開放されたことを検出したときにも、同様に、エンジン1を即座に停止させる。
以上より、エンジン制御器100及び車両制御ユニット300は、図2におけるステップS7において、エンジン1の吹け上がりが予想される操作として、アクセルペダル31の踏み込みを検出したときには、遅延制御を強制終了する。ゆえに、IG‐SW71を停止操作したにも拘らず、遅延制御中のアクセルペダル31の踏み込みにより、エンジン1が回転駆動されて吹け上がってしまうような事態が避けられるため、実用性を高めると共に、ドライバーに与える違和感を低減する上で有利になる。
さらに、エンジン制御器100及び車両制御ユニット300は、図2におけるステップS8において、飛び出し及びエンストが予想される操作として、手動変速機9の変速段が非ニュートラル状態で、それでいてクラッチペダル32が開放されたことを検出したときには、遅延制御を強制終了する。ゆえに、IG‐SW71を停止操作したにも拘らず、遅延制御中のシフトレバー又はクラッチペダル32の操作により、飛び出しを招いてしまうような事態や、エンジン1がエンストしてしまって、メータランプ等が全て点灯状態になってしまうような事態が避けられるため、ドライバーに与える違和感を低減する上で有利になる。
(クラッチリリース制御を考慮した遅延制御)
次に、同じく内燃機関の制御装置AをMT車に搭載した場合において、さらに、制御装置Aのエンジン制御器100及び車両制御ユニット300による、クラッチリリース制御を考慮した遅延制御の一例の詳細を、図4に示すフローチャートに基づいて説明する。
まず、図4のステップS11乃至S14の内容、及びそれらのフローについては、それぞれ図2におけるステップS1乃至S4の内容、及びそれらのフローに対応する。すなわち、エンジン制御器100及び車両制御ユニット300は、初めに、各センサ71乃至75、78及び79からの入力を読み込んで(ステップS11)、IG‐SW71の停止操作を検出する(ステップS12)。停止操作を検出したときには、始動位置設定制御を開始すべく、VVT駆動部41に制御信号を出力する(ステップS13)。車両制御ユニット300は、それに続き、エンジン1がアイドル状態にあるときにIG‐SW71の停止操作を検出したか否かを判定して(ステップS14)、アイドル状態にないときに停止操作を検出したときには、エンジン制御器100に機関停止信号を入力して、燃料噴射動作及び点火動作に係るものを含む種々のアクチュエータの作動を停止させて、エンジン1を直ちに停止させる。
そして、ステップS14における判定がYESであるときから続くステップS15では、クラッチリリース制御を実行する。つまり、エンジン1の出力軸とクラッチ機構91との間の連結を解放させることにより、エンジン1からの動力を手動変速機9に伝達不可能にする。
ステップS15から順次続くステップS16及びS17の内容は、それぞれ図2におけるステップS5及びS6の内容に対応する。つまり、遅延タイマT=T0に設定して(ステップS16)、それに続き、エンジン1の運転を継続させる制御を実行すると共に、該制御を開始してからの経過時間のカウントアップを開始する(ステップS17)。
そして、ステップS17から続くステップS18では、アクセル開度センサ73からの信号を基に、アクセルが踏み込まれたか否かを判定し、この判定がNOであるときにはステップS19に進み、遅延制御を続行する。一方で、ステップS18にてYESと判定されたときには、遅延制御を強制終了すべくステップS20に進み、エンジン制御器100に機関停止信号を入力して、エンジン1を直ちに停止させる。この場合、図2におけるステップS8に対応するステップが存在しない。つまり、エンジン1の吹け上がりが予想される操作を検出したときには遅延制御を強制終了する一方で、遅延制御中にシフトレバーがギアイン操作されかつ、クラッチペダル32が開放操作されたとしても、遅延制御を継続する。
ステップS19及びS20は、それぞれ図2におけるステップS9及びS10に対応している。すなわち、ステップS18において遅延制御が強制終了されない限り、設定時間T0にわたってエンジン1の運転を継続させる。
こうした遅延制御を実行する制御装置Aを備えたMT車の停止動作については、先程説明した停止動作とほぼ同様である。前記停止動作との差異は、遅延制御を実行するときにクラッチリリース制御を実行すること、及び遅延制御を実行している最中に、手動変速機9のギアが非ニュートラル状態で、且つクラッチペダル32が開放されたことを検出したときには、エンジン制御器100に機関停止信号を入力せずに、遅延制御を継続することこと(IG‐ONの継続)、の2点である。クラッチリリース制御を実行しているときには、手動変速機9のクラッチ機構91とエンジン1の出力軸との間の連結が外れるため、クラッチペダル32やシフトレバーの操作に拘らず、飛び出し及びエンストが発生してしまうことはない。
以上より、エンジン制御器100及び車両制御ユニット300は、図4におけるステップS15においてクラッチリリース制御を実行したときには、その後に続く遅延制御を実行している最中に飛び出し及びエンストが予想される操作を検出したとしても、遅延制御を強制終了せずに継続する。よって、クラッチリリース制御により飛び出し及びエンストの心配がないような状況下において、遅延制御を不必要に強制終了してしまうような事態が阻止されるため、VVT11の始動位置までの移動を確実に完了させる上で有利になる。
<AT車に係る制御装置>
次に、AT車に搭載されるエンジン1の制御装置Bの実施形態について、特に、MT車に搭載される制御装置Aとの構成の差異、及びMT車に搭載されるものと共通する構成であっても、特に、AT車における遅延制御に関係するものについて説明する。
図5に示すように、制御装置Bは、MT車に搭載される制御装置Aと同じように、内燃機関としてのエンジン1と、エンジン1に付随する複数のアクチュエータ11〜13と、各アクチュエータ11〜13を作動させるエンジン作動部4と、エンジン1、及びエンジン1が搭載される車両の動作状況等を検知して出力する種々のセンサ70〜77と、センサ70〜77からの信号に基づくアクチュエータ11〜13の制御を介してエンジン1を作動させる、エンジン制御手段としての、エンジン制御器100(Engine Control Unit:ECU)及び車両制御ユニット300と、を備えている。
制御装置Bはまた、エンジン1に連結される自動変速機2と、それを駆動させる自動変速機駆動部6と、センサ76〜77からの信号に基づく自動変速機駆動部6の制御を介して自動変速機2を作動させる、自動変速機制御手段としての自動変速機制御器200(Automatic Transmission Control Unit:ATCU)とを備えている。
エンジン1、アクチュエータ11〜13、エンジン作動部4及びセンサ71〜75の構成については、MT車の場合と同様である。
制御装置Bはまた、エンジン1乃至車両を操作するための、アクセルペダル31、パーキングブレーキ33及びブレーキペダル34を備えている。
エンジン1の出力軸は、自動変速機2を介して駆動輪5に連結されている。エンジン1の出力を駆動輪5に伝達することによって、車両が推進する。駆動輪5の各輪にはブレーキ装置が設けられており、ブレーキペダル34の踏み込み量に応じたブレーキ圧が各ブレーキ装置に供給されることで生じるブレーキ力によって車両を減速させる。ブレーキ圧制御機構81は、ブレーキペダル34の踏み込み操作とは独立して、各ブレーキ装置にブレーキ圧を供給可能な液圧ユニットを備えており、ブレーキ制御手段としてのブレーキ制御器800(Brake Control Unit:BCU)からの制御信号に従ってブレーキ圧の供給量を制御することによって、各ブレーキ装置のブレーキ力を調整する。
エンジン制御器100及び車両制御ユニット300の構成についても、制御装置Aのものとほぼ同様である。エンジン制御器100、車両制御ユニット300及び以下で説明する自動変速機制御器200は、例えばCAN(Controller Area NetWork)によって、信号を互いに入出力できるように構成されている。エンジン制御器100にはまた、パーキングブレーキ33が作動していることを検出するパーキングブレーキセンサ70からのパーキングブレーキ信号も入力される。
自動変速機2は、エンジン1の出力軸に連結されるトルクコンバータ21と、このトルクコンバータ21を介してエンジン1からの出力が入力される変速機構22とを備えており、エンジン1の出力軸を通じて伝達される回転動力を、変速した上で駆動輪5に伝達する。トルクコンバータ21及び変速機構22としては、それぞれ周知のものが使用されており、この実施形態では、トルクコンバータ21は流体式の伝動装置として構成され、変速機構22は遊星歯車と、クラッチ機構及びブレーキ機構を含む複数の摩擦締結要素とを備えた機構として構成されている。この変速機構22は、所定の摩擦締結要素を互いに締結及び開放することによって、例えば前進6速及び後退速を実現する。自動変速機制御器200は、基本的にはアクセル開度と車速とに基づいて変速段を設定し、自動変速機駆動部6は、自動変速機制御器200からの変速段指定信号にしたがって、変速機構22の摩擦締結要素を締結及び開放して、指定された変速段を実現する。
自動変速機2は、ドライバーが選択可能なレンジとして、少なくともパーキングレンジ、ニュートラルレンジ、ドライブレンジ及びリバースレンジが設定されている。このうち、ドライブレンジを選択したときには、変速機構22は、エンジン1から駆動輪5の間で車両を前進させるように動力を伝達可能な状態となり、リバースレンジを選択したときには、変速機構22は、エンジン1から駆動輪5の間で車両を後退させるように動力を伝達可能な状態となり、そして、パーキングレンジ及びニュートラルレンジを選択したときには、変速機構22は、エンジン1から駆動輪5の間で動力を伝達不可能な状態となる。ドライブレンジ及びリバースレンジは走行レンジに対応し、パーキングレンジ及びニュートラルレンジは非走行レンジに対応する。さらに、走行レンジのうち、ドライブレンジは前進走行レンジに対応し、リバースレンジは後退速用レンジに対応する。ドライバーが選択したレンジは、シフトポジションセンサ76によって検出され、シフトポジションセンサ76は、選択したレンジに係る信号を自動変速機制御器200に出力する。
以下では、自動変速機2の作動を制御する自動変速機制御器200の主要部について説明するが、周知のものを採用している部分については、一部を除き図示及び説明しないことにする。
自動変速機制御器200は、エンジン制御器100と同様のハードウェアを備えており、周知のマイクロコンピュータをベースとするコントローラとして構成されている。
自動変速機制御器200には、図5に示すように、例えば、セレクトレバーの操作位置を検出するシフトポジションセンサ76からの操作位置信号、ブレーキペダル34が踏み込まれたことを検出するフットブレーキセンサ77からのブレーキペダル踏込信号等が入力される。
自動変速機制御器200は、例えば、操作位置信号に基づく制御信号を自動変速機駆動部6に出力して、自動変速機2のレンジを変更させる。
自動変速機制御器200は、レンジとして走行レンジが選択されていて、その上、車両が停止(停車)していると判定したとき、通常の走行レンジ時に締結される摩擦締結要素を締結状態に保ちつつも、その締結力を低下させることによって相隣接する摩擦締結要素同士を所定のスリップ率で相互に滑らせる制御、いわゆるニュートラルアイドル制御(以下では、単にNI制御とも記載)を実行する。NI制御を実行している状態では、摩擦締結要素同士が相互に滑るためエンジン1の動力が外部に伝達しないので、その状態のままエンジン1の回転駆動を停止したときには、レンジが走行レンジにあったとしても、車両の発進は防止される。
次に、ブレーキ圧制御機構81の作動を制御する、ブレーキ制御器800の主要部について説明するが、周知のものを採用している部分については、一部を除き図示及び説明しないことにする。
ブレーキ制御器800は、エンジン制御器100と同様のハードウェアを備えており、周知のマイクロコンピュータをベースとするコントローラとして構成されている。
ブレーキ制御器800は、エンジン制御器100及び自動変速機制御器200との間で互いに制御信号がやりとりできるように接続されている。
ブレーキ制御器800は、レンジとして走行レンジが選択されていて、その上、車両が停止(停車)していると判定したとき、ブレーキ装置のブレーキ圧を保持するブレーキ保持制御を実行する。ブレーキ保持制御は、例えば坂道停車中に車両のずり下がりを防止する、いわゆるヒルホルダ機構を構成する。ブレーキ保持制御を実行している状態では、所定のブレーキ圧が保持され、車両の走行が防止される。
(AT車における遅延制御)
次に、AT車に係る制御装置Bについて、エンジン制御器100及び車両制御ユニット300によるエンジン1の制御動作のうち、前記遅延制御の実行と、その強制終了とに関する制御動作の詳細を、図6に示すフローチャートに基づいて説明する。
まず、図6のステップS21乃至S24の内容、及びそれらのフローについては、それぞれ図2におけるステップS1乃至S4の内容、及びそれらのフローに対応する。すなわち、エンジン制御器100及び車両制御ユニット300は、初めに、センサ71乃至77からの入力を読み込んで(ステップS21)、停止操作を検出する(ステップS22)。停止操作を検出したときには、始動位置設定制御を開始すべく、VVT駆動部41に制御信号を出力する(ステップS23)。車両制御ユニット300は、それに続き、エンジン1がアイドル状態からの停止であるか否かを判定して(ステップS24)、アイドル状態からの停止でないときには、エンジン制御器100に機関停止信号を入力して、燃料噴射動作及び点火動作に係るものを含む種々のアクチュエータの作動を即座に停止させ(IG‐OFFにする)、エンジン1を直ちに停止させる。
ステップS25では、シフトポジションセンサ76からの信号を基に、自動変速機2のレンジが走行レンジにあるか否かを判定し、この判定がYESであるときにはステップS26に進む一方、NOであるときにはステップS27に進む。
ステップS25の判定がNOであるときから続くステップS27以降の内容、及びそのフローについては、図2におけるステップS5乃至S10の内容、及びそれらのフローにほぼ対応している。すなわち、遅延タイマT=T2に設定した上で(ステップS27)、停止操作を検出したにも拘わらず、エンジン制御器100に機関停止信号を入力せずに待機することで、種々のアクチュエータによる燃料噴射動作及び点火動作を含む動作を継続させる(IG‐ONを継続させる、又はエンジン1の作動を継続させるとも記載)制御を開始すると共に、該制御を開始してからの経過時間のカウントアップを開始する(ステップS29)。
一方で、ステップS25の判定がYESであるとき、つまり自動変速機2のレンジが走行レンジであると判定したときから続くステップS26では、遅延タイマT=T1に設定してステップS28に進む。この実施形態では、走行レンジ時の遅延タイマTの設定時間T1は、非走行レンジ時の遅延タイマTの設定時間T2よりも長い(T2<T1)。
ステップS28では、フットブレーキセンサ77からの信号を基に、ブレーキペダル34が開放されたか否かを判定し、この判定がNOであるときにはステップS29に進んで、エンジン1の作動の継続、及び経過時間のカウントアップを開始する一方、YESであるとき、つまりブレーキペダル34が開放されたと判定したときには、遅延制御を強制終了する(ステップS32)。つまり、エンジン1の作動を継続させようとしたときに、ブレーキペダル34が開放されたときには、遅延タイマTを設定した後であっても、エンジン制御器100に機関停止信号を入力して、エンジン1を即座に停止させる。
ステップS29にてエンジン1の作動を継続させた後、アクセルペダル31の踏み込みを検出したときには、MT車の場合と同様に、遅延制御を強制終了する(ステップS30)。AT車であるから、飛び出し及びエンストの発生が予想される操作を検出するステップ(図2におけるステップS8に対応)は存在しない。
ステップS31では、前記経過時間(ステップS29においてカウントアップが開始された経過時間)が遅延タイマTの設定時間T1又はT2以上になったか否かを判定し、その判定がYESであるときにはステップS32に進む一方、NOであるときにはステップS25に戻って自動変速機2のレンジを再び判定させる。ステップS31からステップS25に戻り、幾つかのステップを経て再びステップS29に進んだ場合、経過時間のカウントアップを新たに開始するのでは無く、それまでに行われた経過時間のカウントをリセットせずに継続する。すなわち、設定時間T1又はT2にわたって、エンジン1の作動を継続させると共に、遅延制御を実行している最中における、走行レンジ時でのブレーキペダル34の開放、又はアクセルペダル31の踏み込みを検出したときには、遅延制御を強制終了する。
なお、エンジン1の作動を継続させている最中に、自動変速機2のレンジの再判定によってレンジの切り替えを検出したときには、ステップS26又はS27で遅延タイマTの再設定が行われる。そうした場合であっても、それまでに行われた経過時間のカウントをリセットせずに継続する。
設定時間T1又はT2が経過した場合、又は遅延制御を強制終了するよう判定された場合から続くステップS32では、車両制御ユニット300は、遅延制御を終了すべく、エンジン制御器100に機関停止信号を入力することで、燃料噴射動作及び点火動作に係るものを含む種々のアクチュエータの作動を即座に停止させる(IG‐OFFにする)制御信号を出力する。それにより。エンジン1は、惰性で回転した後、停止に至る。
こうした遅延制御を実行する制御装置Bを備えたAT車の停止動作については、先程説明した制御装置AによるMT車の停止動作とほぼ同様である。前記停止動作との差異は、MT車特有の問題である飛び出し及びエンストに係る操作を検出しないこと、及びAT車特有の問題として、クリープ現象による車両の発進が予想される操作を検出したときには、遅延制御を即座に強制終了すること、の2点である。エンジン1の吹け上がりは、MT車及びAT車の双方に懸念される問題であるから、エンジン1の吹け上がりが予想される操作を検出したときは、MT車の場合と同様に遅延制御を強制終了する。
以上より、エンジン制御器100は、図6におけるステップS25及びS28において、車両の発進が予想される操作として、自動変速機2のレンジが走行レンジであり、且つブレーキペダル34が開放されたことを検出したときには、遅延制御を強制終了する。ゆえに、IG‐SW71の停止操作を行ったにも拘らず、遅延制御中にクリープ現象が発生し、そのことで、車両が発進してしまうような事態が避けられるため、実用性を高めると共に、ドライバーに与える違和感を低減する上で有利になる。
なお、遅延タイマTの設定時間T1及びT2は、それぞれエンジン1の構成に応じて適宜決定される。例えば、設定時間T1は、この実施形態では1秒程度である。そして、先述のように、走行レンジ時の遅延タイマTの設定時間T1は、非走行レンジ時の遅延タイマTの設定時間T2よりも長い。
一般に、エンジン1によってもたらされる動力は、自動変速機2のレンジが走行レンジにあるときには、駆動輪5に動力を伝達する分だけ余分に消費される。よって、エンジン制御器100に機関停止信号を入力することで、燃料噴射動作及び点火動作が停止すると、この余分な消費の分だけ、機関回転数が相対的に速やかに減少する(回転落ちが大きい)。ゆえに、燃料噴射動作及び点火動作が停止してからエンジン1が実際に停止するまで(機関回転数がゼロになるまで)の期間は、非走行レンジにあるときと比較して、相対的に短くなる。ゆえに、走行レンジでは、遅延制御が終了してからエンジン1が実際に停止するまでの期間が相対的に短くなるのに応じて遅延タイマTを長く設定(T2<T1)することによって、VVT11を安定して作動させ、始動位置までの移動を確実に完了させる。その一方で、非走行レンジでは、遅延制御が終了してからエンジン1が実際に停止するまでの期間が相対的に長くなるのに応じて、遅延タイマTを走行レンジ時よりも短く設定し、遅延制御の実行時間を相対的に短縮する。
(ブレーキ保持制御、NI制御、及びパーキングブレーキの作動を考慮した遅延制御)
次に、同じく内燃機関の制御装置BをAT車に搭載した場合において、特に、ブレーキ保持制御と、NI制御と、パーキングブレーキ33の作動とを考慮した遅延制御の一例の詳細を、主に図8に示すフローチャートに基づいて説明する。
初めに、自動変速機制御器200によるNI制御について、図7を用いて説明する。
まず、図7のステップS41では、NI制御に係るセンサからの入力を読み込む。読み込みの対象となるセンサには、アクセル開度センサ73、車速センサ74、シフトポジションセンサ76及びフットブレーキセンサ77が含まれる。
次のステップS42では、各センサ73、74、76及び77からの信号を基に、レンジとしてドライブレンジが選択され、且つ車両が停車した状態にあるか否かを判定し、この判定がYESであるときにはステップS43に進む一方、NOであるときにはリターンする。この実施形態では、車両が停車した状態にあるか否かの判定は、車速がゼロであって、さらに、アクセルペダル31が開放され、且つブレーキペダル34が踏み込まれた状態にあるか否かで実行する。
ステップS43では、NI制御を実行すべく、自動変速機駆動部6に向けて制御信号を出力し、リターンする。
なお、ブレーキ保持制御は、前述したように、自動変速機2のレンジとして走行レンジが選択されていて、その上、車両が停止(停車)していると判定したときに、ブレーキペダル34の踏み込みによってブレーキ装置に供給されたブレーキ圧を、ブレーキペダル34の踏み込みを解除した後も、保持する。ブレーキ保持制御は、NI制御の実行中に、そのNI制御と共に実行される場合、NI制御の実行中であっても、ブレーキ保持制御は実行されない場合、及びNI制御は実行されていない一方で、ブレーキ保持制御は実行される場合がある。
次に、この場合における、エンジン制御器100及び車両制御ユニット300による遅延制御について説明する。
まず、図8のステップS51乃至S54の内容、及びそれらのフローについては、それぞれ図6におけるステップS21乃至S24の内容、及びそれらのフローにほぼ対応する。すなわち、エンジン制御器100は、初めに、センサ70乃至77からの入力を読み込んで(ステップS51)、停止操作を検出する(ステップS52)。停止操作を検出したときには、始動位置設定制御を開始すべく、VVT駆動部41に制御信号を出力して(ステップS53)、それに続き、エンジン1がアイドル状態にあるときに停止操作を検出したか否かを判定して(ステップS54)、アイドル状態にないときに停止操作を検出したときには、エンジン1を直ちに停止させる(ステップS63)。
ステップS55では、シフトポジションセンサ76からの信号を基に、自動変速機2のレンジが走行レンジにあるか否かを判定し、この判定がYESであるときにはステップS56に進む一方、NOであるときにはステップS57に進む。
ステップS55の判定がNOであるとき、つまり自動変速機2のレンジが非走行レンジであると判定したときから続くフローについては、図6におけるステップS27以降のフローと同様である。つまり、遅延タイマT=T2(<T1)に設定し(ステップS57)、停止操作を検出したにも拘わらず、車両制御ユニット300がエンジン制御器100に機関停止信号を入力せずに待機することでエンジン1の作動を継続すると共に、経過時間のカウントアップを開始する(ステップS60)。
また、ステップS55においてYESであると判定したとき、つまり自動変速機2のレンジが走行レンジであると判定したときから続くフローについては、遅延タイマT=T1に設定して(ステップS56)、ブレーキペダル34が開放されたか否かを判定し(ステップS58)、この判定がNOであるときには、自動変速機2のレンジが非走行レンジであったときと同じように、エンジン1の作動の継続、及び経過時間のカウントアップを開始する(ステップS60)。
一方で、ステップS58の判定がYESであるとき、つまりレンジが走行レンジであって、且つブレーキペダル34が開放されたことを検出したときから続くステップS59では、ブレーキ保持制御及びNI制御が実行中、又はパーキングブレーキセンサ70からの信号を基に、パーキングブレーキ33が作動中であるか否かを判定し、この判定がYESであるときにはステップS60に進む一方、NOであるときにはステップS63に進む。つまり、図6のフローチャートとは異なり、自動変速機2のレンジが走行レンジであって、且つブレーキペダル34が開放されたことを検出したとしても、車両の発進を防止する他の手段(ブレーキ保持制御、NI制御又はパーキングブレーキ33)が実行又は作動しているならば、遅延制御を強制終了せずに継続する。その一方で、そうした手段さえも機能していなければ、車両制御ユニット300は、エンジン制御器100に機関停止信号を出力して、エンジン1を直ちに停止させる。
以降のフローについては、図6で示したものと同様である。つまり、設定時間T1又はT2にわたってエンジン1の作動を継続させて(ステップS62乃至S63)、その最中にアクセルペダル31の踏み込みを検出したときには、遅延制御を即座に終了する(ステップS61)。また、遅延制御を実行している最中であっても、ステップS55乃至S59による判定は行われていて、ステップS59でNOと判定したとき、つまり車両の発進が予想されると判定したときには、遅延制御を強制終了する。
こうした遅延制御を実行する制御装置Bを備えたAT車の停止動作については、図6を用いて説明した、ブレーキ保持制御、NI制御、及びパーキングブレーキ33の作動を考慮しない場合の遅延制御とほぼ同様である。前記停止動作との差異は、車両の発進が予想される操作を検出したとしても、パーキングブレーキ33、ブレーキ保持制御又はNI制御が作動中又は実行中であると判定したときには、遅延制御を強制終了せずに継続すること、の1点である。パーキングブレーキ33又はブレーキ保持制御が機能しているときには、ブレーキペダル34が開放されたとしても車両の発進が妨げられ、NI制御が機能しているときには、そもそもエンジン1からの動力が駆動輪5に伝達しないため、ブレーキペダル34の状態に拘わらず、車両が発進してしまうことはない。
以上より、エンジン制御器100は、図8におけるステップS59においてブレーキ保持制御、NI制御又はパーキングブレーキ33が実行中又は作動中であると判定したときには、自動変速機2のレンジの状態やブレーキペダル34の操作に拘わらず、遅延制御を強制終了せずに継続する。よって、車両の発進の心配がないような状況下において、遅延制御を不必要に強制終了させてしまう事態が防止されるため、VVT11の始動位置までの移動を確実に完了させる上で有利になる。
<他の実施形態>
遅延制御の例として、エンジン1の吹け上がりを招く操作(ステップS7、S18、S30及びS62に対応)、並びに飛び出し、エンスト、及び発進を招く操作(ステップS8、S28及びS59に対応)の双方を考慮した制御について説明したが、この組み合わせに限定されるわけではない。すなわち、吹け上がり、飛び出し、エンスト及び発進の内の少なくとも1つが予想される操作を検出したときに、遅延制御を強制終了するような制御としてもよい。
遅延制御の例として、図2、4、6及び8のフローチャートに基づく遅延制御について説明したが、必ずしもこれらの構成に限定されるわけではない。例えば、車両の発進、エンスト及び吹け上がりを招く操作を検出する順番を、可能な範囲において変更することができる。また、可能な範囲において、これら操作の検出を並行して行うように構成してもよい。
また、他の遅延制御の例として、ブレーキ保持制御若しくはNI制御が実行中、又はパーキングブレーキ33が作動中であるか否かを検出するステップ(ステップS60に対応)を用いた制御について説明したが、この構成に限定されるわけではない。例えば、ブレーキ保持制御、NI制御及びパーキングブレーキ33のうち、特定の1つが実行中又は作動中であるか否かを検出するようなステップを備えた制御としてもよい。

以上のように、油圧駆動式のバルブ位相可変機構を備えた内燃機関の制御装置において、遅延制御の実用性を高め、ドライバーに対する違和感を低減できるものであり、産業上の利用可能性はある。
A,B 制御装置(内燃機関の制御装置)
1 エンジン(内燃機関)
11 VVT(バルブ位相可変機構)
100 エンジン制御器(エンジン制御手段)
2 自動変速機
200 自動変速機制御器(自動変速機制御手段)
300 車両制御ユニット(エンジン制御手段)
31 アクセルペダル
32 クラッチペダル
33 パーキングブレーキ
34 ブレーキペダル
800 ブレーキ制御器(ブレーキ制御手段)
9 手動変速機
900 手動変速機制御器(クラッチリリース制御手段)

Claims (8)

  1. 内燃機関からの動力により供給される油圧によって駆動され、該内燃機関のバルブタイミングを変更可能なバルブ位相可変機構と、前記内燃機関の停止命令を検出したとき、該内燃機関の作動を所定の遅延時間にわたって継続させた後に停止させる遅延制御を実行すると共に、前記停止命令の検出から前記内燃機関の停止までの間に前記バルブ位相可変機構を駆動させて該内燃機関のバルブタイミングを所定のタイミングに設定させるエンジン制御手段とを有し、車両に搭載される内燃機関の制御装置であって、
    前記エンジン制御手段は、前記遅延制御を実行している最中に、前記車両の発進、又は前記内燃機関のストール若しくは機関回転数の上昇を招く操作を検出したときには、該遅延制御を強制終了することを特徴とする内燃機関の制御装置。
  2. 請求項1に記載の内燃機関の制御装置において、
    前記エンジン制御手段は、前記遅延制御を実行している最中に、アクセルペダルが踏み込まれたことを検出したときには、前記内燃機関の機関回転数の上昇を招くとして、該遅延制御を強制終了することを特徴とする内燃機関の制御装置。
  3. 請求項1又は2に記載の内燃機関の制御装置において、
    前記内燃機関の出力は、手動変速機を介して駆動輪に伝達され、
    前記エンジン制御手段は、前記遅延制御を実行している最中に、前記手動変速機が動力伝達可能な状態にあり且つクラッチペダルが開放されたことを検出したときには、前記内燃機関のストールを招くとして、該遅延制御を強制終了することを特徴とする内燃機関の制御装置。
  4. 請求項1又は2に記載の内燃機関の制御装置において、
    前記内燃機関の出力は、手動変速機を介して駆動輪に伝達され、
    クラッチペダル操作に独立して、クラッチを開放することにより、前記内燃機関と前記手動変速機との間の出力の伝達を遮断するクラッチリリース制御手段を備え、
    前記エンジン制御手段は、前記遅延制御を実行している最中に、前記クラッチリリース制御手段が前記クラッチを開放しているときには、前記クラッチペダル操作に拘わらず、該遅延制御を、前記所定の遅延時間にわたって継続することを特徴とする内燃機関の制御装置。
  5. 請求項1又は2に記載の内燃機関の制御装置において、
    前記内燃機関の出力は、自動変速機を介して駆動輪に伝達され、
    前記エンジン制御手段は、前記遅延制御を実行している最中に、前記自動変速機のレンジが走行レンジであり且つブレーキペダルが開放されたことを検出したときには、前記車両の発進を招くとして、該遅延制御を強制終了することを特徴とする内燃機関の制御装置。
  6. 請求項5において、
    前記自動変速機のレンジが走行レンジであり且つ停車していると判定したときには、前記自動変速機における出力の伝達を遮断するニュートラルアイドル制御を少なくとも実行する自動変速機制御手段を備え、
    前記エンジン制御手段は、前記遅延制御を実行している最中に、前記自動変速機制御手段が前記ニュートラルアイドル制御を実行中であると判定したときには、前記ブレーキペダルが開放されたことを検出したときでも、該遅延制御を、前記所定の遅延時間にわたって継続することを特徴とする内燃機関の制御装置。
  7. 請求項5又は6において、
    前記エンジン制御手段は、前記遅延制御を実行している最中に、パーキングブレーキが作動していると判定したときには、前記ブレーキペダルが開放されたことを検出したときでも、該遅延制御を、前記所定の遅延時間にわたって継続することを特徴とする内燃機関の制御装置。
  8. 請求項5乃至7のいずれか1つにおいて、
    ブレーキペダル操作に独立して、前記車両のブレーキ圧を保持させるブレーキ保持制御手段を備え、
    前記エンジン制御手段は、前記遅延制御を実行している最中に、前記ブレーキ保持制御手段がブレーキ保持制御を実行中であると判定したときには、前記ブレーキペダルが開放されたことを検出したときでも、該遅延制御を、前記所定の遅延時間にわたって継続することを特徴とする内燃機関の制御装置。
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