JP6064349B2 - 帯電部材、帯電装置、画像形成装置、およびプロセスカートリッジ - Google Patents
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Description
請求項1に係る発明は、
支持体と、
前記支持体上に、少なくとも吸着剤および揮発性オイルを含有する弾性層と、
を有し、
前記揮発性オイルは前記弾性層を形成する際に与える温度以下で気化するオイルであり、
前記弾性層を形成するための組成物中における前記揮発性オイルの含有量が1質量%以上10質量%以下である帯電部材である。
前記吸着剤が活性炭である請求項1に記載の帯電部材である。
前記揮発性オイルが環状シロキサンである請求項1または請求項2に記載の帯電部材である。
請求項1に記載の帯電部材を備えた帯電装置である。
像保持体と、
前記像保持体に接触して該像保持体を帯電する請求項4に記載の帯電装置と、
前記帯電装置によって帯電された前記像保持体に静電潜像を形成する潜像形成装置と、
前記像保持体上の静電潜像をトナーによって現像しトナー像を形成する現像装置と、
前記像保持体上の前記トナー像を記録媒体へ転写する転写装置と、
を有する画像形成装置である。
像保持体に接触して該像保持体を帯電する請求項4に記載の帯電装置と、
前記像保持体、前記像保持体上の静電潜像をトナーによって現像しトナー像を形成する現像装置、および前記トナー像を記録媒体に転写した後に前記像保持体表面に残留した残留トナーを清掃して除去する清掃装置、から選択される少なくとも1種と、を備え、
画像形成装置に着脱されるプロセスカートリッジである。
本実施形態に係る帯電部材は、支持体と、前記支持体上に、少なくとも吸着剤および揮発性オイルを含有する弾性層と、を有する。
更に、帯電ムラが生じている帯電部材を画像形成装置に用いて画像を形成した場合、画像において白点や色点を生じることがあった。
まず第一に、混錬の際に発生し弾性層中に残存する気泡が、弾性層中に含まれる吸着剤によって除去されるためと考えられる。
但し、気泡の除去には吸着剤が有効ではあるものの、吸着剤を含有させるだけでは粗大な気泡の除去が困難であり、こうした粗大な気泡が残存してしまうと思われる。これに対し、本実施形態に係る帯電部材では弾性層に揮発性オイルが含有されており、この揮発性オイルによって硫化する前(即ち弾性層を形成する前)の弾性材料の粘度が低下し、弾性層を成形する際に加わる圧力によって気泡が微細化されるものと推察される。つまり、弾性層を構成する弾性材料の混練工程や、弾性層を形成する成形工程の際に残存する気泡が微細化され、吸着剤によって吸着され易い状態となり、弾性層中での気泡の残存が抑制されるものと考えられる。
まず吸着剤の吸着度を測定する方法を説明する。吸着剤に対して一定量(2L/min)の空気を吹き付けることにより質量が一定となった際の試料の増量から、平衡吸着能を以下の式(1)により計算し求める。
式(1) 平衡吸着能=(試料の増量/試料の質量)×100(質量%)
本明細書においては、この平衡吸着能が2質量%以上であるものを吸着剤とする。
図1は、本実施形態に係る帯電部材の第1の実施の形態を示す概略断面図である。図1では、円筒形状の支持体31上に接着層32を介して弾性層33が被覆され、この弾性層33の外周側に表面層34が被覆されている。
支持体は、帯電部材の電極および支持部材として機能する円柱状の部材であり、例えば、その材質としては鉄(快削鋼等),銅,真鍮,ステンレス,アルミニウム,ニッケル等の金属が挙げられる。また、支持体としては、外側の面にメッキ処理を施した部材(例えば樹脂や、セラミックの部材)、導電剤が分散された部材(例えば樹脂や、セラミックの部材)等も挙げられる。支持体は、中空状の部材(筒状部材)であってもよいし、非中空状の部材であってもよい。
弾性層は、少なくとも吸着剤および揮発性オイルを含有し、更に弾性材料を含有する層である。またこれらに加え、導電剤や、その他添加剤等を含んでもよい。
揮発性オイルは、前述の通り、弾性層を成型(例えば射出成型等)する際に与える温度以下で気化するオイルを表す。
尚、環状シロキサンとは、シロキサン結合(Si−O−Si)による環状分子構造を有する化合物を表し、本実施形態においては3量体、4量体、5量体の環状シロキサンが特に好ましい。
具体的には、
・ヘキサメチルシクロトリシロキサン(C6H18O3Si3、溶融温度64℃、沸点134℃、気化温度134℃)
・オクタメチルシクロテトラシロキサン(C8H24O4Si4、溶融温度18℃、沸点175℃、気化温度175℃)
・デカメチルシクロペンタシロキサン(C10H30O5Si5、溶融温度−30℃、沸点210℃、気化温度210℃)
・ドデカメチルシクロヘキサンシロキサン(C12H36O6Si6、溶融温度−3℃、沸点245℃、気化温度245℃)
等のシクロ(ジメチルシロキサン)類が挙げられる。
この他に、1,3,5−トリメチル−1,3,5−トリフェニルシクロトリシロキサン、1,3,5,7−テトラメチル−1,3,5,7−テトラフェニルシクロテトラシロキサン、1,3,5,7,9−ペンタメチル−1,3,5,7,9−ペンタフェニルシクロペンタシロキサン等のシクロ(メチルフェニルシロキサン)類、ヘキサフェニルシクロトリシロキサン等のシクロ(ジフェニルシロキサン)類、3−(3,3,3−トリフルオロプロピル)メチルシクロトリシロキサン等のフッ素含有シクロシロキサン類、メチルヒドロシロキサン混合物、ペンタメチルシクロペンタシロキサン、フェニルヒドロシクロシロキサンなどのヒドロシリル基含有シクロシロキサン類、ペンタビニルペンタメチルシクロペンタシロキサンなどのビニル基含有シクロシロキサン類等が挙げられる。
上記粘度は、東機産業社製の粘度計(RE550)を用いて、23℃55%RHの環境下で測定される。固定された平板の上に揮発性オイルを載せ、上部から平板を接触させてから、一定速度で流動させ、その時にかかる力を測定することで求められる。
添加率が上記下限値以上であることにより、弾性層を形成するための組成物における粘度が低下され、残存する気泡の微細化が効率的に達成される。一方添加率が上記上限値以下であることにより、気泡の微細化が達成されないことが抑制され、また気泡のはじけによる表面凹凸や気泡のまま異物故障として残存すること等による表面欠陥が抑制される。
吸着剤は、前述の方法で求められる平衡吸着能が前記の値である物質を表す。
尚、吸着剤における上記平衡吸着能は、更に2質量%以上20質量%以下であることが好ましい。
これらの中でも特に、活性炭が好ましい。
活性炭としては市販品を用いてもよく、例えば東京化成工業株式会社製、商品名:Charcoal Activated(平衡吸着能:10質量%)等が挙げられる。
含有率が上記下限値以上であることにより、弾性層中での気泡の低減が効率的に達成される。一方含有率が上記上限値以下であることにより、帯電部材としての電気特性悪化の欠点が抑制される。
弾性材料としては、イソプレンゴム、クロロプレンゴム、エピクロルヒドリンゴム、ブチルゴム、ポリウレタン、シリコーンゴム、フッ素ゴム、スチレン−ブタジエンゴム、ブタジエンゴム、ニトリルゴム、エチレンプロピレンゴム、エピクロルヒドリン−エチレンオキシド共重合ゴム、エピクロルヒドリン−エチレンオキシド−アリルグリシジルエーテル共重合ゴム、エチレン−プロピレン−ジエン3元共重合ゴム(EPDM)、アクリロニトリル−ブタジエン共重合ゴム(NBR)、天然ゴム等、およびこれらのブレンドゴムが挙げられる。中でも、ポリウレタン、シリコーンゴム、EPDM、エピクロルヒドリン−エチレンオキシド共重合ゴム、エピクロルヒドリン−エチレンオキシド−アリルグリシジルエーテル共重合ゴム、NBRおよびこれらのブレンドゴムが望ましく用いられる。これらの弾性材料は、発泡したものであっても無発泡のものであってもよい
導電剤としては、電子導電剤やイオン導電剤が挙げられる。電子導電剤の例としては、ケッチェンブラック、アセチレンブラック等のカーボンブラック;熱分解カーボン、グラファイト;アルミニウム、銅、ニッケル、ステンレス鋼等の各種導電性金属または合金;酸化スズ、酸化インジウム、酸化チタン、酸化スズ−酸化アンチモン固溶体、酸化スズ−酸化インジウム固溶体等の各種導電性金属酸化物;絶縁物質の表面を導電化処理したもの;などの粉末が挙げられる。また、イオン導電剤の例としては、テトラエチルアンモニウム、ラウリルトリメチルアンモニウム等の過塩素酸塩、塩素酸塩等;リチウム、マグネシウム等のアルカリ金属、アルカリ土類金属の過塩素酸塩、塩素酸塩等;が挙げられる。これらの導電剤は、単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
弾性層に配合されるその他添加剤としては、例えば、軟化剤、可塑剤、硬化剤、加硫剤、加硫促進剤、酸化防止剤、界面活性剤、カップリング剤、充填剤(シリカ、炭酸カルシウム等)等の、通常弾性層に添加され得る材料が挙げられる。
弾性層の厚みは、帯電部材を適用する装置によって異なるが、例えば、0.5mm以上4.0mm以下とすることが望ましく、0.5mm以上2.5mm以下とすることがより望ましい。
なお、体積抵抗率の測定は、シート状の測定サンプルに対し、測定治具(R12702A/Bレジスティビティ・チェンバ:アドバンテスト社製)と高抵抗測定器(R8340Aデジタル高抵抗/微小電流計:アドバンテスト社製)とを用い、電場(印加電圧/組成物シート厚)が1000V/cmになるよう調節した電圧を30秒印加後の電流値より、下記式(2)を用いて算出する。
体積抵抗率(Ω・cm)=(19.63×印加電圧(V))/(電流値(A)×測定サンプルシート厚(cm)) ・・・ 式(2)
なお、アスカーC硬度の測定は、3mm厚の測定シート表面にアスカーC型硬度計(高分子計器社製)の測定針を押圧し、1000g荷重の条件で行ったものである。
弾性層は、例えば、上記に挙げた各成分の混合物を混練りして弾性層形成用の組成物を調製し、射出成形機やプレス成形機を用いて、前記支持体上に該組成物を押し出し、加硫することで形成される。
尚、支持体上に押し出しされる際の温度としては、50℃以上120℃以下が好ましく、更に60℃以上100℃以下がより好ましい。また、加硫温度としては140℃以上200℃以下が好ましく、更に160℃以上190℃以下がより好ましい。
本実施形態の帯電部材では、弾性層上に表面層を形成してもよい。
表面層としては、例えば樹脂を含んで構成される表面層が挙げられ、更に導電剤や、表面層の表面に凹凸(特定の表面粗さ)を付与するための粒子、その他添加剤等を含んで構成されてもよい。
表面層の厚みは、2μm以上25μm以下が望ましい。そして、表面層の体積抵抗率は103Ωcm以上1014Ωcm以下が望ましい。
塗布液に用いる溶剤としては、特に限定されず一般的なものが使用され、例えば、メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノールなどのアルコール類;アセトン、メチルエチルケトンなどのケトン類;テトラヒドロフラン;ジエチルエーテル、ジオキサンなどのエーテル類などの溶媒を使用してもよい。
以下、本実施形態の帯電部材を画像形成装置およびプロセスカートリッジの帯電装置に搭載した場合を説明する。
図4は、本実施形態に係る画像形成装置を示す概略構成図である。図5は、本実施形態に係るプロセスカートリッジを示す概略構成図である。
[支持体の準備]
まず、以下の方法により外周表面にバリア層を形成した支持体Aを得た。
バリア層は、電解メッキ法により、クロム、ニッケルでメッキ処理を施すことで形成した。
下記組成の混合物をオープンロールで混練りして弾性層形成用組成物を調製し、プレス成形機を用いて前記支持体Aの表面に該弾性層形成用組成物を押し出し、180℃で加硫することで、直径14mmの弾性層を形成した。
・ゴム材(エピクロルヒドリン−エチレンオキシド−アリルグリシジルエーテル共重合ゴム、Gechron3106、日本ゼオン社製) 100部
・導電剤(カーボンブラック、アサヒサーマル、旭カーボン社製) 15部
・導電剤(ケッチェンブラックEC、ライオン社製) 5部
・イオン導電剤(過塩素酸リチウム) 1部
・加硫剤(硫黄、200メッシュ、鶴見化学工業社製) 1部
・加硫促進剤(ノクセラーDM。大内新興化学工業社製) 2.0部
・加硫促進剤(ノクセラーTT、大内新興化学工業社製) 0.5部
・加硫促進助剤(酸化亜鉛、酸化亜鉛1種、正同化学工業社製) 3部
・ステアリン酸 1.5部
・吸着剤(活性炭:東京化成工業株式会社製、商品名:Charcoal Activated、吸着量:10質量%) 10部
・揮発性オイル(環状シロキサン:ヘキサメチルシクロトリシロキサン、東京化成化学株式会社製、気化温度134℃) 10部
弾性層形成用組成物中における活性炭および揮発性オイルの含有率(質量%)を下記表1に示す。
下記組成の混合物をビーズミルにて分散して得られた分散液を、メチルエチルケトンで希釈し、前記弾性層の表面に浸漬塗布した後、180℃で30分間加熱乾燥し、厚さ7μmの表面層を形成して、帯電ロールを得た。
・高分子材料(飽和共重合ポリエステル樹脂溶液、バイロン30SS、東洋紡績社製)
100部
・硬化剤(アミノ樹脂溶液、スーパーベッカミンG−821−60、DIC社製)
26.3部
・導電剤(カーボンブラック、MONARCH1000、キャボット社製) 10部
吸着剤(活性炭)の添加量、揮発性オイル(環状シロキサン)の種類および添加量を下記表1に示すものに変更した以外は、実施例1に記載の方法により帯電ロールを作製した。
−画質評価−
実施例および比較例にて得られた帯電ロールを、カラー複写機DocuCentre Color a450(富士ゼロックス社製)のドラムカートリッジに装着し、低温低湿(10℃、15%RH)環境下、および高温高湿(28℃、85%RH)環境下で、50%ハーフトーン画像を形成し、以下の評価基準により画質評価を行った。
結果を表1に示す。
・画質評価基準
◎:白点、色点が未発生
○:白点、色点が部分的に発生(実使用上問題無し)
△:軽微な白点、色点が発生(実使用上問題になることがある)
×:白点、色点が発生(実使用上問題有り)
実施例および比較例にて得られた帯電ロールを、軸方向に表面層と弾性層とを合わせて切断し、気泡発生の有無を目視により確認した。
結果は表1に示す。
・気泡評価基準
◎:気泡未発生
○:気泡が単独で発生(画質欠陥にならない)
△:気泡が軽微に発生(画質欠陥になり、実使用上問題になることがある)
×:気泡が多数発生(画質欠陥になり、実使用上問題有り)
Claims (6)
- 支持体と、
前記支持体上に、少なくとも吸着剤および揮発性オイルを含有する弾性層と、
を有し、
前記揮発性オイルは前記弾性層を形成する際に与える温度以下で気化するオイルであり、
前記弾性層を形成するための組成物中における前記揮発性オイルの含有量が1質量%以上10質量%以下である帯電部材。 - 前記吸着剤が活性炭である請求項1に記載の帯電部材。
- 前記揮発性オイルが環状シロキサンである請求項1または請求項2に記載の帯電部材。
- 請求項1に記載の帯電部材を備えた帯電装置。
- 像保持体と、
前記像保持体に接触して該像保持体を帯電する請求項4に記載の帯電装置と、
前記帯電装置によって帯電された前記像保持体に静電潜像を形成する潜像形成装置と、
前記像保持体上の静電潜像をトナーによって現像しトナー像を形成する現像装置と、
前記像保持体上の前記トナー像を記録媒体へ転写する転写装置と、
を有する画像形成装置。 - 像保持体に接触して該像保持体を帯電する請求項4に記載の帯電装置と、
前記像保持体、前記像保持体上の静電潜像をトナーによって現像しトナー像を形成する現像装置、および前記トナー像を記録媒体に転写した後に前記像保持体表面に残留した残留トナーを清掃して除去する清掃装置、から選択される少なくとも1種と、を備え、
画像形成装置に着脱されるプロセスカートリッジ。
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