JP6063833B2 - 粉状薬剤噴射装置 - Google Patents
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Description
加熱蒸散タイプの殺虫剤は、水と酸化カルシウムなどの反応熱により加熱された容器から発泡剤の力により殺虫成分を拡散させる(特許文献2参照)。
エアゾールタイプの殺虫剤は、殺虫成分をLPガスなどの液化ガスに溶解して、耐圧容器に圧縮充填したもので、殺虫成分は細かい霧になって噴出する。一回使い切りタイプでは押しボタンに不可逆的なロックがかかり、薬剤の全量が噴射される構造となっている(特許文献3参照)。
ポンプタイプの殺虫剤は、殺虫成分を溶媒に溶解して液体容器に収納したもので、液体容器に接続された圧送ポンプの作用により、殺虫成分は細かい霧になって噴出する(特許文献4参照)。
更に、これらのタイプの殺虫剤は、燃焼剤が燃えたり、発泡剤が分解したりした際に、殺虫成分とは別の溶媒や分解ガス(酸性ガス)、液化ガス等の媒体が部屋内に散布される。そこで、使用時には、パソコンやオーディオ機器等の精密機器にカバーをかけたり、火災報知器に覆いをしたり、ガス湯沸かし器の種火を消したりするなどの事前準備が必要であった。
(1) 上端開口部を有し、液体を収容するための容器本体と、
前記上端開口部を塞ぐ蓋部と、前記蓋部に貫通形成されて両開口端が前記容器本体の内部と外部に臨む筒体部と、前記容器本体の内方に向って延びる前記筒体部の下端開口を封止する封止部と、を有して前記上端開口部に装着される筒状ガイド部材と、
前記容器本体内の液体と反応して反応ガスを発生するため前記筒体部に収容されるガス発生剤と、
前記封止部に向かって移動可能に前記筒状ガイド部材に保持され、前記封止部を破断して前記ガス発生剤を前記容器本体内の液体中に落下させる押圧部が下端部に設けられた筒状破断部材と、
前記筒状破断部材の上端部に設けられたシリンダ部の下方側摺動内周壁に対しては気密に摺動すると共に、前記シリンダ部の上方側拡径内周壁に対しては空隙を画成するピストンと、
薬剤そのものか、粉体に薬剤が含浸され、前記ピストン上に収納される粉状薬剤と、
を備えることを特徴とする粉状薬剤噴射装置。
前記ピストンが、有底筒状のピストン本体と、前記ピストン本体の周壁における底部近傍に穿設されたベーパータップ穴とを有し、
前記上方側拡径内周壁の上端部には、前記ピストン本体の周壁に対して気密に摺動するシール部が設けられることを特徴とする粉状薬剤噴射装置。
前記ピストン本体の上方開口端には、噴射ノズルを備えたキャップが設けられることを特徴とする粉状薬剤噴射装置。
前記筒状ガイド部材と前記筒状破断部材との間には、前記筒状破断部材が前記封止部に向かって移動するのを阻止するロック機構が設けられることを特徴とする粉状薬剤噴射装置。
即ち、粉状薬剤を噴射拡散させる反応ガスは、容器本体内の圧力が所定以上となりピストンが上方側拡径内周壁に達するまで容器本体内に閉じ込められており、ピストンが上方側拡径内周壁に達した際に上方側拡径内周壁との空隙から一気に開放されることでシリンダ部外へ一気に噴射される。そこで、熱を伴う爆発的な反応などを利用することなく、高圧の反応ガスを得ることができる。
従って、従来のように薬剤の燃焼によりくん煙剤を発煙させたり、発泡剤を間接的に加熱する加水発熱剤を用いて粉状薬剤を加熱蒸散させたりする必要がない。その結果、粉状薬剤には熱が加わらず、熱に弱い薬剤を使用することができる。また、エアゾールタイプやポンプタイプのように薬剤を溶媒や液化ガスに溶かす必要もなく、溶解性の低い薬剤や、溶液状態で不安定な薬剤を使用することもできる。
また、粉状薬剤は上方側開口端をキャップやゴム栓、封止フィルム等で封止するだけでシリンダ内に密封することができるため、取扱いが容易である。またさらに、シリンダ部の中の粉状薬剤が外気の水分や酸化により分解されることを防ぐこともでき、安定に保存することができる。
さらに、本発明の粉状薬剤噴射装置は固定電源や火熱などを使う必要がないため、火事などの恐れがなく安全であり、大規模な装置も不要なため、簡便に持ち運ぶことができ、電源などの設備のない場所でも使用する事ができる。
図1に示すように、本実施形態の粉状薬剤噴射装置1は、上端開口部13を有し、水(液体)101(図4参照)を収容するための容器本体11と、上端開口部13に装着される円筒状の筒状ガイド部材21と、容器本体11内の水101と反応して反応ガスを発生するため筒状ガイド部材21の筒体部26に収容されるガス発生剤43と、筒体部26の下端開口を封止する封止部41に向って移動可能に筒状ガイド部材21に保持され、封止部41を破断してガス発生剤43を容器本体11内の水101中に落下させる押圧部37が下端部に設けられた筒状破断部材31と、筒状破断部材31の上端部に設けられたシリンダ部51の下方側摺動内周壁53に対しては気密に摺動すると共に、シリンダ部51の上方側拡径内周壁55に対しては空隙S(図3参照)を画成するピストン63と、ピストン63のピストン本体61内に収納される粉状薬剤30と、を備える。
蓋部23は、容器本体11の上端開口部13の外周面に設けたねじ山15にねじ山25が螺合されて上端開口部13に着脱自在に取付けられる。
容器本体11の内方に向って延びる筒体部26の下端開口を封止する封止部41は、例えば円形状シートの外周部をヒートシールや接着剤等により筒体部26の下端開口に固着したものである。封止部41は、筒体部26内に収容されたガス発生剤43の重量を支持可能な十分な固着力を有しているが、筒状破断部材31の押圧部37により所定以上の押圧力が付与されると、外周部における固着部が破断して剥がれるように構成されている。
本体部33の下端部には、封止部41を破断してガス発生剤43を容器本体11内の水101中に落下させる押圧部37が設けられる。下方側摺動内周壁53を構成するシリンダ部51の小径部51aは、筒体部26の内周面に内嵌され、本体部33の押圧部37が封止部41に向って移動可能に筒体部26に保持される(図2参照)。シリンダ部51の大径部51bは、後述するピストン本体61との間にチャンバ100を画成する。
ロック機構45は、シリンダ部51の小径部51aに装着されるストッパ部材91の断面C字状の把持部93と、把持部93の下端縁に当接する筒体部26の上端部26aと、把持部93の上端縁に当接するシリンダ部51の段部57とを有する。即ち、筒状破断部材31は、図1に示したように、段部57が対向する上端部26aと間にストッパ部材91の把持部93が介装されることで、押し込み操作によって封止部41に向かって移動するのを阻止された状態に保持される。ストッパ部材91には、把持部93を外す際の操作部となる摘み部92が突設されている。
即ち、本実施形態のロック機構45は、粉状薬剤噴射装置1の保管時等に、筒状ガイド部材21に移動可能に保持された筒状破断部材31が、不用意に押し込まれて封止部41に向かって移動するのを防止している。
更に、シリンダ部51は、本体部33を介して容器本体11の内部と外部を連通しており、収容されたピストン63のピストン本体61が気密に摺動する下方側摺動内周壁53と、該ピストン本体61との間に空隙Sを画成する上方側拡径内周壁55と、を備える。
ピストン本体61の周壁は、シリンダ部51の下方側摺動内周壁53に気密に摺動する小径部61aと、シリンダ部51の上端部に設けられたシール部材96のリップ部に気密に摺動する大径部61bとを有する。更に、ピストン本体61の大径部61bは、シリンダ部51の大径部51bとの間にチャンバ100を画成している。
ピストン本体61の底部62における下面外周部には、先端が拡径する方向に延びるカップ状のスカート部65が設けられている。スカート部65は、下方から高圧ガスが作用した際に、先端部が下方側摺動内周壁53に密着する方向に弾性変形して気密性を確保する。
また、水を保持させた吸水性ポリマーや水性ゲルなどを容器本体11内に予め所定量収容してもよい。
そして、キャップ71が被着されたピストン63を介して筒状破断部材31を下方へ押し込み操作する。
そこで、ガス発生剤43は、剥がれた封止部41と供に略全量が確実に容器本体11内の水101中に落下する。
すると、重曹とクエン酸からなるガス発生剤43が、水101中で反応して炭酸ガス(反応ガス)Gが発生する。容器本体11内で発生する炭酸ガスGは徐々に増え、容器本体11内が高圧となる。
なお、シリンダ部51の小径部51aとピストン63の小径部61aとの嵌め合い公差や材質等やシリンダ部51の下方側摺動内周壁53の内径とピストン63における小径部61aの外径を変えて、下方側摺動内周壁53に対するピストン63の摺動抵抗を適宜変更することで、ピストン63が動き出す際の容器本体11内の圧力を制御することができる。
チャンバ100に流入した高圧の炭酸ガスGは、図4(c)に示すように、ベーパータップ穴64からピストン本体61内に流入し、高速でピストン本体61内の粉状薬剤30を巻き上げながらシリンダ部51外へ一気に噴射拡散する。
また、ピストン本体61の大径部61bが、シリンダ部51の上端部に設けられたシール部材96のリップ部に気密に摺動することで、チャンバ100に流入した高圧の炭酸ガスGは、漏れることなくベーパータップ穴64からピストン本体61内に流入することができる。
上述した本実施形態の粉状薬剤噴射装置1によれば、ガスや溶媒等の媒体を用いることなく、薬剤としての殺虫剤を噴射拡散することができる。
上記実施形態の粉状薬剤噴射装置1においては、押圧部37が封止部41を押圧付勢して外周部における固着部を剥がすように破断する構成とされたが、押圧部の形状はこれに限らず、封止部41を破断してガス発生剤43を落下させることができる形状であれば、種々の形状を採りうることは勿論である。
11 容器本体
13 上端開口部
21 筒状ガイド部材
23 蓋部
26 筒体部
27 係止部
30 粉状薬剤
31 筒状破断部材
33 本体部
37 押圧部
41 封止部
43 ガス発生剤
45 ロック機構
51 シリンダ部
53 下方側摺動内周壁
55 上方側摺動内周壁
61 ピストン本体
62 底部
63 ピストン
64 ベーパータップ穴
65 スカート部
71 キャップ
75 噴射ノズル
91 ストッパ部材
96 シール部材
100 チャンバ
101 水(液体)
Claims (4)
- 上端開口部を有し、液体を収容するための容器本体と、
前記上端開口部を塞ぐ蓋部と、前記蓋部に貫通形成されて両開口端が前記容器本体の内部と外部に臨む筒体部と、前記容器本体の内方に向って延びる前記筒体部の下端開口を封止する封止部と、を有して前記上端開口部に装着される筒状ガイド部材と、
前記容器本体内の液体と反応して反応ガスを発生するため前記筒体部に収容されるガス発生剤と、
前記封止部に向かって移動可能に前記筒状ガイド部材に保持され、前記封止部を破断して前記ガス発生剤を前記容器本体内の液体中に落下させる押圧部が下端部に設けられた筒状破断部材と、
前記筒状破断部材の上端部に設けられたシリンダ部の下方側摺動内周壁に対しては気密に摺動すると共に、前記シリンダ部の上方側拡径内周壁に対しては空隙を画成するピストンと、
薬剤そのものか、粉体に薬剤が含浸され、前記ピストン上に収納される粉状薬剤と、
を備えることを特徴とする粉状薬剤噴射装置。 - 前記ピストンが、有底筒状のピストン本体と、前記ピストン本体の周壁における底部近傍に穿設されたベーパータップ穴とを有し、
前記上方側拡径内周壁の上端部には、前記ピストン本体の周壁に対して気密に摺動するシール部が設けられることを特徴とする請求項1に記載の粉状薬剤噴射装置。 - 前記ピストン本体の上方開口端には、噴射ノズルを備えたキャップが設けられることを特徴とする請求項2に記載の粉状薬剤噴射装置。
- 前記筒状ガイド部材と前記筒状破断部材との間には、前記筒状破断部材が前記封止部に向かって移動するのを阻止するロック機構が設けられることを特徴とする請求項1〜3の何れか1項に記載の粉状薬剤噴射装置。
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