JP6063196B2 - 乾燥・濃縮方法並びにその装置 - Google Patents
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Description
このような蒸気再圧縮型の装置にあっては、装置の大きさは多管式加熱管11′に供給される乾燥熱源(S5′)の温度と、被処理物の温度との差にほぼ反比例するので、温度差が小さい場合には装置が大型になってしまい、これを解消しようと温度差を大きく取ろうとすると、圧縮機5′内での圧縮効率が低下して消費電力が増大してしまうこととなる。また圧縮機5′としてターボ圧縮機を用いた場合には、小型のものでは効率が悪くなってしまう。更に伝導伝熱式の乾燥機1′から飛散した微粉や腐食性揮発成分等が圧縮機5′に入り込んだ場合には、圧縮機5′の故障原因となってしまったり、ドレンDのCOD、BODが上昇してしまう等の問題がある。そしてこのような様々な課題が解決されていないため、直接加圧式蒸気再圧縮型のヒートポンプ式処理装置は、ほとんど実用化されていないのが実情である。
またこのシステムでは、被処理物から蒸発した水分の除去には真空ポンプとコンデンサ(冷却用熱交換器)の組合せが通常用いられる(例えば特許文献3参照)。
ここで真空ポンプの排気能力(真空到達度)が高ければ、被処理物からの水分の蒸発温度を下げることができ、間接加熱する熱媒体(加熱蒸気)との温度差が大きくできることにより、伝熱を促進させて乾燥速度を向上させることができる。
しかし一方で、乾燥機から真空排気装置までの一連のシステムを真空下で操作する必要がある。乾燥機は真空乾燥機となり、外圧に耐える頑丈な本体と、乾燥製品を排出するための特別なシステムが必要となる。
その理由は、上述のように高真空度を得るためであり、外気空気の乾燥機等へのリークを抑制するためである。ここで、空気のリークを抑制しないとコンデンサでの熱交換能力の低下を来たし、例えば、このコンデンサで回収した熱をヒートポンプで熱回収したい場合は省エネルギー効果を損なうことになる。
そのため、乾燥機以外においても、例えば、乾燥製品を排出するためのダンパは、2 重ダンパ式排出装置を用いて、空気の侵入を抑制するために間欠的な開閉動作で大気圧下へ乾燥製品を排出する必要も生じる。この2 重ダンパは、乾燥製品を噛み込み易く、シール性の劣化が生じ易くて空気のリーク量が増大し易い。また、装置形状に関し、装置の高さ寸法が大きいため、乾燥設備全体の設置高を高くする必要を生じる。
このように、真空下で乾燥を行なう乾燥機は、乾燥機自体が頑丈でリークの少ない設計を要すると共に、周辺機器も類似の設計思想に基づく必要から、設備は複雑で高価になり、大型化してしまう。
もちろん特許文献3に開示されたように、真空下から大気圧下へ乾燥製品を連続排出する必要がないバッチ式真空乾燥機とする方法もあるが、起動の操作(被乾燥材料の投入、真空排気、予備加熱)と停止操作(真空から大気圧へ戻す、乾燥製品排出)が必要となる。また、1 バッチの間に乾燥機内の被乾燥材料の水分が高水分から低水分へと変化し、これに応じて水分蒸発量は乾燥初期に多く、途中から少なくなって終了時にはほとんど蒸発しなくなる。このためヒートポンプシステムとして蒸発した水蒸気の熱回収量が変化してしまい、起動・停止時間は全く作動しないので省エネルギーな運転ができない。
以上のような理由から現状では、伝導伝熱乾燥機で間接加圧式蒸気再圧縮型ヒートポンプを実用化した例は見当たらない。
そしてその後も本出願人は、蒸気再圧縮型のヒートポンプ式処理装置についての研究開発を継続して種々の改良を試みており、図6に示すように、従来、斯界の常識としてキャリアガスとして外気が用いられていたところを、過熱蒸気S1′を用いるという着想に基づいて、被処理物の乾燥を常圧下において連続的に行うことができるとともに、装置の製造コストを大幅に低減することができる発明を案出し、既に特許出願に及んでいる(特許文献2参照)。
更にその後も本出願人は、キャリアガスとして過熱蒸気を用いることを特徴とした上記発明を、直接加圧式蒸気再圧縮型とは異なる、間接加圧式蒸気再圧縮型のヒートポンプ式処理装置に適用することにより、前述した圧縮機の故障等の問題を解消することのできる装置の開発に着手した。
そしてこれら各請求項記載の発明の構成を手段として前記課題の解決が図られる。
また、真空を維持する必要がないため、乾燥機への被処理物の投入装置や、あるいは、乾燥機から排出される被乾燥物の排出装置に関し、真空を維持するための特別な機能は必要なく、そのため、乾燥機を中心として前後機器もメンテナンスの容易なシンプルな装置を用いることができる。
更にまた、排気口から排出された、被処理物から蒸発した水蒸気を含むキャリアガスの熱を、前記熱媒体に取り込むことにより廃熱を回収し、更に圧縮機で高温・高圧の状態に圧縮することで加熱用の熱媒体として使用できる。つまり、キャリアガスの熱エネルギーが熱源として乾燥に供されることになるので、省エネルギーな運転を可能とするものでもある。
更にまた、熱媒体が加熱装置に循環使用されるため、循環経路の配管あるいは機器、特に圧縮機を腐食させる等の悪影響のある成分が、熱媒体に混入することが無く、長期間良好な運転を継続することができる。
また、キャリアガスは本体シェル内において飽和蒸気となることがないため、被処理物から蒸発した水蒸気の再凝縮を防止して確実にキャリアガスに取り込むことができる。また排気口から排気されたキャリアガスは、熱媒体に熱を移動させる個所までの経路において過熱状態が維持されるため、凝縮してドレンを生ずることがなく、この経路中に設置されるバグフィルタなどの集塵装置に結露の生じる恐れがないので、集塵機能が損なわれることを回避することができる。
また加熱装置に熱媒体として過熱蒸気を供給する場合には、加熱装置の管外面(伝熱面)に接触する被処理物に対して、過熱蒸気の顕熱及び潜熱が伝導されるため、被処理物からの水分の蒸発を促進することができる。
また被処理物の性状が均一である場合には、本体シェル内への過熱蒸気の供給量を一定とし、また加熱装置への熱媒体の供給量を一定とすることができるため、安定した運転を行うことができ、更に一定した乾燥状態の乾燥製品を得ることができる。
また、処理室の排気口から排気される被処理物から蒸発した水蒸気を含むキャリアガスの状態が変動する場合などでも、圧縮機に入る蒸気の飽和状態あるいは過熱状態の変化を緩やかなものとし、圧縮機の負荷変動を抑制した運転を行うことができる。
因みに、背景技術で述べた従来技術の冷凍システムで圧縮機の吸込量を一定とし、圧力を成り行きとする制御方法では、熱交換器における熱の授受が一定しないため、本発明の乾燥・濃縮方法のようなヒートポンププシステムの運転は不安定となり、また熱回収量が不足して省エネルギー性が低下してしまう。
また、真空を維持する必要がないため、乾燥機への被処理物の投入装置や、あるいは、乾燥機から排出される被乾燥物の排出装置に関し、真空を維持するための特別な機能は必要なく、そのため、乾燥機を中心として前後機器もメンテナンスの容易なシンプルな装置を用いることができる。
更にまた、排気口から排出された、被処理物から蒸発した水蒸気を含むキャリアガスの熱を、前記熱媒体に取り込むことにより廃熱を回収し、更に圧縮機で高温・高圧の状態に圧縮することで加熱用の熱媒体として使用できる。つまり、キャリアガスの熱エネルギーが熱源として乾燥に供されることになるので、省エネルギーな運転を可能とするものでもある。
更にまた、熱媒体が加熱装置に循環使用されるため、循環経路の配管あるいは機器、特に圧縮機を腐食させる等の悪影響のある成分が、熱媒体に混入する可能性が低く、長期間良好な運転を継続することができる。
更にまた、キャリアガスは本体シェル内において飽和蒸気となることがないため、被処理物から蒸発した水蒸気の再凝縮を防止して確実にキャリアガスに取り込むことができる。また排気口から排気されたキャリアガスは、熱媒体に熱を移動させる個所までの経路において過熱状態が維持されるため、凝縮してドレンを生ずることがなく、この経路中に設置されるバグフィルタなどの集塵装置に結露の生じる恐れがないので、集塵機能が損なわれることを回避することができる。
また加熱装置に熱媒体として過熱蒸気を供給する場合には、加熱装置の管外面(伝熱面)に接触する被処理物に対して、過熱蒸気の顕熱及び潜熱が伝導されるため、被処理物からの水分の蒸発を促進することができる。
まず前記乾燥機1について説明すると、このものは、図2、3に示すようにいわゆる伝導伝熱式の機器が採用されるものであり、機枠F上に具えられた処理室たる本体シェル10と、その内部に具えられた加熱装置の一例であり、この実施例において凝縮器として機能する多管式加熱管11とが具えられて成る。
そして多管式加熱管11を、その内部に熱媒体たる過熱蒸気S5を流すとともに回転させ、被処理物を多管式加熱管11の管外面(伝熱面)に接触させることにより、被処理物に過熱蒸気S5の熱を伝導させて乾燥を行うものである。
なお伝導伝熱式の乾燥機1にあっては、本体シェル10内において被処理物から蒸発した水蒸気は、キャリアガスによって外部に排出されるため、従来よりこのようなキャリアガスとして、外気(そのまま、あるいは加熱もしくは除湿したもの。)を用いることが斯界の常識となっている。
また本体シェル10及び多管式加熱管11は、水平または投入口101側が排出口102側よりもいくぶんか高くなるように傾斜して機枠Fに設置される。
因みに図5に示す特許文献1に開示された乾燥・濃縮装置H′では、100〜120℃の飽和蒸気(101〜199kPa‐abs)を多管式加熱管11′に供給するものであるため、被処理物からの水分の蒸発を促進するためには、沸点を降下させる必要があり、このため本体シェル10′内を真空にして運転されるものであり、本体シェル10′は気密性を維持できることが要求されるものである。
そして前記軸体113の両端にはロータリージョイント115a、115bが取り付けられ、チューブ束116と接続される。また軸体113と本体シェル10との間には、外気との遮断のためのシール機構が設けられている。
またチューブ束116の側周部には、複数のリフタ117及び適宜の角度を持たせた送り羽根118が取り付けられたアングル111が多数(この実施例では12本)具えられるものであり、これらよって被処理物は掻き上げられて前記チューブ束116に接触するとともに投入口101側から排出口102側に進むこととなる。
なお図5に示す乾燥・濃縮装置H′では、ホッパ20′は真空脱気可能な構造とされ、乾燥機1′における本体シェル10′内への空気の混入防止が図られているが、前述したように本発明の乾燥・濃縮装置Hにおいてはこのような構造は必要とされない。
また前記熱交換器45とロータリージョイント115aとの間には圧縮機5が具えられるものであり、このような構成が採られることにより、循環路4内に封入された熱媒体としての蒸気を圧縮機5によって昇温・昇圧し、多管式加熱管11に供給するとともに、多管式加熱管11から排出される温度の低下した蒸気を熱交換器45において昇温し、再度圧縮機5によって昇温・昇圧することにより、循環使用することが可能とされている。
なお前記リザーブタンク41には、ドレン排出弁49が具えられた管路が接続されており、この管路が、乾燥・濃縮装置Hを構成する機器である投入装置2や本体シェル10のジャケット等に接続されることにより、多管式加熱管11から排出される熱媒体(ドレンD)の熱を、これら機器の熱源として供することができるように構成されている。
また前記スクリュー室52aには、注水口57が形成されており、この注水口57からスクリュー室52a内に冷却水を供給することにより、スクリュー室52a内において圧縮される過熱蒸気S4の過熱度を制御することが可能となるものである。
また前記圧縮機5としては前記圧縮能力を実現することができるものであれば、多段ルーツ型圧縮機、多段ターボブロワ等を採用することもできる。
なお図5に示す乾燥・濃縮装置H′においては、圧縮機5′と圧縮機5′との間に、気体中のミストを除去するためのミストセパレータが具えられているが、本発明の乾燥・濃縮装置Hにおいては、後述するように過熱蒸気S4が圧縮機5に供給され、適宜に過熱度が制御された過熱蒸気S5となって排出されるため、このようなミストセパレータは不要となるものである。
なおスーパーヒータ6の過熱蒸気S1の吐出側に温度センサ70を具え、この温度センサ70の測定値が所望の値(上述の例であれば160℃)となるように、スーパーヒータ6による加熱が制御されるものとする。
なお詳しくは後述するが、循環路4内に位置する蒸気が、リザーブタンク41及びドレン排出弁49を通じてドレンDとして外部に排出されたときに、これを補充すべく前記蒸気配管経路を通じて循環路4に補助蒸気が供給されるものである。なお乾燥機1の起動時等、多管式加熱管11が十分温度上昇していない場合にも、多管式加熱管11を加熱するために前記蒸気配管経路を通じてロータリージョイント115aに補助蒸気が供給されるものである。
また前記過熱蒸気S1を常圧とする目的は、乾燥系内(被処理物が存在する本体シェル10内の空間及びこれに連通する空間)への外気の吸い込み、あるいは、当該乾燥系から外気側への過熱蒸気S2のリークを防止するためである。
そしてこのような過熱蒸気S1の圧力が、大気圧に対して−1〜+1kPaの範囲であれば、一般的且つ簡易なシール材あるいはシール機構により、外気の吸い込みあるいは外気側への過熱蒸気S2のリークを防止することが可能となる。なお本明細書中において「常圧」とは、前記大気圧に対して−1〜+1kPaの範囲を含むものである。
もちろんより気密性を高めることができるシール材あるいはシール機構を採用すれば、過熱蒸気S1の圧力を、より広い範囲で許容することが可能となる。
(1)乾燥機の準備
まず被処理物の投入に先立って、乾燥機1における多管式加熱管11及び本体シェル10を昇温しておくものであり、モータMを起動して多管式加熱管11を回転させた状態で、ロータリージョイント115a、キャリアガス口103及び蒸気供給口106に補助蒸気を供給する。
また、上記の乾燥機1の準備に際しては、多管式加熱管11内に生じたドレンDや、リークにより入り込んだ空気などの非凝縮性ガスを、循環路4に設けられたドレン排出経路(図示省略)及び被凝縮性ガス排出経路(図示省略)を通じて循環路4から排出させておく。
ここで、排出口102側の鏡板112内には温度センサ71が具えられており(詳しくは温度センサ71のセンシングを行う先端部分のみが鏡板112内に挿入されている。)、上記多管式加熱管11の温度を測定している。この温度センサ71は、後述するドレン排出管(図示省略)と共に、ロータリージョイント151bを経由して軸体113の内部を通り、排出口102側の鏡板112内に配置されるものである。
そして、上述のドレンDや非凝縮性ガスが排出され、前記温度センサ71が所定の温度に達した後、ポンプP1を起動することにより、乾燥・濃縮装置Hの乾燥系内(被処理物が存在する本体シェル10内の空間及びこれに連通する空間)の非凝縮性ガスの排出を行いつつ、乾燥系内の雰囲気が過熱蒸気S1と置換されるものである。また熱交換器45とポンプP1との間にドレンDが生じたときには、ドレン排出ポンプP2を起動してドレンDを排出する。
次いで投入装置2におけるホッパ20に供給された被処理物(一例として有機汚泥)を脱気処理しておく。その後、更にホッパ20内に過熱蒸気S1を満たしておくことが好ましい。
次いで圧縮機5を起動して、循環路4内に位置する熱媒体としての蒸気を昇温・昇圧し、過熱蒸気S5として多管式加熱管11に供給するものである。
なお多管式加熱管11から排出される温度の低下した過熱蒸気S5は、リザーブタンク41内にドレン状態で貯留された後、流量制御弁42を経由して湿り蒸気S3となり、この湿り蒸気S3が熱交換器45において昇温されて過熱蒸気S4となり、この過熱蒸気S4が圧縮機5によって昇温・昇圧されて過熱蒸気S5として再度多管式加熱管11に供給される。
具体的には以下に説明するように、リザーブタンク41内のドレンあるいは蒸気が流量制御弁42を通過することで湿り蒸気S3となり、熱交換器45を経由することにより乾燥機1の排気口104から排気されるキャリアガスの熱を取り込んで過熱蒸気S4になるものである。
乾燥機1に被処理物が投入されれば、排気口104から排気されるキャリアガスには被処理物からの水分が含まれることになり、この水分を含んだキャリアガスが熱交換器45を通過することにより湿り蒸気S3に熱を与えることになる。
また前記圧力センサ43によって湿り蒸気S3の圧力が測定され、前記温度センサ46によって過熱蒸気S4の温度が測定され、これらの圧力と温度の測定値が、例えば、プログラマブルロジックコントローラ(PLC)により演算されて過熱度が求められる。そして過熱蒸気S4の過熱度を所望の過熱度とするためには、図示しない制御回路により流量制御弁42の弁の開度が制御される。
また、圧縮機5から吐出される過熱蒸気S5の温度と圧力は、それぞれ温度センサ47、圧力センサ48により測定される。そして、この温度センサ47と圧力センサ48の測定値が、例えば、プログラマブルロジックコントローラ(PLC)により演算されて過熱蒸気S5の過熱度が求められる。過熱蒸気S5の過熱度を所望の過熱度とするためには、注水調節弁58の開度が制御され、圧縮機5のスクリュー53、54における過熱蒸気S4の圧縮・昇温がなされている部分(スクリュー室52a)に注水され、それにより過熱蒸気S5の過熱度が制御される。
また過熱度は例えば循環路4の放熱による過熱蒸気S5の温度下降分を見込んで、例えば多管式加熱管11に140℃の過熱蒸気S5を供給したい場合、温度降下分が5度であれば、圧縮機5から吐出された直後の過熱蒸気S5の温度が145℃となる様に、過熱度を注水調節弁58により調節すればよい。
なお、ここでは注水を圧縮機5のスクリュー室52aに行なうことで説明したが、スクリュー室52aから吐出される過熱蒸気S5に対して注水しても構わない。その際は、スプレーノズル等を用いて噴霧状態で注水するのが好ましい。
次いで投入装置2から投入口101を通じて本体シェル10内に被処理物を投入するものであり、このものは送り羽根118の作用によって投入口101側から排出口102側に移動し、更にリフタ117によって掻き上げられてチューブ束116等と接触し、この際、熱を受けて水分が蒸発するものである。
このとき投入口101は多管式加熱管11の長手方向に沿って複数個所に形成されているため、多管式加熱管11の熱伝導面を有効に使用することができ、乾燥効率が高められる。
またポンプP1を起動することにより、スーパーヒータ6によって生成された過熱蒸気S1(常圧、約160℃)が、キャリアガスとしてキャリアガス口103を通じて本体シェル10内に供給されるものであり、被処理物から蒸発した水蒸気はこのキャリアガスに速やかに取り込まれることとなる。なお過熱蒸気S1によっても被処理物が加熱されるため、水分蒸発が促進されるものである。
そして排出口102に達した有機汚泥は乾燥品となった状態で排出され、次工程に移送される。
一方、被処理物から蒸発した水蒸気を取り込んだキャリアガス(過熱蒸気S1)は、排気口104から本体シェル10の外部に排気されるものであり、この排気は過熱状態が維持された状態とされる(過熱蒸気S2)。具体的には、バグフィルタ3と熱交換器45との間を結ぶ管路に具えられる温度センサ73によって過熱蒸気S2の温度を測定し、この値に基づいて蒸気S0の流量を流量調節弁82により制御して、過熱蒸気S2の過熱状態を維持するものである。
一方で、前記圧力センサ72が、本体シェル10内の被処理材料が存在する空間の圧力を測定しており、その圧力が大気圧に対して−1〜+1kPa(すなわち−1〜+1kPaG)の範囲に収まるように、ポンプP1の例えば回転数を制御して排気が行なわれる。
なお本体シェル10、排気口104、バグフィルタ3及び管路に、例えばトレース用の電気ヒータを施工し、この電気ヒータによりキャリアガスを所望の過熱状態に維持するよう温度センサ73を用いて制御を行うようにしてもよい。
なお前記リザーブタンク41においては、リミットスイッチ41a、41bによってタンク内の液量が検出されるものであり、リミットスイッチ41aによって液高が検出された場合には、ドレン排出弁49が開かれてドレンDが乾燥・濃縮装置Hを構成する機器である投入装置2や本体シェル10のジャケット等に供給され、これら機器の熱源として供されるものである。やがてリミットスイッチ41bによって液高が検出された時点でドレン排出弁49が閉じられる。
S0:151℃ 0.4MPaG
S1:160℃ −1〜1kPaG
S2:112℃ −1〜1kPaG
S3: 97℃ 90kPa−abs
S4:100℃ 90kPa−abs
S5:158℃ 0.4MPaG
また圧縮機5から吐出する蒸気を飽和蒸気とし、圧縮機5からロータリージョイント115aにかけて、例えばトレース用の電気ヒータを施工し、前記の温度センサ47と圧力センサ48とによりこの電気ヒータを制御して、圧縮機5から吐出される飽和蒸気を所望の過熱度に変更することもできる。
更に、乾燥運転終了段階において、本体シェル10内の被処理物を全て排出せずに、適宜の量を残した状態で乾燥運転を終了し、次の運転開始時には、その前の乾燥運転終了時に本体シェル10内に残した被処理物が存在する状態から上述の乾燥機1の準備を経て、被処理物の投入を開始するようにしてもよい。
また加熱装置として、例えば本体シェル10の外面にジャケットを設け、このジャケットに過熱蒸気S5を供給することにより、本体シェル10の被処理物側を伝熱面とし、本体シェル10の内部には被処理物を撹拌するのみの撹拌体を具えるだけの構成のものを採用することもできる。
1 乾燥機
10 本体シェル
101 投入口
102 排出口
103 キャリアガス口
104 排気口
105 ロータリーバルブ
106 蒸気供給口
107 ドレン口
108 側面開口
11 多管式加熱管(加熱管)
111 アングル
112 鏡板
113 軸体
114 軸受ブロック
115a ロータリージョイント
115b ロータリージョイント
116 チューブ束
117 リフタ
118 送り羽根
2 投入装置
20 ホッパ
3 バグフィルタ
30 フィルタエレメント
4 循環路
41 リザーブタンク
41a リミットスイッチ
41b リミットスイッチ
42 流量制御弁
43 圧力センサ
45 熱交換器
46 温度センサ
47 温度センサ
48 圧力センサ
49 ドレン排出弁
5 圧縮機
52 ケーシング
52a スクリュー室
53 スクリュー
54 スクリュー
55 給気口
56 排気口
57 注水口
58 注水調節弁
6 スーパーヒータ
70 温度センサ
71 温度センサ
72 圧力センサ
73 温度センサ
8 蒸気発生装置
81 減圧弁
82 流量調節弁
83 減圧弁
84 流量調節弁
D ドレン
F 機枠
M モータ
P1 ポンプ
P2 ドレン排出ポンプ
S0 蒸気
S1 過熱蒸気
S2 過熱蒸気
S3 湿り蒸気
S4 過熱蒸気
S5 過熱蒸気
Claims (12)
- 本体シェル内に、内部に熱媒体が流される加熱装置が具えられ、この加熱装置の伝熱面に被処理物を接触させることにより被処理物に熱媒体の熱を伝導させて水分を蒸発させるように構成された連続式伝導伝熱乾燥機が具えられたヒートポンプ式処理装置を用いた乾燥・濃縮方法において、
前記ヒートポンプ式処理装置は、前記加熱装置から排出される温度の低下した熱媒体を、圧縮機を用いて昇温した後、再度加熱装置に供給して循環使用するように構成されたものであり、
前記本体シェルに対して、被処理物から蒸発した水蒸気を取り込むためのキャリアガスとして過熱蒸気を供給し、本体シェル内を常圧とした状態で、被処理物からの水分の蒸発を行うとともに、
前記本体シェルに形成された排気口から排出される、被処理物から蒸発した水蒸気を含むキャリアガスの熱を、前記熱媒体に取り込むとともに、
前記本体シェルに形成された排気口から排気される、被処理物から蒸発した水蒸気を含むキャリアガスが、過熱状態を維持した状態とすることを特徴とする乾燥・濃縮方法。
- 前記加熱装置に供給される熱媒体を、飽和蒸気または過熱蒸気とすることを特徴とする請求項1記載の乾燥・濃縮方法。
- 前記被処理物を連続処理することを特徴とする請求項1または2記載の乾燥・濃縮方法。
- 前記本体シェルに形成された排気口から排出される、被処理物から蒸発した水蒸気を含むキャリアガスの熱を、前記熱媒体に取り込むにあたっては、前記加熱装置から排出される熱媒体を、流量制御弁を通過させた後、熱交換器を用いて、この熱媒体にキャリアガスの熱を取り込むことを特徴とする請求項1、2または3記載の乾燥・濃縮方法。
- 前記流量制御弁を通過後の熱媒体の圧力を、前記熱交換器の上流側または下流側で測定し、また前記熱交換器の下流側で熱媒体の温度を測定し、これら測定値に基づいて、前記流量制御弁の開度を制御すると共に、前記熱媒体の圧力の測定値に基づいて、圧縮機における熱媒体の吸込量を制御することを特徴とする請求項4記載の乾燥・濃縮方法。
- 前記加熱装置から排出される熱媒体の熱を、ヒートポンプ式処理装置を構成する機器における熱源として供することを特徴とする請求項1、2、3、4または5記載の乾燥・濃縮方法。
- 本体シェル内に、内部に熱媒体が流される加熱装置が具えられ、この加熱装置の伝熱面に被処理物を接触させることにより被処理物に熱媒体の熱を伝導させて水分を蒸発させるように構成された連続式伝導伝熱乾燥機が具えられたヒートポンプ式処理装置を用いた乾燥・濃縮装置において、
前記ヒートポンプ式処理装置は、前記加熱装置から排出される温度の低下した熱媒体を、圧縮機を用いて昇温した後、再度加熱装置に供給して循環使用するように構成されたものであり、
前記本体シェルに対して、被処理物から蒸発した水蒸気を取り込むためのキャリアガスとして過熱蒸気を供給するための機構が具えられ、
本体シェル内を常圧とした状態で、被処理物からの水分の蒸発を行うとともに、
前記本体シェルに形成された排気口から排出される、被処理物から蒸発した水蒸気を含むキャリアガスの熱を、前記熱媒体に取り込むことができるように構成されているとともに、
前記本体シェルに形成された排気口から排気される、被処理物から蒸発した水蒸気を含むキャリアガスが、過熱状態を維持した状態となるように構成されていることを特徴とする乾燥・濃縮装置。
- 前記加熱装置に供給される熱媒体を、飽和蒸気または過熱蒸気とすることができる制御機構が具えられたものであることを特徴とする請求項7記載の乾燥・濃縮装置。
- 前記本体シェルは、常圧下での使用を前提に構成されたものであることを特徴とする請求項7または8記載の乾燥・濃縮装置。
- 前記加熱装置から排出され、流量制御弁を通過した熱媒体に、処理室の排気口から排気される被処理物から蒸発した水蒸気を含むキャリアガスの熱を取り込ませる熱交換器を具えていることを特徴とする請求項7、8または9記載の乾燥・濃縮装置。
- 前記加熱装置から排出される熱媒体が通過する流量制御弁を具え、また前記熱交換器の上流側または下流側に圧力センサを具え、更に前記熱交換器の下流側に温度センサを具え、温度及び圧力の測定値に基づいて前記流量制御弁の開度を制御する制御機構と、圧力の測定値に基づいて圧縮機の熱媒体の吸込量を制御する制御機構とを具えていることを特徴とする請求項10記載の乾燥・濃縮装置。
- 前記加熱装置から排出される熱媒体の熱を、ヒートポンプ式処理装置を構成する機器における熱源として供することができるように構成されていることを特徴とする請求項7、8、9、10または11記載の乾燥・濃縮装置。
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