JP6063111B2 - 電子デバイス用パッケージの製造方法および電子デバイスの製造方法 - Google Patents
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Description
特許文献1に記載の圧電デバイスは、電子部品である圧電振動片と、この圧電振動片を収納するパッケージとを備える。この圧電デバイスのパッケージは、凹部を有するパッケージ本体と、そのパッケージ本体の凹部の開口を覆う蓋体とを有する。
しかし、このようなパッケージは、パッケージ本体に貫通孔を形成しなければならないので、製造工程が煩雑になるという問題があった。また、パッケージ本体の貫通孔が形成された部分には部品を実装することができないため、パッケージの大型化を招くという問題もあった。
[適用例1]
本発明の電子デバイス用パッケージの製造方法は、ベース部材と蓋部材との間に電子部品が収納される内部空間を形成し、前記ベース部材と前記蓋部材とが接合された電子デバイス用パッケージの製造方法であって、
前記ベース部材と接合される側の面に溝が形成された前記蓋部材、および前記ベース部材を用意する工程と、
平面視で前記蓋部材の前記溝が形成された部分を含む外周に電流を流し、前記内部空間と外部とが前記溝を介して連通した状態を維持して、前記ベース部材の接合面と前記蓋部材とをシーム溶接する第1の接合工程と、
前記第1の接合工程の後、前記内部空間を減圧状態および不活性ガス封入状態の少なくとも一方にして、前記溝をエネルギー線溶接により塞ぐ第2の接合工程と、
を有することを特徴とする。
このような電子デバイス用パッケージの製造方法によれば、シーム溶接後(第1の接合工程後)にベース部材と蓋部材との間に局所的に隙間を形成することができる。そのため、この隙間を減圧下または不活性ガス雰囲気下で第2の接合工程で塞ぐことにより、シーム溶接時に生じたガスをパッケージ内から除去して、高品質な気密封止を実現することができる。
また、従来のような貫通孔および封止材を必要としないことから、製造工程が簡単化されるとともに、パッケージの小型化を図ることができる。
本発明の電子デバイス用パッケージの製造方法では、前記溝の幅は、前記第2の接合工程での前記エネルギー線溶接のスポット径よりも小さいことが好ましい。
これにより、第2の接合工程において、エネルギー線溶接に際し、エネルギー線を走査する必要が無くなる。そのため、第2の接合工程に用いる機器が簡単かつ安価なものとなる。また、第2の工程において、シーム溶接後(第1の接合工程後)にベース部材と蓋部材との間に局所的に形成された隙間をエネルギー線溶接により簡単かつ確実に塞ぐことができる。
本発明の電子デバイス用パッケージの製造方法では、前記第1の接合工程では、前記ベース部材の前記接合面に前記シーム溶接により溶融し得る第1の金属層と、前記蓋部材の前記ベース部材と接合される側の面に前記シーム溶接により溶融し得る第2の金属層と、が形成された状態で、前記シーム溶接を行い、
前記溝の最大深さは、前記第1の金属層の厚さと前記第2の金属層の厚さとの和よりも大きいことが好ましい。
これにより、第1の接合工程において、蓋部材のベース部材との接合面に形成された溝が塞がれることなく、蓋部材とベース部材とをシーム溶接により強固に接合することができる。
本発明の電子デバイス用パッケージの製造方法では、前記溝の幅をL1とし、前記溝の深さをL2としたときに、
L1>L2なる関係を満たすことが好ましい。
これにより、第1の接合工程後にベース部材と蓋部材との間に局所的に隙間を形成するとともに、かかる隙間を第2の接合工程において簡単かつ確実に塞ぐことができる。
本発明の電子デバイス用パッケージの製造方法では、前記溝の壁面の横断面は、湾曲形状を有していることが好ましい。
これにより、第1の接合工程後にベース部材と蓋部材との間に局所的に隙間を形成するとともに、かかる隙間を第2の接合工程において簡単かつ確実に塞ぐことができる。
[適用例6]
本発明の電子デバイス用パッケージの製造方法では、前記蓋部材の平面視での輪郭は、矩形状を有し、
前記第1の接合工程では、前記蓋部材の平面視での各辺に沿って前記シーム溶接を行うことが好ましい。
これにより、第1の接合工程において、蓋部材のベース部材との接合面に形成された溝に対応する部分が溶接されないようにして、ベース部材と蓋部材との接合予定部位の主要部分を簡単かつ確実に接合することができる。
本発明の電子デバイス用パッケージの製造方法では、前記溝は、前記蓋部材の平面視での角部に設けられていることが好ましい。
これにより、簡単かつ確実に、シーム溶接後にベース部材と蓋部材との間に局所的に隙間を形成することができる。
本発明の電子デバイス用パッケージの製造方法では、前記溝は、前記蓋部材の平面視での辺部に設けられていることが好ましい。
これにより、シーム溶接後にベース部材と蓋部材との間に形成される局所的な隙間の大きさの制御が容易となる。
本発明の電子デバイス用パッケージの製造方法では、前記ベース部材の前記接合面には接合部材が配置されており、
前記蓋部材は、平面視で、輪郭が全周に亘って前記接合部材に重なるように形成されていることが好ましい。
これにより、接合部材の全周に亘って、ベース部材と蓋部材とを簡単かつ確実に接合することができる。
[適用例10]
本発明の電子デバイスの製造方法は、ベース部材と蓋部材との間に電子部品が収納される内部空間を形成し、前記ベース部材と前記蓋部材とが接合された電子デバイスの製造方法であって、
前記ベース部材と接合される側の面に溝が形成された前記蓋部材、および前記ベース部材を用意する工程と、
前記内部空間に電子部品を収容する工程と、
平面視で前記蓋部材の前記溝が形成された部分を含む外周に電流を流し、前記内部空間と外部とが前記溝を介して連通した状態を維持して、前記ベース部材の接合面と前記蓋部材とをシーム溶接する第1の接合工程と、
前記第1の接合工程の後、前記内部空間を減圧状態および不活性ガス封入状態の少なくとも一方にして、前記溝をエネルギー線溶接により塞ぐ第2の接合工程と、
を有することを特徴とする。
<第1実施形態>
まず、本発明の第1実施形態について説明する。
図1は、本発明の第1実施形態に係るセンサーデバイス(電子デバイス)の概略構成を示す模式的断面図、図2は、図1に示すセンサーデバイスの平面図、図3は、図1に示すセンサーデバイスのセンサーモジュール(電子部品モジュール)に備えられた支持部材を示す斜視図、図4は、図1に示すセンサーデバイスのセンサーモジュールに備えられたセンサー素子(電子部品)の平面図、図5は、図1に示すセンサーデバイスのパッケージの平面図である。
なお、以下では、説明の便宜上、図1中の上側を「上」、下側を「下」と言う。また、説明の便宜上、図1〜3、5では、互いに直交する3つの軸として、x軸、y軸およびz軸を図示しており、x軸に平行な方向を「x軸方向」、y軸に平行な方向を「y軸方向」、z軸に平行な方向(上下方向)を「z軸方向」と言う。
図1に示すセンサーデバイス(電子デバイス)1は、互いに直交するx軸、y軸およびz軸の3軸まわりの角速度をそれぞれ検出するジャイロセンサーである。
このようなセンサーデバイス1は、例えば、撮像機器の手ぶれ補正や、GPS(Global Positioning System)衛星信号を用いた移動体ナビケーションシステムにおける車両などの姿勢検出、姿勢制御等に用いることができる。
このセンサーデバイス1は、図1に示すように、センサーモジュール2と、センサーモジュール2を収納するパッケージ3とを有する。
(センサーモジュール2)
図1および図2に示すように、センサーモジュール2は、支持部材10と、z軸まわりの角速度を検知するセンサーユニット101と、x軸まわりの角速度を検知するセンサーユニット102と、y軸まわりの角速度を検知するセンサーユニット103とを備える。
このように、センサーモジュール2は、支持部材10と、3つのICチップ20と、3つのセンサー素子30と、3つのフレキシブル配線基板41、42、43とを備える。
支持部材10は、3つのセンサーユニット101、102、103を支持する機能を有する。
この支持部材10は、図3に示すように、z軸に直交する第1の支持面11と、x軸に直交する第2の支持面12と、y軸に直交する第3の支持面13とを有する。
また、支持部材10は、前述したような金属で構成された場合、かかる金属で構成された金属板を折り曲げ加工することにより形成することができる。なお、支持部材10の形状は、図3に示すものに限定されず、例えば、直方体、多角形柱状、多角錘状等のブロック体で構成されていてもよい。
図1および図2に示すICチップ20は、センサー素子30を駆動する機能と、センサー素子30からの信号を検出する機能とを有する。
このICチップ20は、板状をなし、その一方の面が能動面を構成し、他方の面が非能動面を構成する。
また、ICチップ20の能動面側には、図示しないが、前述した集積回路に電気的に接続された接続端子および外部接続端子が設けられている。
また、この接続端子は、センサー素子30をICチップ20に対して固定・支持する機能をも有する。ここで、この接続端子は、突起電極であることから、センサー素子30とICチップ20との間に隙間を形成するスペーサとしても機能する。これにより、センサー素子30の駆動振動や検出振動を許容する空間を確保することができる。
センサー素子30は、1つの軸まわりの角速度を検出するジャイロセンサー素子である。
このセンサー素子30は、その主要部分(基材)が圧電材料である水晶で構成されている。
また、センサー素子30は、フォトリングラフィー技術を用いたエッチング(ウェットエッチングまたはドライエッチング)により形成されている。
図4に示すように、センサー素子30は、いわゆるダブルT型と呼ばれる構造を有する。
このようなセンサー素子30は、その平面視において、ICチップ20と重なるように、前述したICチップ20の能動面上に実装されている。
また、センサー素子30は、その板面がICチップ20の板面に沿う(略平行になる)ように設置されている。これにより、センサーユニット101では、センサー素子30の板面がz軸に直交する。また、センサーユニット102では、センサー素子30の板面がx軸に直交する。また、センサーユニット103では、センサー素子30の板面がy軸に直交する。
具体的には、センサーユニット101のセンサー素子30は、その板面がz軸に直交することから、z軸まわりの角速度を検出することができる。また、センサーユニット102のセンサー素子30は、その板面がx軸に直交することから、x軸まわりの角速度を検出することができる。また、センサーユニット103のセンサー素子30は、その板面がy軸に直交することから、y軸まわりの角速度を検出することができる。
図1、2に示すフレキシブル配線基板41、42、43は、それぞれ、例えば、ポリイミド等の可撓性を有する樹脂を主体としたベース層(図示せず)と、そのベース層に接合された配線パターン層(図示せず)とを備えている。
そして、フレキシブル配線基板41は、配線パターン層の一方の端部が第1の支持面11に支持されたICチップ20の外部接続端子(図示せず)に取り付けられ(接合され)、配線パターン層の他方の端部が後述するパッケージ3の内部端子71に電気的に接続されている。同様に、フレキシブル配線基板42は、配線パターン層の一方の端部が第2の支持面12に支持されたICチップ20の外部接続端子(図示せず)に取り付けられ(接合され)、配線パターン層の他方の端部が後述するパッケージ3の内部端子72に電気的に接続されている。また、フレキシブル配線基板43は、配線パターン層の一方の端部が第3の支持面13に支持されたICチップ20の外部接続端子(図示せず)に取り付けられ(接合され)、配線パターン層の他方の端部が後述するパッケージ3の内部端子73に電気的に接続されている。
このようなセンサーモジュール2は、パッケージ3内に収納されることにより、x軸、y軸およびz軸まわりのそれぞれの角速度を検出可能なセンサーデバイス1を提供することができる。
また、センサーモジュール2は、1つの軸まわりの角速度を検出するセンサーデバイスを3つ組み合わせたものと比較して、取付姿勢を本来の安定なものとすることができることから、耐衝撃性を向上させることが可能となる。
図1および図5に示すように、パッケージ3は、平板状のベース部材61と、凹部62を有する蓋部材63(キャップ)とを備える。
本実施形態では、ベース部材61は、z軸方向からみた平面視(以下、単に「平面視」ともいう)にて矩形状をなしている。
このベース部材61は、例えば、酸化アルニウム質焼結体、水晶、ガラス等で構成されている。
また、ベース部材61の上面65には、内部端子71、72、73が設けられている。この内部端子71、72、73には、導電性接着剤、異方性導電膜、ハンダ等の導電性を有する接合部材(図示せず)を介して、センサーモジュール2のフレキシブル配線基板41、42、43が電気的に接続されている。
この複数の外部端子74は、図示しない内部配線を介して、前述した内部端子71、72、73に電気的に接続されている。これにより、センサーモジュール2の各センサーユニット101、102、103と複数の外部端子74とが電気的に接続されている。
このようにセンサーモジュール2が取り付けられたベース部材61の上面65には、センサーモジュール2を覆うように、蓋部材63が設けられている。
蓋部材63の凹部62の開口の外周部には、フランジ67が形成されている。
このフランジ67は、平面視にて四角環状をなす。また、フランジ67は、平面視における外側の輪郭が矩形状をなしている。なお、ここで、「矩形状」とは、幾何学的に正確な矩形状のみならず、その矩形状の少なくとも1つの角部をR面取りやC面取り等により欠損した形状をも含む概念である。
また、蓋部材63の平面視での輪郭の各角部には、R面取りが施されている。
この蓋部材63は、例えば、ベース部材61と同材料、または、コバール、42アロイ、ステンレス鋼等の金属で構成されている。
具体的には、フランジ67とベース部材61とが金属で構成された接合部材64を介して接合されている。この接合部材64は、ベース部材61の上面65に対してろう接により接合されるとともに、蓋部材63のフランジ67に対して後述するシーム溶接およびエネルギー線溶接(レーザー溶接、電子線溶接等)により接合されている。
このような接合部材64は、シーム溶接およびエネルギー線溶接によりフランジ67に対して拡散接合されている。
一方、溶接部95は、平面視形状がスポット状をなし、フランジ67の平面視での1つの角部(溝部80)に対応してエネルギー線溶接により蓋部材63と接合部材64とを接合することにより形成されたもの(エネルギー線溶接部)である。このような溶接部95により、前述した蓋部材63の平面視での外周部の主要部分以外の部分(すなわち、2対の溶接部91〜94が形成されていない部分)と接合部材64とが気密的に接合されている。また、このような溶接部95により、シーム溶接後にベース部材61と蓋部材63との間に局所的に形成された隙間(図10に示す隙間69)を減圧下または不活性ガス雰囲気下で簡単かつ確実に塞ぐことができる。なお、かかる隙間および溝80については、後述するパッケージ3の製造方法の説明において、詳述する。
このようなフランジ67の肉厚は、後述する第2の接合工程においてエネルギー線溶接により溝80による隙間を塞ぐことができるものであれば、特に限定されないが、例えば、0.01mm以上2mm以下程度であるのが好ましい。
また、接合部材64の厚さは、特に限定されないが、例えば、0.01mm以上2mm以下程度であるのが好ましい。
この接合部材64の構成材料としては、シーム溶接およびエネルギー線溶接によりフランジ67に対して拡散接合し得る金属であればよく、特に限定されないが、例えば、ろう材を好適に用いることができる。
このように構成されたパッケージ3の内部は、各センサーユニット101、102、103のセンサー素子30の振動が阻害されないように、減圧状態に保持されていることが好ましい。
次に、本発明の電子デバイス用パッケージの製造方法について、前述したパッケージ3の製造方法(センサーデバイス1)を製造する場合を例に説明する。
図6は、本発明の第1実施形態に係る電子デバイス用パッケージの製造方法(センサーデバイスの製造方法)における第1の接合工程を説明する図、図7は、図6に示す第1の接合工程に用いるシーム溶接を説明する図、図8は、図7の部分拡大図、図9は、図6に示す第1の接合工程後のパッケージの部分拡大平面図、図10は、図9のA方向からみた部分拡大側面図、図11は、本発明の第1実施形態に係る電子デバイス用パッケージの製造方法(センサーデバイスの製造方法)における第2の接合工程を説明する図、図12は、図11のA方向からみた部分拡大側面図である。
パッケージ3の製造方法(センサーデバイス1の製造方法)は、[1]ベース部材61と蓋部材63との接合予定部位の一部をシーム溶接により接合する第1の接合工程と、[2]ベース部材61と蓋部材63との接合予定部位の残部をエネルギー線溶接により接合する第2の接合工程とを有する。
[1]第1の接合工程
1−1
まず、図6(a)に示すように、ベース部材61および蓋部材63を用意し、ベース部材61の上面65側に蓋部材63を重ね合わせる。
そして、ベース部材61の上面65側に、蓋部材63のフランジ67が接合部材64に接触した状態で、蓋部材63が載置される。
この溝80は、後述するパッケージ3の製造における第1の接合工程後に蓋部材63と接合部材64との間に隙間69を形成するためのものである(図10参照)。
次に、図6(b)に示すように、フランジ67の平面視における互いに平行な1対の辺に沿ってフランジ67と接合部材64とをシーム溶接により接合することにより、1対の溶接部91、92を形成する。
かかるシーム溶接(シーム接合)は、例えば、図7に示すような溶接機300を用いる。
1対のローラー電極301、302は、それぞれ、中心軸を中心として軸線aまわりに回転可能に設けられている。
また、1対のローラー電極301、302は、軸線aに平行な方向に互いに離間している。
このテーパー角θ4は、特に限定されないが、5°以上25°以下であるのが好ましく、10°以上20°以下であるのがより好ましい。これにより、ローラー電極301、302とフランジ67との接触状態の安定化を図り、その結果、溶接不良を防止することができる。
このとき、電源装置303は、蓋部材63および接合部材64を介してローラー電極301とローラー電極302との間に電流を流す。これにより、接合部材64をジュール熱により溶融させ、蓋部材63のフランジ67と接合部材64とを接合する。
また、フランジ67の下面には溝80が形成されているので、蓋部材63および接合部材64は、蓋部材63の平面視での1つの角部(溝80)に対応する部分がシーム溶接されずに未溶接状態となる。
次いで、図6(c)に示すように、フランジ67の平面視における互いに平行な残りの1対の辺に沿ってフランジ67と接合部材64とをシーム溶接により接合することにより、1対の溶接部93、94を形成する。
かかるシーム溶接は、前述した1対の溶接部91、92の形成と同様にして行うことができる。
以上、第1の接合工程では、蓋部材63のベース部材61と接合される側の面に内外を連通する溝80を形成しておき、ベース部材61と蓋部材63との接合予定部位のうち、溝80に対応する部分を除いて蓋部材63の平面視での輪郭の各辺に沿った部分をシーム溶接により接合する。
また、図9および図10に示すように、第1の接合工程後のフランジ67と接合部材64との間には、溝80によって内外を連通する隙間69が形成される。
また、溝80の壁面の横断面は、湾曲形状をなしている。これにより、第1の接合工程後にベース部材61と蓋部材63との間に局所的に隙間69するとともに、かかる隙間69を後述する第2の接合工程において簡単かつ確実に塞ぐことができる。
また、溝80の幅L1と深さL2との比L2/L1は、特に限定されないが、例えば、0.1以上0.5以下であるのが好ましい。
また、溝80の幅L1は、特に限定されないが、1μm以上200μm以下程度であるのが好ましい。
また、溝80の深さL2は、特に限定されないが、5μm以上30μm以下程度であるのが好ましい。
2−1
次に、図11に示すように、フランジ67の1つの角部(溝80に対応する角部)と接合部材64とをエネルギー線溶接により接合することにより、溶接部95を形成する。これにより、図12に示すように、前述した隙間69が塞がれる。このとき、フランジ67の溝80が塞がれた部分67eは、ベース部材61側に撓むこととなる。
かかるエネルギー線溶接は、エネルギー線を連続発振するものであってもパルス発振するものであってもよい。
以上、第2の接合工程では、ベース部材61と蓋部材63との接合予定部位のうち、溝80に対応した部分をエネルギー線溶接により接合する。
また、前述したような貫通孔や封止材が不要なことから、パッケージ3内における電子部品、配線、電極等の配置の自由度が増す。また、パッケージ3の小型化を図ることもできる。
以上説明したような第1実施形態に係るセンサーデバイス1によれば、小型化を図るとともに、高品質な気密封止を簡単に実現することができる。
次に、本発明の第2実施形態について説明する。
図13は、本発明の第2実施形態に係るセンサーデバイス(電子デバイス)のパッケージの平面図、図14は、本発明の第2実施形態に係るセンサーデバイスの製造方法における第1の接合工程後のパッケージを示す部分拡大側面図、図15は、本発明の第2実施形態に係るセンサーデバイスの製造方法における第2の接合工程後のパッケージを示す部分拡大側面図である。
なお、以下の説明では、第2実施形態のセンサーデバイスに関し、前述した実施形態との相違点を中心に説明し、同様の事項に関してはその説明を省略する。また、図13ないし図15において、前述した実施形態と同様の構成については、同一符号を付している。
このパッケージ3Aでは、ベース部材61に接合部材64を介して蓋部材63Aが接合されている。
具体的に説明すると、図13に示すように、蓋部材63Aと接合部材64との接合部90Aは、x軸方向に延在する1対の溶接部91A、92A(第1の溶接部)と、y軸方向に延在する1対の溶接部93A、94A(第2の溶接部)と、蓋部材63の1つの辺部に対応して局所的に設けられた溶接部95A(第3の溶接部)とを有する。これにより、かかる接合部90Aは、平面視にて、蓋部材63の外形(輪郭)に沿ってその全周に亘って形成されている。
パッケージ3Aの製造時では、シーム溶接前に、フランジ67Aの下面に、内外に連通する80Aが形成される。この溝80Aは、蓋部材63Aの平面視での辺部に設けられている。これにより、シーム溶接後にベース部材61と蓋部材63Aとの間に形成される局所的な隙間69Aの大きさの制御が容易となる。
図15に示すように、このような隙間69Aは、シーム溶接後のエネルギー線溶接により塞がれる。
以上説明したような第2実施形態に係るセンサーデバイス1Aによっても、小型化を図るとともに、高品質な気密封止を簡単に実現することができる。
以上説明したような各実施形態のセンサーデバイスは、各種の電子機器に組み込んで使用することができる。
このような電子機器によれば、信頼性を優れたものとすることができる。
ここで、本発明の電子デバイスを備える電子機器の一例について、図17〜図19に基づき、詳細に説明する。
図16は、本発明の電子機器を適用したモバイル型(またはノート型)のパーソナルコンピュータの構成を示す斜視図である。
このようなパーソナルコンピュータ1100には、ジャイロセンサーとして機能する前述したセンサーデバイス1が内蔵されている。
この図において、携帯電話機1200は、複数の操作ボタン1202、受話口1204および送話口1206を備え、操作ボタン1202と受話口1204との間には、表示部100が配置されている。
図18は、本発明の電子機器を適用したディジタルスチルカメラの構成を示す斜視図である。なお、この図には、外部機器との接続についても簡易的に示されている。
ここで、通常のカメラは、被写体の光像により銀塩写真フィルムを感光するのに対し、ディジタルスチルカメラ1300は、被写体の光像をCCD(Charge Coupled Device)などの撮像素子により光電変換して撮像信号(画像信号)を生成する。
また、ケース1302の正面側(図中裏面側)には、光学レンズ(撮像光学系)やCCDなどを含む受光ユニット1304が設けられている。
また、このディジタルスチルカメラ1300においては、ケース1302の側面に、ビデオ信号出力端子1312と、データ通信用の入出力端子1314とが設けられている。そして、図示されるように、ビデオ信号出力端子1312にはテレビモニタ1430が、デ−タ通信用の入出力端子1314にはパーソナルコンピュータ1440が、それぞれ必要に応じて接続される。さらに、所定の操作により、メモリ1308に格納された撮像信号が、テレビモニタ1430や、パーソナルコンピュータ1440に出力される構成になっている。
このようなディジタルスチルカメラ1300には、ジャイロセンサーとして機能する前述したセンサーデバイス1が内蔵されている。
以上、本発明の電子デバイス用パッケージの製造方法および電子デバイスの製造方法について、図示の実施形態に基づいて説明したが、本発明は、これらに限定されるものではない。
また、本発明の電子デバイスおよび電子機器は、前述した各実施形態の任意の構成同士を組み合わせるようにしてもよい。
また、本発明の電子デバイス用パッケージの製造方法では、任意の工程を追加することができる。
また、センサー素子30は、前述したようなダブルT型以外にも、二脚音叉、三脚音叉、H型音叉、くし歯型、直交型、角柱型等、種々のジャイロ素子を用いることが可能である。
また、センサー素子30の振動の駆動方法や検出方法は、圧電体の圧電効果を用いた圧電型によるものの他に、クーロンカを利用した静電型によるものや、磁力を利用したローレンツ型によるもの等であってもよい。
また、センサー素子の検出軸は、センサー素子の主面(板面)生面に直交する軸のほかに、センサー素子の主面に平行な軸であってもよい。
また、本発明の電子デバイスの電子部品としては、センサー素子に限らず、各種能動備品および各種受動部品を用いることができる。また、電子デバイス用パッケージ内に収納される電子部品の数は、任意である。
また、前述した実施形態では、電子部品とパッケージとをフレキシブル配線基板を介して電気的に接続した構成を例に説明したが、電子部品とパッケージとの電気的接続は、これに限定されず、例えば、ボンディングワイヤーを介した接続、フェイスダウン実装による接続等であってもよい。
Claims (10)
- ベース部材と蓋部材との間に電子部品が収納される内部空間を形成し、前記ベース部材と前記蓋部材とが接合された電子デバイス用パッケージの製造方法であって、
前記ベース部材と接合される側の面に溝が形成された前記蓋部材、および前記ベース部材を用意する工程と、
平面視で前記蓋部材の前記溝が形成された部分を含む外周に電流を流し、前記内部空間と外部とが前記溝を介して連通した状態を維持して、前記ベース部材の接合面と前記蓋部材とをシーム溶接する第1の接合工程と、
前記第1の接合工程の後、前記内部空間を減圧状態および不活性ガス封入状態の少なくとも一方にして、前記溝をエネルギー線溶接により塞ぐ第2の接合工程と、
を有することを特徴とする電子デバイス用パッケージの製造方法。 - 前記溝の幅は、前記第2の接合工程での前記エネルギー線溶接のスポット径よりも小さい請求項1に記載の電子デバイス用パッケージの製造方法。
- 前記第1の接合工程では、前記ベース部材の前記接合面に前記シーム溶接により溶融し得る第1の金属層と、前記蓋部材の前記ベース部材と接合される側の面に前記シーム溶接により溶融し得る第2の金属層と、が形成された状態で、前記シーム溶接を行い、
前記溝の最大深さは、前記第1の金属層の厚さと前記第2の金属層の厚さとの和よりも大きい請求項1または2に記載の電子デバイス用パッケージの製造方法。 - 前記溝の幅をL1とし、前記溝の深さをL2としたときに、
L1>L2なる関係を満たす請求項1ないし3のいずれか1項に記載の電子デバイス用パッケージの製造方法。 - 前記溝の壁面の横断面は、湾曲形状を有している請求項1ないし4のいずれか1項に記載の電子デバイス用パッケージの製造方法。
- 前記蓋部材の平面視での輪郭は、矩形状を有し、
前記第1の接合工程では、前記蓋部材の平面視での各辺に沿って前記シーム溶接を行う請求項1ないし5のいずれか1項に記載の電子デバイス用パッケージの製造方法。 - 前記溝は、前記蓋部材の平面視での角部に設けられている請求項6に記載の電子デバイス用パッケージの製造方法。
- 前記溝は、前記蓋部材の平面視での辺部に設けられている請求項6に記載の電子デバイス用パッケージの製造方法。
- 前記ベース部材の前記接合面には接合部材が配置されており、
前記蓋部材は、平面視で、輪郭が全周に亘って前記接合部材に重なるように形成されている請求項1ないし8のいずれか1項に記載の電子デバイス用パッケージの製造方法。 - ベース部材と蓋部材との間に電子部品が収納される内部空間を形成し、前記ベース部材と前記蓋部材とが接合された電子デバイスの製造方法であって、
前記ベース部材と接合される側の面に溝が形成された前記蓋部材、および前記ベース部材を用意する工程と、
前記内部空間に電子部品を収容する工程と、
平面視で前記蓋部材の前記溝が形成された部分を含む外周に電流を流し、前記内部空間と外部とが前記溝を介して連通した状態を維持して、前記ベース部材の接合面と前記蓋部材とをシーム溶接する第1の接合工程と、
前記第1の接合工程の後、前記内部空間を減圧状態および不活性ガス封入状態の少なくとも一方にして、前記溝をエネルギー線溶接により塞ぐ第2の接合工程と、
を有することを特徴とする電子デバイスの製造方法。
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