JP6059933B2 - 非空気圧タイヤの製造方法及び非空気圧タイヤ - Google Patents

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Description

本発明は、略円環状の支持構造体と、支持構造体の外周側に位置する透明又は半透明なトレッド層とを備える非空気圧タイヤの製造方法及び非空気圧タイヤに関するものである。
一般的な空気入りタイヤにおいて、タイヤサイズ、製造ロット番号、メーカー名、ブランド名等を表示する文字、数字、記号又は図形等はサイドウォール部に表示されている。
下記特許文献1では、タイヤの製造工程において、製造されるタイヤの品種、サイズ等が正確に見分けられるように、文字、数字、記号等から構成される識別マークを未加硫タイヤのトレッド表面に印刷している。しかし、未加硫タイヤは、加硫工程において高温高圧に晒され、未加硫ゴムの変形や流動が生じるため、完成したタイヤでは識別マークの歪み等の外観不良が生じる。また、トレッド表面に印刷された識別マークは、製造工程における識別を主目的としており、タイヤの使用により擦れて早期に識別不能となる可能性が高い。
また、下記特許文献2には、主にゴム層と繊維層とから構成され、超微粒子のシリコン化合物で構成された透明トレッドで上記ゴム層を被覆した空気入りタイヤが記載されている。この透明トレッドと上記ゴム層との間には、カラーゴム層を設けてタイヤに装飾を施すことが可能となっている。しかし、透明トレッドを構成する超微粒子のシリコン化合物は無機質であり、柔軟なゴム層の変形に追従できず、セパレーションや破砕等の不具合が発生する恐れがある。さらに、この空気入りタイヤにおいても、加硫工程での圧力によりカラーゴム層の歪み等の外観不良が生じる。
また、下記特許文献3には、外部からタイヤの内部構造を観察する目的で、透明度の高いタイヤ用ゴム組成物をトレッド部及びサイドウォール部の少なくとも何れかに用いた空気入りタイヤが開示されている。この空気入りタイヤにおいても、仮に文字や絵柄等を設ける場合、加硫工程での圧力による歪み等は避けられない。
特開2011−46001号公報 実用新案登録第3071490号公報 特開2011−252090号公報
そこで、本発明の目的は、トレッド部に設ける文字又は絵柄の外観不良を防ぎつつ、文字又は絵柄の耐久性を向上させた非空気圧タイヤの製造方法及び非空気圧タイヤを提供することにある。
上記目的は、下記の如き本発明により達成できる。
即ち、本発明の非空気圧タイヤの製造方法は、略円環状の支持構造体を成型する工程と、前記支持構造体の外周側に位置するトレッド層を成型する工程とを備える非空気圧タイヤの製造方法であって、第1のキャビティに第1の高分子材料の原料を供給して硬化させることにより前記支持構造体を成型する支持構造体成型工程と、前記支持構造体成型工程の前又は後に、前記第1のキャビティの外周側に位置する第2のキャビティに第2の高分子材料の原料を供給して硬化させることにより、透明又は半透明な前記トレッド層を成型するトレッド層成型工程とを備え、前記支持構造体の外周面又は前記トレッド層の内周面のうち先に成型される面に、文字又は絵柄を表示する凹凸構造を形成することを特徴とする。
本発明の非空気圧タイヤの製造方法では、支持構造体及びトレッド層の何れか一方を成型した後、支持構造体及びトレッド層の何れか他方を成型する。この際、支持構造体の外周面又はトレッド層の内周面のうち先に成型される面に、文字又は絵柄を表示する凹凸構造を形成する。これにより、トレッド部に文字又は絵柄を設けた非空気圧タイヤを製造することができる。このトレッド部に設けた文字又は絵柄は、トレッド層が透明又は半透明であるため、トレッド層を介して外部から視認可能となっている。また、凹凸構造が支持構造体とトレッド層の界面にあって非露出の状態のため、文字又は絵柄の耐久性が良好となる。さらに、本発明の製造方法によれば、加圧工程(圧縮法による成型)が不要なため、文字又は絵柄の歪み等の外観不良を防ぐことができる。
本発明に係る非空気圧タイヤの製造方法において、前記凹凸構造は、前記支持構造体の外周面又は前記トレッド層の内周面に一体で成型されることが好ましい。
支持構造体成型工程又はトレッド層成型工程のうち先に行われる工程において、支持構造体の外周面又はトレッド層の内周面に凹凸構造を一体で成型し、その後、支持構造体成型工程又はトレッド層成型工程のうち後に行われる工程において、残りの支持構造体又はトレッド層を成形する。これにより、支持構造体とトレッド層の界面に容易に凹凸構造を形成できる。
本発明に係る非空気圧タイヤの製造方法において、前記凹凸構造は、前記支持構造体の外周面又は前記トレッド層の内周面に切削加工により形成されることが好ましい。
支持構造体の外周面及びトレッド層の内周面のうち先に成型される面に、切削加工により凹凸構造を形成することで、任意の文字又は絵柄を表示する凹凸構造を容易に形成できる。
本発明に係る非空気圧タイヤの製造方法において、前記凹凸構造の凸部は、先端へ向かって窄まる形状であることが好ましい。
凹凸構造の凸部を先端へ向かって窄まる形状とすることで、支持構造体又はトレッド層を成型する際に、凸部に対応するキャビティに高分子材料を適切に充填しやすく、ボイドの発生を抑制できるため、文字又は絵柄の外観不良を防ぐことができる。
一方、本発明の非空気圧タイヤは、第1の高分子材料からなる略円環状の支持構造体と、前記支持構造体の外周側に位置する透明又は半透明な第2の高分子材料からなるトレッド層とを備え、前記支持構造体と前記トレッド層の界面に、前記トレッド層を介して視認可能な文字又は絵柄を表示する凹凸構造が形成されていることを特徴とする。
本発明の非空気圧タイヤは、支持構造体とトレッド層の界面に文字又は絵柄を表示する凹凸構造が形成されている。このトレッド部に設けた文字又は絵柄は、トレッド層が透明又は半透明であるため、トレッド層を介して外部から視認可能となっている。また、凹凸構造が支持構造体とトレッド層の界面にあって非露出の状態のため、文字又は絵柄の耐久性が良好となる。さらに、支持構造体及びトレッド層はそれぞれ高分子材料で成型されるが、支持構造体及びトレッド層の何れか一方を成型する際に、支持構造体の外周面又はトレッド層の内周面のうち先に成型される面に凹凸構造を形成し、その後、支持構造体及びトレッド層の何れか他方を成型することで、非空気圧タイヤを製造する際に加圧工程(圧縮法による成型)が不要となり、文字又は絵柄の歪み等の外観不良を防ぐことができる。
本発明の非空気圧タイヤの一例を示す正面図及び側面図 図1の非空気圧タイヤのA−A断面図 図1の側面図の一部を拡大して示す部分拡大図 図2の断面図の一部を拡大して示す部分拡大図 非空気圧タイヤの製造工程を模式的に示す断面図 他の実施形態に係る非空気圧タイヤの製造工程を模式的に示す断面図 他の実施形態に係る凹凸構造を示す断面図 他の実施形態に係る凹凸構造の正面図
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照しながら説明する。初めに、本発明の非空気圧タイヤの構成を説明する。図1は非空気圧タイヤの一例を示しており、正面図及び側面図である。ここで、Oは軸芯を示している。図2は、図1の非空気圧タイヤのA−A断面図である。
非空気圧タイヤTは、第1の高分子材料からなる略円環状の支持構造体SSと、支持構造体SSの外周側に位置する透明又は半透明な第2の高分子材料からなるトレッド層6とを備えている。支持構造体SSは、車両からの荷重を支持する機能を有する。トレッド層6の外周面は、路面と接触する。
支持構造体SSとトレッド層6の界面36には、文字又は絵柄を表示する凹凸構造7が形成されている。このトレッド部に設けた文字又は絵柄は、トレッド層6が透明又は半透明であるため、トレッド層6を介して外部から視認可能となっている。
支持構造体SS及びトレッド層6はそれぞれ別々に成型されるが、支持構造体SS及びトレッド層6の何れか一方を成型するのと同時又は成型後に、支持構造体SSの外周面又はトレッド層6の内周面のうち先に成型される面に凹凸構造7を形成し、その後、支持構造体SS及びトレッド層6の何れか他方を成型する。これにより、支持構造体SSとトレッド層6の界面36に凹凸構造7を形成できる。
本発明の文字又は絵柄は、例えば、タイヤサイズ、製造ロット番号、メーカー名、ブランド名等を表す文字、数字、記号、又は図形、模様等のことであり、種々の情報を表示したり、装飾を施したりする目的で設けられる。この実施形態では文字又は絵柄としてメーカー名が用いられている例を示しているが、本発明ではこれ以外の文字又は絵柄も採用可能である。
図3は、図1の側面図の一部を拡大した図である。図4は、図2の断面図の一部を拡大した図である。本実施形態の凹凸構造7は、支持構造体SSの外周面3aから突出する複数の凸部71と、凸部71以外の凹部72とで構成されている。凸部71の形状としては、円柱、四角柱、円錐、四角錐、半球等の形状が例示されるが、先端へ向かって窄まる形状であることが好ましく、例えば円錐、円錐台、四角錐、四角錐台、半球等の形状が好ましい。
タイヤ径方向から見た凸部71の投影面積sは、0.75〜20mmが好ましく、3〜15mmがより好ましい。凸部71の投影面積sが、0.75mmよりも小さいと、成型時のエア溜まりによる肉欠けが起こり、20mmよりも大きいと、細かい又は複雑な文字又は絵柄を表現することが出来ない。
凸部71の高さhは、凸部71が突出する側(ここではトレッド層6)の厚みの5〜50%が好ましく、10〜30%がより好ましい。50%を超えると、凸部71が突出する側の本来の機能が発揮できなくなる恐れがあり、5%未満では凹凸構造7が肉眼でははっきりせず、文字又は絵柄が視認できなくなる恐れがある。
凸部71同士の間隔dは、1mm以上、かつ凸部71の最大幅の2倍以下が好ましく、2mm以上、かつ凸部71の最大幅以下がより好ましい。ここで、間隔dとは、隣り合う凸部71の外表面同士の最短距離とする。間隔dが、1mmよりも小さいと、凹凸構造を形成させる外側金型15の凹凸形成部151(後述する)の変形、欠け等の金型の不具合が生じやすくなり、一方、切削加工で凹凸構造を形成させる場合には、サイズ的に切削しにくいため短時間で行うには難しく、凸部71の最大幅の2倍よりも大きいと、複数の凸部71により示される文字又は絵柄の内容が分かりづらくなる。
本実施形態の凸部71は、半球形状となっている。半球の半径rは0.5〜2.5mmが好ましく、1〜2mmがより好ましい。半径rが、0.5mmよりも小さいと、成型時のエア溜まりによる肉欠けが起こり、2.5mmよりも大きいと、細かい又は複雑な文字又は絵柄を表現することが出来ない。
なお、複数の凸部71は、すべて同一の形状、大きさである必要はない。表示する文字や絵柄に応じて、複数の凸部71は、形状、大きさをそれぞれ異ならせるようにしてもよい。また、凸部71同士の間隔dも一定とする必要はない。これにより、多様な文字や絵柄を表現可能となり、意匠性に優れる非空気圧タイヤとすることができる。
本実施形態では、凹凸構造7をタイヤ軸方向の中央部に設けているが、凹凸構造7を設ける位置はこれに限定されない。例えば、凹凸構造7をタイヤ軸方向の端部に設けてもよい。また、本実施形態では、凹凸構造7をタイヤ周方向の一部のみに設けているが、凹凸構造7を設ける範囲はこれに限定されない。すなわち、例えば、凹凸構造7をトレッド部の全幅又は全周に亘って設けるようにしてもよい。
本発明において、支持構造体SSの形状は特に限定されない。本実施形態の非空気圧タイヤTは、図1の正面図に示すように、支持構造体SSが、内側環状部1と、その外側に同心円状に設けられた中間環状部2と、その外側に同心円状に設けられた外側環状部3と、内側環状部1と中間環状部2とを連結する内側連結部4と、外側環状部3と中間環状部2とを連結する外側連結部5とを備えている。この実施形態では、支持構造体SSが中間環状部2を備えているが、中間環状部2は必ずしも必要ではなく、中間環状部2を設けず、内側連結部4と外側連結部5とが連続して1本の連結部を構成してもよい。また、この実施形態では、複数の内側連結部4と外側連結部5がタイヤ周方向に独立した構造となっているが、内側連結部4と外側連結部5は単一の構造であってもよい。
支持構造体SS及びトレッド層6を構成する高分子材料は、樹脂又はエラストマーであり、かつ注型法又は射出法で成型が可能であることが好ましい。このような樹脂又はエラストマーとしては、ポリオレフィン、ポリ塩化ビニル、ポリスチレン、メタクリル樹脂、ポリカーボネート、ポリアミド、ポリイミド、ポリアセタール、フッ素樹脂、尿素樹脂、フェノール樹脂、ポリエステル、ポリウレタン、エポキシ樹脂、メラミン樹脂、シリコン樹脂等が挙げられる。
上記の高分子材料のうち、成型・加工性や、材料設計の自由度の観点から、好ましくはポリウレタンが用いられる。なお、高分子材料としては、発泡材料を使用してもよく、上記の高分子材料を発泡させたものも使用可能である。
高分子材料で一体成型された支持構造体SSは、内側環状部1、中間環状部2、外側環状部3、内側連結部4、及び外側連結部5の全て又は一部が、補強繊維により補強されていることが好ましい。
補強繊維としては、長繊維、短繊維、織布、不織布などの補強繊維が挙げられるが、長繊維を使用する形態として、タイヤ軸方向に配列される繊維とタイヤ周方向に配列される繊維とから構成されるネット状繊維集合体を使用するのが好ましい。
補強繊維の種類としては、例えば、レーヨンコード、ナイロン−6,6等のポリアミドコード、ポリエチレンテレフタレート等のポリエステルコード、アラミドコード、ガラス繊維コード、カーボンファイバー、スチールコード等が挙げられる。
トレッド層6は、支持構造体SSの外周側に設けられている。本実施形態のトレッド層6は、図2に示されるように、タイヤ軸方向に曲率を有しているが、これに限定されるものではなく、装着する車両によっては、曲率を有していなくてもよい。キャンバーを付けてコーナリングするような車両においては、トレッド層6が曲率を有することで、直進走行時とコーナリング時との間の接地面積の変動が少なくなり、旋回性能を向上させることができる。
トレッド層6が曲率を有している場合、凹凸構造7はタイヤ軸方向の端部に設けるのが好ましい。トレッド層6が曲率を有している場合、タイヤ軸方向の中央部が端部よりも接地する割合が多いため、トレッド層6の中央部が擦れて透明度が落ちやすい。そのため、凹凸構造7をタイヤ軸方向の端部に設けることで、文字又は絵柄の視認性が長期間維持されやすい。
トレッド層6は、高分子材料で成型される。本発明の高分子材料としては、上述した、樹脂又はエラストマーであり、かつ注型法又は射出法で成型が可能であるものが挙げられる。上記の高分子材料のうち、成型・加工性、材料設計の自由度の観点から、好ましくはポリウレタンが用いられる。また、特にトレッド層6に用いられる高分子材料は、硬化後に透明度の高いものとする。
トレッド層6の外表面には、トレッドパターンとして、従来の空気入りタイヤと同様のパターンを設けることが可能である。
本発明の非空気圧タイヤTは、あまり大きな荷重が加わらず、低速で走行する乗り物、例えばシニアカー、パーソナルモビリティロボット、自転車、車椅子等に使用するタイヤとして有用である。
次に、本発明の非空気圧タイヤTの製造方法を説明する。図5は、非空気圧タイヤTの製造工程の一例を示す断面図である。
本発明の非空気圧タイヤTの製造方法は、第1のキャビティに第1の高分子材料の原料を供給して硬化させることにより支持構造体SSを成型する支持構造体成型工程と、支持構造体成型工程の前又は後に、第1のキャビティの外周側に位置する第2のキャビティに第2の高分子材料の原料を供給して硬化させることにより、透明又は半透明なトレッド層6を成型するトレッド層成型工程とを備え、支持構造体SSの外周面又はトレッド層6の内周面のうち先に成型される面に、文字又は絵柄を表示する凹凸構造7を形成するものである。本発明に係る製造方法において、支持構造体成型工程とトレッド層成型工程のどちらを先に行ってもよいが、ここでは、支持構造体成型工程の後にトレッド層成型工程を行う例を示す。
まず、図5(a)のように、非空気圧タイヤTの軸方向両端を成型する上型11と下型12の間に、内側環状部1の内周面を成型するための内側金型13と、内側環状部1の外周面、中間環状部2の内外周面、外側環状部3の内周面、及び連結部4,5を成型するための複数の入子14と、外側環状部3の外周面3aを成型するための外側金型15とを配置して型閉めし、支持構造体SSを成型するための第1キャビティC1を形成する。第1キャビティC1は、内側環状部1を成型するためのキャビティ21、中間環状部2を成型するためのキャビティ22、外側環状部3を成型するためのキャビティ23、連結部4,5を成型するためのキャビティ(不図示)で構成されている。外側金型15の内周面15aには、非空気圧タイヤTの凹凸構造7を成型するための凹凸形成部151が設けられている。
上型11には、第1キャビティC1と外部を連通させる第1注入孔11aが設けられている。第1注入孔11aを介して第1キャビティC1に、支持構造体SSを構成する第1の高分子材料の原料を供給することで、図5(b)のように、第1キャビティC1に原料が充填され、この原料を硬化させることにより支持構造体SSが成型される。このとき、外側金型15の内周面15aに凹凸形成部151が設けられているため、凹凸構造7が支持構造体SSの外周面3aに一体で成型される(図5(c)を参照)。なお、この図では、中間環状部2を成型するためのキャビティ22に対向する位置に第1注入孔11aを設けているが、第1注入孔11aを設ける位置はこれに限定されない。
次いで、図5(c)のように、上型11と下型12の間から外側金型15を取り外して、支持構造体SSの外周面3aを露出させる。外側金型15は、取り外しを容易にするためにタイヤ周方向に適宜分割されていてもよい。
次いで、図5(d)のように、上型11と下型12の間に、トレッド層6の外周面を成型するためのトレッド金型16を配置して型閉めし、トレッド層6を成型するための第2キャビティC2を形成する。第2キャビティC2は、第1キャビティC1の外周に位置し、トレッド金型16と既に成型された支持構造体SSの外周面3aとで囲まれた空間である。
上型11には、第2キャビティC2と外部を連通させる第2注入孔11bが設けられている。第2注入孔11bを介して第2キャビティC2に、トレッド層6を構成する第2の高分子材料の原料を供給することで、図5(e)のように、第2キャビティC2に原料が充填され、この原料を硬化させることにより支持構造体SSと一体となったトレッド層6が成型される。最後に、支持構造体SSとトレッド層6により構成された非空気圧タイヤTが金型から外される。
支持構造体SS及びトレッド層6の成型方法としては、注型法又は射出法が挙げられる。
[他の実施形態]
(1)前述の実施形態では、支持構造体成型工程の後にトレッド層成型工程を行う例を示したが、トレッド層成型工程の後に支持構造体成型工程を行ってもよい。図6は、この順番で製造を行なう製造工程を示す断面図である。
まず、図6(a)のように、非空気圧タイヤTの軸方向両端を成型する上型11と下型12の間に、トレッド層6の外周面を成型するためのトレッド金型16、トレッド層6の内周面を成型するための内周側トレッド金型17を配置して型閉めし、トレッド層6を成型するための第2キャビティC2を形成する。内周側トレッド金型17の外周面17aには、非空気圧タイヤTの凹凸構造7を成型するための凹凸形成部171が設けられている。
上型11に設けられている第2注入孔11bを介して第2キャビティC2に、トレッド層6を構成する第2の高分子材料の原料を供給することで、図6(b)のように、第2キャビティC2に原料が充填され、この原料を硬化させることによりトレッド層6が成型される。このとき、内周側トレッド金型17の外周面17aに凹凸形成部171が設けられているため、凹凸構造7がトレッド層6の内周面6aに一体で成型される(図6(c)を参照)。
次いで、図6(c)のように、上型11と下型12の間から内周側トレッド金型17を取り外して、トレッド層6の内周面6aを露出させる。内周側トレッド金型17は、取り外しを容易にするためにタイヤ周方向に適宜分割されていてもよい。
次いで、図6(d)のように、上型11と下型12の間に、内側環状部1の内周面を成型するための内側金型13と、内側環状部1の外周面、中間環状部2の内外周面、外側環状部3の内周面、及び連結部4,5を成型するための複数の入子14とを配置して型閉めし、支持構造体SSを成型するための第1キャビティC1を形成する。第1キャビティC1は、内側環状部1を成型するためのキャビティ21、中間環状部2を成型するためのキャビティ22、外側環状部3を成型するためのキャビティ23、連結部4,5を成型するためのキャビティ(不図示)で構成されている。なお、キャビティ23は、入子14と既に成型されたトレッド層6の内周面6aとで囲まれた空間である。
上型11に設けられた第1注入孔11aを介して第1キャビティC1に、支持構造体SSを構成する第1の高分子材料の原料を供給することで、図6(e)のように、第1キャビティC1に原料が充填され、この原料を硬化させることによりトレッド層6と一体となった支持構造体SSが成型される。最後に、支持構造体SSとトレッド層6により構成された非空気圧タイヤTが金型から外される。
(2)凹凸構造7は、支持構造体SSの外周面3a又はトレッド層6の内周面6aに切削加工により形成されてもよい。すなわち、支持構造体成型工程又はトレッド層成型工程によって支持構造体SSの外周面3a及びトレッド層6の内周面6aのうち先に成型された面に、切削加工により凹凸構造7を形成し、その後、支持構造体SS及びトレッド層6の何れか他方を成型するようにしてもよい。
(3)前述の実施形態では、支持構造体SSの外周面3aから突出する複数の凸部71と、凸部71以外の凹部72とで構成された凹凸構造7を示したが、凹凸構造7の形態はこれに限定されない。例えば、図7(a)に示すように、凹凸構造7は、トレッド層6の内周面6aから突出する複数の凸部71と、凸部71以外の凹部72とで構成されてもよい。また、図7(b)に示すように、凹凸構造7は、支持構造体SSの外周面3aから突出する複数の凸部71と、支持構造体SSの外周面3aから陥没する複数の凹部72(トレッド層6の内周面6aから突出する複数の凸部でもある)とで構成されてもよい。
(4)前述の実施形態では、文字又は絵柄を表示する凹凸構造7が、支持構造体SSの外周面3aから突出する複数の凸部71と、凸部71以外の凹部72とで構成されている例を示したが、凹凸構造7の構成はこれに限定されない。例えば、図8に示すように、凹凸構造7は、支持構造体SSの外周面3a又はトレッド層6の内周面6aから突出する単一の凸部71と、凸部71以外の凹部72で構成され、文字又は絵柄の全体が浮き出たものでもよい。
1 内側環状部
2 中間環状部
3 外側環状部
3a 支持構造体の外周面
4 内側連結部
5 外側連結部
6 トレッド層
6a トレッド層の内周面
7 凹凸構造
36 支持構造体とトレッド層の界面
C1 第1のキャビティ
C2 第2のキャビティ
SS 支持構造体
T 非空気圧タイヤ

Claims (5)

  1. 略円環状の支持構造体を成型する工程と、前記支持構造体の外周側に位置するトレッド層を成型する工程とを備える非空気圧タイヤの製造方法であって、
    第1のキャビティに第1の高分子材料の原料を供給して硬化させることにより前記支持構造体を成型する支持構造体成型工程と、
    前記支持構造体成型工程の前又は後に、前記第1のキャビティの外周側に位置する第2のキャビティに第2の高分子材料の原料を供給して硬化させることにより、透明又は半透明な前記トレッド層を成型するトレッド層成型工程とを備え、
    前記支持構造体の外周面又は前記トレッド層の内周面のうち先に成型される面に、文字又は絵柄を表示する凹凸構造であって、凹凸構造を構成する複数の凸部の形状が円錐、円錐台、四角錐、四角錐台、または半球である凹凸構造を形成することを特徴とする非空気圧タイヤの製造方法。
  2. 前記凹凸構造は、前記支持構造体の外周面又は前記トレッド層の内周面に一体で成型されることを特徴とする請求項1に記載の非空気圧タイヤの製造方法。
  3. 前記凹凸構造は、前記支持構造体の外周面又は前記トレッド層の内周面に切削加工により形成されることを特徴とする請求項1に記載の非空気圧タイヤの製造方法。
  4. 前記凹凸構造の凸部は、先端へ向かって窄まる形状であることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の非空気圧タイヤの製造方法
  5. 第1の高分子材料からなる略円環状の支持構造体と、前記支持構造体の外周側に位置する透明又は半透明な第2の高分子材料からなるトレッド層とを備え、
    前記支持構造体と前記トレッド層の界面に、前記トレッド層を介して視認可能な文字又は絵柄を表示する凹凸構造であって、凹凸構造を構成する複数の凸部の形状が円錐、円錐台、四角錐、四角錐台、または半球である凹凸構造が形成されていることを特徴とする非空気圧タイヤ。
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