JP6059646B2 - 近赤外線透過性黒色アゾ顔料、近赤外線透過性黒色アゾ顔料の製造方法、これらの黒色アゾ顔料を用いた着色組成物、物品の着色方法およびカラーフィルター基板 - Google Patents

近赤外線透過性黒色アゾ顔料、近赤外線透過性黒色アゾ顔料の製造方法、これらの黒色アゾ顔料を用いた着色組成物、物品の着色方法およびカラーフィルター基板 Download PDF

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Description

本発明は、近赤外線透過性黒色アゾ顔料(色素)、近赤外線透過性黒色アゾ顔料の製造方法、これらの黒色アゾ顔料を用いた着色組成物、該着色組成物を用いた着色方法および着色物品に関する。さらに詳しくは、可視光領域を網羅して吸収し、更に、赤外領域、特に、近赤外領域では透過性を有する黒色アゾ色素、その製造方法、これを用いた着色剤、その着色方法及び着色物品に関する。
従来、塗料、印刷インキ、プラスチック用などの着色剤に使用されている黒色顔料としては、カーボンブラック系顔料や酸化鉄系黒色顔料などが一般的である。下記に述べるように、これらの黒色顔料は、太陽光のうちの可視光領域を含む全ての光線を吸収することで黒色を示している。
太陽光は電磁波であり、その凡そ380nm〜780nmの波長領域の光が可視光であり、この波長範囲の光(可視光)を全て吸収することのみでも黒色を示すことができる。この可視光よりも長波長側の領域の、赤外領域との間の0.8μm〜2.5μm(800nm〜2500nm)の領域の光は近赤外線と呼ばれているが、カーボンブラック顔料は、結果的に、この近赤外領域の光をも吸収している。ここで、太陽光の波長領域において、特に熱に寄与する度合が大きいのは、近赤外の中でも800nm〜1400nmの波長領域であるといわれている。
上記したように、黒色顔料(特にカーボンブラック系顔料)は、可視光領域(凡そ380nm〜780nm)の光を吸収することのみでも黒色を示すことができるが、実際には、熱に寄与する度合いの大きい800nm〜1400nmの波長領域を含む近赤外領域の光も吸収している。このため、上記した黒色顔料によって着色された物品は、太陽光を浴びることで昇温してしまうという課題があった。一方、黒色顔料によって着色された物品は、近年、カラーフィルター(以下、CFと略記する場合がある。)用のブラックマトリックスに代表されるような精緻な製品も多いため、太陽光を浴びても昇温しない黒色顔料や、黒色に着色する際に用いる着色剤組成物等についての検討が種々されている。
特許文献1では、特定の化学構造として、アゾメチン基を有する黒色アゾ顔料が、可視領域の光を吸収して黒色を示す一方で、赤外線領域では反射性を示すことを見出したことについて開示している。さらに、特許文献1では、赤外線を反射することから、この黒色アゾ顔料で着色することで、直射日光等によって過度に昇温しない物品が得られるなどの提案がなされている。しかしながら、本発明者らの検討によれば、特許文献1に開示されているアゾメチン基を有する黒色アゾ顔料の光学的特性は、1μm程度の膜厚においては、可視光領域の光線の一部を透過してしまうことから、例えば、ブラックマトリックス(以下、BMと略記する場合がある)のような用途には光学濃度(以下、OD値と略記する場合がある)が不十分であるという課題があった。
ここで、光線の中で近赤外線は、紫外線などの短波長の光と異なり、人体にほとんど悪影響がなく、安全な光であることから、近年、近赤外線の照射、受信を利用する電子機器等が多く開発されている。例えば、リモコンに代表される赤外線送信機と、その本体受信機は、電気器具、照明器具、温水便座、カメラといった生活必需品への適用に留まらず、更に、自動車のドアロック、エンジンスターター、ガレージの開閉などにも用いられており、日常生活のあらゆる場面に広く普及している。また、これのような利用に留まらず、例えば、特許文献2では、自動車前照灯と自動車の前方障害物の確認のための、近赤外領域の波長で発光する赤外暗視装置兼用ランプを用いた点灯装置の提案がなされている。
上記したような状況下、赤外線送信機や、その受信機に用いられる赤外線フィルターや、赤外線カメラに用いられる赤外線フィルターなどに使用される色素として、近赤外線領域の光を透過し、可視光領域の光を完全に遮蔽する光学的機能を有し、更に、耐熱性、耐溶剤性、耐光性などの耐久性に優れた色素が要望されている。
また、前記した特許文献1にも記載されているように、近年の生活環境の改善、快適化および省エネルギーの観点より、太陽光を反射させる熱線反射材料を用いた遮熱塗装が要望されている。ここで遮熱塗装を可能にするための熱線反射材料は、例えば、住宅、事務所、倉庫、ビルディングなどの家屋や建造物の屋根や壁の塗装、道路舗装、自動車の外装や内装、船舶の塗装などの塗装分野に留まらず、農業用で使用される遮熱材などとしても強く要望されている。また、電子部品などに使用される放熱材料としての要望もある。
さらに、上記した分野に留まらず、情報技術分野においても、昨今における情報化機器の目覚ましい発展に伴い、液晶カラーディスプレー(以下、「LCD」と略記する場合がある)は、下記に挙げるように、情報表示部材として、あらゆる情報表示関連機器に適用されており、その利用は多岐に亙っている。具体的な情報表示部材としての利用では、例えば、テレビジョン、プロジェクター、パーソナルコンピューター、モバイル情報機器、モニター、カーナビゲーション、携帯電話、電子計算機や電子辞書の表示画面、情報掲示板、案内掲示板、機能表示板、標識板などの各種のディスプレーや、更に、デジタルカメラやビデオカメラの撮影画面など、あらゆる情報表示関連機器に使用されている。それに伴い、LCDの表示品位の向上および低コスト化が要望され、カラーフィルター(CF)の品質の改良、コスト削減が種々になされている。このため、LCDに搭載されるCFに対しても、精細性、色濃度、光透過性、コントラスト性などの画像性能における色彩特性や、光学特性の面でより優れた品質が要求されている。
ここで、CFでは、R(赤色)、G(緑色)およびB(青色)画素を、ストライプ状、モザイク状、トライアングル状に配列し、各画素の周りを格子状にブラックマトリックスを形成させて、不要な光を遮蔽させている。そして、裏面からバックライトで照射し、R、G、B画素の透過光の加色混合で発色させ、映像とする。有彩色画素については、赤色顔料、緑色顔料、青色顔料、黄色顔料や紫色顔料などが使用されているが、それぞれ改良がなされている。BMについては、基板サイズの大型化やクロム化合物の環境負荷などの問題に対応するために、バックライトの可視光領域の光を完全に遮蔽するための遮光性材料として、従来の金属クロム膜から、黒色顔料を使用する樹脂ブラックBMに移行してきている。
また、バックライトも、冷陰極蛍光管から発光ダイオード(LED)に代わることによって、色純度の向上と色再現域の拡大に繋がってきている。赤色域の発光は、冷陰極蛍光管のバックライトでは凡そ600〜620nmの光であったが、LEDのバックライトでは、赤色発光部からの光として、最大発光波長が640nm付近で、発光波長範囲としておよそ540nm〜800nmの範囲のブロードでの光を利用することが提案されている(特許文献3)。
また、CFの画素の表示方式においても種々の改良が提案されており、それに付随してBMの改良、更には、BMに使用される遮光性黒色顔料の改良もなされている。例えば、従来のLCDの弱点である広視野角をもたらすために、基板に対して平行に電界を印加して液晶層を変換させ画素を表示するイン−プレーン・スイッチング方式(IPS方式)が提案されている。また、薄膜トランジスター(TFT)の上にBMを形成させる、ブラックマトリックス・オン・アレイ方式(BOA方式)や、カラーフィルター・オン・アレイ方式(COA方式)のものでは、開口率が高くなることから、画素面積を大きくすることができ、また、作業工程上も貼り合わせ工程作業の効率が向上し、合理化することができる。
また、それらの改良方法では、特にIPS方式において広視野角をより完全に達成するためには、液晶層を挟む基板の間隔(セルギャップ)を一定に精度高く保つことが必要とされる。しかし、従来のビーズ状スペーサーを散布する方式ではセルギャップを均一に調整することが困難である。そこで固定されたスペーサーによる均一なセルギャップを実現する方法として、BM自身の厚みを高くしたり、BMの上に、着色層やフォトレジスト層などの間隔支持部材樹脂を重ねて高くするなどといった新たな基板のセルギャップの支持方法が提案されている。更に、これらの場合は、従来のビーズ状スペーサーを使用しないことで、光の散乱や透過による表示品質の低下も改良される(特許文献4、5)。
上記したIPS方式やBOA方式、COA方式などの方法は、TFTなどのアクティブ素子上にBMを形成する方法であり、当然のことながらBMが電気絶縁性でないと、TFTが誤作動を起こす恐れがある。これに対し、従来より遮光性黒色顔料として使用されているカーボンブラック顔料は、本来電気抵抗値の低い顔料であり、これらの方式に使用される遮光性黒色顔料としては適切でなく、より電気絶縁性の高い遮光性材料を使用することが望ましい。
このような要望に対し、例えば、酸素量で規定したカーボンブラック顔料を、絶縁性の高い樹脂皮膜で被覆して電気絶縁性を向上させたカーボンブラック顔料(特許文献6参照)や、体積抵抗値を測定して選別した絶縁性カーボンブラック顔料あるいは樹脂で被覆して電気絶縁性を向上させたカーボンブラック顔料を使用して絶縁性BMを形成させ、COA方式へ適用することが提案されている(特許文献7参照)。
しかしながら、カーボンブラック顔料は本来導電性を有する材料であり、上記したような方法で樹脂被覆をしても絶縁性を完全にすることは困難である。絶縁性の遮光性黒色顔料という観点からの提案としては、BM用の黒色有機顔料として、カーボンブラック特有の導電性の問題を指摘し、前記した特許文献1でも提案されているアゾメチン基を有するアゾ系黒色顔料を使用することが有用であるとする提案がされている(特許文献8)。
さらに、従来技術として、特許文献9では、本発明で規定する式(2)の化合物をジアゾ成分として用いたアゾ顔料を提案している。しかし、この文献で、実施例として挙げられているのは、黄色、橙色、赤橙色、赤色、暗赤色、褐色、黒褐色、紫黒色、暗緑色の顔料が提案されているのみである。このため、特許文献9には、本発明で提案する黒色アゾ顔料の合成に必要となるカップリング成分についての記載は全くされていない。
特公平4−15265号公報 特許第4317908号公報 特開2006−148051号公報 特開2000−66018号公報 特開2002−341332号公報 特許第3543501号公報 特許第4338479号公報 特許第2819512号公報 特開平7−258565号公報
上記したようなことから、特に、近赤外線を利用する電子機器用の赤外線フィルターの用途や、CFのBMとして有用な、可視光領域の光を完全に遮蔽することができ、近赤外領域の光は透過し、且つ、TFTなどのアクティブ素子上にBMを形成させても高電気絶縁性を維持して、TFTが誤作動を起こすことがなく、顔料としても優れた物性、堅牢性を有する黒色顔料の開発が望まれている。
従って、本発明の目的は、例えば、電子機器用の赤外線フィルターの用途やCFのBM用として有用な、可視光領域の光を網羅して吸収する一方で、特に近赤外領域で良好な光透過性を示し、しかも、高電気絶縁性を有する新規な黒色顔料を提供することにある。
本発明者らは、上記した本発明の目的を達成すべく鋭意研究を重ね、黒色有機顔料の化学構造を検討した結果、1μm程度の膜厚においても可視光領域の光の遮蔽(すなわち、吸収)が十分で、BM用途に使用可能な光学濃度(OD値)の大きく、更に、赤外線領域の短波長側(すなわち、近赤外線)では高い透過性を有する黒色顔料を見出して、上記した従来技術の課題を解決し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明は、黒色アゾ顔料において、透明性基板上の黒色アゾ顔料を含む黒色着色膜の分光透過率が、可視光領域における長波長側の凡そ580〜625nmの波長範囲では凡そ5%以下を示し、可視光範囲の長波長側を含む近赤外領域の700〜1400nmの波長範囲では凡そ30%以上を示すような光学的特性を有する近赤外線透過性黒色アゾ顔料を提供する。
本発明では、下記式(1)で表されることを特徴とする近赤外線透過性黒色アゾ顔料を提供する。
上記した黒色アゾ顔料の好ましい形態としては、下記のことが挙げられる。すなわち、そのX線回折による回折角(2θ)が、13°と25.2°付近に強い回折ピークを示すこと;透明性基板上に形成した黒色アゾ顔料を含む黒色着色膜の分光透過率が、可視光領域における長波長側の凡そ580〜625nmの波長範囲では5%以下を示し、且つ、近赤外領域の800〜1400nmの波長範囲では30%以上を示すこと;その平均粒子径が10nm〜1000nmであることが挙げられる。
また、本発明は、別の実施形態として、ジアゾ成分として、下記式(2)で表される、2−[3−[(4−アミノフェニル)アミノ]−1H−イソインドール−1−イリデン]−2−シアノ−N−メチルアセトアミドをジアゾ化したジアゾ化合物を用い、カップリング成分として、下記式(3)で表される、N−(2−メチル−4−メトキシフェニル)−2−ヒドロキシ−11H−ベンゾ[a]カルバゾール−3−カルボアミドを用い、これらをカップリング反応させる合成工程を有し、且つ、更に、合成された顔料が粗大である場合には、必要に応じて、顔料の平均粒子径を10nm〜200nmに微細化するための工程として、
(1)ボールミル、サンドミル、アトライター、横型連続媒体分散機、ニーダー、連続式一軸混練機、連続式二軸混練機、三本ロール及びオープンロール連続混練機からなる群から選ばれる少なくとも1種の顔料磨砕機あるいは顔料分散機を使用する微細化方法、及び、
(2)混練機中で、水溶性塩、必要に応じて水溶性有機溶剤と共に混練、摩砕するソルトベントソルトミリング法、からなる群から選ばれるいずれかの方法で実施される顔料微細化工程が設けられることを特徴とする近赤外線透過性黒色アゾ顔料の製造方法を提供する。
また、本発明は、別の実施形態として、液体分散媒体中あるいは固体分散媒体中に、上記した黒色アゾ顔料あるいは上記の製造方法によって得られた黒色アゾ顔料を含む顔料成分を含んでなることを特徴とする着色組成物を提供する。
また、上記した着色組成物の好ましい形態としては、下記のものが挙げられる。すなわち、前記黒色アゾ顔料を含む顔料成分が、前記黒色アゾ顔料単独で、あるいは、前記黒色アゾ顔料と、公知の、有彩色顔料、白色顔料、他の黒色顔料及び体質顔料からなる群から選ばれた1種以上の他の顔料とを併用して、暗色の有彩色の着色、ないし無彩色の暗色あるいは黒色の着色をすること;前記液体分散媒体が、反応性基を有していてもよい重合体、反応性基を有していてもよいオリゴマーおよび反応性基を有していてもよい単量体からなる群から選ばれる少なくとも1種の皮膜形成材料を含み、且つ、それ自体が液体であるか、あるいは、更に溶剤および/または水を含有してなること;前記固体分散媒体が、熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂、ワックス、脂肪酸アミド及び脂肪酸金属石鹸からなる群から選ばれる少なくとも1種の固体分散媒体を含有してなること;塗料用、プラスチック用、合成繊維用、印刷インキ用、文房具用又は画像記録用画像表示用の着色用のいずれかであることが挙げられる。
また、本発明は、別の実施形態として、物品の表面の着色あるいは物品の内部の着色に、上記のいずれかの着色組成物を用い、物品を、黒色ないし暗色に着色することを特徴とする物品の着色方法を提供する。
また、上記した物品の着色方法の好ましい形態としては、下記のものが挙げられる。すなわち、前記物品が透明性基材からなり、該透明性基材の表面に、前記着色組成物を用いて、塗装、塗付、染色、印刷、筆記、描画、インクジェット印刷、電子写真印刷あるいは静電印刷からなる群から選ばれたいずれかの方法で着色するか、あるいは、前記着色組成物を混練又は含浸させる方法によって、前記基材の内部の着色をすること;黒色ないし暗色に着色された透明性基材からなる物品の光学的特性が、可視光領域の長波長側の凡そ580〜625nmの波長範囲を含む可視光領域の全域で高吸収性を示し、且つ、800〜1400nmの近赤外領域では高透過性を示すものであること;前記物品として、それ自体が光反射性を有するものを用いるか、あるいは、予め物品の表面に光反射性下地を形成させたものを用い、これらいずれかの物品の上に、前記着色組成物を用いて、塗装、塗付、原液着色、捺染、浸染、印刷、筆記、描画、インクジェット印刷、電子写真印刷あるいは静電印刷からなる群から選ばれたいずれかの方法で着色することで、物品に近赤外領域では反射性を示す着色をすることが挙げられる。
また、本発明は、別の実施形態として、上記いずれかの物品の着色方法で着色が施されていることを特徴とする着色物品、或いは、上記のいずれかの近赤外線透過性黒色アゾ顔料を用いて形成された実質的に電気絶縁性であるブラックマトリックスと、電極が重積あるいは接触する状態で形成されていることを特徴とするカラーフィルター基板を提供する。
以上の本発明によれば、可視光領域の光を長波長側まで網羅して吸収でき、熱に寄与する度合いの大きい近赤外領域で光透過性を示し、しかも、高電気絶縁性を有する特有の化学構造を有する新規な黒色アゾ顔料が提供される。
より具体的には、上記した特有の構造を有する黒色アゾ顔料を含む黒色着色膜は、透明性基板上では、可視光領域の短波長側から625nm位の長波長範囲までもほぼ完全な吸収を示す(すなわち、この範囲における分光透過率が極めて低い値を示す)。それより長波長の近赤外領域では、透明性基板上では高い透過率を示す性質を有する。このような光学特性を有するため、本発明の黒色アゾ顔料は、赤外線送信機(リモートコントローラー)および本体受信機の赤外線フィルターとして有効に利用される。更に、実用化されつつある自動車など路上障害物を検知、識別する赤外線センシング機器の赤外線フィルターとしての利用も期待できる。
更に、本発明の黒色アゾ顔料は、可視光領域の長波長側で吸収する性質を有する黒色アゾ顔料であることから、CFのBMの遮光性黒色材料として用いた場合に、例えば、LCDの呈色が黒色の場合は勿論、他の有彩色も鮮明に発色される。更に、本発明の黒色アゾ顔料は、高い電気絶縁性を有することから、TFTなどのアクティブ素子上にBMを形成する各種のCFの改良方法、例えば、スペーサーに代わり液晶層の厚みを保持するBMや、IPS方式、COA方式などのCFにおけるBMを形成する遮光性黒色顔料としても好適である。
また、本発明の黒色アゾ顔料が有する、熱に寄与する度合いの大きい領域の近赤外線を透過し、赤外線を反射する機能から、近年の生活環境の改善、快適化および省エネルギーの観点から注目されている、家屋や建造物などへの塗装、道路の舗装、更には船舶の甲板、外装などの塗装などに有用な、直射日光による昇温防止材料としての使用が期待される。また、上記した光学特性を有することから、既に提案されている軍装備の偽装用着色剤あるいは偽造防止用などとしての利用が期待されるものである。
実施例の黒色顔料−1のFE−SEM写真(3万倍、スケール1μm) 比較黒色顔料−1のFE−SEM写真(3万倍、スケール1μm) 黒色顔料−1のX線回折スペクトル 比較黒色顔料−1のX線回折スペクトル 黒色顔料−1の透過率曲線 比較黒色顔料−1の透過率曲線 黒色顔料−1の反射率曲線(フィルム) 黒色顔料−1の反射率曲線(展色紙)
次に、発明を実施するため最良の形態を挙げて本発明をさらに詳細に説明する。本発明の近赤外線透過性黒色アゾ顔料は、ジアゾ成分とカップリング成分とをカップリング反応させてなる、分子中にアゾメチン基とアゾ基の複数個の発色団を有する黒色アゾ顔料であって、カップリング成分の少なくとも一つが、2−ヒドロキシ−11H−ベンゾ[a]−カルバゾール−3−カルボアミド残基を有する化学構造を有する化合物であることを特徴とするものであるが、より好適なものとして先に挙げた式(1)で表される化学構造を有するものがある。
[黒色アゾ顔料]
本発明の黒色アゾ顔料は、下記式(1)で表される化学構造を有するものであることを特徴とするが、光学的特性として可視光領域のほぼ全波長の光を吸収し、また近赤外領域では高い透過率を示す、近赤外線透過性黒色アゾ顔料(以下、単に黒色アゾ顔料とも呼ぶ)である。本発明の黒色アゾ顔料は、下記式(1)で表されるように、黒色を示す化学構造として、分子中にアゾメチン基とアゾ基という複数個の発色団を有する、2−ヒドロキシ−11H−ベンゾ[a]−カルバゾール−3−カルボアミド残基を持つことを特徴とする。そして、透明性基板上に形成したこの黒色アゾ顔料を含む黒色着色膜(薄膜)の分光透過率は、可視光領域の長波長側における凡そ580〜625nmの波長範囲では5%以下と極めて低い値を示し、且つ、可視光領域の長波長側を含む近赤外領域の800〜1400nmの波長範囲では30%以上を示す。さらに、本発明の黒色アゾ顔料は、上記した光学的特性に加えて、電気特性として非常に高い電気絶縁性を示す。なお、上記したことから、本発明において、アゾ顔料とは、分子中にアゾメチン基とアゾ基の発色団を有する顔料を意味する。
本発明者らは、長波長側までを網羅した可視光領域で高い吸収を示し、且つ、可視光領域の長波長側を含む近赤外領域では透過性を有する、という特徴的な光学的性質を示す黒色アゾ顔料を開発すべく鋭意検討を行った。その際に、分子中に複数個の発色団を有させ、更にそれらを互いに共鳴させた顔料を検討し、上記式(1)に示す特定の化学構造を持つ新規な黒色アゾ顔料を開発するに至った。この黒色アゾ顔料は、X線回折による回折角(2θ)が、13°と25.2°付近に強い回折ピークを示す。また、適用する用途にもよるが、その平均粒子径が10nm〜1000nmであることが好ましい。まず、この点について説明する。
先に述べたように、電子機器用の赤外線フィルターの用途やCFのBM用としては、特に可視光領域の長波長側を含む近赤外領域の高い透過性が要求されていることから、本発明の黒色アゾ顔料は微細な粒子径の顔料であることが好ましい。このため、使用する顔料の平均粒子径としては、凡そ10nm〜200nmであることが好ましい。更に高透過率を要望する場合には、平均粒子径が凡そ10nm〜50nmの超微細な黒色アゾ顔料、あるいは着色加工工程において媒体に分子分散をもたらすような分散染料的な性質を有する黒色アゾ顔料が好ましい。
[黒色アゾ顔料の製造方法]
本発明の特定の化学構造を有する黒色アゾ顔料の製造方法について、以下説明する。先に述べたように、本発明者らは、アゾ顔料が黒色を示す化学構造として、分子中にアゾメチン基とアゾ基という複数個の発色団を有し、そのカップリング成分の少なくとも一つが、下記式(3)に由来する2−ヒドロキシ−11H−ベンゾ[a]−カルバゾール−3−カルボアミド残基を有する化学構造が有効なことを見出した。
本発明の黒色アゾ顔料は、その製造の際に、上記した本発明を特徴づけるカップリング成分と反応させるジアゾ成分として、下記式(2)で表される、2−[3−[(4−アミノフェニル)アミノ]−1H−イソインドール−1−イリデン]−2−シアノ−N−メチルアセトアミドを用いることが好ましい。
上記式(2)の化合物は、特開昭55−157657号公報の実施例1に従い、下記のようにして合成することができる。まず、以下の反応式に示すように、ジイミノイソインドリン(4)とN−メチルシアンアセトアミド(5)とを、水及び濃アンモニア水を用いて90℃にて反応させることで、2−(3−イミノイソインドリン−1−イリデン)−2−イソシアノ−N−メチルアセトアミド(6)を合成する。次いで、式(6)の化合物を、メタノール中で酸触媒を使用して、p−フェニレンジアミン(7)と反応させることで、式(2)の化合物を得ることができる。
上記の方法により合成された式(2)の化合物を、定法に従いジアゾ化した後、カップリング成分として、上記式(3)の化合物とカップリング反応を行うことにより、本発明で規定する式(1)で表される黒色アゾ顔料を合成することができる。
上記したジアゾ化・カップリング反応は、水及び有機溶剤中で実施されることが好ましい。この際に使用する有機溶剤としては、例えば、メタノール、エタノール等のアルコール類、トルエン、キシレン、o−ジクロロベンゼン、ニトロベンゼン、o−ニトロトルエン等の芳香族溶剤、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、N−メチルピロリドン等の極性溶剤等を挙げることができる。これらの有機溶剤は、1種又は2種以上を使用することができる。
上記方法により得られた本発明の黒色アゾ顔料は、図3に示したように、X線回折による回折角(2θ)が、13°及び25.2°付近に強い回折ピークを示す。先に述べたように、その平均粒子径は10nm〜1000nmであることが好ましいが、その適用する用途にもよるが、より好ましくは、凡そ10nm〜200nm、更には、凡そ10nm〜50nmに超微細化するとよい。
すなわち、赤外線の透過率を向上させるためには、分散した顔料の粒子径が光の波長に比べて小さいことが必要である。したがって、先に挙げたような方法で合成された顔料が粗大である場合には、必要に応じて、顔料の平均粒子径を要求され粒径に調整するために、下記に挙げるような公知の顔料微細化工程を行って、微細化した顔料を製造するように構成する。
(1)ボールミル、サンドミル、アトライター、横型連続媒体分散機、ニーダー、連続式一軸混練機、連続式二軸混練機、三本ロール、オープンロール連続混練機などからなる群から選ばれた少なくとも1種の顔料磨砕機あるいは顔料分散機を使用する微細化方法や、
(2)混練機中で、水溶性塩類、必要に応じて水溶性有機溶剤と共に混練、摩砕するソルベントソルトミリング法などの公知の方法、
から選ばれるいずれかの方法を実施する顔料微細化工程を行うことで、平均粒子径を所望のものに調整することができる。このようにすることで、例えば、平均粒子径を凡そ10nm〜200nmに調整された顔料を容易に調製することができる。更に高透過率を要望する場合であれば、平均粒子径が凡そ10nm〜50nmに調整された超微細顔料を適宜に調製すればよい。
顔料の粒子径は使用される用途に合わせて調製すればよい。粒子径の調製は、例えば、ソルベントソルトミリング法を用いる場合であれば、主に顔料に対する塩類の量比や混練時間を調整することによって制御される。近赤外線を含む赤外線領域において高い透過率を要求するような赤外線カラーフィルターのような用途では、顔料粒子はより小さいことが望ましく、例えば10nm〜50nmの微細顔料粒子が、更には10nm〜30nmの超微細顔料粒子の分散状態が好ましい。このような用途では、究極的には分散の担体、例えば、プラスチック媒体に分子分散するような溶解状態となるようにすることが望ましい。
上記した赤外線領域において、より高い透過率が要求されるような用途(透過用途)に対し、可視光の遮光性を要求するCFのBMのような用途では、透過用途よりもやや大きい50nm〜100nm位の方が好ましい。また、赤外線反射性を求める用途では、下地を反射性とすることが好ましいが、上記した用途の場合よりも更に顔料粒子は大きくてもよく、例えば、100nm〜200nmでも使用される。
前記に挙げた微細化方法の中で、ソルベントソルトミリング法は、微細化された均一な粒子径の顔料を得ることができるので、上記した用途に応じて所望の粒子径を有する微細な顔料を得る方法として好適である。以下、その方法について説明する。ソルベントソルトミリング法は、顔料に、磨砕助剤として水溶性無機塩類を、要望する顔料の粒子径により磨砕する顔料の数倍、具体的には3〜20倍量を添加し、更に、エチレングリコール、ジエチレングリコール、ポリエチレングリコール等の粘性のある水溶性有機溶剤を添加し、これらを混練磨砕する。磨砕助剤の水溶性無機塩としては、例えば、塩化ナトリウムや硫酸ナトリウム等が使用される。磨砕後、希硫酸、水などに添加して、磨砕助剤を溶解させ、ろ過、水洗して顔料のろ過ペースト(プレスケーキ)を得る。得られたプレスケーキは、そのまま湿式分散機で分散加工されたり、フラッシング方式で油性着色剤に加工されたり、熱風乾燥して後、乾式粉砕機で粉砕して粉体顔料にしたり、更には、前記に列挙したような各種の湿式分散機や混練機などにより分散するなど、用途によって各種の着色剤へ加工処理がなされる。また、水中で樹脂処理して易分散性処理顔料あるいは加工顔料にすることも好ましい。
本発明の黒色アゾ顔料は、赤外線領域、特に近赤外領域の光も良好に透過し、可視光領域の光をほぼ完全に遮蔽する光学的特性を有する色素であることから、前記した赤外線を利用する電子機器用の赤外線フィルターの用途や、CFのBMとしてバックライトの可視光領域の光を完全に遮蔽できるものとなる。更に、本発明の黒色アゾ顔料は、カーボンブラックなどとは異なり、優れた電気絶縁性を有する黒色顔料であるという特性をも有するため、例えば、CFのBMを形成する黒色顔料として有用である。
[着色組成物]
本発明の黒色アゾ顔料は、液体分散媒体中あるいは固体分散媒体中に含有させることで、着色組成物とすることができる。該着色組成物は、その使用に際して、暗色の有彩色の着色、無彩色の暗色あるいは黒色の着色をすることができる。本発明の着色組成物は、その着色目的、用途、使用方法などに応じて、本発明の黒色アゾ顔料を含む顔料成分を、液体分散媒体中に含む液状の着色組成物として使用してもよいし、あるいは、固体分散媒体中に含む固体の着色組成物として使用してもよい。このような本発明の着色組成物を調製する場合における黒色アゾ顔料を含む顔料成分は、本発明の黒色アゾ顔料を単独で用いてもよいが、あるいは、有彩色顔料、白色顔料、他の黒色顔料及び体質顔料などの他の顔料を、目的とする色彩に合わせて1種または2種以上を選択して、併用して使用してもよい。
(他の顔料)
上記した本発明の着色組成物と併用して使用される他の顔料について説明する。併用する顔料としては、公知の顔料を使用することができる。例えば、アンスラキノン系顔料、キナクリドン系顔料、ジケトピロロピロール系顔料、インジゴ・チオインジゴ系顔料、ペリノン系顔料、ペリレン系顔料、フタロシアニン系顔料、インドリン系顔料、イソインドリン系顔料、イソインドリノン系顔料、ジオキサジン系顔料、キノフタロン顔料、ニッケルアゾ顔料、金属錯体顔料、不溶性アゾ系顔料、溶性アゾ系顔料、高分子量アゾ系顔料、アゾメチンアゾ系ブラック顔料、アニリンブラック系顔料などの有機顔料および、カーボンブラック顔料および複合酸化物系顔料、酸化鉄顔料、酸化チタン系顔料などの無機顔料から選ばれる少なくとも1種の顔料、あるいは2種以上の顔料の混合物、混晶顔料を使用することができる。
上記した有機顔料のより具体的なものとしては、例えば、下記のものが挙げられる。黄色顔料としては、C.I.ピグメントイエロー(PYと略記する)−74、83、93、94、95、97、109、110、120、128、138、139、147、150、151、154、155、166、175、180、181、185、191等が挙げられる。橙色顔料としては、C.I.ピグメントオレンジ(POと略記する)−61、64、71、73等が挙げられる。赤色顔料としては、C.I.ピグメントレッド(PRと略記する)−4、5、23、48:2、48:4、57:1、112、122、144、146、147、150、166、170、177、184、185、202、207、214、220、221、242、254、255、264、272等が挙げられる。
青色顔料としては、C.I.ピグメントブルー(PBと略記する)−15:1、15:2、15:3、15:4、15:5、15:6、16、17:1、60、80、アルミニウムフタロシアニンブルー等が挙げられる。緑色顔料としては、C.I.ピグメントグリーン(PGと略記する)−7、36、58、ポリ(13−16)ブロムフタロシアニン等が挙げられ、紫色顔料としては、C.I.ピグメントバイオレット(PVと略記する)−19、23、37等が挙げられる。黒色顔料としては、アニリンブラック顔料、カーボンブラック顔料、酸化チタンブラック顔料などが挙げられる。特に、CFのBM用に黒色アゾ顔料に配合して使用するためには、表面処理をして絶縁性を改良したカーボンブラック顔料や酸化チタンブラック顔料などを併用することもできる。
(液状の着色組成物)
本発明の黒色アゾ顔料を含む顔料成分が、液体分散媒体中に分散されてなる液状の着色組成物について説明する。液状の着色組成物は、主に物品の表面を塗布、含浸、描画、印字などをさせる着色剤として使用され、塗料用、プラスチック着色用、繊維着色用、印刷インキ用、文房具用、画像記録用或いは画像表示用など種々の用途で使用することができる。この際に用いる液体分散媒体としては、反応性基を有してもよい重合体、反応性基を有してもよいオリゴマーおよび反応性基を有してもよい単量体から選ばれる少なくとも1種の皮膜形成材料を含み、且つ、それ自体が液体であるか、あるいは、更に溶剤および/または水を含有するものが使用できる。
更に、上記の液状の着色剤を得るに際して、予め使用する顔料を高濃度に分散媒体中に微分散した高濃度顔料加工品として事前に準備しておき、これを着色剤に使用すれば、各種用途の着色組成物の製造を容易にすることができる。この液状の高濃度顔料加工品である高濃度顔料分散液は、「ベースカラー」あるいは「ベースインク」と称され、使用されている。
(固体の着色組成物)
本発明の黒色アゾ顔料を含む顔料成分が、固体分散媒体中に分散されてなる固体の着色組成物について説明する。固体の着色組成物は、主としてプラスチック用や合成繊維の内部着色用に使用される着色剤として利用される。この場合は、例えば、固体分散媒体中に、予め使用する顔料を高濃度に微分散した高濃度顔料加工品(高濃度顔料分散物)である、マスターパウダー、マスターバッチなど、および、全体に着色されたカラードペレットなど公知の製品形状で使用される。この際に用いる固体分散媒体としては、熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂、ワックス、脂肪酸アミド及び脂肪酸金属石鹸などから選ばれる少なくとも1種の固体分散媒体を含有するものが使用できる。
[着色組成物を用いた物品の着色方法]
上記で説明したようにして得られる、本発明の黒色アゾ顔料を用いてなる液状あるいは固体の着色剤を使用して物品を着色することで、得られる製品は、可視光領域および赤外領域の光学的な要求性能(目的)によって適切な着色がなされたものとなる。例えば、可視光領域の光を網羅して吸収させ、赤外領域の光を透過させる着色を行う場合には、物品を透明性基材にし、液状の着色組成物を用いて該透明性基材を、塗装、塗付、染色、印刷、筆記、描画、インクジェット印刷、電子写真印刷あるいは静電印刷などで表面着色するか、あるいは、着色組成物を混練または含浸させて内部着色すればよい。着色に、本発明の黒色アゾ顔料を使用することで、特に可視光領域における、赤外領域の短波長側(近赤外領域)に近い側の凡そ580nm〜625nmの波長範囲でも極めて高い吸収性を示し、700nm〜1400nmの近赤外領域では高透過性を示す着色をすることができる。
これに対して、物品に可視光領域の光を網羅して吸収させ、赤外領域の光を反射させる着色を行う場合には、着色する物品自体に光反射性を有するものを使用するか、あるいは予め物品に形成させた光反射性下地を使用し、その上に、本発明の着色組成物を用いて着色することで達成される。着色方法は公知の方法、例えば、塗装、塗付、原液着色、捺染、浸染、印刷、筆記、描画、インクジェット印刷、電子写真印刷あるいは静電印刷などを利用すればよい。このように構成することにより、可視光領域における凡そ680nm〜720nmの近赤外領域に近い領域でも極めて高い吸収性を示し、更に、可視光領域の長波長側の近赤外領域では高反射性を示す着色をすることができる。
本発明の黒色アゾ顔料を利用して、上記したような表面着色あるいは内部着色の方法により物品に着色を施す場合、以下に挙げるような各種の樹脂バインダーを被膜形成材料として使用することができる。
被膜(塗膜)形成材料としての樹脂バインダー(用途により「ベヒクル」あるいは「ワニス」と称する)としては、反応基を有しない非反応性の常温乾燥型の樹脂バインダー、あるいは反応性基を有する焼付け型の樹脂バインダーおよび感光性樹脂バインダーを使用することができる。常温乾燥型あるいは焼付け型の樹脂バインダーとしては、例えば、捺染剤、塗料あるいは印刷インク、文房具、インクジェット印刷、電子写真印刷、静電印刷などの画像記録材料用に使用する樹脂バインダーなどが挙げられる。また、感光性樹脂バインダーとしては、例えば、紫外線硬化性あるいは電子線硬化の各種塗料、コーティング剤、印刷インク、インクジェットインクなどに用いられる感光性樹脂バインダーが挙げられる。
常温乾燥型の樹脂バインダーあるいは焼付け型の樹脂バインダーの具体例としては、例えば、合成ゴム樹脂、アクリル樹脂、スチレン系(共)重合体、ポリビニルブチラール系樹脂などのビニル樹脂、ポリエステル系樹脂、アミノ樹脂変性ポリエステル系樹脂、ポリウレタン系樹脂、アクリルポリオールウレタン系樹脂、可溶性ポリアミド系樹脂、可溶性ポリイミド系樹脂、可溶性ポリアミドイミド系樹脂、可溶性ポリエステルイミド系樹脂、アルキッド樹脂、アミノアルキッド系樹脂、エポキシ系樹脂、塩化ゴム樹脂、シリコン樹脂、フッ素樹脂、セルロースアセテート系樹脂、ニトロセルロース系樹脂、ヒドロキシエチルセルロース、スチレン−マレイン酸エステル系共重合体の水溶性塩、(メタ)アクリル酸エステル系(共)重合体の水溶性塩、水溶性アミノアルキッド系樹脂、水溶性アミノポリエステル系樹脂および水溶性ポリアミド系樹脂などが挙げられ、これらは単独あるいは2種以上を組み合わせて使用することができる。
反応性の樹脂バインダーの有する反応性基としては、例えば、メチロール基、アルキルメチロール基、イソシアネート基、マスクッドイソシアネート基、エポキシ基などが挙げられる。また、用途によってオリゴマーや単量体が使用され、さらに架橋剤、例えば、メチロールメラミン系やイソシアネート系、エポキシ系架橋剤も併用される。
紫外線硬化性樹脂系、電子線硬化性樹脂系などのエネルギー線硬化性塗膜形成材料(感光性樹脂バインダー)の具体例としては、例えば、感光性環化ゴム系樹脂、感光性フェノール系樹脂、感光性ポリアクリレート系樹脂、感光性ポリアミド系樹脂、感光性ポリイミド系樹脂など、および不飽和ポリエステル系樹脂、ポリエステルアクリレート系樹脂、ポリエポキシアクリレート系樹脂、ポリウレタンアクリレート系樹脂、ポリエーテルアクリレート系樹脂、ポリオールアクリレート系樹脂などのバインダー、あるいはこれらにさらに反応性希釈剤としてモノマーが加えられたバインダーが挙げられる。
また、本発明の着色組成物をプラスチック用の着色剤として使用する場合、着色される対象とできるプラスチックとしては以下のものが挙げられる。例えば、従来公知の熱可塑性プラスチックとして、ポリエチレン、エチレンコポリマー、ポリプロピレンなどのポリオレフィン類、ポリスチレン、ABS、AS、スチレンコポリマー、塩化ビニル樹脂、メタクリル樹脂、ポリカーボネート、ポリアミド、ポリアセタール、熱可塑性ポリエステル、セルロース系プラスチック、フェニレンオキサイド樹脂、フッ素樹脂、熱可塑性エラストマー類など、また、熱硬化性プラスチックとして、不飽和ポリエステル樹脂、エポキシ樹脂、シリコーン樹脂、ポリウレタン樹脂、メラミン樹脂、フェノール樹脂などが挙げられる。
上述した本発明の着色組成物(黒色着色剤)に含有される本発明の黒色アゾ顔料の含有量は、用途や使用する目的によって変わり、一概に決められるものではない。例えば、塗料、捺染剤、印刷インキ、プリンター用トナー、インクジェットインクなど物品の表面に着色するような用途においては、膜厚が薄いため、その着色剤に含有される本発明の黒色アゾ顔料の含有量は、凡そ3%〜80%、好ましくは凡そ5%〜60%である。特に、CFのBMの遮光性黒色材料として使用する場合には、特に、薄い膜厚でも完全な遮光性が要求されることから、顔料が安定に分散され、塗布に適する粘度が保たれ、均一な着色皮膜を形成する限界の顔料濃度という観点から、その含有量は、着色剤中に凡そ30%〜60%であることが好ましい。
また、プラスチックの着色や紡糸の原液着色のように着色される材料全体に内部着色するような場合には、着色製品の厚さにもよるが、その含有量は、着色剤中に凡そ0.05%〜20%、好ましくは凡そ0.1%〜10%程度であることが好ましい。
[カラーフィルター基板]
画像記録用として、本発明による黒色アゾ顔料を含む上記した画像記録用の着色組成物を用いることで、実質的に電気絶縁性であるカラーフィルター(CF)基板用のブラックマトリックス(BM)を形成することができる。本発明の着色組成物を用いて、CFのBMを作成する場合においては、該着色組成物を使用してCF基板上に、直接に、あるいは転写または貼り付け用のプラスチックフィルムを介在させて、フォトリソグラフィ法、レーザー・アブレーション法、インクジェトプリント法、印刷法、転写法及び貼付け法などから選ばれた1種または2種以上の形成方法で形成すればよい。
この際に形成するBMの膜厚としては、従来のものと何ら異なることはなく0.5μm〜3μm程度であるが、通常は1μm〜2μm程度である。BMの光学濃度(OD)値としては、1.6以上、より好ましくは2.0以上であることが望まれるが、本発明の着色組成物を適用することで、十分な光学濃度を有するBMを形成することができる。BMにスペーサーの機能を持たせる場合の具体的な方法としては、BMそのものを厚くする方法、BMの上に画素を重積する方法あるいは無色の樹脂膜を重積する方法などがある。いずれの方法においてもその場合の膜厚は、5μm〜10μm程度とすることが好ましい。このようにしてBMが形成されたCF基板上に、更に公知の有彩色画素形成用着色剤を使用して公知の画素形成方法により有彩色画素を形成することができる。
更に、本発明を利用したCFに関する特長ある物品としては、可視光領域の波長範囲を吸収するBMの形成されたCF基板、特に、BMがさらに実質的に電気絶縁性であり、該BMと電極が重なって形成されたCF基板が挙げられる。同様に、上記BMの形成されたCF基板上に有彩色画素が形成されたCF基板、また、BMおよび有彩色画素の形成されたCF基板の装着された液晶カラーディスプレー機器が挙げられる。
次に、実施製造例、比較製造例、実施例および比較例を挙げて本発明をさらに具体的に説明する。なお、文中、「g」または「%」とあるのは特に断りのない限り質量基準である。
[実施製造例](「黒色顔料−1」の製造)
(1)黒色顔料の粗粒子顔料の合成
ジアゾ成分として、式(2)で表される、2−[3−[(4−アミノフェニル)アミノ]−1H−イソインドール−1−イリデン]−2−シアノ−N−メチルアセトアミド6.34g(0.02モル)を、188gのニトロベンゼン中に分散し、常法により濃塩酸を加えて塩酸塩とし、過剰の亜硝酸ナトリウム水溶液を加えてジアゾ化し、ジアゾニウム塩溶液を調製した。これとは別に、カップリング成分として、式(3)で表される、N−(2−メチル−4−メトキシフェニル)−2−ヒドロキシ−11H−ベンゾ[a]カルバゾール−3−カルボアミド7.90g(0.02モル)を水酸化ナトリウム0.8gが溶けたメタノール250g中に溶解させたものを用意した。
上記で調製したジアゾニウム塩溶液を15℃以下に保ち、そこに上記のカップリング成分の溶液を徐々に添加した。酢酸ナトリウムでpHを6.5〜7.0に調整して1時間撹拌し、次いで25℃で2時間撹拌した後、更に40℃に昇温し、この状態で3時間撹拌することにより、カップリング反応を完結させて顔料を生成した。そして、生成した顔料をろ過し、メタノール洗い、水洗、乾燥して、黒色アゾ顔料の粗粒子顔料を得た。収量は12.22gであった。この黒色アゾ顔料の空気中における分解温度を測定したところ、336℃であった。なお、測定は、(株)リガク製の示差熱天秤サーモプラスEVO8120にて行った。
上記で得られた黒色アゾ顔料の結晶形態は、図1の、3万倍電界放出型走査電子顕微鏡(FE−SEM)写真に示される形状であった。また、そのX線回折の結果は、図3に示したように、回折角(2θ)が、13°付近と、25.2°付近に強い回折ピークを示した。
(2)微細化処理による黒色微粒子顔料の調製
上記の(1)の合成反応によって得られた黒色アゾ顔料の粗粒子顔料100部を塩化ナトリウム粉末500部およびジエチレングリコール50部と共に加圧蓋を装着したニーダーに仕込んだ。ニーダー内に均一に湿潤された塊ができるまで予備混合し、次で加圧釜を閉じて圧力6kg/cm2で内容物を押さえ込みながら混練および摩砕を行った。内容物が92〜98℃になるように温度を管理しながら2時間混練・摩砕処理を行った。得られた摩砕物を80℃に加温した3000部の温水中で1時間の攪拌処理を行った後、ろ過および水洗をして塩化ナトリウムおよびジエチレングリコールを除去し、微細化した黒色アゾ顔料のプレスケーキを得た。得られた顔料の粒子径を測定するために、顔料プレスケーキにノニオン活性剤を顔料に対して200%添加し、水で希釈し、超音波分散して顔料分散液を調製し、粒度測定機器「ModelN−4」(コールター社製)で平均粒子径を測定したところ、平均粒子径は凡そ90nmであった。プレスケーキを乾燥、粉砕して、黒色顔料の微細化粉末顔料を得た。以下、これを「黒色顔料−1」と称する。
[比較製造例](「比較黒色顔料−1」の製造)
(1)比較黒色顔料の粗粒子顔料の合成
前記した特許文献1の実施例1に記載の材料を使用し、記載の方法に準じて、3−(4−アミノフェニルイミノ)−1−オキソ−4,5,6,7−テトラクロルイソインドリン7.5g(0.02モル)をジアゾ化した後、N−(2−メチル−4−メトキシフェニル)−2−ヒドロキシ−11H−ベンゾ[a]カルバゾール−3−カルボアミド7.9g(0.02モル)をカップリングさせ、以下の構造を有する黒色アゾ顔料の粗顔料を得、これを比較黒色顔料の粗粒子顔料とした。収量は14.7gであった。この黒色顔料の空気中における分解温度を測定したところ、347℃であった。
比較黒色顔料の粗粒子顔料の結晶形態は、図2の3万倍FE−SEM写真に示される形状であり、また、そのX線回折の結果は、図4に示すように、回折角(2θ)の9.8°付近と26.3°付近に強い回折ピークを示すものであった。
(2)微細化処理による黒色微粒子顔料−1の調製
実施製造例1で得られた顔料と比較するために、特許文献1に記載の合成に追加して、顔料の粒子径がほぼ同じになるように、比較黒色顔料の粗粒子顔料に対して、実施製造例1で行ったと同様の微細化処理を行った。すなわち、上記実施製造例1の(2)に準じて、得られた比較黒色顔料の粗粒子顔料に対して微細化処理を行い、ろ過、水洗を行い、黒色アゾ顔料のプレスケーキを得た。そして、実施製造例1の(2)と同様にして顔料の粒子径を測定した。その結果、平均粒子径は凡そ80nmであった。プレスケーキを乾燥、粉砕して、黒色顔料の微細化粉末顔料を得た。以下、これを「比較黒色顔料−1」と称する。
[実施例1](黒色顔料−1の塗膜の光学特性の評価)
(a)黒色顔料−1を用いた黒色塗布PETフィルムの作製
実施製造例1で得た黒色顔料−1の光学的特性を見るために、黒色塗布液を調製した。使用するワニスとして、カルボキシル基を有するアクリル樹脂の50%キシレン−ブタノール混合溶媒溶液(酸価は10)とブチル化メチロールメラミン樹脂の50%キシレン−ブタノール混合溶媒溶液を、80:20の比率で配合し、ワニスを調製した(以下、単に「ワニス」と称する)。この際の希釈溶剤には、キシレン−ブタノールの混合溶媒(4:1)を使用した(以下、単に「希釈溶剤」と称する)。
黒色顔料−1を3部、ワニス24部、希釈溶剤6部および分散メディアとしてガラスビーズ48部を分散用容器に仕込み、ペイントシェイカーで3時間分散した。その後、更にワニスを36部追加して10分間分散を続けた後、取り出して黒色塗布液とした。黒色塗布液中の顔料分と樹脂固形分の比率は1:10であった。得られた黒色塗布液を、ポリエチレンテレフタレート(PET)フィルム上にバーコーターを用いて塗布し、乾燥後、130℃で硬化させ、黒色塗布PETフィルムを得た。塗膜厚は86nmであった。
(b)可視光領域および近赤外領域の透過率の測定
上記(a)で得られた黒色塗布PETフィルムを日立分光光度計(商品名:U−4100型、日立製作所製)にて可視部(可視光領域)および近赤外部(近赤外領域)の透過率を測定した。図5に、測定結果を示した。
図5に示した通り、分光透過率の測定の結果を見ると、黒色顔料−1を含む塗膜は可視光領域の長波長側の670nm付近までは、20%以下の透過率であり、780nmにおいては82%に達し、その後、なだらかに上昇し、平衡状態になる。特に、可視光領域の長波長側の580〜625nm付近では、5%以下と極めて低い透過率を示すものであることがわかった。
(c)体積抵抗率の測定
上記(a)で得られた黒色塗布PETフィルム上の黒色塗膜を、高抵抗率計ハイレスタ−UP(Hiresta−UP、三菱化学製)を用いて、体積抵抗率を測定した。測定結果は1014Ω・cm以上を示し、絶縁性が非常に高いことを示した。
[比較例1](比較黒色顔料−1の塗膜の光学特性の評価)
(a)比較黒色顔料−1を用いた黒色塗布PETフィルムの作製
実施例の黒色顔料−1と光学特性を比較するために、比較製造例で得た比較黒色顔料−1を用いて作製した塗膜の光学的特性を調べた。実施例1で使用した黒色顔料−1に代えて、比較黒色顔料−1を使用して、実施例1(a)と同様にして顔料分:樹脂固形分が1:10の黒色塗布液を調製した。そして、実施例1と同様にして、調製した黒色塗布液をPETフィルム上にバーコーターを用いて塗布し、乾燥、硬化させて比較用の黒色塗布PETフィルムを作製した。塗膜厚は88nmであった。
(b)可視光領域および近赤外領域の透過率の測定
上記(a)で得られた比較用の黒色塗布PETフィルムの可視部(可視光領域)および近赤外部(近赤外領域)の透過率を実施例1と同様にして測定し、その結果を図6に示した。
図6に示した分光透過率の測定の結果を見ると、上記の比較黒色顔料−1を含む塗膜の分光透過率は、長波長側の680nm付近までは、30%以下の透過率であり、780nmにおいては78.7%に達し、その後、なだらかに上昇し、平衡状態になる。
図5と図6との比較から、まず、実施例の黒色顔料−1の塗膜の場合は、可視光領域の長波長側の670nm付近までの透過率が20%以下であったのに対して、比較黒色顔料−1を含む塗膜の場合は30%と高い値を示し、更に、実施例の黒色顔料−1の塗膜の場合は、可視光領域の長波長側の580〜625nm付近では、5%以下と極めて低い透過率を示したのに対し、比較黒色顔料−1を含む塗膜の場合は、最低でも15%以上の値となることが確認できた。さらに、近赤外領域の短波長側の780nmから1400nmにおける透過率の比較から、実施例の黒色顔料−1の塗膜の場合は、780nmにおいて82%に達し、1000nm付近で90%近くに達したのに対して、比較黒色顔料−1を含む塗膜の場合は、780nmにおいては78.7%で、1000nm付近でも85%程度であることが確認できた。これらのことは、従来の黒色顔料を使用した場合と比較して、本発明の実施例の黒色顔料−1で形成した塗膜は、その光学的特性において明らかに優位性を示すものであることがわかった。
(c)体積抵抗率の測定
上記(a)で得られた比較用の黒色塗布PETフィルム上の黒色塗膜の体積抵抗率を測定した。測定結果は1014Ω・cm以上を示し、実施例1と同じく高絶縁性であることを示した。
[実施例2](黒色顔料−1の塗膜の光反射特性の評価)
(a)黒色顔料−1を用いた黒色PETフィルムおよび黒色展色紙の作製
黒色顔料−1の反射特性を見るために、実施例1(a)で調製した黒色塗布液を6ミルのアプリケーターを用いてPETフィルム上および白色展色紙上に塗布し、乾燥、硬化させた。黒色の塗布膜厚は、PETフィルム上では350nm、展色紙上では320nmであった。
(b)可視領域および近赤外領域の反射率の測定
(b−1)上記(a)で得られた黒色PETフィルムの可視部および近赤外部の反射率を、黒色PETフィルムを白板の上に載置した状態で測定し、図7に測定結果を示した。
(b−2)上記(a)で得られた黒色展色紙の可視部および近赤外部の反射率を測定し、図8に測定結果を示した。
上記の結果を示した図7と図8から明らかなように、黒色PETフィルムおよび黒色塗布展色紙は、いずれの場合も、740nm位までは共に6%の反射率しか示していない(但し、上記の図7および図8で、反射率が0%でなく、6%の値になっているのは測定装置との関係である)。
また、図7に示したように、黒色PETフィルムでは、760nm位より880nmにかけて反射率は急激に上昇し、更にそれより長波長側の近赤外領域ではほぼ90%の反射率を維持している。また、図7と図8から、黒色PETフィルム及び黒色塗布展色紙の近赤外領域における高い光の反射率は、それぞれの塗布塗膜を構成している顔料表面からの反射と共に、図5で確認された近赤外領域において示された高い透過光が下地の白板もしくは白紙で反射し、それに起因する光が合算されて反射光となっているため高くなっていると考えられる。従って、上記の結果は、黒色顔料の光学的特性を、近赤外領域における光透過性を高くすると同時に、反射性の高い下地を利用することで、効率よく近赤外線を反射できる物品の提供が可能になることを示している。
[実施例3](ポリカーボネート樹脂成型板の製造と評価)
実施製造例1で得た黒色顔料−1を20部と、ポリカーボネ−ト樹脂粉末80部をヘンシェルミキサーで充分混合した後、二軸押出機で混合、混練し、黒色顔料−1を20%含有するポリカーボネート樹脂黒色マスターバッチを調製した。次いで、得られたポリカーボネート樹脂黒色マスターバッチ2部を、ポリカーボネート樹脂ペレット100部に配合し、ヘンシェルミキサーで混合し、二軸押出機で混練し、黒色樹脂ペレットを得た。得られた黒色ペレットをインラインスクリュー射出成型機にて成型し、顔料分散性に優れた黒色のポリカーボネート樹脂プレートを得た。この黒色プレートは、可視光領域の光を吸収し、且つ、近赤外線を十分に透過し、赤外線透過フィルターなどの用途に使用できる。
[実施例4](アクリル樹脂成型板の製造と評価)
実施例3と同様にして、実施製造例1で得た黒色顔料−1を20部とアクリル樹脂(ポリメチルメタクリレート)粉末80部をヘンシェルミキサー(粉体高速混合機)で充分混合した後、二軸押出混練機で混合、混練し、黒色顔料−1を20%含有するアクリル樹脂黒色マスターバッチを調製した。次いで、得られたアクリル樹脂黒色マスターバッチ2部をアクリル樹脂ペレット100部に配合し、ヘンシェルミキサーで混合し、押出し機で混練し、黒色樹脂ペレットを得た。得られた黒色ペレットをインラインスクリュー射出成型機にて成型し、顔料分散性に優れた黒色のアクリル樹脂プレート(成型版)を得た。この黒色のアクリル樹脂プレートは、可視光領域の光を吸収し、且つ、近赤外線を十分に透過し、赤外線透過フィルターとして使用できる。
[実施例5](ポリウレタンコーティング剤の調製と評価)
(1)ポリウレタンコーティング剤(液)の調製
実施製造例1で得た黒色顔料−1を40部とアジピン酸エステル系可塑剤60部とを三本ロール混練機で充分に混練し、黒色顔料の可塑剤分散ペースト(以下、「黒色顔料トーナー」と記載)を得た。同様にして、酸化チタン白色顔料60部と、アジピン酸エステル系可塑剤40部とを三本ロール混練機で充分に混練し、白色顔料の可塑剤分散ペースト(以下、「白色顔料トーナー」と記載)を得た。次いで、カルボキシル基を有するポリエーテルポリオール・ジフェニルメタンジイソシアネート系ポリウレタンの乳白色のメチルエチルケトン分散液(固形分:30%)100部、ポリエーテルポリオール・ジフェニルメタンジイソシアネート系ポリウレタンのメチルエチルケトン溶液(固形分:50%)5部およびポリカルボジイミド系架橋剤(固形分:20%)2.5部を十分混合した。そこへ、上記で得た黒色顔料トーナー1.0部および白色顔料トーナー6.0部を添加し、充分混合し、グレー色のポリウレタンコーティング液を調製した。また、白色顔料トーナーのみを使用した以外は上記と同様の方法で、白色のポリウレタンコーティング液を調製した。さらに、黒色顔料トーナーのみを使用した以外は上記と同様の方法で、黒色のポリウレタンコーティング液を調製した。
(2)評価
上記で得たグレー色のポリウレタンコーティング液を、ナイロン織布テント地の表面に凡そ200g/m2で塗付し、乾燥して、グレー色の加工織布を作製した。得られた加工織布は直射日光の熱線を反射し、昇温を防ぐテントなどの用途に使用することができた。
また、上記で得た白色のポリウレタンコーティング液を用いて下地塗布をした後、その上に上記で得た黒色のポリウレタンコーティング液をトップコートすることにより、二重構造のポリウレタン合成皮革を得た。得られた合成皮革は熱線を反射するため、自動車の内装などの用途に好適に使用できる。
[実施例6](原液着色紡糸の作製と評価)
実施製造例1で得た黒色顔料−1を50部および顔料分散剤としてエチレンビスステアリン酸アミド粉末50部をヘンシェルミキサーで混合し、顔料分が50%の粉末着色剤(ドライカラー)を得た。次いで、得られたドライカラーを1.0部、ポリプロピレン樹脂ペレット99.0部に配合し、ヘンシェルミキサーで混合し、ベント式40m/m押出機で混練し、0.5%黒色樹脂ペレットを得た。得られた黒色樹脂ペレットを熔融紡糸機にて紡糸し、繊度10デニールの顔料分散性に優れた鮮明な黒色のポリプロピレン原液着色糸を得た。この着色糸を使用して得た織布は直射日光の熱線を反射することが可能なため、昇温を避ける日傘やカーテンなどの用途に好適に使用できる。
[実施例7](樹脂成型品の作製と評価)
実施製造例1で得た黒色顔料−1を5部、酸化チタン白色顔料20部および顔料分散剤としてポリエチレン樹脂粉末75部をヘンシェルミキサーで混合し、ドライカラーを得た。次いで、得られたドライカラーを1.0部、ポリブチレンテレフタレート(PBT)樹脂ペレット100部に配合し、ヘンシェルミキサーで混合し、押出機で混練し、黒色樹脂ペレットを得た。得られた黒色樹脂ペレットをインラインスクリュー射出成型機にて成型し、顔料分散性に優れた黒色のPBT樹脂成型板を得た。得られた樹脂成型板は、直射日光の熱線を反射するため、昇温を避けたい樹脂成型品として好適に使用できる。
[実施例8](織布用捺染糊の作製と評価)
実施製造例1で得た黒色顔料−1を固形分で25部を含むプレスケーキ71部、ノニオン系顔料分散剤10部、消泡剤1部、水18部を十分予備混合した後、分散媒体としてガラスビーズを使用した横型連続媒体分散機にて顔料を分散し、黒色顔料高濃度分散液(黒色カラーベース)を調製した。このようにして得た黒色カラーベース20部、反応性アクリル酸アルキルエステルラテックス(固形分40%)25部、消泡剤0.5部、分散剤1部、水中油滴型乳化用分散安定剤3部、ミネラルターペン38部、水12.5部をホモジナイザー(強力乳化分散機)にて乳化分散させ、水中油滴型黒色エマルジョンペーストを調製した。更に、そこへ、カルボジイミド系の架橋剤(固形分40%)を2部添加し、十分混合して黒色捺染糊を調製した。得られた黒色捺染糊を用いてポリエステル−綿混紡布上に全面プリントし、120℃で15分間のキュアーを行うことにより、黒色の無地捺染布を得た。得られた黒色の無地捺染布は、熱線を遮蔽することができるものになる。
[実施例9](グラビア印刷インキの作製と評価)
実施製造例1で得た黒色顔料−1を11部、イソシアネート末端ポリエステルをジアミンで鎖長延長したポリウレタン樹脂の40%メチルエチルケトン・トルエン(1:3)混合溶媒溶液30部を加え、カチオン性ポリマー分散剤2部、トリレンジイソシアネートからのポリカルボジイミド化合物の40%トルエン溶液を2.5部、メチルエチルケトン・トルエン・イソプロピルアルコール(50:30:20)混合溶媒54.5部を加えて高速撹拌機で充分混合した。そして、分散媒体としてガラスビーズを使用した横型連続媒体分散機にて顔料を分散し、黒色グラビア印刷インキを調製した。グラビア印刷機を用いてポリアミドフィルム、ポリエステルフィルムおよびポリプロピレンフィルムにそれぞれ印刷を行ない、各黒色フィルムを得た。いずれの黒色フィルムも、可視光を遮蔽し、赤外線を透過することができるものであった。
[実施例10](CFのBMの形成と評価)
(1)BM用顔料分散液の調製
(黒色顔料分散液の調製)
実施製造例1で得た黒色顔料−1を25部、ベンジルメタクリレート−メタクリル酸−2−ヒドロキシエチルメタクリレート共重合体(モル比:60:20:20、重量平均分子量30,000)10部、カチオン性重合体系分散剤2.5部およびプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(PGMA)65部を十分予備混合した。次いで、連続式横型媒体分散機で分散させることにより、黒色顔料分散液(以下、「黒色顔料分散液−1」と称する)を得た。
(2)感光性黒色レジストインク−1の調製
上記(1)で得られた黒色顔料分散液−1を40部、アクリル化アクリルポリオール感光性樹脂60%PGMA溶液5部、トリメチロールプロパントリアクリレート2部、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート3部、光重合開始剤としてエタノン,1−[9−エチル−6−(2−メチルベンゾイル)−9H−カルバゾール−3−イル]−,1−(O−アセチルオキシム)(商品名:「イルガキュアOXE02」、BASF社製)1部およびPGMA51部を配合した。次いで、高速撹拌機で均一になるように十分撹拌した後、孔径が3μmのフィルターでろ過をして、黒色顔料−1を含む黒色レジストインク(以下、「感光性黒色レジストインク−1」と称する)を調製した。
(3)黒色レジスト膜の評価
上記で得た感光性黒色レジストインク−1を用いて、スピンコーターにてガラス基板上に塗布し、60℃にて予備乾燥し、プリベークを行い、超高圧水銀灯を用いて400mJ/cmの光量で露光を行ない、230℃、30分のポストベークを行い、厚さ2μmの黒色塗膜を得た。
この塗膜の光学的特性は、実施例1で示したと同様に、可視光領域の長波長側の670nm付近までは、20%以下の透過率であり、780nmにおいては82%に達し、その後、なだらかに上昇し、平衡状態になり、特に、可視光領域の長波長側の580〜625nm付近では、5%以下と極めて低い透過率を示した。また、体積抵抗率も1014Ω・cm以上を示し、高絶縁性であることを示した。
(4)BMパターンの調製
上記で得た感光性黒色レジストインク−1を用いて、常法に従いスピンコーターにてガラス基板上に塗布し、80℃で10分間プリベークを行い、厚さ2μmの黒色塗膜を得た。この塗膜にBMパターンのネガのフォトマスクパターンを介して、超高圧水銀灯を用い、100mJ/cmの光量で露光を行ない、アルカリ現像液で現像し、水洗、乾燥してBMパターンを形成した。
BM膜は上記(3)で示したように高い電気絶縁性を有しており、TFTなどのアクティブ素子上にBMを形成する各種のCFの改良方法、例えばスペーサーに代わり液晶層の厚みを保持するBM、IPS方式、COA方式などが構築される。また、可視領域を長波長領域まで十分吸収することから、LEDバックライトを採用したLCDパネルのBMとして好適に使用できる。
(5)赤色、緑色、青色、黄色、紫色の各顔料分散液の調製
上記(1)と同様にして、PR254(ジケトピロロピロールレッド顔料)、PR177(アンスラキノン系レッド顔料)、PG36(銅フタロシアニングリーン顔料)、PB15:6(ε型銅フタロシアニンブルー顔料)、PY185(黄色顔料)およびPV23(ジオキサジンバイオレット顔料)にそれぞれ公知のスルホン基を有する顔料誘導体を添加した顔料組成物を使用して夫々顔料分散液を調製した。
(6)各色の感光性レジストインクの調製
上記で得た各色の顔料分散液を用いて各色の感光性レジストインクを調製した。上記で得たPR254とPR177の顔料分散液を配合(8:2)し、上記(2)と同様にして感光性樹脂、光重合性モノマー、光重合開始剤、溶剤を加えて赤色レジストインキ(感光性赤色レジストインク−1)を調製した。同様に、PG36とPY185の顔料分散液を配合(6:4)し、緑色レジストインキ(感光性緑色レジストインク−1)を、PB15:6とPV23の顔料分散液を配合(8:2)し、青色レジストインキ(感光性青色レジストインク−1)をそれぞれ調製した。
(7)CFのRGB画素の形成
BMの形成されたガラス基板をスピンコーターにセットし、上記の感光性赤色レジストインク−1をスピンコートし、80℃で10分間プリベークを行い、モザイク状のパターンを有するフォトマスクをガラス基板の塗布面に、プロキシミティー露光機を使用して超高圧水銀灯で100mJ/cm2の光量で露光を行なった。次いで専用現像液および専用リンスで現像および洗浄、乾燥を行い、ガラス基板上赤色のモザイク状のパターンを形成させた。
引き続いて感光性緑色レジストインク−1を用いて緑色モザイク状のパターンを形成し、感光性青色レジストインク−1を用いて青色モザイク状のパターンを形成し、BMおよびRGB画素の形成されたCFを得た。得られたCFは、優れたCF特性を示すものであった。

Claims (14)

  1. 下記式(1)で表されることを特徴とする近赤外線透過性黒色アゾ顔料。
  2. そのX線回折による回折角(2θ)が、13°と25.2°付近に強い回折ピークを示す請求項1に記載の黒色アゾ顔料。
  3. その平均粒子径が10nm〜1000nmである請求項1又は2に記載の黒色アゾ顔料。
  4. ジアゾ成分として、下記式(2)で表される、2−[3−[(4−アミノフェニル)アミノ]−1H−イソインドール−1−イリデン]−2−シアノ−N−メチルアセトアミドをジアゾ化したジアゾ化合物を用い、カップリング成分として、下記式(3)で表される、N−(2−メチル−4−メトキシフェニル)−2−ヒドロキシ−11H−ベンゾ[a]カルバゾール−3−カルボアミドを用い、これらをカップリング反応させる合成工程を有し、且つ、
    更に、合成された顔料が粗大である場合には、必要に応じて、顔料の平均粒子径を10nm〜200nmに微細化するための工程として、
    (1)ボールミル、サンドミル、アトライター、横型連続媒体分散機、ニーダー、連続式一軸混練機、連続式二軸混練機、三本ロール及びオープンロール連続混練機からなる群から選ばれる少なくとも1種の顔料磨砕機あるいは顔料分散機を使用する微細化方法、及び、
    (2)混練機中で、水溶性塩、必要に応じて水溶性有機溶剤と共に混練、摩砕するソルトベントソルトミリング法、
    からなる群から選ばれるいずれかの方法で実施される顔料微細化工程が設けられていることを特徴とする近赤外線透過性黒色アゾ顔料の製造方法。
  5. 液体分散媒体中あるいは固体分散媒体中に、請求項1〜のいずれか1項に記載の近赤外線透過性黒色アゾ顔料を含む顔料成分を含んでなることを特徴とする着色組成物。
  6. 前記黒色アゾ顔料を含む顔料成分が、前記黒色アゾ顔料単独で、あるいは、前記黒色アゾ顔料と、公知の、有彩色顔料、白色顔料、他の黒色顔料及び体質顔料からなる群から選ばれた1種以上の他の顔料とを併用して、暗色の有彩色の着色、ないし無彩色の暗色あるいは黒色の着色をする請求項に記載の着色組成物。
  7. 前記液体分散媒体が、反応性基を有していてもよい重合体、反応性基を有していてもよいオリゴマーおよび反応性基を有していてもよい単量体からなる群から選ばれる少なくとも1種の皮膜形成材料を含み、且つ、それ自体が液体であるか、あるいは、更に溶剤および/または水を含有してなる請求項又はに記載の着色組成物。
  8. 前記固体分散媒体が、熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂、ワックス、脂肪酸アミド及び脂肪酸金属石鹸からなる群から選ばれる少なくとも1種の固体分散媒体を含有してなる請求項又はに記載の着色組成物。
  9. 塗料用、プラスチック用、合成繊維用、印刷インキ用、文房具用又は画像記録用画像表示用の着色用のいずれかである請求項のいずれか1項に記載の着色組成物。
  10. 物品の表面の着色あるいは物品の内部の着色に、請求項のいずれか1項に記載の着色組成物を用い、物品を、黒色ないし暗色に着色することを特徴とする物品の着色方法。
  11. 前記物品が透明性基材からなり、該透明性基材の表面に、前記着色組成物を用いて、塗装、塗付、染色、印刷、筆記、描画、インクジェット印刷、電子写真印刷あるいは静電印刷からなる群から選ばれたいずれかの方法で着色するか、あるいは、前記着色組成物を混練又は含浸させる方法によって、前記基材の内部の着色をする請求項1に記載の物品の着色方法。
  12. 黒色ないし暗色に着色された透明性基材からなる物品の光学的特性が、可視光領域の長波長側の凡そ580〜625nmの波長範囲を含む可視光領域の全域で高吸収性を示し、且つ、800〜1400nmの近赤外領域では高透過性を示すものである請求項1又は1に記載の物品の着色方法。
  13. 前記物品として、それ自体が光反射性を有するものを用いるか、あるいは、予め物品の表面に光反射性下地を形成させたものを用い、これらいずれかの物品の上に、前記着色組成物を用いて、塗装、塗付、原液着色、捺染、浸染、印刷、筆記、描画、インクジェット印刷、電子写真印刷あるいは静電印刷からなる群から選ばれたいずれかの方法で着色することで、物品に近赤外領域では反射性を示す着色をする請求項1に記載の物品の着色方法。
  14. 請求項1〜のいずれか1項に記載の近赤外線透過性黒色アゾ顔料を用いて形成された実質的に電気絶縁性であるブラックマトリックスと、電極が重積あるいは接触する状態で形成されていることを特徴とするカラーフィルター基板。
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