JP6059459B2 - 易剥離性シート - Google Patents
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Description
また、商品に貼り付けてキャンペーン対象商品であることを表示し、販売後に顧客が剥ぎ取ってキャンペーン応募券として利用するようなシールが使用されている。
更には、個人情報等の秘密を要する情報を覆い隠すために貼着され、その情報を見る際に剥ぎ取る隠蔽シートが利用されている。
しかしながら、従来の易剥離性シートは、剥離した表示層がカールし易く、その結果、表示層の内容を視認しにくく、また、積み重ねが困難であるので保管もしにくいという問題を含んでいる。また、粘着層と剥離層の間、及び仮接着層と表示層の間において、双方とも人の手で容易に剥ぎ取ることができる程度の弱接着状態にする必要があるので、剥離層を剥ぎ取るつもりで誤って表示層を剥ぎ取るようなトラブルが起こりやすい。
本発明の第1は、表示層、仮接着層、粘着層、剥離層からなる易剥離性シートであって、表示層と仮接着層の間の剥離強度Aが15〜100gf/50mmであり、粘着層と剥離層の間の剥離強度Bが5gf/50mm以上であり、A−Bが少なくとも10gf/50mmであり、周縁部のうち少なくとも一箇所が、仮接着層及び粘着層が設けられていない剥離開始部とされており、直角に折り曲げた際の回復角度が、表示層と剥離層の間で10度以上異なる易剥離性シートを内容とする。
また、粘着層と剥離層の間の剥離強度Bが5gf/50mm以上であり、A−Bが少なくとも10gf/50mmであるので、表示層よりも剥離層が優先的に剥離される。従って、剥離層を剥ぎ取ろうとして誤って表示層を剥ぎ取ってしまうというトラブルを防ぐことができる。
表示層2は一層のシートであってもよいが、住所ラベルとして使用する場合等には、それぞれ異なる伝票(例えば受注伝票と配達伝票)として使用するために2枚以上綴られた感圧紙を表示層としてもよい。
材質も特に限定されず、後述する仮接着層3と所定の接着力で接着できるとともに、用途に応じて必要とされる機能を有するものであればよい。例えば、本発明の易剥離性シート1を住所ラベルとして使用する場合には、上述の感圧紙を使用できる他、後でプリンター等を用いて住所等を印字しやすいように感熱紙を使用してもよい。また、コート紙、上質紙、クラフト紙、微塗工紙といった印刷しやすい紙製のものを使用してもよく、印刷後に樹脂等からなる保護層を印刷面に積層したものでもよい。樹脂も使用でき、例えば、隠蔽シートとして使用する場合のように情報表示の必要がない場合には、単に着色されただけの樹脂シートを用いることもできる。
仮接着層3の材質は特に限定されず、上記した表示層2と所定の接着力で仮接着されるものであればどのようなものでも採用できる。なお、仮接着とは配送中等のように、剥離させたくない場合には不用意に剥離せず、また意図的に剥離させたい際には容易に剥離できるように、表示層2が仮接着層3と適度の接着強度で接着されていることをいう。
表示層2と仮接着する仮接着層3の具体的な材質については、表示層2の材質にもよるので一概には言えないが、表示層2が紙製の場合にはポリエチレン、ポリプロピレン、ポリメチルペンテン等の樹脂が好ましい。
表示層2の材質を樹脂製とする場合には仮接着層3を紙製とすることも可能ではあるが、仮接着層3は表示層2を剥ぎ取った後に貼着対象物側に残留する部分なので、必要がない限り目立たないほうが好ましく、硫酸紙やトレーシングペーパー等のように透明又は半透明のものを選択するほうがよい。
なお、本発明では表示層2を樹脂製にし、仮接着層3を紙製とすることも可能であり、この場合は表示層2になる熱可塑性樹脂を押し出し機でカーテン状に押し出すことになるが、この場合の樹脂の厚みは剥ぎ取る際の引っ張り力で伸びたり破れたりしない程度の厚さ、例えば50〜100μmにするのが好ましい。
従って、押し出しの際の樹脂の温度や、押し出される樹脂の吐出口と表示層2の間の距離を適切に選択することにより、表示層2と仮接着層3の間の剥離強度を所望の強さに調節することができる。
なお、剥離強度Aが15gf/50mm未満の場合でも表示層2が不用意に剥がれ落ちるとは限らない。しかしながら、本発明においては、上記の通り表示層2と仮接着層3の間の剥離強度Aと粘着層4と剥離層5の間の剥離強度Bとの差A−Bが少なくとも10gf/50mmとする必要があるので、剥離強度Aを15gf/50mmより小さくすれば、剥離強度Bが小さくなりすぎて、剥離層5が不用意に剥がれ落ちるおそれが生じる。好ましくは、剥離強度Aは20〜100gf/50mmである。
粘着層4の材質は通常の粘着剤でよく、例えばアクリル系粘着剤、天然ゴム粘着剤、合成ゴム粘着剤、シリコーン系粘着剤等が全て好適に利用できる。
塗布厚も従来の易剥離性シートと同様でよく、乾燥重量で10〜40g/m2 程度が好ましい。
剥離層5としては、粘着層4との接着強度が容易に手で剥がせる程度のシート状物が全て使用できるが、通常は紙基材の表面をシリコーン系剥離剤で処理した剥離紙が好適である。この場合に使用される剥離剤としては、例えば信越化学工業(株)、荒川化学工業(株)、モメンティブ・パフォーマンス・マテリアルズ・ジャパン等から発売されている様々なグレードの剥離紙用剥離剤のうち、適切なものを選択して用いることができる。
この剥離強度Bが5gf/50mm未満だと、易剥離性シート1の保管中や取り扱い中に剥離層5が不用意に剥離するおそれがある。好ましくは、剥離強度Bは10gf/50mm以上である。
剥離強度A−Bが10gf/50mm未満の場合や、粘着層4と剥離層5の間の剥離強度Bの方が大きい場合には、剥離層5を剥ぎ取ろうとする際に、誤って表示層2を剥ぎ取るおそれがある。
このようにすれば、剥離開始部6に触れるだけで当該剥離開始部6から剥離層5の端部が分離するので、この部分を把持して引っ張ることにより容易に剥離層5を剥ぎ取ることができる。
このような剥離開始部6aを設けるには、粘着剤の塗布方法として、グラビアコーターやスクリーン印刷等、場所に応じて塗布する粘着剤の量を調節できる塗布方法を選択して、剥離開始部6aとしたい場所には粘着剤を塗布しないようにすればよい。
所定の形状の仮接着層3を積層するためのその他の方法としては、表示層2となる基材に仮接着層3となる樹脂を積層する際に、該樹脂を中割れカーテン状(適所にスリットがあるカーテン状)に押し出す方法がある。
その後、所定の形状に積層された仮接着層3に、グラビアコーターやスクリーン印刷等、場所に応じて塗布する粘着剤の量を調節できる塗布方法により粘着剤を積層すれば、表示層用剥離開始部6bを形成することができる。
即ち、図3(a)に示したように、表示層用剥離開始部6bにおいて表示層2と剥離層5を同時に折り曲げれば、表示層2と剥離層5の形状はそれぞれある程度まで回復するが、回復性の度合いが異なれば、図3(b)に示すように、表示層2と剥離層5の端部が分離するので、この部分を摘んで剥離層5を剥ぎ取りやすくなる。表示層2についても同様に剥ぎ取りやすくなる。
回復性の差については、剥離層5の端部が摘みやすくなる程度であれば特に限定されないが、例えば、表示層2と剥離層5を一旦直角に折り曲げてから、力を加えない状態で一定時間(例えば20秒)放置し、その後の表示層2及び剥離層5の折れ曲がり角度を測定した際に、折れ曲がり角度の差が大きい程好ましいが、10度以上程度であれば、剥離層5の端部を容易に摘むことができる。
仮接着層3が紙製である場合には、仮接着層3になる紙製シートに普通に印刷してから透明樹脂製の表示層2を積層すればよい。仮接着層3が透明又は半透明である場合には、裏面(粘着層4が積層される面)に表裏逆の態様で印刷してもよい。
表示層としてラベル用感熱紙(日本製紙製、型番:TP60KS−F1)を用い、この裏面に、押し出し機を用いてポリエチレン樹脂(ザ・ダウ・ケミカル・カンパニー製、型番:NUC8009)をカーテン状に押し出し(樹脂温度290℃)、厚さ18μmの仮接着層を形成した。
次に、仮接着層にコロナ放電処理を施した後、スクリーン印刷法によりアクリルエマルジョン粘着剤を塗布してから乾燥させて粘着層を形成した。なお粘着剤は乾燥後における粘着層の重量が20g/m2 になるように塗布した。
この上からシリコーン剥離紙(信越化学工業製、型番:X62−1876A/B)を貼り付け、剥離層とし、易剥離性シートを得た。
このようにして得られた易剥離性シートを幅50mmの帯状に裁断し、島津製作所製のオートグラフ(型番:AGS−H)を用いて粘着層から剥離層を剥離速度300mm/minで剥離させ、剥離強度Bを測定したところ、5gf/50mmであった。
同様に感熱紙(表示層)と仮接着層の間についても剥離強度Aを測定したところ、結果は15gf/50mmであった。従って、剥離強度A−Bは、10gf/50mmであった。
上記易剥離性シートが貼り付けられた段ボール箱をトラックに乗せ、4×5列に並べて3段に積み重ねた状態でトラックを100km走行させ、その後、易剥離性シートを観察したところ、いずれの易剥離性シートにも表示層の剥がれ等の異常は見られなかった。
また、貼り付けられた易剥離性シートの表示層(感熱紙)はいずれも手で容易に剥ぎ取ることができた。なお、剥ぎ取った後の表示層のカールは小さく、表示内容の視認性は良好で、また、積み重ねも可能で保管上も問題がないことが確認された。
樹脂の温度及び吐出口と表示層の距離を適切に変えることにより剥離強度Aを調節し、粘着剤と剥離剤の組み合わせを適切に変えることにより剥離強度Bを調節して、剥離強度A及び剥離強度Bを表1に示すように変更した他は実施例1と同様にして易剥離性シートを得、実施例1と同様の方法で、下記の基準により評価した。結果を表1に示す。
(イ)配送後の易剥離性シートの状態:
○:表示層の剥がれやシワなし。
×:表示層の剥がれ及びシワあり。
(ロ)剥離層の不用意な剥離:
○:不用意な剥離が発生しない。
△:不用意な剥離が発生する場合がある(5%以下)。
×:不用意な剥離が発生する。
(ハ)剥離層の剥ぎ取り時における表示層の剥離:
○:表示層の剥がれなし。
×:表示層の剥がれあり。
(ニ)表示層のカール:
○:剥ぎ取った表示層のカールが小さく、表示内容の視認性が良好である。
×:剥ぎ取った表示層のカールが大きく、表示内容の視認性が不良である。
(ホ)表示層の保存性:
○:剥ぎ取った表示層の積み重ねが可能で、保存性が良好である。
×:剥ぎ取った表示層の積み重ねができず、一旦逆の方向に反らせてカールを小さくしてからでないと積み重ねができず、保存性が不良である。
(ヘ)総合評価:
○:易剥離性シートとして良好である。
×:易剥離性シートとして不良である。
粘着層4を図4に示した形状に塗布して、図2(a)に示す剥離層用剥離開始部6aを設けた他は実施例1と同様にして易剥離性シート(a)を作成した。なお、粘着層4の形状については、スクリーン印刷法により粘着剤を図5(a)のように塗布した後、図5(b)のように裁断することにより図4の形状とした。
また、仮接着層3も粘着層4と同じ形状にして、図2(b)に示す表示層用剥離開始部6bを設けた他は上記と同様にして易剥離性シート(b)を作成した。仮接着層3の形状については、円形の被覆材(図示せず)をそれぞれ結束糸で数珠繋ぎにした後、図5(a)における仮接着層3を設けない位置に被覆材を配置し、その上からポリエチレン樹脂をカーテン状に押し出して積層し、当該ポリエチレン樹脂が固まる前に結束糸を引っ張って被覆材を取り除くことにより仮接着層3を図5(a)の形状とし、その後、易剥離性シート(a)と同様の方法で粘着層4を形成してから、図5(b)のように裁断することにより図4の形状とした。
粘着層4を図6に示した形状に塗布して、図2(a)に示す剥離層用剥離開始部6aを設けた他は実施例5と同様にして易剥離性シート(a)を作成した。なお、粘着層4の形状については、スクリーン印刷法により粘着剤を図7(a)のように塗布した後、図7(b)のように裁断することにより図6の形状とした。
また、仮接着層3も粘着層4と同じ形状にして、図2(b)に示す表示層用剥離開始部6bを設けた他は上記と同様にして易剥離性シート(b)を作成した。仮接着層3の形状については、ポリエチレン樹脂を中割れカーテン状に押し出して積層することにより仮接着層3を図7(a)の形状とし、その後図7(b)のように裁断することにより図6の形状とした。なお図7(a)の形状の仮接着層3はテープ状の被覆材を表示層の上に配置し、ポリエチレン樹脂をカーテン状に押し出して積層してからポリエチレン樹脂が固まる前に被覆材を取り除くことによっても得ることができる。
上下の角部のいずれか一方を図2(a)に示す剥離層用剥離開始部6aとし、他方を図2(b)に示す表示層用剥離開始部6bとした他は実施例5と同様にして易剥離性シートを作成した。
このような易剥離性シート1は、実施例5の易剥離性シート(b)において、仮接着層3を積層する際に被覆材の配列間隔を2倍にしたうえで、粘着層4を実施例5と同様にすることにより、仮接着層3及び粘着層4を図8(a)のように形成してから、図8(b)のように裁断することにより得られる。
なお、図8に示した方法で易剥離性シート1を作成すれば、剥離層用剥離開始部6aが上側にあるものと下側にあるものの2種類の易剥離性シート1が得られる。
実施例6に示した方法で、図2(a)に示す剥離層用剥離開始部6aになる部分と図2(b)に示す表示層用剥離開始部6bになる部分を図9(a)に示したように交互に設け、図9(b)のように裁断したほかは実施例1と同様にして易剥離性シート1を作成した。
細長い粘着層4を図10(a)に示すように縞模様状に設け、且つ裁断しなかったほかは実施例1と同様にして易剥離性シート1を作成した。なお、仮接着層3を表示層2と同じ形状にしたものを易剥離性シート(a)とし、粘着層4と同じ形にしたものを易剥離性シート(b)とする。
この易剥離性シート1は実用的な大きさの易剥離性シートを切り出すための原紙として用いることができ、例えば、図10(b)に示すように様々な大きさの易剥離性シートを切り出すことができる。この際、切り出される易剥離性シートの各辺のうち少なくとも一辺が、原紙としての易剥離性シートにおける粘着層4が設けられていない部分になるように切断すれば、剥離開始部を有する易剥離性シートが得られる。
表示層2を大王製紙社製の上質紙(型番:ユトリロ上質64g/m2 、直角に折り曲げた場合の回復角度:60度)とし、剥離層5を永豊余社製のグラシン紙とした他は実施例6の易剥離性シート(b)と同様にして易剥離性シートを作成した。
このようにすれば、図3(a)のように剥離開始部6を一旦折り曲げてから手を離すと、図3(b)のように表示層2の端部と剥離層5の端部が分離して摘みやすくなるので、表示層2又は剥離層5を剥ぎ取りやすくなる。
2 表示層
3 仮接着層
4 粘着層
5 剥離層
6 剥離開始部
6a 剥離層用剥離開始部
6b 表示層用剥離開始部
Claims (2)
- 表示層、仮接着層、粘着層、剥離層からなる易剥離性シートであって、
表示層と仮接着層の間の剥離強度Aが15〜100gf/50mmであり、
粘着層と剥離層の間の剥離強度Bが5gf/50mm以上であり、
A−Bが少なくとも10gf/50mmであり、
周縁部のうち少なくとも一箇所が、仮接着層及び粘着層が設けられていない剥離開始部とされており、
直角に折り曲げた際の回復角度が、表示層と剥離層の間で10度以上異なることを特徴とする易剥離性シート。 - 仮接着層と粘着層の間において、仮接着層側がコロナ放電処理されていることを特徴とする請求項1に記載の易剥離性シート。
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