JP6058442B2 - 腐食センサ、並びにこれを使用した腐食速度測定方法及び腐食速度測定装置 - Google Patents

腐食センサ、並びにこれを使用した腐食速度測定方法及び腐食速度測定装置 Download PDF

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Description

本発明は被検査対象物に貼付して使用される腐食センサ、並びにこれを使用した腐食速度測定方法及び腐食速度測定装置に関する。
金属製の部材の腐食を検出する腐食センサとして、ACM(Atmospheric Corrosion Monitor)型センサ(以下、ACMセンサという)がある(例えば、特許文献1)。ACMセンサは、図5に示すように、数cm角の剛な基板101となる対象金属(炭素鋼板)の上に、絶縁ペースト102をスクリーン印刷・焼成硬化し、さらにその上に基板101との絶縁が保たれるように導電性ペースト(銀等)103を積層印刷・焼成硬化させたもので、炭素鋼板製基板101を底面とするスリット104を複数設けている。
このACMセンサは、評価対象金属(基板101)と絶縁部ならびに導電部が一体となった構造のもので、センサの基板(鋼)101自体が腐食することから自己腐食型の腐食センサと位置付けられている。同センサにおいては、センサの構成部品である基板101と導電性ペースト(銀等)103間に流れる腐食電流を計測機105で測定している。
このACMセンサは、大気環境の腐食性について定性的な比較を行なうために開発されたものであり、検査の対象となる環境中に設置されて使用される。そして、市販品である同センサの基板101の材質は決まっており、例えば鉄塔等の実構造物に用いられている鋼材の化学成分とは同一ではない。
このようなACMセンサを使用して付着海塩量(図6)を求めることができると共に、乾燥期間,結露期間,降雨期間の分別を行うことができる(図7)。図6は、ACMセンサを用いて得られた付着海塩量(横軸)とセンサ出力(縦軸)との関係を各々の対数値で整理した図であり、図中のRHは相対湿度を示している。この図から明らかなように、ACMセンサの出力の対数値は、一定の相対湿度において付着海塩量の対数値にほぼ比例しており、センサ出力から付着海塩量を求めることができる。
また、図7は、ACMセンサの出力(縦軸)を2日間にわたり計測した結果であり、図中のDry,Dew,Rainはそれぞれ乾燥期間、結露期間、降雨期間を示している。この図から、特に降雨期間にはセンサ出力が大幅に増大し、乾燥期間、結露期間、降雨期間の分別をこのセンサを用いて行うことができることがわかる。
特開2001−201451号公報
しかしながら、上記のACMセンサは基板101の腐食による腐食電流を検出するものであり、設定されている大気環境の腐食性の評価には使用できるが、大気環境中に設置されている実構造物そのものの腐食を直接的に求めることはできない。
本発明は、被検査対象物そのものを直接の検査対象にできる腐食センサ、並びにこれを使用した腐食速度測定方法及び腐食速度測定装置を提供することを目的とする。
かかる目的を達成するために、請求項1記載の腐食センサは、結露、降雨、海塩粒子等の電解質物質が原因となって腐食する導電性の部材であって、送電用鋼管鉄塔部材、配電用鋼管柱、道路標識用ポール、信号機用ポール、照明等用ポール等の鋼管類や、送電用鉄塔部材、鋼道路橋、鋼鉄道橋等の鋼製構造部材等の鋼製実構造物を被検査対象物とし、被検査対象物に貼付される可撓性のある絶縁性樹脂フィルムから成る絶縁基板と、絶縁基板上に設けられ、被検査対象物よりも貴な金属で形成されたフレキシブルな露出電極と、露出電極に接続された第1の導通路と、被検査対象物に接続された第2の導通路を備え、被検査対象物と露出電極との間への電解質物質の付着により露出電極と被検査対象物との間に電位差を生じさせ、被検査対象物の腐食に伴う電気信号が第1及び第2の導通路から出力され、実構造物である被検査対象物そのものの腐食を直接的に求めるものである。
また、請求項2記載の腐食センサは、露出電極及び絶縁基板を貫通して被検査対象物を露出させるスリットが設けられているものである。
また、請求項3記載の腐食センサにおいて、絶縁性樹脂フィルムはポリイミドフィルムである。
また、請求項4記載の腐食速度測定方法は、請求項1から3のいずれか1つに記載された腐食センサの出力信号に基づいて単位時間内に流れた腐食電流量を積算すると共に、予め求めた単位時間当たりの腐食電流量と被検査対象物の腐食速度との関係に基づいて被検査対象物の腐食速度を求めるものである。
さらに、請求項5記載の腐食速度測定装置は、請求項1から3のいずれか1つに記載された腐食センサと、第1及び第2の導通路から出力された電気信号を測定し記録する記録装置と、電気信号の経時変化から単位時間内に流れた腐食電流量を積算すると共に、予め求めた単位時間当たりの腐食電流量と被検査対象物の腐食速度との関係に基づいて被検査対象物の腐食速度を求める計算装置を備えるものである。
請求項1記載の腐食センサでは、被検査対象物と絶縁基板上に設けられた露出電極との間で異種金属対が形成され、被検査対象物の腐食に伴う電気信号(腐食電流又は腐食電圧)が第1及び第2の導通路を通じて出力されるので、被検査対象物そのものの腐食を検出することができる。
また、絶縁基板及び露出電極をフレキシブルにしているので、例えば鋼管等のように曲面を有する被検査対象物の表面に接着剤等で貼付けての測定が可能になる。そして、曲面への貼付が可能になることから、曲面を有する被検査対象物の表面のミクロな濡れに対応する腐食現象の測定が可能になる。
例えば、朝−昼−晩の1日の気温変動サイクルに対して、大きな構造物では、温度上昇や降下が雰囲気よりも緩やかで遅れて変動することとなるため、周囲の雰囲気(気温)とは温度差等を生じているのが通常である。雰囲気との温度差を生じていると、例えば、寒い屋外から暖かい室内に入った時に、めがねのガラスが曇るように、ガラス表面に濡れた状態が発生する。その後、時間がたってめがね自体も暖まって温度差がなくなると曇りが消失するのは日常良く見受けられることである。この場合、ずっと屋内にいた状態では、めがねが曇ることはない。即ち、被検査対象物である鋼材の表面と周囲の雰囲気とではミクロな濡れの状況が異なっている。図5のACMセンサは基板101が平板状の剛なセンサであるため、曲面を有する被検査対象物の表面に貼り付けることはできず、被検査対象物表面から離れた雰囲気中での測定しか行えない。これに対して、本腐食センサでは、鋼材表面のミクロな濡れに対応して発生する腐食電流を検出できるという大きな利点がある。
また、請求項2記載の腐食センサでは、露出電極及び絶縁基板を貫通して被検査対象物を露出させるスリットが設けられているので、露出電極の周縁だけでなく、スリットの周縁も電解質物質の付着を検出する位置になり、検出位置を増やして検出感度を向上させることができる。
また、請求項4記載の腐食速度測定方法では、請求項1から3のいずれか1つに記載された腐食センサの出力信号に基づいて単位時間内に流れた腐食電流量を積算すると共に、予め求めた単位時間当たりの腐食電流量と被検査対象物の腐食速度との関係に基づいて被検査対象物の腐食速度を求めるようにしているので、被検査対象物そのものの腐食速度を求めることができると共に、曲面への貼付が可能になり、曲面を有する被検査対象物の表面のミクロな濡れに対応する腐食現象における腐食速度の測定が可能になる。
さらに、請求項5記載の腐食速度測定装置では、請求項1から3のいずれか1つに記載された腐食センサと、第1及び第2の導通路から出力された電気信号を測定し記録する記録装置と、電気信号の経時変化から単位時間内に流れた腐食電流量を積算すると共に、予め求めた単位時間当たりの腐食電流量と被検査対象物の腐食速度との関係に基づいて被検査対象物の腐食速度を求める計算装置を備えているので、被検査対象物そのものの腐食速度を求めることができると共に、曲面への貼付が可能になり、曲面を有する被検査対象物の表面のミクロな濡れに対応する腐食現象における腐食速度の測定が可能になる。
本発明の腐食センサを備える腐食速度測定装置の実施形態の一例を示す概念図である。 同腐食速度測定装置の腐食センサ部分を断面にして示す概念図である。 絶縁基板の平面図である。 露出電極の平面図である。 従来の腐食センサを示し、(A)は使用状態を示す平面図、(B)はその中央の検出部の拡大図、(C)は(B)のC−C線に沿う断面図である。 ACMセンサの特性(付着海塩量とセンサ出力との関係)を示す試験結果である。 ACMセンサの特性(乾燥期間,結露期間,降雨期間とセンサ出力との関係)を示す試験結果である。
以下、本発明の構成を図面に示す形態に基づいて詳細に説明する。
図1〜図4に、本発明の腐食センサ及びこれを使用した腐食速度測定装置の実施形態の一例を示す。先ず最初に腐食センサについて説明する。腐食センサ1は、導電性の被検査対象物2に貼付されるフレキシブルな絶縁基板3と、絶縁基板3上に設けられ、被検査対象物2よりも貴な金属で形成されたフレキシブルな露出電極4と、露出電極4に接続された第1の導通路5と、被検査対象物2に接続された第2の導通路6を備えている。
絶縁基板3は、例えばポリイミドフィルム等の可撓性があり且つ電気を通さない(絶縁性)樹脂によって形成されている。本実施形態では、絶縁基板3をフィルム状のものにしており、被検査対象物2の貼付面が曲面であっても良好に貼付できるようにされているが、必ずしもフィルム状のものには限られない。絶縁基板3は露出電極4を被検査対象物2から絶縁している。
絶縁基板3はセンサ部3aと延長部3bより構成され、これらは一体形成されている。センサ部3aにはスリット7が設けられている。本実施形態ではセンサ部3aの中央にスリット7を設けて当該スリット7を閉じたもの(全周縁が閉じているもの)にしているが、開いたもの(縁の一部が絶縁基板3の縁の一部になっているもの)にしても良い。また、本実施形態ではスリット7を複数設けているが、1本でも良い。さらに、本実施形態では直線状のスリット7を設けているが、スリット7の形状はこれには限られない。
露出電極4はセンサ部4aと導通路接続部4bより構成され、これらは一体形成されている。センサ部4aは絶縁基板3のセンサ部3aと同一形状を成している。したがって、スリット7は露出電極4及び絶縁基板3を貫通するものとなり、被検査対象物2を露出させる。絶縁基板3と露出電極4のセンサ部3a,4aにこれらを貫通するスリット7を設けることで、露出電極4と被検査対象物2とが絶縁基板3を挟んで対向する部分、即ち電解質物質を検出する部分を増やすことができ、検出感度を向上させることができる。ただし、必要とされる検出感度が得られる場合等には、スリット7を設けなくても良い。
本実施形態では、スリット7の幅を1mmにしている。スリット7の幅が狭くなると、センサ自体の大きさをコンパクトにできるメリットはあるが、面積の小さい局所のデータしか得られず、大きな構造物の評価に際して得られた結果の信頼性が乏しくなるというデメリットも出てくる。また、スリット7に海塩粒子とともに、鋼錆やゴミ等が少し付着し検出信号に悪影響を及ぼす原因にもなりやすい。一方、スリット7の幅が1mm以上に大きくなると、鋼錆やゴミ等が多少付着しても測定に支障はなくなり、比較的大きなエリアの平均値として検出信号が得られるメリットはあるが、センサ自体の面積が大きくなるという問題も出てくる。以上の考え方から、本実施形態ではスリット7の幅を1mmとしている。即ち、鋼錆やゴミ等の付着による影響を抑えると共に、比較的大きなエリアの平均値として検出信号が得られるメリットを良好に享受できる範囲で、センサ自体の大きさをできるだけコンパクトにすることができる。ただし、スリット7の幅が1mmでなければ測定できないということはなく、用途により1mmより多少狭くしても広くしてもよい。
露出電極4の導通路接続部4bは絶縁基板3の延長部3bに設けられている。
本実施形態では、絶縁基板3の上面に金属層11を形成し、露出電極4として必要な部分をマスキングした後、不要な部分を例えばエッチングによって除去し、さらに貴金属層12をメッキで設けることで、露出電極4を形成している。金属層11となる金属としては、例えば銅等の電気抵抗の小さな金属の使用が好ましいが、これには限られない。また、貴金属層12となる貴金属としては、例えば金、白金、銀等が考えられるが、これらには限られず、被検査対象物2よりも貴な金属であって電気的導通の良いものであれば使用可能である。また、金属層11の表面に貴金属層12を設ける代わりに、金属層11自体を貴金属で形成しても良い。即ち、露出電極4を貴金属で形成しても良い。
このように、被検査対象物2よりも露出電極4を貴にしている。これは、被検査対象物2の腐食を捉えるために、貴な露出電極4に相対する卑な被検査対象物2側の腐食を優先的に進行させる一方、貴な露出電極4部分の腐食を防止するとともに貴な露出電極4側からの余分な腐食生成物の発生を抑えるためである。また、露出電極4の少なくとも表面を金属にし、腐食による電気信号が得られるように電気的に導通を確保している。
第1の導通路5は、露出電極4の導通路接続部4bに接続されている。第2の導通路6は、被検査対象物2の絶縁基板3の延長部3bに近い部位に接続されている。各導通路5,6は例えば信号ケーブルであるが、これには限られない。
絶縁基板3の厚みは、例えば0.025mm(25μm)であり、露出電極4の厚みは、例えば0.075mm(75μm)である。ただし、これらには限られず、貼付する被検査対象物2の表面の曲面に応じて曲げることができる程度の厚みであれば適宜変更可能である。
被検査対象物2は、露出電極4の貴金属層12よりも卑な金属製のものである。また、絶縁基板3及び露出電極4をフレキシブルにしているので、被検査対象物2が曲面を有しており、この曲面に腐食センサ1を貼付しなければならない場合であっても腐食センサ1を曲面に貼付することができる。例えば、鋼管の内周面に腐食センサ1を貼付することができる。
このように腐食センサ1は曲面への貼付が可能であるので、例えば送電用鋼管鉄塔部材、配電用鋼管柱、道路標識用ポール、信号機用ポール、照明灯用ポール、その他鋼管類のように、目視で直接確認できない中空鋼管内面の腐食モニタリング用の貼付け型腐食センサとしての使用に適している。さらには、送電用鉄塔部材、鋼道路橋や鋼鉄道橋に用いられている直角アングル部材等のように、屈曲面を有する部材であって、屈曲部の凹側に水がたまって腐食しやすい取替え寿命の判断が必要とされるような部材を対象とする腐食モニタリング用の貼付け型腐食センサ1としても使用可能である。
次に、腐食センサ1を使用した腐食速度測定装置8について説明する。なお、記録装置9及び計算装置10は、市販のACMセンサで一般に使用されているのと同様の装置が適用できる。腐食センサ1を腐食速度測定装置8に適用する際の形態について以下に説明する。
腐食速度測定装置8は、腐食センサ1と、第1及び第2の導通路5,6から出力された電気信号を測定し記録する記録装置9と、電気信号の経時変化から単位時間内に流れた腐食電流量を積算すると共に、被検査対象物に貼付けるのと同じ寸法形状の腐食センサを用いて予め求めた単位時間当たりの腐食電流量と被検査対象物2の腐食速度との関係に基づいて被検査対象物2の腐食速度を求める計算装置10を備えている。
一般に、ACMセンサの基板に用いられている鋼材の腐食速度とACMセンサから出力される単位時間当たりの腐食電流量との間には相関関係があることが知られており、単位時間当たりの腐食電流量から腐食速度を求めることができる。例えば、縦軸にACMセンサの基板に用いられている鋼材の腐食速度の対数値をとり、横軸にACMセンサから出力される単位時間当たりの腐食電流量の対数値をとることで、較正曲線を求めることができる。縦軸については、例えば腐食に伴う試験片の1日あたりにおける単位面積当たりの重量減を計る方法、QCM(水晶微量天秤法)による微量な重量減測定方法、あるいはその他の方法で求められる。また、横軸については、例えばACMセンサから出力される1日当たりの腐食電流の値で示される。本発明の腐食センサ1の場合には、上記と同様の方法で被検査対象物2の腐食速度と腐食センサ1から出力される電気信号(腐食電流)の単位面積・単位時間当たりの値(単位時間当たりの腐食電流量)との関係を求め、較正曲線として計算装置10に組み込むことにより被検査対象物2の腐食速度を求めることができる。
腐食センサ1の第1及び第2の導通路5,6は記録装置9に接続されている。腐食センサ1から出力された電気信号は記録装置9によって測定され記憶される。そして、記録装置9による測定値は計算装置10に出力される。
計算装置10は記録装置9からの出力に基づいて単位時間内に流れた腐食電流量を積算する。また、計算装置10には、被検査対象物に貼付けるのと同じ寸法形状の腐食センサを用いて求めた単位時間当たりの腐食電流量と被検査対象物2の腐食速度との関係が予め記憶されている。なお、単位時間当たりの腐食電流量と被検査対象物2の腐食速度との関係は、例えば実験により求められる。計算装置10は、積算した腐食電流量と前記関係とに基づいて被検査対象物2の腐食速度を算出する。
次に、腐食速度測定装置8を使用しての測定について説明する。腐食速度測定方法自体は、市販のACMセンサで一般に使用されているのと同様の方法を適用できる。腐食センサ1を用いた場合の腐食速度測定方法について以下に説明する。被検査対象物2の測定面に腐食センサ1の絶縁基板3を例えば接着剤等を使用して貼り付けると共に、第2の導通路6を腐食センサ1の貼付位置近傍における被検査対象物2測定面に例えば半田付け等により接続する。そして、腐食センサ1の露出電極4の導通路接続部4bに既に接続されている第1の導通路5と第2の導通路6を記録装置9に接続する。
腐食センサ1の露出電極4と被検査対象物2とが絶縁されている初期状態では、露出電極4と被検査対象物2との間に電位は発生せず、電気信号は出力されない。
一方、電解質物質13の付着により露出電極4と被検査対象物2との間が電気的に導通すると、露出電極4と被検査対象物2との間に電位差を生じ、被検査対象物2の腐食に伴う微少な電流i(A)が流れる。即ち、各導通路5,6を介して記録装置9に電気信号が出力される。なお、露出電極4と被検査対象物2との間を導通させる電解質物質13としては、例えば結露、降雨、海塩粒子等の被検査対象物2を腐食させる原因物質である。
記録装置9はこの信号に基づいて例えば腐食電流を測定し記憶すると共に、測定値を計算装置10に出力する。計算装置10は記録装置9からの出力に基づいて単位時間内に流れた腐食電流量を積算し、予め求めて記憶している単位時間当たりの腐食電流量と被検査対象物2の腐食速度との関係に当てはめて被検査対象物2の腐食速度を算出する。計算装置10は算出した腐食速度を記憶しておくと共に、図示しない出力装置に出力する。
なお、上述の形態は本発明の好適な形態の一例ではあるがこれに限定されるものではなく本発明の要旨を逸脱しない範囲において種々変形実施可能である。
例えば、上述の説明では、腐食速度の算出に腐食センサ1から出力される電気信号として腐食電流を利用していたが、記録装置9の設備上の制約から入力可能な信号が電圧である場合には、腐食電流を腐食電流に対応する電圧に変換して記録装置9に記録しても良い。なお、記録した電圧から腐食速度を算出する際には、記録装置9からの電圧出力を計算装置10において逆変換して腐食電流に戻すことによって、上述した腐食センサ1から出力される電気信号として腐食電流を利用する場合と同様の方法で求めることができる。
また、上述の説明では、腐食速度の算出に腐食センサ1を使用していたが、腐食速度の算出には限られない。例えば、降雨時間とミクロな濡れ時間の検出、ミクロな濡れに伴い実際に腐食反応が開始する時間あるいは進行している腐食が停止する時間の検出、腐食反応が進行している合計時間、海塩粒子の付着量の推定等にも使用可能である。
(降雨時間とミクロな濡れ時間の検出)
腐食センサ1の出力の経時変化を調べることにより、降雨による濡れ時間と吸湿や結露に起因するミクロな濡れが生じている時間とを区別でき、各々の濡れ時間を分離して求めることができる。図7は、測定で得られる電気信号の出力の経時変化の例(市販のACMセンサの場合)であるが腐食センサ1を用いた場合にも同様の図が得られる。
例えば図7を例にとると、電気信号の立ち上がり方と出力値の大きさが降雨時と吸湿や結露によるミクロな濡れを生じている時とで異なっていることがわかる。すなわち、降雨による濡れの場合は、急激に電気信号出力が立ち上がるとともに、得られる出力値も非常に大きいのが特徴であるのに対して、吸湿や結露によるミクロな濡れの場合は、温湿度条件の変化に伴って起こるため、緩やかにじわじわと出力値が上昇・変化し、得られる出力値も非常に小さいのが特徴である。
また、出力値の経時変化の図のみで判断しなくても、一般の気象観測に用いられる降雨の測定(雨量計などによる)を別途併行して行なうことで降雨時間を判断し、ミクロな濡れ時間と区別してもよい。
(腐食開始時間・腐食停止時間の検出)
出力された電気信号が0からプラスになった時点を腐食開始時間とし、出力された電気信号がプラスの状態から0になった時点を腐食停止時間と定義することで腐食開始時間ならびに腐食停止時間の検出が可能となる。本願の腐食センサ1においても、図7と同様な電気信号の出力の経時変化を調べることにより、腐食開始時間と腐食停止時間を求めることができる。
(腐食反応が進行している合計時間の算出)
上記の方法に従い、腐食開始時間と腐食停止時間を求め、所定の期間内において腐食が開始してから停止するまでの時間、すなわち、腐食が進行している時間を全て積算することにより、所定の期間内において腐食が実際に進行している合計時間を求めることができる。
(海塩粒子の付着量の推定)
所定量の海塩粒子を腐食センサ1に付着させて被検査対象物2と露出電極4との間を導通させ、海塩粒子の付着量と相対湿度RHとをパラメータとして腐食センサ1の出力と相対湿度RHの関係式を示す較正曲線を予め作成する。例えば図6は、市販のACMセンサの場合の例であるが、相対湿度RH毎に縦軸の腐食電流と横軸の単位面積あたりの海塩粒子付着量との関係を示しており、このような較正曲線を予め作成しておく。較正曲線の作成に際しては、被検査対象物に貼付けるのと同じ寸法形状の腐食センサ1を用いる。
次に、被検査対象物である鋼管の表面に腐食センサを貼付けて測定を行い、腐食センサから得られる電気信号出力と測定位置近傍で別途実測した相対湿度RHの値を前記較正曲線に当てはめることにより、単位面積あたりの海塩粒子付着量が推定できる。
また、上述の説明では、腐食センサ1を曲面に貼付していたが、貼付する面は曲面に限られず、平面であっても適用可能である。
1 腐食センサ
2 被検査対象物
3 絶縁基板
4 露出電極
5 第1の導通路
6 第2の導通路
7 スリット
8 腐食速度測定装置
9 記録装置
10 計算装置
13 電解質物質

Claims (5)

  1. 結露、降雨、海塩粒子等の電解質物質が原因となって腐食する導電性の部材であって、送電用鋼管鉄塔部材、配電用鋼管柱、道路標識用ポール、信号機用ポール、照明等用ポール等の鋼管類や、送電用鉄塔部材、鋼道路橋、鋼鉄道橋等の鋼製構造部材等の鋼製実構造物を被検査対象物とし、
    前記被検査対象物に貼付される可撓性のある絶縁性樹脂フィルムから成る絶縁基板と、 前記絶縁基板上に設けられ、前記被検査対象物よりも貴な金属で形成されたフレキシブルな露出電極と、
    前記露出電極に接続された第1の導通路と、
    前記被検査対象物に接続された第2の導通路を備え、
    前記被検査対象物と前記露出電極との間への電解質物質の付着により前記露出電極と前記被検査対象物との間に電位差を生じさせ、前記被検査対象物の腐食に伴う電気信号が前記第1及び第2の導通路から出力され、実構造物である前記被検査対象物そのものの腐食を直接的に求めること
    を特徴とする腐食センサ。
  2. 前記露出電極及び前記絶縁基板を貫通して前記被検査対象物を露出させるスリットが設けられていることを特徴とする請求項1記載の腐食センサ。
  3. 前記絶縁性樹脂フィルムはポリイミドフィルムであることを特徴とする請求項1又は2に記載の腐食センサ。
  4. 請求項1から3のいずれか1つに記載された腐食センサの出力信号に基づいて単位時間内に流れた腐食電流量を積算すると共に、予め求めた単位時間当たりの腐食電流量と前記被検査対象物の腐食速度との関係に基づいて前記被検査対象物の腐食速度を求めることを特徴とする腐食速度測定方法。
  5. 請求項1から3のいずれか1つに記載された腐食センサと、前記第1及び第2の導通路から出力された電気信号を測定し記録する記録装置と、前記電気信号の経時変化から単位時間内に流れた腐食電流量を積算すると共に、予め求めた単位時間当たりの腐食電流量と前記被検査対象物の腐食速度との関係に基づいて前記被検査対象物の腐食速度を求める計算装置を備えることを特徴とする腐食速度測定装置。
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