JP6058435B2 - オゾン発生装置 - Google Patents
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Description
この原料ガスの導入と並行して誘電体電極と金属電極との間に高圧電源から交流高電圧をヒューズ及び高圧給電端子を介して印加すると、放電ギャップに誘電体バリア放電が形成され、オゾンが発生する。なお、誘電体バリア放電は単にバリア放電、あるいは無声放電と呼ばれることもある。
そして、誘電体電極と金属電極との位置関係について、誘電体電極及び金属電極に曲がりがないものとして、二重管構造の電極ユニットを構成した場合に、誘電体電極及び金属電極の中心軸が一致し、放電ギャップが均一となる(双方が同心となる)場合と、一方が偏心していて誘電体電極及び金属電極の中心軸が一致しておらず互いに平行であり、放電ギャップが直径方向で不均一となる場合と、を考える。
しかし、一方だけが偏心している場合の電極ユニット内のガス流量は、両方が同心の場合と比較して流路抵抗が小さいため、増加する。
特に、多数の放電管を配置してオゾン発生装置を構成する場合には、オゾン濃度の低下並びにオゾン発生効率の低下は無視することができないものとなり得る。
このとき、複数の電極ユニットの少なくとも一部の電極ユニットに設けられた流量調整部材は、対応する電極ユニットにおける原料ガスの流量の基準原料ガス流量に対する流量比が1となるように原料ガスの流路中に設けられている。
ここで、基準原料ガス流量は、高圧電極及び前記低圧電極のいずれもが直管で、前記高圧電極の中心軸及び前記低圧電極の中心軸が一致して作成された電極ユニットにおける原料ガス流量である。
図1は、実施形態のオゾン発生装置の概要構成断面図である。
実施形態のオゾン発生装置10は、誘電体バリア放電式のオゾン発生装置として構成されている。
複数(図1では4本)の電極ユニットEUのうち、原料ガスを流したときの流路抵抗値あるいは流量が所定の条件を満たしていない場合には、流量調整部材(流路抵抗調整部材)31−1、31−2が設けられる。
あるいは、ガラス、セラミックスあるいはステンレスでオリフィス形状を有するものとしてもよい。
なお、この流量調整部材31−1、31−2の機能については、後に詳述する。
上述したように、収納容器12内には、円筒状の誘電体電極17が配置されている。この誘電体電極17の外周面に対向して、突起31により所定の放電ギャップ長dが保たれた状態で円筒状の金属電極18が配置されている。
誘電体電極17は、耐熱性及び耐電圧性を有する誘電体として、熱膨張係数の小さい石英ガラス等で形成された円筒状(試験管状)に形成された円筒状誘電体25を備えている。円筒状誘電体25の内周面には、導電電極(高電位側電極)としての電極皮膜層26が形成されている。この電極皮膜層26には、ヒューズ16を介して高圧電源14に接続された高圧給電端子27が接続されている。
また電極皮膜層26は、金、銀、銅、ステンレス、クロム、錫、亜鉛、ニッケルカーボンあるいはアルミニウムをスパッタリング、溶射、蒸着、無電解メッキ、電解メッキ、塗料塗布などにより形成される。
まず、流量調整部材31−1、31−2の機能について説明するに先立ち、従来の問題点について説明する。
オゾン発生装置10は、電極ユニットEU0と、電極ユニットEU1と、を備えている。
電極ユニットEU0及び電極ユニットEU1は、上述した電極ユニットEUと同様に、誘電体電極17と、金属電極18と、を備えている。
解析モデルMDLは、誘電体電極17と、金属電極18との間の放電ギャップを、微少なオゾン発生器(オゾナイザ)として、断面長方形状で長さLiの複数の直方体領域MOZに分割して表す。
(1)放電ギャップ、圧力こう配から求まる流量
(2)放電ギャップ、印加電圧、駆動周波数から求まる電力密度
(3)原料ガス(今回は空気である)に印加される比エネルギー
そして、複数の直方体量域について得られるオゾンの発生量の総和を計算することで、オゾン発生量、収率を見積る。
まず、電極ユニットEU内の流れシミュレーションを行い(ステップS1)、流速計算式及び圧力差dP/dxを導出する。
さらに、ギャップ測定器GMDにより放電ギャップhiを測定し(ステップS2)、流速計算式及び圧力勾配に相当する圧力差dP/dxに基づいて流速v[m/s]を算出し(ステップS3)、流量Q[Nm3/s]を求める(ステップS4)。
そして、求めた流量及びオゾン濃度からオゾン発生量[g/s]を求める(ステップS8)。
続いて、電力密度及びオゾン発生量からオゾン発生効率[g/kWh]を求める(ステップS9)。
両電極ユニットが電極ユニットEU0で構成されている場合には、図6に示すように、一方の電極ユニットEU0の流量は16.0slm、オゾン濃度40.0g/Nm3、オゾン発生効率67.5g/kWhとなり、2本合計では、32.0slm、オゾン濃度40.0g/Nm3、オゾン発生効率67.5g/kWhとなる。
2本の電極ユニットのうち、一方の電極ユニットが電極ユニットEU0で構成され、他方の電極ユニットが電極ユニットEU1で構成されている場合には、2本の電極ユニットEU0、EU1は、電源に対して、並列接続されているため、印加電圧振幅と周波数は同じである。
そして、原料ガスの投入流量Qnが大きく異なる。
電極ユニットEU1において、誘電体電極17が金属電極18に対して偏心しても流路断面積は電極ユニットEU0の場合と比較して、変化しないが、投入流量Qnが大きく変化していることがわかる。
図8は、電極ユニット1本あたりの流量と、オゾン発生効率との関係を説明するための図である。
図8に示すように、オゾン濃度が低いときは、オゾン発生効率は高い。一方オゾン濃度が高いときは、オゾン発生効率は低い。原料ガスに放電によりエネルギーを与えると酸素がオゾンに変化するが、オゾンが酸素に戻る変化もある。オゾン濃度が高い場合、ガス温度は高くなっている。オゾンが酸素に戻る量は、ガス温度が高いほど多いので、オゾン濃度が高い場合、沢山のオゾンが酸素に戻ることになり、この結果、オゾン発生効率が低くなる。
また、誘電体電極17が金属電極18に対して、偏心している場合は、もともとオゾン発生効率が低い。
図9に示すように、一つの電極ユニットにおいては、原料ガスの流量(投入流量Qn)を操作することで所望のオゾン濃度が得られることがわかる。
図10に示すように、原料ガスの流量(投入流量Qn)を変化させることで、オゾン発生効率が変化することがわかる。
したがって、両者を合わせたオゾン濃度は40g/Nm3となる。しかし両者を合わせたオゾン発生効率は60.3g/kWhとなってしまう。
オゾン発生効率が低下する理由は、電極ユニットEU0では、オゾン濃度が上昇して効率が低下したためと、電極ユニットEU1では、偏心によりもともと効率が低いためである。
したがって、偏心している電極ユニットである電極ユニットEU1の流量を独立に操作することはできない。
図13は、電極ユニットの偏心量と原料ガス流量との関係を計算する場合の計算条件説明図である。
すなわち、偏心側である電極ユニットEU1側の流量を下げることで、偏心側である電極ユニットEU1側が生成するオゾン濃度を上昇させることができるのである。
すなわち、図1に示したように、偏心している電極ユニットEUの金属電極18内に流量調整部材31−1、31−2を挿入し、偏心している電極ユニットEUの流量を下げることができる。
流量調整部材31−1、31−2の流体抵抗R3を適切な値とすることで、Q1とQ2の比を所望の値とできる。
総流量Q=Q1+Q2を所望の値にするときは、差圧ΔPを変化させる。
従来例では、流量比FRは偏心量によって決定されるため、ある値に固定される。今回の場合は、流量比FR=1.375であるが、本実施形態では、流量比を任意の値にすることができる。
従来例において流量比は、流路抵抗により定まる値であるので、一つの値しか持つことはできず流量比FR=1.375であった。この結果、オゾン発生効率は60.30g/kWhに留まった。
すなわち、基準原料ガス流量に基づいて、流量調整部材31−1、31−2の流体抵抗値を、それぞれの電極ユニットEUを流れ出るガスの流量がすべて等しくなるように調整すれば、オゾン発生効率を最大限に引き出すことができるのである。
ガスを流す電力(右目盛)に注目する。
これに対し、本実施形態では、流量調整部材31−1、31−2を入れるため、ガスを流す電力は上昇し、流量比FR=1のとき1.427Wに上昇する。従って、ガスを流す電力の増加量は、
1.427−1.177=0.250W
である。
従って、流量調整部材31−1、31−2を入れる前と比較して電力の増加率は、
0.250/1114.6×100=0.022[%]
となる。
すなわち、オゾン生成電力は、ガスを流す電力の500倍であり、ガスを流す電力はほとんど無視できる。
図18に示すように、原料ガスを流す動力を考慮した場合のオゾン発生効率は、原料ガスを流す動力を考慮しない場合と比較して、原料ガスを流す動力が非常に小さいため、考慮しない場合とその効果はほとんど変わらない。
11 オゾン発生装置本体
12 収納容器
13 高圧碍子
14 高圧電源
15 接続板
16 ヒューズ
17 誘電体電極
18 金属電極
18A 金属電極集合体
19 冷却水流路
21 冷却水入口
22 冷却水出口
23 ガス入口
24 ガス出口
25 円筒状誘電体
26 電極皮膜層
27 高圧給電端子
31 突起
31−1、31−2 流量調整部材
d 放電ギャップ長
EU、EU0、EU1 電極ユニット
Claims (3)
- 円筒状の高圧電極及び前記高圧電極に対して二重管を構成するように配置された円筒状の低圧電極を有し、前記高圧電極と前記低圧電極との間のギャップに原料ガスを流すとともに、誘電体を介して所定の高電圧を印加して放電させ、放電によりオゾンを発生させる複数の電極ユニットと、
前記複数の電極ユニットの少なくとも一部の電極ユニットに設けられ、対応する電極ユニットにおける前記原料ガスの流量の基準原料ガス流量に対する流量比が1となるように前記原料ガスの流路中に設けられた流量調整部材と、を備え、
前記基準原料ガス流量は、前記高圧電極及び前記低圧電極のいずれもが直管で、前記高圧電極の中心軸及び前記低圧電極の中心軸が一致して作成された電極ユニットにおける原料ガス流量である、
オゾン発生装置。 - 前記流量調整部材は、前記基準原料ガス流量に対して所定の流量比未満の電極ユニットに設けられている、
請求項1記載のオゾン発生装置。 - 全ての前記電極ユニットにおける前記原料ガスの流量が前記基準原料ガス流量に対して、所定のガス流量範囲内に収まるようにされている、
請求項1又は請求項2記載のオゾン発生装置。
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