本発明に基づいた各実施の形態および各実施例について、以下、図面を参照しながら説明する。各実施の形態および各実施例の説明において、個数および量などに言及する場合、特に記載がある場合を除き、本発明の範囲は必ずしもその個数およびその量などに限定されない。各実施の形態および各実施例の説明において、同一の部品および相当部品に対しては、同一の参照番号を付し、重複する説明は繰り返さない場合がある。特に制限が無い限り、各実施の形態に示す構成および各実施例に示す構成を適宜組み合わせて用いることは、当初から予定されていることである。
[実施の形態1]
(炊飯器100)
図1を参照して、本実施の形態における炊飯器100について説明する。炊飯器100は、たとえば家庭用または業務用の調理器具の一つとして用いられる。炊飯器100は、本体10、内鍋20、蓋体30、加熱部40、温度センサ42、制御部44、回転体50、および、駆動機構80を備える。
詳細は後述されるが、回転体50は、撹拌部材70(可動部材)を含む。撹拌部材70は、回転体50の回動軸55に回動可能に軸支された第1端部71と、第1端部71とは反対側に位置する第2端部72と、第1端部71および第2端部72の間に位置する撹拌部73とを有する。撹拌部材70は、回転体50が回転することによって、回転体50と共に回転軸90の周りに回転する。
本体10は、内鍋20を収容する。本体10は、外ケース11と、外ケース11の内側に配置される内ケース(図示せず)とを含む。この内ケースは、耐熱性および電気絶縁性を有する材料から形成される。この内ケースは、内鍋20を保持する。内鍋20は、磁性材を含むクラッド材から成型される。内鍋20の上部には開口が設けられ、この開口の縁には環状のフランジ部20aが設けられる。内鍋20の中には、米およびまたは水などの被撹拌物(図示せず)が収容される。
蓋体30は、本体10の上部に取り付けられ、内鍋20の開口を開閉する。蓋体30は、外蓋31および内蓋32を含む。外蓋31は、本体10によって支持され、本体10に支持された部分を中心として回動する。外蓋31の内鍋20側には、凹部31aが設けられる。凹部31aには、駆動側カップリング85(詳細は後述される)が収容される。
内蓋32は、外蓋31の内鍋20側に配置され、外蓋31に対して着脱可能なように取り付けられる。内蓋32は、外周縁部32aと、挿通孔32b(図3および図4参照)と、蒸気穴(図示せず)とを有する。内蓋32の外周縁部32aは、たとえば耐熱性を有する弾性材から形成される。内蓋32の外周縁部32aと内蓋32の外周縁部32a以外の部分とは、互いに異なる材料から形成されるとよい。
蓋体30が内鍋20の開口を閉じたとき、内蓋32の外周縁部32aは内鍋20のフランジ部20aの上面に密着する。外周縁部32aとフランジ部20aとの間はシールされ、その間からおねば(御粘)などが流出することは抑制される。内鍋20内で発生した蒸気は、上記の蒸気穴(図示せず)を通して炊飯器100の外部に排出される。
加熱部40、温度センサ42、および制御部44は、本体10の中の下側に配置される。加熱部40は、たとえば誘導コイルから構成され、内鍋20を誘導加熱する。加熱部40は、内鍋20を抵抗加熱式で加熱してもよい。温度センサ42は、内鍋20の温度を検知する。制御部44は、外ケース11と内ケースとの間の空間内に配置される。制御部44は、加熱部40による誘導加熱量を制御したり、モータ81(詳細は次述される)による回転駆動力を制御したりする。
駆動機構80は、モータ81、小プーリ82、ベルト83、大プーリ84、および、駆動側カップリング85を含む。モータ81、小プーリ82、ベルト83、大プーリ84、および、駆動側カップリング85は、外蓋31内に配置される。
モータ81は、回転軸81aを有する。小プーリ82は、回転軸81aに固定される。ベルト83は、小プーリ82の外周の一部と、大プーリ84の外周の一部とに巻回される。大プーリ84は、駆動側カップリング85に連結される。モータ81の回転駆動力は、小プーリ82、ベルト83および大プーリ84を通して、駆動側カップリング85に伝達される。
小プーリ82、ベルト83および大プーリ84が回転駆動力を伝達するとき、モータ81の回転軸81aの回転速度に比べて、駆動側カップリング85の回転速度は遅くなる。モータ81の回転軸81aの回転速度に対する駆動側カップリング85の回転速度の比は、小プーリ82の大きさおよびまたは大プーリ84の大きさを変更することにより、任意の値に調整される。
駆動側カップリング85は、略カップ形状を有する。駆動側カップリング85の内面には、凹凸が設けられる。駆動側カップリング85は、外蓋31の内鍋20側に設けられた凹部31a内に収容される。駆動側カップリング85内には、回転体50の被駆動側カップリング54c(詳細は後述される)が嵌入される。駆動側カップリング85内に被駆動側カップリング54cが嵌入されることによって、内蓋32および回転体50は蓋体30に取り付けられる。
(回転体50)
図2は、炊飯器100に用いられる回転体50の内部構造を示す斜視図である。図1および図2に示すように、回転体50は、枠体51,52(図1参照)、伝達機構53,54、回動軸55、および、撹拌部材70を含む。図示上の便宜のため、図2には、枠体51,52が記載されていない。回転体50は、蓋体30の内蓋32側に配置され、回転軸90の周りに回転する。
図1に示すように、枠体52は、収容部52aおよび起立ストッパ52bを有する。収容部52aおよび起立ストッパ52bは、たとえば耐熱性を有する弾性材から形成される。収容部52a内には、撹拌部材70の第1端部71と、回動軸55とが配置される。撹拌部材70の第1端部71は、回動軸55によって、内鍋20に対向する面59Sにおいて回動可能に軸支される。
撹拌部材70の撹拌部73は、第1端部71を中心に回動することによって、回転体50の回転軸90に対して略平行な起立状態S1と、回転体50の回転軸90に対して略垂直な倒伏状態S2とを選択的に形成することができる。
図1中において点線で示されるように、撹拌部材70の撹拌部73が起立状態S1を形成しているとき、撹拌部材70の第1端部71は、枠体52の起立ストッパ52bに当接する。撹拌部材70の第2端部72は、回転体50の枠体51(回転体50のうちの内鍋20に対向する面59S)から離れ、内鍋20の底部近傍に配置される。
図1中において実線で示されるように、撹拌部材70の撹拌部73が倒伏状態S2を形成しているとき、撹拌部材70の第1端部71と枠体52の起立ストッパ52bとの間には、隙間が形成される。撹拌部材70の第1端部71は、枠体52の起立ストッパ52bに当接しない。撹拌部材70の第2端部72は、回転体50の枠体51(回転体50のうちの内鍋20に対向する面59S)に近接した位置に配置される。
撹拌部材70の撹拌部73が起立状態S1を形成しているとき、撹拌部73は、第1端部71から第2端部72に近づくにつれて回転軸90に近くなり、撹拌部73と水平面91(回転面)とのなす角度θ1は、90°以下であるとよい。より好ましくは、角度θ1は、80°以上85°以下であるとよい。角度θ1は、第1端部71の形状、およびまたは、起立ストッパ52bの形状などを調節することによって、任意の値に設定されることができる。
図2に示すように、回転体50の伝達機構53は、伝達軸53aおよびマイタ歯車53b〜53dを有する。回転体50の伝達機構54は、伝達軸54a、マイタ歯車54b、および、被駆動側カップリング54cを有する。
伝達機構53の伝達軸53aは、枠体51(図1参照)と枠体52(図1参照)との間に配置される。伝達軸53aは、伝達機構54の伝達軸54aに対して略直交している。マイタ歯車53bは、伝達軸53aの一端部に設けられ、伝達機構54のマイタ歯車54bに歯合する。マイタ歯車53cは、伝達軸53aの他端部に設けられ、マイタ歯車53dに歯合する。マイタ歯車53dは、回動軸55の一端部に固定される。
伝達機構54の伝達軸54aは、枠体51(図1参照)を貫通し、枠体51,52(図1参照)に対して回転することができる。マイタ歯車54bは、伝達軸54aの中央部に設けられる。被駆動側カップリング54cは、伝達軸54aの一端部に設けられる。被駆動側カップリング54cの上面(外蓋31側の面)には、凹凸が設けられる。被駆動側カップリング54cに設けられた凹凸は、駆動側カップリング85(図1参照)の内面に設けられた凹凸に噛み合う。
撹拌部材70の第1端部71には、切り欠き部71a(図2参照)が設けられる。回動軸55の中央部は、切り欠き部71a内に着脱可能に嵌入される。回動軸55が回転すると、撹拌部材70は回動軸55を中心に回動する。モータ81(図1参照)から伝達された動力を受けて、回動軸55は回動する。回動軸55の回動によって、撹拌部材70の撹拌部73は、起立状態S1および倒伏状態S2を選択的に形成することができる(詳細は図5および図6を参照して後述される)。
図3は、内蓋32および回転体50の下方側を示す斜視図である。図3においては、内蓋32が外蓋31(図1参照)から取り外され、且つ、回転体50が内蓋32から取り外された状態が示されている。図4は、内蓋32および回転体50の上方側を示す斜視図である。図4においては、内蓋32が外蓋31(図1参照)から取り外され、回転体50が内蓋32から取り外され、且つ、撹拌部材70が回転体50の枠体51から取り外された状態が示されている。図示上の便宜のため、図3および図4の中の内蓋32には、上記の蒸気穴は図示されていない。
図3および図4に示すように、内蓋32には、挿通孔32bが設けられる。挿通孔32bには、被駆動側カップリング54c(図4参照)が挿通される。回転体50は、Oリングなどのシール材(図示せず)を含み、水が回転体50の内部に入らないような構造を有する。回転体50は、内蓋32に対して着脱可能に構成される。回転体50が内蓋32から取り外された状態で、回転体50は容易に洗浄されることができる。
回転体50の外側の表面には、非粘着性処理(たとえばフッソコート処理)が施されている。回転体50の内側の表面にも、回転体50の外側の表面と同様の非粘着性処理が施されている。非粘着性処理が施されるによって、回転体50は容易に洗浄されることができる。
撹拌部材70の撹拌部73が倒伏状態S2を形成しているとき、撹拌部73の一部は、回転体50のうちの内鍋20に対向する面59S(図3参照)から突出する。上述のとおり、撹拌部材70は、切り欠き部71a(図4参照)内に回動軸55(図2参照)の中央部を嵌入することで、回動軸55と連結されている。
撹拌部材70の撹拌部73が倒伏状態S2を形成しているとき、回転体50の回転軸90(図1参照)に対して略平行な方向であって、且つ、回転体50の回動軸55から離れる方向に撹拌部材70を移動させることにより、回動軸55から撹拌部材70を容易に取り外すことができる。回動軸55から取り外された状態で、撹拌部材70は容易に洗浄されることができる。
図5は、撹拌部材70の撹拌部73が倒伏状態S2を形成しているときの回転体50を示す斜視図である。図6は、撹拌部材70の撹拌部73が起立状態S1を形成しているときの回転体50を示す斜視図である。
図5に示す状態において、モータ81(図1参照)からの動力を受けた被駆動側カップリング54cが矢印R方向に回転すると、マイタ歯車54bも矢印R方向に回転する。マイタ歯車54bが矢印R方向に回転すると、マイタ歯車53b、伝達軸53a、マイタ歯車53cおよびマイタ歯車53dも枠体52に対して回転する。撹拌部材70は、第2端部72が回転体50のうちの内鍋20(図1等参照)に対向する面59Sから離れる方向に回動する。撹拌部材70が回動しているとき、回転体50は内蓋32(図1等参照)に対して静止した状態となる。
図6に示すように、撹拌部材70の第1端部71が起立ストッパ52bに当接することによって、撹拌部材70の回動が停止する。マイタ歯車53b、伝達軸53a、マイタ歯車53cおよびマイタ歯車53dは、枠体52に対して回転不可能となる。
この状態で、被駆動側カップリング54cおよびマイタ歯車54bが矢印R方向に回転すると、回転体50が内蓋32(図1等参照)に対して矢印AR1方向(第1回転方向)に回転する。撹拌部材70は、起立状態S1を形成した状態で、回転体50と共に回転軸90(図1参照)の周りに矢印AR1方向(第1回転方向)に回転駆動される。撹拌部材70は、内鍋20(図1参照)に収容された被撹拌物を撹拌することが可能となる。
図6に示す状態において、モータ81(図1参照)からの動力を受けた被駆動側カップリング54cが矢印L方向に回転すると、マイタ歯車54bも矢印L方向に回転する。マイタ歯車54bが矢印L方向に回転すると、マイタ歯車53b、伝達軸53a、マイタ歯車53cおよびマイタ歯車53dも枠体52に対して回転する。撹拌部材70は、第2端部72が回転体50のうちの内鍋20(図1等参照)に対向する面59Sに近づく方向に回動する。撹拌部材70が回動しているとき、回転体50は内蓋32(図1等参照)に対して静止した状態となる。
図5に示すように、撹拌部材70の第2端部72が回転体50のうちの内鍋20(図1等参照)に対向する面59Sに当接することによって、撹拌部材70の回動が停止する。マイタ歯車53b、伝達軸53a、マイタ歯車53cおよびマイタ歯車53dは、枠体52に対して回転不可能となる。
この状態で、被駆動側カップリング54cおよびマイタ歯車54bが矢印L方向に回転すると、回転体50が内蓋32(図1等参照)に対して矢印AR2方向(第2回転方向)に回転する。撹拌部材70は、倒伏状態S2を形成した状態で、回転体50と共に回転軸90(図1参照)の周りに矢印AR2方向(第2回転方向)に回転する。このとき、撹拌部材70は、内鍋20(図1参照)に収容された被撹拌物を撹拌しない。
(撹拌部材70)
図7および図8を参照して、本実施の形態における撹拌部材70について詳細に説明する。図7は、撹拌部材70を示す斜視図である。図8は、図7中におけるVIII−VIII線に沿った矢視断面図である。図8中に示される矢印AR1は、図5および図6中に示される矢印AR1に対応しており、撹拌部材70の回転方向(第1回転方向)を示している。図9以降の図面中に示される矢印AR1も、図5および図6中に示される矢印AR1に対応しており、撹拌部材70の回転方向(第1回転方向)を示している。図9以降の図面中に示される矢印AR2も、図5および図6中に示される矢印AR2に対応しており、撹拌部材70の他の回転方向(第2回転方向)を示している。
図7に示すように、撹拌部材70(可動部材)は、第1端部71と、第1端部71とは反対側に位置する第2端部72と、第1端部71および第2端部72の間に位置する撹拌部73(可動部)と、を備える。撹拌部材70の材料には、耐熱性を有する樹脂が用いられるとよい。耐熱性を有する樹脂とは、たとえばPOM(ポリアセタール)またはフッソ系樹脂である。
上述のとおり、第1端部71には、切り欠き部71aが形成される。第1端部71は、回転体50(図2等参照)の回動軸55(図2等参照)によって回動可能に軸支される。撹拌部73は、撹拌用前縁部74を有する。撹拌用前縁部74は、起立状態S1を形成している撹拌部材70が矢印AR1方向(図6および図8参照)に回転するときに、撹拌部材70の回転方向(矢印AR1方向)の最も前方側に位置する。
図8は、回転軸90(図1参照)に対して直交する断面における撹拌部73の断面形状を示している。図8に示すように、撹拌部材70の撹拌部73は、回転半径方向の外側に位置する外側面73aと、回転半径方向の内側に位置する内側面73bと、撹拌部材70が被撹拌物を撹拌する際の回転方向(矢印AR1方向)の後側に位置する後端面73cと、を有する。
本実施の形態における撹拌部材70の断面形状は、直角三角形の形状を有する。撹拌部材70の断面形状は、台形の形状を有していてもよい。外側面73aと後端面73cとの間の角度A1は、90°であり、外側面73aと内側面73bとの間の角度A2は、30°である。外側面73aと内側面73bとの間には、前端部74aが形成され、前端部74aに形成される内角は鋭角となっている。
前端部74aは、撹拌用前縁部74(図7参照)に対応しており、撹拌部材70が被撹拌物を撹拌する際の回転方向(矢印AR1方向)の最も前方側に位置している。前端部74aから後端面73cに向かって、中心線73dが仮想的に形成される。撹拌部材70に形成される中心線73dは、外側面73aおよび内側面73bの間に形成される角の二等分線である。
図9を参照して、撹拌部材70の回転軸90を中心とし且つ前端部74aを通る仮想円74bを描いたとする。仮想円74bは、回転軸90を中心とする半径R90の円である。仮想円74bの前端部74aには、接線74cが形成される。本実施の形態における撹拌部材70においては、上記の中心線73dの前端部74aを通るように、接線方向直線73eが形成される。
本実施の形態の撹拌部材70においては、中心線73dが直線状に形成されるため、中心線73dと、中心線73dの前端部74aにおける接線方向直線73eとは、同一直線上に形成されている。前端部74aにおける接線方向直線73eは、仮想円74bの前端部74aにおける接線74cに対して、回転方向(矢印AR1方向)の前方側において回転半径方向の内側を向いている。
図10を参照して、接線方向直線73eは、仮想円74bの前端部74aにおける接線74cに対して、回転方向(矢印AR1方向)の前方側において角度A3が5°以上50°以下となるような範囲で回転半径方向の内側を向いているとよい。この理由については後述の実験例3において説明する。本実施の形態の撹拌部材70においては、外側面73aも、回転方向(矢印AR1方向)に対して回転半径方向の内側を向いている。
図11に示す撹拌部材70Aのように、前端部74aから延びる中心線73dは、曲線状に形成されていてもよい。この場合の中心線73dは、中心線73dと外側面73aとの間の半径方向の幅、および、中心線73dと内側面73bとの間の半径方向の幅が、前端部74aから回転方向の後ろ側にまでわたって同一となるように形成される。接線方向直線73eは、このように形成された中心線73dの前端部74aにおける接線として形成される。
(作用および効果)
図12〜図14を参照して、撹拌部材70(および撹拌部材70A)に形成される接線方向直線73eが上記のように回転半径方向の内側を向いていることによって、次のような効果が得られる。
図12は、回転体50(図示せず)と共に回転する撹拌部材70が矢印AR1方向(第1回転方向)に回転し、米92および水93などの被撹拌物を撹拌しているときの様子を模式的に示す図である。図13は、撹拌部材70が被撹拌物を撹拌しているときの撹拌部材70の周囲の様子を模式的に示す第1図である。図14は、撹拌部材70が被撹拌物を撹拌しているときの撹拌部材70の周囲の様子を模式的に示す第2図である。
図12および図13に示すように、撹拌部材70が矢印AR1方向に回転して米92および水93を撹拌する際、撹拌部材70の撹拌部73の回転半径方向の外側には、回転半径方向の内側から外側に広がるような流れが形成され(図13中の矢印AR10参照)、撹拌部材70の撹拌部73の回転半径方向の内側には、ほぼ周方向に沿うような流れが形成される(図13中の矢印AR11参照)。このとき、撹拌部材70の前端部74a(図8参照)に形成される内角が鋭角となっているため、米92および水93は、撹拌部材70の表面に沿って滑らかに流れることができる。
図13中の領域R10に示すように、撹拌部材70の撹拌部73の回転半径方向の外側においては、撹拌部材70の進行に対して適度な抵抗となるような流れが形成される。領域R10においては、撹拌部材70の進行方向に対して回転半径方向の外側の斜め後方向に向かう遠心力も発生する。領域R10の付近の流れは、回転半径方向の内側から外側に及んで且つ外向きに形成され、この流れによる流体力は、米92および水93に発生する遠心力と協働する。撹拌部材70の米92および水93に対する撹拌能力は、効果的に高められることができる。
本実施の形態の撹拌部材70は、外側面73a(図10参照)も、回転方向(矢印AR1方向)に対して回転半径方向の内側を向いているため、撹拌部材70の米92および水93に対する撹拌能力は、より一層高められることができる。
図12および図14に示すように、撹拌部材70の外側に矢印AR10方向の流れが形成され、撹拌部材70の内側に矢印AR11方向の流れが形成されることによって、撹拌部材70の回転方向の後ろ側には、これらの流れ(矢印AR10,AR11)の間を通るように、整流された新たな流れが形成される(矢印AR12)。
図12に示すように、この新たな流れ(矢印AR12)は、略放射状の形状を有し、回転半径方向の内側から外側に向かって回転半径を徐々に拡大するように流れる。整流されたこの新たな流れ(矢印AR12)は、内鍋20の中心付近に存在している米92を巻き込みながら流れるとともに、内鍋20の壁面付近に存在している米92をも巻き込むように流れる。内鍋20の中心付近から内鍋20の壁面付近にまで及ぶ流れが発生し、撹拌部材70が持つ運動エネルギーは、被撹拌物の全体に伝わる。
本実施の形態の撹拌部材70においては、撹拌部材70の撹拌部73が起立状態S1を形成しているとき、撹拌部73と水平面91とのなす角度θ1(図1参照)は、90°以下である。より好ましくは、角度θ1は80°以上85°以下である。撹拌部材70は、内鍋20内の中心付近の米92および水93だけでなく、内鍋20の壁面付近の米92および米92に対しても、効果的に運動エネルギーを付与することができる。内鍋20の高さと内鍋20の直径との比率に応じて、最適な角度θ1の値が得られる。深さの比較的浅い内鍋20が用いられる場合、角度θ1を小さく設定し、深さの比較的深い内鍋20が用いられる場合、角度θ1を90°に近づけるように設定するとよい。
新たな流れ(矢印AR12)が水93に滑らかな流体力を及ぼし、その流れに乗った米92同士の衝突は、効果的に抑制される。内鍋20の壁面付近に存在していた米92は、元々存在していた位置に停留することなく、撹拌部材70の撹拌によって水93とともに良好に撹拌されることが可能となる(矢印AR13参照)。内鍋20の中心付近に存在している米92も、元々存在していた位置に停留することなく、撹拌部材70の撹拌によって水93とともに良好に撹拌されることが可能となる(矢印AR14参照)。
したがって本実施の形態における撹拌部材70は、内鍋20内に収容された被撹拌物の全体に及ぶような流れを形成することができ、被撹拌物の全体をより均一に撹拌することが可能となる。撹拌部材70によれば、被撹拌物の全体を均一に撹拌するまでに要する時間を短縮することができ、撹拌に要する消費エネルギーを低減することも可能となる。撹拌部材70は回転体50から取り外し可能であるので、内鍋20内の被加熱物に応じて、最適な撹拌が行えるような形状を有する他の撹拌部材に付け換えてもよい。
本実施の形態における炊飯器100によれば、図6の状態において、モータ81(図1参照)の回転動力によってマイタ歯車54bを矢印L方向に回転させることによって、撹拌部材70を回動させて図5に示すような倒伏状態S2にすると、蓋体30を開くとき、撹拌部材70が引っ掛からないので、蓋体30を容易に開くことができる。撹拌部材70が蓋体30の開放を阻害するのを防ぐことができる。
図5の状態において、モータ81(図1参照)の回転動力によってマイタ歯車54bを矢印R方向に回転させることによって、撹拌部材70を回動させて図6に示すような起立状態S1にすることができる。モータ81の回転動力によってマイタ歯車54bを矢印R方向に回転させることによって、起立状態S1の撹拌部材70を回転体50と一体に回転させることができるので、この回転する起立状態S1の撹拌部材70で内鍋20内の例えば米および水を撹拌して、十分な洗米を行うこともできる。
炊飯器100には、モータ81が1つ設けられる。この1つのモータ81によって、撹拌部材70の回動と、撹拌部材70および回転体50の回転とを行える。したがって、撹拌部材70の回動用モータと、撹拌部材70および回転体50の回転用モータとを別々に設ける場合に比べて、炊飯器100は蓋体30を小さくすることができる。炊飯器100の高さを低減することが可能となる。
炊飯器100の駆動機構80では、マイタ歯車54b〜マイタ歯車53dなどによって、撹拌部材70が回動したり、回転体50が回転したりする。駆動機構80と同様の動作を撹拌部材70および回転体50にさせることができるのであれば、マイタ歯車54b〜マイタ歯車53d以外の歯車、または他の動力伝達機構によって、撹拌部材70が回動したり、回転体50が回転したりするようにしてもよい。
撹拌部材70によって、たとえば炊飯時の予熱工程(内鍋20内の温度を約60℃前後にする運転)において内鍋20内のたとえば米および水を撹拌することにより、内鍋20内の温度を均一にすることができる。米への給水ムラを防止することが可能となり、内鍋20内において糖化酵素が活発に作用する温度帯(約60℃前後)が米の全体に対して影響することとなり、全糖増加効果が得られる。
予熱工程の次に行われる立ち上げ工程においては、でんぷんの糊化が開始される。撹拌部材70による撹拌は、炊飯液の粘度を過度に上昇させたり、内鍋20内の熱伝達を悪化させたりする場合がある。立ち上げ工程に入る前に、モータ81の回転動力によってマイタ歯車54bを矢印L方向に回転させることによって、撹拌部材70を回動させて倒伏状態S2にするとよい。
撹拌部材70が倒伏状態S2を形成した後はモータ81を停止させてもよいが、さらに美味なる米飯を得るための手段として、モータ81の駆動を継続して、倒伏状態S2の撹拌部材70を回転体50と一体に回転させてもよい。回転体50に接触したおねばが遠心力を受けて下降して内鍋20内に戻りやすくなる。その結果、内鍋20内の米のアルファ化が促進して、旨み成分が多い美味なる御飯が得られる。おねばの噴きこぼれが抑制されるため、高火力での炊飯を行って、炊飯時間を短くすることもできる。
倒伏状態S2の撹拌部材70は、回転体50の内鍋20に対向する面59Sから内鍋20側にほとんど突出していない。倒伏状態S2の撹拌部材70の一部または全部は、回転体50の内鍋20に対向する面59Sから突出していてもよい。炊飯液の沸騰時、回転体50の内鍋20側の表面から突出した撹拌部材70の一部がおねばに接触して外力を付与することによって、おねばの泡を物理的に破壊することができる。その結果、おねばの噴きこぼれを抑制でき、米のアルファ化を確実に促進させることができる。
実施の形態1において、洗米時、起立状態S1の撹拌部材70が回転体50と一体に連続的に回転するようにしてもよいし、あるいは、洗米時、起立状態S1の撹拌部材70が回転体50と一体に間欠的に回転するようにしてもよい。洗米時の撹拌は、連続的および間欠的のどちらであってもよい。
(比較例1)
図15および図16を参照して、実施の形態1に係る比較例1における撹拌部材70Z1について説明する。図16に示すように、撹拌部材70Z1においては、中心線73dの前端部74aにおける接線方向直線73eが、仮想円74bの前端部74aにおける接線74cと同一直線上に形成されている。撹拌部材70Z1の接線方向直線73eは、上述の実施の形態1における撹拌部材70とは異なり、回転半径方向の内側を向いていない。撹拌部材70Z1の接線方向直線73eは、回転方向(矢印AR1方向)に一致している。
図15および図16に示すように、撹拌部材70Z1が矢印AR1方向に回転して米92および水93を撹拌する際、矢印AR15(図15参照)に示すような同心円状の流れが形成される。撹拌部材70Z1の撹拌部73の回転半径方向の外側に、撹拌部材70Z1の進行に対して適度な抵抗となるような流れは形成されない。米92および水93は、撹拌部材70Z1の撹拌部73の表面を滑るように流れる。撹拌部材70Z1は、米92の間をかき分けるように(すり抜けるように)進み、撹拌部材70Z1が持つ運動エネルギーは、被撹拌物には伝わりにくい。
米92および水93に対する撹拌能力は、上述の実施の形態1における撹拌部材70に比べて撹拌部材70Z1の方が低い。撹拌部材70Z1が米92および水93を撹拌する際、内鍋20の中心付近に存在している米92、および、内鍋20の壁面付近に存在している米92は、元々存在していた位置に停留しやすくなる。したがって比較例1における撹拌部材70Z1は、内鍋20内に収容された被撹拌物の全体に及ぶような流れを形成することはできず、被撹拌物の全体を均一に撹拌することも難しい。撹拌部材70Z1では、撹拌量にムラがあるため、炊きあがり具合にムラが生じる恐れがある。
(比較例2)
図17および図18を参照して、実施の形態1に係る比較例2における撹拌部材70Z2について説明する。図18に示すように、撹拌部材70Z2においては、撹拌部73の断面形状が正方形状に形成される。中心線73dの前端部74aにおける接線方向直線73eは、仮想円74bの前端部74aにおける接線74cと同一直線上に形成されている。撹拌部材70Z2の接線方向直線73eは、上述の実施の形態1における撹拌部材70とは異なり回転半径方向の内側を向いておらず、回転方向(矢印AR1方向)に一致している。
図17および図18に示すように、撹拌部材70Z2が矢印AR1方向に回転して米92および水93を撹拌する際、矢印AR16(図17参照)に示すような同心円状の流れが形成される。撹拌部材70Z2の撹拌部73の回転半径方向の外側に、撹拌部材70Z2の進行に対して適度な抵抗となるような流れは形成されない。
一方で、撹拌部材70Z2の前端部74a側の面に対する抵抗は過大となって、撹拌に要するエネルギーが増大する。撹拌時には水面が乱れやすく、飛散したとぎ汁等が内鍋20の壁面または内蓋32などに付着してしまうことも考えられる。撹拌部材70Z2の前端部74a側の面では、米92が撹拌されずにそのまま搬送され、米92同士が衝突して米92に割れが発生したり、栄養素が米92の表面から剥離したりする恐れもある。撹拌部材70Z2の前端部74a側とは反対側の面でも、乱流が形成され、米92同士が衝突して米92に割れが発生したり、栄養素が米92の表面から剥離したりする恐れがある。
米92および水93に対する撹拌能力は、上述の実施の形態1における撹拌部材70に比べて撹拌部材70Z2の方が低い。撹拌部材70Z2が米92および水93を撹拌する際、内鍋20の中心付近に存在している米92、および、内鍋20の壁面付近に存在している米92は、元々存在していた位置に停留しやすくなる。したがって比較例2における撹拌部材70Z2は、内鍋20内に収容された被撹拌物の全体に及ぶような流れを形成することはできず、被撹拌物の全体を均一に撹拌することも難しい。撹拌部材70Z2では、撹拌量にムラがあるため、炊きあがり具合にムラが生じる恐れがある。
(比較例3)
図19および図20を参照して、実施の形態1に係る比較例3における撹拌部材70Z3について説明する。図20に示すように、撹拌部材70Z3においては、撹拌部73の断面形状が円形状に形成される。中心線73dの前端部74aにおける接線方向直線73eは、仮想円74bの前端部74aにおける接線74cと同一直線上に形成されている。撹拌部材70Z3の接線方向直線73eは、上述の実施の形態1における撹拌部材70とは異なり回転半径方向の内側を向いておらず、回転方向(矢印AR1方向)に一致している。
図19および図20に示すように、撹拌部材70Z3が矢印AR1方向に回転して米92および水93を撹拌する際、矢印AR17(図19参照)に示すような同心円状の流れが形成される。撹拌部材70Z3の撹拌部73の回転半径方向の外側に、撹拌部材70Z3の進行に対して適度な抵抗となるような流れは形成されない。
米92および水93に対する撹拌能力は、上述の実施の形態1における撹拌部材70に比べて撹拌部材70Z3の方が低い。撹拌部材70Z3が米92および水93を撹拌する際、内鍋20の中心付近に存在している米92、および、内鍋20の壁面付近に存在している米92は、元々存在していた位置に停留しやすくなる。したがって比較例3における撹拌部材70Z3は、内鍋20内に収容された被撹拌物の全体に及ぶような流れを形成することはできず、被撹拌物の全体を均一に撹拌することも難しい。撹拌部材70Z3では、撹拌量にムラがあるため、炊きあがり具合にムラが生じる恐れがある。
(比較例4)
図21および図22を参照して、実施の形態1に係る比較例4における撹拌部材70Z4について説明する。図22に示すように、撹拌部材70Z4の断面形状は、上述の実施の形態1における撹拌部材70と同様な直角三角形状に形成される。一方で、撹拌部材70Z4においては、中心線73dの前端部74aにおける接線方向直線73eが、仮想円74bの前端部74aにおける接線74cに対して、回転方向(矢印AR1方向)の前方側において回転半径方向の外側を向いている。撹拌部材70Z4の接線方向直線73eは、上述の実施の形態1における撹拌部材70とは異なり回転半径方向の内側を向いておらず、回転半径方向の外側を向いている。
図21および図22に示すように、撹拌部材70Z4が矢印AR1方向に回転して米92および水93を撹拌する際、矢印AR18(図21参照)に示すような流れが形成される。図22中の領域R11に示すように、撹拌部材70Z4の撹拌部73の回転半径方向の外側に、回転半径方向の内側から外側に向かって回転半径を徐々に拡大するように流れる流れが形成される。一方で、撹拌部材70Z4の前端部74a側の面に対する抵抗は過大となって、撹拌に要するエネルギーが増大する。撹拌時には水面が乱れやすく、飛散したとぎ汁等が内鍋20の壁面または内蓋32などに付着してしまうことも考えられる。
図21中の領域R12に示すように、回転半径方向の内側から外側に向かって回転半径を徐々に拡大するように流れる流れの速度が速いために、米92は流体力および遠心力の作用を受けて内鍋20の壁面に衝突し、米92に割れが発生したり、栄養素が米92の表面から剥離したりする恐れがある。内鍋20の中心付近に存在している米92、および、内鍋20の壁面付近に存在している米92は、元々存在していた位置に停留しやすい。したがって比較例4における撹拌部材70Z4は、内鍋20内に収容された被撹拌物の全体に及ぶような流れを形成することは難しく、被撹拌物の全体を均一に撹拌することも難しい。撹拌部材70Z4では、撹拌量にムラがあるため、炊きあがり具合にムラが生じる恐れがある。
(実験例1)
図23を参照して、上述の実施の形態1における撹拌部材70(図7等参照)を2本用いて水93を撹拌した。実験例1として、このときの水93の流速に関する実験を行なった。撹拌部材70の回転速度は、170rpmに設定した。上記の角度A3(図10参照)の値は、30°に設定した。図23は、内鍋20の底面から30mmの高さ位置における平面内の水93の速度分布を測定したシミュレーション結果を示している。
図23に示されるように、撹拌部材70を用いた場合、水93の流速の早い領域は、撹拌部材70から撹拌部材70の回転方向の後ろ側にまでわたって長く延びるように形成された。水93の流速の早い領域は、回転半径方向についても広く広がるように形成された。内鍋20の中心付近でも、ある程度の流速を有する水93の流れが形成された。実験例1の結果から、撹拌部材70は、内鍋20内に収容された被撹拌物の全体に及ぶような流れを形成することができ、被撹拌物の全体をより均一に撹拌することが可能となることがわかる。
(実験例2)
図24を参照して、上述の比較例1における撹拌部材70Z1を2本用いて水93を撹拌した。実験例2として、このときの水93の流速に関する実験を行なった。撹拌部材70Z1の回転速度は、170rpmに設定した。上記の角度A3(図10参照)の値は、0°に設定した。図24は、内鍋20の底面から30mmの高さ位置における平面内の水93の速度分布を測定したシミュレーション結果を示している。
図24に示されるように、撹拌部材70Z1を用いた場合、水93の流速の早い領域は、撹拌部材70Z1から撹拌部材70Z1の回転方向の後ろ側にごく短く延びるように形成された。水93の流速の早い領域は、回転半径方向についてはほとんど広がらないように形成された。内鍋20の中心付近では、遅い流速を有する流れが形成された。全体的な水93の流速は、上述の実験例1に比べて本実験例2の方が遅くなった。実験例2の結果から、撹拌部材70Z1は、内鍋20内に収容された被撹拌物の全体に及ぶような流れを形成することはできず、被撹拌物の全体を均一に撹拌することは困難であることがわかる。
(実験例3)
図25〜図28を参照して、実験例3について説明する。実験例3では、上述の実施の形態1における撹拌部材70(図7等参照)と同様の形状を有する撹拌部材を用いて米92および水93を撹拌した。米92の量および水93の量は、3合相当のものを準備した。撹拌部材の回転速度は、170rpmに設定した。
図25は、上記の角度A3(図10参照)の値を0°〜±180°の範囲内で変化させたときの、撹拌部材の米92に対する撹拌能力を測定した結果を示している。0°<角度A3<180°の場合、上記の接線方向直線73e(図10参照)は回転半径方向の内側を向いている。−180°<角度A3<0°の場合、上記の接線方向直線73e(図10参照)は回転半径方向の外側を向いている。図25中の縦軸で示される撹拌能力は、全ての被撹拌物が撹拌されて、全ての被撹拌物が内鍋20内で移動する場合が1.0として示されている。この数値が高い程、被撹拌物はよく撹拌されていることを意味する。
図25に示される結果から、角度A3が5°以上115°以下の場合、70%以上の被撹拌物が撹拌され、角度A3が20°以上80°以下の場合、80%以上の被撹拌物が撹拌され、角度A3が30°以上66°以下の場合、90%以上の被撹拌物が撹拌され、角度A3が40°以上60°以下の場合、95%以上の被撹拌物が撹拌されていることが分かる。
図26は、上記の角度A3(図10参照)の値を0°〜±180°の範囲内で変化させたときの、撹拌部材が米92を撹拌するために必要なパワーを測定した結果を示している。図26中の縦軸で示されるパワーは、角度A3が0°のとき(換言すると、撹拌部材70の接線方向直線73e(図10参照)が回転の進行方向と一致しているとき)、1.0の基準値として示されている。図26中の縦軸で示されるパワーは、その基準値に対する相対値が示されている。この数値が高い程、撹拌部材が被撹拌物を撹拌するために必要なパワーが大きいことを意味する。
図26に示される結果から、撹拌部材が被撹拌物を撹拌するために必要なパワーは、0°<角度A3<180°の場合(接線方向直線73eが回転半径方向の内側を向いている場合)の方が、−180°<角度A3<0°の場合(接線方向直線73eが回転半径方向の外側を向いている場合)に比べて大きくなることがわかる。
図27は、上記の角度A3(図10参照)の値を0°〜±180°の範囲内で変化させたときの、撹拌部材の撹拌効率を示している。撹拌効率は、図25で示した撹拌能力を図26で示したパワーで除することにより算出した値である。この数値が高い程、撹拌部材70はエネルギー効率良く被撹拌物を撹拌できているこを示している。
角度A3の最適値を得るに際しては、撹拌部材70が被撹拌物を効率良く撹拌しているという点と、最低限の撹拌能力(図25参照)が確保されているという点との双方が考慮される。図25に示される撹拌能力が70%を超えている角度範囲(5°以上115°以下)の中で、図27において高い撹拌効率(70%以上)が得られている角度範囲は、5°以上50°以下である。
図28は、上記の角度A3(図10参照)の値を0°〜±180°の範囲内で変化させたときの、米92および米92同士の衝突回数、ならびに、米92および内鍋20同士の衝突回数を示している。縦軸の衝突回数は、全ての米92が、米92若しくは内鍋20に衝突するとき、1.0の基準値として示されている。この数値が高い程、米92の衝突回数が多いことを意味する。衝突回数が多いと、米92は破壊されやすくなる。図28に示される結果から、0°<角度A3<50°の場合、衝突回数は0.03以下となり、被撹拌物である米92に対して優しい撹拌が行われていることがわかる。
図25〜図28に示される結果から、撹拌能力が高く、小さなパワーで、効率良く撹拌でき、且つ、衝突回数が少なくなるような角度A3の値は、5°以上50°以下であることがわかる。したがって、接線方向直線73e(図10参照)は、仮想円74bの前端部74aにおける接線74cに対して、回転方向(矢印AR1方向)の前方側において角度A3が5°以上50°以下となるような範囲で回転半径方向の内側を向いているとよいことがわかる。
[実施の形態2]
(撹拌部材70B)
図29を参照して、本実施の形態における撹拌部材70Bについて説明する。撹拌部材70Bは、上述の実施の形態1における炊飯器100(図1参照)と同様な炊飯器、または、上述の実施の形態1における回転体50(図2等参照)と同様な回転体に適用されることができる。
撹拌部材70Bにおいては、撹拌部73の断面形状が、回転方向(矢印AR1方向)の途中部分から回転方向(矢印AR1方向)の反対側に向かうにつれて、回転半径方向の幅が徐々に小さくなるように形成されている。内側面73bと後端面73cとの間には、内側面73bと後端面73cとの間を円弧状に接続する曲面部73rが形成されている。撹拌部材70Bの撹拌部73の断面形状は、曲面部73rにおいて、回転方向(矢印AR1方向)の反対側に向かうにつれて回転半径方向の幅が徐々に小さくなるように形成されている。撹拌部73の回転方向(矢印AR1方向)の前方側の部分における被撹拌物との接触面積は、撹拌部材70Bと上述の実施の形態1における撹拌部材70とでほとんど変わりはない。
撹拌部材70Bにおいては、回転方向の後ろ側の部分に大きな曲率半径を有する曲面部73rが設けられている。曲面部73rが設けられることにより撹拌部73の断面積は小さくなるものの、米92および水93に対する撹拌能力は、撹拌部材70Bと上述の実施の形態1における撹拌部材70とでほとんど変わりはない。一方で、撹拌部材70Bの回転方向の後ろ側の部分が米92および水93から受ける抵抗は、曲面部73rが設けられていることによって低減される。撹拌部材70Bの撹拌部73の回転半径方向の内側を流れる流れ(矢印AR11)は、より滑らかに形成される。撹拌に要する消費エネルギーを低減することが可能となる。
撹拌部材70Bの回転方向の後ろ側においては、より整流された流れが形成される。撹拌効率も高まり、水流の全体をより均一に撹拌することが可能となる。米92同士が衝突して米92に割れが発生したり、栄養素が米92の表面から剥離したりすることも、より一層抑制することが可能となる。
(比較例5)
図30を参照して、実施の形態2に係る比較例5の撹拌部材70について説明する。撹拌部材70は、上述の実施の形態1における撹拌部材70(図13参照)と同様に構成される。撹拌部材70は、上述の実施の形態2における撹拌部材70Bとは異なり、曲面部73r(図29参照)が設けられていない。
撹拌部材70が矢印AR1方向に回転して米92および水93を撹拌する際、撹拌部材70の撹拌部73の回転半径方向の外側には、回転半径方向の内側から外側に広がるような流れが形成され(図30中の矢印AR10参照)、撹拌部材70の撹拌部73の回転半径方向の内側には、ほぼ周方向に沿うような流れが形成される(図30中の矢印AR11参照)。
しかしながら、撹拌部材70の回転方向の後ろ側の部分が米92および水93から受ける抵抗は、上述の実施の形態2における撹拌部材70Bに比べて高くなる。撹拌部材70の撹拌に要する消費エネルギーは、上述の実施の形態2における撹拌部材70Bに比べて増加する。したがって、上述の実施の形態2における撹拌部材70Bのように、曲面部73rが回転方向の後ろ側の部分に設けられていることが好ましい。
(比較例6)
図31を参照して、実施の形態2に係る比較例6の撹拌部材70Z1について説明する。撹拌部材70Z1は、上述の実施の形態1に係る比較例1の撹拌部材70Z1(図16参照)と同様に構成される。撹拌部材70Z1も、上述の実施の形態2における撹拌部材70Bとは異なり、曲面部73r(図29参照)が設けられていない。
撹拌部材70Z1の回転方向の後ろ側の部分が米92および水93から受ける抵抗は、上述の実施の形態2における撹拌部材70Bに比べて高くなる。撹拌部材70Z1の撹拌に要する消費エネルギーは、上述の実施の形態2における撹拌部材70Bに比べて増加する。撹拌部材70Z1の回転方向とは反対側の面では、米92同士が衝突して米92に割れが発生したり、栄養素が米92の表面から剥離したりする恐れもある。したがって、上述の実施の形態2における撹拌部材70Bのように、曲面部73rが回転方向の後ろ側の部分に設けられていることが好ましい。
[実施の形態3]
図32を参照して、本実施の形態における撹拌部材70Cについて説明する。撹拌部材70Cは、上述の実施の形態1における炊飯器100(図1参照)と同様な炊飯器、または、上述の実施の形態1における回転体50(図2等参照)と同様な回転体に適用されることができる。撹拌部材70Cにおいては、撹拌部73の第2端部72寄りの部分が、第2端部72に向かうにつれて太さが細くなるようにテーパー状に形成されている。
第2端部72の近傍は、撹拌部73と被撹拌物との境界である。第2端部72の近傍では、大きな圧力差が発生しやすい。撹拌部材70Cによれば、このような圧力差が生じることを抑制できる。撹拌部材70Cによれば、この圧力差に起因して流れの乱れが発生することを効果的に抑制することが可能となる。米92同士が衝突して米92に割れが発生したり、栄養素が米92の表面から剥離したりすることも効果的に抑制される。
撹拌部73の第1端部71寄りの部分の断面形状が直角三角形状に形成され、撹拌部73の第2端部72寄りの部分に近づくにつれて、太さが徐々に細くなるとともに、断面形状が直角三角形状から丸形状に徐々に近づくように形成されていてもよい。圧力差に起因して流れの乱れが発生することを一層効果的に抑制することが可能となる。
[実施の形態4]
図33を参照して、本実施の形態における撹拌部材70Dについて説明する。撹拌部材70Dは、上述の実施の形態1における炊飯器100(図1参照)と同様な炊飯器、または、上述の実施の形態1における回転体50(図2等参照)と同様な回転体に適用されることができる。撹拌部材70Dにおいては、撹拌部73の表面に、ディンプル形状若しくは微細なリブ形状を有する凹凸が形成されている。
撹拌部材70Dによれば、撹拌部73が被撹拌物から受ける抵抗を低減することが可能となる。米92および水93は、撹拌部材70Dの表面に沿って滑らかに流れることができ、撹拌に要する消費エネルギーを低減することも可能となる。撹拌部材70Dによれば、表面の凹凸形状を利用して、物理的におねばを効率的に破壊することも可能である(おねばについては実施の形態15以降において詳述する)。
[実施の形態5]
図34を参照して、本実施の形態における撹拌部材70Eについて説明する。撹拌部材70Eは、上述の実施の形態1における炊飯器100(図1参照)と同様な炊飯器、または、上述の実施の形態1における回転体50(図2等参照)と同様な回転体に適用されることができる。撹拌部材70Eにおいては、撹拌部73の第2端部72側の部分が回転方向の後ろ側に向かって薄く円弧状に膨出しており、全体としての外形形状が略杓文字形状に形成されている。
撹拌部材70Eによれば、撹拌部材70Eが回転体50(図2等参照)に対して着脱可能に構成されることにより、撹拌部材70Eを回転体50から取り外し、ご飯をよそうことができる。撹拌部材70Eによれば、使用者にとっての利便性を向上させることが可能となる。
[実施の形態6]
図35〜図37を参照して、本実施の形態における撹拌部材70Fについて説明する。図35は、撹拌部材70Fを示す第1斜視図である。図36は、撹拌部材70Fを示す第2斜視図である。図37は、図35中のXXXVII−XXXVII線に沿った矢視断面図である。撹拌部材70Fは、上述の実施の形態1における炊飯器100(図1参照)と同様な炊飯器、または、上述の実施の形態1における回転体50(図2等参照)と同様な回転体に適用されることができる。
図35〜図37に示すように、撹拌部材70Fにおいては、撹拌部73の第2端部72寄りの部分に、第2端部72に向かうにつれて回転半径方向の内側に向かって延在する延在部75が形成されている。本実施の形態の撹拌部材70Fにおいては、延在部75が、第2端部72に近づくにつれて湾曲するように形成されている(図35および図36参照)。延在部75は、第2端部72に近づくにつれてL字状に屈曲するように形成されていてもよい。
撹拌部材70Fの延在部75は、内鍋20の中心付近に存在している被撹拌物、および、内鍋20の底付近に存在している被撹拌物を撹拌することができる。撹拌部材70Fによれば、被撹拌物に対する撹拌能力を向上させることができる。
内鍋20の中心付近および内鍋20の底付近では、遠心力の作用を受けた水93が、米92に先行するように回転半径方向の外側に移動しようとする。仮に、延在部75が設けられていない場合には、撹拌された水93から流体力を受けて回転を開始するべき米92に、その流体力が付与されにくくなる。延在部75が設けられていない場合、撹拌部材70Fに比べて内鍋20の中心付近に存在している被撹拌物、および、内鍋20の底付近に存在している被撹拌物を撹拌することが困難となる。撹拌部材70Fは、被撹拌物の量が少ない場合に有効に用いられることができる。
延在部75が第2端部72に近づくにつれて湾曲していることによって、撹拌部73が被撹拌物から受ける抵抗を低減することが可能となる。米92および水93は、撹拌部材70Fの表面に沿って滑らかに流れることができ、撹拌に要する消費エネルギーを低減することも可能となる。
撹拌部材70Fにおいては、撹拌部73の第2端部72寄りの部分が、第2端部72に向かうにつれて太さが細くなるようにテーパー状に形成されている。
図38に示される撹拌部材70Gのように、撹拌部73の第2端部72寄りの部分は、第2端部72に向かうにつれて太さが細くなるようにテーパー状に形成されていなくてもよい。撹拌部材70Gの延在部75も、撹拌部材70Fの延在部75と同様に、内鍋20の中心付近に存在している被撹拌物、および、内鍋20の底付近に存在している被撹拌物を効果的に撹拌することができる。
[実施の形態7]
図39〜図42を参照して、本実施の形態における撹拌部材70Hについて説明する。撹拌部材70Hは、上述の実施の形態1における炊飯器100(図1参照)と同様な炊飯器、または、上述の実施の形態1における回転体50(図2等参照)と同様な回転体に適用されることができる。
図39は、撹拌部材70Hを示す斜視図である。図40は、図39中のXL−XL線に沿った矢視断面図である。図41は、撹拌部材70Hが内鍋20内に配置された状態を示す図である。図42は、撹拌部材70Hが被撹拌物を撹拌しているときの様子を示す斜視図である。
図39および図40に示すように、撹拌部材70Hは、後縁部74Dと、上述の各実施の形態の撹拌部材と同様な撹拌用前縁部74とを有する。本実施の形態における後縁部74Dは、上述の実施の形態1における撹拌部材70(図8参照)の後端面73c(図8参照)に相当している。後縁部74Dは、起立状態S1(図1等参照)を形成している撹拌部材70Hが矢印AR1方向に回転するときに、撹拌部材70Hの回転方向(矢印AR1方向)の最も後方側に位置する。後縁部74Dのうちの第2端部72寄りの部分74Dnは、後縁部74Dのうちの第1端部71寄りの部分74Dmに比べて回転方向(矢印AR1方向)の後方側に位置している。撹拌用前縁部74は、起立状態S1(図1等参照)を形成している撹拌部材70Hが矢印AR1方向に回転するときに、撹拌部材70Hの回転方向(矢印AR1方向)の最も前方側に位置する。撹拌用前縁部74のうちの第2端部72寄りの部分74nは、撹拌用前縁部74のうちの第1端部71寄りの部分74mに比べて回転方向(矢印AR1方向)の後方側に位置している。
図40に示すように、撹拌部材70Hにおいては、回転軸90(図41等参照)に対して直交する断面における撹拌部73のうちの第2端部72寄りの部分の断面形状は、撹拌用前縁部74に形成される内角(角度A10)が鋭角となっている。
図41に示すように、撹拌部材70Hにおいては、撹拌部73の第2端部72寄りの部分に、第2端部72に向かうにつれて回転半径方向の内側に向かって延在する延在部75がさらに形成されている。回転軸90に対して平行な方向から延在部75の延在方向(矢印DR75方向)を見た場合、延在部75の回転中心(回転軸90)と、延在方向(矢印DR75方向)における延在部75の基端75Tとを結ぶように、基準線L10が形成される。延在方向(矢印DR75方向)と基準線L10とのなす角度A11(後退角)は、0°以上90°以下であるとよい。好ましくは、角度A11(後退角)は、5°以上50°以下であるとよい。この理由については後述の実験例4において説明する。
0°<角度A11<180°のとき、換言すると、延在部75の延在方向(矢印DR75方向)が領域RE10の範囲内に含まれるとき、撹拌部材70Hは「後退翼」を形成しているということができる。この場合、延在部75は、第2端部72に近づくにつれて第2回転方向(矢印AR1とは反対の矢印AR2方向(図5および図6等参照))の前方側に向かうように延在している。−180°<角度A11<0°のとき、換言すると、延在部75の延在方向(矢印DR75方向)が領域RE20の範囲内に含まれるとき、撹拌部材70Hは「前進翼」を形成しているということができる。
図42に示すように、撹拌部材70Hが矢印AR1方向(第1回転方向)に回転して被撹拌物(米92および水)を撹拌するとき、撹拌部材70Hの被撹拌物に対する撹拌領域は、次述する比較例7,8の場合に比べて大きくなる。さらに、撹拌部73の第2端部72寄りの部分74n,74Dnには、流体摩擦抵抗が減少することに起因して安定した流れが形成される。この部分74n,74Dnが被撹拌物から受ける抵抗は、後退角が形成されていない撹拌部材、および、前進翼が形成されている撹拌部材に比べて減少する。
撹拌部材70Hの第2端部72寄りの部分の近傍を流れる米92および水は、撹拌部材70Hの表面に沿って滑らかに流れることができる。撹拌部材70Hが被撹拌物を傷つけてしまう可能性は、大幅に低減される。撹拌に要する消費エネルギーを低減することも可能となる。
なお、撹拌用前縁部74のうちの第2端部72寄りの部分74nが、撹拌用前縁部74のうちの第1端部71寄りの部分74mに比べて回転方向(矢印AR1方向)の後方側に位置していない場合であっても、換言すると、撹拌用前縁部74が次述する比較例7(図43参照)の撹拌用前縁部74と同様に形成される場合などであっても、後縁部74Dのうちの第2端部72寄りの部分74Dnが、後縁部74Dのうちの第1端部71寄りの部分74Dmに比べて回転方向(矢印AR1方向)の後方側に位置していることによって、撹拌部73の第2端部72寄りの部分74Dnには、流体摩擦抵抗が減少することに起因して安定した流れが形成される。この部分74Dnが被撹拌物から受ける抵抗は、後退角が形成されていない撹拌部材、および、前進翼が形成されている撹拌部材に比べて減少する。撹拌部材70Hの第2端部72寄りの部分の近傍を流れる米92および水は、撹拌部材70Hの表面に沿って滑らかに流れることができる。撹拌部材70Hが被撹拌物を傷つけてしまう可能性は、大幅に低減される。撹拌に要する消費エネルギーを低減することも可能となる。
上述のとおり、撹拌部材70Hには、第2端部72に向かうにつれて回転半径方向の内側に向かって延在する延在部75が設けられている。内鍋20の中心付近に存在している被撹拌物、および、内鍋20の底付近に存在している被撹拌物を撹拌することができる。撹拌部材70Hによれば、被撹拌物に対する撹拌能力を向上させることができる。
(比較例7)
図43を参照して、実施の形態7に係る比較例7の撹拌部材70Z6について説明する。撹拌部材70Z6は、上述の実施の形態7における撹拌部材70Hとは異なり、延在部75を有していない。撹拌部材70Z6は、第1端部71から第2端部72までにわたって棒状に形成されている。回転方向(矢印AR1方向)においては、後縁部74Dのうちの第2端部72寄りの部分74Dnと、後縁部74Dのうちの第1端部71寄りの部分74Dmとは、同じ位置(同一直線上)に配置され、さらに、撹拌用前縁部74のうちの第2端部72寄りの部分74nと、撹拌用前縁部74のうちの第1端部71寄りの部分74mとは、同じ位置(同一直線上)に配置されている。
撹拌部材70Z6が矢印AR1方向(第1回転方向)に回転して被撹拌物(米92および水)を撹拌するとき、撹拌部材70Z6の撹拌領域は小さい。第2端部72の近傍では部分的な乱流が形成されやすくなり、米92同士が衝突して一部の米92に割れが発生したり、栄養素が米92の表面から剥離したりする恐れがある。
(比較例8)
図44を参照して、実施の形態7に係る比較例8の撹拌部材70Z7について説明する。撹拌部材70Z7は、上述の実施の形態7における撹拌部材70Hとは異なり、前進翼が形成されている。後縁部74Dのうちの第2端部72寄りの部分74Dnは、後縁部74Dのうちの第1端部71寄りの部分74Dmに比べて回転方向(矢印AR1方向)の前方側に位置し、さらに、撹拌用前縁部74のうちの第2端部72寄りの部分74nは、撹拌用前縁部74のうちの第1端部71寄りの部分74mに比べて回転方向(矢印AR1方向)の前方側に位置している。
撹拌部材70Z7が矢印AR1方向(第1回転方向)に回転して被撹拌物(米92および水)を撹拌するとき、第2端部72の近傍では部分的な乱流が形成されやすくなり、米92同士が衝突して一部の米92に割れが発生したり、栄養素が米92の表面から剥離したりする恐れがある。撹拌部材70Z7が倒伏状態S2を形成する際には、被撹拌物を掬い上げたり、跳ね上げたりすることも考えられる。
[実施の形態8]
図45を参照して、本実施の形態における撹拌部材70Jについて説明する。撹拌部材70Jは、上述の実施の形態1における炊飯器100(図1参照)と同様な炊飯器、または、上述の実施の形態1における回転体50(図2等参照)と同様な回転体に適用されることができる。
撹拌部材70Jは、上述の実施の形態7における撹拌部材70H(図41参照)と同様の構成を有する。撹拌部材70Jにおいては、上述の後退角としての角度A11(図41参照)が、45°に設定される。撹拌部材70Jが矢印AR1方向(第1回転方向)に回転して被撹拌物(米および水)を撹拌するとき、撹拌部材70Jの被撹拌物に対する撹拌領域は、上述の比較例7,8の場合に比べて大きくなる。図45中に示される領域R30は、撹拌部材70Jが矢印AR1方向(第1回転方向)に回転して被撹拌物(米および水)を撹拌するときの、撹拌部材70Jの通過面積を示している。
(比較例9)
図46を参照して、実施の形態8に係る比較例9の撹拌部材70について説明する。撹拌部材70は、上述の実施の形態1における撹拌部材70(図13参照)と同様に構成される。撹拌部材70は、上述の実施の形態8における撹拌部材70Jとは異なり、後縁部74Dのうちの第2端部72(図示せず)寄りの部分と、後縁部74Dのうちの第1端部71(図示せず)寄りの部分とは、回転方向(矢印AR1方向)において同じ位置(同一直線上)に配置され、さらに、撹拌用前縁部74のうちの第2端部72(図示せず)寄りの部分と、撹拌用前縁部74のうちの第1端部71(図示せず)寄りの部分とは、回転方向(矢印AR1方向)において同じ位置(同一直線上)に配置されている。
撹拌部材70は、上述の実施の形態8における撹拌部材70Jとは異なり、延在部75も有していない。撹拌部材70は、第1端部71(図示せず)から第2端部72(図示せず)までにわたって棒状に形成されている。
撹拌部材70が矢印AR1方向(第1回転方向)に回転して被撹拌物(米および水)を撹拌するとき、撹拌部材70の被撹拌物に対する撹拌領域は、上述の実施の形態8の場合に比べて小さくなる。図46中に示される領域R31は、撹拌部材70が矢印AR1方向(第1回転方向)に回転して被撹拌物(米および水)を撹拌するときの、撹拌部材70の通過面積を示している。
領域R31の面積は、上述の実施の形態8における領域R30(図45参照)に比べて小さい。上述の実施の形態8における撹拌部材70J(図45参照)の方が、比較例9の撹拌部材70に比べて高い撹拌能力を有しているといえる。
[実施の形態9]
図47および図48を参照して、本実施の形態における撹拌部材70Kについて説明する。撹拌部材70Kは、上述の実施の形態1における炊飯器100(図1参照)と同様な炊飯器、または、上述の実施の形態1における回転体50(図2等参照)と同様な回転体に適用されることができる。
撹拌部材70Kは、上述の実施の形態7における撹拌部材70H(図41参照)と同様の構成を有する。撹拌部材70Kにおいては、上述の後退角としての角度A11(図41参照)が、5°に設定される。撹拌部材70Kが矢印AR1方向(第1回転方向)に回転して被撹拌物(米および水)を撹拌するとき、撹拌部材70Kの被撹拌物に対する撹拌領域は、上述の実施の形態8の場合に比べて大きくなる。図48中に示される領域R32は、撹拌部材70Kが矢印AR1方向(第1回転方向)に回転して被撹拌物(米および水)を撹拌するときの、撹拌部材70Kの通過面積を示している。
領域R32の面積は、上述の実施の形態8における領域R30(図45参照)に比べて大きい。本実施の形態における撹拌部材70Kの方が、上述の実施の形態8における撹拌部材70J(図45参照)に比べて高い撹拌能力を有しているといえる。
(実験例4)
図49〜図58を参照して、実験例4について説明する。実験例4では、図49および図50に示される撹拌部材70L1、図51および図52に示される撹拌部材70L2、ならびに、図53および図54に示される撹拌部材70L3を用いて米および水を撹拌した。米の量および水の量は、3合相当のものを準備した。撹拌部材の回転速度は、170rpmに設定した。詳細は次述されるが、撹拌部材70L1および撹拌部材70L2は、配置位置のみが異なっており、撹拌部材70L1および撹拌部材70L3は、延在部75の延在方向のみが異なっている。
(撹拌部材70L1)
図49および図50を参照して、撹拌部材70L1は、第2端部72寄りの部分に延在部75を有する。撹拌部材70L1の延在部75は、第2端部72に向かうにつれて回転半径方向の内側に向かって延在している。撹拌部材70L1の第1端部71寄りの部分は、断面形状が直角三角形状に形成される。直角三角形状に形成された部分は、撹拌部材70L1の長手方向の2/3の長さにわたって形成されている。延在部75は、撹拌部材70L1の長手方向の1/3の長さにわたって形成されている。撹拌部材70L1は、直角三角形状に形成された部分の三角形の重心位置が、内鍋20の半径の1/2のところに常に位置するように配置されている。
延在部75の延在方向の角度値を、図49中の0°〜180°の範囲内で変化させて、撹拌部材70L1の被撹拌物に対する撹拌能力(図55中の線SL1)、および、撹拌部材70L1が被撹拌物を撹拌するために必要なパワー(図56中の線SL1)を測定した。角度値が0°のとき、延在部75の延在方向は、撹拌部材70L1の進行方向(回転方向)に一致していることを意味している。便宜上、上記の撹拌能力の値および上記のパワーの値には、上述の実施の形態1における接線方向直線等による影響は含まれていない。
得られた撹拌能力を得られたパワーで除することにより、撹拌効率を算出した(図57中の線SL1)。さらに、撹拌部材70L1を第2回転方向(矢印AR1とは反対方向)に回転させ、撹拌部材70L1を起立状態S1から倒伏状態S2に変化させた。このとき、内鍋20の壁面等に向かって跳ね上げられ(掬い上げられ)、内鍋20の壁面などに付着したままとなったお米の割合を測定した(図58中の線SL1)。
(撹拌部材70L2)
図51および図52を参照して、撹拌部材70L2も、第2端部72寄りの部分に延在部75を有する。撹拌部材70L2の延在部75も、第2端部72に向かうにつれて回転半径方向の内側に向かって延在している。撹拌部材70L2の第1端部71寄りの部分は、断面形状が直角三角形状に形成される。直角三角形状に形成された部分は、撹拌部材70L2の長手方向の2/3の長さにわたって形成されている。延在部75は、撹拌部材70L2の長手方向の1/3の長さにわたって形成されている。撹拌部材70L2は、直角三角形状に形成された部分の三角形の重心位置が、上述の撹拌部材70L1(図49参照)よりも回転半径方向の外側に常に位置するように配置されている。
延在部75の延在方向の角度値を、図51中の0°〜180°の範囲内で変化させて、撹拌部材70L2の被撹拌物に対する撹拌能力(図55中の線SL2)、および、撹拌部材70L2が被撹拌物を撹拌するために必要なパワー(図56中の線SL2)を測定した。角度値が0°のとき、延在部75の延在方向は、撹拌部材70L2の進行方向(回転方向)に一致していることを意味している。便宜上、上記の撹拌能力の値および上記のパワーの値には、上述の実施の形態1における接線方向直線等による影響は含まれていない。
得られた撹拌能力を得られたパワーで除することにより、撹拌効率を算出した(図57中の線SL2)。さらに、撹拌部材70L2を第2回転方向(矢印AR1とは反対方向)に回転させ、撹拌部材70L2を起立状態S1から倒伏状態S2に変化させた。このとき、内鍋20の壁面等に向かって跳ね上げられ、内鍋20の壁面などに付着したままとなったお米の割合を測定した(図58中の線SL2)。
(撹拌部材70L3)
図53および図54を参照して、撹拌部材70L3も、第2端部72寄りの部分に延在部75を有する。撹拌部材70L3の延在部75は、第2端部72に向かうにつれて回転半径方向の外側に向かって延在している。撹拌部材70L3の第1端部71寄りの部分は、断面形状が直角三角形状に形成される。直角三角形状に形成された部分は、撹拌部材70L3の長手方向の2/3の長さにわたって形成されている。延在部75は、撹拌部材70L3の長手方向の1/3の長さにわたって形成されている。撹拌部材70L3は、直角三角形状に形成された部分の三角形の重心位置が、内鍋20の半径の1/2のところに常に位置するように配置されている。
延在部75の延在方向の角度値を、図53中の0°〜180°の範囲内で変化させて、撹拌部材70L3の被撹拌物に対する撹拌能力(図55中の線SL3)、および、撹拌部材70L3が被撹拌物を撹拌するために必要なパワー(図56中の線SL3)を測定した。角度値が0°のとき、延在部75の延在方向は、撹拌部材70L3の進行方向(回転方向)に一致していることを意味している。便宜上、上記の撹拌能力の値および上記のパワーの値には、上述の実施の形態1における接線方向直線等による影響は含まれていない。
得られた撹拌能力を得られたパワーで除することにより、撹拌効率を算出した(図57中の線SL3)。さらに、撹拌部材70L3を第2回転方向(矢印AR1とは反対方向)に回転させ、撹拌部材70L3を起立状態S1から倒伏状態S2に変化させた。このとき、内鍋20の壁面等に向かって跳ね上げられ、内鍋20の壁面などに付着したままとなったお米の割合を測定した(図58中の線SL3)。
(実験結果)
図55〜図58を参照して、実験例4の実験結果について説明する。図55中の縦軸で示される撹拌能力は、全ての被撹拌物が撹拌されて、全ての被撹拌物が内鍋20内で移動する場合が1.0として示されている。この数値が高い程、被撹拌物はよく撹拌されていることを意味する。
図55に示されるように、撹拌部材70L1の場合(線SL1)、角度値が80°以上100°以下のとき、75%以上の被撹拌物が撹拌されていることが分かる。撹拌部材70L2の場合(線SL2)、角度値が80°以上100°以下のとき、80%以上の被撹拌物が撹拌されていることが分かる。撹拌部材70L3の場合(線SL3)、角度値が80°以上100°以下のとき、約80%の被撹拌物が撹拌されていることが分かる。
図56中の縦軸で示されるパワーは、撹拌部材70L1の場合(線SL1)の角度値が0°のとき(換言すると、撹拌部材70L1の延在部75の延在方向が回転の進行方向と一致しているとき)、1.0の基準値として示されている。図56中の縦軸で示されるパワーは、その基準値に対する相対値が示されている。この数値が高い程、撹拌部材が被撹拌物を撹拌するために必要なパワーが大きいことを意味する。
図56に示されるように、撹拌部材70L1,70L2,70L3に共通して、撹拌部材が被撹拌物を撹拌するために必要なパワーは、0°<角度値<90°の場合(前進翼の場合)の方が、90°<角度値<180°の場合(後退翼の場合)に比べて大きくなることがわかる。撹拌部材が被撹拌物を撹拌するために必要なパワーは、撹拌部材70L1(線SL1)が3つの中で最も小さく、次に撹拌部材70L2(線SL2)が小さく、撹拌部材70L3(線SL3)は3つの中で最も大きいことがわかる。
図57は、上記の角度値を0°〜180°の範囲内で変化させたときの、撹拌部材の撹拌効率を示している。撹拌効率は、図55で示した撹拌能力を図56で示したパワーで除することにより算出した値である。この数値が高い程、撹拌部材はエネルギー効率良く被撹拌物を撹拌できているこを示している。
角度値の最適値を得るに際しては、撹拌部材が被撹拌物を効率良く撹拌しているという点と、最低限の撹拌能力(図55参照)が確保されているという点との双方が考慮される。図55に示される撹拌能力が75%を超えている角度範囲の中で、図57において高い撹拌効率(70%以上)が得られている角度範囲は、次のとおりである。
撹拌部材70L1の場合(線SL1)、最適な角度範囲は、80°以上100°以下である。撹拌部材70L2の場合(線SL2)、最適な角度範囲は、75°以上140°以下である。撹拌部材70L3の場合(線SL3)、最適な角度範囲は、85°以上125°以下である。これらのうち、最も撹拌効率が高いのは、撹拌部材70L2の場合(線SL2)であり、その角度範囲は105°以上130°以下である。
図58は、撹拌部材を第2回転方向(矢印AR1とは反対方向)に回転させ、撹拌部材を起立状態S1から倒伏状態S2に変化させたとき、内鍋20の壁面等に向かって跳ね上げられ(掬い上げられ)、内鍋20の壁面などに付着したままとなったお米の割合を測定した。図58の縦軸に示される割合は、上記の角度値を0°〜180°の範囲内で変化させたときの値が示されている。この値は、角度値が0°のとき(換言すると、撹拌部材70の延在部75の延在方向が回転の進行方向と一致しているとき)、1.0の基準値として示されている。
撹拌部材を起立状態S1から倒伏状態S2に変化させたときに撹拌部材が米を掬い上げると、衛生上または清掃上の観点からあまり好ましくない。多くの米が掬い上げられて回転体などに付着すると、回転体の動作に不具合が生じる恐れもある。回転体などに付着した米は、そのまま炊き上がったりすることもあり得る。図58に示されるように、角度値が小さいほど掬い上げられる米の量は増加し、角度値が大きいほど掬い上げられる米の量は減少することが分かる。掬い上げられる米の量は、後退翼に比べて前進翼の方が多くなることがわかる。
図55を再び参照して、撹拌部材70L1(図49,50参照)および撹拌部材70L3(図53,54参照)は、直角三角形状に形成された部分の配置位置が互いに同一である。これに対して、撹拌部材70L1(図55中の線SL1)に比べて、撹拌部材70L3(図55中の線SL3)の方が撹拌能力が高くなっている。内鍋20の内側に存在しているお米の量に比べて、内鍋20の外側に存在しているお米の量の方が多い。外側のお米を撹拌部材が撹拌する場合、撹拌部材の外側部分の面積が、撹拌能力に大きく影響してくる。したがって、外側に大きな面積を有する撹拌部材70L3の方が、撹拌部材70L1に比べて撹拌能力が高くなる。
一方で、撹拌部材70L3(図55中の線SL3)に比べて、撹拌部材70L2(図55中の線SL2)の方が撹拌能力が高くなっている。撹拌部材70L2は、直角三角形状に形成された部分が内鍋20の外側に位置するからである。撹拌部材70L2が、3つのうちで最も高い撹拌能力を有していることとなる。
図25〜図28に示される結果から、撹拌能力が高く、小さなパワーで、効率良く撹拌でき、且つ、米を掬い上げる量が少なくなるような角度値は、撹拌部材70L2の場合の95°以上140°以下であることがわかる(後退角に換算すると、5°以上50°以下であることがわかる)。したがって図41を参照して上述したように、図41に示す延在方向(矢印DR75方向)と基準線L10とのなす角度A11(後退角)は、5°以上50°以下であるとよいことがわかる。
[実施の形態10]
(炊飯器200)
図59を参照して、本実施の形態における炊飯器200について説明する。炊飯器200は、たとえば家庭用または業務用の調理器具の一つとして用いられる。炊飯器200は、本体10、内鍋20、蓋体30、加熱部40、温度センサ42、制御部(図示せず)、回転体60、および、駆動機構80Aを備える。
詳細は後述されるが、回転体60は、2本の撹拌部材70M,70N(可動部材)を含む。撹拌部材70M,70Nは、回転体60の回動軸に回動可能に軸支された第1端部71と、第1端部71とは反対側に位置する第2端部72と、第1端部71および第2端部72の間に位置する撹拌部73とを有する。撹拌部材70M,70Nは、回転体60が回転することによって、回転体60と共に回転体60の回転軸の周りに回転する。
本体10は、内鍋20を収容する。本体10は、外ケース11と、外ケース11の内側に配置される内ケース12とを含む。内ケース12は、耐熱性および電気絶縁性を有する材料から形成される。内ケース12は、内鍋20を保持する。内鍋20は、磁性材を含むクラッド材から成型される。内鍋20の上部には開口が設けられ、この開口の縁には環状のフランジ部20aが設けられる。内鍋20の中には、米およびまたは水などの被撹拌物(米92および水93など)が収容される。
蓋体30は、本体10の上部に取り付けられ、本体10に設けられた回動機構35を中心として回動する。本体10は、内鍋20の開口を開閉する。蓋体30は、外蓋31および内蓋32を含む。内蓋32は、外蓋31の内鍋20側に配置され、外蓋31に対して着脱可能なように取り付けられる。内蓋32には、回転体60が回転可能なように取り付けられている。
蓋体30が内鍋20の開口を閉じたとき、内蓋32の外周縁部は、内鍋20のフランジ部20aの上面に密着する。内鍋20の外周縁部とフランジ部20aとの間はシールされ、その間からおねば(御粘)などが流出することは抑制される。内鍋20内で発生した蒸気は、蓋体30に設けられた蒸気穴(図示せず)を通して炊飯器200の外部に排出される。
加熱部40、温度センサ42、および制御部(図示せず)は、本体10の中の下側に配置される。加熱部40は、たとえば誘導コイルを有するIH(誘導加熱)ヒータから構成され、内鍋20を誘導加熱する。温度センサ42は、内鍋20の温度を検知する。制御部は、外ケース11と内ケース12との間の空間内に配置される。制御部は、加熱部40による誘導加熱量を制御したり、モータ81(詳細は次述される)による回転駆動力を制御したりする。
駆動機構80Aは、モータ81、小プーリ82、ベルト83、および、大プーリ84を含む。モータ81、小プーリ82、ベルト83、および、大プーリ84は、外蓋31内に配置される。
本実施の形態のモータ81は、DC(直流)ブラシレスモータから構成され、回動機構35近傍に配置される。モータ81は、回転軸81aを有する。小プーリ82は、回転軸81aに固定される。ベルト83は、タイミングベルトから構成され、小プーリ82の外周の一部と、大プーリ84の外周の一部とに巻回される。大プーリ84は、回転体60の入力軸86に取り付けられる。モータ81の回転駆動力は、小プーリ82、ベルト83および大プーリ84を通して、回転体60の入力軸86に伝達される。
(回転体60)
回転体60は、姿勢変更可能な2本の撹拌部材70M,70Nを備える。撹拌部材70M,70Nは、上述の実施の形態1における撹拌部材70と同様の形状を有し、互いに別体に形成される。撹拌部材70M,70Nの形状は、同一であってもよく、異なっていてもよい。2本の撹拌部材70M,70Nを用いることで、水流が安定し、振動および水跳ねが抑制され、水面の乱れを低減することができる。大容量の被撹拌物を撹拌するとき、内蓋32等にとぎ汁が付着することを防げる。撹拌部材の本数は、用途に応じて増減されるとよい。
モータ81が、回転体60を第1回転方向(図5および図6の矢印R,AR1方向に相当する方向)に回転させるための駆動力を発生したとする。この場合、第2端部72は回転体60から離れ、撹拌部材70M,70Nは、回転体60の回転面に対して起立状態S1を形成する。
モータ81が、回転体60を第2回転方向(図5および図6の矢印L,AR2方向に相当する方向)に回転させるための駆動力を発生したとする。この場合、第2端部72は回転体60に近づき、撹拌部材70M,70Nは、回転体60の回転面に対して倒伏状態S2を形成する。
モータ81が回転体60を第1回転方向に回転させるための駆動力を発生することにより、撹拌部材70M,70Nは、矢印D方向に回動する。モータ81が回転体60を第2回転方向に回転させるための駆動力を発生することにより、撹拌部材70M,70Nは、矢印U方向に回動する。撹拌部材70M,70Nの撹拌部73は、起立状態S1および倒伏状態S2を選択的に形成することができる。
撹拌部材70M,70Nの撹拌部73が起立状態S1を形成しているとき、撹拌部73は、第1端部71から第2端部72に近づくにつれてこれらの回転軸に近くなり、撹拌部73と水平面(回転面)とのなす角度θ2は、90°以下であるとよい。より好ましくは、角度θ2は、80°以上85°以下であるとよい。
(回転体60の詳細構造)
図60〜図63を参照して、本実施の形態における回転体60の詳細構造について説明する。図60は、回転体60の内鍋20側(内蓋32側とは反対側)を回転体60の回転面に対して垂直な方向から見た概略図である。図61は、図60中のLXI−LXI線に沿った矢視断面図である。図示上の便宜のため、図61では、回転体60のうちの一部の構成が図示されていない。
図62は、回転体60の内蓋32側を回転体60の回転面に対して垂直な方向から見た概略図である。図63は、回転体60の入力軸86、ギアカバー62B,63Bおよび軸受部66(図59,図62参照)を取り外した回転体60の内蓋32側を回転体60の回転面に対して傾斜した方向から見た概略図である。
図60に示すように、回転体60は、本体60M、マイタ歯車搭載部61〜63、および、撹拌部材70M,70Nを備える。本体60Mは、器形状に形成される。本体60Mは、内鍋20(図59参照)側の表面65を有する。表面65には、撹拌部材70M,70Nを収容するための収容部64M,64Nが設けられる。内鍋20(図59参照)側の表面65は、図59における回転体60の内鍋20に対向する面69Sに対応している。
マイタ歯車搭載部61は、表面65の中央部に設けられる。マイタ歯車搭載部61は、内鍋20側に向かって膨出する形状を有する。マイタ歯車搭載部61には、複数の水抜き孔61Hが設けられる。内鍋20(図59参照)側から見たときの水抜き孔61Hの形状は、ほぼ矩形状である。水抜き孔61Hは、マイタ歯車搭載部61の内鍋20側の表面から半径方向の外側の表面に渡って延びている。水抜き孔61Hは、ほぼ半分が内鍋20側に向かって開口し、残りが半径方向外側に向かって開口している。マイタ歯車搭載部61とギアカバー62B,63B(図62参照)との間に進入した水は、水抜き孔61Hを通して内鍋20(図59参照)内に戻されることができる。
マイタ歯車搭載部62,63は、表面65の周縁部に設けられる。マイタ歯車搭載部62は、マイタ歯車搭載部61の一方側に位置する。マイタ歯車搭載部63は、マイタ歯車搭載部61の他方側に位置する。
マイタ歯車搭載部62は、カバー部材62Aおよびギアカバー62B(図62参照)を含む。カバー部材62Aは、半径方向内側に位置する非湾曲表面と、半径方向外側に位置する湾曲表面とを有する。カバー部材62Aの非湾曲表面には、水抜き孔62H1が設けられる。カバー部材62Aの湾曲表面には、水抜き孔62H2が設けられる。水抜き孔62H2のほぼ全部は、半径方向外側に向かって開口している。水抜き孔62H2を内鍋20側から見た形状は、ほぼ矩形状である。カバー部材62Aとギアカバー62B(図62参照)との間に進入した水は、水抜き孔62H1,62H2を通して内鍋20(図59参照)内に戻されることができる。
マイタ歯車搭載部63は、カバー部材63Aおよびギアカバー63B(図62参照)を含む。カバー部材63Aは、半径方向内側に位置する非湾曲表面と、半径方向外側に位置する湾曲表面とを有する。カバー部材63Aの非湾曲表面には、水抜き孔63H1が設けられる。カバー部材63Aの湾曲表面には、水抜き孔63H2が設けられる。水抜き孔63H2のほぼ全部は、半径方向外側に向かって開口している。水抜き孔63H2を内鍋20側から見た形状は、ほぼ矩形状である。カバー部材63Aとギアカバー63B(図62参照)との間に進入した水は、水抜き孔63H1,63H2を通して内鍋20(図59参照)内に戻されることができる。
撹拌部材70Mを収容するための収容部64Mは、マイタ歯車搭載部61〜63の一方の側方に位置する。撹拌部材70Nを収容するための収容部64Nは、マイタ歯車搭載部61〜63の他方の側方に位置する。内鍋20(図59参照)内の米92および水93を撹拌部材70M,70Nが撹拌しないとき、撹拌部材70M,70Nは、収容部64M,64N内に収容される。
撹拌部材70M,70Nが収容部64M,64N内に収容されると、撹拌部材70M,70Nは、収容部64M,64Nを塞ぐ。撹拌部材70M,70Nの後端面73cは、内鍋20側に露出する。撹拌部材70M,70Nの後端面73cは、回転体60の回転面に対してほぼ平行になっているとよい。
図61を参照して、撹拌部材70M,70Nは、上述の実施の形態1における撹拌部材70と同様に、ほぼ直角三角形状の断面を有する。収容部64M,64N内に撹拌部材70M,70Nが収容されている状態において、撹拌部材70M,70Nの後端面73cは、回転体60の回転面に対してほぼ平行である。撹拌部材70M,70Nの外側面73aは、回転体60の回転面に対してほぼ垂直である。撹拌部材70M,70Nの内側面73bは、回転体60の回転面に対して傾斜している。
換言すると、撹拌部材70M,70Nが内鍋20内の米92および水93を撹拌しないとき、撹拌部材70M,70Nの後端面73cは、回転体60の回転軸に対してほぼ垂直になる。撹拌部材70M,70Nの外側面73aは、回転体60の回転軸に対してほぼ平行になる。撹拌部材70M,70Nの内側面73bは、回転体60の回転軸に対して傾斜する。撹拌用前縁部74は、収容部64M,64Nの最も奥深くに位置する。
図61および図62に示すように、回転体60のうちの内鍋20(図59参照)に対向する表面65は、傾斜面65a,65d、段部65c、および、水抜き孔65b,65eを含む。傾斜面65aは、傾斜面65dよりも半径方向の内側に位置する。図61に示すように、傾斜面65a,65dは、蓋体30(図59参照)を閉じたときに、半径方向外側の縁部が半径方向内側の縁部より低くなるように形成されている。
段部65cは、傾斜面65aの半径方向外側の縁部と、傾斜面65dの半径方向外側の縁部とを接続している。水抜き孔65bは、傾斜面65aの半径方向外側の縁部に形成される。水抜き孔65eは、傾斜面65dの半径方向外側の縁部に形成される。水抜き孔65b,65eは、内鍋20(図59参照)側から見た形状が、ほぼ円弧形状に形成される。内蓋32と本体60Mとの間に進入した水は、水抜き孔65b,65eを通して内鍋20内に戻されることができる。
図62および図63を参照して、回転体60の本体60Mには、入力軸86、ギアカバー62B,63B、ストッパ62C,63C、磁石62D,63D、軸受部66、マイタ歯車68、凹部62K,62L、マイタ歯車62P、伝達軸62Q、マイタ歯車62R、マイタ歯車62S、回動軸62T、凹部63K,63L、マイタ歯車63P、伝達軸63Q、マイタ歯車63R、マイタ歯車63S、および、回動軸63Tが設けられる。
マイタ歯車62R、伝達軸62Q、マイタ歯車62P、マイタ歯車68、マイタ歯車63P、伝達軸63Qおよびマイタ歯車62Pは、本体60M上で、径方向に沿ってほぼ一直線に並んでいる。伝達軸62Q、入力軸86および伝達軸63Qのそれぞれの中心軸を含む面に関して、撹拌部材70Mと撹拌部材70Nとは、ほぼ面対称に配置されている。回動軸62Tが撹拌部材70Mに連結している位置を、入力軸86の回りに180°回転させると、回動軸63Tが撹拌部材70Nに連結している位置とほぼ一致する。換言すると、撹拌部材70Mの回動中心を、回転体60の回転軸の回りに180°回転させると、撹拌部材70Nの回動中心にほぼ重なる。
入力軸86は、本体60Mおよび軸受部66に対して回転可能に設けられている。マイタ歯車68は、入力軸86の本体60M側の端部に固定されている。軸受部66は、内蓋32に設けられた貫通孔(図示せず)に着脱可能に嵌合している。この貫通孔に軸受部66を嵌合させたとき、入力軸86の本体60M側とは反対側の端部は、外蓋31と内蓋32との間に配置され、小プーリ82(図59参照)に連結する。
マイタ歯車68は、マイタ歯車62Pに歯合している。マイタ歯車62Pは、伝達軸62Qの半径方向内側の端部に固定される。マイタ歯車62Rは、伝達軸62Qの半径方向外側の端部に固定される。マイタ歯車62P、伝達軸62Qおよびマイタ歯車62Rは、一体に回転する。マイタ歯車62Rは、マイタ歯車62Sに歯合している。回動軸62Tは、マイタ歯車62Sと撹拌部材70Mの第1端部71とを連結する。マイタ歯車62S、撹拌部材70M、および、回動軸62Tは、一体化されている。マイタ歯車68が回転すると、撹拌部材70Mが一定の範囲内において回動軸62Tを中心に回動する。
マイタ歯車68は、マイタ歯車63Pに歯合している。マイタ歯車63Pは、伝達軸63Qの半径方向内側の端部に固定される。マイタ歯車63Rは、伝達軸63Qの半径方向外側の端部に固定される。マイタ歯車63P、伝達軸63Qおよびマイタ歯車63Rは、一体に回転する。マイタ歯車63Rは、マイタ歯車63Sに歯合している。回動軸63Tは、マイタ歯車63Sと撹拌部材70Nの第1端部71とを連結する。マイタ歯車63S、撹拌部材70N、および、回動軸63Tは、一体化されている。マイタ歯車68が回転すると、撹拌部材70Nが一定の範囲内において回動軸63Tを中心に回動する。
マイタ歯車62P,63Pは、マイタ歯車搭載部61に形成された凹部62K,63Kに回転可能に搭載されている。凹部62K,63K内の空間は、蓋体30の閉鎖時、水抜き孔61Hを介して内鍋20内の空間と連通する。マイタ歯車62R,63Rは、マイタ歯車搭載部62に設けられた凹部62L,63Lに回転可能に搭載されている。この凹部62L,63L内の空間は、蓋体30の閉鎖時、水抜き孔62H1,63H1,62H2,63H2を介して内鍋20内の空間と連通する。
ギアカバー62B,63Bは、ストッパ62C,63Cを有している。ストッパ62C,63Cは、撹拌部材70M,70Nに当接することにより、撹拌部材70M,70Nの矢印U方向の回動を制限する。ストッパ62C,63Cの先端部の下面(撹拌部材70M,70N側の表面)には、磁石62D,63Dが取り付けられている。撹拌部材70M,70Nのうちの磁石62D,63Dに接触可能な箇所には、磁石77M,77Nが取り付けられている。磁石77M,77Nは、磁石62D,63Dの磁極とは反対の磁極を有する。モータ81の非駆動時であっても、磁石62D,63Dと磁石77M,77Nとの吸引力により、撹拌部材70M,70Nの倒伏状態S2が維持される。
ギアカバー62B,63Bは、本体60Mに着脱可能となっている。本体60Mにギアカバー62B,63Bを取り付けることにより、マイタ歯車68、マイタ歯車62P、伝達軸62Q、マイタ歯車62R、マイタ歯車62S、マイタ歯車63P、伝達軸63Q、マイタ歯車63R、および、マイタ歯車63S、ギアカバー62B,63Bにより覆われる。ギアカバー62B,63Bの着脱構造としては、いわゆるスナップフィット構造が用いられることが好ましい。
回転体60の回転面に対して垂直な方向から回転体60を見たとき、撹拌部材70Mは、マイタ歯車68,62P,62R,62S,63P,63R,63Sの一方の側方に位置し、かつ、撹拌部材70Nは、マイタ歯車68,62P,62R,62S,63P,63R,63Sの他方の側方に位置している。換言すると、回転体60の回転面に対して垂直な方向から回転体60を見たとき、撹拌部材70Mと撹拌部材70Nとの間に、マイタ歯車68,62P,62R,62S,63P,63R,63Sが配置されている。
撹拌部材70M,70Nの矢印D方向(図59参照)の回動は、収容部64M,64Nの周縁部の一部によって制限される。収容部64M,64Nに収容されている撹拌部材70M,70Nを矢印D方向に回動させると、撹拌部材70M,70Nの第1端部71は、収容部64M,64Nの周縁部において回動軸62T,63Tの近傍に位置する部分(以下、「収容部64M,64Nの周縁部の一部」と言う。)に当接する。撹拌部材70M,70Nのれの当接以降の回動は制限される。
図59を参照して上述したように、収容部64M,64Nの周縁部の一部に、撹拌部材70M,70Nの第1端部71が当接したとき、回転体60の回転面に対して撹拌部材70M,70Nが成す角度θ2(図59参照)は80°となっている。このような状態で、撹拌部材70M,70Nを矢印D方向に回動させるための駆動力が、入力軸86に与えられる。撹拌部材70M,70Nの第1端部71は、収容部64M,64Nの周縁部の一部に係止して、撹拌部材70M,70Nは回転体60と共に回転する。撹拌部材70M,70Nは、撹拌部材70Mと撹拌部材70Nとの間隔が回転体60から離れるにしたがって狭くなる状態で、回転体60に係止して回転体60と共に回転することが可能となる。
炊飯器200を用いて炊飯を行なう際には、内鍋20内に、所望量の米92と、この米92の量に応じた水量の水93とが入れられる。内鍋20は、本体10内に収納され、内鍋20を覆うように蓋体30が閉じられる。このとき、撹拌部材70M,70Nは、図60〜図62に示すように、収容部64M,64Nに収容されて倒伏状態S2を形成している。
その後、モータ81が駆動され、モータ81の駆動力は回転体60の入力軸86に伝えられる。マイタ歯車68は、矢印R方向に回転する。回転体60が回転しない状態で、撹拌部材70M,70Nは図59中の矢印D方向に回動する。撹拌部材70M,70Nの矢印D方向の回動は、撹拌部材70M,70Nの第1端部71が収容部64M,64Nの周縁部の一部に当接することにより停止する。モータ81の駆動力は、回転体60の入力軸86を通してマイタ歯車68を矢印R方向に回転させる。撹拌部材70M,70Nは、回転体60と共に回転する。内鍋20内の米92および水93は、撹拌部材70M,70Nによって撹拌される。
蓋体30を開ける場合には、モータ81が再び駆動され、モータ81の駆動力は、回転体60の入力軸86に伝えられる。マイタ歯車68は、矢印L方向(図59参照)に回転する。回転体60が回転しない状態で、撹拌部材70M,70Nは矢印U方向に回動し、撹拌部材70M,70Nは収容部64M,64N内に収容される。ストッパ62C,63Cが撹拌部材70M,70Nに当接することにより、撹拌部材70M,70Nの矢印U方向の回動は停止する。撹拌部材70M,70Nの第2端部72が内鍋20に引っ掛かることなく、蓋体30は容易に開けられることができる。
撹拌部材70M,70Nの矢印D,U方向の回動と回転体60の回転とは、1つのモータ81の駆動力で行っている。撹拌部材70M,70Nを矢印D,U方向に回動させるためのモータと、回転体60の回転させるためのモータとを別々に設ける場合に比べて、炊飯器を小型化することが可能となる。
撹拌部材70M,70Nを収容部64M,64Nに収容することにより、本体10に内鍋20を出し入れするときなどにおいて、撹拌部材70M,70Nが邪魔にならないようにすることができる。内蓋32に回転体60を取り付けているので、蓋体30を開くと、回転体60が蓋体30と共に移動する。本体10に内鍋20を出し入れするとき、回転体60が内鍋20の出し入れに邪魔になることもない。
撹拌部材70M,70Nを回転体60の回転面に対して起立状態S1にしたとき、撹拌部材70M,70Nは、回転体60側の米92および水93だけでなく、内鍋20の底部側の米92および水93にも接触する。撹拌部材70M,70Nが起立状態S1を形成している状態で、撹拌部材70M,70Nは回転体60と共に回転する。撹拌部材70M,70Nは、回転体60側の米92および水93を十分に撹拌することできると共に、内鍋20の底部近くの米92および水93も十分に撹拌することができる。
撹拌部材70M,70Nを回転体60の回転面に対して倒伏状態S2にしたとき、撹拌部材70M,70Nは、内鍋20内の米92および水93に接触しない。撹拌部材70M,70Nが倒伏状態S2を形成している状態で、撹拌部材70M,70Nは回転体60と共に回転する。撹拌部材70M,70Nは、内鍋20内の米92および水93を撹拌しないようにすることができる。
内鍋20内の米92および水93を2本の撹拌部材70M,70Nで撹拌することにより、内鍋20内の米92および水93を適度に動かすことができる。したがって、米92および水93の撹拌を低振動で十分に行うことができる。内鍋20内の米92および水93を3本以上の撹拌部材で撹拌するように構成してもよい。
撹拌部材70M,70Nを回転体60の回転面に対して起立状態S1にしたとき、撹拌部材70Mと撹拌部材70Nとの間隔は、回転体60から離れるにしたがって狭くなっている。撹拌部材70M,70Nは、内鍋20内の中心近傍の米92および水93だけでなく、内鍋20内の周縁部近傍の米92および水93にも接触する。
撹拌部材70M,70Nを、回転体60の回転面に対して起立状態S1にし、かつ、撹拌部材70Mと撹拌部材70Nとの間隔が回転体60から離れるにしたがって狭くなる状態にしたまま、回転体60と共に回転させることにより、内鍋20内の中央部近傍の米92および水93を十分に撹拌することができると共に、内鍋20内の周縁部近傍の米92および水93も十分に撹拌することができる。
モータ81を連続的に駆動することにより、撹拌部材70M,70Nの第2端部72が上下方向に移動するように構成されてもよい。撹拌部材70M,70Nが内鍋20に収容された被撹拌物を撹拌する際、撹拌可能領域が広がるため、撹拌能力を増大させることが可能となる。
収容部64M,64Nに撹拌部材70M,70Nを収容している状態の回転体60を回転体60の回転面に対して垂直な方向から見たとき、撹拌部材70M,70Nは、マイタ歯車68,62P,62R,62S,63P,63R,63Sの側方に位置する。撹拌部材70M,70Nは、これらのマイタ歯車と重ならない。撹拌部材70M,70Nおよび回転体60からなる構造体の厚さを薄くすることができる。
収容部64M,64Nに撹拌部材70M,70Nを収容している状態の回転体60を回転体60の回転面に対して垂直な方向からを見たとき、撹拌部材70Mと撹拌部材70Nとの間に、マイタ歯車68,62P,62R,62S,63P,63R,63Sが配置されている。回転体60を回転させても、回転体60の回転を安定させることができる。回転体60の回転時、回転体60の振動を低減できる。
撹拌部材70Mの回動中心は、回転体60の回転軸の回りに180°回転させると、撹拌部材70Nの回動中心にほぼ重なる。回転体60の回転面に対して撹拌部材70M,70Nが成す角度が80°になっている状態で回転体60を回転させても、回転体60の回転を安定させることができる。
本実施の形態における炊飯器200は、上述の実施の形態1における炊飯器100(図1参照)に比べて、米92および水93の撹拌時の水流が安定し、振動および水はねを大きく低減できる。炊飯器200では、炊飯器100において回転体60の回転数を約200rpmにしたときに得られる撹拌効果を、回転体60の回転数を約150rpmで得られる。炊飯器200は回転数を低減させることができる。
本実施の形態の回転体60は蓋体30に対して着脱可能であったが、蓋体30に対して着脱不可能にしてもよい。撹拌部材70M,70Nが回転体60に係止して回転体60と共に回転するとき、回転体60の回転面に対して撹拌部材70M,70Nが成す角度を80°としていたが、例えば75°または85°などであってもよい。
撹拌部材70M,70Nが回転体60に係止して回転体60と共に回転するとき、回転体60の回転面に対して撹拌部材70Mが成す角度が、回転体60の回転面に対して撹拌部材70Nが成す角度と同じであったが、回転体60の回転面に対して撹拌部材70Mが成す角度が、回転体60の回転面に対して撹拌部材70Nが成す角度と異なるようにしてもよい。このようにした場合、米92および水93において撹拌部材70M,70Nが接触する部分を増やすことができる。
回転体60の回転面に対して垂直な方向から回転体60を見たとき、マイタ歯車68,62P,63R,63Sの一方の側方に、撹拌部材70Mを配置し、かつ、マイタ歯車68,62P,63R,63Sの他方の側方に、撹拌部材70Nを配置していたが、マイタ歯車68,62P,63R,63Sの一方の側方に、撹拌部材70M,70Nを配置してもよい。
撹拌部材70M,70Nは、ほぼ三角形状の断面を有していたが、ほぼ台形状の断面を有するようにしてもよい。このようにする場合も、収容部64M,64Nに撹拌部材70M,70Nを収容している状態で、撹拌部材70M,70Nの幅を内鍋20側から離れるにしたがって狭くなるようにするのが好ましい。
ギアカバー62B,63Bに、ストッパ63C,62Cを設けていたが、先端部に切り欠きを有するストッパを設けてもよい。このようにする場合、収容部64M,64Nに撹拌部材70M,70Nを収容したときに、切り欠きに嵌合して係止するたとえば半球状の突起を、撹拌部材70M,70Nに設けてもよい。
ギアカバー62B,63Bに、ストッパ63C,62Cを設けていたが、先端部にたとえば半球状の突起を有するストッパを設けてもよい。このようにする場合、収容部64M,64Nに撹拌部材70M,70Nを収容したときに、突起が嵌合して係止する切り欠きを、撹拌部材70M,70Nに設けてもよい。
回転体60およびギアカバー62B,63Bは金属で形成されたものであってもよいし、撹拌部材70M,70Nと同様に耐熱樹脂で形成されたものであってもよい。収容部64M,64Nに撹拌部材70M,70Nを収容したとき、撹拌部材70M,70Nが回転体60から突出しないようにしていたが、撹拌部材70M,70Nの一部が回転体60から突出するようにしてもよい。回転体60内に少なくとも一部を収容可能な撹拌体を用いてもよい。
撹拌部材70M,70Nを収容する収容部を設けなくても、収容するスペースを設けることにより、本体10に内鍋20を出し入れするときなどにおいて、撹拌部材70M,70Nが邪魔にならないようにすることができる。収納孔を設ける場合と比べて、材料費の削減が可能であるし、デザイン的にも自由がきく。その収容スペースの形状はどんなものであっても良い。
[実施の形態11]
(回転体60A)
図64〜図71を参照して、本実施の形態における回転体60Aについて説明する。図64は、回転体60Aを内蓋側から見た斜視図である。図65は、回転体60Aを内鍋側から見た斜視図である。図66は、回転体60Aを内鍋側から見た底面図である。図67は、回転体60Aの内部構造を示す斜視図である。図68は、回転体60Aを示す側面図である。図69は、図68中のLXIX線に囲まれた領域の近傍を示す断面図である。図70は、回転体60Aに備えられる撹拌部材70Pの第2端部72寄りの部分の回動時の様子を示す斜視図である。図71は、回転体60Aに備えられる撹拌部材70Pの回動時の様子を示す側面図である。
図64〜図68に示すように、回転体60Aは、姿勢変更可能な2本の撹拌部材70Pを備える。互いに撹拌部材70Pは、上述の実施の形態6(図35および図36参照)における撹拌部材70Fとそれぞれ同様の形状を有し、互いに別体に形成される。撹拌部材70Pは、撹拌部材70Fと同様に、第1端部71、第2端部72、撹拌部73、撹拌用前縁部74、および延在部75を有する。撹拌部73は、撹拌部材70Fの撹拌部73と同様に、外側面73a、内側面73b、および、後端面73cを含む。
2本の撹拌部材70Pの形状は、互いに同一であってもよく、互いに異なっていてもよい。2本の撹拌部材70Pを用いることで、水流が安定し、振動および水跳ねが抑制され、水面の乱れを低減することができる。大容量の被撹拌物を撹拌するとき、内蓋32等にとぎ汁が付着することを防げる。撹拌部材の本数は、用途に応じて増減されるとよい。
モータ(図示せず)が、回転体60Aを第1回転方向(図64中のAR2方向とは反対方向)に回転させるための駆動力を発生したとする。駆動力は、入力軸86、および、マイタ歯車搭載部62,63(図67参照)に搭載された各マイタ歯車などを通して、撹拌部材70Pに伝達される。撹拌部材70Pの第2端部72は回転体60Aの内鍋側の表面65(図65参照)から離れ、撹拌部材70Pは、回転体60Aの回転面に対して図64に示すような起立状態S1を形成する。
モータ(図示せず)が、回転体60Aを第2回転方向(図64,68中のAR2方向に相当する方向)に回転させるための駆動力を発生したとする。この場合、撹拌部材70Pは、図68に示す矢印DR1方向に回動する。撹拌部材70Pの第2端部72は、回転体60Aの内鍋側の表面65(図65参照)に近づき、撹拌部材70Pは収容部64内に収容される。回転体60Aの回転面に対して倒伏状態S2(図66参照)を形成する。
(撹拌部材70P)
図69を参照して、撹拌部材70Pの撹拌部73には、抵抗面78が設けられる。撹拌部材70Pの撹拌部73が起立状態S1を形成し、回転体60A(図68参照)が第1回転方向(矢印AR1方向)とは反対の第2回転方向(矢印AR2方向)に回転したとする。撹拌部73は、回転体60Aが第2回転方向(矢印AR2方向)に回転した際に、被撹拌物から第1回転方向(矢印AR1方向)の抵抗を受けるように形成されている。
本実施の形態における抵抗面78は、撹拌部73を断面視した場合に得られる断面形状S70のうちの、第2回転方向(矢印AR2方向)寄りの部分(領域R78)に形成されている。抵抗面78は、第2回転方向(矢印AR2方向)に対して傾いており、被撹拌物から第1回転方向(矢印AR1方向)の抵抗を受けるように所定の面積を持って形成されている。抵抗面78は、撹拌部73のうちの第1端部71寄りの部分から第2端部72寄りの部分にわたって形成されていてもよい。
図70を参照して、撹拌部材70Pが第2回転方向(矢印AR2方向)に回転したとき、抵抗面78は、第1回転方向の抵抗、つまり、第2回転方向の後ろ向きの力(矢印DR2参照)を被撹拌物から受ける。この力は、撹拌部73の全体に作用し(矢印DR3参照)、撹拌部材70Pが回動して倒伏状態S2から起立状態S1に遷移することをサポートする。
図71に示すように、撹拌部材70Pは、抵抗面78で受けた力を効果的に活用することによって矢印DR1方向にスムーズに回転し、収容部64(図68等参照)に向かってより確実に収納されることが可能となる。
[実施の形態12]
(撹拌部材70Q)
図72および図73を参照して、本実施の形態における撹拌部材70Qについて説明する。抵抗面78を有する撹拌部材70Qは、上述の実施の形態1,10における炊飯器100,200と同様な炊飯器、または、上述の実施の形態1,10,11における回転体50,60,60Aと同様な回転体に適用されることができる。
図72に示すように、撹拌部材70Qは、上述の実施の形態11における撹拌部材70Pとは異なり、撹拌部材70Qの回動方向(矢印DR1方向)に対して直交する方向における抵抗面78の幅が、第2端部72から遠い方の部分78Mに比べて、第2端部72に近い方の部分78Nの方が大きく形成される。
図73に示すように、蓋体30Bに取り付けられた回転体60Bが第2回転方向(矢印AR2)に回転したとする。回転体60Bに設けられた撹拌部材70Qは、上述の実施の形態11と同様に、矢印DR1方向に回動する。この際、撹拌部材70Qの第2端部72は、回動の最後の段階まで、被撹拌物と接触する。撹拌部材70Qによれば、第2端部72に近い方の部分78N(図72参照)の方が幅広に形成されることによって、被撹拌物から十分な力を長時間受けることが可能となる。第2端部72寄りの部分に上方向の力が作用することによって、他の部分も追従して回動する方向に移動しようとする。
したがって撹拌部材70Qによれば、矢印DR1方向にスムーズに回転し、収容部64(図68等参照)に向かってより確実に収納されることが可能となる。撹拌部材70Qによれば、被撹拌物の量が少なく、撹拌部材70Qと被撹拌物とが少ししか接触することができない場合であっても、第2端部72に近い方の部分78N(図72参照)の方が幅広に形成されることによって、被撹拌物から十分な力を長時間受けることが可能となる。
[実施の形態13]
(撹拌部材70R)
図74〜図77を参照して、本実施の形態における撹拌部材70Rについて説明する。抵抗面78を有する撹拌部材70Rは、上述の実施の形態1,10における炊飯器100,200と同様な炊飯器、または、上述の実施の形態1,10,11における回転体50,60,60Aと同様な回転体に適用されることができる。
図74に示すように、撹拌部材70Rにおいては、撹拌部73が起立状態S1を形成しているときの撹拌部材70Rの回転軸を含む断面における撹拌部73の断面形状の面積S71,S72は、第2端部72から遠い側の面積S71に比べて、第2端部72に近い側の面積S72の方が小さくなる。さらに、撹拌部材70Rにおいては、面積S71側の抵抗面78の表面積に比べて、面積S72側の抵抗面78の表面積の方が広い。
撹拌部材70Rにおいては、第2端部72に近づくにつれて、抵抗面78の幅は広くしながら、断面の面積が小さくなる。撹拌部材70Rの体積は、第2端部72に近づくにつれて小さくなる。換言すると、撹拌部材70Rの体積は、第2端部72から遠い側に比べて、第2端部72に近い側の方が小さくなる。撹拌部材70Rは、第2端部72側の軽量化が可能となり、収容部64(図68等参照)に向かってより確実に収納されることが可能となる。
また、撹拌部材が回動して起立状態S1から倒伏状態S2に遷移するとき、撹拌部材が米(被撹拌物)に上向きの力を及ぼすことにより、米が跳ね上がったり飛び散ったりしてしまうという現象は、モーメントの大きい先端で最も生じやすい。撹拌部材70Rによると、面積および先端の体積が減少するため、米に及ぼす力が小さくなり、米の跳ね上げ等を防止することも可能となる。
図75に示すように、撹拌部材70Rにおいては、撹拌部73が起立状態を形成している状態において、抵抗面78のうちの第1端部寄りの部分は、抵抗面78のうちの第2端部72寄りの部分に比べて、第2回転方向(矢印AR2方向)の前方側に位置している。換言すると、抵抗面78は、第2回転方向(矢印AR2方向)に対して前傾しており、抵抗面78のうちの重力方向の上方側の部分は、抵抗面78のうちの重力方向の下方側の部分に比べて、第2回転方向(矢印AR2方向)の前方側に位置している。
図76および図77に示すように、撹拌部材70Rによれば、撹拌部材70Rの抵抗面78が被撹拌物から矢印DR2方向(図76参照)の力を受けたとき、撹拌部73の抵抗面78が形成された部分S73(図76参照)には、上向きの力(矢印DR4参照)が発生する。撹拌部材70Rは、収容部64(図68等参照)に向かってより確実に収納されることが可能となる。
(変形例1)
図78に示す撹拌部材70Sのように、撹拌部73が起立状態を形成している状態において、抵抗面78のうちの第1端部寄りの部分は、抵抗面78のうちの第2端部72寄りの部分に比べて、第2回転方向(矢印AR2方向)の後方側に位置していてもよい。換言すると、抵抗面78は、第2回転方向(矢印AR2方向)に対して後傾しており、抵抗面78のうちの重力方向の上方側の部分は、抵抗面78のうちの重力方向の下方側の部分に比べて、第2回転方向(矢印AR2方向)の後方側に位置している。
撹拌部材70Sにおいては、撹拌部材70Sの抵抗面78が被撹拌物から矢印DR2方向の力を受けたとき、撹拌部73の抵抗面78が形成された部分S73には、下向きの力(矢印DR5参照)が発生する。撹拌部材70Sによっても、上述の実施の形態11と同様に、抵抗面78で受けた力を効果的に活用することによって回動し、収容部64(図68等参照)に向かって確実に収納されることが可能となる。
(変形例2)
図79に示す撹拌部材70T1の抵抗面78は、撹拌部73が起立状態を形成している状態において、第2回転方向(矢印AR2方向)において最も前方側に位置する先端部78Fと、先端部78Fから鉛直方向の上方に延びる上側面78Wと、先端部78Fから鉛直方向の下方に延びる下側面78Yと、第2回転方向(矢印AR2方向)において最も後方側に位置する後端部78Rと、を有する。
撹拌部材70T1においては、上側面78Wを第2回転方向(矢印AR2方向)における前方側に投影した際に得られる投影形状の面積S74に比べて、下側面78Yを第2回転方向(矢印AR2方向)における前方側に投影した際に得られる投影形状の面積S75の方が大きい。
撹拌部材70T1によれば、撹拌部材70T1の抵抗面78が被撹拌物から力を受けたとき、撹拌部73の抵抗面78が形成された部分S73には、上向きの力(矢印DR4参照)が発生する。撹拌部材70T1は、収容部64(図68等参照)に向かってより確実に収納されることが可能となる。
(変形例3)
図80に示す撹拌部材70T2においては、撹拌部73のうちの抵抗面78を含む部分における第2回転方向(矢印AR2方向)に沿った断面の断面形状が、先端部78Fと後端部78Rとを含む。先端部78Fと後端部78Rとを結ぶ直線C70は、第2回転方向(矢印AR2方向)に対して前傾しており、第2回転方向(矢印AR2方向)の前方側において第2回転方向に対して鉛直方向の上側を向いている。
撹拌部材70T2によっても、撹拌部材70T1(図79参照)と同様に、撹拌部材70T2の抵抗面78が被撹拌物から矢印DR2方向の力を受けたとき、撹拌部73の抵抗面78が形成された部分S73には、上向きの力(矢印DR4参照)が発生する。撹拌部材70T2は、収容部64(図68等参照)に向かってより確実に収納されることが可能となる。
(変形例4)
図81に示す撹拌部材70T3は、図79および図80における撹拌部材70T1,70T2の上側面78Wに相当する部位を備えていない。撹拌部材70T3によっても、撹拌部材70T1,70T2と同様に、撹拌部材70T3の抵抗面78が被撹拌物から矢印DR2方向の力を受けたとき、撹拌部73の抵抗面78が形成された部分S73には、上向きの力(矢印DR4参照)が発生する。撹拌部材70T3は、収容部64(図68等参照)に向かってより確実に収納されることが可能となる。
(変形例5)
図82に示す撹拌部材70T4においては、先端部78Fと後端部78Rとを結ぶ直線C70は、第2回転方向(矢印AR2方向)に対して後傾しており、第2回転方向(矢印AR2方向)の前方側において第2回転方向に対して鉛直方向の下側を向き、第2回転方向(矢印AR2方向)の後方側において上記第2回転方向に対して鉛直方向の上側を向いている。
撹拌部材70T4においては、抵抗面78が被撹拌物から矢印DR2方向の力を受けたとき、撹拌部73の抵抗面78が形成された部分S73には、下向きの力(矢印DR5参照)が発生する。撹拌部材70T4によっても、上述の実施の形態11と同様に、抵抗面78で受けた力を効果的に活用することによって回動し、収容部64(図68等参照)に向かって確実に収納されることが可能となる。
(変形例6)
図83に示す撹拌部材70T5においては、断面形状が翼状に形成され、先端部78Fと後端部78Rとを結ぶ線C71は、鉛直方向の上側に凸となるように反っている。撹拌部材70T5によっても、抵抗面78が被撹拌物から矢印DR2方向の力を受けたとき、撹拌部73の抵抗面78が形成された部分S73には、上向きの力(矢印DR4参照)が発生する。撹拌部材70T5は、収容部64(図68等参照)に向かってより確実に収納されることが可能となる。
(変形例7)
図84に示す撹拌部材70T6においては、撹拌部73の下方側に、突出部73Gが設けられる。撹拌部材70T6によっても、抵抗面78が被撹拌物から矢印DR2方向の力を受けたとき、撹拌部73の抵抗面78が形成された部分S73には、上向きの力(矢印DR4参照)が発生する。撹拌部材70T6は、収容部64(図68等参照)に向かってより確実に収納されることが可能となる。
(変形例8)
図85に示す撹拌部材70T7においては、断面形状が長方形状に形成される。撹拌部材70T7においては、抵抗面78が被撹拌物から矢印DR2方向の力を受けたとき、撹拌部73の抵抗面78が形成された部分S73には、矢印DR2方向と平行な方向の力(矢印RR6方向)が発生する。撹拌部材70T7によっても、上述の実施の形態11と同様に、抵抗面78で受けた力を効果的に活用することによって回動し、収容部64(図68等参照)に向かって確実に収納されることが可能となる。
(変形例9)
図86に示す撹拌部材70T8においては、断面形状が円形状に形成される。撹拌部材70T8においては、抵抗面78が被撹拌物から矢印DR2方向の力を受けたとき、撹拌部73の抵抗面78が形成された部分S73には、矢印DR2方向と平行な方向の力(矢印RR6方向)が発生する。撹拌部材70T8によっても、上述の実施の形態11と同様に、抵抗面78で受けた力を効果的に活用することによって回動し、収容部64(図68等参照)に向かって確実に収納されることが可能となる。
[実施の形態14]
(撹拌部材70U1)
図87および図88を参照して、本実施の形態における撹拌部材70U1について説明する。図87は、撹拌部材70U1が回動し、起立状態から倒伏状態に遷移する際の様子を示す模式図である。図88は、図87中のLXXXVIII−LXXXVIII線に沿った矢視断面図である。撹拌部材70U1は、上述の実施の形態1,10における炊飯器100,200と同様な炊飯器、または、上述の実施の形態1,10,11における回転体50,60,60Aと同様な回転体に適用されることができる。
図87に示すように、撹拌部材70U1の撹拌部73は、起立状態(S1)から倒伏状態(S2)へ回動する回動方向(矢印DR1方向)の最も前方側に位置する回動前縁部79を有する。撹拌部材70U1の回動前縁部79は、上述の各実施の形態における撹拌部材の撹拌用前縁部(74)に対応している。
図88に示すように、撹拌部73が起立状態S1を形成しているときの撹拌部材70U1の回転軸に対して直交する断面における撹拌部73の断面形状S79は、回動前縁部79に近づくにつれて幅が小さくなるように形成されている。さらに、回動前縁部79に形成される内角A79は、鋭角となっている。
撹拌部材70U1によれば、回動前縁部79が細く形成されていることによって、撹拌部材70U1の回動時に被撹拌物が撹拌部材70U1に乗っかって上昇するという、いわゆる掬い上げの現象を抑制することが可能となる。
(変形例1)
図89に示す撹拌部材70U2のように、回動前縁部79に形成される内角A79は、鋭角となっていなくてもよい。この場合、撹拌部73が起立状態S1を形成しているときの回動方向(矢印DR1方向)に対して直交する方向における回動前縁部79の幅W79は、3mm(一般的な米の代表長さ)以下であるとよい。撹拌部材70U2によっても、回動前縁部79が細く形成されていることによって、撹拌部材70U1の回動時に被撹拌物が撹拌部材70U1に乗っかって上昇するという、いわゆる掬い上げの現象を抑制することが可能となる。
(比較例10)
図90は、実施の形態14に係る比較例10における撹拌部材70U3を示す模式図である。撹拌部材70U3は、上述の実施の形態14の撹拌部材70U1における回動前縁部79に相当する部位を備えていない。撹拌部材70U3の回動前縁部は、回動前縁部に近づくにつれて幅が小さくなるようには形成されていない。
撹拌部材70U3を起立状態から倒伏状態に遷移させたとき、撹拌部材70U3は、米92を掬い上げる可能性が高い。撹拌部材U3が米92を掬い上げたままの状態となると、衛生上または清掃上の観点からあまり好ましくない。多くの米92が掬い上げられて回転体60Cなどに付着すると(矢印DR10参照)、回転体60Cの動作に不具合が生じる恐れもある。回転体60Cなどに付着した米は、そのまま炊き上がったりすることもあり得る。
(変形例2)
図91〜図93に示す撹拌部材70U4のように、回動前縁部79は、第2端部72に近づくにつれて回転半径方向の内側に向かって湾曲しているとよい。蓋体30D(図93参照)に設けられた回転体60D(図93参照)が回転し、撹拌部材70U4が起立状態S1から倒伏状態S2へ遷移するにつれて、第2端部72近傍の回動前縁部79の形状が、円周に沿う形状となる。
撹拌部材70U4は、被撹拌物の流れに沿うように回動することとなるため(矢印DR20参照)、回動する際に撹拌部材70U4に及ぶ流体の抵抗力が小さくなる。回動を始めた時(図91に示す状態)は、まっすぐな撹拌部材(次述する比較例11の撹拌部材70U5)とほぼ同じ挙動を示すが、回動が進むにつれて(図92に示す状態)、撹拌部材70U4に作用する抗力が小さくなる。
撹拌部材70U4の回動前縁部79のうちの湾曲している部分は、上昇速度が低下し、ゆっくり上昇し始める。これに伴って、撹拌部材70U4のうちの米92の跳ね上げに供される部分の移動速度は遅くなる。撹拌部材70U4によれば、いわゆる掬い上げの現象をより一層抑制することが可能となる(図93参照)。撹拌部材70U4のうちの米92の跳ね上げに供される部分の移動速度が遅くなるため、もし跳ね上げたとしても米92の初速は小さく、米92はすぐに内鍋20内に戻ることができる。
(比較例11)
図94〜図96に示す撹拌部材70U5は、回動前縁部79が、第2端部72に近づくにつれて回転半径方向の内側に向かって湾曲するようには形成されていない。蓋体30E(図96参照)に設けられた回転体60E(図96参照)が回転するとき、撹拌部材70U5は、被撹拌物の流れに沿うように回動することはなく、回動する際に撹拌部材70U5に及ぶ流体の抵抗力は、上述の撹拌部材70U4に比べて大きくなる。
撹拌部材70U5が回動を始めた時(図94に示す状態)は、上述の撹拌部材70U4とほぼ同じ挙動を示すが、回動が進むにつれて(図95に示す状態)、撹拌部材70U5に作用する抗力は大きくなる。撹拌部材70U5のうちの米92の跳ね上げに供される部分の移動速度は、撹拌部材70U5が回動したとしても、遅くなることはない。撹拌部材70U5によれば、米92が掬い上げられて回転体60Eなどに付着するおそれがある(矢印DR21参照)。
(変形例3)
図97および図98に示す撹拌部材70U6のように、回動前縁部79は、回転軸90に対して直交する断面における回動前縁部79の延在方向が、回動時に回動方向(矢印DR1方向)に対して重ならないように、回動方向(矢印DR1方向)からずれて形成されているとよい。図98に示すように、本変形例では、回動前縁部79は、回動前縁部79の延在方向が、第2回転方向(矢印AR2方向)の前方に向かうにつれて撹拌部材70U6の回転軸に近づくように形成されている。
撹拌部材70U6は、蓋体30F(図98参照)に設けられた回転体60F(図98参照)が回転することにより回動し、起立状態から倒伏状態に遷移する。撹拌部材70U6が回動する際、撹拌部材70U6の第2回転方向(矢印AR2方向)の回転により、円周方向に沿うように米92および水93は流れる。撹拌部材70U6の回動により、上方向の力が米92に作用する。回動前縁部79の延在方向が回動方向(矢印DR1方向)からずれて形成されていることにより、米92の移動方向は、上方向でなくなり、斜め上方向になる(矢印DR30参照)。
撹拌部材70U6によれば、いわゆる掬い上げの現象をより一層抑制することが可能となる。もし跳ね上げたとしても米92の初速は小さく、米92はすぐに内鍋20内に戻ることができる。
(変形例4)
図99に示す撹拌部材70U7のように、回動前縁部79は、回動前縁部79の延在方向が、第2回転方向(矢印AR2方向)の前方に向かうにつれて、撹拌部材70U6の回転軸から遠ざかるように形成されていてもよい。撹拌部材70U7によっても、撹拌部材70U6(図98参照)と同様に、いわゆる掬い上げの現象をより一層抑制することが可能となる。もし跳ね上げたとしても米92の初速は小さく、米92はすぐに内鍋20内に戻ることができる。
(比較例12)
図100に示す撹拌部材70U8は、回動前縁部79が、回転軸90に対して直交する断面における回動前縁部79の延在方向が、回動時に回動方向(矢印DR1方向)に対して重なるように形成されている。撹拌部材70U8の回動により、上方向の力が米92に作用する。回動前縁部79の延在方向が回動方向(矢印DR1方向)からずれて形成されていないことにより、米92の移動方向は、上方向となる。撹拌部材70U8によれば、撹拌部材70U,70U7に比べて、いわゆる掬い上げの現象をより一層抑制することは難しい。
(変形例5)
図101に示す撹拌部材70V1のように、回動前縁部79は、第2端部72に近づくにつれて、回動方向(矢印DR1方向)の前方側に向かうように延在しているとよい。蓋体30G(図96参照)に設けられた回転体60G(図96参照)が第2回転方向(矢印AR2方向)に回転を開始することにより、撹拌部材70V1は回動し始める。回動開始時点において、撹拌部材70V1のうちの水93内に位置する部分の投影面積は、面積S80(図101参照)である。
図102を参照して、回動途中時点において、撹拌部材70V1のうちの水93内に位置する部分の投影面積は、面積S81(図102参照)である。撹拌部材70V1の回転によって撹拌部材70V1が被撹拌物から受ける抗力は、流れの方向に沿った投影面積に関係する。撹拌部材70V1によれば、流れの方向に沿った投影面積は、面積S80から面積S81に向かって比較的早く小さくなる。
図103は、撹拌部材70V1の回動が完了した時点の様子を示している。流れの方向に沿った投影面積が比較的早く小さくなることにより、流体から受ける力によって上昇する速度は、回動途中から遅くなる。撹拌部材70V1のうちの米92の跳ね上げに供される部分の移動速度も遅くなる。撹拌部材70V1によれば、いわゆる掬い上げの現象をより一層抑制することが可能となる。
(比較例13)
図104に示す撹拌部材70V2の回動前縁部79は、第2端部72に近づくにつれて、回動方向(矢印DR1方向)の前方側に向かうように構成されてはいない。回動開始時点において、撹拌部材70V2のうちの水93内に位置する部分の投影面積は、面積S82(図104参照)である。面積S82は、上述の面積S80(図101参照)と等しい。
図105を参照して、回動途中時点において、撹拌部材70V2のうちの水93内に位置する部分の投影面積は、面積S83(図105参照)である。撹拌部材70V2によれば、流れの方向に沿った投影面積は、面積S82から面積S83に向かって比較的遅く小さくなる。
図106は、撹拌部材70V2の回動が完了した時点の様子を示している。流れの方向に沿った投影面積が比較的遅く小さくなることにより、流体から受ける力によって上昇する速度は、撹拌部材70V1に比べて回動途中から遅くならない。撹拌部材70V2のうちの米92の跳ね上げに供される部分の移動速度も、撹拌部材70V1に比べて遅くならない。撹拌部材70V2によれば、撹拌部材70V1に比べて、いわゆる掬い上げの現象をより一層抑制することは難しい。
[実施の形態15]
(蓋体30Hおよび撹拌部材70W1)
図107および図108を参照して、本実施の形態における撹拌部材70W1について説明する。図107に示すように、撹拌部材70W1は、蓋体30Hに設けられた回転体60Hに取り付けられている。回転体60Hが第2回転方向(矢印AR2方向)に回転することにより、撹拌部材70W1も同方向に回転する。
撹拌部材70W1は、撹拌部材70W1が倒伏状態S2を形成しているとき、水平面に対して傾斜し、回転体60Hのうちの内鍋20に対向する面69Sから略三角形状に突出している。回転体60Hが第2回転方向(矢印AR2方向)に回転することにより、撹拌部材70W1も回転する。
図108に示すように、米92および水93から発生したおねば95は、回転する撹拌部材70W1との物理的な接触によって破壊される。おねば95は、撹拌部材70W1から付与された外力によって、複雑な挙動を取る。おねば95同士の接触によっても、おねば95は破壊されることができる。破壊されたおねば95は、米92および水93内に戻される(矢印DR90参照)。撹拌部材70W1は、うまみ成分が外部に漏れ出ることを抑制でき、お米の温度を高温に保つことができるためお米のアルファ化を確実に促進させることができ、美味しい米飯を得ることが可能となる。
蓋体30Hは、回転軸90を通る断面形状が、左右非対称になっていてもよいし、左右対象となっていてもよい。左右非対称の場合、異なる面が回転してくるため、おねばの挙動が複雑になり、破壊をより促進できる。左右対称の場合、回転を行うと、同様の面が回転を続けるため、上がってくるおネバが均一に破壊されるため炊きあがりが均一になる。
(比較例14)
図109に示す撹拌部材70W2は、撹拌部材70W2が倒伏状態S2を形成しているとき、水平面に対して傾斜しておらず、回転体60Hのうちの内鍋20に対向する面69Sから突出もしていない。撹拌部材70W2によれば、回転体60Hのみが回転してしまうおそれがあり、高速回転などの対策を取らない限り、おねば95を破壊できる量は、撹拌部材70W1(図107参照)に比べて低くなる。
撹拌部材70W2は、おねば95を破壊できたとしても、破壊されたおねば95は遠心力により外に飛ばされ、内鍋20の壁面に付着しやすい。うまみ成分は、お米内に戻りにくい。炊きあがり後の美観も、撹拌部材70W1が用いられる場合に比べて損なわれ、清掃作業の負担も増加する。おねば95が回転体60Hに付着し、清掃作業の負担も増加する。
(変形例1)
図110に示す撹拌部材70W3は、いわゆるナイフ状に形成され、第2端部72が上下方向に移動するように構成される(角度A70が変化するように構成される)。撹拌部材70W3が蓋体30Jに設けられた回転体60Jとともに回転するとき、モータが連続的に駆動される。撹拌部材70W3が回転軸90の周りに回転しながら、第2端部72が上下方向に移動することによって、おねば95をより効果的に破壊することが可能となる。
撹拌部材70W3は、回転運動のみならず、たとえば平面内で、往復運動、スライド運動、またはワイパー運動するように構成されてもよい。撹拌部材70W3によれば、半径方向の内側でおねば95が多く破壊され易くなるため、破壊されたおねば95を内鍋20の壁面に付着しにくくすることも可能である。
(変形例2)
図111に示す撹拌部材70W4は、いわゆるナイフ状の形状を有し、内鍋20側の端面に突起部73W1が設けられている。撹拌部材70W4も、おねば95をより効果的に破壊することが可能となる。
(変形例3)
図112に示す撹拌部材70W5は、いわゆるナイフ状の形状を有し、内鍋20側の端面に突起部73W2が設けられている。突起部73W2は、突起部73W1(図111)に比べて大きさが大きい。撹拌部材70W5も、おねば95をより効果的に破壊することが可能となる。
(変形例4)
図113に示す蓋体30Kには、撹拌部材70W6を有する回転体60Kが設けられる。回転体60Kおよび撹拌部材70W6は、略同一高さ位置に配置され、撹拌部材70W6の一部が回転体60Kよりも下方側に突出している。当該構成によっても、おねば95は、撹拌部材70W6から付与された外力によって、複雑な挙動を取る。おねば95同士の接触によって、おねば95は破壊されることができる。破壊されたおねば95は、米92および水93内に戻される。撹拌部材70W6は、うまみ成分が外部に漏れ出ることを抑制でき、お米の温度を高温に保つことができるためお米のアルファ化を確実に促進させることができ、美味しい米飯を得ることが可能となる。
(変形例5)
図114および図115を参照して、回転体60K1には、撹拌部材70W7が用いられる。撹拌部材70W7が倒伏状態S2を形成しているとき、撹拌部材70W7は本体60Mに設けられた収容部64X,64W,64Y内に配置される。回転体60K1および撹拌部材70W7は、略同一高さ位置に配置され、撹拌部材70W7の一部が回転体60K1よりも下方側(内鍋20側)に突出するように構成されている。
当該構成によっても、おねばは、撹拌部材70W7から付与された外力によって、複雑な挙動を取る。おねば同士の接触によって、おねばは破壊されることができる。破壊されたおねばは、米および水内に戻される。撹拌部材70W7は、うまみ成分が外部に漏れ出ることを抑制でき、お米の温度を高温に保つことができるためお米のアルファ化を確実に促進させることができ、美味しい米飯を得ることが可能となる。
(変形例6)
図116および図117を参照して、回転体60K2には、撹拌部材70W8が用いられる。撹拌部材70W8が倒伏状態S2を形成しているとき、撹拌部材70W8は本体60Mに設けられた収容部64P,64Q,64R,64S内に配置される。回転体60K2および撹拌部材70W8は、略同一高さ位置に配置され、撹拌部材70W8の一部が回転体60K2よりも下方側(内鍋20側)に突出するように構成されている。
当該構成によっても、おねばは、撹拌部材70W8から付与された外力によって、複雑な挙動を取る。おねば同士の接触によって、おねばは破壊されることができる。破壊されたおねばは、米および水内に戻される。撹拌部材70W8は、うまみ成分が外部に漏れ出ることを抑制でき、お米の温度を高温に保つことができるためお米のアルファ化を確実に促進させることができ、美味しい米飯を得ることが可能となる。
(変形例7)
図118を参照して、蓋体30Lには、撹拌部材70W9を有する回転体60Lが取り付けられる。撹拌部材70W9は、駆動されることによって内鍋20の方向に向かって気流を発生させる(矢印DR95参照)。撹拌部材70W9は、おねば95に対して非接触で外力を付与することができる。
図119に示す撹拌部材70W9aのように、プロペラ形状(ファン形状)を有する撹拌部材が用いられてもよい。撹拌部材70W9aは、おねば95に対して非接触でより強い外力を付与することができる。当該構成によっても、おねば95は、撹拌部材70W9,70W9aから付与された外力によって、複雑な挙動を取る。おねば95同士の接触によって、おねば95は破壊されることができる。破壊されたおねば95は、米92および水93内に戻される。撹拌部材70W9,70W9aは、うまみ成分が外部に漏れ出ることを抑制でき、お米の温度を高温に保つことができるためお米のアルファ化を確実に促進させることができ、美味しい米飯を得ることが可能となる。
(変形例8)
図120および図121を参照して、本変形例の蓋体30Lには、撹拌部材70W9bが設けられる。撹拌部材70W9bは、その第1端部71が揺動軸99によって揺動可能に軸支されている。撹拌部材70W9bは、揺動軸99が駆動装置98によって駆動されることによって、略水平面内において揺動軸99を中心として揺動する(図121中の矢印参照)。なお、撹拌部材70W9bの取付角度は、水平面に対して平行である場合に限られず、水平面に対して傾斜していてもよい。
当該構成によっても、おねばは、撹拌部材70W9bから付与された外力によって、複雑な挙動を取る。おねば同士の接触によって、おねばは破壊されることができる。破壊されたおねばは、米および水内に戻される。撹拌部材70W9bは、うまみ成分が外部に漏れ出ることを抑制でき、お米の温度を高温に保つことができるためお米のアルファ化を確実に促進させることができ、美味しい米飯を得ることが可能となる。
図122を参照して、撹拌部材70W9b(図120,図121参照)の他の構成としての撹拌部材70W9cは、揺動の前後において平行状態が維持されるように揺動駆動される。当該構成によっても、おねばは、撹拌部材70W9b(図120,図121参照)の場合と同様に、撹拌部材70W9cから付与された外力によって、複雑な挙動を取る。おねば同士の接触によって、おねばは破壊されることができる。破壊されたおねばは、米および水内に戻される。撹拌部材70W9cは、うまみ成分が外部に漏れ出ることを抑制でき、お米の温度を高温に保つことができるためお米のアルファ化を確実に促進させることができ、美味しい米飯を得ることが可能となる。
(変形例9)
図123を参照して、蓋体30L1には、図示しない撹拌部材を有する回転体60L1が取り付けられる。回転体60L1のうちの内鍋20に対向する表面65には、平坦部65sから凹むような凹部65tが設けられる。凹部65tの表面形状は、径方向の内側の部分に比べて径方向の外側の部分の方が内鍋20の底部寄りに位置するように形成されている。
凹部65tに接触したおねば95は、回転体60L1の回転力によって、径方向の外側に向かって飛ばされる(矢印DR96参照)。おねば95は、平坦部65sおよび凹部65tの間の凸部に衝突して、破壊される。破壊されたおねば95は、米92および水93内に戻される(矢印DR97参照)。蓋体30L1および回転体60L1も、うまみ成分が外部に漏れ出ることを抑制でき、お米の温度を高温に保つことができるためお米のアルファ化を確実に促進させることができ、美味しい米飯を得ることが可能となる。
(変形例10)
図124を参照して、蓋体30L2には、図示しない撹拌部材を有する回転体60L2が取り付けられる。回転体60L2のうちの内鍋20に対向する表面65には、平坦部65sから凹むような凹部65t1,65t2,65t3が設けられる。凹部65t1,65t2,65t3は、径方向の外側に向かうにつれて内鍋20との距離が短くなる階段形状を有する。蓋体30L2および回転体60L2も、うまみ成分が外部に漏れ出ることを抑制でき、お米の温度を高温に保つことができるためお米のアルファ化を確実に促進させることができ、美味しい米飯を得ることが可能となる。
(変形例11)
図125を参照して、蓋体30L3には、図示しない撹拌部材を有する回転体60L3が取り付けられる。回転体60L3のうちの内鍋20に対向する表面65には、平坦部65sから円錐状に凹むような凹部65vが設けられる。蓋体30L3および回転体60L3も、うまみ成分が外部に漏れ出ることを抑制でき、お米の温度を高温に保つことができるためお米のアルファ化を確実に促進させることができ、美味しい米飯を得ることが可能となる。
(変形例12)
図126を参照して、蓋体30L4には、図示しない撹拌部材を有する回転体60L4が取り付けられる。回転体60L4のうちの内鍋20に対向する表面65には、平坦部65sから円錐台状に凹むような凹部65w,65xが設けられる。蓋体30L4および回転体60L4も、うまみ成分が外部に漏れ出ることを抑制でき、お米の温度を高温に保つことができるためお米のアルファ化を確実に促進させることができ、美味しい米飯を得ることが可能となる。
(変形例13)
図127〜図131を参照して、本変形例における撹拌部材70Yについて説明する。撹拌部材70Yは、撹拌用前縁部74(回動前縁部79)と、延在部75とを有する。撹拌部材70Yは、上述の各実施の形態における構成を備えており、内鍋内に収容された被撹拌物の全体(撹拌部材70Fに比べて内鍋20の中心付近に存在している被撹拌物、および、内鍋20の底付近に存在している被撹拌物)に及ぶような流れを形成し、被撹拌物の全体を、高い撹拌効率でより均一に撹拌することができる。
撹拌部材70Yによれば、第2端部72の近傍での圧力差に起因して流れの乱れが発生することを効果的に抑制することが可能となる。米92同士が衝突して米92に割れが発生したり、栄養素が米92の表面から剥離したりすることも効果的に抑制される。撹拌部材70Yによれば、接触および非接触の双方の手段でおねばを破壊することも可能である。
以上、本発明に基づいた各実施の形態および各実施例について説明したが、今回開示された各実施の形態および各実施例はすべての点で例示であって制限的なものではない。本発明の技術的範囲は特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。