図1は、本発明の実施形態に係る楽曲配信システムの構成を示す図である。本実施形態の楽曲配信システムは、投稿楽曲データの公開、配信管理を行うサーバ装置3と、カラオケボックスやスナックなどカラオケ店舗に配置されたカラオケ装置2a〜2c…(以下、符号「2」を使用する)を有して構成されている。サーバ装置3は、これらカラオケ装置2、並びに、ユーザ端末(パーソナルコンピュータ6a、6b、スマートフォンやタブレット端末等の各種携帯情報端末7)とインターネットなどのネットワーク網を介して通信することが可能である。
図2には、本発明の実施形態に係るサーバ装置3の構成が示されている。サーバ装置3は、いわゆるコンピュータ装置であって、CPUやROM、RAMなどで構成され、各種プログラムを実行可能な制御手段36と、ハードディスクなどの記憶手段38、前述したユーザ端末やカラオケ装置2と通信を行う通信手段37を備えて構成されている。通信手段37は、ルータ4を介してネットワーク網に接続され、各種ユーザ端末やカラオケ装置2と通信可能となっている。ユーザ端末中、携帯情報端末7は、携帯電話通信網用、あるいは、無線LAN用の無線通信装置5を介して無線でネットワーク網にアクセスすることが可能である。
本実施形態の楽曲配信システム中のサーバ装置3は、このような構成により、ユーザ端末(第1通信端末)から投稿された投稿楽曲データを受信して記憶手段38に記憶させる受信処理、記憶した投稿楽曲データをユーザ端末(第2通信端末)に対して公開可能とする公開処理、並びに、公開処理で公開された投稿楽曲データをカラオケ店舗側に設置されたカラオケ装置2に配信する配信処理を実行可能としている。なお、ユーザ端末中、第1通信端末と第2通信端末とは、その構成上に違いは無く、受信処理の対象となる、投稿楽曲データを作成し、サーバ装置3に投稿するユーザ端末を第1通信端末、公開処理の対象となる、投稿された投稿楽曲データを投稿楽曲サイトで閲覧するユーザ端末を第2通信端末と、便宜上、名称を付与している。
特に、本実施形態では、投稿楽曲データがユーザ端末に公開されたことを条件として、カラオケ装置2に配信することとしている。このような形態により、ユーザ端末で広く公開されることでユーザに認知された投稿楽曲は、音響設備の整ったカラオケ店舗において歌唱を楽しむことも可能となる。このように本実施形態の楽曲配信システムを使用することにより、一般ユーザにより作成された楽曲を広く披露する場を提供するとともに、カラオケ店舗利用の拡大を図ることが可能となる。
さらに、本実施形態では、投稿楽曲データのカラオケ装置2への配信は、所定の条件を満たしたものを対象としている。具体的には、ユーザ端末にて公開された投稿楽曲データについて、所定の支援が得られたことを条件としてカラオケ装置2に配信することとしている。ユーザから投稿された投稿楽曲データを無条件にカラオケ装置2に配信することも技術的には可能であるが、投稿楽曲データが数多く投稿された場合、楽曲配信システムにかかる負荷は大きくなることが予想される。
したがって、本実施形態では、投稿楽曲データ中、ユーザから所定の支援情報が得られたものをカラオケ装置2に配信することとしている。ユーザによる支援とは、金額(金銭)、ポイントなどの対価の支払いの他、公開された投稿楽曲データに対して受け付けた評価ボタンの押下数、公開された投稿楽曲データに対して受け付けた投票数、再生回数など各種形態の支援情報を採用することが考えられる。なお、支援情報は、金額、ポイントなどによる対価の支払の場合、ユーザの種別を問うものではない。すなわち、投稿楽曲データを投稿者したユーザであっても所定の対価の支払いを行うことで、自己が投稿した投稿楽曲データをカラオケ装置2に配信することが可能である。一方、公開された投稿楽曲データに対して受け付けた評価ボタンの押下数、投票数、再生回数と行った場合、投稿したユーザ自身によるものを排除することが好ましい。
以下に説明する実施形態では、カラオケ会員を対象としたポイントを支援情報として採用した形態である。サーバ装置3は、公開された投稿楽曲データに対して支払われたポイントが、予め設定されたポイントに達したことを判定する判定処理を実行し、判定処理での条件を満たしたことを条件としてカラオケ装置2に対する配信処理が実行される。このようにカラオケ装置2に対する投稿楽曲データの配信条件を設けることで、ネットワーク網のトラフィック量の増大、カラオケ装置2の記憶手段の圧迫など、楽曲配信システムに対する負荷を軽減するとともに、楽曲配信にかかるコストを補うことが可能となる。支援情報として、クレジットカードなどによる金額の支払い、評価ボタンの押下数、あるいは、投票数を支援情報として採用した場合、ポイントと同様に、所定の値(閾値)を獲得した投稿楽曲データが配信の対象とされる。なお、支援情報は、複数の形態を組み合わせることとしてもよい。
図3は、投稿楽曲データの配信対象となるカラオケシステムの構成を示す図である。本実施形態におけるカラオケシステムは、カラオケ装置2(別称「コマンダ」ともいう)とリモコン装置1を有して構成されている。カラオケ装置2は、LAN100で構されたネットワークを介して通信接続されている。また、カラオケ装置2を遠隔操作するためのリモコン装置1は、LAN100に接続されたアクセスポイント110を介して同ネットワークに通信接続されている。カラオケ装置2とリモコン装置1a、1bはネットワークを介して互いに通信可能となっている。なお、図3は、1台のカラオケ装置2に対して、リモコン装置1aとリモコン装置1b、2台のリモコン装置1が使用された例が示されている。これらリモコン装置1a、1bの構成は同一であるため、リモコン装置1として説明を行う。
カラオケボックスなどの店舗に設置されるカラオケ装置2は、楽曲を再生するための再生手段として音響制御部25を備えている。また、カラオケ装置2は、ユーザからの各種入力を受け付けるスイッチなどで構成されるカラオケ装置側入力手段としての操作部21を備える。カラオケ装置2は、操作部21からの入力を解釈して制御部30に伝達する操作処理部22を備える。また、カラオケ装置2は、各種情報を記憶するカラオケ装置側記憶手段としてのHDD32(ハードディスク)を備える。カラオケ装置2は、LAN100に接続してネットワークに加入するためのカラオケ装置側通信手段としてのインターフェイス部24を備えている。
また、カラオケ装置2は、モニタ41に対して歌詞映像、背景映像を表示させる映像再生手段を備える。この映像再生手段は、映像情報に基づいて映像を再生する映像再生部29、再生する映像を一時的に蓄積するビデオRAM28、再生された映像に対して歌詞テロップを重畳したり、映像効果を付与する映像制御部31を備えて構成される。
さらに、このカラオケ装置2では、外部に接続されたモニタ41以外に、タッチパネルモニタ33に対して各種情報を表示することを可能としている。タッチパネルモニタ33は、映像制御部31から入力された映像情報を表示する表示部35と、タッチ入力された位置を操作処理部22に出力するタッチパネル34が重畳されて構成されている。
図4は、本発明の他の実施形態に係るカラオケ装置2の正面図を示したものである。カラオケ装置2の正面となるフロントパネルの右側には、各種スイッチ、ボリュームなど、ユーザからの各種操作を受け付ける操作部21が配置されている。また、フロントパネル左側にはタッチパネルモニタ33が配置されている。なお、操作部21には、再生開始操作、ストップ操作などの機能キーが設けられるが、これら機能キーをタッチパネルモニタ33のタッチ画面上に設けることとしてもよい。
本実施形態では、このタッチパネルモニタ33に対して、外部に接続されたモニタ33と同様、再生されている楽曲の歌詞表示を行うことが可能となっている。その際、モニタ41と同一画面の歌詞表示を行うこととしてもよいが、タッチパネルモニタ33は、モニタ41と比較して小さい画面であるため、歌詞文字を大きく表示したり、背景映像を使用しないなど、モニタ41とは異なる形態で歌詞表示を行うこととしてもよい。
さらに、本実施形態のタッチパネルモニタ33は、リモコン装置1の操作手段と同様の操作手段として機能することも可能となっている。ユーザはタッチパネルモニタ33から楽曲を選択して、直接カラオケ装置2に予約をさせるなど、リモコン装置1と同等の操作手段機能を利用することが可能である。前述した歌詞表示機能と、この操作手段機能との切り替えは、カラオケ装置2のフロントパネルに配置された操作部21に対し所定の操作を行うことで切り替えられる。また、カラオケ装置2における楽曲再生時には、歌詞表示機能に自動で切り替えることとしてもよい。なお、再生中であってタッチパネルモニタ33に歌詞表示されている場合においても、操作部21の操作にて操作手段機能に切り替えることも可能である。
さらに、カラオケ装置2は、各構成を統括して制御するためのカラオケ装置側制御手段として、CPUにて構成される制御部30、各種プログラムを実行するにあたって必要となる情報を一時記憶するためのメモリ27を備えて構成される。
このような構成にてカラオケ装置2は、各種処理を実行することとなるが、カラオケ装置2の主な機能として、楽曲予約処理、楽曲再生処理などを実行可能としている。楽曲予約処理は、ユーザからの指定に基づいて楽曲を指定、予約するための処理であってリモコン装置1と連携して実行される。リモコン装置1から送信された予約情報をメモリ27に記憶する予約テーブルに登録する。楽曲再生処理は、予約された楽曲を再生させる処理であって、演奏処理と歌詞再生処理とが同期して実行される処理である。
演奏処理は、楽曲データに含まれる伴奏データなどを音響制御部25にて演奏させる処理である。音響制御部25にて演奏された楽曲は、歌唱用マイク44a、44bから入力される歌唱音声と一緒にスピーカ42から放音される。歌詞再生処理は、楽曲データに含まれる歌詞データをモニタ41に表示させることで歌唱補助を行う処理である。この歌詞再生処理で表示される歌詞に、背景映像を重畳させて表示させる背景映像表示処理を実行することとしてもよい。
一方、リモコン装置1は、予約情報などカラオケ装置2に対して各種指示を送信するとともに、カラオケ装置2あるいはインターネット上に接続されたサーバ装置3から各種情報を受信する。リモコン装置1は、リモコン側表示手段としての表示部11と、ユーザからの各種入力を受け付けるリモコン側入力手段としての操作部17とを備える。また、リモコン装置1は、アクセスポイント110に無線接続し、ネットワークに加入するためのリモコン側通信手段としての無線LAN通信部16を備える。
さらにリモコン装置1は、楽曲検索に必要とされるデータベース、各種プログラム、並びに、プログラム実行に伴って発生する各種情報を記憶するリモコン側記憶手段としてメモリ14、そして、これら構成を統括して制御するためのリモコン側制御手段を備えて構成される。リモコン側制御手段には、CPUにて構成される制御部15、表示部11に対して表示する映像を形成する映像制御部13、表示する映像情報を一時的に蓄えるビデオRAM12、操作部17からの入力を解釈して制御部15に伝達する操作処理部18が含まれている。また、リモコン装置1の表示部11と操作部17は一体となってタッチパネル表示画面を形成することとしてもよい。
また、リモコン装置1は、無線LAN通信部16によって、アクセスポイント110と無線接続されることで、LAN100によって構成されるネットワークに接続される。なお、各リモコン装置1は、特定のカラオケ装置2に対して事前に対応付けされている。リモコン装置1から出力される各種命令は、対応付けされたカラオケ装置2にて受信されることとなる。
このようなリモコン装置1の構成により、ユーザからの各種入力を操作部17にて受付けるとともに、映像情報を表示部11に表示してユーザに対して各種情報を提供するとともに、カラオケ装置2に対して楽曲予約などの各種指示を送信することが可能とされている。
図5は、本発明の実施形態に係る投稿楽曲データのデータ構成を示す図である。投稿楽曲データは、図1で説明したようにユーザによって作成、サーバ装置3に対して送信されたデータであって、業者側で設定した規格に従い、ユーザにより各種機器で作成され、第1通信端末としてのパーソナルコンピュータ6からサーバ装置3に送信されるデータである。本実施形態の投稿楽曲データは、投稿楽曲データの各種属性を示す属性データ、再生の際、使用される複数の楽曲要素データを含んで構成されている。楽曲要素データは、伴奏データと、楽曲関連データに大別され、楽曲関連データには、ボーカルデータ、コーラスデータ、歌詞データ、背景映像データが含まれている。
各楽曲関連データは、各データ毎のファイル構成を採用してもよく、あるいは、歌詞データと背景映像データを1ファイル中に収める、あるいは、背景映像データとボーカルデータを1ファイル中に収めるなど、各種形態を採用することが可能である。また、投稿楽曲データ中、各楽曲関連データは、全てが必須である必要は無く、ユーザによって適宜構成され、サーバ装置3に投稿(アップロード)することが可能である。また、伴奏データを含まない場合(アカペラ、ボイスパーカッション)や、歌詞データを含まない場合でも投稿することは可能である。
属性データとして曲番号などの楽曲識別情報、投稿者名、歌手名、楽曲名、ジャンル、投稿日などを含んで構成されている。これら属性データは、投稿楽曲を検索、再生などのために指定するための情報として用いられる。楽曲識別情報は、業者側で多数の投稿楽曲データを管理するため、サーバ装置3への投稿時、サーバ装置3側で付与される属性データである。
本実施形態の伴奏データ、ボーカルデータ、コーラスデータは、mp3規格などで圧縮された音声圧縮データが使用されている。このうち、伴奏データには、音声圧縮データ以外に、MIDI規格に即して作成されたMIDIデータを採用することも可能である。
歌詞データ(テロップデータ)は、演奏情報による演奏に同期してモニタ41に歌詞を表示させるためのデータである。この歌詞データは、伴奏データの再生に同期して表示されるように構成されている。さらに好ましくは、表示された歌詞が伴奏データの再生に同期して色替えされ、ユーザに対して歌唱箇所の詳細な指示を行うように構成される。
本実施形態の楽曲配信システムでは、図1で説明したユーザ端末への公開時と、カラオケ装置2への配信時において、投稿楽曲データ中の楽曲要素データの組み合わせを異ならせており、同じ投稿楽曲データを使用しつつ、ユーザ端末、カラオケ装置2に適した形態で再生させることが可能となっている。
図5の投稿楽曲データには、ユーザ端末への公開時(図中、「公開時」)と、カラオケ装置2への配信時(図中、「カラオケ配信時」)において使用する楽曲要素データの構成例が示されている。丸印が付された楽曲要素データが、公開時、カラオケ配信時、それぞれの初期状態で再生される楽曲要素データである。公開時、カラオケ配信時において、伴奏データ、コーラスデータといった楽曲の要となる楽曲要素データは、初期状態での再生対象としている。一方、投稿楽曲を聴いて楽しむことがメインとなるユーザ端末への公開時には、ボーカルデータを初期状態での再生対象とし、歌詞データを非再生対象としている。そして、投稿楽曲を歌って楽しむことがメインのカラオケ配信時には、ボーカルデータを非再生対象とし、歌詞データを再生対象としている。
本実施形態では、楽曲要素データの1つに背景映像データを含めることが可能となっている。背景映像データは、公開時、カラオケ配信時の両方において初期状態で再生対象とされているが、背景映像データは、初期状態で再生対象とする、あるいは、再生対象としない、どちらに設定することも可能である。公開時には再生対象とすることが好ましいが、カラオケ装置2では、各楽曲で共用可能な背景映像データを有しているため、カラオケ配信時には、この共用可能な背景映像データに代え、通信容量の削減を図ることも可能である。この場合、オプションとして投稿楽曲データに含まれる背景映像データを選択可能とし、当該背景映像データが選択された場合に、サーバ装置3から当該背景映像データを配信することとしてもよい。
カラオケ配信時において再生対象となる各楽曲要素データの配信は、再生対象となる楽曲要素データのみをサーバ装置3から配信することとしてもよいし、投稿楽曲データに含まれる楽曲要素データをサーバ装置3から配信しておき、再生対象として必要な楽曲要素データをユーザ端末、あるいは、カラオケ装置2側で選択して再生することとしてもよい。例えば、本実施形態では、ユーザ端末への公開時には、ストリーム配信を採用しているが、この場合、再生対象となる楽曲要素データのみがユーザ端末へ配信されることとなる。一方、本実施形態のカラオケ配信時には、投稿楽曲データを一端、カラオケ装置2の記憶手段に蓄積し、カラオケ装置2側で再生対象となる楽曲要素データを選択することとしている。
以上、本実施形態の楽曲配信システムでは、配信先であるユーザ端末、カラオケ装置2に応じて、投稿楽曲データが含む楽曲要素データの組み合わせを変更し、ユーザ端末、カラオケ装置2での利用形態に即した投稿楽曲データの再生形態を実現可能としている。
では、本実施形態の楽曲配信システムにおいて、サーバ装置3において実行される各種処理について説明する。図6は、本発明の実施形態に係る受信処理を示すフロー図である。サーバ装置3の制御手段36は、稼働中、この受信処理を継続して実行する。ユーザ側で作成された投稿楽曲データは、パーソナルコンピュータ6など第1通信端末から、ネットワーク網を介してサーバ装置3に送信される。第1通信端末から受信した投稿楽曲データを受信した場合(S101:Yes)、記憶手段33に記憶させる(S102)。その際、投稿楽曲データには、管理用の楽曲識別情報(楽曲番号など)が、属性データ中に付与される。本実施形態では、受信した投稿楽曲データは、まず、ユーザ端末に対する公開処理にて使用されることとなる。そのため、本実施形態では、受信した投稿楽曲データの属性データに基づいて、投稿楽曲データを公開するためのWEBデータが更新される(S103)。
図7は、投稿楽曲閲覧サイトでダウンロード可能な、楽曲アップローダーのアップロード画面を示している。楽曲を投稿したいユーザは本楽曲アップローダーを利用して、パーソナルコンピュータ6などの第1通信端末の記憶装置に、予め保存してある伴奏データ、歌声データ、歌詞データ、背景映像データ等を読み込み、サーバ装置3へアップロードすることが可能となる。ここで、読み込んだ各データの音量や長さは、本楽曲アップローダーで調整可能であり、ユーザの調整により、各データの音量バランスや長さが合致した、投稿楽曲データを作成することが出来る。また、歌声データの読み込みには、楽曲の主旋律を歌唱するボーカルデータ、ハモリ等の副旋律を歌唱するコーラスデータを分けて読み込むことが可能であり、ボーカルデータは、図7の歌声1、歌声2のタブから、コーラスデータは、図7の歌声3のタブから読み込む仕組みとなっている。投稿楽曲閲覧サイト上では、ボーカルデータを試聴することで、投稿楽曲データがどのような歌なのかを試聴することが出来る。
一方、投稿楽曲閲覧サイトで公開された投稿楽曲データのうち、所定の条件を満たした投稿楽曲データは、カラオケ装置2で利用可能になるわけだが、その際、投稿楽曲データ中のボーカルデータは、ユーザのカラオケ歌唱を補助するためのガイドボーカルとして機能する。後に詳細を説明する図23に、楽曲設定画面が記載されているが、投稿楽曲データにボーカルデータが含まれている場合、ガイドボーカルデータとして、On/Offの切り替えをすることができる。歌唱に自信のあるユーザは、ガイドボーカルデータをOffとし、自信の無いユーザは、ガイドボーカルデータをOnとすることで、共に投稿楽曲データの歌唱を楽しめることとなる。なお、投稿楽曲閲覧サイトでボーカルデータを再生する場合は、通常の音量であるが、カラオケ装置2にてボーカルデータをガイドボーカルとして再生する場合は、ユーザの歌唱音声を邪魔しない程度に、デフォルトで小音に設定されている。さらに、ボーカルデータは、模範データとして、カラオケの音程等の一致を評価する採点にも利用される。カラオケ業者が、採点のために模範データをいちいち作成せずとも、ユーザのボーカルデータを採点に利用できるため、コスト削減につがなる。
図13には、投稿楽曲データを公開するためのWEBデータに基づいて形成された投稿楽曲閲覧サイトの画面が示されている。この投稿楽曲閲覧サイトは、ユーザ端末からサーバ装置のWEBデータにアクセスすることで、ユーザ端末側にて閲覧可能となる。図13は、パーソナルコンピュータ(PC)での表示の様子を示したものであり、投稿楽曲閲覧サイトを表示しているPC表示ウィンドウ61内部の様子が示されている。
本実施形態では、事前にユーザ登録しておくことで、登録したユーザ毎のサービスを管理することが可能となっている。図13に示す投稿楽曲閲覧サイトでは、ログインユーザ名61aとして表示されるユーザ(Aさん)がログインした状態であり、当該ユーザが所有するポイントが所有ポイント61cとして表示されている。このポイントは、楽曲配信システム内における仮想通貨として使用されるものであり、金額との交換、商品やサービスの購入、あるいは、景品としてユーザに付与される。本実施形態では、このポイントを使用して、投稿、公開された投稿楽曲データを、カラオケ装置2に配信することとしている。
この投稿楽曲閲覧サイトは、注目アーティスト、最近投稿したアーティストなどの項目別に、投稿楽曲データを選択することが可能となっている。各投稿楽曲データには、投稿者名61fと、当該投稿者にて投稿された1の投稿楽曲データについて、その背景映像データから取得されたサムネイル画像61gが表示されている。ユーザ端末において、投稿者名が選択された場合、投稿者名に対応する投稿楽曲データを選択可能な画面に遷移する。一方、サムネイル画像61gが選択された場合、当該サムネイル画像61gに対応する投稿楽曲データを再生可能とする画面に遷移する。
また、この投稿楽曲閲覧サイトは、このように配信を行う業者側で選定した投稿者、投稿楽曲のみならず、全ての投稿楽曲データを対象として検索を行うことが可能となっている。投稿楽曲閲覧サイト中、検索項目選択欄61d、検索ワード入力欄61eは、ユーザが所望する投稿楽曲データを検索するためのツールである。検索項目選択欄61dは、頭に示される「投稿者名」の他、「楽曲名」、「投稿日」、「ジャンル」、「全ての検索項目」といった各種検索項目を選択することが可能となっている。この検索項目選択欄61dを選択して、検索ワード入力欄61eに所望の検索ワードを入力して検索事項することで、検索対象となった投稿楽曲データが一覧表示され、ユーザは所望のものを選択、再生させることが可能である。
図14、図15には、投稿楽曲閲覧サイトにおいて、ユーザ−操作により1の投稿楽曲データが選択された際の、再生画面を示した図である。図14に示す再生画面は、選択した投稿楽曲データが、カラオケ装置2に対して配信されていない(未配信)の場合であり、図15に示す再生画面は、選択した投稿楽曲データが、カラオケ装置2に対して配信されている状態(配信済)の場合である。
ここでは、投稿楽曲データの再生形態について、図14の再生画面を例にとって説明を行う。本実施形態において、投稿楽曲データの再生は、サーバ装置3からのストリーム配信によって行われる。したがって、サーバ装置3は、ストリーム配信を使用した公開処理を実行する。図8は、本発明の実施形態に係る公開処理を示すフロー図である。ユーザ端末(第2通信端末)において、図14の再生画面が表示されることで、再生対象となる投稿楽曲データが選択され、サーバ装置3に対して、当該投稿楽曲データの再生要求が送信される。再生要求を受信したサーバ装置3(S201:Yes)は、対応する投稿楽曲データを要求のあったユーザ端末に対してストリーム配信を開始(S202)し、要求のあったユーザ端末にて投稿楽曲データの再生が実行される。
なお、本実施形態では、図5で説明したように、ユーザ端末に対する公開時、投稿楽曲データを構成する楽曲要素データ中、伴奏データ、ボーカルデータ、コーラスデータ、背景映像データをストリーム配信の対象としており、ユーザ端末では、投稿楽曲をプロモーションビデオのように視聴して楽しむことが可能となっている。
再生画面中には、投稿楽曲データに含まれる背景映像表示欄61h、背景映像表示欄61hの下方に表示された再生ツール61iが表示される。ユーザは、投稿映像の表示領域下方に表示された再生ツール61iを利用して一時停止、早送り、巻き戻し、音量調整などを行うことが可能である。また、再生ツール61iの下方には、楽曲名、投稿アーティスト、ジャンル、投稿日といった楽曲情報欄61jが表示されている。さらに、この楽曲情報欄61j内には、「お気に入り登録」ボタン61j−1が表示されており、ユーザの操作にてお気に入り登録することが可能となっている。お気に入り登録された投稿楽曲は、別途メニューから登録した投稿楽曲を呼び出すことが可能となっている。
図14に示される再生画面は、カラオケ未配信の投稿楽曲の場合を示したものである。このカラオケ未配信の投稿楽曲の場合、視聴するユーザのポイント(支援情報)の支払により、カラオケ装置2への配信が可能となる。そのため、楽曲情報欄61jの下方には、支援関連欄61k(項目名「ポイントで支援」)が表示されている。この支援関連欄61kには、この投稿楽曲をカラオケ装置2に対して配信するための条件、現状、投稿楽曲に対して支援されたポイント、カラオケ装置2への配信に必要な残りポイント、そして、ポイント入力欄61k−1、決済ボタン61k−2(「支援する」と表記のあるボタン)が表示されている。本実施形態におけるカラオケ装置2への配信条件は、6ヶ月間、カラオケ装置2に配信するため、5000ポイントのポイント(支援情報)の支援が必要とされている。
では、このようなユーザ端末におけるインターフェイスを利用して実行されるカラオケ装置2への配信過程について説明する。図9には、本発明の実施形態に係るカラオケ装置への配信処理を示すフロー図が示されている。図14で説明した再生画面中、ポイント入力欄61k−1に支援するポイントを入力し、決済ボタンの操作61k−2にて、ある投稿楽曲データに対して配信のためのポイント決済が実行されたと判定された場合(S301:Yes)、決済されたポイントは、既存の配信ポイントに積算される(S302)。図11には、決済されたポイントの履歴を示す決済管理テーブルが示されている。この決済管理テーブルは、サーバ装置3の記憶手段33に記憶されるテーブルであり、図14の再生画面などで行われた、ある投稿楽曲に対するポイント決済に関する各種情報が記録される。本実施形態では、決済日、決済を行ったユーザを示すユーザ識別情報、決済対象となった投稿楽曲を識別するための楽曲識別情報、決済されたポイント、配信に対する決済か延長に対する決済かを示す種別を含んで構成されている。
この決済管理テーブル中のポイントを楽曲識別情報毎に集計することで、図12に示す配信管理テーブルが形成される。配信管理テーブルは、楽曲識別情報、決済されたポイントの合計である配信ポイント(図中、左側のポイントが決済されたポイント、右側のポイントが配信に必要なポイントを示している)。投稿楽曲がカラオケ装置2に未配信(値「0」)であるか、配信済み(値「1」)であるかを示す配信フラグ、カラオケ装置2に配信された日を示す配信日、配信期限(配信日から6ヶ月)、配信済みの投稿楽曲ついて配信期間の延長を目的として決済された延長ポイントを含んで構成されている。
S302の処理では、決済管理テーブルに記録された配信ポイントが、配信管理テーブル中の配信ポイントに積算されることとなる。S303では、配信管理テーブル中の配信ポイントが所定値(「閾値」に相当。この場合、5000ポイント)に達したか否かを判定する判定処理が実行される。配信ポイントが所定値に達していた場合、当該投稿楽曲はカラオケ装置2への配信楽曲として判定される。なお、ここでは、カラオケ装置2に対し、投稿楽曲を配信開始するための判定処理を説明したが、既にカラオケ装置2に対して配信されている投稿楽曲の配信期限を延長する場合についても同様に、延長のために決済されたポイントに基づいて判定処理が実行される。
S304では、配信管理テーブルの配信フラグを付与し、カラオケ装置2への配信楽曲としてサーバ装置3で管理する。S305では、カラオケ装置2で選曲する際に使用する6桁の選曲番号(第2の楽曲識別情報)を付与する。選曲番号はカラオケのシステム上、6桁と決まっており、数に限りがあるため、楽曲データが投稿された時点では付与されず、カラオケ装置2への配信が決定した時点で初めて付与される。S306では、カラオケ装置2に配信する投稿楽曲データを管理するカラオケ配信用ルータに、配信が決定した投稿楽曲データを送信する。カラオケ配信用ルータに送信された投稿楽曲データは、カラオケ装置2で再生可能なようにカラオケ配信用のデータに変換される(S307)。カラオケ装置2から投稿楽曲の配信要求を受付ける(S308)と、カラオケ配信用ルータは、カラオケ装置2に、配信要求された投稿楽曲データを配信する(S309)。配信要求には、選曲番号が含まれているため、カラオケ配信用ルータは、記憶する投稿楽曲データのうち、選曲番号に紐付く一の投稿楽曲データを送信すれば良い。なお、サーバ装置3とカラオケ配信用ルータは、物理的に分かれていても良いし、サーバ装置3に、カラオケ配信用ルータが含まれていても良い。
ここで、カラオケ装置2に対し、どうやって、カラオケ配信された投稿楽曲を選曲可能に提示しているのか、説明する。図10には、さらにカラオケ装置2への選曲画面の表示に関するフロー図が示されている。S401〜S404は、S301〜S304の処理と同様である。S405では、カラオケ装置2から選曲画面の表示要求を受付ける。具体的には、カラオケ装置2に具備されているリモコン装置1のタッチパネルから、投稿楽曲の選曲操作として、例えば、図21の「楽曲名順」、「あ行」を指定することが選曲画面の表示要求に該当する。そして、S406で、配信フラグが付与された投稿楽曲データの属性データを基に、サーバ装置3が選曲画面を生成し、リモコン装置1に表示させる(S407)。具体的には、リモコン装置1の選曲画面には、一度に6曲分の投稿楽曲の情報を表示することが可能であり、例えば、図21の「楽曲名順」、「あ行」を指定すると、楽曲名が「あ行」であって、配信フラグが付与された投稿楽曲データのうちの、6曲分の属性データをもとに、サーバ装置3で、6曲分の投稿楽曲の情報が表示された選曲画面を生成する。生成した選曲画面は、リモコン装置1から閲覧可能であり、一の投稿楽曲が選択されると、カラオケ装置2からカラオケ配信用ルータに配信要求が送信される。なお、リモコン装置1からの選曲画面の表示要求は、カラオケ装置本体を介してサーバ装置3に送信されるという仕様でも良いし、リモコン装置1から直接無線LAN通信などにより、サーバ装置3に送信されても良い。また、本実施形態では、サーバ装置3が選曲画面の生成機能を有しているが、選曲画面を生成する専用の画面生成サーバ装置を、サーバ装置3とは物理的に分けて設けても良い。この場合、リモコン装置1からの選曲画面の生成要求を画面生成サーバ装置が受信すると、サーバ装置3に対し、該当する投稿楽曲データの属性データの取得要求を行い、サーバ装置3から取得した属性データをもとに、画面生成サーバ装置が、選曲画面を生成することとなる。
なお、受信処理にて投稿楽曲データを受付た際に付与される楽曲識別情報と、カラオケ配信について投稿楽曲データを管理するため、投稿楽曲データに対して、所定条件を満たした場合に付与される第2の楽曲識別情報(選曲番号)は異なる体系で設定される。このように、カラオケ配信を行う際、異なる体系の第2の楽曲識別情報を付与することで、公開処理とカラオケ配信、それぞれにおいて、投稿楽曲データに対する管理が容易となる。
以上、本実施形態では、カラオケ装置2に対する配信可否の判定をサーバ装置3側で行うこととしているが、この判定はカラオケ装置2側で行うこととしてもよい。ユーザ端末から投稿された投稿楽曲データは、サーバ装置3を介してカラオケ装置2へ配信される(この場合、サーバ装置3での判定は行う必要は無い)。カラオケ装置2は、所定期間ごとに、サーバ装置3に、記憶している投稿楽曲データの再生可否(所定の支援情報が付与されているか否か)に関する情報を取得し、カラオケ装置2での再生が許可されている投稿楽曲データについて、リモコン装置1などによる検索、再生を可能とすることとなる。なお、判定のための投稿楽曲データの再生可否に関する情報は、サーバ装置3からカラオケ装置2に対して、所定期間毎に送信することとしてもよい。
本実施形態のカラオケ装置2は、アカウントを有するユーザに対して気に入った楽曲を登録しておき、簡易に呼び出せるお気に入り登録機能を有している。このお気に入り登録機能は、カラオケシステムで使用するユーザ情報内の「マイうたテーブル」を使用して実行される。カラオケ装置2に対して投稿楽曲の配信が開始された場合、投稿楽曲を投稿したユーザ、投稿楽曲を支援したユーザの「マイうたテーブル」に、配信開始された投稿楽曲を自動登録する(登録処理)こととしてもよい。投稿楽曲を投稿したユーザ、あるいは、投稿楽曲を支援したユーザがカラオケ装置2を使用する際、自分の「マイうたテーブル」を利用して配信開始された投稿楽曲を容易に選曲することが可能となる。なお、投稿楽曲を投稿したユーザは、投稿楽曲データの属性データを参照することで、また、投稿楽曲を支援したユーザは、決済管理テーブルを参照することで判定することが可能である。本実施形態では、投稿楽曲の配信に期限が設けられているが、期限切れとなり配信が中止された投稿楽曲については、「マイうたテーブル」から自動削除することとしてもよい。
S307で整形された投稿楽曲データは、カラオケ装置2にて選曲される都度、サーバ装置3から当該カラオケ装置2に配信することとしてもよい。一度、配信された投稿楽曲データは、カラオケ装置2に記憶させておき、再度、選曲された場合には、記憶しておいた投稿楽曲データを使用することとしてもよい。あるいは、一度、あるカラオケ装置に記憶させた投稿楽曲データは、複数のカラオケ装置2の間で流用することとしてもよい。すなわち、ネットワーク網で接続された複数のカラオケ装置2の間でファイル共用を実行することで、投稿楽曲データの記憶に必要な記憶容量、並びに、配信に必要なトラフィック量の抑制を図ることが可能である。投稿楽曲データの配信は、このようなファイル蓄積型のみならず、ユーザ端末への公開処理と同様、ストリーム配信を採用することも考えられる。
判定処理において、カラオケ装置2への配信が開始された楽曲は、配信管理テーブル上、配信フラグが「0」から「1」に変更され、配信日、配信期限(例えば、配信日から6ヶ月後の日)が登録され、カラオケ装置2への配信楽曲として管理される。本実施形態では、配信日から配信期限までの配信期間が設けられることとなるが、配信中の投稿楽曲については、その配信期間をユーザ端末から延長可能に構成することも可能である。
図15には、選択された投稿楽曲データが、カラオケ装置2に対して配信されている状態(配信済)の場合の再生画面が示されている。図14のカラオケ装置2に対し未配信状態の投稿楽曲の場合、配信を行うための支援関連欄61kが表示されていたのに対し、この配信済み状態の投稿楽曲の場合、配信期限を延長するための支援関連欄61m(項目名「ポイントで延長」)が表示されている。この支援関連欄61mには、投稿楽曲の配信期限、配信期限を延長するためのポイント、投稿楽曲を延長するために支援されたポイント、延長のために必要な残りポイント、そして、ポイント入力欄61m−1、決済ボタン61m−2(「支援する」と表記のあるボタン)が表示されている。
投稿楽曲を視聴したユーザが、当該投稿楽曲の配信期限を延長したいと考えた場合、ポイント入力欄61m−1に、延長のため支援するポイント数を入力し、決済ボタン61m−2を操作する。当該投稿楽曲データに対してポイント決済が行われたことが判定されると、決済管理テーブルに記録するとともに、決済されたポイントを配信管理テーブル上の既存の延長ポイントに積算する。そして、配信を開始する場合と同様に、積算された延長ポイントが所定値(この場合、5000ポイント)に達したか否かを判定する判定処理が実行される。配信ポイントが所定値に達していた場合、配信管理テーブル上、当該投稿楽曲の配信期限が延長(この場合、6ヶ月)される。
このように、本実施形態の楽曲配信システムでは、投稿楽曲のカラオケ装置2に対する配信期限を設けるとともに、その配信期限をユーザ端末から延長可能としたことで、楽曲配信期間中にかかるコストを補うことが可能となる。なお、配信中の投稿楽曲について、支援関連欄61mは、配信期限間近のもの(例えば、配信期限から1ヶ月前)についてのみ表示させることとしてもよい。そして、この投稿楽曲に対する配信期限延長で使用される支援情報は、配信の決定の際と同様、ポイントのみならず、クレジットカードなどによる金額の支払い、評価ボタンの押下数、投票数を支援情報、あるいは、複数の形態を組み合わせることとしてもよい。
以上、投稿楽曲を再生させる再生画面上での配信決定、配信期限延長について説明したが、これら投稿楽曲に対する配信決定、配信期限延長は、投稿したユーザ本人が管理することも可能である。図16は、本発明の実施形態に係る投稿楽曲閲覧サイトでの投稿楽曲管理画面を示す図である。この投稿楽曲管理画面は、ログインしているユーザが適宜メニューから入ることのできる管理画面である。図の例では、ログインしているユーザ(Aさん)が投稿した3曲の投稿楽曲について、楽曲名62a−1〜62a−3、サムネイル画像62b−1〜62b−3が表示されている。各投稿楽曲は、カラオケ装置2への配信状況が異なった状態である。
楽曲名62a−1の投稿楽曲は、カラオケ装置2に対して未配信の状態となっている。この状態では、投稿したユーザは、配信に必要なポイントを自分で支払うか、支援を受けるかを選択することが可能である。そのため、サムネイル画像62b−1の下方には、「自分で支払う」と表記された決済ボタン62cと、「支援依頼」と表記された支援依頼ボタン62dが表示されている。決済ボタン62cが操作された場合には、所有ポイント61cから、配信に必要なポイント(本実施形態では、5000ポイント)が決済され、楽曲名62aー1の投稿楽曲は、カラオケ装置2に配信可能な状態となる。一方、支援依頼ボタン62dが操作された場合には、図14で説明したように楽曲名62a−1の投稿楽曲の再生画面には、支援関連欄61kが表示されることとなり、投稿楽曲に対し他のユーザから配信のための支援情報を募ることが可能な状態となる。なお、配信に必要なポイントは、このように投稿を完了している投稿楽曲に対して支払うのみならず、投稿楽曲を投稿する際、行うことも可能である。
楽曲名62a−2の投稿楽曲は、カラオケ装置2に対して配信中の状態である。本実施形態では、配信中の投稿楽曲について、カラオケ装置2での再生回数が表示されている。この再生回数は、サーバ装置3において、カラオケ装置2から収集したログを集計する(集計処理)ことで、配信対象となっている全てのカラオケ装置2での積算値である。ユーザは、この再生回数に基づいて、カラオケ装置2での人気度を知ることが可能である。
楽曲名62a−3の投稿楽曲は、楽曲名62a−2の投稿楽曲と同様、カラオケ装置2に対して配信中の状態である。楽曲名62a−2の投稿楽曲とは、配信期限が間近(1ヶ月以内)となっている点で異なっている。本実施形態では、配信期限が間近な投稿楽曲についてポイントの支払いにより、その配信期限を延長可能としている。配信の場合と同様、「自分で支払う」と表記された決済ボタン62eと、「支援依頼」と表記された支援依頼ボタン62fが表示されている。決済ボタン62eが操作された場合には、所有ポイント61cから、配信期限の延長に必要なポイント(本実施形態では、5000ポイント)が決済され、楽曲名62aー3の投稿楽曲は、所定期間(本実施形態では6ヶ月)、その配信期限が延長される。一方、支援依頼ボタン62fが操作された場合には、図15で説明したように楽曲名62a−3の投稿楽曲の再生画面には、支援関連欄61mが表示されることとなり、投稿楽曲に対し他のユーザから配信期限延長のための支援情報を募ることが可能な状態となる。
以上、楽曲配信システムにおいて、ユーザ端末側における投稿楽曲の公開時の各種形態について説明を行ったが、次に、配信された投稿楽曲についてカラオケ装置2側での再生など各種処理について説明を行う。ここでは、図3で説明したカラオケシステム中、リモコン装置1の表示部11の画面を使用して説明を行う。
図17は、本発明の実施形態に係るカラオケシステム中、リモコン装置1のトップ画面、すなわち、リモコン装置1を起動した直後の画面を示す図である。本実施形態では、リモコン装置1の表示部11に表示出力することで、リモコン装置1を操作するユーザに対して各種情報を提供する。なお、リモコン装置1の操作部17としては、カーソルキーなどの各種機械的なスイッチの他、表示部11に表示されたボタン、アイコンなどを直接タッチして操作を行うタッチパネルを採用することができる。
本実施形態のカラオケシステムは、複数のユーザが各リモコン装置1のタッチパネル表示画面から必要な情報(後述するユーザ識別情報やパスワード)を入力し、ログインすることが可能となっている。なお、カラオケ装置2において使用するアカウントは、ユーザ端末に対して投稿楽曲を公開する際、投稿楽曲閲覧サイトにログインするのに使用したアカウントを共用することとしてもよい。この場合、投稿楽曲閲覧サイトにログインしたユーザ識別情報とパスワードを使用してカラオケ装置2にもログインすることとなる。あるいは、投稿楽曲サイトとカラオケ装置2にログインするためのアカウント同士で連携を取ることとしてもよい。例えば、投稿楽曲閲覧サイトにログインした場合、投稿楽曲閲覧サイトからカラオケ装置2におけるユーザ情報を使用可能とする、あるいは、カラオケ装置2にログインした場合、投稿楽曲閲覧サイトで使用するユーザ情報を使用可能とすることとなる。
図17に示すトップ画面において、ユーザのログインに関する情報は画面上方に常時表示される。ログインしたユーザの分身像(アバター)を表示するためのログインユーザ欄103が設けられている。なお、分身像としては、人、キャラクターを模した像の他、図形や記号など各種形態を採用することができる。
また、アカウントを有していないユーザのためのゲストアイコン102、ユーザを切り替えるためのユーザ切替スイッチ101が表示されている。ログインしたユーザは、ログインユーザ欄103に表示される分身像を選択、あるいは、ユーザ切替スイッチ101を操作することで、自分のユーザ情報を利用した各種サービスを受けることが可能となる。また、アカウントを有していないユーザは、ゲストアイコン102を操作することで、選曲など一般的なサービスを受けることが可能となっている。なお、ユーザの切替の際には、パスワードなど認証を行うこととしてもよいが、認証を行うことなく簡易に切り替えることとしてもよい。
図18は、各ユーザ毎に、サーバ装置3に記憶されているユーザ情報を説明するための図である。本実施形態では、ユーザ情報として、個人情報、マイうたテーブル、マイアーティストテーブル、履歴テーブルといった、ユーザに関する各種情報を含んで構成される。ユーザ情報は、サーバ装置3の記憶手段33に予め記憶されている。また、ユーザ情報には、ユーザがリモコン装置1からサーバ装置33へログインしてこれら情報を利用するためのアカウント(ユーザ識別情報とパスワード)が対応付けられている。本実施形態では、このアカウントを投稿楽曲閲覧サイトのアカウントと共用することとしている。あるいは、投稿楽曲サイトとカラオケ装置2にログインするためのアカウント同士で連携を取ることとしてもよい。その場合、ユーザ情報中には、投稿楽曲閲覧サイトのアカウントが別途記録される。
個人情報には、ユーザ名(実際の名前に限ったものでなく、ニックネームであってもよい)、性別、年齢、居住地、趣味、メールアドレス、所有ポイントなどを含んで構成される。これら各種情報は、リモコン装置1、あるいは、インターネットなどのネットワークに接続された図示しないパーソナルコンピュータ、携帯情報端末などにてログインして設定することも可能である。特に、本実施形態では、カラオケシステム、投稿楽曲閲覧サイトで使用可能なポイントを、所有ポイントとしてユーザ情報中で一元管理している。
マイうたテーブルは、登録された楽曲(投稿楽曲を含む)を記憶するテーブルであって、楽曲識別情報、音程情報、過去の採点情報(最高点)などを含んで構成されている。ユーザは、このマイうたテーブルに基づいて、登録されているお気に入りの楽曲を呼び出して歌唱することが可能となる。その際、登録した音程情報を利用することで、自分の歌唱にあった音程で演奏(再生)を行うこともできる。
マイアーティストテーブルは、登録されたアーティスト(歌手)を記憶しておくテーブルであって、歌手識別情報などを含んで構成される。ユーザは、このマイアーティストテーブルを呼び出すことで、登録されている歌手識別情報に対応する楽曲、すなわち、登録されているアーティスト(歌手)に関連する楽曲を呼び出して歌唱することが可能である。
履歴テーブルは、ユーザが過去に再生した楽曲に関する各種情報を記録した情報であって、本実施形態では、再生した楽曲について、楽曲の楽曲識別情報、再生した日時を示す歌唱日時、歌唱した店舗の識別情報、あるいは、歌唱した店舗の住所、もしくは、緯度経度などを示す位置情報、採点情報などを含んで構成されている。ユーザは、この履歴テーブルに基づいて、過去に再生した歌唱用楽曲を呼び出して歌唱することができる。
図19は、このユーザ情報の送受信の様子を示した図である。カラオケ店舗に来店したユーザは、自己のユーザ識別情報とパスワードで構成された識別情報を入力、あるいは、リモコン装置1などに設けられたICカードリーダーでICカードに記憶されている識別情報を読み取らせることで認証処理S501を実行する。ユーザの識別情報を読み取った、カラオケ装置2あるいはリモコン装置1は、識別情報をサーバ装置3に送信し(S502)、識別情報を受信したサーバ装置3は記憶部51に記憶されたデータベースから、該当するユーザのユーザ情報を抽出し(S521)、問い合わせのあったカラオケ装置2あるいはリモコン装置1に対して送信する(S522)。
ユーザ情報を受信したカラオケ装置2側では(S503)、受信したユーザ情報に基づいて、選曲処理、再生処理など各種サービス処理が提供される(S504)。ユーザによりログアウトが要求される(S505)とサービス処理を中断し、サービス処理中における各種履歴(ログ)、あるいは、ユーザによる設定変更を反映したユーザ情報をサーバ装置3に送信する(S506)。ここで、ユーザ情報は、全ての情報を送信することの他、更新された差分だけを送信してもよい。サーバ装置3では、受信したユーザ情報に基づいて記憶部1に記憶されたデータベースの更新を実行する(S524)。
以上、1ユーザが認証処理(ログイン処理)してから、ログアウトするまでの流れを説明したが、本実施形態のカラオケ装置2、リモコン装置1は、認証された複数人(認証ユーザ)が同時にログインした状態で使用することが可能となっており、図17で説明したユーザインターフェイスを用いることで、サービスを提供するユーザ(以下、「アクティブユーザ」という)を切り替えて使用することが可能となっている。
図20は、本発明の実施形態に係るアクティブユーザトップ画面を示す図である。この図に示されるように、複数人がログインした状態ではログインユーザ欄103にログインしたユーザの分身像103a〜103e(本実施形態では顔部分)が表示される。またログインユーザ欄103中、右端に背景がハイライトで示されるユーザは、アクティブユーザ103eであって、図に示す状態では、このアクティブユーザ103eに対するサービス、すなわち、アクティブユーザ103eのユーザ情報を利用したサービスが実行されている状態となっている。このアクティブユーザトップ画面では、「曲を探す」を選択することで、従来の歌本と同様、歌手名、楽曲名に基づく検索を行うことができる。
本実施形態におけるカラオケシステムでは、この「曲を探す」を選択することで、従来からカラオケ装置2に提供されている業者側で提供している楽曲を選曲することが可能である。一方、新たにカラオケ装置2に提供される投稿楽曲については、「投稿楽曲」を選択することで、選曲することが可能となっている。このように従来から業者側で提供している楽曲と、ユーザの投稿によりカラオケ装置2に配信された投稿楽曲を分けて管理することで、ユーザに対し両種楽曲の選曲を分かりやすく提示している。また、投稿楽曲数が増加により、従来の楽曲の選曲を妨げることがない。投稿楽曲を選曲したいユーザは、「投稿楽曲」を選択し、投稿楽曲選択画面へと移行させる。
図21は、本発明の実施形態に係る投稿楽曲選択画面を示す図である。この投稿楽曲選択画面では、「投稿者順」、「歌手名順」、「楽曲名順」で、投稿楽曲を表示させることが可能となっている。各投稿楽曲には、投稿者名、歌手名、楽曲名、サムネイル画像が表示されている。ユーザは、投稿楽曲選択画面に表示された投稿楽曲の中から1の投稿楽曲を選択することで、投稿楽曲の詳細な説明、並びに、投稿楽曲を再生する際の各種設定を行うことができる楽曲確認画面へと移行させる。
アクティブユーザとして投稿楽曲を選択した場合、図22に示される楽曲確認画面にて、予約を行う投稿楽曲に間違いがないか、楽曲名、投稿者名、歌手名、歌い出しなどを表示してユーザに確認させる。この他、楽曲確認画面には、投稿楽曲に関連する情報として、投稿楽曲の配信期限、投稿楽曲が投稿されたサイト名、投稿者の活動地域、投稿楽曲のジャンル、投稿者のコメントなどが表示される。
この楽曲確認画面にて「予約」ボタンが操作されると、リモコン装置1からカラオケ装置2に対して楽曲識別情報、ユーザ識別情報、楽曲設定画面で設定された楽曲設定などを含む予約情報が送信される。受信したカラオケ装置2では、予約情報を予約テーブルに順次追加して、再生処理を実行する。
図23は、本発明の実施形態に係る再生処理を示すフロー図が示されている。本実施形態では、投稿楽曲データの再生中、図4に示すカラオケ装置2の前面に設けられたタッチパネルモニタ33に通報受付画面を表示するとともに、タッチパネルモニタ33に対するタッチ操作にて、ユーザからの通報指示を受け付ける。ユーザは、再生される投稿楽曲が、投稿上不適切であることを見つけた場合、通報受付画面を介して業者に通報することを可能としている。
カラオケ装置2は、予約リスト中、次に再生する楽曲があるか否かを判定する(S601)。なお、カラオケ装置2では、投稿楽曲のみならず、業者側で提供された通常楽曲についても、この再生処理で再生を行う。次に再生する楽曲があると判定された場合(S601:Yes)、予約情報に対応する楽曲識別情報に対応する、投稿楽曲データもしくは通常楽曲データを読み出し、カラオケ装置2の再生手段(音声制御部25、MIDI音源26など)に再生開始させる。
S603では、再生中の楽曲が通報受付対象であるか否かを判定する。通報受付対象である楽曲とは、投稿楽曲であることを基本とする。通常楽曲データは、業者側によって製作されたものであるため、公開対象として適切か否かを確認する必要は無く、通報受付対象からは除外される。また、投稿楽曲であっても、業者側の確認処理によって、公開対象として適切であることが判定された投稿楽曲についても、以後、確認を行う必要は無いため通報受付対象からは除外される。
再生中の楽曲が受付対象となる投稿楽曲であると判定された場合(S603:Yes)、カラオケ装置2は、タッチパネルモニタ33に通報受付画面を表示する。カラオケボックスなどのカラオケ店舗では、カラオケ装置2が歌唱するユーザの近くに設置されることが多い。本実施形態のように、カラオケ装置2のタッチパネルモニタ33に通報受付画面を表示することで、再生される投稿楽曲についてよく知っている歌唱ユーザ自身が、タッチパネルモニタ33を操作して通報指示を行うことが容易となる。なお、再生中の通報受付画面は、このようなカラオケ装置2側ではなく、リモコン装置1側に表示させ、ユーザからの通報操作を受付可能としてもよい。
図24には、本発明の実施形態に係るカラオケ装置2側での通報受付画面(形態1)が示されている。この通報受付画面(形態1)では、再生中の楽曲(通報対象)について、投稿者名、歌手名、楽曲名などの楽曲関連情報33aが表示される。ユーザは、通報項目選択ボタン33b〜33gを操作した上で、「通報する」と表記された通報ボタン33iを操作することで通報を行う。本実施形態では、通報項目選択ボタン33b〜33gにて、通報内容、すなわち、何故、再生中の投稿楽曲が不適切であるか、その理由を選択することが可能である。このように本実施形態では、通報指示に、通報項目を含めることで、通報指示情報として受信した業者側では、容易に内容確認することが可能となる。さらに、本実施形態では、投稿楽曲の再生中に行っているため、通報内容には、通報ボタン33iの操作タイミングを含めることも可能である業者側では、投稿楽曲データ中、この操作タイミングに対応する箇所を内容確認することで、その作業効率の向上が図られる。
本実施形態における通報項目は、音声系と映像系に大別される。音声系には「配信許可のない楽曲」33b、「楽曲が異なる」33d、「公序良俗違反」33c、「音声合成による歌唱」33eの通報項目が設けられている。「配信許可のない楽曲」33b、「楽曲が異なる」33dは、カバー楽曲、すなわち、著作権を有する楽曲をカバーした楽曲に対する通報項目である。投稿楽曲には、投稿者自身が作成したオリジナル楽曲以外に、CDなどのメディアで提供されているアーティストによる楽曲をカバーして投稿することが考えられる。このようなカバー楽曲の場合、著作権上、カラオケ装置2での配信を認めていない場合がある。「配信許可のない楽曲」33bは、このようなカバー楽曲が投稿されていた場合に指摘する通報項目である。また、カバー楽曲の対象となった楽曲と、投稿された楽曲が異なっている場合には、ユーザは「楽曲が異なる」33dを選択することで、不適切とした理由を業者側に伝えることが可能である。
「公序良俗違反」33cは、歌唱内容に不適切な言葉が使用されている場合に選択する通報項目である。現在、音声合成技術を使用した歌唱が人気を集めている。この音声合成技術による歌唱は、音声合成ソフトウェアを開発した会社、並びに、音声合成のベースとなる音声を提供した声優が著作権上の権利を有する場合があり、カラオケ装置2での使用が認められていないことがある。「音声合成による歌唱」33eは、このようにカラオケ装置2での再生が認められていない音声合成技術による歌唱を使用している場合に選択する通報項目である。
一方、映像系には「配信許可のない映像」33f、「公序良俗違反」33g、「歌詞が異なる」33hの通報項目が設けられている。「配信許可のない映像」33fは、背景映像に映画、アニメーションなど、他のアーティストなどが著作権を有する映像を使用していた場合に選択する通報項目である。「公序良俗違反」33gは、映像内容が不適切な場合に選択する通報項目である。「歌詞が異なる」33hは、背景映像に表示される歌詞と、投稿楽曲データに含まれるボーカルデータを模範歌唱として再生した場合、あるいは、投稿楽曲がカバー楽曲である場合、歌詞が異なっている場合に選択する通報項目である。
ユーザは、投稿楽曲が再生される中、この通報受付画面にて、通報項目を選択した上で通報ボタン33iを操作することで、業者側に不適切な投稿楽曲を通報することが可能である。なお、図24の状態は、「配信許可のない楽曲」33bが通報項目として選択されている状態が示されている。通報受付は、通報項目選択ボタン33b〜33gの何れか、あるいは、複数を操作して反転状態とした上で、通報ボタン33iを操作することで行われる(S606:Yes)。なお、通報項目の選択は、必須の構成要件では無く、通報指示には、少なくとも、どの投稿楽曲が不適切であるかを指示する内容(楽曲識別情報)を含んでいればよい。
通報受付が行われた場合(S606:Yes)、カラオケ装置2は、通報する投稿楽曲の楽曲識別情報を含む通報指示情報をHDD32などの記憶手段に一旦記憶する(S607)。通報受付、通報指示情報の記録は、楽曲の再生が終了するまで継続して実行される。したがって、複数の通報指摘箇所がある場合には、複数の通報項目を含む通報指示情報が記録される。
図25には、本発明の実施形態に係るカラオケ装置2側での通報受付画面(形態2)が示されている。この通報受付画面(形態2)では、タッチパネルモニタ33内に背景映像表示欄33jが設けられている点で、形態1と異なっている。この背景映像表示欄33jには、投稿楽曲データに含まれる背景映像データが表示される。背景映像データは、カラオケ装置2側のモニタ41でも同じものが再生されることとなるが、本実施形態では、通報受付画面内の背景映像表示欄33jに表示させることで、背景映像内の通報箇所を指示することが可能となっている。背景映像表示欄33j内に表示される背景映像中、ユーザによりタッチされたタッチ位置33kが、通報箇所として通報指示情報に含めることが可能となっている。
図26には、本発明の実施形態に係る通報指示情報のデータ構成が示されている。本実施形態の通報指示情報は、通報を行うユーザ、すなわち、投稿楽曲を予約したユーザのユーザ識別情報、通報対象となった投稿楽曲の楽曲識別情報、通報日時、通報内容を含んで構成される。通報内容は、楽曲の再生中、通報ボタン33iの操作に基づいて、選択された通報項目が含まれている。楽曲の再生中、通報ボタン33iが複数回、操作された場合には、複数の通報内容が記録される。図では、音声系と映像系の通報内容が例示されている。この音声系の通報内容1には、通報項目選択ボタンで選択した2つの通報項目と通報箇所(タイミング:楽曲の時間的な再生位置)が含まれている。一方、映像系の通報内容2には、1つの通報項目とタイミングに関する通報箇所と通報位置(背景映像中の位置)が含まれている。通報指示情報を受信した業者側では、この通報指示情報に基づいて、楽曲識別情報に対応する投稿楽曲データを再生し、当該投稿楽曲データに対する確認処理を実行する。特に、本実施形態では、通報指示情報内に通報内容が含まれているため、この通報内容に対応する箇所を確認することで、確認処理の作業効率の向上を図ることが可能となる。
再生処理では、楽曲の再生終了後(S605:Yes)、記録した通報指示情報を管理サーバ装置に対して送信する(S608)。本実施形態では、図1で説明したサーバ装置3を管理サーバ装置として兼用することとしているが、管理サーバ装置は、サーバ装置3とは異なるサーバ装置を使用することとしてもよい。このように本発明におけるサーバ装置(配信サーバ装置)と管理サーバ装置は、別の装置として構成する形態、あるいは、1の装置で構成する形態を採用することが考えられる。楽曲の再生終了後、再生された楽曲は、カラオケ装置2で管理する再生履歴、及び、楽曲を予約したユーザのユーザ情報中の履歴テーブルに記録される(S609)。このように通報受付対処となる投稿楽曲に対しては、その再生中に通報受付画面を表示することで、ユーザ(特に歌唱者)による通報指示を行うことが可能である。
一方、再生中の楽曲が、通常楽曲、あるいは、確認処理を終えている投稿楽曲であるなど、通報受付対象ではない場合(S603:No)には、楽曲の再生中、S604〜S607の処理を実行することなく、楽曲の再生終了が判定された場合(S610:Yes)、楽曲の再生履歴、履歴テーブルへの記録(S609)を行い、一連の再生処理を終了する。
管理サーバ装置(本実施形態では、サーバ装置3)では、受信した通報指示情報に基づいて、投稿楽曲の適否を確認する通報管理処理を実行する。図27には、本発明の実施形態に係る通報管理処理を示すフロー図が示されている。管理サーバ装置では、カラオケ装置2から送信された通報指示情報を受信、記憶している。通報管理処理が開始されると、記憶している通報指示情報を読み出し(S701)、読み出した通報指示情報に基づく確認処理が実行される。なお、この確認処理は、管理サーバ装置で行う必要は無く、管理サーバ装置に通信接続されたコンピュータなどで行うことも可能である。
この確認処理は、業者側の従業者などにより、通報指示情報に含まれる楽曲識別情報に対応する投稿楽曲データを再生し、内容を聴取することで行われる。その際、投稿楽曲データの再生箇所を、通報指示情報に含まれる通報内容の通報箇所(タイミング)に基づいて制御することとしてもよい。通報箇所(タイミング)に対応する投稿楽曲データを再生することで、投稿楽曲データの通報指示箇所を確認することが可能となり、確認処理の効率化(時間短縮)を図ることが可能となる。また、通報内容に含まれる通報項目、あるいは、通報箇所(位置)を背景映像データと一緒に表示することで、通報項目、通報箇所(位置)を容易に確認することも可能である。
通報指示情報に基づく確認処理(S702)を終えた投稿楽曲は、カラオケ装置2での再生が適切(適)であるか、不適(不適)であるかに分けられ、適切とされた投稿楽曲は、その楽曲識別情報が再生許可リストに追加される(S704)。一方、不適切とされた投稿楽曲は、その楽曲識別情報が再生禁止リストに追加される(S706)。再生許可リスト、再生禁止リストは、適宜タイミングでカラオケ装置2に送信される(S705)。再生許可リスト、再生禁止リストを受信したカラオケ装置2では、これらリストに基づいて各種処理を実行する。再生禁止リスト中に記述された楽曲識別情報に対応する投稿楽曲データは、カラオケ装置2での再生が不適切であるため、カラオケ装置2での再生が禁止される。禁止された投稿楽曲は、図21に示される投稿楽曲選択画面に表示されず、選曲、再生することができない状態となる。
再生が禁止された投稿楽曲は、配信フラグがオフとなり、付与されていた選曲番号を削除することとなる。カラオケ配信ルータからも再生禁止対象となった投稿楽曲データは削除される。なお、再生が禁止された楽曲を投稿したユーザに対し、再生が禁止されたことを報知する機能を設けても良い。投稿楽曲閲覧サイトにログインしたときのトップページ等で、「あなたが投稿した楽曲が、再生禁止となりました、再生禁止となった理由は、1.音声合成による歌唱2.配信許可のない映像 となっています。」のような報知文言が表示される。これにより、ユーザは、報知された内容をもとに、投稿した楽曲を適切に修正して再投稿することで、カラオケ装置2での再生の禁止を免れることができる。この場合、再度選曲番号を付与したり、カラオケ配信ルータに投稿楽曲データを再配信したりすることは手間がかかるので、再生が禁止された投稿楽曲に対し、所定期間(1週間等)選曲番号を削除しない、所定期間カラオケ配信ルータからデータを削除しないという対応が考えられる。一方、再生許可リスト中に記述された楽曲識別情報に対応する投稿楽曲は、図23の再生処理中、通報受付対象ではないと判定され、その再生中、図24、図25で説明した通報受付画面は表示されない。これにより、同じ投稿楽曲を、業者が再度適切か否か判断するという手間を防止することが出来る。
以上、楽曲再生中に、通報受付画面による通報指示情報の形成、並びに、その利用形態を説明したが、投稿楽曲に対する通報受付は、再生中のみならず、各種楽曲選択画面から行うこととしてもよい。図28には、本発明の実施形態に係る歌唱履歴表示処理を示すフロー図が示されている。図23の再生処理で説明したように、カラオケ装置2は、再生した楽曲を再生履歴として記録している。歌唱履歴表示処理は、この再生履歴に基づいて再度、楽曲を選曲予約できる処理である。本実施形態では、この歌唱履歴表示画面から通報受付を行うこととしている。
リモコン装置1のトップ画面に表示されている「履歴一覧」が選択されることで、この歌唱履歴表示処理が実行開始される。カラオケ装置2は、再生処理で記録した歌唱履歴を取得する(S801)。その際、各歌唱履歴中の楽曲が通報対象楽曲であるか否かを示す情報も併せて取得する。この通報対象楽曲の判定は、図23の再生処理で説明したS603の判定と同様に行われる。取得した歌唱履歴、及び、通報対象楽曲を示す情報に基づいて、歌唱履歴表示画面がリモコン装置1の表示部11に表示される。
図29には、本発明の実施形態に係る再生履歴表示画面が示されている。この再生履歴表示画面には、カラオケ装置2で再生された楽曲が、最近されたものを先頭として時系列に表示される。各楽曲には、楽曲名、投稿者名、歌手名といった楽曲関連情報が表示されている。再生された楽曲には、投稿楽曲の他、通常楽曲も含まれるが、通常楽曲は、投稿者が存在しないため表示されない。各楽曲は、楽曲関連情報が表示されている欄を選択することで予約選択することが可能である(S803:予約選択)。予約選択された場合、図22で説明するような楽曲確認画面が表示され(S804)、楽曲の再生予約が判定された場合(S805:Yes)、一度再生した楽曲を再度、予約する(S806)ことが可能である。
一方、通報対象楽曲の右側には、通報楽曲選択ボタン11aが表示されている。過去の投稿楽曲の再生によって、当該投稿楽曲が不適切であると判断したユーザは、通報対象楽曲の通報楽曲選択ボタン11aを操作する(S803:通報選択)ことで、図30に示される通報受付画面がサブ画面として表示され、再生中の場合と同様に通報受付を行うことが可能となる。この通報受付画面において、通報項目を選択し、通報ボタン11kを操作した場合には、通報受付あり(S808:Yes)と判定され、通報指示情報が管理サーバ装置に送信される(S809)。但し、この形態では、通報指示情報には、再生中の形態で可能としていた通報箇所(タイミング、位置)を含めることはできず、通報内容は、通報項目のみとなる。
以上、本実施形態では、カラオケ装置2における再生履歴から、通報受付を行うことを可能としているが、通報受付は、図21の投稿楽曲選択画面から受付可能としてもよい。但し、今回説明した再生中、あるいは、再生履歴からの通報受付では、実際に再生された、あるいは、再生中の投稿楽曲を通報受付対象としたものであるため、投稿楽曲の内容を視聴せずに通報を行うなどの行為を抑制することを可能としている。
図27の再生履歴表示は、ユーザに関係なくカラオケ装置2で再生された楽曲を表示するものであるが、カラオケ装置2では、ユーザ情報中に記録された履歴テーブルを用いて、各ユーザの再生履歴を表示させることも可能である。その場合、各ユーザの再生履歴中の通報対象楽曲に対して通報楽曲選択ボタン11aなどを表示させることで通報可能とし、図29の再生履歴表示では、通報受付を行わないこととしてもよい。このような形態では、自分が歌唱のため選択した投稿楽曲のみを通報対象とすることとなり、投稿楽曲をよく知っている歌唱ユーザからの通報のみを受け付けることが可能となる。
また、図29の再生履歴表示において、投稿楽曲であり、かつ、アクティブユーザのユーザ識別情報に対応する楽曲のみ通報対象楽曲として、通報楽曲選択ボタン11aなどを表示させて投稿を受付けることで、カラオケ装置2で再生された直近の全楽曲を表示しつつ、投稿楽曲をよく知っている歌唱ユーザからの通報のみを受付可能にすることとしても良い。
管理サーバ装置側での通報管理処理は、業者の視聴作業による確認処理(S702)で行うこととしているが、この確認処理に代え、所定条件を満たした楽曲は自動的に再生許可リストに追加する形態も考えられる。例えば、投稿開始から所定回数再生された楽曲に対して通報指示情報を受信しなかった場合、確認処理を行うことなく、再生許可リストに追加することが考えられる。この場合、管理サーバ装置は、各カラオケ装置から投稿楽曲の再生回数を集計し、所定の再生回数において通報指示を受けなかった、すなわち、通報指示情報を受信しなかった楽曲は、カラオケ装置2での再生に支障は無いと判断して、通報の対象から除外する。このような形態を採用することで、多数の投稿楽曲が投稿された場合であっても効率よく投稿楽曲の内容確認を行うことが可能となる。
なお、本発明はこれらの実施形態のみに限られるものではなく、それぞれの実施形態の構成を適宜組み合わせて構成した実施形態も本発明の範疇となるものである。