以下、本発明を実施するための形態について図面を参照しつつ説明する。尚、本発明は、粉体を冷却するための粉体冷却器として広く適用することができる。
図1は、本発明の実施形態に係る粉体冷却器1の一部を切断した状態を示す断面図であり、粉体冷却器1を側方から見た状態を示している。図1を参照して、粉体冷却器1は、粉体を冷却することが可能に構成されている。粉体の粒子径は特に限定されない。粉体の粒子径は、数μm程度であってもよいし、1mm程度であってもよいし、数mm程度であってもよい。粉体冷却器1で冷却される粉体として、金属粉末を例示することができる。
金属粉末は、例えば、図示しない加熱炉によって数百度程度に加熱された後、粉体冷却器1へ投入される。この金属粉末は、粉体冷却器1によって、数十度(例えば、常温)程度まで冷却され、その後、粉体冷却器1から排出される。以下、本実施形態では、金属粉末を冷却する場合に即して説明する。尚、粉体冷却器1は、金属粉末以外の粉末を冷却することも可能である。金属粉末以外の粉末として、半導体用材料の粉末、食用の粉末等を例示することができる。
本実施形態では、粉体冷却器1は、真空雰囲気下で、冷却媒体としての冷却水を用いて、粉体を冷却するように構成されている。また、粉体冷却器1は、水平面H1に対して傾斜した姿勢で、設置されている。本実施形態では、水平面H1に対する粉体冷却器1の傾斜角度θ1は、15度程度に設定されている。
また、本実施形態では、粉体冷却器1は、バッチ式の粉体冷却器として構成されている。具体的には、粉体冷却器1は、容器2内に一定量の粉体を溜めた状態で、この容器2内の粉体を冷却し、冷却作業が終わった後、容器2内の粉体を排出する。そして、粉体冷却器1は、この冷却作業及び排出作業を、繰り返し行う。尚、粉体冷却器1は、連続式の粉体冷却器であってもよい。即ち、粉体冷却器1は、粉体を連続的に受け入れながら、この粉体を冷却し、且つ、粉体を連続的に排出する構成であってもよい。
粉体冷却器1は、容器2と、開閉装置3と、撹拌装置4と、を備えている。
容器2は、粉体を収容するために設けられている。容器2は、熱交換器としての機能を有しており、容器2内の粉体からの熱を、冷却水へ伝達するように構成されている。容器2は、例えば、前述の熱処理炉の下方に配置されており、この熱処理炉から排出された粉体を受け入れることが可能である。容器2は、中空の円柱状に形成されている。
容器2は、容器本体5と、冷却水路6と、蓋装置7と、を有している。
容器本体5は、粉体を溜めるために設けられている。また、容器本体5は、粉体、及び冷却水の双方と直接接触する部分として設けられている。容器本体5は、構造用鋼等の金属材料によって形成されている。容器本体5は、二重構造を有しており、この容器本体5の内部に冷却水路6が形成されている。容器本体5は、一端が閉じられた円筒状に形成されている。
容器本体5は、外殻部8と、支柱部9と、内殻部10と、排出部11と、フランジ部12と、を有している。
外殻部8は、外周壁13と、外底壁14と、を有している。
外周壁13は、円筒状に形成されている。外周壁13は、第1ポート部材15及び第2ポート部材16と接続されている。第1ポート部材15は、冷却水路6における冷却水の入口として設けられている。第1ポート部材15は、外周壁13の下端部に取り付けられた、筒状の部材であり、外周壁13を貫通している。第1ポート部材15は、クーラ等の熱交換器(図示せず)に接続されている。
第1ポート部材15は、上記の熱交換器から送り出された冷却水を、冷却水路6へ案内する。また、冷却水路6を通過した冷却水は、第2ポート部材16を通して、上記の熱交換器に送られる。第2ポート部材16は、外周壁13の上端部に取り付けられた、筒状の部材であり、外周壁13を貫通している。外周壁13の軸方向におけるこの外周壁13の一端を塞ぐように、外底壁14が配置されている。
外底壁14は、円板状に形成されており、外周壁13とは、溶接等によって固定されている。外底壁14の下部には、貫通孔14aが形成されている。この貫通孔14aには、排出部11が挿入されている。外底壁14の上面には、支柱部9が固定されている。
支柱部9は、外底壁14と、内殻部10の後述する内底壁19との間に隙間を形成するための部材である。支柱部9は、複数設けられている。図1では、2つの支柱部9を示している。これら複数の支柱部9は、互いに離隔した状態で、配置されている。これらの支柱部9は、内殻部10を支持している。
内殻部10は、容器本体5のうち、粉体が直接接触する部分として設けられている。内殻部10は、一端が閉じられた円筒状に形成されている。内殻部10は、前述したように、金属材料等によって形成されており、比較的高い熱伝導性を有している。このため、内殻部10内の粉体からの熱は、内殻部10を通して、冷却水路6へ伝わることが可能である。
内殻部10は、内周壁18と、内底壁19と、を有している。
内周壁18は、円筒状に形成されている。内周壁18は、外殻部8内に収容されており、外周壁13と同心に配置されている。内周壁18の一端部と、外周壁13の一端部とは、フランジ部12によって互いに結合されている。
フランジ部12は、蓋装置7を支持するために設けられた、円環状の板部材である。フランジ部12は、外周壁13、及び内周壁18の一端部に溶接等によって固定されている。フランジ部12のうち、上側を向く外側面には、Oリング等のシール部材20を収容するための溝が形成されている。
内周壁18の内周面18aは、容器2の内周面として設けられており、粉体を受けることが可能である。この内周面18aは、円筒面である。この内周壁18の他端部を塞ぐように、内底壁19が配置されている。
内底壁19は、円板状に形成されており、内周壁18とは、溶接等によって固定されている。内底壁19は、複数の支柱部9に固定されており、外底壁14とは、離隔して配置されている。内底壁19は、外底壁14と平行に配置されている。内底壁19は、上向き面(受け面)19aを有している。上向き面19aは、内周壁18によって囲まれた、平坦な面(平面)であり、円形状に形成されている。
上向き面19aは、鉛直方向Z1のうちの上側を向く面として設けられている。水平面H1に対する上向き面19aの傾斜角度が、粉体冷却器1の傾斜角度θ1として定義される。本実施形態において、傾斜角度θ1は、0度以上、且つ、90度未満(例えば、15度程度)に設定されている。この上向き面19aは、粉体を受けるために設けられている。本実施形態では、容器2の上向き面19a、及び内周面18aは、粉体を受けるように構成されている。上向き面19a、内周面18a、及び、後述する蓋31の内側面31aによって、粉体を収容するための収容空間S1が形成されている。鉛直方向Z1における、内底壁19の下部には、貫通孔19bが形成されている。貫通孔19bには、排出部11が挿入されている。
排出部11は、収容空間S1内の粉体を、容器2の外部へ排出するために設けられている。排出部11は、容器2の下端部に配置されている。排出部11は、円筒状に形成されており、鉛直方向Z1に延びている。排出部11は、内底壁19の貫通孔19b、及び外底壁14の貫通孔14aを貫通している。排出部11の上側の開口は、収容空間S1と連続している。また、排出部11の下側の開口は、容器2の外部の空間S2に開放されることが可能に構成されている。排出部11の外周面と、貫通孔14aの周面とは、溶接等によって互いに固定されている。同様に、排出部11の外周面と、貫通孔19bの周面とは、溶接等によって互いに固定されている。
排出部11の上端部は、上向き面19aと連続しており、収容空間S1内の粉体を、排出部11内へ導入することが可能である。排出部11の下端部は、外底壁14の下方に突出している。排出部11の下側の開口は、開閉装置3によって開閉可能である。開閉装置3は、容器2の下部に配置されている。開閉装置3が、排出部11の下側の開口を開くことにより、収容空間S1内の粉体を、排出することが可能である。収容空間S1内に粉体を溜めた状態を維持する場合には、排出部11は、開閉装置3によって閉じられる。また、収容空間S1内の粉体を容器2の外部の空間S2へ排出する場合には、排出部11の下側の開口は、開閉装置3によって開かれる。
開閉装置3は、底蓋21と、シリンダ装置22と、を有している。
底蓋21は、排出部11の下側の開口を塞ぐために設けられた部材である。底蓋21は、押さえ部21aを含んでいる。押さえ部21aは、例えば、平面状に形成されており、排出部11の下側の開口を塞ぐことが可能に構成されている。底蓋21が、排出部11の下側の開口を塞いでいることにより、収容空間S1内の粉体及び排出部11内の粉体は、容器2の内部に留められる。底蓋21は、シリンダ装置22によって、移動可能に支持されている。
シリンダ装置22は、底蓋21を動作させるためのアクチュエータとして設けられている。尚、本実施形態では、アクチュエータとしてシリンダ装置22を用いる形態を例に説明するけれども、他のアクチュエータを用いてもよい。
シリンダ装置22は、例えば、作動流体としての圧縮空気によって動作される。シリンダ装置22は、ケーシング23と、ロッド24と、を有している。ケーシング23は、ブラケット25を介して、外底壁14に固定されている。ケーシング23は、ロッド24を、直線往復運動可能に支持している。ロッド24は、上記の作動流体からエネルギーを受けて、直線往復運動を行うことが可能に構成されている。ロッド24の一端は、底蓋21に連結されている。ロッド24が直線運動することにより、底蓋21は、排出部11の下側の開口を閉じている位置と、この開口を開放している位置とに、変位可能である。
排出部11の近傍には、バイブレータ26が配置されている。バイブレータ26は、排出部11の下側の開口が開放されている状態において、収容空間S1からの粉体の排出を促進するために用いられる。バイブレータ26は、ブラケット27を介して、容器2の内周壁18に固定されている。このブラケット27は、容器2の外周壁13を貫通している。バイブレータ26は、振動を発生することにより、容器2を震動させる。
一方、底蓋21によって、排出部11の下側の開口が閉じられている状態で、粉体を冷却する際には、冷却水路6に冷却水が供給される。冷却水路6は、外殻部8と、内殻部10と、フランジ部12と、排出部11と、によって形成されている。即ち、冷却水路6は、外殻部8と、内殻部10と、フランジ部12と、排出部11と、によって囲まれた空間を、通路として有している。
第1ポート部材15から冷却水路6に供給された冷却水は、矢印F1及び矢印F2に示すように、容器本体5の下部から上部へ向けて、進む。これにより、冷却水は、内周壁18及び内底壁19に接触し、粉体からの熱を吸収する。冷却水は、更に、第2ポート部材16へ向かい、第2ポート部材16から、図示しない熱交換器へ送られる。
上記の構成を有する容器本体5には、蓋装置7が取り付けられている。蓋装置7は、容器本体5の上側の開口を閉じるために設けられている。また、蓋装置7は、撹拌装置4の後述する主軸53を支持するために設けられている。また、蓋装置7は、収容空間S1内の気圧を負圧に維持するために設けられている。蓋装置7は、容器本体5上に配置されている。
図2は、図1の蓋装置7の周辺の拡大図である。図1及び図2に示すように、蓋装置7は、蓋31と、投入部32と、吸込部33と、台座部34と、支持筒35と、押さえ部材36と、を有している。
蓋31は、容器本体5を上方から覆うために設けられている。蓋31は、円板状に形成されており、容器本体5のフランジ部12に受けられている。蓋31のうち、下側を向く内側面31aは、フランジ部12に保持されたシール部材20と接触している。これにより、蓋31とフランジ部12との間が気密的にシールされている。蓋31の中央部には、貫通孔31bが形成されている。また、蓋31には、投入部32が設置されている。
投入部32は、粉体を容器2の外部から収容空間S1へ投入するために設けられている。投入部32は、筒状に形成されており、鉛直方向Z1と略平行に延びている。投入部32は、蓋31に形成された貫通孔を貫通している。投入部32の上端部には、フランジ部32aが固定されている。フランジ部32aは、前述した、図示しない熱処理炉と接続するために設けられている。投入部32の下側の開口は、収容空間S1に連続している。熱処理炉から投入部32を通して収容空間S1に投入された粉体は、上向き面19a又は内周面18aに受けられる。投入部32に隣接した位置に、吸込部33が設けられている。
吸込部33は、収容空間S1内の気体を吸引するために設けられている。吸込部33は、筒状に形成されており、蓋31に形成された貫通孔を貫通している。この吸込部33は、蓋31に固定されている。吸込部33の下側の開口は、収容空間S1に連続している。吸込部33には、図示しない真空ポンプが接続されている。この真空ポンプの動作によって、収容空間S1内の気体が吸引される。これにより、収容空間S1の圧力は、負圧となる。吸込部33に隣接した位置に、台座部34が設けられている。
台座部34は、蓋31の中央に配置されている。台座部34は、蓋31のうち上側を向く外側面31cに固定されている。台座部34は、円環状に形成されており、蓋31の貫通孔31bと同軸に配置されている。台座部34は、支持筒35を支持している。
支持筒35は、撹拌装置4の後述する主軸53を支持するために設けられている。本実施形態では、支持筒35は、細長く延びる円筒状に形成されており、台座部34と同軸に配置されている。支持筒35のうち、台座部34に受けられている一端部には、フランジ部35aが取り付けられている。フランジ部35aは、円環状に形成されており、複数の雄ねじ部材37を用いて、台座部34に固定されている。フランジ部35aと台座部34との間には、Oリング等のシール部材38が配置されている。これにより、フランジ35aと台座部34との間は、気密的にシールされている。支持筒35の他端部には、押さえ部材36が配置されている。
押さえ部材36は、後述する軸受56を押さえるために設けられている。押さえ部材36は、円環状の板部材であり、支持筒35と同軸に配置されている。押さえ部材36は、複数の雄ねじ部材39を用いて、支持筒35に固定されている。上記の構成を有する蓋装置7によって、撹拌装置4が支持されている。撹拌装置4は、収容空間S1内の粉体を撹拌することで、収容空間S1内の粉体の熱の分布を均すように構成されている。即ち、撹拌装置4は、収容空間S1内の粉体の冷却効率を高めるために設けられている。
撹拌装置4は、モータ51と、伝動機構52と、主軸53と、撹拌部材54と、を有している。
モータ51は、撹拌部材54を駆動させる駆動源として設けられている。本実施形態では、モータ51は、電動モータである。モータ51のハウジング51aは、ブラケット55に固定されている。ブラケット55は、蓋31の外側面31cに固定されている。モータ51の出力軸51bは、ハウジング51aから上側に突出するように延びている。本実施形態では、モータ51の出力軸51bの回転方向は、一方向である。モータ51の出力は、伝動機構52を介して、主軸53へ伝達される。本実施形態では、伝動機構52は、チェーンを用いた減速機構である。
伝動機構52は、駆動歯車52aと、従動歯車52bと、チェーン52cと、を有している。
駆動歯車52aは、モータ51の出力軸51bに、一体回転可能に連結されている。従動歯車52bは、主軸53の上部53aに、一体回転可能に連結されている。従動歯車52bのピッチ円直径は、駆動歯車52aのピッチ円直径よりも大きく設定されている。チェーン52cは、駆動歯車52a及び従動歯車52bに巻き掛けられている。尚、図1では、チェーン52cのうちの一部のみを図示しており、図2では、チェーン52cの図示を省略している。モータ51の出力軸51bの回転に伴い、駆動歯車52a、チェーン52c、及び従動歯車52bが回転する。従動歯車52bの回転とともに、主軸53が回転する。
主軸53は、撹拌部材54を支持し、且つ、撹拌部材54を、撹拌方向B1に駆動するために設けられている。主軸53は、上向き面19aと直交する方向に延びている。主軸53は、上向き面19と直交する回転軸線D1を有している。回転軸線D1は、主軸53の中心軸線である。主軸53と撹拌部材54とは、回転軸線D1を中心に回転可能である。尚、以下では、主軸53の軸方向を、「軸方向A1」という。また、主軸53の径方向を、「径方向R1」という。また、主軸53の周方向を、「周方向C1」という。本実施形態では、周方向C1の一方が、撹拌方向B1として設定されている。
主軸53の上部53aは、蓋装置7の支持筒35から突出している。この上部53aに、従動歯車52bが固定されている。主軸53の中間部53bの一部は、支持筒35内に配置されている。主軸53の中間部53bは、軸受56を介して、支持筒35に支持されている。これにより、主軸53は、支持筒35に対する軸方向A1の移動を規制された状態で、支持筒35によって、回転可能に支持されている。また、主軸53と支持筒35との間には、シール部材57が配置されている。シール部材57は、軸受56の下方に配置されており、主軸53と支持筒35との間を、気密的にシールしている。
主軸53の中間部53bの一部及び下部53cは、収容空間S1内に配置されている。主軸53の上部53a及び中間部53bは、冷却水路62を有している。冷却水路62は、主軸53及びシール部材57の加熱を抑制するために設けられている。冷却水路62は、主軸53内を軸方向A1に沿って延びており、主軸53の上面に開放されている。この冷却水路62は、図示しない熱交換器(図示せず)に接続されており、この熱交換器から冷却水を供給される。これにより、粉体からの熱は、主軸53を通して、主軸53の冷却水路62内の冷却水に伝わり、さらに、熱交換器へ排出される。
図3は、主軸53の下部53cの周辺の拡大図であり、一部を断面で示している。図3を参照して、主軸53の下部53cの直径は、主軸53の中間部53bの直径よりも小さい。主軸53の中間部53bと下部53cとの境界には、環状の段部58が形成されている。主軸53の下部53cには、円筒状のカラー59が嵌合されている。カラー59は、主軸53の段部58に受けられており、軸方向A1に位置決めされている。また、主軸53の下部53cには、撹拌部材54の後述するボス部61が嵌合されている。主軸53の下部53cの外周には、キー溝部53dが形成されている。キー溝部53dは、軸方向A1に延びている。主軸53の下部53cの下端部は、雄ねじ部60を有している。この雄ねじ部60には、ナット50がねじ結合されている。ナット50は、ボス部61及びカラー59を、主軸53に締結している。即ち、ナット50を用いることによって、主軸53に、撹拌部材54が取り付けられている。
図1及び図3を参照して、撹拌部材54は、収容空間S1内の粉体を撹拌するために設けられている。撹拌部材54は、主軸53の下部53cに連結されている。撹拌部材54は、内周面18a及び上向き面19aに隣接して配置されている。撹拌部材54は、内底壁19の上向き面19aを撫でるように動作するように構成されている。これにより、撹拌部材54は、収容空間S1内の粉体を、満遍なく撹拌することが可能である。
撹拌部材54は、ボス部61と、羽根部62と、キャップ部材63と、を有している。
図4は、撹拌部材54の底面図であり、キャップ部材63の図示は省略している。図3及び図4に示すように、ボス部61は、主軸53に固定される部分として設けられている。ボス部61は、筒状に形成されている。ボス部61には、貫通孔61aが形成されている。貫通孔61aは、ボス部61を軸方向A1に貫通している。この貫通孔61aには、主軸53の下部53cが挿入されている。
貫通孔61aには、キー溝部61bが形成されている。キー溝部61bは、軸方向A1における貫通孔61aの全域に延びている。このキー溝部61b、及び主軸53のキー溝部53dは、互いに向かい合っている。キー溝部53d,61bは、キー部材64を保持している。これにより、撹拌部材54と主軸53とは、キー部材64を介して、一体回転可能に連結されている。
ボス部61の下面61cには、環状のワッシャ65,66が配置されている。ワッシャ65,66は、主軸53の雄ねじ部60に貫通されている。前述したように、雄ねじ部60は、ナット50と結合されており、ナット50は、ワッシャ65,66を介して、ボス部61の下面61cを、カラー59に向けて加圧している。本実施形態では、キー部材64は、ワッシャ65に受けられている。
ボス部61の上部の外周面は、円錐台形状に形成されており、軸方向A1に沿って上方に進むに従い、先細りの形状を有している。これにより、ボス部61上の粉体を、下方へ落下させ易くしている。ボス部61の下部の外周面は、略円筒状に形成されており、嵌合部61dを有している。嵌合部61dは、羽根部62の数と同じ数だけ形成されている。各嵌合部61dは、対応する羽根部62と結合されている。
羽根部62は、ボス部61とともに、撹拌方向B1に移動するように構成されている。羽根部62は、1又は複数設けられている。本実施形態では、羽根部62は、2つ設けられており、周方向C1に180度の間隔を隔てて離隔している。即ち、羽根部62は、ボス部61を中心にして、放射状に配置されている。各羽根部62は、径方向R1に沿う長手方向L1に細長く延びている。尚、各羽根部62は、同様の構成をしているので、1つの羽根部62(図3の右側の羽根部62)の構成を例に、各羽根部62の構成を説明する。
図5は、1つの羽根部62の周辺部分を拡大して示す正面図であり、一部を断面で示している。図6は、図5のVI−VI線に沿う断面図である。図5及び図6を参照して、羽根部62は、第1部材71と、第2部材72と、連結部材73と、を有している。
第1部材71は、羽根部62の主羽根として設けられている。また、第1部材71は、第2部材72を収容する部分として設けられている。第1部材71は、長手方向L1に細長い形状に形成されている。第1部材71は、長手方向L1から見て、下向きのU字状に形成されている。第1部材71は、内底壁19の上向き面19aから離隔して配置されており、且つ、内周壁18の内周面18aから離隔して配置されている。即ち、第1部材71は、容器本体5とは接触しないように配置されている。第1部材71の基端部71aは、ボス部61に固定されている。また、第1部材71の先端部71bは、内周壁18の内周面18aに隣接している。
第1部材71は、梁部74と、前壁75と、後壁76と、ガイド部77と、を有している。
梁部74は、ボス部61から、長手方向L1に沿って真っ直ぐに延びており、上向き面19aと略平行である。梁部74の上面74aは、長手方向L1から見て、山形形状に形成されており、水平面H1に対して、傾斜している。これにより、梁部74の上面74aに粉体が滞留することを抑制している。梁部74から撹拌方向B1に進んだ位置に、前壁75が配置されている。
前壁75は、上向き面19aに対して直交するように起立した姿勢に配置されており、長手方向L1に延びている。前壁75は、長手方向L1に長く、軸方向A1と平行な方向に短い矩形の板状に形成されている。前壁75の上部は、梁部74に固定されている。前壁75の上面75aは、水平面H1に対して、傾斜しており、この上面75aに粉体が滞留することを抑制している。前壁75のうち、上向き面19aと対向する下面75bは、上向き面19aとは数mm程度の隙間をあけて対向している。この下面75bは、上向き面19aと平行に延びている。前壁75と略平行に並ぶようにして、後壁76が配置されている。
図7は、羽根部62の背面図であり、羽根部62の周辺の部材も図示している。図8は羽根部62の平面図であり、羽根部62の周辺の部材も図示している。図6〜図8を参照して、後壁76は、前壁75と協働して第2部材72を保持するために設けられている。後壁76は、前壁75に対して、撹拌方向B1と反対方向側に位置している。後壁76は、複数の片部78を用いて形成されている。
各片部78は、長手方向L1に離隔して配置されている。各片部78は、略矩形の板状に形成されている。各片部78は、上向き面19aに対して直交するように起立した姿勢に配置されており、軸方向A1と平行に延びている。各片部78の上部は、梁部74に固定されている。各片部78の上面78aは、水平面H1に対して、傾斜しており、この上面78aに粉体が滞留することを抑制している。各片部78のうち、上向き面19aと対向する下面78bは、上向き面19aとは数mm程度の隙間をあけて対向している。下面78bは、上向き面19aと平行に延びており、且つ、下面75bと同一平面上に並んでいる。
第1部材71の基端部71aは、梁部74の基端部と、前壁75の基端部と、後壁76の基端部と、によって形成されている。この基端部71aは、ボス部61の嵌合部61dに嵌め込まれており、溶接等によって、嵌合部61dに固定されている。第1部材71の先端部71bは、梁部74の先端部と、前壁75の先端部と、後壁76の先端部と、によって形成されている。
第1部材71のガイド部77は、第2部材72を保持するために設けられている。また、ガイド部77は、可動方向M1への第2部材72の移動を案内するために設けられており、可動方向M1に延びている。
尚、可動方向M1は、本発明の「受け面に向かう方向及び受け面から遠ざかる方向」の一例である。本実施形態では、可動方向M1は、上向き面19aと直交する方向であり、且つ、軸方向A1と平行な方向である。可動方向M1の一方M2は、上向き面19aに向かう方向である。また、可動方向M1の他方M3は、上向き面19aから遠ざかる方向である。
ガイド部77は、梁部74の下面74cと、前壁75の内側面75cと、後壁76の各片部78の内側面78cと、によって形成されている。下面74cは、上向き面19aと平行に延びている。各内側面75c,78cは、可動方向M1と平行な方向に延びている。長手方向L1から見て、下面74cと、各内側面75c,78cとで囲まれた空間83が、ガイド部77内の空間である。ガイド部77は、上向き面19aに向けて開放されている。また、ガイド部77は、内周壁18の内周面18aに向けて開放されている。
ガイド部77は、開口部79を有している。開口部79は、撹拌方向B1とは反対の方向に向けて第2部材72を露呈させるために設けられている。開口部79は、長手方向L1に隣り合う片部78間に形成されている。即ち、本実施形態では、開口部79は、複数設けられている。開口部79は、撹拌方向B1とは反対の方向に開口しており、且つ上向き面19aに向けて開口している。上記の構成を有するガイド部77に、第2部材72が嵌められている。
図5〜図7を参照して、第2部材72は、第1部材71とともに粉体を撹拌する副羽根として設けられている。また、第2部材72は、内底壁19の上向き面19aに直接接触することが可能な部分として設けられている。より具体的には、第2部材72は、第1部材71から上向き面19aに向けて突出するように配置されており、上向き面19aに直接接触することが可能である。
第2部材72は、第1部材71とともに、撹拌方向B1(周方向C1の一方)に移動可能である。また、第2部材72は、第1部材71のガイド部77及び上向き面19aに対して、可動方向M1に移動可能である。
第2部材72は、長手方向L1に細長く延びる、略矩形の板状に形成されている。第2部材72は、上向き面19aと直交するように起立した姿勢に配置されている。第2部材72の大部分は、ガイド部77に収容されている。第2部材72の基端部72aは、第1部材71の基端部71aに隣接して配置されている。第2部材72の先端部72bは、第1部材71の先端部71bに隣接して配置されており、且つ、ガイド部77から突出している。
第2部材72は、第1部材71から内周面18aに向けて突出するとともに、第1部材71から上向き面19aに向けて突出している。第2部材72の先端部72bは、内周壁18の内周面18aと近接しているけれども、この内周面18aと接触していない。第2部分72のうち、先端部72bの下側部分は、面取りが施された形状を有している。
第2部材72の下面72dは、内底壁19の上向き面19aに接触している。本実施形態では、下面72dは、平坦な面である。この下面72dのうち、撹拌方向B1側の縁部72cは、尖った形状に形成されている。これにより、第2部材72は、上向き面19a上の粉体を、より確実に掻くことができる。尚、下面72dは、長手方向L1から見て、上向き面19aに向けて先鋭な形状に形成されていてもよい。
第2部材72の上面72eは、水平面H1に対して傾斜した形状を有している。本実施形態では、上面72eは、長手方向L1から見て、山形形状に形成されており、上方に向かって凸となる形状を有している。これにより、第2部材72上の粉体を上向き面19aへ落下させ易くされており、第2部材72上に粉体が滞留することを抑制できる。
第2部材72の上面72eは、ガイド部77の内側面としての、梁部74の下面74cと離隔しており、第2部材72は、第1部材71に対して、可動方向M1に移動可能である。また、第2部材72の厚み(撹拌方向B1の長さ)は、ガイド部77の内側面としての、内側面75c,78c間の距離よりも、僅かに小さくされている。この場合の「僅かに」、とは、例えば、数mm程度である。このように、第2部材72と、第1部材71との間には、適度なクリアランス(遊び)が設けられている。このクリアランスが設けられていることにより、第2部材72は、第1部材71に対する移動の自由度が高くされている。これにより、第2部材72と第1部材71との間で粉体が詰まることは、抑制される。
第2部材72は、連結部材73を介して、第1部材71に相対移動可能に連結されている。連結部材73は、例えば、円柱状の小片部材であり、複数設けられている。各連結部材73は、第2部材72を貫通している。より具体的には、第2部材72には、第1長孔81及び第2長孔82が形成されている。
第1長孔81は、第2部材72の先端部72bの近傍に形成された貫通孔である。第1長孔81は、可動方向M1に細長い孔である。第1長孔81には、対応する連結部材73が挿入されている。連結部材73の両端部は、それぞれ、前壁75及び後壁76に固定されている。可動方向M1における第1長孔81の長さは、連結部材73の直径よりも大きく設定されている。これにより、第1長孔81は、連結部材73に対して、可動方向M1に移動可能である。
また、長手方向L1における第1長孔81の幅は、連結部材73の直径よりも僅かに大きく設定されている。このため、第1長孔81は、連結部材73に対して、長手方向L1に移動可能である。尚、第2部材72が第1部材71に対して長手方向L1に移動できる量は、第2部材72が第1部材71に対して可動方向M1に移動できる量よりも小さく設定されている。第1長孔81と長手方向L1に並ぶようにして、第2長孔82が形成されている。
第2長孔82は、1又は複数設けられている。本実施形態では、第2長孔82は、長手方向L1に等間隔に3つ形成されている。各第2長孔82は、第2部材72を貫通している。各第2長孔82は、可動方向M1に細長い孔である。各第2長孔82は、それぞれ、対応する連結部材73に貫通されている。これらの連結部材73の両端部は、前壁75及び後壁76に固定されている。
可動方向M1において、各第2長孔82の長さは、第1長孔81の長さと同じに設定されている。また、各第2長孔82と第1長孔81とは、可動方向M1における位置が揃えられている。各第2長孔82は、連結部材73に対して、可動方向M1に移動可能である。また、長手方向L1において、各第2長孔82の幅は、第1長孔81の幅よりも僅かに大きく設定されている。各第2長孔82は、連結部材73に対して、長手方向L1に移動可能である。
本実施形態では、第2部材72を上向き面19aに向けて加圧させる力が、第2部材72に作用するように、構成されている。本実施形態では、第2部材72の自重によって、第2部材72を上向き面19aに向けて加圧させる力が作用している。
図9は、図3のIX−IX線に沿う断面図である。図3及び図9を参照して、上記の構成を有する羽根部62に隣接して、キャップ部材63が配置されている。キャップ部材63は、ボス部61と上向き面19aとの間に粉体が滞留することを抑制するために設けられている。キャップ部材63は、ボス部61と上向き面19aとの間に配置されており、ボス部61に固定されている。
キャップ部材63は、略円筒状に形成されている。キャップ部材63の外周部には、嵌合部63dが形成されている。嵌合部63dは、羽根部62と嵌合する部分として設けられている。嵌合部63dは、羽根部62の数と同じ数だけ設けられており、対応する第1部材71の基端部71aが嵌められている。キャップ部材63の内部には、空洞63aが形成されている。
空洞63aは、上方に向けて開放されている。この空洞63aは、ナット50、主軸53の雄ねじ部60、及びワッシャ65,66を収容している。キャップ部材63の上面63bの外周部は、ボス部61の下面61cの外周部に接触している。これにより、キャップ部材63とボス部61との間に、粉体が進入することを抑制している。キャップ部材63は、底面視において、ボス部61を覆っている。キャップ部材63の下面63cは、上向き面19aとは、数mm程度の僅かな隙間を隔てて対向している。キャップ部材63は、ボス部61とは、ねじ部材等の固定部材を用いて固定されていてもよいし、溶接等によって固定されていてもよい。
次に、粉体冷却器1の動作の要点を説明する。図1を参照して、上記の構成を有する粉体冷却器1において、モータ51が回転することに伴い、主軸53は、撹拌方向B1に回転する。主軸53は、撹拌部材54を撹拌方向B1に回転させる。これにより、撹拌部材54の各第1部材71は、容器本体5とは離隔した状態を維持しつつ、収容空間S1内の粉体を撹拌する。また、撹拌部材54の各第2部材72は、容器本体5の上向き面19aと接触しながら、収容空間S1内の粉体を撹拌する。
図10A及び図10Bに示すように、容器本体5の上向き面19aは、完全な平坦面ではなく、寸法交差等に起因する、僅かな凹凸が存在している。このため、上向き面19aは、第1部材71との距離が相対的に大きい部分19a1と、第1部材71との距離が相対的に小さい部分19a2と、を有している。
撹拌方向B1に移動中の第2部材72は、部分19a1に接触する際には、第1部材71に対して可動方向M1の一方M2、即ち、上向き面19aに近づく方向へ変位しつつ、上向き面19aとの接触状態を維持する。一方、撹拌方向B1に移動中の第2部材72は、部分19a2に接触する際には、第1部材71に対して可動方向M1の他方M3、即ち、上向き面19aから遠ざかる方向へ変位しつつ、上向き面19aとの接触状態を維持する。これにより、第2部材72は、上向き面19aと引っかかりを生じることなく、上向き面19aと常時接触した状態を維持する。
図1を参照して、また、撹拌部材54の動作に伴い、ガイド部77内に進入した粉体は、開口部79、第1部材71の先端部71b、及び第1部材71の下部等から、ガイド部77の外部へ排出される。このように、ガイド部77内に進入した粉体は、開口部79等からスムーズに排出される。
容器2内の粉体の冷却が完了した後は、シリンダ装置22の動作によって、底蓋21が排出部11から離隔される。これにより、排出部11の下側の開口が開かれる。この状態で、撹拌部材54が回転することにより、容器2内の粉体は、排出部11へ導かれ、排出部11から容器2の外部へ排出される。粉体の排出作業が完了した後は、再び、底蓋21が排出部17の下方に配置されることで、排出部11が閉じられる。その後、投入部32から、高温の粉体が容器2内へ供給され、再び、粉体を撹拌しながらの冷却作業が行われる。
以上説明したように、粉体冷却器1によると、撹拌部材54の第2部材72は、第1部材71から上向き面19aに向けて突出するように配置されている。これにより、容器2と撹拌部材54との間の隙間を、より詰めることができるので、容器2内の粉体のうち、撹拌部材54によって撹拌されない部分を、より少なくできる。即ち、容器2内で同じ場所で滞留する粉体を、より少なくできる。よって、粉体を、より満遍なく撹拌できるので、容器2内における粉体の熱の偏りを、少なくできる。これにより、粉体の冷却効率を、高くできる。また、第2部材72は、上向き面19aに対して、可動方向M1に移動可能である。このため、第2部材72は、上向き面19aの形状の状態(起伏の有無等)に応じて、可動方向M1の他方M3(上向き面19aから遠ざかる方向)に移動できる。よって、容器2の寸法精度、及び撹拌部材54の寸法精度が低いこと等に起因して、上向き面19aに起伏が存在している場合であっても、撹拌部材54の第2部材72は、容器2の上向き面19a引っかからないように移動できる。このため、撹拌部材54の寸法精度、及び容器2の寸法精度を過度に高くしなくて済み、粉体冷却器1の製造コストを安価にすることができる。しかも、第2部材72は、可動方向M1の一方M2にも移動可能である。よって、第2部材72が上向き面19aに引っかからないようにしつつ、第2部材72と上向き面19aとの間の距離を詰めることができる。
従って、粉体冷却器1において、粉体の冷却効率を高くでき、且つ、製造コストを安価にすることができる。
また、粉体冷却器1によると、容器2は、粉体からの高熱を受けるとともに、冷却水路6内の冷却水によって冷却される。このため、粉体冷却器1を長期間使用すると、容器2の各部に、熱に起因する歪みが生じるおそれがある。しかしながら、容器2の上向き面19aにこのような歪みが生じた場合でも、第2部材72は、上向き面19aの形状の状態(起伏の有無等)に応じて、可動方向M1に移動できる。よって、粉体冷却器1を長期間使用した後でも、撹拌部材54の第2部材72は、容器2の上向き面19a引っかからないように移動できる。よって、粉体冷却器1を、より長期間に亘って使用することができるので、粉体冷却器1の寿命を、より長くできる。
また、粉体冷却器1によると、第2部材72は、上向き面19aと接触可能である。この構成によると、容器2の上向き面19aと撹拌部材54との間の距離を、ゼロにすることができる。これにより、容器2内の粉体のうち、撹拌部材54によって撹拌されない部分を、格段に少なくできる。よって、粉体を、より効率よく撹拌することができるので、粉体の冷却効率を、一層高くできる。
また、粉体冷却器1は、第2部材72を上向き面19aに向けて加圧させる力が第2部材72に作用するように構成されている。これにより、第2部材72と上向き面19aとが近接している状態を、より確実に維持することができる。したがって、撹拌部材54は、粉体を、より効率よく撹拌することができる。このため、粉体の冷却効率を、一層高くできる。
より具体的には、第2部材72の自重によって、第2部材72を上向き面19aに向けて加圧させる力が作用している。したがって、第2部材72を上向き面19aに向けて加圧するための専用の部材が不要である。よって、撹拌部材54の構成を、より簡素にできる。
また、粉体冷却器1によると、ガイド部77によって、第1部材71に対する第2部材72の変位を、案内できる。これにより、第2部材72を、より確実に、可動方向M1に変位させることができる。
また、粉体冷却器1によると、ガイド部77の開口部79は、撹拌方向B1とは反対の方向に向けて第2部材72を露呈させている。この構成によると、ガイド部77内に侵入した粉体を、開口部79を通して、ガイド部77の外部へ排出することができる。これにより、ガイド部77内での粉体の詰まりに起因する、第2部材72と第1部材71との固着を抑制できる。したがって、第1部材71に対して第2部材72が移動できる状態を、より確実に維持できる。
また、粉体冷却器1によると、容器2は、水平面H1に対して傾斜した姿勢で配置されている。容器2の排出部11は、容器2の下端部に配置されている。この構成によると、撹拌部材54を駆動させることにより、容器2内の粉体を、排出部11へ搬送できる。したがって、容器2内の粉体を排出部11へ搬送するための専用の部材を用意する必要がなく、粉体冷却器1の構造を、より簡素にすることができる。また、第2部材72が上向き面19aに直接接触するように、撹拌部材54が回転する結果、上向き面19a上の粉体を、より確実に排出部11まで搬送できる。よって、容器2から粉体を排出する作業の際に、容器2内に残留してしまう粉体の量を、格段に少なくできる。
以上、本発明の実施形態について説明したけれども、本発明は上述の実施の形態に限られるものではない。本発明は、特許請求の範囲に記載した限りにおいて様々な変更が可能である。
(1)上述の実施形態では、1つのガイド部77内に1つの第2部材72が配置される形態を例に説明した。しかしながら、この通りでなくてもよい。例えば、1つのガイド部77内に、複数の第2部材を配置してもよい。この場合、第2部材は、長手方向L1に沿って配列される。
(2)また、上述の実施形態では、連結部材73が貫通される孔部として、形状の異なる第1長孔81及び第2長孔82を設ける形態を例に説明した。しかしながら、この通りでなくてもよい。例えば、第1長孔81の形状と、第2長孔82の形状と、を同じにしてもよい。
(3)また、上述の実施形態では、連結部材73を、第1部材71に固定する形態を例に説明した。しかしながら、この通りでなくてもよい。例えば、図11に示すように、連結部材73を、第2部材72に固定してもよい。尚、以下では、上述の実施形態と異なる点について主に説明し、上述の実施形態と同様の構成には図に同様の符号を付して説明を省略する。
図11に示すように、各連結部材73は、第2部材72を貫通しており、第2部材72に固定されている。複数の連結部材73のうちの1つの連結部材73(73a)の一端部は、第1部材71の前壁75に形成された第1長孔81Aを貫通している。連結部材73aの他端部は、第1部材71の後壁76に形成された第1長孔81Aを貫通している。これらの第1長孔81Aは、第1長孔81(図5参照)と同様の形状を有しており、可動方向M1に延びている。図示していないけれども、他の連結部材73のそれぞれの一端部は、第1部材71の前壁75に形成された第2長孔を貫通している。上記他の連結部材73のそれぞれの他端部は、第1部材71の後壁76に形成された第2長孔を貫通している。これらの第2長孔は、第2長孔82(図5参照)と同様の形状を有しており、可動方向M1に延びている。
(4)また、上述の実施形態では、第2部材72は、上向き面19aに接触する形態を例に説明した。しかしながら、この通りでなくてもよい。例えば、第2部材72は、上向き面19aと離隔するように配置されていてもよい。このような構成は、可動方向M1における連結部材73の位置を調整すること等によって、容易に実現できる。
(5)また、上述の実施形態では、第2部材72は、第1部材71のガイド部77内に配置されている形態を例に説明した。しかしながら、この通りでなくてもよい。例えば、第2部材72は、第1部材71の外部に配置されていてもよい。
(6)また、上述の実施形態では、ガイド部77に開口部79を設ける形態を例に説明した。しかしながら、この通りでなくてもよい。例えば、ガイド部77の開口部79は、省略されていてもよい。この場合、第1部材71の後壁76の形状は、前壁75と同様の形状となる。
(7)また、上述の実施形態では、撹拌部材54は、回転軸線D1周りの一方向を、撹拌方向B1として回転する形態を例に説明した。しかしながら、この通りでなくてもよい。撹拌部材54は、例えば,上向き面19a上を、直線往復運動するように構成されていてもよく、粉体を撹拌する際の撹拌方向は、特に限定されない。
(8)また、上述の実施形態では、上向き面19aを含む容器2の全体が、水平面H1に対して傾斜している形態を例に説明した。しかしながら、この通りでなくてもよい。例えば、上向き面19aは、水平面H1と平行であってもよい。
(9)上述の実施形態では、撹拌部材54の第2部材72は、第2部材72の自重によって、上向き面19aに向けて加圧される形態を例に説明した。この場合において、第2部材72に、加圧部材を取り付けてもよい。加圧部材は、例えば、ばね等の弾性部材によって形成される。この加圧部材は、ガイド部77内に配置される。この加圧部材は、第2部材72を、上向き面19aに向けて加圧する。このような構成であれば、容器2内に多量の粉体が収容されている場合でも、加圧部材によって、第2部材72を、より確実に上向き面19aに接触させることができる。
(10)上述の実施形態では、上向き面19a(容器の受け面)に向かう方向及び上向き面19aから遠ざかる方向が、上向き面19aと直交する可動方向M1である形態を例に説明した。しかしながら、この通りでなくてもよい。例えば、上向き面19aに向かう方向及び上向き面19aから遠ざかる方向として、上向き面19aに対して傾斜する方向を設定してもよい。
(11)また、上述の実施形態では、第2部材72は、上向き面19aに対して、可動方向M1に移動可能である形態を例に説明した。この場合において、第2部材72は、例えば、図12に示すように、可動方向M1Bにも、移動可能に構成されていてもよい。可動方向M1Bは、受け面としての、内周壁18の内周面18aに向かう方向、及び内周面18aから遠ざかる方向である。この場合、第2部材72の先端部72bは、内周面18aと接触可能である。可動方向M1Bは、内周面18aのうち第2部材72と接触している部分と直交する方向である。
この場合、第2部材72には、加圧部材85が取り付けられる。加圧部材85は、例えば、キャップ部材63に取り付けられており、第2部材72を、内周面18aに向けて、加圧する。この場合、第1長孔81Bにおける径方向R1の幅は、連結部材73の直径よりも大きく設定されており、第2部材72が内周面18aと接触することを可能としている。
(12)尚、上述の変形例では、可動方向M1Bは、内周面18aに対して直交する方向である形態を例に説明した。しかしながら、この通りでなくてもよい。可動方向M1Bは、内周面18aに対して傾斜する方向であってもよい。
(13)また、容器2のうち、撹拌部材54の第2部材72と接触する受け面は、容器2の蓋31の内側面31a等であってもよく、上向き面19a及び内周面18aに限定されない。