JP6053301B2 - 創傷被覆材 - Google Patents

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Description

本発明は、湿潤療法による創傷の治療に適した創傷被覆材に関する。
下記特許文献1に記載された創傷被覆剤は、分子量5万以上の水溶性の高分子を含むゲル(30〜70重量%の水溶性多糖類と30〜55重量%の分子量5万未満の水溶性の非揮発性有機化合物)の乾燥物からなる吸水層と布(不織布)とが層状に結合されたシート状物からなり、前記水溶性の高分子がマンナンを含み、前記布が一の面側を残して前記吸水層の一の片面側に投錨状に埋没し、前記シート状物の片面に前記吸水層の他の片面が乾燥ゲルの面となって露出し、該乾燥ゲルの面を創傷部に被覆固定することで、創傷部からの粘調液や血液などの滲出液が充分に吸収されるようにしている(例えば、特許文献1参照)。
特開2010−252995号公報
しかし乍ら、このような従来の創傷被覆剤では、水溶性多糖類と水溶性非揮発性有機化合物とからなる乾燥ゲルの表面が創傷部に直接接触するため、接触当初は傷口に対する物理的な刺激が強いという問題がある。
さらに、乾燥ゲル面の吸収量に限りがあるため、創傷部との接触当初は、乾燥ゲル面の吸収力が高くて傷から粘調液や血液などを充分に吸収するものの、吸収量が増えるにつれて乾燥ゲル面の吸収力が低下し、傷口から粘調液や血液などが溢れ出て細菌感染のリスクが高くなるという問題がある。
本発明は、このような問題に対処することを課題とするものであり、創傷に対する物理的な刺激を最小に抑えつつ創傷を滲出液中の液性因子の機能が保たれる湿潤レベルに安定維持すること、などを目的とするものである。
このような目的を達成するために本発明に係る創傷被覆材は、創傷に対して面接触するように配置される変形可能な内包材と、前記内包材に沿って重なり合うように配置される変形可能な外包材と、前記内包材と前記外包材の間に封止される変形可能な高浸透圧物質と、を備え、前記内包材は、前記創傷から排出された粘調液や血液の滲出液中に含まれる水分子が透過し、且つ前記水分子よりも大きな前記滲出液中の細胞やサイトカインを含めた液性増殖因子及び前記高浸透圧物質の分子が透過しないポリビニルアルコールの半透膜からなり、前記高浸透圧物質は、前記内包材を挟んで面接触する前記創傷との浸透圧で前記滲出液中の前記水分子を吸収することを特徴とする。
前述した特徴を有する本発明は、創傷に対して平滑な形状の内包材が接触するように高浸透圧物質を被覆固定することにより、創傷に沿い内包材が変形して両者が面接触すると同時に、創傷と高浸透圧物質の浸透圧で、創傷から排出される粘調液や血液などの滲出液に含まれる水分が、内包材を透過して高浸透圧物質に吸収されるものの、滲出液に含まれる細胞やサイトカインを含めた液性増殖因子などの生体成分は吸収されないため、創傷が液性因子の活動を阻害しない湿潤環境に保たれる。
したがって、創傷に対する物理的な刺激を最小に抑えつつ創傷を滲出液中の液性因子の機能が保たれる湿潤レベルに安定維持することができる。
その結果、水溶性多糖類と水溶性非揮発性有機化合物とからなる乾燥ゲルの表面が創傷に直接接触する従来のものに比べ、傷口への追従性に優れて高水準の湿潤療法を実践できる。
本発明の実施形態に係る創傷被覆材を示す説明図であり、(a)が平面図、(b)が縦断正面図である。 本発明の他の実施形態に係る創傷被覆材を示す説明図であり、(a)が平面図、(b)が縦断正面図である。
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。
本発明の実施形態に係る創傷被覆材Aは、図1〜図2に示すように、生体Bの創傷B1に向けて配置される変形可能な内包材1と、内包材1に沿って重なり合うように配置される変形可能な外包材2と、内包材1と外包材2の間に封止される変形可能な高浸透圧物質3と、を主要な構成要素として備えている。
内包材1は、一定の大きさ以下の分子か又はイオンのみを透過させる半透膜から構成される。この半透膜は、創傷B1から排出される粘調液や血液などの滲出液に含まれる水分が透過するものの、滲出液に含まれる細胞やサイトカインを含めた液性増殖因子などの生体成分と、後述する高浸透圧物質3が透過しないように設定されている。つまり、内包材1の半透膜は、滲出液中の水分子は透過するが、それよりも大きな液性増殖因子などの生体成分及び高浸透圧物質3の分子は透過しない細孔を有しており、生体Bの創傷B1と接触するように用いても安全なものであれば、いずれのものであってもよい。
その具体例としては、例えばポリビニルアルコール(PVA)、セロファン、エチレン−酢酸ビニル共重合体けん化物(EVOH)、コロジオン、ポリアミドなどのフィルムか、又はシートを挙げることができる。
また、内包材1は、半透膜としての特性が保持されていれば、2種以上の前記フィルムが積層されたラミネートフィルムであってもよい。これらは、それぞれの周縁部で互いにヒートシールにより封止して用いる場合には、ヒートシール面が熱融着性を有することが好ましい。
さらに、内包材1は、後述する外包材2及び高浸透圧物質3に対して平滑な形状に張るように固着される。
外包材2は、後述する高浸透圧物質3が透過しないフィルム又はシートからなり、生体Bと接触して用いることができるものであれば、これらのいずれであってもよい。
その具体例としては、内包材1と同様な半透膜か或いは半透膜ではないフィルム又はシートが用いられる。
外包材2として半透膜ではないフィルム又はシートを用いる場合には、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエステル、エチレン−酢酸ビニル共重合体、酢酸セルローズ、エチルセルローズ、ポリアミドなどのフィルム、アルミニウム箔、又はこれらの任意の2種以上が積層されたラミネートフィルム、若しくはこれらのいずれかにアルミニウムなどの金属が蒸着されたものを挙げることができる。
高浸透圧物質3は、生体Bの創傷B1と接触しても安全でかつ水溶性であり、創傷B1から排出される粘調液や血液などの滲出液を吸収することができる浸透圧を有するものであれば、いずれのものであってもよい。
その具体例としては、例えば単糖類、二糖類、多糖類、多価アルコール、低分子量有機カルボン酸、低分子量アミノ酸などの含水物を挙げることができる。特に、水飴、蔗糖、異性化糖、グルコース、フラクトース、マンニトール、ソルビトール、マルゲトール、マルチトール、プルランなどの食用糖類の含水物や、グリセリン、プロピレングリコールなどの多価アルコールの含水物が好適に用いられる。
高浸透圧物質3の粘度としては、10,000〜200,000cPであるものを用いることが好ましい。
さらに、高浸透圧物質3は、保水材4に吸収され、保水材4を内包材1と外包材2の間に封止することが好ましい。
保水材4は、医療業界で許容された保水性でかつ可撓性の材料であれば、繊維集積体、連続発泡プラスチックシート、焼結プラスチックシートなどいずれのものも使用できる。
特に、保水性と可撓性と経済性の観点から、繊維集積体を用いることが好ましい。繊維集積体の好適な例としては、糸、綿、織布、編布、紙、フェルト、不織布、またはこれらの複合体を挙げることができる。
また必要に応じて、高浸透圧物質3には、水性糊料や無機物などが添加されていてもよい。
使用し得る水性糊料の例としては、アルギン酸、アルギン酸ナトリウム、アルギン酸プロピレングリコールエステル、アンナン酸、でん粉、でん粉りん酸エステルナトリウム、カラギーナン、グアガム、トラガントガム、ローカストビーンガム、でん粉グリコール酸ナトリウム、繊維素グリコール酸ナトリウム、メチルセルローズ、カルボキシメチルセルローズナトリウムなどの天然多糖類及びその誘導体、カゼイン、グルテン、ゼラチンなどの天然タンパク質、ポリアクリル酸ナトリウム、ポリビニルアルコール、ポリエチレンオキシドなどの合成高分子化合物などを挙げることができる。
使用し得る無機物の例としては、クレー、タルク、シリカ粉、ベントナイト、ヘクトライト、ラポナイト、ゼオライト、水酸化アルミニウム、水酸化チタニウム、ヒドロキシアパタイト、炭酸カルシウム、胡粉、石こう粉などを挙げることができる。
これらの水性糊料や無機物は、高浸透圧物質3の吸水時の流動性を調節し、創傷被覆材Aとして使用した時に保水材4における高浸透圧物質3の分布をより均一に保つ効果がある。
一方、高浸透圧物質3又は高浸透圧物質3が吸収された保水材4の封止方法としては、内包材1及び外包材2の周縁部1a,2a同士を、例えばヒートシールなどの熱融着や接着剤などの接着方法によって気密状態に固着することが好ましい。
さらに、保水材4の周縁部を外側へ延長させて、内包材1及び外包材2の周縁部1a,2aの間に挟み込み、これら三者が一緒に固着されることにより、内包材1及び外包材2に対して保水材4を移動不能に保持することも可能である。
また、その他の例として図示しないが、内包材1及び外包材2の内面に対して、保水材4を部分的に超音波溶着や熱融着などで固定(スポット固定)することにより、移動不能に挟持することも可能である。
そして、このような本発明の実施形態に係る創傷被覆材Aの使用方法としては、生体Bの創傷B1に対して、内包材1が対向するように位置決めした後、包帯や絆創膏などによって創傷B1を覆うように固定される。
また、その他の使用方法として、内包材1の半透膜の外側に粘着手段が一体的に設けられ、この粘着手段で内包材1の半透膜を創傷B1と接触するように被覆固定することも可能である。
さらに、このような本発明の実施形態に係る創傷被覆材Aを用いて、湿潤療法による創傷B1の治癒効果を検証するために、次のような試験を行った。
創傷B1として、被験者のホクロをレーザー除去した後の傷痕に対し、本発明の創傷被覆材Aと、比較例の創傷被覆材を同じ条件で被覆固定し、これらホクロの除去痕の経過を、用いた創傷被覆材の種類によって比較する試験を行った。
[試験方法]
1.被験者の選定基準
a)腕または脚にホクロのある者
b)ホクロをレーザー除去することに同意した者
c)以下の除外基準に該当しない者
2.被験者の除外基準
d)心不全、心筋梗塞などの治療の既往歴がある者
e)妊娠中あるいは試験期間中に妊娠する可能性のある者
f)その他、試験責任医師が本試験の対象として不適当と判断した者
g)3ヶ月以内に他の臨床試験に参加した者
3.分析対象
ホクロの除去痕 計32個
なお、ホクロは、前記「1.」に該当し且つ前記「2.」に該当しない健常男女3名より選出した。炭酸ギスレーザーLEZAWIN CH S(株式会社モリタ製作所)を用いてホクロにレーザーを照躰し、真皮浅層から中層にかけて濃瘍を作成した。
4.試験品
A)本発明の創傷被覆材
・内包材1(半透膜)の厚さ:20μ以下
・高浸透圧物質3(保水材4)の外形サイズ:50×50mm
・高浸透圧物質3(水飴に適量のグリセリン、エチルアルコール、アルギン酸ナトリウ
が添加されたもの)の総量:400g/m2
・高浸透圧物質3の粘度:60,000cP
B)比較例の創傷被覆材:株式会社共和製の「ショットパッチ」
「ショットパッチ」は、抜針後の創傷面保護材用として販売され、矩形の粘着部の中心位置に矩形のパッド部が固定されている。
・粘着部の外形サイズ:27×30mm
・パッド部の外形サイズ:15×15mm
C)MSD株式会社製の「ゲンタシン軟膏」
「ゲンタシン軟膏」は、創傷への塗り薬として広く用いられている軟膏である。ホクロ除去手術の際は、一般に、患部にゲンタシン軟膏を塗布した後にショットパッチを貼り付けるという処置が行われる。
5.試験群
P条件(8個):ホクロの除去痕に対し、本発明の創傷被覆材Aを絆創膏で被覆固定。
G条件(16個):ホクロの除去痕にゲンタシン軟膏を塗布した後、比較例の創傷被覆材「ショットパッチ」を貼り付け固定。
P+G条件(8個):ホクロの除去痕にゲンタシン軟膏を塗布した後、本発明の創傷被覆材Aを絆創膏で被覆固定。
使用量:ホクロの除去痕の1か所毎に、本発明の創傷被覆材A又は比較例の創傷被覆材「ショットパッチ」を1日1枚使用。
6.分析対象の割り付け手続き
レーザー除去によるホクロの除去痕の32個を、「同一個人内にあること」「同一部位かつ近くにあること」「同程度の大きさであること」を条件とし、16対のペアを作成した。各ペアのうち、一方をG条件に割り付け、残りの1つをP条件もしくはP+G条件に割り付けた。ペアの割り付けに際しては、3名の被験者にP条件およびP+Gの双方が割り付けられるよう配慮した。
7.検査回数
ホクロ除去の翌日、ホクロの除去3日後、7日後、10日後、14日後の計5回
8.被験者の管理
被験者に対し、以下の点を徹底するよう指導した。
1)試験期間中は、試験品使用の有無、薬物・サプリメント類の服用・使用の状況、体調などを記録する。
2)試験品を定められた方法で使用する。
3)試験期間中は、湿布や塗り薬、絆創膏等、患部に対し試験品以外の創傷治癒効果が期待される医薬品等の使用はしない
[検査項目]
1.医師による問診
1)実施内容:医師の目視により、創傷治癒効果を診断
2)実施日:全検査日
2.写真評定
1)実施内容:専門医が患部の写真を目視し、症状をグレード化した
2)実施ポイント:全検査日
3)測定方法:患部を、「上皮化の完了」、「痂皮の形成済み」、「痂皮が未形成」の3段階にグレード化し、以下2通りの分析を実施した。
3a)傷の状態について、一方が上皮化もしくは痂皮化した時点で傷の状態を比較した。
前述の「6.」で作成したペア毎に、P条件およびP+G条件と、G条件とを比較して、同日時点における傷の状態の良さを比較した。一方の状態が他方より良い場合と、他方よりも悪い場合と、両者の状態が同程度である場合の3つに分類した。
3b)それぞれの傷について、痂皮が形成された時点を記録し、痂皮化までにかかった日数を算出した。ペアごとに、G条件における痂皮化に要した日数を、P条件あるいはP+G条件における痂皮化に要した日数で除算し、P条件あるいはP+G条件の痂皮形成の速さがG条件よりどの程度速いのかを算出した。
[試験結果]
1.創傷治癒効果(写真評定)
傷の状態の比較において、P条件(本発明の創傷被覆材Aの被覆固定)とP+G条件(ゲンタシン軟膏の塗布後に本発明の創傷被覆材Aの被覆固定)の双方は、G条件(ゲンタシン軟膏の塗布後に比較例の創傷被覆材「ショットパッチ」を貼り付け固定)よりも、傷の状態が良かった。
各条件の割合について、統計解析(IBM SPSS Ver.18.0)により比較した結果、P条件とP+G条件は、G条件よりも状態が良い傷が多く、状態の悪い傷が少ないことが、統計的にも認められた。
傷の治癒速度の速さにおいては、治癒の第一段階として、痂皮(耳かさぶた)が形成されるまでの日数を比較した。P+G条件とG条件のペアにおいて、痂皮ができるまでの平均日数は、P+G条件では7.71日であり、G条件では10.29日であった。P+G条件の痂皮化の進行速度は、G条件との比で132%であった。P条件とG条件のペアにおいて、痂皮ができるまでの平均日数は、P条件では6.00日であり、G条件では8.20日であった。P条件の痂皮化の進行速度は、G条件との比で173%であった。このように、P+G条件、P条件のいずれも、痂皮ができるまでの速度がG条件よりも速かった。
上記の結果より、本発明の創傷被覆材Aの使用によって、創傷治癒が促進されることが示唆された。
その理由として、本発明の創傷被覆材Aは、内包材1の半透膜を挟んで配置される傷口と高浸透圧物質3の浸透圧で、傷口から主に水分を吸収するが、細胞やサイトカインを含めた液性増殖因子などの生体成分をあまり吸収しない。このような傷口から液性因子の活動を阻害しない程度に水分を吸収する特性により、傷口は湿潤療法による創傷治癒に必要な湿潤環境を保ちながら、治癒の第一段階となる痂皮の形成が促進され、細胞やサイトカインを含めた液性増殖因子が相互作用しながら効率よく治癒の過程を進行させたのではないかと考えられる。
なお、創傷治癒効果の試験と並行して、問診による内科的な検査(腹痛、軟便、嘔吐、嘔気、食欲不振、及びその他の自覚症状の有無)も行った。その結果は、試験実施期間を通して、ホクロの除去や試験品の使用によると考えられる重篤な体調変化は認められなかった。
このような本発明の実施形態に係る創傷被覆材Aによると、包帯や絆創膏又は粘着手段などにより、生体Bの創傷B1に対して平滑な形状の内包材1が、創傷B1と接触するように被覆固定されることで、創傷B1に沿って内包材1、高浸透圧物質3及び外包材2が変形し、創傷B1と内包材1が面接触する。これと同時に、内包材1の半透膜を挟んで配置される創傷B1と高浸透圧物質3の浸透圧で、創傷B1から排出される粘調液や血液などの滲出液中に含まれる水分が、内包材1の半透膜を透過して高浸透圧物質3に吸収される。しかし浸透圧によって、滲出液中に含まれる細胞やサイトカインを含めた液性増殖因子などの生体成分は吸収されないため、創傷B1が液性因子の活動を阻害しない湿潤環境に保たれ、創傷B1が乾燥することはない。
それにより、創傷B1に対する物理的な刺激を最小に抑えつつ創傷B1を滲出液中の液性因子の機能が保たれる湿潤レベルに安定維持することができる。
したがって、傷口への追従性に優れて高水準の湿潤療法を実践できる。
特に、高浸透圧物質3の粘度が10,000〜200,000cPである場合には、創傷B1と高浸透圧物質3の浸透圧に伴い、創傷B1からの粘調液や血液などの滲出液が高浸透圧物質3に吸収されることで、高浸透圧物質3の粘度が低下して流動性が増す。それにより、高浸透圧物質3及び内包材1が創傷B1の形状に沿って変形し易くなる。
したがって、創傷B1に対する内包材1及び高浸透圧物質3のフィット性を向上させることができる。
さらに、高浸透圧物質3が保水材4に吸収され、保水材4が内包材1と外包材2の間に封止される場合には、外部から局部的に保水材4を押圧しても、保水材4の内部で高浸透圧物質3が流動するだけで内包材1を経て漏れ出ることがない。
それにより、高浸透圧物質3の漏れによる創傷B1への悪影響を防止することができる。
次に、本発明の各実施例を図面に基づいて説明する。
この実施例1は、図1(a)(b)に示すように、外包材2として内包材1と同じ半透膜が用いられ、半透膜からなる外包材2を内包材1及び高浸透圧物質3に対して平滑な形状に張るように固着している。
図1(a)(b)に示される例では、半透膜からなる内包材1及び外包材2の外形状が略矩形に形成され、保水性のポリエステル系不織布などからなる保水材4の外形状を矩形に形成している。
また、その他の例として図示しないが、内包材1及び外包材2の外形状と保水材4の外形状を、創傷B1の形状に対応して略円形や楕円形などの矩形以外の形状に形成することも可能である。
このような本発明の実施例1に係る創傷被覆材Aによると、半透膜からなる平滑な形状の外包材2が創傷B1と接触するように高浸透圧物質3を被覆固定することにより、創傷B1に沿い外包材2が変形して両者が面接触すると同時に、外包材2の半透膜を挟んで配置される創傷B1と高浸透圧物質3の浸透圧で、創傷B1から排出される粘調液や血液などの滲出液に含まれる水分が、内包材1を透過して高浸透圧物質3に吸収されるものの、滲出液に含まれる細胞やサイトカインを含めた液性増殖因子などの生体成分は吸収されないため、創傷B1が液性因子の活動を阻害しない湿潤環境に保たれる。
それにより、創傷B1に対して内包材1と外包材2のどちらを接触させても同様に創傷B1に対する物理的な刺激を最小に抑えつつ創傷B1を滲出液中の液性因子の機能が保たれる湿潤レベルに安定維持することができる。
その結果、内包材1と外包材2のどちらでも同様な創傷B1の治療が図れ、使用勝手が向上するという利点がある。
この実施例2は、図2(a)(b)に示すように、内包材1又は外包材2の半透膜の外側に、創傷B1の周辺部B2と対向する粘着手段5を一体的に設け、粘着手段5によって内包材1又は外包材2の半透膜を創傷B1と対向するように位置決めする構成が、図1(a)(b)に示した実施例1とは異なり、それ以外の構成は図1(a)(b)に示した実施例1と同じものである。
図2(a)(b)に示される例では、内包材1の周縁部1aにおいて創傷B1の周辺部B2と対向する表面に、粘着手段5として粘着層が一体に積層形成されている。
また、その他の例として図示しないが、内包材1の周縁部1aよりも外包材2の周縁部2aを外側へ突出させ、その突出部位において創傷B1の周辺部B2と対向する表面に粘着手段5として粘着層を一体形成したり、内包材1や外包材2と別個に粘着手段5として粘着シートを形成して、この粘着シートで内包材1及び外包材2の周縁部1a,2aと創傷B1の周辺部B2とを接着したりすることも可能である。
このような本発明の実施例2に係る創傷被覆材Aによると、創傷B1の周辺部B2に粘着手段5を貼り付けることにより、内包材1又は外包材2の半透膜が創傷B1に接触するように被覆固定される。
それにより、創傷B1に対して内包材1又は外包材2の半透膜及び高浸透圧物質3を簡単に被覆固定することができるという利点がある。
その結果、包帯や絆創膏などを別に用意する必要がないため、創傷B1の治療を素早く簡単に行えて、使用勝手が向上するという利点がある。
なお、図示される例では、内包材1及び外包材2と、高浸透圧物質3が吸収される保水材4の外周縁との間に隙間を形成しているが、これに限定されず、内包材1及び外包材2と保水材4の外周縁との間を隙間なく密着させても良い。
1 内包材 2 外包材
3 高浸透圧物質 4 保水材
5 粘着手段

Claims (5)

  1. 創傷に対して面接触するように配置される変形可能な内包材と、
    前記内包材に沿って重なり合うように配置される変形可能な外包材と、
    前記内包材と前記外包材の間に封止される変形可能な高浸透圧物質と、を備え、
    前記内包材は、前記創傷から排出された粘調液や血液の滲出液中に含まれる水分子が透過し、且つ前記水分子よりも大きな前記滲出液中の細胞やサイトカインを含めた液性増殖因子及び前記高浸透圧物質の分子が透過しないポリビニルアルコールの半透膜からなり、
    前記高浸透圧物質は、前記内包材を挟んで面接触する前記創傷との浸透圧で前記滲出液中の前記水分子を吸収することを特徴とする創傷被覆材。
  2. 前記高浸透圧物質の粘度が10,000〜200,000cPであることを特徴とする請求項1記載の創傷被覆材。
  3. 前記高浸透圧物質が保水材に吸収され、前記保水材が前記内包材と前記外包材の間に封止されることを特徴とする請求項1又は2記載の創傷被覆材。
  4. 前記外包材が、前記内包材と同じ半透膜からなることを特徴とする請求項1、2又は3記載の創傷被覆材。
  5. 前記内包材又は前記外包材の半透膜の外側に、前記創傷の周辺部と対向する粘着手段を一体的に設けたことを特徴とする請求項1、2、3又は4記載の創傷被覆材。
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