JP6052858B2 - 溶接装置 - Google Patents

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本発明は、チューブの突合せ溶接を行う溶接装置に関する。
従来より、チューブの突合せ溶接を自動的に行う溶接装置が知られている。例えば、特許文献1には、図4(a)および(b)に示すような、横向きに置かれたチューブ150に対して全姿勢溶接が可能な溶接装置100が開示されている。
この溶接装置100は、アークの長さを調整するために、溶接トーチ130がチューブ150の径方向に移動できるように構成されている。具体的に、溶接装置100は、チューブ150の中心軸回りに回転する回転部材として、回転用リング110と上下用リング120の2つの円弧状のリングを有している。回転用リング110と上下用リング120は、相互に独立した回転が可能となっている。
回転用リング110には、溶接トーチ130がトーチ台140を介して揺動可能に取り付けられている。一方、上下用リング120には、周方向に対して傾斜する溝125が設けられており、この溝125に、トーチ台140に固定されたシャフト145が挿入されている。そして、上下用リング120が回転用リング110に対して相対的に回転することにより、シャフト145が溝125でガイドされて、溶接トーチ130がチューブ150に近づいたりチューブ150から遠ざかったりする。
特開2001−225165号公報
しかしながら、図4に示すような溶接トーチ100では、チューブ150の中心軸回りに回転する回転部材に、溶接トーチをチューブ150の径方向に移動させる機構が組み込まれているために、回転部材に大きな幅が必要になる。このため、チューブ150が狭いピッチで配列された例えばボイラパネルなどの装置を製造する場合には、溶接トーチ100を使用することができない。
そこで、本発明は、溶接トーチをチューブの径方向に移動でき、かつ、チューブの中心軸回りに回転する回転部材の幅を小さくすることができる溶接装置を提供することを目的とする。
前記課題を解決するために、本発明の溶接装置は、チューブの突合せ溶接を行う溶接装置であって、溶接トーチが取り付けられた、外歯を有する円弧状の回転部材と、前記回転部材と噛み合って前記回転部材を前記チューブの中心軸回りに回転させるギア列と、前記回転部材および前記ギア列を支持するテーブルと、前記テーブルを前記チューブの中心軸と直交する第一方向に移動させる第一移動機構と、前記第一移動機構を前記チューブの中心軸および前記第一方向と直交する第二方向に移動させる第二移動機構と、を備える。
上記の構成によれば、第一移動機構および第二移動機構が回転部材を支持するテーブルを動かすことにより、溶接トーチをチューブの径方向に移動させることができる。このため、回転部材に溶接トーチを移動させる機構を設ける必要がなく、回転部材の幅を小さくすることができる。
上記の溶接装置は、前記第二移動機構を前記チューブの中心軸に沿って移動させる第三移動機構と、前記第三移動機構を前記チューブに固定するクランプ機構と、をさらに備えてもよい。この構成によれば、溶接トーチをチューブの軸方向に往復させながら周方向に進行させる、いわゆるウィービング動作を実現できるだけでなく、溶接トーチの先端がチューブの中心軸を通る平面上で楕円を描くように溶接トーチを操作することもできる。
前記溶接トーチは、前記チューブにおける溶接部位との間にアークを発生させる電極を有し、上記の溶接装置は、前記電極と前記溶接部位との間の距離を測定する測定手段と、前記測定手段によって測定された距離が前記溶接部位に応じて予め定めらえた値となるように、前記第一駆動機構および前記第二駆動機構を制御する制御手段と、をさらに備えてもよい。この構成によれば、高品質な溶接を行うことができる。
本発明によれば、溶接トーチをチューブの径方向に移動でき、かつ、チューブの中心軸回りに回転する回転部材の幅を小さくすることができる。
本発明の一実施形態に係る溶接装置の正面図である。 図1に示す溶接装置を側方から見たときの概略構成図である。 図1に示す溶接装置における回転部材の近傍部分を拡大した正面図である。 (a)は従来の溶接装置の要部の正面図、(b)は同要部の側面図である。
以下、図面を参照して、本発明の実施形態を説明する。
図1および図2に、本発明の一実施形態に係る溶接装置1を示す。この溶接装置1は、チューブ10の当該チューブ10と同一直線上に並ぶチューブ10’に対する突合せ溶接を自動的に行うものである。本実施形態では、チューブ10が横向きに置かれており、溶接装置1はチューブ10に上方から乗せられる。
以下では、説明の便宜のために、チューブ10の軸方向(中心軸CAが延びる方向)をX方向、X方向と直交する上下方向(本発明の第一方向に相当)をY方向、X方向およびY方向と直交する水平方向(本発明の第二方向に相当)をZ方向という。また、X方向のうちの後述するテーブル4から見て溶接トーチ21側を前方、その反対側を後方という。ただし、本発明の第一方向および第二方向は、逆(すなわち、第一方向が水平方向、第二方向が上下方向)であってもよいし、双方が斜めであってもよい。また、チューブ10は、必ずしも横向きに置かれている必要はなく、縦向きや斜め向きに置かれていてもよい。
溶接装置1は、溶接トーチ21と、溶接トーチ21が取り付けられた回転部材23と、回転部材23を回転可能に支持するテーブル4とを備えている。また、溶接装置1は、テーブル4を三次元的に移動させる3つの移動機構である第一移動機構5、第二移動機構6および第三移動機構7と、第三移動機構7をチューブ10に固定するクランプ機構8を備えている。
溶接トーチ21は、X方向に平行な板状の形状に形成されている。溶接トーチ21の下面には、チューブ10における溶接部位との間にアークを発生させる電極22が設けられている。ここで、溶接部位とは、例えばチューブ10とチューブ10’の接合部に開先が取られていて何層も溶接層を形成する場合には、一層目では開先の底部であり、二層目以降では、前回の層のことである。
本実施形態の溶接装置1はTIG(Tungsten Inert Gas)溶接を行うものであり、電極22は非消耗電極となっている。そして、溶接トーチ1には、図3に示すように、電極22と溶接部位との間に溶接ワイヤ25を供給するワイヤ供給装置の先端26が図略のブラケットにより固定される。
電極22には、給電手段91よりケーブル93を通じて電圧が印加される。給電手段91には、電極22に印加される電圧を測定する電圧計92が設けられている。電極22に印加される電圧は、電極22と溶接部位との間の距離に応じて変化する。すなわち、電圧計92は、電極22と溶接部位との間の距離を間接的に測定するものであり、本発明の測定手段に相当する。
図1および図2に戻って、回転部材23には、チューブ10が嵌まり込み可能なU字状の切り欠きが形成されており、回転部材23が円弧状をなしている。また、回転部材23の外周面には、外歯が形成されている。
回転部材23を回転可能に支持するテーブル4は、X方向と直交する板状をなしている。このテーブル4には、回転部材23の切り欠きと同程度の幅で下向きに開口する開口4aが形成されている。
テーブル4には、回転部材23と噛み合って回転部材23をチューブ10の中心軸CA回りに回転させるギア列3も支持されている。また、テーブル4の後面には、ギア列3のギアの1つである駆動ギア30を回転させる旋回モータ45が取り付けられている。なお、図2では、図面を簡略化するためにギア列3および旋回モータ45の作図を省略している。
ギア列3は、駆動ギア30と、駆動ギア30と噛み合う第一従動ギア31と、第一従動ギア31と噛み合う一対の第二従動ギア32と、各第二従動ギア32および回転部材23と噛み合う一対の第三従動ギア33とを含む。このような構成により、回転部材23の切り欠きが一方の第三従動ギア33に差し掛かったとしても、他方の第三従動ギア33により回転部材23に回転力が伝えられる。
第一移動機構5は、テーブル4をY方向に移動させるものである。具体的に、第一移動機構5は、ベース51と、ガイドレール52によりベース51に対してY方向に摺動自在に支持されたスライドブロック54と、スライドブロック54と螺合するネジ軸53と、ネジ軸53を回転させる第一モータ55とを含む。そして、テーブル4は、取付座41を介してスライドブロック54に固定されている。
第二移動機構6は、第一移動機構5をZ方向に移動させるものである。具体的に、第二移動機構6は、ベース61と、ガイドレール62によりベース61に対してZ方向に摺動自在に支持されたスライドブロック64と、スライドブロック64と螺合するネジ軸63と、ネジ軸63を回転させる第二モータ65とを含む。そして、第一移動機構5のベース51は、取付座56を介してスライドブロック64に固定されている。
第三移動機構7は、第二移動機構6をX方向に移動させるものである。具体的に、第三移動機構7は、ベース71と、ガイドレール72によりベース71に対してX方向に摺動自在に支持されたスライドブロック74と、スライドブロック74と螺合するネジ軸73と、ネジ軸73を回転させる第三モータ75とを含む。そして、第二移動機構6のベース61は、取付座66を介してスライドブロック74に固定されている。また、上述したクランプ機構8は、取付座76を介してベース71に固定されている。
上述した旋回モータ45および第一〜第三モータ55,65,75は、制御装置9(図1参照)により制御される。特に、制御装置9は、第一モータ55および第二モータ65を、電圧計92によって間接的に測定された溶接部位から電極22までの距離が当該溶接部位に応じて予め定められた値となるように制御する。予め定められた値は、例えば、溶接部位の位置や深さなどに拘らずに一定であってもよいし、溶接部位の位置や深さなどに応じて異なっていてもよい。
以上説明したように、本実施形態の溶接装置1では、第一移動機構5および第二移動機構6が回転部材23を支持するテーブル4を動かすことにより、溶接トーチ21をチューブ10の径方向に移動させることができる。このため、回転部材23に溶接トーチ21を移動させる機構を設ける必要がなく、回転部材23の幅を小さくすることができる。その結果、例えば図3に示すようにチューブ10が狭いピッチで配列され、隣り合うチューブ10の間隔Lが狭い場合でも、溶接装置1を用いて突合せ溶接を自動的に行うことができる。
また、本実施形態では、溶接装置1が第三移動機構7およびクランプ機構8を備えているので、溶接トーチ21をチューブ10の軸方向に往復させながら周方向に進行させる、いわゆるウィービング動作を実現できるだけでなく、溶接トーチ21の先端である電極22がチューブ10の中心軸CAを通る平面上で楕円を描くように溶接トーチ21を操作することもできる。
また、本実施形態では、溶接部位から電極22までの距離が溶接部位に応じて予め定められた値となるように第一モータ55および第二モータ65が制御されるため、高品質な溶接を行うことができる。
(変形例)
本発明は上述した実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲で種々の変形が可能である。
例えば、本発明は、MIG(Metal Inert Gas)溶接またはMAG(Metal Active Gas)溶接を行う溶接装置にも適用可能である。この場合には、溶接ワイヤが電極として機能し、その溶接ワイヤに流れる電流が電極と溶接部位との間の距離に応じて変化するため、本発明の測定手段として電流計を用いることができる。
あるいは、本発明の測定手段としては、溶接トーチの電極と溶接部位との間の距離を直接的に測定する距離センサを用いることも可能である。
また、前記実施形態では、全ての移動機構5,6,7における直動システムがネジ軸を用いたものであったが、各移動機構5,6,7における直動システムは、例えばラックおよびピニオンを用いたものであってもよい。
1 溶接装置
10 チューブ
21 溶接トーチ
22 電極
23 回転部材
3 ギア列
4 テーブル
5 第一移動機構
6 第二移動機構
7 第三移動機構
8 クランプ機構
9 制御手段
92 電圧計(測定手段)

Claims (3)

  1. チューブの突合せ溶接を行う溶接装置であって、
    溶接トーチが取り付けられた、外歯を有する円弧状の回転部材と、
    前記回転部材と噛み合って前記回転部材を前記チューブの中心軸回りに回転させるギア列と、
    前記回転部材および前記ギア列を支持するテーブルと、
    前記テーブルを前記チューブの中心軸と直交する第一方向に移動させる第一移動機構と、
    前記第一移動機構を前記チューブの中心軸および前記第一方向と直交する第二方向に移動させる第二移動機構と、
    前記第二移動機構を前記チューブの中心軸に沿って移動させる第三移動機構と、を備え、
    前記第三移動機構、前記第二移動機構および前記第一移動機構は、前記チューブの径方向において内側から外側に向かってこの順に並んでいる、溶接装置。
  2. 記第三移動機構を前記チューブに固定するクランプ機構さらに備える、請求項1に記載の溶接装置。
  3. 前記溶接トーチは、前記チューブにおける溶接部位との間にアークを発生させる電極を有し、
    前記電極と前記溶接部位との間の距離を測定する測定手段と、
    前記測定手段によって測定された距離が前記溶接部位に応じて予め定めらえた値となるように、前記第一移動機構および前記第二移動機構を制御する制御手段と、をさらに備える、請求項1または2に記載の溶接装置。
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