以下、本発明の実施の形態を、添付図面に基づいて詳細に説明する。実施例としては、2台の室外機に5台の室内機が並列に接続され、室内機毎に冷房運転と暖房運転とを選択して運転できる、所謂冷暖房フリーの運転が行える空気調和装置を例に挙げて説明する。尚、本発明は以下の実施形態に限定されることはなく、本発明の主旨を逸脱しない範囲で種々変形することが可能である。
図1に示すように、本実施例における空気調和装置1は、2台の室外機2a、2bと、5台の室内機8a〜8eと、5台の分流ユニット6a〜6eと、分岐器70、71、72とを備えている。これら室外機2a、2bと室内機8a〜8eと分流ユニット6a〜6eと分岐器70、71、72とが、高圧ガス管30と、高圧ガス分管30a、30bと、低圧ガス管31と、低圧ガス分管31a、31bと、液管32と、液分管32a、32bとで相互に接続されることによって、空気調和装置1の冷媒回路が構成される。
この空気調和装置1では、室外機2a、2bや分流ユニット6a〜6eに備えられた各種弁類の開閉状態に応じて、暖房運転(全ての室内機が暖房運転)、暖房主体運転(暖房運転を行っている室内機で要求される能力全体が冷房運転を行っている室内機で要求される能力全体を上回る場合)、冷房運転(全ての室内機が冷房運転)、冷房主体運転(冷房運転を行っている室内機で要求される能力全体が暖房運転を行っている室内機で要求される能力全体を上回る場合)等、様々な運転動作が可能である。図1では、これら運転動作の中から暖房運転を行っている場合を例に挙げて説明する。
図1は、全ての室内機8a〜8eが暖房運転を行っている場合の冷媒回路図であり、図2は室外機2a、2bの概略図である。まずは、室外機2a、2bについて説明するが、室外機2a、2bの構成は全て同じであるため、以下の説明では室外機2aの構成についてのみ説明を行い、室外機2bについては詳細な説明は省略する。
図1および図2に示すように、室外機2aは、板金を箱型に形成し内部に制御基板や電源基板等の基板類を格納する電装品箱10aと、圧縮機21aと、流路切換手段である第1三方弁22aおよび第2三方弁23aと、第1室外熱交換器24aと、第2室外熱交換器25aと、室外ファン26aと、室外ファン26aに出力軸が接続されて室外ファン26aを回転させるファンモータ29aと、アキュムレータ27aと、オイルセパレータ28aと、第1室外熱交換器24aに接続された第1室外膨張弁40aと、第2室外熱交換器25aに接続された第2室外膨張弁41aと、ホットガスバイパス管36aと、ホットガスバイパス管36aに備えられた第1電磁弁42aと、油戻し管37aと、油戻し管37aに備えられた第2電磁弁43aと、閉鎖弁44a〜46aとを備えている。これら室外機2aを構成する機器は、天板3aと、底板4aと、前面パネル5aと、前面側支柱7aと、左側支柱9aaと、右側支柱9abと、ファンガード11aとからなる室外機2aの筺体内部に備えられている。
図2(A)および(B)に示すように、前面パネル5aは、室外機2aの上面から見て略L字形状に折り曲げて形成された鋼板であり、室外機2aの筺体前面の大半と左側面の前面側の一部を覆うように配置されている。前面側支柱7aは、図2(B)に示すように、室外機2a内に外気を取り込むためのグリル7aaを備えた鋼板で形成され、両端部を所定の角度(鈍角)で折り曲げ、各々の折り曲げ部が室外機2aの筺体前面の一部と右側面の前面側の一部を覆うように配置されている。左側支柱9aaおよび右側支柱9abは略同形状であり、断面略L字形状に加工された鋼板である。左側支柱9aaは底板4aの背面側左角部に配置され、右側支柱9abは底板4aの背面側右角部に配置されている。
室外機2aの筺体左側面側は、前面パネル5aの側端と左側支柱9aaとの間が開口されて外気を室外機2a内部に取り入れるための吸込口13aaとなっており、吸込口13aaには格子状の保護部材12aaが設けられている。また、室外機2aの筺体背面側は、左側支柱9aaと右側支柱9abの間が開口されて外気を室外機2a内部に取り入れるための吸込口13abとなっており、吸込口13abには格子状の保護部材12abが設けられている。また、室外機2aの筺体右側面側は、前面側支柱7aと右側支柱9abの間が開口されて外気を室外機2a内部に取り入れるための吸込口13acとなっており、吸込口13acには格子状の保護部材12acが設けられている。尚、各吸込口13aa〜13acには、第1室外熱交換器24aおよび第2室外熱交換器25aの各吸込口に対応する部分が露出している。
図2(A)に示すように、天板3aは、略四角形状の鋼板であり、その周縁部は下方に略直角に折り曲げられたフランジとなっている。天板3aは、前面パネル5a、前面側支柱7a、左側支柱9aaおよび右側支柱9abの各上端とネジ止めによって組み付けられる。天板3aには、筺体上部に配置された室外ファン26aと対応する位置に、円状に開口されその周縁部が上方に略直角に折り曲げられ、室外ファン26aにより室外機2a内に吸い込まれた外気を外部へ排出する吹出口11aが形成されている。吹出口11aの上端には、吹出口11aの上端を覆うようにファンガード14aが設けられている。尚、ファンモータ29aは、固定金具17aにより第1熱交換器24aの上端に固定されている。
底板4aは、略四角形状の鋼板であり、その周縁部は上方に略直角に折り曲げられたフランジとなっている。図2(A)に示すように、底板4aは、前面パネル5a、前面側支柱7a、左側支柱9aaおよび右側支柱9abの各下端とネジ止めによって組み付けられる。尚、底板4aの下面には、室外機2aの左右方向に延び室外機2aを地面や屋上フロア等に設置するための脚部15aが前後に各々設けられている。
圧縮機21aは、インバータにより回転数が制御される図示しないモータによって駆動されることで運転容量を可変できる能力可変型圧縮機であり、図2(A)に示すように、底板4aに固定されている。また、図1に示すように、圧縮機21aの吐出側は、オイルセパレータ28aの流入側に冷媒配管で接続されており、オイルセパレータ28aの流出側は室外機高圧ガス管33aで閉鎖弁44aに接続されている。また、圧縮機21aの吸入側は、アキュムレータ27aの流出側に冷媒配管で接続されており、アキュムレータ27aの流入側は、室外機低圧ガス管34aで閉鎖弁45aに接続されている。
第1三方弁22aおよび第2三方弁23aは、冷媒の流れる方向を切り換えるための弁であり、第1三方弁22aはa、b、cの3つのポートを、第2三方弁23aはd、e、fの3つのポートをそれぞれ備えている。第1三方弁22aでは、ポートaに接続された冷媒配管が接続点Aで室外機高圧ガス管33aに接続されている。また、ポートbと第1室外熱交換器24aとが冷媒配管で接続され、ポートcに接続された冷媒配管が接続点Dで室外機低圧ガス管34aに接続されている。
第2三方弁23では、ポートdに接続された冷媒配管が接続点Aで室外機高圧ガス管33aおよび第1三方弁22aのポートaに接続された冷媒配管と接続されている。またポートeと第2室外熱交換器25aとが冷媒配管で接続され、ポートfに接続された冷媒配管が接続点Cで第1三方弁22aのポートcに接続された冷媒配管と接続されている。
図2(B)に示すように、第1室外熱交換器24aと第2室外熱交換器25aとは、各々上面からみて略コ字状に形成されており、各面が室外機2aに備えられた吸込口13aa〜13acに対向して配置されている。また、第1室外熱交換器24aおよび第2室外熱交換器25aの右側端部は前面側支柱7aのグリル7aaが備えられている面に沿うように折り曲げられている。図2(A)に示すように、第2室外熱交換器25aは底板4aに固定されており、第2室外熱交換器25aの上端に、固定金具16aを介して第1室外熱交換器24aの下端が固定されることによって、第1室外熱交換器24aと第2室外熱交換器25aとが上下に配置されている。
第1室外熱交換器24aは、アルミ材で形成された多数のフィン24aaと内部に冷媒を流通させる複数の銅管24abとから構成されている。また、第2室外熱交換器25aも第1室外熱交換器24aと同様に、アルミ材で形成された多数のフィン25aaと銅材で形成され内部に冷媒を流通させる複数の銅管25abとから構成されている。
図1に示すように、第1室外熱交換器24aの一端は上述したように第1三方弁22aのポートbに接続され、他端は冷媒配管を介して第1室外膨張弁40aの一方のポートに接続されている。尚、第1室外膨張弁40aの他方のポートは、閉鎖弁46aと室外機液管35aで接続されている。また、第2室外熱交換器25aの一端は上述したように冷媒配管を介して第2三方弁23aのポートeに接続され、他端は冷媒配管を介して第2室外膨張弁41aの一方のポートに接続されている。尚、第2室外膨張弁41aの他方のポートは、室外機液管35aにおける接続点Bに冷媒配管で接続されている。
アキュムレータ27aは、流入側が室外機低圧ガス管34aに接続され、流出側が圧縮機21aの吸入側と冷媒配管で接続されている。アキュムレータ27aは、流入した冷媒をガス冷媒と液冷媒とに分離し、ガス冷媒のみを圧縮機21aに吸入させる。
オイルセパレータ28aは、流入側が圧縮機21aの吐出側に冷媒配管で接続され、流出側が室外機高圧ガス管33aに接続されている。オイルセパレータ28aは、圧縮機21aから吐出された冷媒に含まれる圧縮機21aの冷凍機油を冷媒から分離する。尚、分離された冷凍機油は、後述する油戻し管37aを介して圧縮機21aに吸入される。
ホットガスバイパス管36aは、一端が室外機高圧ガス管33aに接続点Eで接続され、他端が室外機低圧ガス管34aに接続点Fで接続されている。ホットガスバイパス管36aには、第1電磁弁42aが備えられており、第1電磁弁42aを開閉することによってホットガスバイパス管36aを冷媒が流れる状態あるいは流れない状態とできる。
油戻し管37aは、一端がオイルセパレータ28aの油戻し口に接続され、他端が圧縮機21aの吸入側とアキュムレータ27aの流出側とを接続する冷媒配管に接続点Gで接続されている。油戻し管37aには、第2電磁弁43aが備えられており、第2電磁弁43aを開閉することによって油戻し管37aを冷媒が流れる状態あるいは流れない状態とできる。
以上説明した構成の他に、室外機2aには各種のセンサが設けられている。図1に示すように、圧縮機21aの吐出側とオイルセパレータ28aとを接続する冷媒配管には、圧縮機21aから吐出される冷媒の圧力を検出する高圧センサ50aと、圧縮機21aから吐出される冷媒の温度を検出する吐出温度センサ53aとが設けられている。また、室外機低圧ガス管34aにおける接続点Fとアキュムレータ27aの流入側との間には、圧縮機21aに吸入される冷媒の圧力を検出する低圧センサ51aと、圧縮機21aに吸入される冷媒の温度を検出する吸入温度センサ54aとが設けられている。また、室外機液管32aにおける接続点Bと閉鎖弁46aとの間には、室外機液管35aを流れる冷媒の圧力を検出する中間圧センサ52aと、室外機液管35aを流れる冷媒の温度を検出する冷媒温度センサ55aとが設けられている。
第1三方弁22aのポートbと第1室外熱交換器24aとを接続する冷媒配管には、第1室外熱交換器24aから流出あるいは第1室外熱交換器24aへ流入する冷媒の温度を検出する第1熱交温度センサ56aが設けられている。また、第2三方弁23aのポートeと第2室外熱交換器25aとを接続する冷媒配管には、第2室外熱交換器25aから流出あるいは第2室外熱交換器25aへ流入する冷媒の温度を検出する第2熱交温度センサ57aが設けられている。さらには、室外機2aの吸込口13aa〜13acのうちいずれかの吸込口付近には、室外機2a内に流入する外気の温度、すなわち外気温度を検出する外気温度センサ58aが備えられている。
室外機2aには、制御手段100aが備えられている。制御手段100aは、電装品箱10aに格納されている図示しない制御基板に搭載されており、CPU110aと、記憶部120aと、通信部130aとを備えている。CPU110aは、室外機2aの上述した各センサからの検出信号を取り込むとともに、各室内機8a〜8eから出力される制御信号を通信部130aを介して取り込む。CPU110aは、取り込んだ検出信号や制御信号に基づいて圧縮機21aの駆動制御、第1三方弁22aおよび第2三方弁23aの切り換え制御、ファンモータ29aの回転制御、第1室外膨張弁40aおよび第2室外膨張弁41aの開度制御、といった様々な制御を行う。
記憶部120aは、ROMやRAMで構成されており、室外機2aの制御プログラムや各センサからの検出信号に対応した検出値を記憶する。通信部130aは、室外機2aと室内機8a〜8eとの通信を行うインターフェイスである。
尚、制御手段100aが格納される電装品箱10aは、図2(A)に示すように、室外機2aの筺体前面側の上部(第1室外熱交換器24aと略同じ高さ)に設置されている。
尚、室外機2bの構成は室外機2aと同じであり、室外機2aの構成要素(装置や部材)に付与した番号の末尾をaからbに変更したものが、室外機2aの構成要素と対応する室外機2bの構成要素となる。但し、第1三方弁や第2三方弁、および、冷媒配管の接続点については、室外機2aと室外機2bとで記号を異ならせており、室外機2aの第1三方弁22aにおけるポートa、b、cに対応するものを室外機2bの第1三方弁22bではポートg、h、jとし、室外機2aの第2三方弁23aにおけるポートd、e、fに対応するものを室外機2bの第2三方弁23bではポートk、m、nとしている。また、室外機2aにおける接続点A、B、C、D、E、F、Gに対応するものを室外機2bでは接続点H、J、K、M、N、P、Qとしている。
図1に示すように、暖房運転時の冷媒回路では、室外機2a、2bの各々に備えられた2台の室外熱交換器が蒸発器として機能するよう、各々の三方弁が切り換えられる。具体的には、室外機2aでは、第1三方弁22aはポートbとポートcとを連通するよう、また、第2三方弁23aはポートeとポートfとを連通するよう切り換えられる。また、室外機2bでは、第1三方弁22bはポートhとポートjとを連通するよう、また、第2三方弁23bはポートmとポートnとを連通するよう切り換えられる。尚、図1では、各三方弁の連通しているポート間は実線で示し、連通していないポート間は破線で示している(以後の冷媒回路図(図3および図4)においても、同様に示す)。
5台の室内機8a〜8eは、室内熱交換器81a〜81eと、室内膨張弁82a〜82eと、室内ファン83a〜83eとを備えている。尚、室内機8a〜8eの構成は全て同じであるため、以下の説明では、室内機8aの構成についてのみ説明を行い、その他の室内機8b〜8eについては説明を省略する。
室内熱交換器81aは、一端が室内膨張弁82aの一方のポートに冷媒配管で接続され、他端が後述する分流ユニット6aに冷媒配管で接続されている。室内熱交換器81aは、室内機8aが冷房運転を行う場合は蒸発器として機能し、室内機8aが暖房運転を行う場合は凝縮器として機能する。
室内膨張弁82aは、一方のポートが上述したように室内熱交換器81aに接続され、他方のポートが液管32に接続されている。室内膨張弁82aは、室内熱交換器81aが蒸発器として機能する場合は、その開度が要求される冷房能力に応じて調整され、室内熱交換器81aが凝縮器として機能する場合は、その開度が要求される暖房能力に応じて調整される。
室内ファン83aは、図示しないファンモータによって回転することで、室内機8a内に室内空気を取り込み、室内熱交換器81aにおいて冷媒と室内空気とを熱交換させた後、熱交換した空気を室内へ供給する。
以上説明した構成の他に、室内機8aには各種のセンサが設けられている。室内熱交換器81aの室内膨張弁82a側の冷媒配管には冷媒の温度を検出する冷媒温度センサ84aが、また、室内熱交換器81aの分流ユニット6a側の冷媒配管には冷媒の温度を検出する冷媒温度センサ85aが、それぞれ備えられている。また、室内機8aの図示しない室内空気の吸込口付近には、室内機8a内に流入する室内空気の温度、すなわち室内温度を検出する室温センサ86aが備えられている。
尚、室内機8b〜8eの構成は室内機8aと同じであり、室内機8aの構成要素(装置や部材)に付与した番号の末尾をaからb、c、dおよびeにそれぞれ変更したものが、室外機8aの構成要素と対応する室内機8b〜8eの構成要素となる。
空気調和装置1には、5台の室内機8a〜8eに対応する5台の分流ユニット6a〜6eが備えられている。分流ユニット6a〜6eは、電磁弁61a〜61eと、電磁弁62a〜62eと、第1分流管63a〜63eと、第2分流管64a〜64eとを備えている。尚、分流ユニット6a〜6eの構成は全て同じであるため、以下の説明では、分流ユニット6aの構成についてのみ説明を行い、その他の分流ユニット6b〜6eについては説明を省略する。
第1分流管63aの一端は高圧ガス管30に接続されており、第2分流管64aの一端は低圧ガス管31に接続されている。また、第1分流管63aの他端と第2分流管64aの他端とが相互に接続され、この接続部と室内熱交換器81aとが冷媒配管で接続されている。第1分流管63aには電磁弁61aが、また、第2分流管64aには電磁弁62aが、それぞれ設けられており、電磁弁61aおよび電磁弁62aをそれぞれ開閉することによって、分流ユニット6aに対応する室内機8aの室内熱交換器81aが圧縮機21の吐出側(高圧ガス管30側)または吸入側(低圧ガス管31側)に接続されるよう、冷媒回路における冷媒の流路を切り換えることができる。
尚、分流ユニット6b〜6eの構成は、上述したように分流ユニット6aと同じであり、分流ユニット6aの構成要素(装置や部材)に付与した番号の末尾をaからb、c、dおよびeにそれぞれ変更したものが、分流ユニット6aの構成要素と対応する分流ユニット6b〜6eの構成要素となる。
以上説明した室外機2a、2b、室内機8a〜8eおよび分流ユニット6a〜6eと、高圧ガス管30、高圧ガス分管30a、30b、低圧ガス管31、低圧ガス分管31a、31b、液管32、液分管32a、32b、および、分岐器70、71、72との接続状態を、図1を用いて説明する。室外機2a、2bの閉鎖弁44a、44bには高圧ガス分管30a、30bの一端がそれぞれ接続され、高圧ガス分管30a、30bの他端はそれぞれ分岐器70に接続される。この分岐器70に高圧ガス管30の一端が接続され、高圧ガス管30の他端は分岐して分流ユニット6a〜6eの第1分流管63a〜63eに接続される。
室外機2a、2bの閉鎖弁45a、45bには低圧ガス分管31a、31bの一端がそれぞれ接続され、低圧ガス分管31a、31bの他端はそれぞれ分岐器71に接続される。この分岐器71に低圧ガス管31の一端が接続され、低圧ガス管31の他端は分岐して分流ユニット6a〜6eの第2分流管64a〜64eに接続される。
室外機2a、2bの閉鎖弁46a、46bには液分管32a、32bの一端がそれぞれ接続され、液分管32a、32bの他端はそれぞれ分岐器72に接続される。この分岐器72に液管32の一端が接続され、液管32の他端は分岐してそれぞれ室内機8a〜8eの室内膨張弁82a〜82eに接続されている冷媒配管に接続される。
また、対応する室内機8a〜8eの室内熱交換器81a〜81eと、分流ユニット6a〜6eにおける第1分流管63a〜63eと第2分流管64a〜64eとの接続点が、それぞれ冷媒配管で接続される。
以上説明した接続によって、空気調和装置1の冷媒回路が構成され、冷媒回路に冷媒を流すことによって冷凍サイクルが成立する。
次に、本実施例における空気調和装置1の運転動作について、図1を用いて説明する。尚、図1では、室外機2a、2bや室内機8a〜8eに備えられた各熱交換器が凝縮器となる場合はハッチングを付し、蒸発器となる場合は白抜きで図示する。また、室外機2a、2bに備えられた第1電磁弁42a、42bおよび第2電磁弁43a、43bや、分流ユニット6a〜6eに備えられた電磁弁61a〜61eおよび電磁弁62a〜62eの開閉状態については、閉じている場合を黒塗りで、開いている場合を白抜きで図示する。また、矢印は冷媒の流れを示している。
図1に示すように、全ての室内機8a〜8eが暖房運転を行い、これらで要求される運転能力が高くて全ての室外機2a、2bを運転する必要がある場合、室外機2aでは、第1三方弁22aのポートbとポートcとが連通するよう切り換えられて第1室外熱交換器24aが蒸発器として機能し、第2三方弁23aのポートeとポートfとが連通するよう切り換えられて第2室外熱交換器25aが蒸発器として機能する。また、室外機2bでは、第1三方弁22bのポートhとポートjとが連通するよう切り換えられて第1室外熱交換器24bが蒸発器として機能し、第2三方弁23bのポートmとポートnとが連通するよう切り換えられて第2室外熱交換器25bが蒸発器として機能する。尚、室外機2a、2bの第1電磁弁42a、42bと第2電磁弁43a、43bとは、共に閉じられており、ホットガスバイパス管36a、36bおよび油戻り管37a、37bは共に遮断されている。
室内機8a〜8eでは、各々に対応する分流ユニット6a〜6eの電磁弁61a〜61eを開いて第1分流管63a〜63eを冷媒が流れるようにするとともに、電磁弁62a〜62eを閉じて第2分流管64a〜64eを遮断する。これにより、室内機8a〜8eの室内熱交換器81a〜81eは全て凝縮器として機能する。
圧縮機21a、21bから吐出された高圧の冷媒は、オイルセパレータ28a、28bを介して室外機高圧ガス管33a、33bを流れ、閉鎖弁44a、44bを介して高圧ガス分管30a、30bに流入する。高圧ガス分管30a、30bに流入した高圧の冷媒は、分岐器70で合流して高圧ガス管30を流れ、高圧ガス管30から分流ユニット6a〜6eに分かれて流入する。
分流ユニット6a〜6eに流入した高圧の冷媒は、開となっている電磁弁61a〜61eが備えられた第1分流管63a〜63eを流れて分流ユニット6a〜6eから流出し、分流ユニット6a〜6eに対応する室内機8a〜8eに流入する。
室内機8a〜8eに流入した高圧の冷媒は、室内熱交換器81a〜81eに流入して室内空気と熱交換を行って凝縮する。これにより、室内空気が暖められ、室内機8a〜8eが設置された室内の暖房が行われる。室内熱交換器81a〜81eから流出した高圧の冷媒は、室内膨張弁82a〜82eを通過して減圧される。室内膨張弁82a〜82eの開度は、室内熱交換器81a〜81eの冷媒出口における冷媒の過冷却度に応じて決定される。冷媒の過冷却度は、例えば、室外機2a、2bの高圧センサ50a、50bで検出した圧力から算出した高圧飽和温度(室内熱交換器81a〜81e内の凝縮温度に相当)から、冷媒温度センサ84a〜84eで検出した室内熱交換器81a〜81eの冷媒出口における冷媒温度を引くことで求められる。
室内機8a〜8eから流出した中間圧の冷媒は液管32に流入し、液管32内で合流して分岐器72に流入する。分岐器72から液分管32a、32bに分流した中間圧の冷媒は、閉鎖弁46a、46bを介して室外機2a、2bに流入する。室外機2a、2bに流入した中間圧の冷媒は、室外機液管35a、35bを流れ、接続点B、Jで分流して第1室外膨張弁40a、40bおよび第2室外膨張弁41a、41bを通過して減圧されて低圧の冷媒となる。
第1室外膨張弁40a、40bの開度は、第1室外熱交換器24a、24bの冷媒出口における冷媒の過熱度に応じて決定される。また、第2室外膨張弁41a、41bの開度は、第2室外熱交換器25a、25bの冷媒出口における冷媒の過熱度に応じて決定される。冷媒の過熱度は、例えば、第1熱交温度センサ56a、56bや第2熱交温度センサ57a、57bで検出した第1室外熱交換器24a、24bや第2室外熱交換器25a、25bの冷媒出口における冷媒温度から、室外機2a、2bの低圧センサ51a、51bで検出した圧力から算出した低圧飽和温度(第1室外熱交換器24a、24b内や第2室外熱交換器25a、25b内の蒸発温度に相当)を引くことで求められる。
第1室外膨張弁40a、40bや第2室外膨張弁41a、41bで減圧された低圧の冷媒は、第1室外熱交換器24a、24bおよび第2室外熱交換器25a、25bに流入して外気と熱交換を行って蒸発する。そして、第1室外熱交換器24a、24bおよび第2室外熱交換器25a、25bから流出した低圧の冷媒は、第1三方弁22a、22bおよび第2三方弁23a、23bを介して接続点C,Kで合流し、接続点F、P、アキュムレータ27a、27bを介して圧縮機21a、21bに吸入されて再び圧縮される。
次に、図1乃至図5を用いて、本実施例の空気調和装置1において、本発明に関わる冷媒回路の動作やその作用・効果について説明する。尚、以下の説明では、空気調和装置1が起動して図1を用いて説明した暖房運転を開始する場合であって、全ての室内機8a〜8eおよび全ての室外機2a、2bが運転する場合を例に挙げて説明する。
例えば、空気調和装置1が寒冷地に設置されている場合や、冬季の深夜・早朝等、外気温度が低い場合(例えば、0℃以下)は、停止している圧縮機21a、21b内部で、圧縮機21a、21bの冷凍機油に冷媒が溶解した状態、所謂冷媒寝込みが発生している虞がある。この状態で圧縮機21a、21bを起動すると、冷凍機油に溶解している冷媒が蒸発してガス冷媒となり、圧縮機21a、21bからガス冷媒が吐出される際に冷凍機油を巻き込んで圧縮機21a、21b外へ持ち出すため、圧縮機21a、21b内で冷凍機油が不足する虞がある。
本実施例では、以上の問題点を解決するために、空気調和装置1の起動時に、主に圧縮機21a、21b内での冷媒寝込みを解消し冷媒とともに吐出される冷凍機油量を減少させるために行う第1起動制御と、主に暖房運転能力の立ち上がり時間を短縮するために行う第2起動制御とからなる起動制御を行う。以下に第1起動制御と第2起動制御について詳細に説明する。
〔第1起動制御〕
使用者による運転開始指示やタイマー起動指示によって、空気調和装置1が暖房運転を開始する。室内機8a〜8eを介して運転開始指示を受けた室外機2a、2bの制御手段100a、100bのCPU110a、110bは、第1の所定条件である第1起動制御の開始条件が成立しているか否かを判断し、成立していれば第1起動制御を開始する。ここで、第1起動制御の開始条件は、例えば、外気温度が所定温度(例えば、5℃)以下で、かつ、圧縮機21a、21bが連続して所定時間(例えば、1時間)以上停止しているとき、のように、圧縮機21a、21b内で冷媒寝込みが発生している虞がある条件である。尚、第1起動制御の開始条件が成立していない場合は、CPU110a、110bは通常の空調制御に対応した室外機2a、2bの制御を行う。
CPU110a、110bは、第1起動制御では図5に示すように、圧縮機21a、21bの回転数制御、第1室外熱交換器24a、24bおよび第2室外熱交換器25a、25bの機能切換(蒸発器/凝縮器切換)制御、第1室外膨張弁40a、40bおよび第2室外膨張弁41a、41bの開度制御、第1電磁弁42a、42bおよび第2電磁弁43a、43bの開閉制御を行う。
具体的には、図3に示すように、CPU110aは、第1三方弁22aはポートbとポートcとを連通させて第1室外熱交換器24aが蒸発器として機能するように、また、第2三方弁23aはポートdとポートeとを連通させて第2室外熱交換器25aが凝縮器として機能するようにする。また、CPU110bは、第1三方弁22bはポートhとポートjとを連通させて第1室外熱交換器24bが蒸発器として機能するように、また、第2三方弁23bはポートkとポートmとを連通させて第2室外熱交換器25bが凝縮器として機能するようにする。
そして、CPU110a、110bは、圧縮機21a、21bを予め定めた所定の回転数である起動時回転数、例えば、図5に示すように70rpsとして圧縮機21a、21bを起動しこの起動時回転数を維持する。圧縮機21a、21bが起動すれば、図3に示すように、圧縮機21a、21bをから吐出された高圧の冷媒は、オイルセパレータ28a、28bを介して室外機高圧ガス管33a、33bを流れ、接続点A、Hで分流して一方は閉鎖弁44a、44bを介して室内機8a〜8eに流れ、他方は第2三方弁23a、23bを介して凝縮器として機能している第2室外熱交換器25a、25bに流入する。
第2室外熱交換器25a、25bに流入した高圧の冷媒は外気と熱交換を行って凝縮し、図5に示すようにCPU110a、110bによって全開とされている第2室外膨張弁41a、41bを通過して減圧される。第2室外膨張弁41a、41bを通過した中間圧の冷媒は、接続点B、Jで室内機8a〜8eから流入した中間圧の冷媒と合流し、図5に示すようにCPU110a、110bによって所定の開度とされた第1室外膨張弁40a、40bを通過して減圧される。
ここで、第1室外膨張弁40a、40bの開度は、CPU110a、110bが第1室外熱交換器24a、24bの冷媒出口(第1三方弁22a、22b側)での冷媒の過熱度に応じて制御する。冷媒の過熱度は、例えば、第1熱交温度センサ56a、56bで検出した第1室外熱交換器24a、24bの冷媒出口における冷媒温度から、低圧センサ51a、51bで検出した圧力から算出した低圧飽和温度(第1室外熱交換器24a、24b内の蒸発温度に相当)を引くことで求められる。
第1室外膨張弁40a、40bを通過した低圧の冷媒は、第1室外熱交換器24a、24bで外気と熱交換を行って蒸発し、第1三方弁22a、22bおよびアキュムレータ27a、27bを介して、圧縮機21a、21bに吸入される。また、図5に示すように、CPU110a、110bは第1電磁弁43a、43bを開いて、ホットガスバイパス管36a、36bを冷媒が流れる状態とする。尚、図5に示すように、第2電磁弁44a、44bは、室外機2a、2bが停止しているときに開とされており、第1起動制御を実行する際も第2電磁弁44a、44bが開となっている状態を維持して、油戻し管37a、37bを冷媒が流れる状態とする。
圧縮機21a、21b内で冷媒寝込みが発生している虞がある場合は、空気調和装置1の起動時は、圧縮機21a、21bの回転数を予め定めた所定の回転数である起動時回転数として駆動する起動制御を行うことで、圧縮機21a、21bの温度を早く上昇させて冷凍機油に溶解した冷媒を冷凍機油から早く分離することが望ましい。ここで、起動時回転数は、圧縮機の回転数の上昇に伴って増加する冷凍機油の吐出量を考慮して、冷凍機油の吐出量が所定量以下となる範囲でできる限り高い回転数として定める。しかし、圧縮機21a、21bの駆動を起動時回転数で継続すれば、圧縮機21a、21b内の圧力が上昇し、これに起因した冷媒寝込みが圧縮機21a、21b内で発生する虞がある。
これに対し、本発明の第1起動制御では、圧縮機21a、21bの回転数を起動時回転数に維持して駆動する際に、2台の室外熱交換器のうちの一方である第2室外熱交換器25a、25bを凝縮器として機能させているので、高圧(圧縮機21a、21bの吐出側の圧力)の上昇を抑制することができる。
また、第1起動制御を行う際、第1電磁弁43a、43bおよび第2電磁弁44a、44bを開いて、ホットガスバイパス管36a、36bおよび油戻し管37a、37bを冷媒が流れる状態としている。ホットガスバイパス管36a、36bは、室外機高圧ガス管33a、33bと室外機低圧ガス管34aとをバイパスしているので、図3の破線矢印で示すように接続点EからFに、また、接続点NからPに向かって冷媒が流れることで高圧(圧縮機21a、21bの吐出側の圧力)の上昇を抑制する。また、油戻し管37a、37bもオイルセパレータ28a、28bを介して室外機高圧ガス管33a、33bと室外機低圧ガス管34aとをバイパスしているので、図3の破線矢印で示すようにオイルセパレータ28a、28bから圧縮機21a、21bに冷凍機油とともに冷媒が流れることで高圧(圧縮機21a、21bの吐出側の圧力)の上昇を抑制する。
以上説明したように、第1起動制御では、CPU110a、110bは第2室外熱交換器25a、25bを凝縮器として機能させるとともに、ホットガスバイパス管36a、36bおよび油戻し管37a、37bを冷媒が流れる状態としているので高圧の上昇が抑制され、圧縮機21a、21bを起動時回転数で駆動し続けても圧縮機21a、21b内での圧力上昇を抑制することができる。従って、圧縮機21a、21b内の圧力上昇に起因した圧縮機21a、21b内での冷媒寝込みの発生を抑制することができる。
以上説明した第1起動制御では、第2室外熱交換器25a、25bを凝縮器として機能させるとともに、ホットガスバイパス管36a、36bおよび油戻し管37a、37bを冷媒が流れる状態としているが、いずれか一方の制御を行うことで、圧縮機21a、21bを起動時回転数で駆動し続けることに伴う圧縮機21a、21b内の圧力上昇を抑制することができる場合は、いずれか一方のみの制御を行うようにしてもよい。また、ホットガスバイパス管36a、36bと油戻し管37a、37bとが共に冷媒が流れる状態となるよう制御しているが、いずれか一方を冷媒が流れる状態とすることで、圧縮機21a、21bを起動時回転数で駆動し続けることに伴う圧縮機21a、21b内の圧力上昇を抑制することができる場合は、いずれか一方のみ冷媒が流れる状態とするよう制御してもよい。
また、第1起動制御では、2台の室外熱交換器のうち、第1室外熱交換器24a、24bを蒸発器として機能するようにしている。図2に示すように、第1室外熱交換器24a、24bは第2室外熱交換器25a、25bに比べて、室外ファン26a、26bに近い場所に配置されている。
蒸発器として機能している室外熱交換器で蒸発能力が不足すると、当該室外熱交換器で蒸発しきらなかった液冷媒が圧縮機に吸入される、所謂液バックが発生する虞があり、液圧縮によって圧縮機が故障する虞がある。
上記のような蒸発能力の不足に起因する液バックを抑制するために、第1起動制御では、第2室外熱交換器25a、25bの上部に配置されることで第2室外熱交換器25a、25bに比べて室外ファン26a、26bに近い配置となっている第1室外熱交換器24a、24bを蒸発器として機能するようにしている。室外ファン26a、26bに近い方が、室外機2a、2b内に取り込まれた外気の通過量が多くなるので、第1室外熱交換器24a、24bでの蒸発能力は、第2室外熱交換器25a、25bを蒸発器として機能させる場合に比べて高くなる。
従って、蒸発器として機能している第1室外熱交換器24a、24bでの蒸発能力の不足に起因した液バックの発生を抑制することができる。尚、上述したように、蒸発器として機能している第1室外熱交換器24a、24bに対応する第1室外膨張弁40a、40bの開度は、第1室外熱交換器24a、24bの冷媒出口(第1三方弁22a、22b側)での冷媒の過熱度に応じて制御されるので、より第1室外熱交換器24a、24bでの蒸発能力を確保することができ、液バックの発生をより効果的に抑制することができる。
CPU110a、110bは、第1起動制御を実行している際に、第2の所定条件である第1起動制御の終了条件が成立しているか否かを判断しており、成立していれば第1起動制御を終了し、次に説明する第2起動制御に移行する。尚、第1起動制御の終了条件は、例えば、第1起動処理を開始してから所定時間(例えば1分)後の圧縮機21a、21bの吐出過熱度が所定温度(例えば8℃)以上となったとき、のように、圧縮機21a、21bから冷媒とともに吐出される冷凍機油をある程度抑制できる条件である。尚、圧縮機21a、21bの吐出過熱度は、吐出温度センサ53a、53bで検出した冷媒温度から、高圧センサ50a、50bで検出した圧力から算出した高圧飽和温度(第2室外熱交換器25a、25b内の凝縮温度に相当)を引くことで求めることができる。
〔第2起動制御〕
CPU110a、110bは、第1起動制御に引き続き、第2起動制御を開始する。上述したように、第1起動制御で圧縮機21a、21bでの冷媒寝込み状態がある程度解消されて、圧縮機21a、21bの潤滑に支障がない冷凍機油の吐出量となっているので、第2起動制御では、圧縮機21a、21bでの冷媒寝込み量を減少させつつ空調運転能力の立ち上がり時間を短縮するための各種制御を行う。従って、第1起動制御では2台の室外熱交換器の機能を異ならせて室外機内に蒸発器と凝縮器とを混在させていたが、第2起動制御では、運転モードが暖房運転/暖房主体運転の場合は室外熱交換器を2台とも蒸発器として機能させ、冷房運転/冷房主体運転の場合は室外熱交換器を2台とも凝縮器として機能させる。
本実施例では、空気調和装置1は暖房運転を行うため、CPU110a、110bは、第2起動制御では図5に示すように、圧縮機21a、21bの回転数制御、第2室外熱交換器25a、25bの機能切換(凝縮器から蒸発器に切換。第1室外熱交換器24a、24bは第1起動制御で蒸発器とされているためこの状態を維持)制御、第1室外膨張弁40a、40bおよび第2室外膨張弁41a、41bの開度制御、第1電磁弁42a、42bおよび第2電磁弁43a、43bの開閉制御を行う。
具体的には、CPU110a、110bは、図4に示すように、第2三方弁23aはポートeとポートfとが連通するよう、また、第2三方弁23bはポートmとポートnとが連通するよう切り換えて第2室外熱交換器25a、25bが蒸発器として機能するようにする。また、CPU110a、110bは、図5に示すように、圧縮機21a、21bを起動時回転数である70rpsを維持して駆動しつづけるとともに、第1電磁弁43a、43bおよび第2電磁弁44a、44bを開いた状態を維持して、ホットガスバイパス管36a、36bおよび油戻し管37a、37bを冷媒が流れる状態に維持する。
また、CPU110a、110bは、図5に示すように、第1室外膨張弁40a、40bの開度を第1室外熱交換器24a、24bの冷媒出口での冷媒の過熱度に応じて制御するとともに、第2室外膨張弁41a、41bの開度を第2室外熱交換器25a、25bの冷媒出口での冷媒の過熱度に応じて制御する。尚、図4に示す第2起動制御実行時の冷媒回路は、ホットガスバイパス管36a、36bおよび油戻し管37a、37bの状態(冷媒が流れる/流れない)を除き図1で説明した冷媒回路と同じであるため、冷媒の流れ等の詳細な説明は省略する。
第2起動制御では、上述したように、第1起動制御実行時に凝縮器として機能していた第2室外熱交換器25a、25bを蒸発器として機能するように切り換え、圧縮機21a、21bを起動時回転数である70rpsを維持して引き続き駆動している。第1起動制御で圧縮機21a、21bが暖められているので、冷媒回路から凝縮器をなくしても圧縮機21a、21b内が起動時回転数を維持することによって高圧になることに起因して発生する冷媒寝込み量は減少する。従って、第2起動制御において、第1室外熱交換器24a、24bと第2室外熱交換器25a、25bとをともに蒸発器として、つまり、暖房運転時の冷媒回路として圧縮機21a、21bを70rpsに維持して駆動することで、圧縮機21a、21bを暖めて圧縮機21a、21bでの冷媒寝込み量を更に減少させつつ暖房運転能力の立ち上がり時間を短縮することができる。
また、凝縮器として機能していた第2室外熱交換器25a、25bを、蒸発器として機能するように切り換える際には、過渡的に高圧が上昇し、これに起因して圧縮機21a、21bでの圧縮比が上昇する虞があり、圧縮比の上昇によって圧縮機21a、21bが破損する虞がある。そこで、第2起動制御では、図5に示すように、第1起動制御実行時に開とした第1電磁弁42a、42bと第2電磁弁43a、43bとを、引き続き所定時間(例えば2分間。過渡的な高圧上昇が収まるまでの時間)開とする。これにより、ホットガスバイパス管36a、36bおよび油戻し管37a、37bは冷媒が流れる状態であるので、高圧の上昇を抑制できるので、圧縮機21a、21bの圧縮比上昇を抑制することができ圧縮機21a、21bの破損を防ぐことができる。
また、第2起動制御においては、第2室外熱交換器25a、25bを凝縮器として機能する状態から蒸発器として機能する状態に切り換えるので、第2室外熱交換器25a、25bの第1三方弁22a、22b側が圧縮機21a、21bの吸入側に接続される。このとき、凝縮器として機能していた際に第2室外熱交換器25a、25bに滞留し、蒸発器として切り換わった際に蒸発しきらない液冷媒が、第2三方弁23a、23b、接続点C、Kを介して室外機低圧ガス管34a、34bに流れる。
このような状態であるときに、例えば、圧縮機21bが停止していれば、第2室外熱交換器25bに滞留していた液冷媒は、第2三方弁23bから接続点K、Mを介して室外機低圧ガス管34bに流入し、低圧ガス分管31b→分岐器71→低圧ガス分管31aと順に流れて室外機2aに流入する。そして、室外機2aに流入した液冷媒は、室外機低圧ガス管34aを流れ接続点Fを介してアキュムレータ27aに流入する。この結果、駆動している圧縮機21aを備えた室外機2aに冷媒が集中しアキュムレータ27aがオーバーフローする虞があった。
そこで、本発明の第2起動制御では、第1起動制御で駆動していた圧縮機全て、本実施例では圧縮機21a、21bを第2起動制御においても継続して駆動する。これにより、第2室外熱交換器25a、25bを凝縮器として機能する状態から蒸発器として機能する状態に切り換えた際に、第2室外熱交換器25a、25bに滞留していた液冷媒は、それぞれのアキュムレータ27a、27bに流入する。従って、いずれかの室外機に冷媒が集中して当該アキュムレータでオーバーフローが発生するといった不具合を防ぐことができる。
CPU110a、110bは、第2起動制御を実行している際に、第2起動制御の終了条件が成立しているか否かを判断しており、成立していれば第2起動制御を終了、すなわち、空気調和装置1の起動制御を終了して通常の空調制御に移行する。尚、第2起動制御の終了条件は、例えば、第2起動処理を開始してから所定時間(例えば1分)後の圧縮機21a、21bの吐出過熱度が所定温度(例えば12℃)以上となったとき、のように、圧縮機21a、21b内での冷媒寝込みが解消されて冷媒とともに吐出される冷凍機油がなくなったと考えられる条件である。
次に、図6に示すフローチャートを用いて、本実施例における空気調和装置1での処理の流れについて説明する。図6に示すフローチャートは、空気調和装置1が起動する際に行う第1起動制御および第2起動制御に関する処理の流れを示すものであり、STはステップを表しこれに続く数字はステップ番号を表している。尚、図6では本発明に関わる処理を中心に説明しており、使用者の指示した設定温度や風量等の運転条件に対応した冷媒回路の制御等といった、その他の一般的な処理については説明を省略する。また、CPU110a、110bが行う第1起動制御および第2起動制御に関する処理は同じであるため、以下の説明では室外機2aの制御手段100aに備えられたCPU110aで行う第1起動制御および第2起動制御に関する処理について説明する。
運転開始指示を受けたCPU110aは、上述した第1起動制御の開始条件が成立しているか否かを判断する(ST1)。第1起動制御の開始条件が成立していれば(ST1−Yes)、CPU110aは、第1室外熱交換器24aを蒸発器として機能するよう第1三方弁22aを制御するとともに、第2室外熱交換器25aを蒸発器として機能するよう第2三方弁23aを制御する(ST2)。
次に、CPU110aは、圧縮機21aを起動時回転数で起動するよう、あるいは、起動時回転数で駆動を継続するよう制御する(ST3)。
次に、CPU110aは、第1室外膨張弁40aの開度を第1室外熱交換器24aの冷媒出口における冷媒過熱度に応じて制御するとともに、第2室外膨張弁41aを全開とする(ST4)。
次に、CPU110aは、第1電磁弁42aを開として(ST5)、ホットガスバイパス36aを冷媒が流れる状態とする。尚、前述したように、第2電磁弁43aは室外機2a停止時から開となっており、CPU110aはこの状態を維持して油戻し管37aを冷媒が流れる状態とする。
次に、CPU110aは、第1起動制御の終了条件が成立しているか否かを判断する(ST6)。第1起動制御の終了条件が成立していなければ(ST6−No)、CPU110aは、ST2に処理を戻して第1起動制御を継続する。
第1起動制御の終了条件が成立していれば(ST6−Yes)、CPU110aは、第1起動制御を終了し第2起動制御に移行する。CPU110aは、使用者が指示した運転モードが暖房運転あるいは暖房主体運転であるか否かを判断する(ST7)。
運転モードが暖房運転あるいは暖房主体運転であれば(ST7−Yes)、CPU110aは、凝縮器として機能していた第2室外熱交換器25aを蒸発器として機能するよう切り換える(ST8)。次に、CPU110aは、第1室外膨張弁40aの開度を第1室外熱交換器24aの冷媒出口における冷媒過熱度に応じて制御するとともに、第2室外膨張弁41aの開度を第2室外熱交換器25aの冷媒出口における冷媒過熱度に応じて制御する(ST9)。
次に、CPU110aは、第1起動制御終了後にタイマースタートし、第1起動制御終了から所定時間、例えば2分が経過したか否かを判断する(ST10)。第1起動制御終了から所定時間が経過していなければ(ST10−No)、CPU110aは、ST7に処理を戻す。
第1起動制御終了から所定時間が経過していれば(ST10−Yes)、CPU110aは、第1電磁弁42aおよび第2電磁弁43aを閉じて(ST11)、ホットガスバイパス管36aおよび油戻し管37aを遮断する。
次に、CPU110aは、第2起動制御の終了条件が成立したか否かを判断する(ST12)。第2起動制御の終了条件が成立していなければ(ST12−No)、CPU110aは、圧縮機21aを起動時回転数で継続して駆動し(ST14),処理をST12に戻して第2起動制御を継続する。第2起動制御の終了条件が成立していれば(ST12−Yes)、CPU110aは、第2起動制御を終了、つまり、空気調和装置1の起動制御を終了し、通常の空調制御を開始する。
尚、ST1において、第1起動制御の開始条件が成立していなければ(ST1−No)、CPU110aは、起動制御を行わずに通常の空調制御を開始する。
また、ST7において、運転モードが暖房運転あるいは暖房主体運転でなければ(ST7−No)、使用者が指示した運転モードが冷房運転あるいは冷房主体運転であるため、CPU110aは、蒸発器として機能していた第1室外熱交換器24aを凝縮器として機能するよう切り換える(ST12)。次に、CPU110aは、第1室外膨張弁40aの開度を全開、あるいは、第1室外熱交換器24aの冷媒出口における冷媒過冷却度に応じて制御するとともに、第2室外膨張弁41aの開度を全開、あるいは、第2室外熱交換器25aの冷媒出口における冷媒過冷却度に応じて制御する(ST13)。そして、CPU110aは、ST10に処理を進める。
次に、本発明の空気調和装置の第2の実施例について説明する。尚、本実施例では、空気調和装置の構成や運転動作、空気調和装置が起動する際に実施する起動制御の開始条件については、第1の実施例と同じであるため説明を省略する。第1の実施例と異なるのは、第1の実施例における第1起動制御と第2起動制御との間に、圧縮機の回転数を低下させる制御を挿入することと、第2起動制御において、第1起動制御と第2起動制御との間に挿入する制御で低下させた回転数で圧縮機を駆動するとともに、第2起動制御実行中は第1電磁弁と第2電磁弁とを開き続けることである。
以下に、図1乃至図4、図7および図8を用いて、本実施例の空気調和装置1において、本発明に関わる冷媒回路の動作やその作用・効果について説明する。尚、以下の説明では、第1の実施例の場合と同様に、空気調和装置1が起動して図1を用いて説明した暖房運転を開始する場合であって、全ての室内機8a〜8eおよび全ての室外機2a、2bが運転する場合を例に挙げて説明する。
第1の実施例において、空気調和装置1が暖房運転を開始するときに起動制御の開始条件(第1起動制御の開始条件)が成立している場合は、CPU110a、110bは第1起動制御を実行し、第1起動制御の終了後に引き続き第2起動制御を実行する。第1起動制御から第2起動制御に移行したときは、第1起動制御で凝縮器として機能していた第2室外熱交換器25a、25bが、蒸発器として機能するように切り換えられる。これにより、凝縮器として機能する室外熱交換器がなくなるので、高圧(圧縮機21a、21bの吐出側の圧力)が上昇する。
このとき、外気温度が比較的高い(例えば、−9℃以上である)場合は、凝縮器として機能していた第2室外熱交換器25a、25bが蒸発器として機能するように切り換えられることによって凝縮能力が低下する。これにより、高圧が上昇して圧縮機21a、21bの運転負荷が増大し、圧縮機21a、21bの吐出圧力の上限値を超える虞があり、圧縮機21a、21bを停止して吐出圧力の上昇を抑制する過負荷保護制御が実行される虞がある。
本実施例では、以上の問題点を解決するために、図7に示すように、空気調和装置1の起動時に、主に圧縮機21a、21b内での冷媒寝込みを解消し冷媒とともに吐出される冷凍機油量を減少させるために行う第1起動制御(第1の実施例における第1起動制御と同一の制御)と、主に圧縮機21a、21bの吐出圧力の上限値を超えないようにするために行う第2起動制御と、主に圧縮機21a、21bの吐出圧力の急激な上昇を抑えつつ第2室外熱交換器25a、25bを凝縮器として機能している状態から蒸発器として機能する状態に切り換える第3起動制御(圧縮機21a、21bの回転数制御、および、第1電磁弁42a、42bと第2電磁弁43a、43bの開閉制御を除き、第1の実施例における第2起動制御と同一の制御)とからなる起動制御を行う。
以下に、上述した各起動制御について詳細に説明するが、第1起動制御については、開始条件および終了条件も含めて第1の実施例における第1起動制御と同一であるため、説明を省略する。また、第3起動制御については、後述する圧縮機21a、21bの回転数制御および第1電磁弁42a、42bと第2電磁弁43a、43bの開閉制御を除いて第1の実施例における第2起動制御と同一であるため、同一の制御については説明を省略する。また、圧縮機21a、21bで許容される回転数範囲における下限回転数を20rpsとして説明する。
〔第2起動制御〕
CPU110a、110bは、第1起動制御の終了条件が成立すれば、第1起動制御に引き続き第2起動制御を開始する。第2起動制御では、圧縮機21a、21bの回転数を、第1起動制御実行時の回転数(起動時回転数)である70rpsから外気温度に応じて予め定められた回転数X(rps)まで、所定の割合で低下させることで、圧縮機21a、21bの吐出圧力を低下させる。
CPU110a、110b各々に対応する記憶部120a、120bには、図8に示す回転数テーブル200が予め記憶されている。この回転数テーブル200は、第2起動制御を実行するときに、そのときの外気温度T(℃)に応じて圧縮機21a、21bの回転数X(rps)を定めたものであり、予め試験等を行うことによって、圧縮機21a、21bの回転数を回転数Xまで低下させれば当該外気温度Tで圧縮機21a、21bにおいて吐出圧力の上限値を超えないことが確認されているものである。
回転数テーブル200において、外気温度Tは、「−10℃以下」と「11℃以上」との間を1℃ずつに区切られている。また、回転数Xは、外気温度Tに対応して定められている。具体的には、外気温度Tが「−10℃以下」である場合は、圧縮機21a、21bにおいて吐出圧力の上限値を超える虞が低いため、回転数Xは起動時回転数と同じ「70rps」となっている。
また、外気温度Tが−10℃より高い場合は、圧縮機21a、21bにおいて吐出圧力の上限値を超える虞があり、外気温度Tが高くなるほど吐出圧力の上限値を超える可能性が高くなる。従って、回転数テーブル200では、外気温度Tが高くなるほど回転数Xは低くなるように定められており、例えば、外気温度Tが−5℃の場合の回転数Xは58rps、外気温度Tが0℃の場合の回転数Xは46rps、外気温度Tが5℃の場合の回転数Xは35rps、等となっている。そして、外気温度Tが「11℃以上」である場合は、回転数Xは下限回転数である「20rps」となっている。
次に、第2起動制御を実行するときの、室外機2a、2bの各構成要素の具体的な動作について説明する。CPU110a、CPU110bは、第2起動制御では図7に示すように、圧縮機21a、21bの回転数制御、第1室外熱交換器24a、24bおよび第2室外熱交換器25a、25bの機能切換(蒸発器/凝縮器切換)制御、第1室外膨張弁40a、40bおよび第2室外膨張弁41a、41bの開度制御、第1電磁弁42a、42bおよび第2電磁弁43a,43bの開閉制御を行う。
上述した第2起動制御における各制御のうち、圧縮機21a、21bの回転数制御以外の制御については第1起動制御と同様の制御を行うため説明を省略し、以下では圧縮機21a、21bの回転数制御について詳細に説明する。尚、第2起動処理を行うときの空気調和装置1の冷媒回路の状態は、第1の実施例における第1起動制御を行うときと同様、つまり、図3に示す状態となっている。
記憶部120a、120bには、各々の室外機2a、2bに備えられた外気温度検出手段である外気温度センサ58a、58bにより所定のタイミング(例えば、2秒毎)で検出した外気温度を時系列で記憶している。CPU110a、110bは、第2起動制御を開始すると、記憶部120a、120bに記憶している外気温度の中から最後に記憶した外気温度Tを取り込む。CPU110a、110bは、同じく記憶部120a、120bに記憶している回転数テーブル200を参照し、取り込んだ外気温度Tに対応する回転数Xを回転数テーブル200から抽出する。
次に、CPU110a、110bは、圧縮機21a、21bの回転数を現在の回転数、つまり、起動時回転数である70rpsから抽出した回転数Xまで、予め定められた所定の割合で低下させる。例えば、外気温度Tが0℃、回転数を低下させる所定の割合が2rps/秒、であれば、外気温度Tが0℃のときの回転数Xは回転数テーブル200から46rpsであるため、CPU110a、110bは、圧縮機21a、21bの回転数を46rpsまで12秒で低下させる((70rps−46rps)/2rps/秒=12秒)。このように、圧縮機21a、21bの回転数を低下させることで、圧縮機21a、21bの吐出圧力を低下させる。
CPU110a、110bは、第2起動制御を実行している際に、第2起動制御の終了条件が成立しているか否かを判断しており、第2起動制御の終了条件が成立していれば、第2起動制御を終了し、次に説明する第3起動制御に移行する。尚、第2起動制御の終了条件は、例えば、第2起動制御を開始してから所定時間経過しているか否かである。この所定時間は、圧縮機21a、21bの回転数を下限回転数である20rpsまで低下させるのに必要な時間を考慮して予め定められるものであり、例えば、回転数を低下させる所定の割合が前述した2rps/1秒である場合では、(70rps−20rps)/2rps=25秒、となる。
従って、圧縮機21a、21bの回転数を外気温度Tに対応した回転数Xまで低下させるのにかかる時間が上記所定時間(例えば、25秒)より短い場合は、CPU110a、110bは、圧縮機21a、21bを回転数Xまで低下させた後、所定時間となるまでこの回転数Xを維持して圧縮機21a、21bを駆動する。例えば、前述したように、外気温度Tが0℃のときの回転数Xは46rpsでありこの回転数まで低下させるのに12秒かかるので、CPU110a、110bは、残りの13秒間は圧縮機21a、21bを46rpsで駆動する。尚、外気温度Tが「−10℃以下」である場合は、回転数Xは起動時回転数と同じ「70rps」であるので、この場合CPU110a、110bは、圧縮機21a、21bを70rpsで維持して所定時間(25秒間)駆動する。
〔第3起動制御〕
CPU110a、110bは、第2起動制御に引き続き、第3起動制御を開始する。第1起動制御を実行したことで、圧縮機21a、21bでの冷媒寝込み状態がある程度解消されて圧縮機21a、21bの潤滑に支障がない冷凍機油の吐出量となっている。また、第2起動制御を実行したことで、圧縮機21a、21bの吐出圧力が低下している。第3起動制御では、圧縮機21a、21bでの冷媒寝込み量を減少させるとともに、圧縮機21a、21bの吐出圧力が急激に上昇し、圧縮機21a、21bの摺動部が摩耗劣化することで圧縮機21a、21bの耐久性が低下してしまうことを防ぐための各種制御を行う。
尚、第1起動制御および第2起動制御では、2台の室外熱交換器の機能を異ならせて、室外機内に蒸発器と凝縮器とを混在させていたが、第3起動制御では、運転モードが暖房運転/暖房主体運転の場合は室外熱交換器を2台とも蒸発器として機能させる、あるいは、冷房運転/冷房主体運転の場合は室外熱交換器を2台とも凝縮器として機能させることによって、通常運転への移行準備を行う。
次に、第3起動制御を実行するときの、室外機2a、2bの各構成要素の具体的な動作について説明する。本実施例では、空気調和装置1は暖房運転を行うため、CPU110a、CPU110bは、第3起動制御では図7に示すように、圧縮機21a、21bの回転数制御、第2室外熱交換器25a、25bの機能切換(凝縮器から蒸発器に切換。第1室外熱交換器24a、24bは第1起動制御および第2起動制御で蒸発器とされているためこの状態を維持)制御、第1室外膨張弁40a、40bおよび第2室外膨張弁41a、41bの開度制御、第1電磁弁42a、42bおよび第2電磁弁43a,43bの開閉制御を行う。
上述した各制御のうち、圧縮機21a、21bの回転数制御および第1電磁弁42a、42bと第2電磁弁43a,43bの開閉制御以外の項目については、第1の実施例における第2起動制御と同様の制御であるため説明は省略し、以下に圧縮機21a、21bの回転数制御および第1電磁弁42a、42bと第2電磁弁43a,43bの開閉制御について詳細に説明する。尚、第3起動処理を行うときの空気調和装置1の冷媒回路の状態は、第1の実施例における第2起動制御を行うときと同様、つまり、図4に示す状態となっている。
CPU110a、110bは、第3起動制御を開始すると、図7に示すように、圧縮機21a、21bの回転数を第2起動制御で定めた回転数Xに固定し、第3起動制御を終了するまでこの回転数Xで圧縮機21a、21bを駆動する。また、CPU110a、110bは、第1電磁弁42a、42bおよび第2電磁弁43a、43bを第3起動制御を終了するまで開とする。
第2起動制御で圧縮機21a、21bの回転数を、外気温度に応じた回転数Xとすることによって、第2起動制御から第3起動制御に移行した際に圧縮機21a、21bの吐出圧力の上限値を超えることは防いでいるが、第3起動制御では、凝縮器として機能していた第2室外熱交換器25a、25bを蒸発器として機能するように切り換えるため、凝縮器として機能する熱交換器が減少して高圧、つまり、圧縮機21a、21bの吐出圧力が急激に上昇する虞がある。そして、圧縮機21a、21bの吐出圧力が急激に上昇すれば、圧縮機21a、21bの摺動部に大きな負荷が加わって摺動部が摩耗劣化し、これにより圧縮機21a、21bの耐久性が低下してしまう虞がある。
以上の問題点を解決するために、第3起動制御では、圧縮機21a、21bの回転数を回転数Xに固定するとともに、第1電磁弁42a、42bおよび第2電磁弁43a、43bは第1起動制御や第2起動制御に引き続き開とする。これによって、圧縮機21a、21bの吐出圧力が急激に上昇することを防いで、圧縮機21a、21bの耐久性が低下してしまうことを防いでいる。
尚、第3起動制御の終了条件は、第3起動制御を開始してから所定時間(例えば、10秒)経過したか否かであり、この所定時間は、凝縮器として機能していた第2室外熱交換器25a、25bを蒸発器として機能するように切り換えるために必要な時間と、凝縮器として機能する熱交換器が減少したことによって急激に上昇しかけた圧縮機21a、21bの吐出圧力が、第3起動制御を行うことによってその上昇度合いが緩やかになるまでに必要な時間とを考慮して定められる。
第3起動制御の終了条件が成立していれば、CPU110a,110bは、空気調和装置1の起動制御を終了して通常の空調制御に移行する。
次に、図9に示すフローチャートを用いて、本実施例における空気調和装置1での処理の流れについて説明する。図9に示すフローチャートは、空気調和装置1が起動する際に行う第1起動制御、第2起動制御および第3起動制御に関する処理の流れを示すものであり、STはステップを表しこれに続く数字はステップ番号を表している。尚、図9では本発明に関わる処理を中心に説明しており、使用者の指示した設定温度や風量等の運転条件に対応した冷媒回路の制御等といった、その他の一般的な処理については説明を省略する。また、CPU110a、110bが行う第1起動制御、第2起動制御および第3起動制御に関する処理は同じであるため、以下の説明では室外機2aの制御手段100aに備えられたCPU110aで行う第1起動制御、第2起動制御および第3起動制御に関する処理について説明する。
運転開始指示を受けたCPU110aは、第1起動制御の開始条件が成立しているか否かを判断する(ST21)。第1起動制御の開始条件が成立していれば(ST21−Yes)、CPU110aは、第1室外熱交換器24aを蒸発器として機能するよう第1三方弁22aを制御するとともに、第2室外熱交換器25aを凝縮器として機能するよう第2三方弁23aを制御する(ST22)。
次に、CPU110aは、圧縮機21aを起動時回転数で起動するよう、あるいは、起動時回転数での駆動を継続するよう制御する(ST23)。
次に、CPU110aは、第1室外膨張弁40aの開度を第1室外熱交換器24aの冷媒出口における冷媒過熱度に応じて制御するとともに、第2室外膨張弁41aを全開とする(ST24)。
次に、CPU110aは、第1電磁弁42aを開として(ST25)、ホットガスバイパス36aを冷媒が流れる状態とする。尚、第1の実施例で説明したように、第2電磁弁43aは室外機2a停止時から開となっており、CPU110aはこの状態を維持して油戻し管37aを冷媒が流れる状態とする。
次に、CPU110aは、第1起動制御の終了条件が成立しているか否かを判断する(ST26)。第1起動制御の終了条件が成立していなければ(ST26−No)、CPU110aは、ST22に処理を戻して第1起動制御を継続する。
第1起動制御の終了条件が成立していれば(ST26−Yes)、CPU110aは、第1起動処理を終了し第2起動処理に移行する。CPU110aは、外気温度センサ58aで検出して記憶部120aに記憶している外気温度のうち、最後に記憶した外気温度Tを記憶部120aから取り込む(ST27)。
次に、CPU110aは、取り込んだ外気温度Tが−10℃以下であるか否かを判断する(ST28)。外気温度Tがー10℃以下であれば(ST28−Yes)、圧縮機21aの回転数を下げる必要がないため(図8の回転数テーブル200を参照)、CPU110aは、ST31に処理を進める。
外気温度Tがー10℃以下でなければ(ST28−No)、CPU110aは、記憶部120aに記憶している回転数テーブル200を参照し、取り込んだ外気温度Tに対応する回転数Xを抽出する(ST29)。そして、CPU110aは、圧縮機21aの回転数を、抽出した回転数Xまで低下させる(ST30)。
次に、CPU110aは、第2起動制御の終了条件が成立しているか否かを判断する(ST31)。第2起動制御の終了条件が成立していなければ(ST31−No)、CPU110aは、ST27に処理を戻す。
第2起動制御の終了条件が成立していれば(ST31−Yes)、CPU110aは、第2起動制御を終了し第3起動制御に移行する。CPU110aは、使用者が指示した運転モードが暖房運転あるいは暖房主体運転であるか否かを判断する(ST32)。
運転モードが暖房運転あるいは暖房主体運転であれば(ST32−Yes)、CPU110aは、凝縮器として機能していた第2室外熱交換器25aを蒸発器として機能するよう切り換える(ST33)。次に、CPU110aは、第1室外膨張弁40aの開度を第1室外熱交換器24aの冷媒出口における冷媒過熱度に応じて制御するとともに、第2室外膨張弁41aの開度を第2室外熱交換器25aの冷媒出口における冷媒過熱度に応じて制御する(ST34)。
次に、CPU110aは、第3起動制御の終了条件が成立したか否かを判断する(ST35)。第3起動制御の終了条件が成立していなければ(ST35−No)、CPU110aは、圧縮機21aを回転数Xで維持して駆動し(ST39)、ST35に処理を戻す。
第3起動制御の終了条件が成立していれば(ST35−Yes)、CPU110aは、第1電磁弁42aおよび第2電磁弁43aを閉じて(ST36)、ホットガスバイパス管36aおよび油戻し管37aを冷媒が流れないようにして、第3起動制御を終了、つまり、空気調和装置1の起動制御を終了し、通常の空調制御を開始する。
尚、ST21において、第1起動制御の開始条件が成立していなければ(ST21−No)、CPU110aは、起動制御を行わずに通常の空調制御を開始する。
また、ST32において、運転モードが暖房運転あるいは暖房主体運転でなければ(ST32−No)、使用者が指示した運転モードが冷房運転あるいは冷房主体運転であるため、CPU110aは、蒸発器として機能していた第1室外熱交換器24aを凝縮器として機能するよう切り換える(ST37)。次に、CPU110aは、第1室外膨張弁40aの開度を全開、あるいは、第1室外熱交換器24aの冷媒出口における冷媒過冷却度に応じて制御するとともに、第2室外膨張弁41aの開度を全開、あるいは、第2室外熱交換器25aの冷媒出口における冷媒過冷却度に応じて制御する(ST38)。そして、CPU110aは、ST35に処理を進める。
以上説明した実施例では、第2起動制御を所定時間行った後に第3起動制御に移行する場合について説明したが、第2起動制御において圧縮機21a、21bの回転数を低下させて外気温度Tに対応する回転数Xに到達すれば直ちに第3起動制御に移行するように制御してもよい。例えば、前述したように、圧縮機21a、21bを46rpsまで低下させるのに12秒かかるが、CPU110a、110bは、圧縮機21a、21bの回転数が46rpsまで低下すれば、第2起動制御を12秒で停止して直ちに第3起動制御に移行してもよい。また、外気温度Tが−10℃以下で圧縮機21a、21bの回転数を低下させる必要がない場合(起動時回転数である70rpsを維持する場合)は、CPU110a、110bは、第2起動制御を実行せず、第1起動制御を停止してから直ちに第3起動制御を実行してもよい。
以上説明したように、本発明の空気調和装置によれば、圧縮機の冷媒寝込み状態を早期に解消するために、圧縮機を所定回転数で駆動し続けても、一部の室外熱交換器を凝縮器として機能させることで、圧縮機の吐出側(高圧側)圧力の上昇を抑制している。これにより、圧縮機内部の圧力上昇を抑えることができるので、圧縮機内部の圧力上昇に起因する冷媒寝込みの発生を抑制できる。また、第1起動制御終了後は、通常空調運転時の運転モードに対応して全ての室外熱交換器を凝縮器あるいは蒸発器とした上で、圧縮機の回転数を第1起動制御実行時と同じ所定回転で駆動維持するので、迅速な空調能力の立ち上がりを実現できる。