以下、本発明の実施の形態を、添付図面に基づいて詳細に説明する。実施例としては、2台の室外機に5台の室内機が並列に接続され、室内機毎に冷房運転と暖房運転とを選択して運転できる、所謂冷暖房フリーの運転が行える空気調和装置を例に挙げて説明する。尚、本発明は以下の実施形態に限定されることはなく、本発明の主旨を逸脱しない範囲で種々変形することが可能である。
図1に示すように、本実施例における空気調和装置1は、2台の室外機2a、2bと、5台の室内機8a〜8eと、5台の切換ユニット6a〜6eと、分岐器70、71、72とを備えている。これら室外機2a、2bと室内機8a〜8eと切換ユニット6a〜6eと分岐器70、71、72とが、高圧ガス管30と、高圧ガス分管30a、30bと、低圧ガス管31と、低圧ガス分管31a、31bと、液管32と、液分管32a、32bとで相互に接続されることによって、空気調和装置1の冷媒回路が構成される。尚、高圧ガス管30と高圧ガス分管30a、30b、および、低圧ガス管31と低圧ガス分管31a、31bで本発明のガス管が構成され、液管32と液分管32a、32bとで本発明の液管が構成される。
空気調和装置1では、室外機2a、2bや切換ユニット6a〜6eに備えられた各種弁類の開閉状態に応じて、暖房運転(全ての室内機が暖房運転)、暖房主体運転(暖房運転を行っている室内機で要求される能力全体が冷房運転を行っている室内機で要求される能力全体を上回る場合)、冷房運転(全ての室内機が冷房運転)、冷房主体運転(冷房運転を行っている室内機で要求される能力全体が暖房運転を行っている室内機で要求される能力全体を上回る場合)等、様々な運転動作が可能である。以下の説明では、これら運転動作の中から暖房運転を行っている場合を例に挙げ、図1を用いて説明する。
図1は、全ての室内機8a〜8eが暖房運転を行っている場合の冷媒回路図である。まずは、室外機2a、2bについて説明するが、室外機2a、2bの構成は全て同じであるため、以下の説明では室外機2aの構成についてのみ説明を行い、室外機2bについては詳細な説明は省略する。
図1に示すように、室外機2aは、圧縮機21aと、流路切換手段である第1三方弁22aおよび第2三方弁23aと、第1室外熱交換器24aと、第2室外熱交換器25aと、室外ファン26aと、アキュムレータ27aと、オイルセパレータ28aと、レシーバタンク29aと、第1室外熱交換器24aに接続された第1室外膨張弁40aと、第2室外熱交換器25aに接続された第2室外膨張弁41aと、ホットガスバイパス管36aと、ホットガスバイパス管36aに備えられた第1電磁弁42aと、油戻し管37aと、油戻し管37aに備えられた第2電磁弁43aと、閉鎖弁44a〜46aとを備えている。尚、第1室外膨張弁40aと第2室外膨張弁41aとが、本発明における流量調整手段である。
圧縮機21aは、インバータにより回転数が制御される図示しないモータによって駆動されることで運転容量を可変できる能力可変型圧縮機である。図1に示すように、圧縮機21aの吐出側は、オイルセパレータ28aの流入側に冷媒配管で接続されており、オイルセパレータ28aの流出側は室外機高圧ガス管33aで閉鎖弁44aに接続されている。また、圧縮機21aの吸入側は、アキュムレータ27aの流出側に冷媒配管で接続されており、アキュムレータ27aの流入側は、室外機低圧ガス管34aで閉鎖弁45aに接続されている。
第1三方弁22aおよび第2三方弁23aは、冷媒の流れる方向を切り換えるための弁であり、第1三方弁22aはa、b、cの3つのポートを、第2三方弁23aはd、e、fの3つのポートをそれぞれ備えている。第1三方弁22aでは、ポートaに接続された冷媒配管が接続点Aで室外機高圧ガス管33aに接続されている。また、ポートbと第1室外熱交換器24aとが冷媒配管で接続され、ポートcに接続された冷媒配管が接続点Dで室外機低圧ガス管34aに接続されている。
第2三方弁23では、ポートdに接続された冷媒配管が接続点Aで室外機高圧ガス管33aおよび第1三方弁22aのポートaに接続された冷媒配管に接続されている。またポートeと第2室外熱交換器25aとが冷媒配管で接続され、ポートfに接続された冷媒配管が接続点Cで第1三方弁22aのポートcに接続された冷媒配管と接続されている。
第1室外熱交換器24aおよび第2室外熱交換器25aは、アルミ材で形成された図示しない多数のフィンと、内部に冷媒を流通させる図示しない複数の銅管とで構成されている。第1室外熱交換器24aの一方の冷媒出入口は上述したように第1三方弁22aのポートbに接続され、他方の冷媒出入口は冷媒配管を介して第1室外膨張弁40aの一方のポートに接続されている。尚、第1室外膨張弁40aの他方のポートは、閉鎖弁46aと室外機液管35aで接続されている。
第2室外熱交換器25aの一方の冷媒出入口は上述したように冷媒配管を介して第2三方弁23aのポートeに接続され、他方の冷媒出入口は冷媒配管を介して第2室外膨張弁41aの一方のポートに接続されている。尚、第2室外膨張弁41aの他方のポートは、室外機液管35aにおける接続点Bに冷媒配管で接続されている。
第1室外膨張弁40aおよび第2室外膨張弁41aは、図示しないパルスモータにより駆動される電動膨張弁であり、パルスモータに与えるパルス数によって各々の開度が調整される。
室外ファン26aは、第1室外熱交換器24aや第2室外熱交換器25aの近傍に配置される樹脂材で形成されたプロペラファンであり、図示しないファンモータによって回転することで、室外機2a内に外気を取り込み、第1室外熱交換器24aや第2室外熱交換器25aにおいて冷媒と熱交換させた後、熱交換した外気を室外機2a外部へ放出する。
アキュムレータ27aは、流入側が室外機低圧ガス管34aに接続され、流出側が圧縮機21aの吸入側と冷媒配管で接続されている。アキュムレータ27aは、流入した冷媒をガス冷媒と液冷媒とに分離し、ガス冷媒のみを圧縮機21aに吸入させる。
オイルセパレータ28aは、流入側が圧縮機21aの吐出側に冷媒配管で接続され、流出側が室外機高圧ガス管33aに接続されている。オイルセパレータ28aは、圧縮機21aから吐出された冷媒に含まれる圧縮機21aの冷凍機油を冷媒から分離する。尚、分離された冷凍機油は、後述する油戻し管37aを介して圧縮機21aに吸入される。
レシーバタンク29aは、室外機液管35aにおける接続点Bと閉鎖弁46aとの間に設けられており、冷媒を収容することが可能な容器である。レシーバタンク29aは、第1室外熱交換器24aおよび第2室外熱交換器25a内部における冷媒量を調整するバッファとしての役割を果たす、冷媒の気液分離を行う、レシーバタンク29a内に設けた図示しないフィルタで冷媒中の水分や異物を除去したりする、といった機能を有する。
ホットガスバイパス管36aは、一端が室外機高圧ガス管33aに接続点Eで接続され、他端が室外機低圧ガス管34aに接続点Fで接続されている。ホットガスバイパス管36aには、第1電磁弁42aが備えられており、第1電磁弁42aを開閉することによってホットガスバイパス管36aを冷媒が流れる状態あるいは流れない状態とできる。
油戻し管37aは、一端がオイルセパレータ28aの油戻し口に接続され、他端が圧縮機21aの吸入側とアキュムレータ27aの流出側とを接続する冷媒配管に接続点Gで接続されている。油戻し管37aには、第2電磁弁43aが備えられており、第2電磁弁43aを開閉することによって油戻し管37aを冷媒が流れる状態あるいは流れない状態とできる。
以上説明した構成の他に、室外機2aには各種のセンサが設けられている。図1に示すように、圧縮機21aの吐出側とオイルセパレータ28aとを接続する冷媒配管には、圧縮機21aから吐出される冷媒の圧力を検出する高圧センサ50aと、圧縮機21aから吐出される冷媒の温度を検出する吐出温度検出手段である吐出温度センサ53aとが設けられている。また、室外機低圧ガス管34aにおける接続点Fとアキュムレータ27aの流入側との間には、圧縮機21aに吸入される冷媒の圧力を検出する低圧センサ51aと、圧縮機21aに吸入される冷媒の温度を検出する吸入温度センサ54aとが設けられている。また、室外機液管32aにおける接続点Bと閉鎖弁46aとの間には、室外機液管35aを流れる冷媒の圧力を検出する中間圧センサ52aと、室外機液管35aを流れる冷媒の温度を検出する室外機側冷媒温度検出手段である冷媒温度センサ55aとが設けられている。
第1三方弁22aのポートbと第1室外熱交換器24aとを接続する冷媒配管には、第1室外熱交換器24aから流出あるいは第1室外熱交換器24aへ流入する冷媒の温度を検出する第1熱交温度センサ56aが設けられている。また、第2三方弁23aのポートeと第2室外熱交換器25aとを接続する冷媒配管には、第2室外熱交換器25aから流出あるいは第2室外熱交換器25aへ流入する冷媒の温度を検出する第2熱交温度センサ57aが設けられている。さらには、室外機2aの図示しない吸込口付近には、室外機2a内に流入する外気の温度、すなわち外気温度を検出する外気温度センサ58aが備えられている。
室外機2aには、制御手段100aが備えられている。制御手段100aは、図示しない制御基板に搭載されており、CPU110aと、記憶部120aと、通信部130aとを備えている。CPU110aは、室外機2aの上述した各センサからの検出信号を取り込むとともに、各室内機8a〜8eから出力される制御信号を通信部130aを介して取り込む。CPU110aは、取り込んだ検出信号や制御信号に基づいて圧縮機21aの駆動制御、第1三方弁22aおよび第2三方弁23aの切り換え制御、ファンモータ29aの回転制御、第1室外膨張弁40aおよび第2室外膨張弁41aの開度制御、といった様々な制御を行う。
記憶部120aは、ROMやRAMで構成されており、室外機2aの制御プログラムや各センサからの検出信号に対応した検出値を記憶する。通信部130aは、室外機2aと室内機8a〜8eとの通信を行うインターフェイスである。
尚、室外機2bの構成は室外機2aと同じであり、室外機2aの構成要素(装置や部材)に付与した番号の末尾をaからbに変更したものが、室外機2aの構成要素と対応する室外機2bの構成要素となる。但し、第1三方弁や第2三方弁、および、冷媒配管の接続点については、室外機2aと室外機2bとで記号を異ならせており、室外機2aの第1三方弁22aにおけるポートa、b、cに対応するものを室外機2bの第1三方弁22bではポートg、h、jとし、室外機2aの第2三方弁23aにおけるポートd、e、fに対応するものを室外機2bの第2三方弁23bではポートk、m、nとしている。また、室外機2aにおける接続点A、B、C、D、E、F、Gに対応するものを室外機2bでは接続点H、J、K、M、N、P、Qとしている。
図1に示すように、暖房運転時の冷媒回路では、室外機2a、2bの各々に備えられた2台の室外熱交換器が蒸発器として機能するよう、各々の三方弁が切り換えられる。具体的には、室外機2aでは、第1三方弁22aはポートbとポートcとを連通するよう、また、第2三方弁23aはポートeとポートfとを連通するよう切り換えられる。また、室外機2bでは、第1三方弁22bはポートhとポートjとを連通するよう、また、第2三方弁23bはポートmとポートnとを連通するよう切り換えられる。尚、図1では、各三方弁の連通しているポート間は実線で示し、連通していないポート間は破線で示している。
5台の室内機8a〜8eは、室内熱交換器81a〜81eと、室内膨張弁82a〜82eと、室内ファン83a〜83eとを備えている。尚、室内機8a〜8eの構成は全て同じであるため、以下の説明では、室内機8aの構成についてのみ説明を行い、その他の室内機8b〜8eについては説明を省略する。
室内熱交換器81aは、一端が室内膨張弁82aの一方のポートに冷媒配管で接続され、他端が後述する切換ユニット6aに冷媒配管で接続されている。室内熱交換器81aは、室内機8aが冷房運転を行う場合は蒸発器として機能し、室内機8aが暖房運転を行う場合は凝縮器として機能する。
室内膨張弁82aは、一方のポートが上述したように室内熱交換器81aに接続され、他方のポートが液管32に接続されている。室内膨張弁82aは、室内熱交換器81aが蒸発器として機能する場合は、その開度が要求される冷房能力に応じて調整され、室内熱交換器81aが凝縮器として機能する場合は、その開度が要求される暖房能力に応じて調整される。
室内ファン83aは、図示しないファンモータによって回転することで、室内機8a内に室内空気を取り込み、室内熱交換器81aにおいて冷媒と室内空気とを熱交換させた後、熱交換した空気を室内へ供給する。
以上説明した構成の他に、室内機8aには各種のセンサが設けられている。室内熱交換器81aの室内膨張弁82a側の冷媒配管には冷媒の温度を検出する室内機側冷媒温度検出手段である冷媒温度センサ84aが、また、室内熱交換器81aの切換ユニット6a側の冷媒配管には冷媒の温度を検出する冷媒温度センサ85aが、それぞれ備えられている。また、室内機8aの図示しない室内空気の吸込口付近には、室内機8a内に流入する室内空気の温度、すなわち室内温度を検出する室温センサ86aが備えられている。
尚、室内機8b〜8eの構成は室内機8aと同じであり、室内機8aの構成要素(装置や部材)に付与した番号の末尾をaからb、c、dおよびeにそれぞれ変更したものが、室外機8aの構成要素と対応する室内機8b〜8eの構成要素となる。
空気調和装置1には、5台の室内機8a〜8eに対応する5台の切換ユニット6a〜6eが備えられている。切換ユニット6a〜6eは、電磁弁61a〜61eと、電磁弁62a〜62eと、第1分流管63a〜63eと、第2分流管64a〜64eとを備えている。尚、切換ユニット6a〜6eの構成は全て同じであるため、以下の説明では、切換ユニット6aの構成についてのみ説明を行い、その他の切換ユニット6b〜6eについては説明を省略する。
第1分流管63aの一端は高圧ガス管30に接続されており、第2分流管64aの一端は低圧ガス管31に接続されている。また、第1分流管63aの他端と第2分流管64aの他端とが相互に接続され、この接続部と室内熱交換器81aとが冷媒配管で接続されている。第1分流管63aには電磁弁61aが、また、第2分流管64aには電磁弁62aが、それぞれ設けられており、電磁弁61aおよび電磁弁62aをそれぞれ開閉することによって、切換ユニット6aに対応する室内機8aの室内熱交換器81aが圧縮機21の吐出側(高圧ガス管30側)または吸入側(低圧ガス管31側)に接続されるよう、冷媒回路における冷媒の流路を切り換えることができる。
尚、切換ユニット6b〜6eの構成は、上述したように切換ユニット6aと同じであり、切換ユニット6aの構成要素(装置や部材)に付与した番号の末尾をaからb、c、dおよびeにそれぞれ変更したものが、切換ユニット6aの構成要素と対応する切換ユニット6b〜6eの構成要素となる。
以上説明した室外機2a、2b、室内機8a〜8eおよび切換ユニット6a〜6eと、高圧ガス管30、高圧ガス分管30a、30b、低圧ガス管31、低圧ガス分管31a、31b、液管32、液分管32a、32b、および、分岐器70、71、72との接続状態を、図1を用いて説明する。室外機2a、2bの閉鎖弁44a、44bには高圧ガス分管30a、30bの一端がそれぞれ接続され、高圧ガス分管30a、30bの他端はそれぞれ分岐器70に接続される。この分岐器70に高圧ガス管30の一端が接続され、高圧ガス管30の他端は分岐して切換ユニット6a〜6eの第1分流管63a〜63eに接続される。
室外機2a、2bの閉鎖弁45a、45bには低圧ガス分管31a、31bの一端がそれぞれ接続され、低圧ガス分管31a、31bの他端はそれぞれ分岐器71に接続される。この分岐器71に低圧ガス管31の一端が接続され、低圧ガス管31の他端は分岐して切換ユニット6a〜6eの第2分流管64a〜64eに接続される。
室外機2a、2bの閉鎖弁46a、46bには液分管32a、32bの一端がそれぞれ接続され、液分管32a、32bの他端はそれぞれ分岐器72に接続される。この分岐器72に液管32の一端が接続され、液管32の他端は分岐してそれぞれ室内機8a〜8eの室内膨張弁82a〜82eに接続されている冷媒配管に接続される。
また、対応する室内機8a〜8eの室内熱交換器81a〜81eと、切換ユニット6a〜6eにおける第1分流管63a〜63eと第2分流管64a〜64eとの接続点が、それぞれ冷媒配管で接続される。
以上説明した接続によって、空気調和装置1の冷媒回路が構成され、冷媒回路に冷媒を流すことによって冷凍サイクルが成立する。
次に、本実施例における空気調和装置1の運転動作について、図1を用いて説明する。尚、図1では、室外機2a、2bや室内機8a〜8eに備えられた各熱交換器が凝縮器となる場合はハッチングを付し、蒸発器となる場合は白抜きで図示する。また、室外機2a、2bに備えられた第1電磁弁42a、42bおよび第2電磁弁43a、43bや、切換ユニット6a〜6eに備えられた電磁弁61a〜61eおよび電磁弁62a〜62eの開閉状態については、閉じている場合を黒塗りで、開いている場合を白抜きで図示する。また、矢印は冷媒の流れを示している。
図1に示すように、全ての室内機8a〜8eが暖房運転を行い、これらで要求される暖房能力が高くて全ての室外機2a、2bを運転する必要がある場合、室外機2aでは、第1三方弁22aのポートbとポートcとが連通するよう切り換えられて第1室外熱交換器24aが蒸発器として機能し、第2三方弁23aのポートeとポートfとが連通するよう切り換えられて第2室外熱交換器25aが蒸発器として機能する。また、室外機2bでは、第1三方弁22bのポートhとポートjとが連通するよう切り換えられて第1室外熱交換器24bが蒸発器として機能し、第2三方弁23bのポートmとポートnとが連通するよう切り換えられて第2室外熱交換器25bが蒸発器として機能する。尚、室外機2a、2bの第1電磁弁42a、42bと第2電磁弁43a、43bとは、共に閉じられており、ホットガスバイパス管36a、36bおよび油戻り管37a、37bは共に冷媒や冷凍機油が流れない状態とされている。
室内機8a〜8eでは、各々に対応する切換ユニット6a〜6eの電磁弁61a〜61eを開いて第1分流管63a〜63eを冷媒が流れるようにするとともに、電磁弁62a〜62eを閉じて第2分流管64a〜64eを冷媒が流れないようにする。これにより、室内機8a〜8eの室内熱交換器81a〜81eは全て凝縮器として機能する。
圧縮機21a、21bから吐出された高圧の冷媒は、オイルセパレータ28a、28bを介して室外機高圧ガス管33a、33bを流れ、閉鎖弁44a、44bを介して高圧ガス分管30a、30bに流入する。高圧ガス分管30a、30bに流入した高圧の冷媒は、分岐器70で合流して高圧ガス管30を流れ、高圧ガス管30から切換ユニット6a〜6eに分かれて流入する。
切換ユニット6a〜6eに流入した高圧の冷媒は、開となっている電磁弁61a〜61eが備えられた第1分流管63a〜63eを流れて切換ユニット6a〜6eから流出し、切換ユニット6a〜6eに対応する室内機8a〜8eに流入する。
室内機8a〜8eに流入した高圧の冷媒は、室内熱交換器81a〜81eに流入して室内空気と熱交換を行って凝縮する。これにより、室内空気が暖められ、室内機8a〜8eが設置された室内の暖房が行われる。室内熱交換器81a〜81eから流出した高圧の冷媒は、室内膨張弁82a〜82eを通過して減圧される。室内膨張弁82a〜82eの開度は、室内熱交換器81a〜81eの冷媒出口における冷媒の過冷却度に応じて決定される。冷媒の過冷却度は、例えば、室外機2a、2bの高圧センサ50a、50bで検出した圧力から算出した高圧飽和温度(室内熱交換器81a〜81e内の凝縮温度に相当)から、冷媒温度センサ84a〜84eで検出した室内熱交換器81a〜81eの冷媒出口における冷媒温度(後述する室内機側冷媒温度Tif)を引くことで求められる。
室内機8a〜8eから流出した中間圧の冷媒は液管32に流入し、液管32内で合流して分岐器72に流入する。分岐器72から液分管32a、32bに分流した中間圧の冷媒は、閉鎖弁46a、46bを介して室外機2a、2bに流入する。室外機2a、2bに流入した中間圧の冷媒は、室外機液管35a、35bを流れ、接続点B、Jで分流して第1室外膨張弁40a、40bおよび第2室外膨張弁41a、41bを通過して減圧されて低圧の冷媒となる。
第1室外膨張弁40a、40bの開度は、第1室外熱交換器24a、24bの冷媒出口における冷媒の過熱度に応じて決定される。また、第2室外膨張弁41a、41bの開度は、第2室外熱交換器25a、25bの冷媒出口における冷媒の過熱度に応じて決定される。冷媒の過熱度は、例えば、第1熱交温度センサ56a、56bや第2熱交温度センサ57a、57bで検出した第1室外熱交換器24a、24bや第2室外熱交換器25a、25bの冷媒出口における冷媒温度から、室外機2a、2bの低圧センサ51a、51bで検出した圧力から算出した低圧飽和温度(第1室外熱交換器24a、24b内や第2室外熱交換器25a、25b内の蒸発温度に相当)を引くことで求められる。
尚、制御手段100a、100bのCPU110a、110bは、所定のタイミング(例えば、30秒毎)に第1室外熱交換器24a、24bの冷媒出口における冷媒の過熱度や第2室外熱交換器25a、25bの冷媒出口における冷媒の過熱度を求め、これらに応じて第1室外膨張弁40a、40bや第2室外膨張弁41a、41bの開度を制御している。
第1室外膨張弁40a、40bや第2室外膨張弁41a、41bで減圧された低圧の冷媒は、第1室外熱交換器24a、24bおよび第2室外熱交換器25a、25bに流入して外気と熱交換を行って蒸発する。そして、第1室外熱交換器24a、24bおよび第2室外熱交換器25a、25bから流出した低圧の冷媒は、第1三方弁22a、22bおよび第2三方弁23a、23bを介して接続点C,Kで合流し、接続点D、Mで室外機低圧ガス管34a、34bに流入する。そして、室外機低圧ガス管34a、34bに流入した低圧の冷媒は、接続点F、P、アキュムレータ27a、27bを介して圧縮機21a、21bに吸入されて再び圧縮される。
次に、図1および図2を用いて、本実施例の空気調和装置1において、本発明に関わる冷媒回路の動作やその作用・効果について説明する。まずは、第1室外膨張弁40a、40bおよび第2室外膨張弁41a、41bと、室内熱交換器81a〜81eとの間の液管32や液分管32a、32bおよび室外機液管35a、35b(以下、個別に言及する必要がある場合を除いて、これらをまとめて液管と記載する)に冷媒が滞留するときの冷媒回路の動作、および、冷媒温度センサ55a、55bで検出した冷媒温度と、冷媒温度センサ84a〜84eで検出した冷媒温度とを比較することによって、液管に冷媒が滞留しているか否かを判断できる理由について説明する。
空気調和装置1が図1に示すような冷媒回路で暖房運転を行っているとき、CPU110a、110bは、蒸発器として機能している第1室外熱交換器24a、24bや第2室外熱交換器25a、25bの冷媒出口における冷媒過熱度が、予め記憶部120a、120bに記憶されている目標冷媒過熱度となるように、第1室外膨張弁40a、40bや第2室外熱交換器41a、41bの開度を制御している。
上記のように暖房運転を行っているときに外気温度が高い(例えば、10℃以上)場合は、高圧、つまり、高圧センサ50a、50bで検出する吐出圧力が高くなって、圧縮機21a、21bで許容される吐出圧力の上限値を超える虞がある。このような場合、CPU110a、110bは、例えば、第1電磁弁42a、42bや第2電磁弁43a、43bを開いて、ホットガスバイパス管36a、36bや油戻し管37a、37bを冷媒あるいは冷凍機油が流れるようにして、高圧を低下させる制御を行う。
ホットガスバイパス管36a、36bや油戻し管37a、37bを冷媒あるいは冷凍機油が流れるようにすれば、高圧が低下するとともに低圧が上昇する。低圧が上昇すれば低圧飽和温度も上昇するので、第1室外熱交換器24a、24bや第2室外熱交換器25a、25bの冷媒出口における冷媒過熱度が小さくなって目標冷媒過熱度より小さくなる。
このとき、CPU110a、110bは、冷媒過熱度を目標冷媒過熱度まで上昇させるために、第1室外膨張弁40a、40bや第2室外熱交換器41a、41bの開度を小さくする。これにより、第1室外熱交換器24a、24bや第2室外熱交換器25a、25bに流れる冷媒量が減少するので低圧が低下して低圧飽和温度も低下する。また、第1室外熱交換器24a、24bや第2室外熱交換器25a、25bに流れる冷媒量が減少することによって、第1室外熱交換器24a、24bや第2室外熱交換器25a、25bの冷媒出口における冷媒温度(第1熱交温度センサ56a、56bや第2熱交温度センサ57a、57bで検出する冷媒温度)が上昇する。従って、冷媒過熱度が大きくなって目標冷媒過熱度まで上昇させることができる。
上記のように第1室外膨張弁40a、40bや第2室外熱交換器41a、41bの開度が小さくなれば、液管に、室内熱交換器81a〜81eで凝縮して室内熱交換器81a〜81eから流出した気液二相状態の冷媒が滞留する。ホットガスバイパス管36a、36bや油戻し管37a、37bを冷媒あるいは冷凍機油が流れるようにしている状態が長時間(例えば、10分以上)継続し、第1室外膨張弁40a、40bや第2室外熱交換器41a、41bの開度が小さい状態も継続すれば、液管内での冷媒圧力が上昇して滞留する気液二相状態の冷媒が凝縮して液冷媒となる。
第1室外膨張弁40a、40bや第2室外熱交換器41a、41bの開度が小さい状態がさらに続けば、液管内が液冷媒で充満し室内熱交換器81a〜81eにも液冷媒が滞留することとなって、室内熱交換器81a〜81eにおける凝縮能力が低下して暖房能力が不足する。このとき、液管内は液冷媒で充満しているので、冷媒温度センサ84a〜84eで検出する冷媒温度(以下、室内機側冷媒温度Tifと記載)と冷媒温度センサ55a、55bで検出する冷媒温度(以下、室外機側冷媒温度Toeと記載)との差温Δtが0となる。従って、室内機側冷媒温度Tifと室外機側冷媒温度Toeとを比較する(差温Δtを見る)ことによって、液管に液冷媒が滞留しているか否かを判断することができる。
次に、図1および図2を用いて、液管に冷媒が滞留しているか否かを判断しこの判断結果に応じて第1室外膨張弁40a、40bや第2室外膨張弁41a、41bの開度を制御する方法について、具体的に説明する。図2に示すフローチャートは、第1室外膨張弁40a、40bや第2室外膨張弁41a、41bの開度制御を行うときの処理の流れを示すものであり、STはステップを表しこれに続く数字はステップ番号を表している。尚、図2では本発明に関わる処理を中心に説明しており、使用者の指示した設定温度や風量等の運転条件に対応した冷媒回路の制御等といった、その他の一般的な処理については説明を省略する。
まず、CPU110a、110bは、室内機8a〜8eにおける使用者の要求する運転モードや運転能力を通信部130a、130bを介して室内機8a〜8eから取り込み、暖房運転もしくは暖房主体運転を行うか否かを判断する(ST1)。
暖房運転もしくは暖房主体運転を行う場合は(ST1−Yes)、CPU110a、110bは、各々の室外機2a、2bの第1三方弁22a、22bや第2三方弁23a、23bを切り換えて暖房運転もしくは暖房主体運転を行う。
具体的には、CPU110aは、第1三方弁22aをポートbとポートcとが連通するように切り換えるとともに、第2三方弁23aをポートeとポートfとが連通するように切り換える(図1に実線で示す状態)。これにより、第1室外熱交換器24aおよび第2室外熱交換器25aが蒸発器として機能する。そして、CPU110aは、圧縮機21aを要求される運転能力に応じた回転数で駆動するとともに、第1室外膨張弁40aの開度を第1室外熱交換器24aの冷媒出口における冷媒過熱度に応じた開度とし、第2室外膨張弁41aの開度を第2室外熱交換器25aの冷媒出口における冷媒過熱度に応じた開度とする。
同様に、CPU110bは、第1三方弁22bをポートhとポートjとが連通するように切り換えるとともに、第2三方弁23bをポートmとポートnとが連通するように切り換える(図1に実線で示す状態)。これにより、第1室外熱交換器24bおよび第2室外熱交換器25bが蒸発器として機能する。そして、CPU110bは、圧縮機21bを要求される運転能力に応じた回転数で駆動するとともに、第1室外膨張弁40bの開度を第1室外熱交換器24bの冷媒出口における冷媒過熱度に応じた開度とし、第2室外膨張弁41bの開度を第2室外熱交換器25bの冷媒出口における冷媒過熱度に応じた開度とする。
CPU110a、110bは、上記のように室外機2a、2bを制御して暖房運転もしくは暖房主体運転を実行する。尚、冷媒過熱度は、例えば、低圧センサ51a、51bで検出した圧力を用いて算出した低圧飽和温度と第1熱交温度センサ56a、56bや第2熱交温度センサ57a、57bで検出した冷媒温度とを用いて求めることができ、CPU110a、110bは、冷媒過熱度を定期的(例えば、30秒毎。低圧の変化による低圧飽和温度の変化時間に比べて、第1室外熱交換器24a、24bや第2室外熱交換器25a、25bでの冷媒の温度変化に時間がかかるため、比較的長めの時間間隔としている)に求め、求めた冷媒過熱度に応じて第1室外膨張弁40a、40bや第2室外膨張弁41a、41bの開度を決定する。
CPU110a、110bは、上述した暖房運転を行っているときに、冷媒温度センサ55a、55bで検出した室外機側冷媒温度Toeを取り込むとともに、冷媒温度センサ84a〜84eで検出した室内機側冷媒温度Tifを室内機8a〜8eから通信部130a、130bを介して取り込む(ST2)。
次に、CPU110a、110bは、冷媒滞留発生条件が成立しているか否かを判断する(ST3)。ここで、冷媒滞留発生条件とは、取り込んだ室外機側冷媒温度Toeと室内機側冷媒温度Tifとの差温Δtが所定温度(例えば、6℃)以下であるか否か、であり、差温Δtが6℃以下であれば、液管で液冷媒が滞留している虞があると考えられる条件である。尚、CPU110a、110bは、ST2からST3にかけての処理を定期的(例えば、5秒毎)に行っている。
冷媒滞留発生条件が成立している場合は(ST3−Yes)、CPU110a、110bは、他の室外機に冷媒滞留解消制御開始信号を送信し(ST4)、ST5に処理を進める。ここで、冷媒滞留解消制御開始信号とは、後述する冷媒滞留解消制御の実行を他の室外機に指示するものであり、例えば、室外機2aで冷媒滞留発生条件が成立している場合は、CPU110aが室外機2bに冷媒滞留解消制御開始信号を送信する。
一方、冷媒滞留発生条件が成立していない場合は(ST3−No)、CPU110a、110bは、他の室外機から冷媒滞留解消制御開始信号を受信したか否かを判断する(ST9)。例えば、上述した室外機2aで冷媒滞留発生条件が成立している場合は、CPU110bは室外機2aから冷媒滞留解消制御開始信号を受信したか否かを判断する。
滞留解消制御開始信号を受信していなければ(ST9−No)、CPU110bは、通常の第1室外膨張弁40bおよび第2室外膨張弁41bの開度制御(第1室外熱交換器24bおよび第2室外熱交換器25bの冷媒出口における冷媒過熱度に応じた開度制御)を行い(ST13)、ST1に処理を戻す。滞留解消制御開始信号を受信していれば(ST9−Yes)、CPU110a、110bは、ST5に処理を進める。
ST5において、CPU110a、110bは、第1室外膨張弁40a、40bおよび第2室外膨張弁41a、41bの開度を所定の変化量以上で大きくして冷媒滞留解消制御を実行する(ST5)。ここで、所定の変化量とは、第1室外膨張弁40a、40bおよび第2室外膨張弁41a、41bの開度を、液管に滞留する液冷媒が大量に第1室外熱交換器24a、24bや第2室外熱交換器25a、25bの方に流れて圧縮機21a、21bにまで流入する所謂液バックが発生しない程度の、所定の割合で大きくしていくことを示し、例えば、30秒毎に、第1室外膨張弁40a、40bおよび第2室外膨張弁41a、41bに与えるパルス数を2パルスずつ増加させる、というものである。
上述した上記冷媒滞留解消制御において、第1室外膨張弁40a、40bおよび第2室外膨張弁41a、41bの開度を大きくする割合を所定の変化量「以上」としているのは、次の理由による。CPU110a、110bは、冷媒滞留解消制御を行っているときも、これと併せて第1室外膨張弁40a、40bおよび第2室外膨張弁41a、41bの開度の冷媒過熱度による制御を行っている。従って、求めた冷媒過熱度に応じた開度制御で、第1室外膨張弁40a、40bおよび第2室外膨張弁41a、41bに与えるパルス数を2パルス以上増加させる場合は、これに従って第1室外膨張弁40a、40bおよび第2室外膨張弁41a、41bの開度を大きくする。
また、求めた冷媒過熱度に応じた開度制御で、第1室外膨張弁40a、40bおよび第2室外膨張弁41a、41bに与えるパルス数を1パルス増加あるいはパルス数を減少させる場合は、液管での液冷媒滞留の解消が遅れるもしくは液冷媒滞留が進むので、前述したように冷媒滞留解消制御を優先し第1室外膨張弁40a、40bおよび第2室外膨張弁41a、41bに与えるパルス数を30秒毎に2パルスずつ増加させる。
尚、上記説明では、第1室外膨張弁40a、40bおよび第2室外膨張弁41a、41bの開度変化量について、冷媒過熱度に応じて決定される開度変化量と冷媒滞留解消制御による所定の変化量との比較によって決定する場合を説明したが、第1室外膨張弁40a、40bおよび第2室外膨張弁41a、41bの開度変化量を、吐出温度センサ53a、53bで検出した圧縮機21a、21bの吐出温度に応じて決定している場合も、同様に冷媒滞留解消制御による所定の変化量との比較によって決定する。
具体的には、CPU110a、110bは、吐出温度センサ53a、53bで検出した吐出温度が、圧縮機21a、21bで定められた吐出温度の上限値を超える場合は、第1室外膨張弁40a、40bおよび第2室外膨張弁41a、41bの開度を大きくして圧縮機21a、21bに吸入される冷媒量を増やすことによって、吐出温度を下げる制御を行う。
従って、検出した吐出温度に応じた開度制御で、第1室外膨張弁40a、40bおよび第2室外膨張弁41a、41bに与えるパルス数を2パルス以上増加させる場合は、これに従って第1室外膨張弁40a、40bおよび第2室外膨張弁41a、41bの開度を大きくする。また、検出した吐出温度に応じた開度制御で、第1室外膨張弁40a、40bおよび第2室外膨張弁41a、41bに与えるパルス数を1パルス増加あるいはパルス数を減少させる場合は、液管での液冷媒滞留の解消が遅れるもしくは液冷媒滞留が進むので、冷媒滞留解消制御を優先し第1室外膨張弁40a、40bおよび第2室外膨張弁41a、41bに与えるパルス数を30秒毎に2パルスずつ増加させる。
以上のように第1室外膨張弁40a、40bおよび第2室外膨張弁41a、41bの開度を制御することによって、液管に滞留している液冷媒は第1室外膨張弁40a、40bおよび第2室外膨張弁41a、41bを通過して第1室外熱交換器24a、24bおよび第2室内熱交換器25a、25bに流れ、第1三方弁22a、22bおよび第2三方弁23a、23bを介してアキュムレータ27a、27bに流入する。これにより、液管での液冷媒滞留が解消される。
次に、CPU110a、110bは、冷媒滞留解消条件が成立しているか否かを判断する(ST6)。ここで、冷媒滞留解消条件とは、取り込んだ室外機側冷媒温度Toeと室内機側冷媒温度Tifとの差温Δtが所定温度(例えば、6℃)より大きいか否か、であり、差温Δtが6℃より大きければ、液管での液冷媒滞留が解消していると考えられる条件である。冷媒滞留解消条件が成立していなければ(ST6−No)、CPU110a、110bは、ST1に処理を戻し、冷媒滞留解消条件が成立していれば(ST6−Yes)、CPU110a、110bは、冷媒滞留解消制御を停止し(ST7)、ST8に処理を進める。
ST8において、CPU110a、110bは、全ての室内機8a〜8eが運転を停止することによって、室外機2a、2bの運転を終了する必要があるか否かを判断する。運転を終了する必要があれば(ST8−Yes)、CPU110a、110bは、圧縮機21a、21bを停止するとともに、第1室外膨張弁40a、40bおよび第2室外膨張弁41a、41bを全閉として、処理を終了する。運転を終了する必要がなければ(ST8―No)、CPU110a、110bは、ST1に処理を戻す。
尚、ST1において、暖房運転もしくは暖房主体運転を行わない場合は(ST1−No)、CPU110a、110bは、冷媒滞留解消制御を実行中であるか否かを判断する(ST10)。この判断は、例えば、暖房運転あるいは暖房主体運転を行っている状態から冷房運転あるいは冷房主体運転を行うよう切り換える際に必要となる判断である。冷媒滞留解消制御を実行中でない場合は(ST10−No)、CPU110a、110bは、ST12に処理を進める。冷媒滞留解消制御を実行中である場合は(ST10−Yes)、CPU110a、110bは、冷媒滞留解消制御を停止して(ST11)、ST12に処理を進める。
ST12において、CPU110a、110bは、各々の室外機2a、2bの第1三方弁22a、22bや第2三方弁23a、23bを切り換えて冷房運転もしくは冷房主体運転を行う。具体的には、CPU110aは、第1三方弁22aをポートaとポートbとが連通するように切り換えるとともに、第2三方弁23aをポートdとポートeとが連通するように切り換える(図1に破線で示す状態)。これにより、第1室外熱交換器24aおよび第2室外熱交換器25aが凝縮器として機能する。そして、CPU110aは、圧縮機21aを要求される運転能力に応じた回転数で駆動するとともに、第1室外膨張弁40aの開度を全開もしくは第1室外熱交換器24aの冷媒出口における冷媒過冷却度に応じた開度とし、第2室外膨張弁41aの開度を全開もしくは第2室外熱交換器25aの冷媒出口における冷媒過冷却度に応じた開度とする。
同様に、CPU110bは、第1三方弁22bをポートgとポートhとが連通するように切り換えるとともに、第2三方弁23bをポートkとポートmとが連通するように切り換える(図1に破線で示す状態)。これにより、第1室外熱交換器24bおよび第2室外熱交換器25bが凝縮器として機能する。そして、CPU110bは、圧縮機21bを要求される運転能力に応じた回転数で駆動するとともに、第1室外膨張弁40bの開度を全開もしくは第1室外熱交換器24bの冷媒出口における冷媒過冷却度に応じた開度とし、第2室外膨張弁41bの開度を全開もしくは第2室外熱交換器25bの冷媒出口における冷媒過冷却度に応じた開度とする。
CPU110a、110bは、上記のように室外機2a、2bを制御して冷房運転もしくは冷房主体運転を実行し、ST1に処理を戻す。尚、冷媒過冷却度は、例えば、高圧センサ50a、50bで検出した圧力を用いて算出した高圧飽和温度と冷媒温度センサ55a、55bで検出した冷媒温度とを用いて求めることができ、CPU110a、110bは、冷媒過冷却度を定期的(例えば、30秒毎)に求めて第1室外膨張弁40a、40bや第2室外膨張弁41a、41bの開度を調整する。
以上説明したように、本発明の空気調和装置によれば、室外熱交換器を蒸発器として機能させる、すなわち、暖房運転や暖房主体運転を行っているときに、検出した室外機側冷媒温度と室内機側冷媒温度とを比較することによって液管に液冷媒が滞留しているか否かを判断し、液管に液冷媒が滞留していると判断すれば、液管に備えられた流量調整手段の開度を所定の変化量で大きくすることで、液管に滞留している液冷媒を室外熱交換器側に流すことができる。これにより、液管に液冷媒が充満することによって室内熱交換器で凝縮能力が低下することを防ぎ、暖房運転を行っている室内機での暖房能力不足を抑制することができる。
以上説明した実施例では、2台の室外機に高圧ガス管、低圧ガス管および液管で5台の室内機が並列接続されて冷暖房フリー運転を行うことができる空気調和装置を例に挙げて説明したが、少なくとも1台の室外機に複数の室内機がガス管と液管とで並列接続されて全ての室内機で同時に冷房運転または暖房運転を行えるマルチ型空気調和装置にも適用することができる。