JP6051985B2 - 軸受部材及び軸受用鋼 - Google Patents
軸受部材及び軸受用鋼 Download PDFInfo
- Publication number
- JP6051985B2 JP6051985B2 JP2013054972A JP2013054972A JP6051985B2 JP 6051985 B2 JP6051985 B2 JP 6051985B2 JP 2013054972 A JP2013054972 A JP 2013054972A JP 2013054972 A JP2013054972 A JP 2013054972A JP 6051985 B2 JP6051985 B2 JP 6051985B2
- Authority
- JP
- Japan
- Prior art keywords
- mns
- formula
- steel
- content
- bearing
- Prior art date
- Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
- Expired - Fee Related
Links
Landscapes
- Rolling Contact Bearings (AREA)
Description
質量%で、C:0.70%〜1.10%、Si:0.01%〜2.00%、Mn:0.03%〜0.20%、S:0.015%〜0.048%、Cr:0.01〜2.00%、Al:0.001〜0.050%を含有すると共に、式1及び式2を満足し、
式1:90S+2C+5√Mn<7.5、
式2:1.5<Mn/S<13.4、
(式1及び式2中における元素記号は、当該元素の含有量(質量%)の値を意味する)
残部がFeおよび不可避不純物からなる軸受用鋼からなり、
上記転動面直下の位置において当該転動面に平行な断面を観察した場合に、10mm2の観察面内に存在するMnSのうち、円相当径が10μm以上のMnSが5個以下であることを特徴とする軸受部材にある(請求項1)。
式1:90S+2C+5√Mn<7.5、
式2:1.5<Mn/S<13.4、
(式1及び式2中における元素記号は、当該元素の含有量(質量%)の値を意味する)
残部がFeおよび不可避不純物からなることを特徴とする軸受用鋼にある(請求項5)。
C:0.70%〜1.10%、
C(炭素)は、転動疲労寿命特性を向上させるために必須の元素である。Cの含有によって、焼入れ及び焼戻しを行なった後の硬度を向上させることができる。Cの含有量が上記上限値よりも多い場合には、球状化焼鈍後の硬さが高くなり過ぎて切削性が悪化するおそれがある。一方、Cの含有量が上記下限値よりも少ない場合には、C含有による効果が十分に得られないおそれがある。
Si(ケイ素)は、製鋼時の脱酸材として不可欠な元素である。Siの含有により、焼入れ性を向上させることができる。Siの含有量が上記上限値よりも多い場合には、球状化焼鈍後の硬さが高くなり過ぎて切削性が悪化するおそれがある。一方、Siの含有量が上記下限値よりも低い場合には、Si含有による効果が十分に得られないおそれがある。
Mn(マンガン)は、焼入れ性向上に有効であると共に、Sと結合しMnSを生成し被削性の向上を図るために有効な元素である。Mn含有量が上記上限値よりも多い場合には、MnSが粗大化しやすく転動疲労寿命特性が低下するおそれがある。一方、Mn含有量が上記下限値よりも低い場合には、FeSが生成し、熱間加工性が低下するおそれがある。
S(硫黄)は、Mnと結合しMnSを生成し、被削性を向上させる効果を有する。S含有量が上記上限値よりも高い場合には、MnSが粗大化しやすく転動疲労寿命特性が低下するおそれがある。一方、S含有量が上記下限値よりも低い場合には、S含有による効果が十分に得られないおそれがある。好ましくは、S含有量は、0.026%以上とするのがよい。
Cr(クロム)は、炭化物を安定化させると共に、焼入れ性を高める効果を発揮する。Cr含有量が上記上限値よりも多い場合には、鋳造時に粗大な炭化物が生成しやすくなる。一方、Cr含有量が上記下限値よりも低い場合には、Cr含有による効果が十分に得られないおそれがある。
Al(アルミニウム)は、脱酸材として必要な元素である。Al含有量が上記上限値よりも多い場合には、酸化物系介在物が生成しやすいという問題がある。一方、Al含有量が上記下限値よりも少ない場合には、Alによる脱酸効果が十分に得られないおそれがある。
式1における各元素記号は、当該元素の含有量(質量%)の値を意味するものである。この式1が満たされることによって、粗大なMnSの生成を抑制し、生成されるMnSを微細化することができ、一方、式1が満たされない場合には、粗大なMnSが生成されやすくなり、転動疲労寿命特性が低下するおそれがある。
式2における各元素記号は、当該元素の含有量(質量%)の値を意味するものである。この式2が満たされることにより、優れた被削性と熱間加工性を得ることができる。一方、Mn/Sが13.4以上の場合には、微細MnSの生成量が少なくなり、被削性向上効果が低下し、Mn/Sが1.5以下の場合には、FeSが生成することによる熱間加工性が低下し、割れが発生しやすくなるおそれがある。
B(ホウ素)は、鋼中に固溶することで焼入れ性を高めることができる元素であり、上記下限値以上の添加によりこの効果を得ることができる。一方、B添加量が上記上限値を超える場合には、靱性低下の可能性があり、好ましくない。
Ti(チタン)は、Nと結合してTiNを形成し、BNの生成を抑制することができ、Bを固溶状態にすることで焼入れ性を高めることができる元素であり、上記下限値以上の添加によりこの効果を得ることができる。一方、Ti含有量が上記上限値を超えるとTi含有による上記効果が飽和し、コストが上昇するだけとなる。
Nb(ニオブ)は、微細な炭化物を生成し、焼入れ時のオーステナイト粒を微細化し、靭性を向上させる効果を発揮する元素であり、上記下限値以上の添加によりこの効果を得ることができる。一方、Nb含有量が上記上限値を超えるとNb含有による上記効果が飽和し、コストが上昇するだけとなる。
V(バナジウム)も、微細な炭化物を生成し、焼入れ時のオーステナイトト粒を微細化し、靭性を向上させる効果を発揮する元素であり、上記下限値以上の添加によりこの効果を得ることができる。一方、V含有量が上記上限値を超えるとV含有による上記効果が飽和し、コストが上昇するだけとなる。
Mo(モリブデン)は、焼入れ性を高める元素であり、上記下限値以上の添加によりこの効果を得ることができる。一方、Mo含有量が上記上限値を超えるとMo含有による上記効果が飽和し、コストが上昇するだけとなる。
熱間加工性試験に用いる試験片は次のように作製した。まず、各試料の原料の溶解、精錬及び鋳込みをVIM(Vacuum Induction Melting:真空誘導溶解装置)を用いて行い、30kgの鋼塊を得た。この鋼塊の表層から試験片を切り出した。試験片は、直径10mmφ×長さ120mmの丸棒形状とした。
被削性試験に用いる試験片は次のように作製した。まず、各試料の原料の溶解、精錬及び鋳込みをVIMを用いて行い、30kgの鋼塊を得た。この鋼塊に熱間鍛造を施し、直径65mmφの丸棒を得た。この丸棒に、球状化焼鈍処理を施した後、切削加工を施して、直径60mmφ×長さ390mmの試験片を得た。
転動疲労寿命特性試験に用いる試験片は次のように作製した。まず、各試料の原料の溶解、精錬及び鋳込みをVIMを用いて行って、30kgの鋼塊を得た。この鋼塊に熱間鍛造を施し、一辺の長さLが65mmの断面正方形の角棒1を得た。この角棒1に、球状化焼鈍処理を施した後、粗切削加工を施し、焼入れ・焼戻し処理を施した後、仕上げ切削加工を施して、直径45mmφ×厚さ12mmの円盤状試験片2を得た。円盤状試験片2の採取位置は、図2に示すごとく、上記角棒1の一辺の長さLが65mmの正方形断面において、表面から1/4Lの位置が円形の試験面となるように、幅方向中央部(1/2L)が中心となる円盤状に切り出して採取した。なお、上記焼入れ・焼戻し処理の焼入れは、上記角棒1を粗切削加工した被処理材を840℃に加熱して35分保持した後、油冷する条件で行った。また、焼戻しは、上記被処理材を170℃に加熱して90分保持した後、空冷する条件で行った。
MnS観察用の試料は、上述した転動疲労寿命特性試験の場合と同様に作製した円盤状試験片2を用いた、MnSの観察面は、円盤状試験片2の表面を鏡面研磨して形成した。
試料12は、C含有量が低すぎることにより、硬度向上効果が十分に得られず、転動疲労寿命特性が劣る結果となった。
試料14は、Mn含有量が低すぎることにより、式2を満足せず、FeS生成に起因すると考えられる熱間加工性の低下が生じた。
試料16は、S含有量が低すぎることにより、式2を満足せず、MnSの総数が少なくなりすぎ、被削性が劣る結果となった。
試料18は、Al含有量が高すぎることにより、介在物増加に起因すると考えられる転動疲労寿命特性の低下が生じた。
2 転動疲労寿命特性用試験片
Claims (8)
- 対向する部材を接触させて転動させる転動面を有する軸受部材であって、
質量%で、C:0.70%〜1.10%、Si:0.01%〜2.00%、Mn:0.03%〜0.20%、S:0.015%〜0.048%、Cr:0.01〜2.00%、Al:0.001〜0.050%を含有すると共に、式1及び式2を満足し、
式1:90S+2C+5√Mn<7.5、
式2:1.5<Mn/S<13.4、
(式1及び式2中における元素記号は、当該元素の含有量(質量%)の値を意味する)
残部がFeおよび不可避不純物からなる軸受用鋼からなり、
上記転動面直下の位置において当該転動面に平行な断面を観察した場合に、10mm2の観察面内に存在するMnSのうち、円相当径が10μm以上のMnSが5個以下であることを特徴とする軸受部材。 - 請求項1に記載の軸受部材において、上記軸受用鋼は、上記残部のFe及び不可避不純物の一部に代えて、更に、質量%で、B:0.0005%〜0.0050%、及びTi:0.01%〜0.20%を含有することを特徴とする軸受部材。
- 請求項1又は2に記載の軸受部材において、上記軸受用鋼は、上記残部のFe及び不可避不純物の一部に代えて、更に、質量%で、Nb:0.01%〜1.00%と、V:0.01%〜1.00%の少なくとも一方を含有することを特徴とする軸受部材。
- 請求項1〜3のいずれか1項に記載の軸受部材において、上記軸受用鋼は、上記残部のFe及び不可避不純物の一部に代えて、更に、質量%で、Mo:0.01%〜1.00%を含有することを特徴とする軸受部材。
- 質量%で、C:0.70%〜1.10%、Si:0.01%〜2.00%、Mn:0.03%〜0.20%、S:0.015%〜0.048%、Cr:0.01〜2.00%、Al:0.001〜0.050%を含有すると共に、式1及び式2を満足し、
式1:90S+2C+5√Mn<7.5、
式2:1.5<Mn/S<13.4、
(式1及び式2中における元素記号は、当該元素の含有量(質量%)の値を意味する)
残部がFeおよび不可避不純物からなることを特徴とする軸受用鋼。 - 請求項5に記載の軸受用鋼において、上記残部のFe及び不可避不純物の一部に代えて、更に、質量%で、B:0.0005%〜0.0050%、及びTi:0.01%〜0.20%を含有することを特徴とする軸受用鋼。
- 請求項5又は6に記載の軸受用鋼において、上記残部のFe及び不可避不純物の一部に代えて、更に、質量%で、Nb:0.01%〜1.00%と、V:0.01%〜1.00%の少なくとも一方を含有することを特徴とする軸受用鋼。
- 請求項5〜7のいずれか1項に記載の軸受用鋼において、上記残部のFe及び不可避不純物の一部に代えて、更に、質量%で、Mo:0.01%〜1.00%を含有することを特徴とする軸受用鋼。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2013054972A JP6051985B2 (ja) | 2013-03-18 | 2013-03-18 | 軸受部材及び軸受用鋼 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2013054972A JP6051985B2 (ja) | 2013-03-18 | 2013-03-18 | 軸受部材及び軸受用鋼 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2014181358A JP2014181358A (ja) | 2014-09-29 |
JP6051985B2 true JP6051985B2 (ja) | 2016-12-27 |
Family
ID=51700374
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2013054972A Expired - Fee Related JP6051985B2 (ja) | 2013-03-18 | 2013-03-18 | 軸受部材及び軸受用鋼 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP6051985B2 (ja) |
Families Citing this family (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP6350156B2 (ja) * | 2014-09-12 | 2018-07-04 | 愛知製鋼株式会社 | クランクシャフト及びクランクシャフト鋼材 |
Family Cites Families (3)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JPS4812288B1 (ja) * | 1969-06-21 | 1973-04-19 | ||
JPS4926167B1 (ja) * | 1970-04-04 | 1974-07-06 | ||
JPH05255810A (ja) * | 1991-03-05 | 1993-10-05 | Aichi Steel Works Ltd | 軸受用鋼 |
-
2013
- 2013-03-18 JP JP2013054972A patent/JP6051985B2/ja not_active Expired - Fee Related
Also Published As
Publication number | Publication date |
---|---|
JP2014181358A (ja) | 2014-09-29 |
Similar Documents
Publication | Publication Date | Title |
---|---|---|
JP5135918B2 (ja) | マルテンサイト系快削ステンレス鋼 | |
JP6474348B2 (ja) | 高速度工具鋼およびその製造方法 | |
KR100740414B1 (ko) | 재질 이방성이 작고 강도, 인성 및 피삭성이 우수한비조질 강 및 그의 제조 방법 | |
JP7417091B2 (ja) | 鋼材 | |
JP6760378B2 (ja) | 機械構造用鋼 | |
JP6760375B2 (ja) | 機械構造用鋼 | |
JP5260460B2 (ja) | 肌焼鋼部品およびその製造方法 | |
JP6529234B2 (ja) | 高い靭性と軟化抵抗性を有する高速度工具鋼 | |
JP6729686B2 (ja) | 高周波焼入れ用非調質鋼 | |
JP6620490B2 (ja) | 時効硬化性鋼 | |
US9890435B2 (en) | Cold work tool material and method of manufacturing cold work tool | |
JP6465959B2 (ja) | 時効硬化性鋼及び時効硬化性鋼を用いた部品の製造方法 | |
JP6477382B2 (ja) | 快削鋼 | |
JP6051985B2 (ja) | 軸受部材及び軸受用鋼 | |
JP5576895B2 (ja) | 工具寿命に優れたbn快削鋼 | |
JP6477383B2 (ja) | 快削鋼 | |
JP6237186B2 (ja) | 被削性と転動疲労寿命特性に優れる機械構造用鋼 | |
JP2011080100A (ja) | 機械構造用鋼およびその製造方法 | |
JP5314509B2 (ja) | 機械構造用鋼 | |
JP5837837B2 (ja) | 工具寿命に優れた硬度が300hv10以上の高硬度bn系快削鋼 | |
JP5768757B2 (ja) | 機械構造用鋼 | |
JP2016222985A (ja) | 高周波焼入れ用非調質鋼 | |
JP4687617B2 (ja) | 機械構造用鋼材 | |
JP6350156B2 (ja) | クランクシャフト及びクランクシャフト鋼材 | |
JP6299321B2 (ja) | 被削性と疲労強度に優れ、硬さばらつきの小さい省v型熱間鍛造非調質部品及びその製造方法 |
Legal Events
Date | Code | Title | Description |
---|---|---|---|
A621 | Written request for application examination |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621 Effective date: 20151109 |
|
A977 | Report on retrieval |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007 Effective date: 20160930 |
|
TRDD | Decision of grant or rejection written | ||
A01 | Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model) |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01 Effective date: 20161101 |
|
A61 | First payment of annual fees (during grant procedure) |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61 Effective date: 20161114 |
|
R150 | Certificate of patent or registration of utility model |
Ref document number: 6051985 Country of ref document: JP Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150 |
|
R250 | Receipt of annual fees |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250 |
|
LAPS | Cancellation because of no payment of annual fees |