JP6050252B2 - 薬物送達技術 - Google Patents

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Description

本発明は、新規な薬物送達技術に関する。より詳細には、本発明は、例えば、固形薬物針又はインプラントの形態の固形薬剤の皮膚を通る通過を容易にするために皮膚を予め切開することによって固形薬剤を皮膚に通して送達する方法に関する。本発明はまた、固形薬剤を送達するための固形用量注入器具に関し、この器具は、作動手段、及び固形薬剤が所望の深さまで皮膚により容易に通過するよう皮膚の外層を破壊する刃を備えている。本発明はまた、再使用可能な作動装置、及び固形薬剤及び刃を含む使い捨てカセットアセンブリを備える注入器具;及び作動装置と共に使用されるカセットに関する。
治療化合物の1つの投与経路は、皮膚を通る。皮膚は、他の標準的な送達経路、例えば、経口又は肺送達と比較して、より効率的な治療化合物の送達経路の1つでもある。
固形薬剤/インプラントの形態の治療化合物は、欧州特許第0139286号明細書(Sumitomo Chemical Co Limited)に開示されているような中空針及びトロカール器具によって皮膚を通して投与される。しかしながら、この器具は、訓練を受けた医療従事者によって使用されるように設計されており、定期的な使用又は自己投与には明らかに適していない。加えて、この特許文献の図面から分かるように、トロカールを使用して針の先端部の先に薬剤が押し出される前に針が組織深くに刺入される。
また、Ipsenによる米国特許第7,798,988号明細書も、組織深くに刺入される針及びトロカール送達システムを開示している。この実施形態では、トロカールは、このトロカールを針の先端部の先まで押すのではなく、トロカールがしっかりと保持された状態で針を抜去して、組織の所定の位置に固形薬剤を残置する。
最近、かなりの研究が、液体薬物及び固形薬物の両方に用いられる最新式無針注入システムの開発に重点を置いている。例えば、固形薬物は、粉末ジェットシステムで良好に送達され、この粉末ジェットシステムは、圧縮ガス源を使用して、粉末薬物が皮膚の外層を通過することができる速度まで粉末薬物を加速させる。このシステムは、典型的には、直径が100マイクロン未満の粉末薬物粒子を使用し、ヒト皮膚組織を通過するために1秒当たり数百メートルの速度を必要とする。
また過去に、治療化合物の固形ロッド又は細片(splinter)を、比較的低い速度で、針を必要とすることなく皮膚の中に押し込むことができることが示されている。
米国特許第5,542,920号明細書、同第6,117,443号明細書、及び同第6,120,786号明細書(Cherif Cheikh)は全て、固形薬剤を投与する無針非経口導入器具を開示している。薬剤は、皮膚を通過するのに十分な構造的完全性を有する尖った先端部を備えた固形針の形態に形成される。
同様に、米国特許第6,102,896号明細書(Roser)は、主に、固形薬物針を注入する使い捨て注入器具に関する。
また本出願者は、国際出願PCT/EP02/10394号明細書及び国際公開第2004/014468号パンフレットに十分に説明されている無針固形薬物送達装置も開発した。これらの出願の内容は、参照により本明細書に組み入れられるものとする。
本願の名称で最近出願された国際公開第2006/082439号パンフレットは、刃、例えば、針又はランセットとすることができる皮膚刺入要素を有する器具を開示している。しかしながら、刃は、従来の方式で使用される、即ち皮膚に刺入して液体を注入する、又は血液サンプルを採取する。この出願は、発射体の形態である皮膚刺入要素を有する無針固形薬物注入器具の形態の代替の実施形態も開示し、この発射体は、この器具から押し出されて皮膚に刺入され、そのすぐ後ろに続く固形薬剤のための経路を形成する。
従来の無針固形薬物注入システムは、固形薬物ロッド又は固形薬物針を使用するものを含め、固形薬剤を、皮膚の硬い外層を破壊するのに十分な速度に推進する必要があり、従って、固形薬剤は、最初の皮膚への刺入を達成するのに必要な力に耐えるように十分に強固でなければならない。異なる皮膚の位置(腕、胃、腿など)及び皮膚の種類(男性/女性、小児/成人/老人、アフリカ系黒人/白人/アジア人など)に刺入できる十分に強固な製剤にすることは、開発及び商業規模での製造の両面で困難であろう。
無針固形薬物注入器具の開発の主な動機の1つは、針を使用した薬剤の注入に関連した痛み及び/又は恐怖を緩和したいという願いである。従って、この分野の研究は、針を使用することなく固形薬剤の送達を可能にする器具の開発に焦点を当てている。
ここで、本発明者らは、固形薬剤がより容易に皮膚を通過できるようにするために、固形薬剤を切開部から体内に押し込む前に、皮膚の硬い外層に浅い切開部を形成することが有利であろうと判断した。この切開部は、皮膚の非常に浅い位置であり得、固形薬剤がなお、下層の組織を通る経路を形成する必要があり得るが、主な障壁、即ち皮膚の外層を通る固形薬剤の通過は、固形薬剤が押し込まれる前の皮膚の破壊によって容易になっている。このような浅い切開部の使用は、感覚が僅かであるはずであるため使用者が許容し得ると考えられる。
本発明の第1の態様によると、少なくとも1つの固形薬剤注入物を送達する方法が提供され、この方法は、(i)所定の深さの切開部が皮膚に形成されるように皮膚の外層を刃で切開するステップ、及び(ii)固形薬剤を、刃によって形成された切開部を介して体内に押し込むステップであって、固形薬剤が体内の所定の深さに配置されるように、固形薬剤を切開部から制御された方法で押し込む、ステップを含む。
有利なことに、刃が体内に刺入されて切開部が形成されても、この刃は、固形薬剤が体内に押し込まれる間、所定の位置に維持される。このようにして、刃は、固形薬剤の正確な配置を容易にするガイドとして機能し、固形薬剤が、刃の長さに沿って押される、又は皮下針が切開部の形成に使用される場合は、針の内腔を介して押される。或いは、固形薬剤が挿入される前に刃を引き戻すこともできる。しかしながら、これは、固形薬剤の切開部への刺入をより困難にする可能性があるため、あまり好ましい選択肢ではない。
本発明の方法は、手動及び自動の両方の刃の刺入を含む。従って、この方法は、刃を備えた固形用量注入器具を利用することができ、この刃は、器具が作動されて、自動的に固形薬剤が器具から押し出されて、刃によって形成された切開部に注入される前に、使用者によって所定の深さまで皮膚に押し込まれる。従って、本発明は、固形用量注入の方式でヒト又は動物に治療化合物を送達する方法を提供し、この方法は:ケーシング;力を発生させることができる作動機構、刃、固形薬剤;及び前記固形薬剤を押し込む手段を備える注入器具を用意するステップを含み;刃が、皮膚の所定の深さまで刺入され、この刃の刺入後に、器具が作動されて、力を発生させることができる作動機構が押し込む手段に作用して、固形薬剤がケーシングから押し出されてヒト又は動物の体内に注入される。
しかしながら、特に注入が医療従事者によって行われる場合は、刃の所定の深さへの手動の刺入は、本発明の実施において明らかに実現可能であるが、特に注入が自己で行われる場合は、刃及び固形薬剤の両方の自動刺入を取り入れた方法及び注入器具が有利であり得る。
従って、本発明はまた、固形用量注入の方式でヒト又は動物に治療化合物を送達する方法を提供し、この方法は:開口を有するケーシング、及び力を発生させることができる作動機構、刃、固形薬剤、及び前記刃及び前記固形薬剤を押し込む手段を備える注入器具を用意するステップ;器具の開口をヒト又は動物の皮膚に近接又は接触するように配置するステップ;器具を作動させるステップであって、器具の作動時に、力を発生させることができる機構が押し込む手段に作用して、刃が開口から押し出されるステップ;ヒト又は動物の皮膚に所定の深さまで刃を刺入するステップであって、皮膚刺入後も、押し込む手段が固形薬剤を押し続けて、固形薬剤が開口から押し出されてヒト又は動物の体内に注入されるステップを含む。
本発明者らは、最大4mmの切開深さが、固形薬剤の皮膚へのより容易な刺入を可能にする開口の形成にとって十分であることがわかった。しかしながら、約3mmの切開で十分であり、約2mm未満でも適切であり得ると考えられる。従って、切開は、4mm以下の深さとすることができるが、3mm未満、又は2mm未満、又は約2〜3mmとしても良い。必要な切開の正確な深さは、皮膚の硬い外層の厚みが体の異なる位置で様々であるため、選択される注入部位によって決まる。好ましくは、2mm〜4mmの深さの切開が使用される。
特に、固形製剤が、それ自体で組織に刺入できるほど十分に強くない場合は、組織のより深く固形製剤の刺入を容易にするために、最大10mmの深さの切開を使用することができる。
上記説明したように、本発明は、刃の手動刺入又は自動刺入用の何れかに構成された器具を含む。従って、固形薬物注入器具は、この器具が作動されて固形薬剤がこの器具から自動的に押し出されて刃によって形成された切開部に注入される前に、使用者によって皮膚の所定の深さまで押し込まれる刃を備えることができる。従って、本発明、固形用量注入器具を提供し、この器具は:
(i)ケーシング、
(ii)力を発生させることができる作動機構、
(iii)刃、
(iv)固形薬剤;及び
(v)固形薬剤を押し込む手段を備え;
この器具は、使用者が皮膚に刃を押し込んで皮膚の所定の深さまで刺入され得るように構成されており、皮膚への刺入後に、力を発生させることができる作動機構が押し込む手段に作用して、固形薬剤がケーシングから押し出されてヒト又は動物の体内に注入される。
固形薬物送達方法及び装置の近年の研究の主な動機の1つは、針の使用を回避することであった。従って、本発明の文脈において、どの装置も方法も、使用前には患者に見えない刃を使用することが好ましい。従って、刃は、ケーシング内に保持され、注入時にケーシングから押し出すことができ、従って、刃は、ケーシング内に摺動可能に取り付けられるのが好ましい。或いは、刃は、ケーシング内に固着し、シュラウド又はカバー、又は同様の遮蔽機構によって見えないようにすることができる。例えば、器具の先端部が皮膚に押圧されるときに、シュラウドが押し戻されて、刃が皮膚に押し込まれる。
従って、刃を手動で挿入するように構成された器具は、シュラウド又はカバーによって隠された刃を備えることができ、注入器具が皮膚に押圧されるときに、シュラウドが押し戻され、刃が皮膚に刺入する。
或いは、器具は、刃がシュラウド又はカバーによって隠されるように構成されており、器具が皮膚に押圧されるときに、スナップ手段又はトリガが、シュラウドを解放し、結果として生じる皮膚に対する圧力が、刃を皮膚に押し込み、続いて、固形薬剤を皮膚に注入する。この機構は、確実に刃が固形薬剤の前に刺入され、かつ使用者が、針を刺入できるほど十分に強いが固形薬剤を注入するのに十分な力が持続しない押圧によって「不十分な注入」を行えないように設計することが困難であろう。
しかしながら、特に注入が自己で行われる場合は、刃及び固形薬剤の両方の自動挿入を取り入れた注入器具が有利であり得る。従って、更なる態様では、本発明は、固形用量注入器具を提供し、この器具は:
(i)ケーシング、
(ii)力を発生させることができる作動機構、
(iii)刃、
(iv)固形薬剤;及び
(v)前記刃と前記固形薬剤を押し込む手段を備え;
この器具の作動時に、力を発生させることができる作動機構が押し込む手段に作用して、刃が、ケーシングから押し出されてヒト又は動物の体の皮膚に所定の深さまで刺入し、この皮膚への刺入後も、押し込む手段が固形薬剤を押し続けて、この固形薬剤がケーシングから押し出されてヒト又は動物の体内に注入される。
挿入後に、刃は、皮膚から引き戻される。従って、器具は、刃を引き戻す機構を備えることができ、この機構が自動機構であると有利である。自動機構は、注入プロセスの最後で刃及びエジェクタピン(押し込む手段)をカセット(ケーシング)内に引き込む螺旋ばねとすることができる。刃が、皮膚から手動で引き戻される場合は、刃が刺さる危険が生じないように刃を自動的に覆う、又は隠すことが好ましい。
有利なことに、器具は、使用者の1回の押圧によって作動させることができる。つまり、固形薬剤を容易に自己投与することができる。器具は、最初に刃を押し、次いで固形薬剤を体内に注入する単一手段を備えることができる。
本発明のどの態様による固形用量注入器具も、固形薬剤を注入するために必要な全ての要素、即ち作動機構、刃、及び固形薬剤を患者の体内に押し込む手段を含む単一ユニットの形態にすることができる。このような器具は、使い捨て、又は再使用可能とすることができる。或いは、このような器具は、注入を行う前に部品が組み立てられる多部品からなる器具とすることもできる。
注入器具は、再使用可能な作動装置、及びこの作動装置と共に使用される使い捨てカセットアセンブリを備えることができる。適切な作動機構及びカセットの例として、参照により本明細書に組み入れられる、国際公開第2004/014468号パンフレット及び同第2006/082439号パンフレットを含む、本発明者らの以前の出願に説明されているものが挙げられる。従って、組み立てられると、器具は、2つの主要部品を備え、第1の部品は、作動機構を収容するケーシング並びに刃、固形薬剤、及び刃と固形薬剤を患者の体内に押し込む手段を収容する使い捨てカセットを備えた作動装置である。
作動機構は、固形薬剤を体内に押し込む手段を駆動させる。しかしながら、本発明の文脈において、当業者であれば、作動機構の厳密構造は、作動機構が注入を行うのに十分な力で押し込む手段に作用する限り、重要ではないことが明らかであろう。力を発生させることができる作動機構は、ばね作動式機構とすることができる。適切な機構は、参照により本明細書に組み入れられる国際公開第2004/014468号パンフレット及び同第2006/082439号パンフレットに説明されている。
本発明はまた、作動機構と共に使用するのに適したカセットも包含する。好ましくは、本発明によるカセットは、固形薬剤を押し込む手段、刃、及び固形薬剤を含む。好ましくは、このカセットは使い捨てである。従って、本発明は、力を発生させることができる作動機構と共に使用される固形用量注入カセットを提供し、このカセットは:
(i)ケーシング、
(ii)刃、
(iii)固形薬剤;及び
(iv)前記刃と前記固形薬剤を押し込む手段を備え;
この器具の作動時に、力を発生させることができる作動機構が押し込む手段に作用して、刃が、ケーシングから押し出されてヒト又は動物の体の皮膚に所定の深さまで刺入し、この皮膚への刺入後に、押し込む手段が固形薬剤を押し続けて、固形薬剤がケーシングから押し出されてヒト又は動物の体内に注入される。
上記に示したように、使用者が操作しやすい器具を提供するために、刃と固形薬剤を体内に押し込む手段は、単一手段、例えば、刃が刃支持体を介して結合されるエジェクタピンの形態とすることができる。或いは、刃、続いて固形薬剤を押す別個の手段を利用することができるが、これにより、注入器具が複雑になり得、注入を行うために使用者による2つ以上のステップが必要となる可能性が高い。
器具は、刃が皮膚に完全に刺入するまで刃とエジェクタピンの両方が前方に移動するように、刃とエジェクタピンの移動が、注入の第1部の間に連結されるように構成され得る。次いで、注入の第2部の間に、エジェクタピンが更に前方に移動して薬剤を、刃によって形成された切開部に押し込むようにエジェクタピンと刃の連結を解除する。従って、器具は、エジェクタピンと刃支持体が取り外し可能に連結されるように構成することができる。
刃と固形薬剤を体内に押し込む手段は、刃が、エジェクタピンに取り外し可能に連結された刃支持体に取り付けられ、器具の作動時に、エジェクタピン及び刃支持体が前方に移動して、刃がケーシングから押し出され、エジェクタピンが刃支持体から解放され、エジェクタピンが更に前方に移動して固形薬剤がケーシングから押し出されるように構成することができる。従って、単一手段は、刃、次いで固形薬剤を皮膚に押し込むために使用される。ケーシングは、刃支持体が停止されるように停止手段を備えることができる。ケーシングの端部は、停止手段として機能し得る。
エジェクタピンと刃支持体は、弾性アームを介して取り外し可能に連結することができる。弾性アームは、刃支持体に設けることができる。弾性アームは、ケーシングによって固定位置に保持されるが、刃は、ケーシングから押し出され、刃が皮膚に刺入すると、弾性アームが、拡張してエジェクタピンから連結解除され、エジェクタピンが、引き続き固形薬剤を体内に押し込む。ケーシングは、刃が刺入されるとアームの拡張を可能にする拡径部分を備えることができる。
或いは、エジェクタピンと刃は、エジェクタピンの弾性アームを介して取り外し可能に連結される。エジェクタピンは、弾性アームを備えるエジェクタピン支持体に取り付けることができ、エジェクタピンと刃支持体は、エジェクタピン支持体の弾性アームを介して取り外し可能に連結される。ケーシングは、刃が挿入されたときにアームが拡張できる拡径部分を備えることができる。
用語エジェクタピンは、ピン、ピストン、及びロッド、又は固形薬剤をケーシングから押し出すように機能する同様の部材を含むものとする。
上記説明したように、刃によって形成される切開部は、皮膚に開口を形成するため、皮膚の外層によって形成された障壁を通る固形薬剤の通過を容易にする。本発明者らは、刃の様々な構造を使用できることを見出した。切開部は、例えば、長さ1mmの直線の切開部とすることができるため、比較的平坦な外形の刃を使用することができる。刃は、切開部の深さを変動させる尖った先端部、平坦な先端部、湾曲した先端部、又は他の形状の先端部を有することができる。刃は、湾曲した刃とすることができる。
有利なことに、刃は、中空の刃、例えば、中空針とすることができる。これは、固形薬剤を針の内腔を介して皮膚内に押し込むことができるため有利である。固形薬剤の断面が円形の場合は、特に皮下針が皮膚に容易に刺入するように設計されているため、皮下針の先端部に類似した(又は同一の)湾曲した刃を使用することが容易であろう。理想的には、選択される刃は、最小限の感覚を持ってして容易に皮膚に刺入するように鋭利である。現代の皮下針は、鋼から形成され、患者の不快感を最小限にして皮膚に容易に刺入できるよう、5つの刃先を備えるように設計されている。プラスチック針が研究されているが、僅かな感覚で皮膚に十分に刺入するようにプラスチック針を鋭利に製造することは困難であり、かつプラスチック針が、鋼針と同じ薄い肉厚を有し得る可能性は低い。
従来の皮下針は、皮膚に完全に押し込まれると、完全な円周の切開部を形成する。これは、固形薬剤の皮膚への通路を妨げ得る組織の栓を形成し得るため、本発明の実施において不利であり得ると考えられる。本発明の実施においては、刃は、皮膚に完全な円周の切開部を形成するのではなく、直線又は弧状の切開部を形成することが好ましい。従って、皮下針の先端部は、本発明の実施において刃として使用することができるが、完全な円周の切開部が形成されるように完全に皮膚に押し込む必要はない。例えば、約270度の弧状切開部が形成されるように、皮下針を刺入することができる。有利なことに、弧状切開部は、皮膚の「フラップ」を形成し、このフラップを介して薬剤を押し込むことができる。
上記説明したように、刃によって形成される切開部は、それほど深くする必要がなく、比較的表面に近い切開部を皮膚に形成して、固形薬剤が通過する経路の開始点を形成するだけで十分である。従って、当業者には、切開部の深さは、例えば、限られた長さの針を使用することによって、及び/又はケーシングの適切な位置に停止手段を配置して、ケーシングから患者の体内に延びる刃の長さを制限することによって制御できることは明らかであろう。従って、好ましくは、刃の長さは、約2mmで十分であると考えられるため、4mm以下、より好ましくは3mm以下、又は、好ましくは約2mmである。既に述べたように、必要な正確な刃の長さは、使用される注入部位、その部位における皮膚の硬い外層の厚み、患者の年齢、性別、及び人種によって異なり得る。
刃は、必ずしも固形薬剤と同じ大きさの切開部を形成する必要はない。固形薬剤はまた、この固形薬剤を下層組織に押し込むことができるように、皮膚を更に切開する、かつ/又は皮膚を伸ばすことができる。
本発明の器具は、固形薬剤がケーシングから押し出されて体内に注入され、この固形薬剤の体内への通過が刃によって案内されるように構成することができる。従って、固形薬剤を、刃の長さに沿って押すことができる。従って、固形薬剤の外形を、刃の外形に一致させることができる。従って、湾曲した刃は、湾曲又は円柱固形薬剤と共に使用することになる。
殆どの薬物送達の適用例では、固形薬剤が、刃/切開部の深さよりも深くまで皮膚内に押し込まれることを想定する。これにより、薬剤が体の適切な深さに送達され、薬剤が体内に留置され、浅い切開部から流出又は抜け出ることもない。従って、本発明の器具は、固形薬剤が、刃の深さよりも深くまで体内に押し込まれるように構成することができる。当業者には明らかなように、本発明の器具は、エジェクタピンによって固形薬剤に加えられる力、エジェクタピンの長さ、固形薬剤の形状及び外形、及び/又は固形薬剤用として選択される材料を含む、複数の様々なパラメータを変更することによって異なる所定の深さに固形薬剤を送達するように構成することができる。
有利なことに、器具は、エジェクタピンを刃の先端部を越えて押し出すことができるように構成されている。好ましくは、器具は、挿入中にエジェクタピンが固形薬剤との接触を維持するように構成されている。従って、固形剤形は、刃によって形成された切開部に押し込まれ、次いでエジェクタピンの力によって下層組織の中に更に押し込まれる。
固形薬剤は、好ましくは、刃によって皮膚に形成された切開部を越えて固形薬剤が皮膚通過するのを容易にする切開要素を備える。この切開要素は、皮膚刺入面における鋭利な先端部又は傾斜した縁の形態にすることができ、例えば、刃の先端部、例えば、皮下針の先端部の外形に一致するように構成することができる。或いは、皮膚刺入面は、尖っていない、又は緩やかな曲面にすることもできる。
固形薬剤、例えば、従来技術の無針注入器具と共に使用されるような固形薬剤、例えば、固形薬ロッド、薬物細片、インプラント、並びにビーズ、顆粒、粉末の形態の薬物又は閉じ込められた状態の薬物が直後に続く先行発射体(pioneer projectile)は全て、本発明の実施に使用するのに適しているが、勿論、刃によって形成された切開部に押し込む手段によって押し込むことができることが前提である。
上記に示したように、刃を使用して固形薬剤の体内への移動を案内することができ、従って、固形薬剤は、刃に沿って容易に押すことができる形態である。例えば、湾曲した刃又は円柱の刃が使用される場合は、この刃と接触する面で湾曲している薬剤を使用することが有利である。同様に、実質的に平坦な刃が使用される場合、この刃と接触する面で実質的に平坦になっている固形製剤が好ましい。
従って、刃が皮下針である場合は、断面が円柱状であり、かつ針の尖った先端部の外形に一致する皮膚刺入面を有する固形製剤を使用することが好ましい。
本発明の方法及び器具の重要な利点の1つは、刃が、皮膚の硬い外層を通る通路を形成するため、固形薬剤の体内への通過が容易になることである。これにより、薬剤の適切な材料の選択における柔軟性が大幅に向上する。例えば、薬剤は、従来技術で開示されているほど機械的に強くなくても良いし、又は鋭利でなくても良い。
有利なことに、切開部を介して皮膚に押し込まれる固形用量製剤は、切開部を用いずに組織に刺入しなければならない固形薬剤と同じ機械的性質を必要とするものではない。切開部が皮膚に形成されない場合は、直径が約0.9mmの先端部が尖った医薬製剤は、皮膚に刺入するために25ニュートンを超えるピーク力を必要とするであろう。これは、材料の機械強度とほぼ同等又はそれ以上であり得る。つまり、注入によっては、皮膚に刺入する前に薬剤が圧壊するため、成功するとは限らない。切開部が皮膚に形成されたら、同じ医薬製剤を、15ニュートン未満のピーク力で切開部を介して皮膚内に押し込むことができる。必要な力は、なお製剤の先端部の形状及び直径に依存するが、切開部が皮膚に形成される場合は、刺入に必要な力が著しく低い。弱い力しか必要としないため、製剤の機械的性質はそれほど強くなくても良い。
本発明者らの以前の出願に開示されているように、本発明者らは、本発明の実施において、送達中はエジェクタピンの固形薬剤との接触を維持することが有利であることに気付いた。つまり、エジェクタピンは、器具の作動中に一定速度で固形薬剤に衝突するのではなく、固形薬剤を前方に押すことによって固形薬剤に直接作用する。この押圧運動は、固形薬剤に対する最小の応力となる。また、固形薬剤は、エジェクタピンからの衝撃に耐える機械強度を有する必要がないことになる。好ましくは、固形薬剤が、どの注入でも皮膚の同じ深さまで押し込まれるように、エジェクタピン用の停止手段が存在する。
上記のように、皮膚の硬い外層を通る通過が、切刃の使用によって容易になるため、固形薬剤を、弱い力、比較的低い速度で体内に押し込むことができる。好ましくは、固形薬剤は、15ニュートン未満のピーク力で切開部を介して皮膚に押し込まれる。必要な力は、なお薬剤の先端部の形状及び直径に依存するが、切開部が皮膚に形成される場合は、刺入に必要な力が著しく低い。弱い力しか必要としないため、薬剤の機械的性質はそれほど強くなくても良い。
有利なことに、本発明の器具は、固形薬剤が、低速度で切開部に押し込まれるように構成される、従って、本発明の器具は、低速度で固形薬剤を押し込むように構成することができる。この低速度は、100m/秒未満を意味する。この速度は、10m/秒未満、又は5m/秒未満、又は数m/秒未満程度とすることができる。
固形薬剤は、高速度で発射されるのではなく低速度で押されるため、投与量を常に、皮膚下の正確な(及び同じ)深さに確実に送達することが可能である。つまり、異なる皮膚の種類に対して、異なる皮膚の位置でシステムを使用することができ、なお投与量が同じ深さに送達される。
挿入の最後に、刃を皮膚から抜去しなければならず、これは、手動で行うことができるが、好ましくは、本発明の器具は、刃引き戻し手段を備え、より好ましくは、刃引き戻し手段は自動である。好ましくは、刃引き戻し手段は、鋭器損傷の危険がなくなるように刃を皮膚からケーシング内に引き戻す。理想的には、これは、カセット内に存在する機構又は作動装置によって自動的に行われる。例えば、国際公開第2006/082439号パンフレットに、適切な機構の詳細が示されている。刃が皮膚から自動的に抜去される場合は、この抜去によって、固形製剤を皮膚から引き抜いてはならないが、固形製剤が刃の先端部を越えて押し込まれている場合はその可能性は低い。
上述のように、好ましくは、本発明による器具は、注入の最後に固形薬剤を押し込む手段を皮膚から引き抜く機構も備える。従って、器具は、エジェクタピンを引き抜く手段を備えることができ、この手段は、エジェクタピンを引き戻す自動手段とすることができる。例えば、螺旋ばねの形態である単一引き戻し手段を使用して、エジェクタピン及び刃の両方を引き戻すことができる。
注入器具は、例えば、カセットに表示手段を含めることによって、注入器具が使用されたときに使用者に明らかなように構成することができる。例えば、注入器具又はカセットは、注入器具が既に使用されたことを示す表示手段を備えることができる。器具を再使用できないのが好ましいため、器具は、器具が再使用されるのを防止する無効機構、より好ましくは、自動無効機構を備えることができる。器具は、表示手段及び無効機構を備えることができ;好ましくは、これらは、カセットに含められる。適切な機構として、国際公開第2006/082439 A1号パンフレットに開示されている機構が挙げられる。
図1は、この実施形態では、作動手段と共に使用されるカセットの形態である本発明による固形用量挿入器具の側断面図を示している。図1aは、作動前のカセットを示し;図1bは、前方に移動している刃を示し;図1cは、固形薬剤の注入を示し;図1dは、刃が引き戻された、注入後のカセットを示している。 図2は、刃支持体をエジェクタピンに取り外し可能に連結する弾性アームがエジェクタピンに設けられているカセットの別の実施形態を示している。 図3は、刃支持体をエジェクタピンに取り外し可能に連結するワイヤヘアピンを備えたカセットの別の実施形態を示している。 図4は、本発明による様々な刃を示し、それぞれの刃は、刃の形状に一致するように構成された固形薬剤を備えて示されている。この図は、切開部の長さに対して異なる深さを実現する刃を示している。先端が平坦な刃は、切開部の全幅に亘って一定の深さの切開を実現するが、先の尖った刃は、切開部の長さの中心でより深い切開を実現する。切開部の正確な長さと深さの比は、対象の皮膚組織(体の部位、性別、人種、年齢など)及び/又は固形用量製剤の先端部の形状及び/又は固形用量製剤の皮膚への挿入に必要な支援によって決定することができる。
図面の詳細な説明
図1
図1aは、本発明の固形用量注入器具のカセット部分の側断面図を示している。カセット(9)は、作動機構(不図示)と共に使用される。従って、図1aから分かるように、ケーシング(22)は、使用の前に作動機構の中に挿入される縮径部(23)を備え、ケーシングの溝(24)が、2つの構成要素の固定に役立つ。作動機構は、エジェクタピンの端部(12)に衝当することによってエジェクタピン(10)に作用する。
カセットは、作動前の状態で示されており、従って、刃(14)は、この特定の実施形態では中空皮下針であり、ケーシング内に保持され、鋭器損傷のリスクが低減されている。この器具は、刃と固形薬剤を押す単一手段を備え、この単一手段は、刃支持体(15)が取り外し可能に連結されたエジェクタピンである。
図1bは、作動時のカセットを示している。器具を作動させるために、ケーシングの端部にある皮膚伸長手段(20)が、皮膚に対して押圧される。作動時に、作動機構(不図示)が、エジェクタピン(12)の端部に衝当して、エジェクタピンがケーシング内を前方に摺動する。刃(14)は、刃支持体(15)の弾性アーム(21)を介してエジェクタピン(10)の拡大部(25)に連結されており、エジェクタピン及び刃支持体の両方が前方に移動すると、刃(14)が、開口(19)から前方に押し出されて皮膚に刺入する。刃支持体(15)は、この実施形態では、通路の端部(16)によって停止され、従って、刃支持体に固定された刃のみが、皮膚内に所定距離移動することができる。従って、刃は、皮膚に浅い切開部を形成するだけである。
図1cは、注入の次の段階を示している。刃の前方への移動が停止され、刃支持体(15)が、エジェクタピンから連結解除され、エジェクタピンが更に前方に移動し、固形薬剤が皮膚の切開部内に押し込まれる。この特定の実施形態では、刃は、皮下針の先端部の形態であり、従って、カセットは、エジェクタピンが固形薬剤を針の内腔を介して押し出すように構成されている。図1cから分かるように、固形薬剤(13)は、刃の深さを越えて押し出される。エジェクタピンは、刃の長さの一部に沿って移動する、その全長に沿って移動する、又は刃の先端部を越えて延出するように構成されていてもよい。
刃支持体をエジェクタピンから連結解除する機構が示されている。エジェクタピンが、上部通路(17)から前方に移動してケーシングの拡径下部通路(18)内に移動すると、弾性アーム(21)が、拡張することができ、弾性アームが係合していたエジェクタピンの拡大部(25)から連結解除される。
この図から分かるように、エジェクタピンは、固形薬剤がエジェクタピンによって皮膚内に押し込まれるように、注入中に固形薬剤との接触を維持することが好ましい。
図1dは、注入の最終段階を示し、ケーシングは、この実施形態では螺旋ばね(26)の形態である、刃を引き戻す自動手段を備えている。図1aから分かるように、作動の前は、ばね(26)は、弛緩した状態であり、刃は、ケーシング内に保持されている。作動時に、ばねが、刃支持体、次いでエジェクタピンによって圧縮される。しかしながら、ピンの前方への移動が停止されると、ばねが伸長して、エジェクタピン及び刃支持体を後方に押すことができ、従って刃及びエジェクタピンが皮膚から引き抜かれる。
図2
図2aは、本発明の固形用量注入器具のカセット部分の側断面図を示し、刃支持体をエジェクタピンに連結する代替の手段が示されている。この特定の実施形態では、エジェクタピン(10)の移動は、エジェクタピン支持体(27)に取り付けられた、エジェクタピン(10)の上の弾性アーム(21)を介して刃支持体の移動に連動している。弾性アームは、エジェクタピン支持体の一体部分を形成しても良い。
図2b
作動時に、力を発生させることができる作動機構(不図示)が、エジェクタピンの端部(12)に衝当する。エジェクタピン(10)は、刃支持体(15)の端部を押圧し、従って刃支持体及びエジェクタピンを前方に移動させて刃(14)を皮膚に刺入する弾性アームを備えている。
図2cは、注入の次の段階を示している。刃の前方への移動が、この実施形態ではケーシングの端部によって停止される。刃支持体(15)が、エジェクタピン(10)から連結解除され、エジェクタピンが更に前方に移動し、固形薬剤(13)が皮膚の切開部に押し込まれる。
刃支持体をエジェクタピンから連結解除する機構が示されている。エジェクタピンが、ケーシングの上部通路(29)から拡径下部通路(30)に前方に移動すると、エジェクタピン支持体の弾性アーム(21)が、拡張して刃支持体(15)の端部との連結を解除することができ、刃支持体の端部上を移動する。
図2d
図2dは、注入の最終段階を示し、ケーシングは、この実施形態では螺旋ばね(26)の形態である刃を引き戻す自動手段を備えている。図2aから分かるように、作動の前は、ばね(26)は、弛緩した状態であり、刃は、ケーシング内に保持されている。器具の作動時に、ばねが、刃支持体によって圧縮される。しかしながら、ピンの前方への移動が停止されると、ばねが伸張し、エジェクタピン支持体の弾性アームが、刃支持体に係合してエジェクタピン及び刃支持体の両方を後方に押すことができ、刃及びエジェクタピンが皮膚から引き抜かれる。
図3
図3aは、本発明の固形用量注入器具のカセット部分の側断面図を示し、刃支持体をエジェクタピンに連結する代替の手段が示されている。この器具は、刃及び固形薬剤の両方を押す単一手段を備え、この単一手段は、刃支持体(15)が取り外し可能に連結されるエジェクタピン(10)の形態である。この実施形態では、エジェクタピンの端部に取り付けられた弾性アームが存在し、これらの弾性アームは、ワイヤヘアピン(32)の形態である。ワイヤアームを刃支持体に対して連結する、及び連結解除する機構は、図2に示されている機構と同様である。
図3b
作動時に、力を発生させることができる作動機構(不図示)が、エジェクタピンの端部(12)に衝当する。ワイヤヘアピン(32)の弾性アーム(21)が、刃支持体(15)の端部を押圧し、従って刃支持体及びエジェクタピンの両方が前方に移動し、刃が皮膚に刺入する。
図3cは、注入の次の段階を示している。刃の前方への移動が、この実施形態ではケーシングの端部によって停止される。刃支持体(15)が、エジェクタピンから連結解除され、エジェクタピンが更に前方に移動し、固形薬剤が皮膚の切開部に押し込まれる。
刃支持体をエジェクタピンから連結解除する機構が示されている。エジェクタピンが、ケーシングの上部通路(29)から拡径下部通路(30)に前方に移動すると、ワイヤヘアピンの弾性アームが、拡張して刃支持体(15)の端部(31)から連結を解除することができ、刃支持体の端部上を移動する。
図3dは、注入の最終段階を示し、ケーシングは、この実施形態では螺旋ばね(26)の形態である、刃を引き戻す自動手段を備えている。図3aから分かるように、作動の前は、ばね(26)は、弛緩した状態であり、刃は、ケーシング内に保持されている。器具の作動時に、ばねが、刃支持体によって圧縮される。しかしながら、ピンの前方への移動が停止されると、ばねが伸長することができ、ワイヤヘアピンの弾性アーム(21)が刃支持体を押圧し、従って、エジェクタピン及び刃支持体の両方が後方に押され、刃及びエジェクタピンが皮膚から引き抜かれる。
図4aは、尖った刃先及び断面が実質的に正方形の固形薬剤を備えた実質的に平坦な刃を示している。従って、刃に接触する固形薬剤の面は、刃に一致するように構成されている。固形薬剤の皮膚に刺入する面は、皮膚の通過が容易となるように尖っており、この刺入面は、刃によって形成された切開部の先の組織を通る経路を形成することができる。
図4bは、直線状の刃先及び断面が実質的に正方形の固形薬剤を備えた実質的に平坦な刃を示している。刃の鋭利な刃先を確認することができる。
図4c及び図4dは、尖った刃先及びこの特定の実施形態では断面が半円の円柱である曲線形状の固形薬剤を備えた実質的に平坦な刃を示している。同様に、刃に接触する固形薬剤の面は、刃に一致するように構成されている。刃の刃先は、尖っていても良いし(図4c)、直線状でも良い(図4d)。
図4e及び図4fは、尖った先端部(図4e)又は平坦な先端部(図4f)を備え、かつ、この実施形態では、皮膚刺入面が傾斜した円柱である曲線形状の固形薬剤を備えた断面が半円の湾曲した刃を示している。
図4gは、内部に円柱インプラントを備えた針状の刃を示しており(対応する先端部が平坦な刃を示す図面は存在しない)、このような刃は、固形薬剤の通路を形成する切開部を形成するのではなく、組織の栓を形成する「リンゴの芯抜き器」のように機能し得る。
上記の参照符号は、限定のためではなく、単に読者の助けとなるように付されたものである。
本発明の器具又は方法を用いた固形用量の注入は、器具の作動から僅か数ミリ秒で行われ、使用者からすると瞬時に見えるであろう。従って、注入は、迅速に行うことができ、理想的には、患者が刃を見ることなく行われる。浅い切開部が皮膚に形成されるだけであるため、これによる痛みは、最小限であり、無針注入器具の使用者が感じる感覚と同等であると考えられる。

Claims (27)

  1. 固形用量注入器具において、
    (i)ケーシング、
    (ii)力を発生させることができる作動機構、
    (iii)刃、
    (iv)固形薬剤;及び
    (v)前記刃と前記固形薬剤を押し込む手段を備え;
    前記器具の作動時に、前記力を発生させることができる作動機構が前記押し込む手段に作用して、前記刃が、前記ケーシングから押し出されてヒト又は動物の体の皮膚に所定の深さまで刺入し、この皮膚への前記刃による刺入後も、前記押し込む手段が前記固形薬剤を押し続けて、前記固形薬剤が前記ケーシングから押し出されて前記ヒト又は動物の体内に注入されて、前記固形薬剤が前記刃の深さよりも深くまで前記体内に押し込まれることを特徴とする、固形用量注入器具。
  2. 請求項1に記載の固形用量注入器具において、前記刃が、2〜4mmの所定の深さまで皮膚に刺入することを特徴とする固形用量注入器具。
  3. 請求項1又は2に記載の固形用量注入器具において、前記刃が、実質的に平坦である、湾曲している、又は中空であることを特徴とする固形用量注入器具。
  4. 請求項1乃至の何れか1項に記載の固形用量注入器具において、前記刃が、皮膚に直線又は弧状の切開部を形成することを特徴とする固形用量注入器具。
  5. 請求項1乃至の何れか1項に記載の固形用量注入器具において、前記刃が中空針であることを特徴とする固形用量注入器具。
  6. 請求項に記載の固形用量注入器具において、前記針によって形成された前記切開部が、完全な円周の切開部ではないことを特徴とする固形用量注入器具。
  7. 請求項又はに記載の固形用量注入器具において、前記固形薬剤が、前記針の内腔から前記体内に押し込まれることを特徴とする固形用量注入器具。
  8. 請求項1乃至の何れか1項に記載の固形用量注入器具において、前記固形薬剤が、その皮膚の通過を容易にする切開要素を備えていることを特徴とする固形用量注入器具。
  9. 請求項に記載の固形用量注入器具において、前記固形薬剤の前記切開要素が、尖った縁又は傾斜した縁であることを特徴とする固形用量注入器具。
  10. 請求項1乃至の何れか1項に記載の固形用量注入器具において、前記固形薬剤が、その前記体内への通過が前記針によって案内されるよう、前記ケーシングから押し出されて前記体内に注入されることを特徴とする固形用量注入器具。
  11. 請求項1乃至10の何れか1項に記載の固形用量注入器具において、前記固形薬剤が、10m/秒未満の速度で押されることを特徴とする固形用量注入器具。
  12. 請求項1乃至11の何れか1項に記載の固形用量注入器具において、前記固形薬剤が、前記刃の形状に一致するように構成されていることを特徴とする固形用量注入器具。
  13. 請求項1乃至12の何れか1項に記載の固形用量注入器具において、前記刃を停止させる停止手段を備えることを特徴とする固形用量注入器具。
  14. 請求項1乃至13の何れか1項に記載の固形用量注入器具において、前記刃と前記固形薬剤を前記体内に押し込む単一手段を備えることを特徴とする固形用量注入器具。
  15. 請求項14に記載の固形用量注入器具において、前記単一手段が、刃支持体を介して前記刃が連結されるエジェクタピンを備えることを特徴とする固形用量注入器具。
  16. 請求項15に記載の固形用量注入器具において、前記刃支持体が、前記エジェクタピンに取り外し可能に連結されることを特徴とする固形用量注入器具。
  17. 請求項16に記載の固形用量注入器具において、弾性アームが、前記刃支持体を前記エジェクタピンに取り外し可能に連結することを特徴とする固形用量注入器具。
  18. 請求項1乃至17の何れか1項に記載の固形用量注入器具において、前記固形薬剤の注入後に前記刃を引き戻す刃引き戻し手段を更に備えることを特徴とする固形用量注入器具。
  19. 請求項18に記載の固形用量注入器具において、前記刃引き戻し手段が自動であることを特徴とする固形用量注入器具。
  20. 請求項1乃至19の何れか1項に記載の固形用量注入器具において、前記固形薬剤の注入後に前記エジェクタピンを引き戻すエジェクタピン引き戻し手段を更に備えることを特徴とする固形用量注入器具。
  21. 請求項20に記載の固形用量注入器具において、前記エジェクタピン引き戻し手段が自動であることを特徴とする固形用量注入器具。
  22. 請求項1乃至21の何れか1項に記載の固形用量注入器具において、単一引き戻し手段が、前記刃と前記エジェクタピンを引き戻すことを特徴とする固形用量注入器具。
  23. 請求項1乃至22の何れか1項に記載の固形用量注入器具において、前記刃が、使用前には見えないことを特徴とする固形用量注入器具。
  24. 請求項1乃至23の何れか1項に記載の固形用量注入器具において、前記器具が、使い捨て器具であることを特徴とする固形用量注入器具。
  25. 請求項1乃至24の何れか1項に記載の固形用量注入器具において、前記器具が、その再使用を防止する無効機構を備えることを特徴とする固形用量注入器具。
  26. 請求項1乃至25の何れか1項に記載の固形用量注入器具において、前記器具が、再使用可能な作動機構を含む第1の部分、並びに前記刃、前記固形薬剤、及び前記刃と前記固形薬剤を押手段を収容する使い捨てカセットを含む第2の部分を備えることを特徴とする固形用量注入器具。
  27. 請求項26に記載の固形用量注入器具において、前記使い捨てカセット、作動機構と共に使用されるように構成されていることを特徴とする使い捨てカセット。
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