しかし、上述した従来における電磁弁の取付装置は、次のような問題点があった。
第一に、電磁弁側の金具固定部に、取付用の装着金具を固定する構造は、一つ又は複数の固定ネジを用いたネジ止め構造を採用するため、取付用の装着金具以外に固定ネジやワッシャ等の部品、更にはこの固定ネジを螺着するネジ孔構造等が必要になる。このため、部品点数が増加し、部品コスト及びネジ止め工程等に伴う製造コストの上昇を招くとともに、製造工数の増加(生産性の低下)を招く。しかも、固定ネジの緩みによるガタつきや脱落等のネジ構造固有の問題も付随する。
第二に、金具固定部に対して固定ネジを螺着するため、固定ネジの長さを許容する金具固定部を設ける必要があるため、金具固定部側の構造が特許文献1のように煩雑化する傾向がある。他方、このような煩雑化を回避するには、特許文献2のように金具固定部を利用しない別途の取付構造や取付位置を選定すればよいが、全体における無用な大型化や外観性(商品性)の低下を招く要因となる。
本発明は、このような背景技術に存在する課題を解決した電磁弁の取付装置の提供を目的とするものである。
本発明は、上述した課題を解決するため、電磁弁Vを被取付部位Xcに装着するための装着金具3を電磁弁ハウジング2の外面2fに設けた金具固定部4に固定してなる電磁弁の取付装置1を構成するに際して、長手方向Fwの両側に、被取付部位Xcに対して着脱可能な一対のレール着脱部Pmf,Pmsを形成したプレート体Pmを有し、このプレート体Pmの一側部位に形成して金具固定部4によりプレート体Pmに対して面平行となる特定方向Fsへガイドされる第一規制部3fと、プレート体Pmの他側部位に形成して金具固定部4により特定方向Fsへガイドされる第二規制部3sと、プレート体Pmの中間部位に特定方向Fsに対して反対方向Fnへ延出させて形成し、第一規制部3f又は第二規制部3sがガイドされた終端位置Zcで金具固定部4に対して係止する弾性片部3cとを有する装着金具3を備えるとともに、第一規制部3fを特定方向Fsへガイドする第一ガイド部4fと、第二規制部3sを特定方向Fsへガイドする第二ガイド部4sと、弾性片部3cの先端3csがスナップフィットする段差部4csにより形成した係止部4cとを有する金具固定部4を備えることを特徴とする。
この場合、発明の好適な態様により、一対のレール着脱部Pmf,Pmsは、一方のレール着脱部Pmfに、フック式に係止する係止機能をもたせるとともに、他方のレール着脱部Pmsに、クリック式に係合する弾性を有する係合機能をもたせることができる。したがって、被取付部位Xcには、少なくともDINレールXcrを含ませることが望ましい。一方、第一規制部3fは、特定方向Fsに延出したプレート片部3fsにより形成できるとともに、第一ガイド部4fは、当該プレート片部3fsが挿通する挿通孔部4fhにより形成できる。また、第二規制部3sは、特定方向Fsに長いスリット部3ssにより形成できるとともに、第二ガイド部4sは、スリット部3ssの辺部が係合する溝部4ssを設けた突起部4smにより形成できる。
このような構成を有する本発明に係る電磁弁の取付装置1によれば、次のような顕著な効果を奏する。
(1) 取付装置1を電磁弁Vに固定する追加的な部品としては、プレート体Pmを用いた一個の装着金具3のみで足りるため、固定ネジ等の他の追加部品は一切不要になるとともに、電磁弁ハウジング2側に有する金具固定部4においても、固定ネジを螺着するネジ孔等の煩雑構造が不要になる。この結果、部品点数の削減による、部品コスト及び製造コスト双方のコスト削減を図れるとともに、製造工数の低減(生産性の向上)に寄与できる。
(2) 装着金具3を固定する金具固定部4は、電磁弁ハウジング2の外面2f、即ち、電磁弁ハウジング2底面の表面上に一体形成すれば足りるため、金具固定部4の構造を簡略化できるとともに、全体における無用な大型化を招く不具合を回避できる。加えて、外観性(商品性)の低下要因を排除できるとともに、固定ネジ等が不要になることから、固定ネジの緩み等のネジ構造固有の不具合を排除し、長期使用に伴うガタつきや脱落等の発生を排除できるとともに、信頼性を高めることができる。
(3) 弾性片部3cを、特定方向Fsに対して反対方向Fnへ延出させて形成するとともに、係止部4cを、当該弾性片部3cの先端3csがスナップフィットする段差部4csにより形成したため、装着金具3がガイドされた終端位置Zcで特定方向Fsへの変位が規制されるとともに、同時に反対方向Fnに延出した弾性片部3cの先端3csが段差部4csに係止して当該反対方向Fnへの変位が規制される。これにより、金具固定部4による装着金具3の保持(固定)を容易かつ確実に行うことができる。
(4) 好適な態様により、一対のレール着脱部Pmf,Pmsを形成するに際し、一方のレール着脱部Pmfに、フック式に係止する係止機能をもたせるとともに、他方のレール着脱部Pmsに、クリック式に係合する弾性を有する係合機能をもたせれば、一枚のプレート体Pmを利用して、各レール着脱部Pmf,Pmsを一体形成できるため、更なる製造容易化に寄与できるとともに、電磁弁Vの、いわばワンタッチ式の装着及び離脱を可能にすることができる。したがって、DINレールXcrに対する取付装置1として最適となる。
(5) 好適な態様により、第一規制部3fを、特定方向Fsに延出したプレート片部3fsにより形成するとともに、第一ガイド部4fを、当該プレート片部3fsが挿通する挿通孔部4fhにより形成すれば、単なる一方向(特定方向Fs)への差込操作のみで第一ガイド部4fに第一規制部3fを保持させることができるため、装着金具3を金具固定部4に固定する際の組付容易化に寄与できる。
(6) 好適な態様により、第二規制部3sを、特定方向Fsに長いスリット部3ssにより形成するとともに、第二ガイド部4sを、スリット部3ssの辺部が係合する溝部4ssを設けた突起部4smにより形成すれば、上述した第一規制部3fの組付と同時に、単なる一方向(特定方向Fs)への差込操作のみで第二ガイド部4sに第二規制部3sを保持させることができるため、装着金具3を金具固定部4に固定する際の組付容易化に寄与できる。
次に、本発明に係る好適実施形態を挙げ、図面に基づき詳細に説明する。
まず、本実施形態に係る取付装置1の理解を容易にするため、取付装置1を備える電磁弁Vの概略構成について、図1〜図4を参照して説明する。
電磁弁Vは、図1及び図2に示すように、最外郭に位置する電磁弁ハウジング2を備える。電磁弁ハウジング2は、断面矩形状のハウジング本体22を備えるとともに、このハウジング本体22の一端側(前端側)に流路開閉ブロック23を有し、かつハウジング本体22の他端側(後端側)に、配線部24を設ける。
この場合、流路開閉ブロック23は、図4に示すように、液体Lの流入口23i及びこの流入口23iに対して流路23ri,23reを介して連通する流出口23eを有するとともに、流路23riと流路23re間には弁体収容室23sを有する。なお、この弁体収容室23sに臨む流路23reは弁座部25を兼ねている。他方、配線部24には配線中継ボード26を備え、この配線中継ボード26に、外部に導出する不図示の接続コードを接続するとともに、後述するコイルワイヤWの端部を接続する。
他方、ハウジング本体22は内部中空に形成し、後端寄りにヨーク部31を収容するとともに、このヨーク部31の内部に、コイルボビン32bにコイルワイヤWを巻回して構成したコイル部32を収容する。また、コイルボビン32bの内部における後半部には、コラム(固定子)33を内蔵し、このコラム33の後端をヨーク部31の後端面31rに結合する。
さらに、コイルボビン32bの内部におけるコラム33の前方には、可動プランジャ34を進退変位自在に収容するとともに、この可動プランジャ34の前部は、緩衝体装着部34fsとしてヨーク部31の前端面31fに設けた開孔部31fhから前方に突出させる。この場合、可動プランジャ34の緩衝体装着部34fsは後端側となるプランジャ本体部34mよりも小径に形成する。また、可動プランジャ34の前端34fには、円柱状に形成したゴム製の弁体部35を固定し、この弁体部35は前述した弁体収容室23sに収容する。弁体部35の前端面は、前述した弁座部25に対面し、可動プランジャ34の変位により、弁座部25に圧接して流路23reを遮断するとともに、弁座部25から離間して流路23reを開放することができる。なお、弁体部35は外周面に鍔状のフランジ35fを一体形成し、このフランジ35fをハウジング本体22と流路開閉ブロック23間で保持する。
一方、可動プランジャ34の緩衝体装着部34fsの周面には、緩衝体Dを配設する。緩衝体Dは、図3に示すように、一端側(後端側)に配した固定端となる第一リング部Dcと、他端側(前端側)に配し、かつ可動プランジャ34に係止する可動端となる第二リング部Dmと、両端側を第一リング部Dcと第二リング部Dmにそれぞれ一体化するとともに、少なくとも一部に傾斜部を有することにより第一リング部Dcに対して第二リング部Dmの弾性変位を可能にする複数(例示は三つ)の緩衝リンク部Dr…とを備え、これらは樹脂素材を用いて一体成形する。形成材料となる樹脂素材は、特に、その種類を限定するものではないが、一例としては、ポリオキシメチレン樹脂(POM),ポリエーテルエーテルケトン樹脂(PEEK)等が望ましい。
この緩衝体Dは、可動プランジャ34に対して、次のように組付ける。まず、可動プランジャ34の緩衝体装着部34fsの外周面に、前側が小径となる段差係止部41を形成するとともに、この段差係止部41から前方へ所定距離だけ離間した位置にリング溝部42を形成する。そして、緩衝体Dの内部に、第一リング部Dc側から可動プランジャ34の緩衝体装着部34fsを挿通し、この後、リング溝部42にEリング43を装着する。これにより、第二リング部Dmの内周面側が段差係止部41とEリング43間に挟まれて固定されるとともに、第一リング部Dcはプランジャ本体部34mと緩衝体装着部34fs間の段差部34ms又はヨーク部31の前端面31fに当接して規制、即ち、位置が固定される。
他方、電磁弁Vの全体の組付けは、次のように行うことができる。まず、図1に示すように、コイルボビン32bにコイルワイヤWを巻回して構成したコイル部32をヨーク部31の内部に収容するとともに、このコイルボビン32bの内部にコラム33を組付ける。次いで、緩衝体Dを組付けた可動プランジャ34を、コイルボビン32bの内部に前端側から収容する。この際、緩衝体Dの外周面にスプリング51を装填する。これにより、スプリング51は前端側がスプリング係止部Dmsに係止し、かつ後端側がヨーク部31の前端面31fに係止する。この後、組付けたヨーク部31を、ハウジング本体22に対して後端側から収容し、不図示の固定ネジ等を用いてヨーク部31とハウジング本体22を固定する。一方、ハウジング本体22の前端には流路開閉ブロック23を取付けるとともに、この際、ハウジング本体22と流路開閉ブロック23間に前述した弁体部35のフランジ35fを介在させる。これにより、電磁弁Vの全体における主要部分の組立を行うことができる。
次に、本実施形態に係る取付装置1の構成について、図5〜図7を参照して具体的に説明する。
この種の電磁弁Vは、被取付部位XcとなるDINレールXcrに装着して使用するため、電磁弁VをDINレールXcrに装着するための本実施形態に係る取付装置1を備えている。取付装置1は、大別して、DINレールXcr(被取付部位Xc)に対して着脱可能に装着する装着金具3と、電磁弁ハウジング2の外面2fとなる底面部2fdに一体に形成することにより当該装着金具3を固定する金具固定部4とを備える。
装着金具3は、図5及び図6に示すように、長手方向Fwの両側に、DINレールXcr(図10参照)に対して着脱可能な一対のレール着脱部Pmf,Pmsを形成してなる、プレート体Pmを備える。プレート体Pmは、例えば、ステンレス素材等の金属素材により形成し、電磁弁Vの大きさ及び重量等を考慮した大きさ及び厚さを選定した一枚のプレート部材(金属板)により一体形成する。この場合、一方のレール着脱部Pmfには、フック式に係止する係止機能をもたせる。具体的には、プレート体Pm長手方向Fwの一端辺における両側に、J形となるように、プレート体Pmにおける内方に折曲形成した一対の掛止部Pmfp,Pmfqをそれぞれ設けて構成する。また、他方のレール着脱部Pmsには、クリック式に係合する弾性を有する係合機能をもたせる。具体的には、プレート体Pm長手方向Fwの他端辺に、L形に折曲形成した折曲片部Pmsrを設けるとともに、この折曲片部Pmsrの中間位置に、内方に膨出した係合突起部Pmscを折曲形成して構成する。
一方、プレート体Pmの一側部位には第一規制部3fを一体に設ける。第一規制部3fは、特定方向Fs(長手方向Fwの一方)に延出したプレート片部3fsにより形成する。プレート片部3fsは、上述した一対の掛止部PmfpとPmfq間に位置するようにし、先端形状は半円状に形成する。また、プレート体Pmの他側部位には第二規制部3sを設ける。この第二規制部3sは、特定方向Fsに長いスリット部3ssにより形成する。さらに、プレート体Pmの中間部位には、プレート片部3fs又はスリット部3ssが後述する金具固定部4によりガイドされた終端位置Zcで金具固定部4に対して係止する弾性片部3cを設ける。この弾性片部3cは、上述したスリット部3ssから連続して切抜いた切抜空間Pk内に、特定方向Fsに対して反対方向Fnへ延出させて形成する。この場合、弾性片部3cの先端3csは、プレート体Pmの長手方向Fwのほぼ中央に位置するように考慮するとともに、先端形状は半円状に形成する。また、図5に示すように、先端側一部は一対のレール着脱部Pmf,Pmsの折曲方向に対して反対方向へやや折曲させた係止爪部3crとして形成する。
他方、金具固定部4は、図1に示すように、電磁弁ハウジング2の平坦面となる底面部2fdに一体形成する。この金具固定部4は、図7及び図8に示すように、第一ガイド部4f,第二ガイド部4s及び係止部4cを備えている。この場合、第一ガイド部4fを設けるに際しては、底面部2fd上に、前述した一対の掛止部PmfpとPmfq間に配置可能な直方体状の保持部61を突出形成し、この保持部61に、プレート片部3fsを特定方向Fsヘガイドする貫通孔部4fhを形成する。また、第二ガイド部4sを設けるに際しては、底面部2fd上に、前述したスリット部3ss内の辺部に係合する突起部4smを突出形成する。したがって、突起部4smの外側面にはスリット部3ssの辺部が入り込む溝部4ssを形成する。なお、突起部4smには、装着金具3の組付時に、弾性片部3cを逃がすための空間部62を形成するため、突起部4smの底面方向から見た全体形状はU形になるとともに、溝部4ssもU形に沿って形成される。さらに、係止部4cは、前述した弾性片部3cの先端3csがスナップフィット(係止)する段差部4csにより形成する。この場合、底面部2fdに、弾性片部3cの係止爪部3crを逃がすための長手方向Fwに沿った細長い凹溝部63を形成し、この凹溝部63の中途位置に、底面部2fdの面にほぼ一致する盛上部64を形成し、この盛上部64における特定方向Fs側の側面を段差部4csとして形成する。
このように、本実施形態に係る取付装置1は、第一規制部3fを、特定方向Fsに延出したプレート片部3fsにより形成するとともに、第一ガイド部4fを、当該プレート片部3fsが挿通する挿通孔部4fhにより形成するため、単なる一方向(特定方向Fs)への差込操作のみで第一ガイド部4fに第一規制部3fを保持させることができ、装着金具3を金具固定部4に固定する際の組付容易化に寄与できる。また、第二規制部3sを、特定方向Fsに長いスリット部3ssにより形成するとともに、第二ガイド部4sを、スリット部3ssの辺部が係合する溝部4ssを設けた突起部4smにより形成するため、上述した第一規制部3fの組付と同時に、単なる一方向(特定方向Fs)への差込操作のみで第二ガイド部4sに第二規制部3sを保持させることができ、装着金具3を金具固定部4に固定する際の組付容易化に寄与できる。さらに、弾性片部3cを、特定方向Fsに対して反対方向Fnへ延出させて形成するとともに、係止部4cを、当該弾性片部3cの先端3csがスナップフィットする段差部4csにより形成したため、装着金具3がガイドされた終端位置Zcで特定方向Fsへの変位が規制されるとともに、同時に反対方向Fnに延出した弾性片部3cの先端3csが段差部4csに係止して当該反対方向Fnへの変位が規制され、金具固定部4による装着金具3の保持(固定)を容易かつ確実に行うことができる利点がある。
次に、本実施形態に係る取付装置1における装着金具3を金具固定部4に固定する際の組付方法及び取付装置1の機能について、図8〜図10を参照して説明する。
金具固定部4に装着金具3を組付ける際には、図8に示す点線矢印Hの方向に装着金具3を組付ければよい。即ち、第一ステップとして、装着金具3における係止爪部3crが突出する側の面を底面部2fdに当接させる。この際、プレート片部3fsの先端が保持部61における挿通孔部4fhの手前に位置するようにセットするとともに、突起部4smを切抜空間Pkに収容してスリット部3ssの手前にセットする。この結果、係止爪部3crは、凹溝部63の中に収容される。
次いで、第二ステップとして、装着金具3を特定方向Fsに変位させる。これにより、プレート片部3fsは挿通孔部4fhに差し込むことができるとともに、スリット部3ss内の辺部は溝部4ssに入り込んでガイドされる。また、同時に弾性片部3cも一体に変位するため、この弾性片部3cは凹溝部63内を特定方向Fsに変位する。そして、弾性変位により係止爪部3crが盛上部64を乗り越えるとともに、乗り越えた直後に、弾性復帰し、弾性片部3cの先端3csがスナップフィットにより段差部4csに係止する。この結果、装着金具3の特定方向Fsに対する反対方向Fnへの変位が規制される。さらに、この位置では、スリット部3ssの端部が突起部4smの端部に位置する溝部4ssに係止する。即ち、スリット部3ss(第二規制部3s)がガイドされた終端位置Zcに達するため、装着金具3の特定方向Fsに対する変位が規制される。この結果、装着金具3は、電磁弁ハウジング2の底面部2fdに設けた金具固定部4に対して、図1及び図9に示すように固定される。
このように、本実施形態に係る取付装置1によれば、取付装置1を電磁弁Vに固定する追加的な部品としては、プレート体Pmを用いた一個の装着金具3のみで足りるため、固定ネジ等の他の追加部品は一切不要になるとともに、電磁弁ハウジング2側に有する金具固定部4においても、固定ネジを螺着するネジ孔等の煩雑構造が不要になる。この結果、部品点数の削減による、部品コスト及び製造コスト双方のコスト削減を図れるとともに、製造工数の低減(生産性の向上)に寄与できる。また、装着金具3を固定する金具固定部4は、電磁弁ハウジング2の外面2f、即ち、電磁弁ハウジング2底面の表面上に一体形成すれば足りるため、金具固定部4の構造を簡略化できるとともに、無用な大型化を招く不具合も回避できる。加えて、外観性(商品性)の低下要因を排除できるとともに、固定ネジ等が不要になることから、固定ネジの緩み等のネジ構造固有の不具合を排除し、長期使用に伴うガタつきや脱落等の発生を排除できるとともに、信頼性をより高めることができる。
一方、電磁弁Vは、この取付装置1を用いてDINレールXcrに対して容易に着脱することができる。図10に示すように、DINレールXcrの一方のレール部Xcfに、一方のレール着脱部Pmfとなる係止爪部3crを掛けた後、他方のレール着脱部Pmsとなる折曲片部Pmsrを他方のレール部Xcsに押し付ければよく、容易に装着することができる。この際、係合突起部Pmscが弾性変位により他方のレール部Xcsを乗り越えるとともに、乗り越えた位置で他方のレール部Xcsに対してスナップフィットする。なお、電磁弁VをDINレールXcrから離脱させる際には、レール着脱部Pmsを手で持ち上げることにより、容易に離脱させることができる。このように、本実施形態に係る装着金具3は、一枚のプレート体Pmを利用して、各レール着脱部Pmf,Pmsを一体形成できるため、製造容易化に寄与できるとともに、電磁弁Vの、いわばワンタッチ式の装着及び離脱を可能にすることができる。したがって、DINレールXcrに対する取付装置1として最適となる。
なお、電磁弁Vの基本的な動作及び作用は次のようになる。図1は、電磁弁Vの非通電時における状態を示している。この場合、コイル部32に基づく電磁気力は発生しない。したがって、可動プランジャ34は緩衝体Dの弾発力及びスプリング51の弾発力により前方に押圧され、可動プランジャ34の先端34fが弁体部35を押圧する。この結果、弁体部35の前端面が弁座部25に圧接して流路23reを遮断する。なお、この際、可動プランジャ34の後端は、コラム33の前端から離間する。
他方、図4は、電磁弁Vの通電時における状態を示している。この場合、コイル部32の励磁によりコラム33に電磁気力(吸引力)が発生する。この結果、可動プランジャ34は緩衝体Dの弾発力及びスプリング51の弾発力に抗してコラム33側に吸引され、可動プランジャ34及び弁体部35は、図4に示す位置に変位、即ち、弁体部35の前端面が弁座部25からストロークGsだけ離間して流路23reを開放する。これにより、流入口23iから流入した液体(薬液,試液等)Lは、点線矢印で示すように、流入口23i→流路23ri→弁体収容室23s→流路23re(弁座部25)→流出口23eの経路で流通する。
ところで、通電した際には、可動プランジャ34がコラム33側へ変位し、最終的にコラム33に当接する。可動プランジャ34の変位時には、緩衝体Dの弾性力により、その変位速度が緩和されるため、コラム33に当接する際は、衝突音がほとんど発生しない速度で衝突する。この場合、衝突音の発生を回避するには、速度を最適化することにより実現可能である。特に、この種の電磁弁Vでは、切換速度の高速化と衝突音の静粛化の双方が要求されるため、緩衝体Dの素材,形態(形状,構成)を選定することにより、速度の最適化を図ることができる。例示の電磁弁Vに備える緩衝体Dは、樹脂素材を利用するため、形状等の形態を変更することにより容易に緩衝性能を変更でき、緩衝性能に対する設計自由度を高めることができる。したがって、電磁弁の種類に対応して緩衝性能を最適化することができ、発生する衝突音の大きさを最小化することができる。この結果、特に、使用時の静粛性が要求される医療機器における薬液や試液等の供給制御に用いて最適となる。また、樹脂素材により形成した緩衝体の形態変形を利用するため、温度による体積の収縮や長期使用に伴う物性の劣化等の影響を受けにくい。したがって、使用する温度環境や経年劣化により衝突音に対する吸収能力の変化、即ち、発生する衝突音の大きさが変化する(バラつく)などの不具合を解消できる。この結果、衝突音が発生するとしても衝突音の大きさの一定化及び品質の安定化に寄与できる。
以上、好適実施形態について詳細に説明したが、本発明は、このような実施形態に限定されるものではなく、細部の構成,形状,素材,数量,数値等において、本発明の要旨を逸脱しない範囲で、任意に変更,追加,削除することができる。例えば、一対のレール着脱部Pmf,Pmsとして、一方のレール着脱部Pmfに、フック式に係止する係止機能をもたせるとともに、他方のレール着脱部Pmsに、クリック式に係合する弾性を有する係合機能をもたせた例を示したが、この形態に限定されるものではない。また、第一規制部3fを、特定方向Fsに延出したプレート片部3fsにより形成するとともに、第一ガイド部4fを、当該プレート片部3fsが挿通する挿通孔部4fhにより形成し、他方、第二規制部3sを、特定方向Fsに長いスリット部3ssにより形成するとともに、第二ガイド部4sを、スリット部3ssの辺部が係合する溝部4ssを設けた突起部4smにより形成する場合を例示したが、その他、第一規制部3f側と第二規制部3s側の構成を入れ替えたり、第二規制部3s側(又は第一規制部3f側)を第一規制部3f側(第二規制部3s側)と同様に形成するなど、他の実施形態を排除するものではない。なお、電磁弁Vとして、2ポート弁を例示したが、3ポート弁や4ポート弁等を含む各種タイプの電磁弁に適用することができる。