JP6049174B2 - マイクロホン用ショックマウント部材およびこれを用いたダイナミックマイクロホン - Google Patents
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Description
このダイナミックマイクロホンは、周知のとおりボーカル用のマイクロホンとして好適に用いられているが、ボイスコイルを備えた振動板を含む振動系の質量が大きいために、マイクロホンケースを手で握って使用する場合には、振動雑音(タッチノイズ)が生成され易いという問題を抱えている。
その手段の一つとして、振動板に生ずる慣性力を背部気室に生ずる圧力で相殺することで、振動雑音の発生を抑制するキャンセル方式が提案されている。
そして、前記マイクロホンユニットと前記中空体とは、ゴム素材により構成されたショックマウント部材を介して、マイクロホンケース内に取り付けられる。
この時、前記中空体による背部気室に生ずる圧力変化が前記振動板の背面に作用し、結果として前記振動系が磁気回路に対して相対移動するのを抑えるキャンセル作用が発生する。これにより振動雑音の発生を効果的に低減させることが可能となる。
このショックマウント部材1は、前記したとおりゴム素材により全体が円盤状に、すなわち円形状にして偏平状に形成されており、環状の外周体1aと環状の内周体1bとが、放射方向に形成された連結部1cを介して一体に成形されている。
そして、前記外周体1aの外周縁部1fがマイクロホンケースの内壁面に取り付けられると共に、前記内周体1bの内周縁部1gにおいて、マイクロホンユニットもしくはマイクロホンユニットの背部気室を構成する中空体を支持するように構成されている。
しかしながら、ショックマウント部材の硬度が前記公差の範囲内であるとしても、実際にダイナミックマイクロホンに装填して利用した場合においては、振動雑音の低減効果に大きなばらつきが生ずることが知られている。
すなわち、図8において縦軸は信号対雑音比(振動雑音)、横軸は周波数を示したものであり、特性aはゴム硬度が42度のものによるショックマウント部材を用いた場合の例を示しており、特性bはゴム硬度が47度のものによるショックマウント部材を用いた場合の例を示している。
したがって、ショックマウント部材を構成するゴム硬度を、より厳しく管理することが可能であれば、振動雑音のばらつきを抑えることが可能になるものの、現実においてはショックマウント部材を構成するゴム素材の原材料を含めて硬度管理をすることは難しい。
加えてこの発明は前記したショックマウント部材を利用することにより、マイクロホンユニットおよびマイクロホンユニットの背部気室を構成する中空体とを含む被支持体の共振周波数を容易に選択可能にし、モデルに応じて最適な振動雑音性能を有するダイナミックマイクロホンを提供することを課題とするものである。
この構成によれば、前記各連結部に施された複数の各開口が連通するように、各開口により分割された各連結部を選択的に切除することにより、ショックマウント部材としての硬度を容易に選択することができる。これにより汎用性の高いショックマウント部材を提供することができる。
符号11はマイクロホンユニットを示しており、このマイクロホンユニット11は周知のとおり、ボイスコイルを備えた振動板12および前記ボイスコイルが振動可能に配置された磁気ギャップを有する磁気回路13を備えており、このマイクロホンユニット11の前記磁気回路13を構成するヨークの周側面が、円筒状に形成されたホルダー14に嵌め込まれた状態で取り付けられている。
そして、前記マイクロホンユニット11と前記中空体21を含む被支持体は、ゴム素材により構成された第1のショックマウント部材1と、第2のショックマウント部材2に支持されて、マイクロホンケース31内に取り付けられている。
また、前記第2のショックマウント部材2は、前記した被支持体がマイクロホンケース31内においてローリングするのを防止するために、さらに前記したキャンセル方式を採用した場合において、前記中空体21側を密閉するために配置されたものである。
これによりマイクロホンユニット11は、マイクロホンケース31内でのローリングがより抑制され、マイクロホンユニット11のローリングにより発生する振動雑音も低減させるように作用する。
なお、図1における符号26は前記マイクロホンケース31内を密封するための封止部材である。
このショックマウント部材1は、図7に基づいてすでに基本形態を説明したとおり、ゴム素材(CR系ゴム)により全体が円盤状に、すなわち円形状にして偏平状に形成されており、環状の外周体1aと環状の内周体1bとが、放射方向に形成された連結部1cを介して一体に成形されている。
また、前記外周体1aと内周体1bとを連結する各連結部1cには、厚さ方向に貫通する複数の開口1eが、各連結部1cの周方向に沿って円弧状に配列されて施されている。
この構成により前記連結部1cは細長い各開口1eによって、周方向にさらに分割されている。
なお、図1に示す例においては、第1のショックマウント部材1は、マイクロホンユニット11の背部気室22を構成する中空体21を支持するように構成されているが、第1のショックマウント部材1によってマイクロホンユニット11を支持するように構成される場合もある。
このように、円弧状のスリット1dの周方向の長さを順に拡張することで、連結部1cの周方向の幅は順次狭くなり、ショックマウント部材1の実質的なゴム硬度は低下することになる。
なお、図6に示す特性eは、図2に示すショックマウント部材1を利用した場合のマイクロホンの周波数レスポンスを示している。
したがって、この発明に係るショックマウント部材をキャンセル方式を採用したダイナミックマイクロホンに利用することで、それぞれのモデルに応じて振動雑音レベルを調整することが可能になるなど、前記した発明の効果の欄に記載したとおりの作用効果を得ることができる。
また、開口1eにより分割された連結部1cを、スリット1dに近い方から順に切除することなく、開口1e同士を連通させるように連結部1cを切除することで、振動雑音のレベルを調整することもできる。
1a 外周体
1b 内周体
1c 連結部
1d スリット
1e 開口
1f 外周縁
1g 内周縁
1h ビス挿入穴
2 第2のショックマウント部材
11 マイクロホンユニット
12 振動板
13 磁気回路
14 ホルダー
21 中空体
22 背部気室
23 開口(通気抵抗体)
24 錘
26 封止部材
31 マイクロホンケース
33 出力コネクタ
34 絶縁基台
Claims (3)
- 環状の外周体と環状の内周体との間に、周方向に沿って3つのスリットが形成されることにより、前記各スリット間に周方向に等間隔で3つの連結部が放射方向に形成されてなる全体がゴム素材により偏平状に一体形成されたマイクロホン用ショックマウント部材であって、
前記各連結部には、その中央部を除いた前記中央部の両外側に、それぞれ複数かつ同数の放射方向に細長い厚さ方向に貫通する開口が施されると共に、前記各連結部には、同数の前記開口がそれぞれ施されていることを特徴とするマイクロホン用ショックマウント部材。 - 請求項1に記載されたマイクロホン用ショックマウント部材を用いたダイナミックマイクロホンであって、
前記マイクロホン用ショックマウント部材における前記外周体の外周縁部がマイクロホンケースに取り付けられると共に、前記内周体の内周縁部においてマイクロホンユニットもしくはマイクロホンユニットの背部気室を構成する中空体を支持したことを特徴とするダイナミックマイクロホン。 - 前記マイクロホン用ショックマウント部材に施された複数の開口により分割された前記連結部を、選択的に切除可能にしたことを特徴とする請求項2に記載されたダイナミックマイクロホン。
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