図1は、上記非特許文献1で開示されているような従来の光伝送経路切替装置を用いた光伝送システムの構成を示す模式図である。図1に示すように、従来の光伝送経路切替装置100Pは、主系光入力部3MPと、予備系光入力部3RPと、2入力1出力型の光スイッチ5Pと、主系光伝送経路部5MPと、予備系光伝送経路部5RPと、出力用伝送経路7Pと、制御基板9Pと、光出力部11Pと、を備える。
主系光入力部3MPには、外部のヘッドエンド51から主系の光伝送信号MPが入力され、予備系光入力部3RPには、外部のヘッドエンド51から予備系の光伝送信号RPが入力される。主系の光伝送信号MPと予備系の光伝送信号RPは、同一内容の光変調信号である。主系の光伝送信号MPは、主系光伝送経路部5MPによって、主系光入力部3MPから光スイッチ5Pの第1入力ポートまで導かれる。同様に、予備系の光伝送信号RPは、予備系光伝送経路部5RPによって予備系光入力部3RPから光スイッチ5Pの第2入力ポートまで導かれる。光スイッチ5Pの出力ポートから出力された光信号は、出力用伝送経路7Pによって光出力部11Pまで導かれ、ここから外部に出力される。外部に出力された光信号は、各家庭等に設置された光信号受信部61によって受信されて復調され、映像や音声が再生される。
主系光伝送経路部5MPには、光カプラ等の光分岐手段13MPを介して、主系光伝送経路部5MP内を伝送する光信号の光強度を測定するための主系光強度測定部15MPが設けられている。予備系光伝送経路部5RPには、光カプラ等の光分岐手段13RPを介して、予備系光伝送経路部5RP内を伝送する光信号の光強度を測定するための予備系光強度測定部15RPが設けられている。制御基板9Pは、主系光強度測定部15MP及び予備系光強度測定部15RPから、これらの測定結果のデータを受け取り、主系光伝送経路部5MP内を伝送する主系の光伝送信号MPと、予備系光伝送経路部5RP内を伝送する予備系の光伝送信号RPが、正常に伝送されているか否かを判断する。この判断結果に基づき、制御基板9Pは、正常に伝送されている光伝送信号が光スイッチ5Pから出力されるように、光スイッチ5Pに制御信号を送信し、光スイッチ5Pの入力ポートを選択する。
これにより、ヘッドエンド51から光スイッチ5Pまでの光伝送経路が、主系の光伝送経路(即ち、光信号がヘッドエンド51から主系光伝送経路部5MPを経由して光スイッチ5Pの出力ポートまで伝送する際の光伝送経路)と、予備系の光伝送経路(即ち、光信号がヘッドエンド51から予備系光伝送経路部5RPを経由して光スイッチ5Pの出力ポートまで伝送する際の光伝送経路)とに二重化される。そのため、運用する光伝送経路を一方の光伝送経路から他方の光伝送経路に切り替えることが可能となるため、光伝送経路の冗長化が達成される。例えば、主系の光伝送経路を運用している際に、当該光伝送経路のいずれかの部分で断線等の問題が生じると、制御基板9Pは主系光強度測定部15MPからの測定結果のデータに基づき上記問題が発生したと判断することができる。その後すぐに、制御基板9Pは、光スイッチ5Pの第2入力ポートが選択されるように光スイッチ5Pに制御信号を送信することにより、運用する光伝送経路を予備系の光伝送経路に切り替える。これにより、予備系の光伝送信号RPが光出力部11Pから出力されるため、上記問題が発生しても光信号の伝送を維持することができる。
上述のように、光伝送経路の断線等の問題が生じて光伝送経路を切り替える際、主系の光伝送経路の光伝送経路長と、予備系の光伝送経路の光伝送経路長との差(主系と予備系の光伝送経路長差)が大きい場合、光伝送経路の切り替えの際のブラックアウト時間(映像や音声が再生されなくなる時間)が長く(例えば、数秒以上)なってしまうという問題がある。
光伝送経路の切り替えの際のブラックアウト時間を短くするためには、主系と予備系の光伝送経路長差が十分に小さくなるように光伝送システムを構築する必要がある。
ただし、主系の光伝送経路の光伝送経路長及び予備系の光伝送経路の光伝送経路長は、支障移転等に起因して、光伝送システムの構築後にも変化する場合がある。そのため、光伝送システムの構築後においても、主系の光伝送経路の光伝送経路長及び予備系の光伝送経路の光伝送経路長を、光伝送経路切替装置100P内において変更できるようにすることが好ましい。このような変更を行うための方法として、光伝送経路切替装置100P内の主系光伝送経路部5MP及び予備系光伝送経路部5RPに予め着脱可能な光伝送経路等からなる光伝送経路長調整部を介在させておくことが考えられる。これにより、主系光伝送経路部5MP又は予備系光伝送経路部5RPの光伝送経路長調整部を、それとは異なる光伝送経路長を有する他の光伝送経路長調整部に取り換える作業を行うことにより、光伝送システムの運用中であっても、主系の光伝送経路及び予備系の光伝送経路のうち、運用していない光伝送経路の光伝送経路長を調整することが可能となる。
しかしながら、このような作業を行う際は、主系の光伝送経路及び予備系の光伝送経路のうち、運用していない光伝送経路を一時的に断線する必要がある。そのため、当該作業中に主系の光伝送経路及び予備系の光伝送経路のうち、運用している光伝送経路に断線等の問題が生じた場合、光伝送経路切替装置100Pの光出力部11Pからの光信号の出力が途切れてしまうため、各家庭等に設置された光信号受信部において再生される映像や音声も途切れてしまう。したがって、従来の光伝送経路切替装置100Pを用いた光伝送システムにおいては、運用中に主系と予備系の光伝送経路長差の調整を行う際の冗長化が十分ではないという問題がある。
本発明はこのような課題に鑑みてなされたものであり、運用中に主系と予備系の光伝送経路長差の調整を行う際の冗長化が可能な光伝送経路切替装置、及び、そのような光伝送経路切替装置を使用した光伝送システムを提供することを目的とする。
上述の課題を解決するため、本発明に係る光伝送経路切替装置は、外部から主系の光伝送信号を入力するための主系光入力部と、外部から予備系の光伝送信号を入力するための予備系光入力部と、主系光入力部に入力された主系の光伝送信号を分岐することにより、主系第1分岐光伝送信号と、主系第2分岐光伝送信号と、を生成する主系分岐部と、予備系光入力部に入力された予備系の光伝送信号を分岐することにより、予備系第1分岐光伝送信号と、予備系第2分岐光伝送信号と、を生成する予備系分岐部と、4入力1出力型の光スイッチと、主系第1分岐光伝送信号を、主系分岐部から光スイッチの第1入力ポートまで導く主系第1分岐光伝送経路部と、主系第2分岐光伝送信号を、主系分岐部から、主系光伝送経路長調整部を経由させて光スイッチの第2入力ポートまで導く主系第2分岐光伝送経路部と、予備系第1分岐光伝送信号を、予備系分岐部から光スイッチの第3入力ポートまで導く予備系第1分岐光伝送経路部と、予備系第2分岐光伝送信号を、予備系分岐部から、予備系光伝送経路長調整部を経由させて光スイッチの第4入力ポートまで導く予備系第2分岐光伝送経路部と、主系第1分岐光伝送経路部、主系第2分岐光伝送経路部、予備系第1分岐光伝送経路部、及び、予備系第2分岐光伝送経路部内を伝送する光伝送信号のそれぞれの光強度を測定するための第1〜第4光強度測定部と、光スイッチの出力ポートから出力された光伝送信号を外部に出力する光出力部と、を備え、主系光伝送経路長調整部は、主系第2分岐光伝送信号が主系分岐部から第2入力ポートまで伝送する際の光伝送経路長を調整するためのものであり、主系第2分岐光伝送経路部には、主系光伝送経路長調整部を着脱可能に光接続させることが可能であり、予備系光伝送経路長調整部は、予備系第2分岐光伝送信号が予備系分岐部から第4入力ポートまで伝送する際の光伝送経路長を調整するためのものであり、予備系第2分岐光伝送経路部には、予備系光伝送経路長調整部を着脱可能に光接続させることが可能であることを特徴とする。
本発明に係る光伝送経路切替装置においては、主系の光伝送信号が主系光入力部から光スイッチまで伝送する光伝送経路として、主系第1分岐光伝送経路部を経由する光伝送経路と、主系第2分岐光伝送経路部を経由する光伝送経路との2つの光伝送経路が存在する。同様に、予備系の光伝送信号が予備系光入力部から光スイッチまで伝送する経路として、予備系第1分岐光伝送経路部を経由する光伝送経路と、予備系第2分岐光伝送経路部を経由する光伝送経路との2つの光伝送経路が存在する。そして、主系第2分岐光伝送経路部には、主系光伝送経路長調整部を着脱可能に光接続させることが可能であると共に、予備系第2分岐光伝送経路部には、予備系光伝送経路長調整部を着脱可能に光接続させることが可能である。
これにより、予備系第2分岐光伝送経路部に取り付けられている予備系光伝送経路長調整部を、その光伝送経路長とは異なる光伝送経路長を有する他の予備系光伝送経路長調整部に取り換える作業を行うことにより、主系の光伝送経路を運用中であっても予備系の光伝送経路の光伝送経路長を調整することができる。そして、当該作業中、予備系の光伝送経路のうち、予備系の光伝送信号が予備系第1分岐光伝送経路部を経由する光伝送経路の接続を維持することができる。そのため、当該作業中に運用中の主系の光伝送経路のいずれかの部分で断線等の問題が生じても、予備系の光伝送経路のうち、予備系の光伝送信号が予備系第1分岐光伝送経路部を経由する光伝送経路を運用するように光伝送経路を切り替えることにより、光伝送信号の出力を維持することができる。
同様に、主系第2分岐光伝送経路部に取り付けられている主系光伝送経路長調整部を、その光伝送経路長とは異なる光伝送経路長を有する他の主系光伝送経路長調整部に取り換える作業を行うことにより、予備系の光伝送経路を運用中であっても主系の光伝送経路の光伝送経路長を調整することができる。そして、当該作業中、主系の光伝送経路のうち、主系の光伝送信号が主系第1分岐光伝送経路部を経由する光伝送経路の接続を維持することができる。そのため、当該作業中に運用中の予備系の光伝送経路のいずれかの部分で断線等の問題が生じても、主系の光伝送経路のうち、主系の光伝送信号が主系第1分岐光伝送経路部を経由する光伝送経路を運用するように光伝送経路を切り替えることにより、光伝送信号の出力を維持することができる。
以上の理由に基づき、本発明に係る光伝送経路切替装置によれば、運用中に主系と予備系の光伝送経路長差の調整を行う際の冗長化が可能となる。
さらに、本発明に係る光伝送経路切替装置は、光スイッチの出力ポートから出力された光伝送信号の強度を測定するための出力光強度測定部をさらに備えることが好ましい。これにより、第1〜第4光強度測定部のいずれかの測定結果と、出力光強度測定部の測定結果とを比較することにより、光スイッチ内における光伝送信号の損失の大きさを測定することができる。
さらに、本発明に係る光伝送経路切替装置は、上記主系光伝送経路長調整部、及び、上記予備系光伝送経路長調整部をさらに備えることが好ましい。これにより、本発明に係る光伝送経路切替装置は、主系の光伝送経路の光伝送経路長を調整するための上記主系光伝送経路長調整部、及び、予備系の光伝送経路の光伝送経路長を調整するための上記予備系光伝送経路長調整部を備える。
さらに、本発明に係る光伝送経路切替装置において、上記主系光伝送経路長調整部は、主系第2分岐光伝送信号の光伝送経路長を調整するための光ファイバ、及び、主系第2分岐光伝送信号の波長分散を補償するための波長分散補償モジュールの少なくとも一方を有しており、上記予備系光伝送経路長調整部は、予備系第2分岐光伝送信号の光伝送経路長を調整するための光ファイバ、及び、予備系第2分岐光伝送信号の波長分散を補償するための波長分散補償モジュールの少なくとも一方を有していることが好ましい。
これにより、主系光伝送経路長調整部及び予備系光伝送経路長調整部の光ファイバの長さを調整することにより、それぞれの光伝送経路長を調整することができる。そのため、異なる光伝送経路長を有する複数の主系光伝送経路長調整部及び予備系光伝送経路長調整部を準備することが容易となる。さらに、主系と予備系の光伝送経路長差の調整を行う際に、主系の光伝送経路及び予備系の光伝送経路の波長分散特性の調整も同時に行うことができる。
さらに、本発明に係る光伝送経路切替装置は、第1〜第4光強度測定部の測定値に基づき、主系第1分岐光伝送信号、主系第2分岐光伝送信号、予備系第1分岐光伝送信号、及び、予備系第2分岐光伝送信号が、それぞれ正常に伝送されているか否かを判断すると共に、主系第1分岐光伝送信号、主系第2分岐光伝送信号、予備系第1分岐光伝送信号、及び、予備系第2分岐光伝送信号のうち、正常に光伝送されている光伝送信号が外部に出力されるように光スイッチを制御する制御部をさらに備えることが好ましい。
これにより、運用中に主系の光伝送経路、及び、予備系の光伝送経路のいずれかの部分で断線等の問題が発生しても、光伝送信号の外部への出力が維持されるように制御部によって自動的に上記光スイッチを制御して光伝送経路を切り替えることができる。
さらに、本発明に係る光伝送経路切替装置は、光スイッチの出力ポートから出力された光伝送信号の品質をモニタリングし、当該光伝送信号の品質に関する情報を制御部に送信する信号品質モニタリング部をさらに備え、制御部は、光伝送信号の品質に関する上記情報にさらに基づいて、主系第1分岐光伝送信号、主系第2分岐光伝送信号、予備系第1分岐光伝送信号、及び、予備系第2分岐光伝送信号が、それぞれ正常に伝送されているか否かを判断することが好ましい。
これにより、運用中に主系の光伝送経路、及び、予備系の光伝送経路のいずれかの部分において、光伝送信号の伝送は維持されるものの当該光伝送信号の品質を悪化させるような問題が生じた場合であっても、制御部によって当該問題が生じている光伝送経路から当該問題が生じていない光伝送経路に切り替えることが可能となる。
また、本発明に係る光伝送システムは、上述のいずれかに記載の光伝送経路切替装置と、ヘッドエンドと、を備え、主系の光伝送信号及び予備系の光伝送信号は、それぞれ1つ以上の光搬送波をアナログ変調することにより生成された光信号であり、ヘッドエンドは、主系の光伝送信号が主系光入力部に入力されるように、及び、予備系の光伝送信号が予備系光入力部に入力されるように、当該主系の光伝送信号及び当該予備系の光伝送信号を出力することを特徴とする。
これにより、本発明に係る光伝送システムによれば、アナログ変調光信号の光伝送が可能となり、また、上述のような光伝送経路切替装置が利用されているため、運用中に主系と予備系の光伝送経路長差の調整を行う際の冗長化が可能となる。
さらに、本発明に係る光伝送システムにおいて、上記1つ以上の光搬送波の少なくとも1つは、ISDB−T規格の直交周波数分割多重変調されていることが好ましい。これにより、ISDB−T規格の直交周波数分割多重変調された光信号の光伝送が可能となる。
さらに、本発明に係る光伝送システムにおいて、ヘッドエンドから、上述のいずれかの光伝送経路切替装置の光スイッチの出力ポートまでの主系の光伝送信号の光伝送経路長と、ヘッドエンドから、上述のいずれかの光伝送経路切替装置の光スイッチの出力ポートまでの予備系の光伝送信号の光伝送経路長との差の絶対値は、ISDB−T規格におけるガードインターバル長の半分以下の値に対応することが好ましい。
これにより、運用する光伝送経路を切り替える際のブラックアウト時間を十分に短くすることが可能となる。
本発明によれば、運用中に主系と予備系の光伝送経路長差の調整を行う際の冗長化が可能な光伝送経路切替装置、及び、そのような光伝送経路切替装置を使用した光伝送システムが提供される。
以下、実施の形態に係る光伝送経路切替装置及び光伝送システムについて、添付図面を参照しながら詳細に説明する。なお、各図面において、可能な場合には同一要素には同一符号を用いる。また、図面中の構成要素内及び構成要素間の寸法比は、図面の見易さのため、それぞれ任意となっている。
(第1実施形態)
第1実施形態に係る光伝送経路切替装置及び光伝送システムについて説明する。図2は、第1実施形態に係る光伝送経路切替装置及び光伝送システムの構成を示す模式図である。
図2に示すように、本実施形態の光伝送システム200は、本実施形態の光伝送経路切替装置100と、ヘッドエンド51と、光信号受信部61と、光伝送経路53M、53R、63と、を有している。
ヘッドエンド51は、テレビ局やラジオ局等の放送局から送信された放送電波を受信して電気信号に変換し、当該電気信号を光伝送信号に変換して出力する。ヘッドエンド51は、主系の光伝送信号Mと予備系の光伝送信号Rの2つの光伝送信号を生成して出力する。主系の光伝送信号Mと予備系の光伝送信号Rは同一内容の光変調信号である。
ヘッドエンド51から出力された主系の光伝送信号Mは、ヘッドエンド51と光伝送経路切替装置100とを光接続する光伝送経路53M内を伝送して光伝送経路切替装置100内に入力され、ヘッドエンド51から出力された予備系の光伝送信号Rは、ヘッドエンド51と光伝送経路切替装置100とを光接続する光伝送経路53R内を伝送して光伝送経路切替装置100内に入力される。光伝送経路53M、光伝送経路53R、及び後述の各光伝送経路及び各光伝送経路部は、光伝送信号を伝送することができる光ファイバ等の光通信ケーブルからなる。
光伝送経路切替装置100に入力された主系の光伝送信号M及び予備系の光伝送信号Rの一部が光伝送経路切替装置100から出力される。光伝送経路切替装置100から出力された光伝送信号は、光伝送経路切替装置100と光信号受信部61とを光接続する光伝送経路63内を伝送し、光信号受信部61によって受信される。光信号受信部61は、受信した光伝送信号の復調処理等を行い、映像や音声が再生される。
(光伝送経路切替装置100の構成について)
続いて、光伝送経路切替装置100の構成の詳細について説明する。図2に示すように、本実施形態の光伝送経路切替装置100は、主系光入力部3Mと、予備系光入力部3Rと、4入力1出力型の光スイッチ5と、主系光伝送経路部7Mと、予備系光伝送経路部7Rと、主系第1分岐光伝送経路部7M1と、主系第2分岐光伝送経路部7M2と、予備系第1分岐光伝送経路部7R1と、予備系第2分岐光伝送経路部7R2と、制御部としての制御基板9と、光出力部11と、主系分岐部13Mと、予備系分岐部13Rと、第1〜第4光強度測定部15M1、15M2、15R1、15R2と、出力光強度測定部19と、主系光伝送経路長調整部23と、予備系光伝送経路長調整部27と、出力光伝送経路部29と、を主として備えている。
主系光入力部3Mは、光伝送経路切替装置100の外部のヘッドエンド51から光伝送経路53Mを介して光伝送経路切替装置100内に主系の光伝送信号Mを入力するための要素である。主系光入力部3Mは、例えば、光伝送経路53Mと主系光伝送経路部7Mとを光接続する光コネクタである。
予備系光入力部3Rは、光伝送経路切替装置100の外部のヘッドエンド51から光伝送経路53Rを介して光伝送経路切替装置100内に予備系の光伝送信号Rを入力するための要素である。予備系光入力部3Rは、例えば、光伝送経路53Rと予備系光伝送経路部7Rとを光接続する光コネクタである。
主系光入力部3Mに入力した主系の光伝送信号Mは、主系光伝送経路部7Mによって主系分岐部13Mに導かれる。主系分岐部13Mは、主系の光伝送信号Mを分岐することにより、主系第1分岐光伝送経路部7M1内を光伝送する主系第1分岐光伝送信号M1と、主系第2分岐光伝送経路部7M2内を光伝送する主系第2分岐光伝送信号M2と、を生成する。主系分岐部13Mは、例えば光分岐カプラからなる。主系分岐部13Mによる主系の光伝送信号Mの分岐比は、1:1とすることができるが、例えば、後述の主系光伝送経路長調整部23内における主系第2分岐光伝送信号M2の損失を補償する等の目的から、1:1以外の分岐比とすることもできる。
主系第1分岐光伝送経路部7M1は、主系分岐部13Mと光スイッチ5の第1入力ポート5P1とを光接続している。そのため、主系第1分岐光伝送経路部7M1は、主系第1分岐光伝送信号M1を主系分岐部13Mから光スイッチ5の第1入力ポート5P1まで導く。
主系第2分岐光伝送経路部7M2は、主系第2分岐光伝送信号M2を、主系分岐部13Mから、主系光伝送経路長調整部23を経由させて光スイッチ5の第2入力ポート5P2まで導くように構成されている。具体的には、本実施形態では、主系第2分岐光伝送経路部7M2は、上流側部分と下流側部分とからなる。当該上流側部分は、主系分岐部13Mと、光コネクタ等からなる光出力部21Aとを光接続し、当該下流部分は、光コネクタ等からなる光入力部21Bと、光スイッチ5の第2入力ポート5P2とを光接続する。
主系第2分岐光伝送経路部7M2の光出力部21Aと光入力部21Bとの間には、主系光伝送経路長調整部23が光接続している。そのため、光出力部21Aから出力した主系第2分岐光伝送信号M2は、主系光伝送経路長調整部23内を光伝送した後に、光入力部21Bから主系第2分岐光伝送経路部7M2内に再び入力し、第2入力ポート5P2に到達する。また、主系光伝送経路長調整部23は、光出力部21Aと光入力部21Bとの間に着脱可能に取り付けられているため、光出力部21Aと光入力部21Bから主系光伝送経路長調整部23を取り外すこと、及び、取り外した後に再び主系光伝送経路長調整部23を光出力部21Aと光入力部21Bとの間に取り付けることが可能である。
また、予備系光入力部3Rに入力した予備系の光伝送信号Rは、予備系光伝送経路部7Rによって予備系分岐部13Rに導かれる。予備系分岐部13Rは、予備系の光伝送信号Rを分岐することにより、予備系第1分岐光伝送経路部7R1内を光伝送する予備系第1分岐光伝送信号R1と、予備系第2分岐光伝送経路部7R2内を光伝送する予備系第2分岐光伝送信号R2と、を生成する。予備系分岐部13Rは、例えば光分岐カプラからなる。予備系分岐部13Rによる予備系の光伝送信号Rの分岐比は、1:1とすることができるが、例えば、後述の予備系光伝送経路長調整部27内における予備系第2分岐光伝送信号R2の損失を補償する等の目的から、1:1以外の分岐比とすることもできる。
予備系第1分岐光伝送経路部7R1は、予備系分岐部13Rと光スイッチ5の第3入力ポート5P3とを光接続している。そのため、予備系第1分岐光伝送経路部7R1は、予備系第1分岐光伝送信号R1を予備系分岐部13Rから光スイッチ5の第3入力ポート5P3まで導く。
予備系第2分岐光伝送経路部7R2は、予備系第2分岐光伝送信号R2を、予備系分岐部13Rから、予備系光伝送経路長調整部27を経由させて光スイッチ5の第4入力ポート5P4まで導くように構成されている。具体的には、本実施形態では、予備系第2分岐光伝送経路部7R2は、上流側部分と下流側部分とからなる。当該上流側部分は、予備系分岐部13Rと、光コネクタ等からなる光出力部25Aとを光接続し、当該下流部分は、光コネクタ等からなる光入力部25Bと、光スイッチ5の第4入力ポート5P4とを光接続する。
予備系第2分岐光伝送経路部7R2の光出力部25Aと光入力部25Bとの間には、予備系光伝送経路長調整部27が光接続している。そのため、光出力部25Aから出力した予備系第2分岐光伝送信号R2は、予備系光伝送経路長調整部27内を光伝送した後に、光入力部25Bから予備系第2分岐光伝送経路部7R2内に再び入力し、第4入力ポート5P4に到達する。また、予備系光伝送経路長調整部27は、光出力部25Aと光入力部25Bとの間に着脱可能に取り付けられているため、光出力部25Aと光入力部25Bから予備系光伝送経路長調整部27を取り外すこと、及び、取り外した後に再び予備系光伝送経路長調整部27を光出力部25Aと光入力部25Bとの間に取り付けることが可能である。
第1〜第4光強度測定部15M1、15M2、15R1、15R2は、それぞれ、主系第1分岐光伝送経路部7M1、主系第2分岐光伝送経路部7M2、予備系第1分岐光伝送経路部7R1、及び、予備系第2分岐光伝送経路部7R2内を光伝送する光伝送信号の強度を測定するための要素である。本実施形態では、第1〜第4光強度測定部15M1、15M2、15R1、15R2は、それぞれ、光分岐カプラ等からなる接続手段16M1、16M2、16R1、16R2によって、主系第1分岐光伝送経路部7M1、主系第2分岐光伝送経路部7M2、予備系第1分岐光伝送経路部7R1、及び、予備系第2分岐光伝送経路部7R2に取り付けられている。第1〜第4光強度測定部15M1、15M2、15R1、15R2は、それぞれ、例えばフォトダイオードからなる。
第1〜第4光強度測定部15M1、15M2、15R1、15R2の測定値のデータDM1、DM2、DR1、DR2は、それぞれ、制御基板9に送信される。
光スイッチ5は、第1入力ポート5P1、第2入力ポート5P2、第3入力ポート5P3、及び、第4入力ポート5P4のいずれか1つに入力した光伝送信号のみを、光スイッチ5の出力ポート5Rから出力する機能を有する。そのため、主系第1分岐光伝送信号M1、主系第2分岐光伝送信号M2、予備系第1分岐光伝送信号R1、及び、予備系第2分岐光伝送信号R2のうちのいずれか1つのみが、光スイッチ5の出力ポート5Rから出力される。
制御基板9は、光スイッチ5に制御信号S9を送信する。この制御信号S9により、光スイッチ5は、第1入力ポート5P1、第2入力ポート5P2、第3入力ポート5P3、及び、第4入力ポート5P4のいずれか1つを選択するように制御される。
出力ポート5Rから出力した光伝送信号は、出力ポート5Rと光出力部11とを光接続する出力光伝送経路部29内を伝送し、光出力部11から光伝送経路切替装置100の外部に出力される。光出力部11は、例えば、出力光伝送経路部29と光伝送経路63とを光接続する光コネクタである。
出力光伝送経路部29には、光分岐カプラ等からなる接続手段17によって、出力光伝送経路部29内を光伝送する光伝送信号の強度を測定するための出力光強度測定部19が取り付けられている。出力光強度測定部19は、例えばフォトダイオードからなる。出力光強度測定部19の測定値のデータD19は、制御基板9に送信される。
(光伝送経路の冗長化について)
上述のような光伝送経路切替装置100の構成に基づき、光伝送システム200において、ヘッドエンド51から光スイッチ5までの光伝送経路が、主系の光伝送経路(即ち、主系の光伝送信号Mがヘッドエンド51から、主系第1分岐光伝送経路部7M1を経由して光スイッチ5の出力ポート5Rまで伝送する際の光伝送経路、及び、主系の光伝送信号Mがヘッドエンド51から、主系第2分岐光伝送経路部7M2を経由して光スイッチ5の出力ポート5Rまで伝送する際の光伝送経路)と、予備系の光伝送経路(即ち、予備系の光伝送信号Rがヘッドエンド51から、予備系第1分岐光伝送経路部7R1を経由して光スイッチ5の出力ポート5Rまで伝送する際の光伝送経路、及び、予備系の光伝送信号Rがヘッドエンド51から、予備系第2分岐光伝送経路部7R2を経由して光スイッチ5の出力ポート5Rまで伝送する際の光伝送経路)とに二重化されている。
そして、制御基板9は、受信した第1〜第4光強度測定部15M1、15M2、15R1、15R2の測定値のデータDM1、DM2、DR1、DR2に基づき、主系第1分岐光伝送信号M1、主系第2分岐光伝送信号M2、予備系第1分岐光伝送信号R1、及び、予備系第2分岐光伝送信号R2が、それぞれ正常に第1入力ポート5P1、第2入力ポート5P2、第3入力ポート5P3、及び、第4入力ポート5P4まで伝送されているか否かを判断する。そして、制御基板9は、当該判断の結果に基づき、正常に伝送されている光伝送信号が光スイッチ5の出力ポート5Rから出力されるように、光スイッチ5に制御信号S9を送信し、光スイッチ5の入力ポートを選択する。
これにより、運用する光伝送経路を一方の光伝送経路から他方の光伝送経路に切り替えることが可能となるため、光伝送経路の冗長化が達成される。
例えば、図2に示すように、光スイッチ5の第1入力ポート5P1を選択することによって(又は、第2入力ポート5P2を選択することによって)、主系の光伝送経路を運用している際に、当該主系の光伝送経路のいずれかの部分で断線等の問題が生じると、制御基板9は第1光強度測定部15M1の測定値のデータDM1(又は、第2光強度測定部15M2の測定値のデータDM2)に基づき上記問題が主系の光伝送経路で発生したと判断することができる。その後すぐに、制御基板9は、光スイッチ5の第3入力ポート5P3(又は第4入力ポート5P4)が選択されるように光スイッチ5に制御信号S9を送信することにより、運用する光伝送経路を予備系の光伝送経路に切り替える。これにより、予備系の光伝送信号が出力ポート5Rから出力されるため、上記問題が発生しても光信号の伝送を維持することができる。
予備系の光伝送経路を運用している際に、当該予備系の光伝送経路のいずれかの部分で断線等の問題が生じた場合も、同様に運用する光伝送経路を主系の光伝送経路に切り替えることができる。これにより、光信号の伝送を維持することができる。
(運用中に主系と予備系の光伝送経路長差の調整を行う際の冗長化について)
上述のように光伝送経路を切り替える際のブラックアウト時間を短くするためには、主系の光伝送経路の光伝送経路長及び/又は予備系の光伝送経路の光伝送経路長を調整することにより、主系の光伝送経路の光伝送経路長と予備系の光伝送経路の光伝送経路長との差(主系と予備系の光伝送経路長差)を小さくする必要がある。
本実施形態の光伝送システム200においては、光伝送経路切替装置100内の主系光伝送経路長調整部23及び予備系光伝送経路長調整部27によって、主系の光伝送経路の光伝送経路長、及び/又は、予備系の光伝送経路の光伝送経路長を調整することができる。
図3(A)は、主系光伝送経路長調整部の構成例を示す模式図であり、図3(B)は、予備系光伝送経路長調整部の構成例を示す模式図である。
主系光伝送経路長調整部23は、主系第2分岐光伝送信号M2が主系分岐部13Mから第2入力ポート5P2まで伝送する際の光伝送経路長を調整するための要素である。上述のように、主系光伝送経路長調整部23は、光出力部21Aと光入力部21Bとの間に着脱可能に取り付けられている。そして、図3(A)に示すように、本実施形態の主系光伝送経路長調整部23は、光ファイバ23Aと、波長分散補償モジュール23Bと、光伝送経路部23Cと、を有する。
光ファイバ23Aは、主系第2分岐光伝送信号M2の光伝送経路長を調整するための要素である。光ファイバ23Aによって主系第2分岐光伝送信号M2の光伝送経路長を調整することにより、主系の光伝送経路の光伝送経路長を調整することができる。
波長分散補償モジュール23Bは、主系第2分岐光伝送信号M2の波長分散を補償するためのファイバ型及びファイバグレーティング型等のモジュールであり、主として光ファイバ23Aに起因する主系第2分岐光伝送信号M2の波長分散を補償する。なお、主系光伝送経路長調整部23は、波長分散補償モジュール23Bを有していなくてもよい。
光伝送経路部23Cは、光出力部21Aから主系光伝送経路長調整部23に入力した主系第2分岐光伝送信号M2を、光ファイバ23A及び波長分散補償モジュール23Bを経由させた後に、光入力部21Bに入力させるための要素である。
同様に、予備系光伝送経路長調整部27は、予備系第2分岐光伝送信号R2が予備系分岐部13Rから第4入力ポート5P4まで伝送する際の光伝送経路長を調整するための要素である。上述のように、予備系光伝送経路長調整部27は、光出力部25Aと光入力部25Bとの間に着脱可能に取り付けられている。そして、図3(B)に示すように、本実施形態の予備系光伝送経路長調整部27は、光ファイバ27Aと、波長分散補償モジュール27Bと、光伝送経路部27Cと、を有する。
光ファイバ27Aは、予備系第2分岐光伝送信号R2の光伝送経路長を調整するための要素である。光ファイバ27Aによって予備系第2分岐光伝送信号R2の光伝送経路長を調整することにより、主系の光伝送経路の光伝送経路長を調整することができる。
波長分散補償モジュール27Bは、予備系第2分岐光伝送信号R2の波長分散を補償するためのファイバ型及びファイバグレーティング型等のモジュールであり、主として光ファイバ27Aに起因する予備系第2分岐光伝送信号R2の波長分散を補償する。なお、予備系光伝送経路長調整部27は、波長分散補償モジュール27Bを有していなくてもよい。
光伝送経路部27Cは、光出力部25Aから予備系光伝送経路長調整部27に入力した予備系第2分岐光伝送信号R2を、光ファイバ27A及び波長分散補償モジュール27Bを経由させた後に、光入力部25Bに入力させるための要素である。
図4〜図7は、光伝送経路切替装置の運用中に主系と予備系の光伝送経路長差の調整を行う方法を説明するための光伝送経路切替装置の一部分の構成を示す模式図である。
例えば、主系の光伝送経路を運用している際(図2参照)に主系と予備系の光伝送経路長差の調整を行う場合、まず、図4に示すように、予備系光伝送経路長調整部27Sを準備する。予備系光伝送経路長調整部27Sは、予備系光伝送経路長調整部27の光伝送経路長とは異なる大きさの光伝送経路長であって、予備系光伝送経路長調整部27と交換されることにより主系と予備系の光伝送経路長差が小さくなるような光伝送経路長を有する。このような予備系光伝送経路長調整部27Sは、例えば、予備系光伝送経路長調整部27の光ファイバ27A(図3(B)参照)とは異なる光伝送経路長を有する光ファイバを備える部材とすることができる。
さらに、図4に示すように、予備系光伝送経路長調整部27を光出力部25A及び光入力部25Bから取り外すことにより、予備系第2分岐光伝送経路部7R2から取り外す。続いて、図5に示すように、予備系光伝送経路長調整部27Sを光出力部25A及び光入力部25Bに取り付けることにより、予備系第2分岐光伝送経路部7R2に取り付ける。これにより、主系と予備系の光伝送経路長差が小さくなるように当該光伝送経路長差が調整される。
また、予備系の光伝送経路を運用している際においても、同様の方法で主系と予備系の光伝送経路長差の調整を行うことができる。即ち、予備系の光伝送経路が運用されている際は、光スイッチ5の第3入力ポート5P3(又は第4入力ポート5P4)が選択されている(図2参照)。その状態から、まず、図6に示すように、主系光伝送経路長調整部23Sを準備する。主系光伝送経路長調整部23Sは、主系光伝送経路長調整部23の光伝送経路長とは異なる大きさの光伝送経路長であって、主系光伝送経路長調整部23と交換されることにより主系と予備系の光伝送経路長差が小さくなるような光伝送経路長を有する。このような主系光伝送経路長調整部23Sは、例えば、主系光伝送経路長調整部23の光ファイバ23A(図3(A)参照)とは異なる光伝送経路長を有する光ファイバを備える部材とすることができる。
さらに、図6に示すように、主系光伝送経路長調整部23を光出力部21A及び光入力部21Bから取り外すことにより、主系第2分岐光伝送経路部7M2から取り外す。続いて、図7に示すように、主系光伝送経路長調整部23Sを光出力部21A及び光入力部21Bに取り付けることにより、主系第2分岐光伝送経路部7M2に取り付ける。これにより、主系と予備系の光伝送経路長差が小さくなるように当該光伝送経路長差が調整される。
上述のように、本実施形態の光伝送経路切替装置100においては、主系の光伝送信号Mが主系光入力部3Mから光スイッチ5まで伝送する光伝送経路として、主系第1分岐光伝送経路部7M1を経由する光伝送経路と、主系第2分岐光伝送経路部7M2を経由する光伝送経路との2つの光伝送経路が存在する(図2参照)。同様に、予備系の光伝送信号Rが予備系光入力部3Rから光スイッチ5まで伝送する経路として、予備系第1分岐光伝送経路部7R1を経由する光伝送経路と、予備系第2分岐光伝送経路部7R2を経由する光伝送経路との2つの光伝送経路が存在する(図2参照)。そして、主系第2分岐光伝送経路部7M2には、主系光伝送経路長調整部23を着脱可能に光接続させることが可能であると共に、予備系第2分岐光伝送経路部7R2には、予備系光伝送経路長調整部27を着脱可能に光接続させることが可能である(図2参照)。
これにより、予備系第2分岐光伝送経路部7R2に取り付けられている予備系光伝送経路長調整部27を、その光伝送経路長とは異なる光伝送経路長を有する他の予備系光伝送経路長調整部27Sに取り換える作業を行うことにより、主系の光伝送経路を運用中であっても予備系の光伝送経路の光伝送経路長を調整することができる(図4及び図5参照)。そして、当該作業中、予備系の光伝送経路のうち、予備系の光伝送信号Rが予備系第1分岐光伝送経路部7R1を経由する光伝送経路の接続を維持することができる。そのため、当該作業中に運用中の主系の光伝送経路のいずれかの部分(例えば、光伝送経路53M)で断線等の問題が生じても、予備系の光伝送経路のうち、予備系の光伝送信号Rが予備系第1分岐光伝送経路部7R1を経由する光伝送経路を運用するように光伝送経路を切り替えることにより、光伝送信号の出力を維持することができる(図4及び図5参照)。
同様に、主系第2分岐光伝送経路部7M2に取り付けられている主系光伝送経路長調整部23を、その光伝送経路長とは異なる光伝送経路長を有する他の主系光伝送経路長調整部23Sに取り換える作業を行うことにより、予備系の光伝送経路を運用中であっても主系の光伝送経路の光伝送経路長を調整することができる(図6及び図7参照)。そして、当該作業中、主系の光伝送経路のうち、主系の光伝送信号Mが主系第1分岐光伝送経路部7M1を経由する光伝送経路の接続を維持することができる。そのため、当該作業中に運用中の予備系の光伝送経路のいずれかの部分(例えば、光伝送経路53R)で断線等の問題が生じても、主系の光伝送経路のうち、主系の光伝送信号Mが主系第1分岐光伝送経路部7M1を経由する光伝送経路を運用するように光伝送経路を切り替えることにより、光伝送信号の出力を維持することができる(図6及び図7参照)。
以上の理由に基づき、本実施形態の光伝送経路切替装置100によれば、運用中に主系と予備系の光伝送経路長差の調整を行う際の冗長化が可能となる。また、本実施形態の光伝送システム200によれば、上述のような光伝送経路切替装置100が利用されているため、運用中に主系と予備系の光伝送経路長差の調整を行う際の冗長化が可能となる。
さらに、上述のように本実施形態の光伝送経路切替装置100は、光スイッチ5の出力ポート5Rから出力された光伝送信号の強度を測定するための出力光強度測定部19をさらに備えている(図2参照)。これにより、第1光強度測定部15M1の測定値のデータDM1、第2光強度測定部15M2の測定値のデータDM2、第3光強度測定部15R1の測定値のデータDR1、及び、第4光強度測定部15R2の測定値のデータDR2のいずれかと、出力光強度測定部19の測定値のデータD19とを制御基板9において比較することにより、光スイッチ5内における光伝送信号の損失の大きさを測定することができる。
さらに、上述のように本実施形態の光伝送経路切替装置100において、主系光伝送経路長調整部23は、主系第2分岐光伝送信号M2の光伝送経路長を調整するための光ファイバ23A、及び、主系第2分岐光伝送信号M2の波長分散を補償するための波長分散補償モジュール23Bを有しており、予備系光伝送経路長調整部27は、予備系第2分岐光伝送信号R2の光伝送経路長を調整するための光ファイバ27A、及び、予備系第2分岐光伝送信号R2の波長分散を補償するための波長分散補償モジュール27Bを有している(図2及び図3参照)。
これにより、主系光伝送経路長調整部23及び予備系光伝送経路長調整部27の光ファイバ23A、27Aの長さを調整することにより、それぞれの光伝送経路長を調整することができる。そのため、異なる光伝送経路長を有する複数の主系光伝送経路長調整部23及び予備系光伝送経路長調整部27を準備することが容易となる。さらに、主系と予備系の光伝送経路長差の調整を行う際に、主系光伝送経路長調整部23の波長分散補償モジュール23B及び予備系光伝送経路長調整部27の波長分散補償モジュール27Bによって、主系の光伝送経路及び予備系の光伝送経路の波長分散特性の調整も同時に行うことができるため、光伝送信号の劣化を抑制することができる。
さらに、本実施形態の光伝送経路切替装置100は、第1光強度測定部15M1の測定値のデータDM1、第2光強度測定部15M2の測定値のデータDM2、第3光強度測定部15R1の測定値のデータDR1、及び、第4光強度測定部15R2の測定値のデータDR2に基づき、主系第1分岐光伝送信号M1、主系第2分岐光伝送信号M2、予備系第1分岐光伝送信号R1、及び、予備系第2分岐光伝送信号R2が、それぞれ正常に伝送されているか否かを判断すると共に、主系第1分岐光伝送信号M1、主系第2分岐光伝送信号M2、予備系第1分岐光伝送信号R1、及び、予備系第2分岐光伝送信号R2のうち、正常に光伝送されている光伝送信号が外部に出力されるように光スイッチ5を制御する制御基板9をさらに備える(図2参照)。
これにより、運用中に主系の光伝送経路、及び、予備系の光伝送経路のいずれかの部分で断線等の問題が発生しても、光伝送信号の外部への出力が維持されるように制御基板9によって自動的に光スイッチ5を制御して光伝送経路を切り替えることができる。
また、本実施形態の光伝送システム200において、主系の光伝送信号M及び予備系の光伝送信号Rは、それぞれ1つ以上の光搬送波をアナログ変調することにより生成された光信号であることが好ましい。
これにより、本実施形態の光伝送システム200によって、アナログ変調光信号の光伝送が可能となり、また、上述のような光伝送経路切替装置100が利用されているため、運用中に主系と予備系の光伝送経路長差の調整を行う際の冗長化が可能となる。
さらに、本実施形態の光伝送システム200において、上記1つ以上の光搬送波の少なくとも1つは、ISDB−T(Integrated Services Digital Broadcasting- Terrestrial)規格の直交周波数分割多重変調されていることが好ましい。これにより、ISDB−T規格の直交周波数分割多重変調された光信号の光伝送が可能となる。
さらに、本実施形態の光伝送システム200において、ヘッドエンド51から、光伝送経路切替装置100の光スイッチ5の出力ポート5Rまでの主系の光伝送信号Mの光伝送経路長(即ち、主系の光伝送信号Mがヘッドエンド51から主系第1分岐光伝送経路部7M1を経由して出力ポート5Rまで伝送する光伝送経路の光伝送経路長、又は、主系の光伝送信号Mがヘッドエンド51から主系第2分岐光伝送経路部7M2を経由して出力ポート5Rまで伝送する光伝送経路の光伝送経路長)と、ヘッドエンドから、光伝送経路切替装置100の光スイッチ5の出力ポート5Rまでの予備系の光伝送信号の光伝送経路長(即ち、予備系の光伝送信号Rがヘッドエンド51から予備系第1分岐光伝送経路部7R1を経由して出力ポート5Rまで伝送する光伝送経路の光伝送経路長、又は、予備系の光伝送信号Rがヘッドエンド51から予備系第2分岐光伝送経路部7R2を経由して出力ポート5Rまで伝送する光伝送経路の光伝送経路長)との差の絶対値は、ISDB−T規格におけるガードインターバル長の半分以下の値に対応することが好ましい(図2参照)。即ち、上記の差の絶対値は、ガードインターバルの時間に光伝送信号が、光伝送システム200における各光伝送経路及び各光伝送経路部内を光伝送する距離の半分以下の値であることが好ましい。
これにより、この条件を満たす光伝送経路間で運用する光伝送経路を切り替える際のブラックアウト時間を十分に短くすることが可能となる。
表1は、ISDB−T規格のOFDM(Orthogonal Frequency Division Multiplexing、直交周波数分割多重)信号のセグメントパラメータを示す表である。例えば、表1におけるmode3のOFDM信号を採用し、ガードインターバルとして125μsec.を採用し、光伝送システム200における各光伝送経路及び各光伝送経路部としてコアの屈折率が1.46の光ファイバを用いた場合、当該ガードインターバルの時間に、光伝送信号は126×10−6×3.0×108(光速)/1.46≒25890m=25.890km光伝送する。そのため、上記の差の絶対値は、25890/2=12945m=12.945km以下であることが好ましい。
(第2実施形態)
次に、第2実施形態に係る光伝送経路切替装置及び光伝送システムについて説明する。本実施形態の説明においては、第1実施形態と同一の要素については同一の符号を付すことにより、その詳細な説明を省略する場合がある。
図8は、第2実施形態に係る光伝送経路切替装置及び光伝送システムの構成を示す模式図である。
図8に示すように、第2実施形態の光伝送システム200Bは、光伝送経路切替装置の構成において第1実施形態の光伝送経路切替装置100と異なる。また、第2実施形態の光伝送経路切替装置100Bは、信号品質モニタリング部77と、光分岐カプラ等からなる接続手段71と、光伝送経路72と、をさらに備える点において、第1実施形態の光伝送経路切替装置100と異なる。そのため、第2実施形態の光伝送経路切替装置100Bは、第1実施形態の光伝送経路切替装置100と同様の理由に基づき、運用中に主系と予備系の光伝送経路長差の調整を行う際の冗長化が可能となり、第2実施形態の光伝送システム200Bは、第1実施形態の光伝送システム200と同様の理由に基づき、運用中に主系と予備系の光伝送経路長差の調整を行う際の冗長化が可能となる。
第2実施形態の光伝送経路切替装置100Bが備える信号品質モニタリング部77は、光スイッチ5の出力ポート5Rから出力された光伝送信号の品質をモニタリングする。本実施形態では、光スイッチ5の出力ポート5Rから出力され、さらに光出力部11から出力された光伝送信号は、光伝送経路63に設けられた接続手段71によって、光信号受信部61に入力する光伝送信号と、光伝送経路72内を光伝送して信号品質モニタリング部77に入力する光伝送信号と、に分岐される。
本実施形態の信号品質モニタリング部77は、信号品質モニタリング部77に入力された光伝送信号を電気信号に変換するO/E変換器73と、O/E変換器73によって生成された電気信号を受信して、信号品質モニタリング部77に入力した光伝送信号の品質を評価する監視装置75と、を有する。監視装置75は、信号品質モニタリング部77に入力した光伝送信号のBER(Bit Error Rate、符号誤り率)やCNR(Carrier to Noise Ratio、信号対雑音比)等の品質を評価する。その後、監視装置75は、信号品質モニタリング部77に入力した光伝送信号の品質に関する情報を含むデータS77を、制御基板9に送信する。
そして、制御基板9は、第1〜第4光強度測定部15M1、15M2、15R1、15R2の測定値のデータDM1、DM2、DR1、DR2だけでなく、データS77にさらに基づいて、主系第1分岐光伝送信号M1、主系第2分岐光伝送信号M2、予備系第1分岐光伝送信号R1、及び、予備系第2分岐光伝送信号R2が、それぞれ正常に伝送されているか否かを判断する。
これにより、運用中に主系の光伝送経路、及び、予備系の光伝送経路のいずれかの部分において、光伝送信号の伝送は維持されるものの当該光伝送信号の品質を悪化させるような問題が生じた場合であっても、制御基板9によって当該問題が生じている光伝送経路から当該問題が生じていない光伝送経路に切り替えることが可能となる。
本発明は上述の実施形態に限定されず、様々な変形態様が可能である。
例えば、上述の第1実施形態の光伝送経路切替装置100及び第2実施形態の光伝送経路切替装置100Bは、出力光強度測定部19を備えているが(図2及び図8参照)、これらは出力光強度測定部19を備えていなくてもよい。
また、上述の第2実施形態の光伝送経路切替装置100Bにおいて、光スイッチ5の出力ポート5Rから出力された光伝送信号の品質をモニタリングするために、光出力部11から出力された後の光伝送信号を信号品質モニタリング部77に入力させているが(図8参照)、光スイッチ5の出力ポート5Rから出力され、光出力部11から出力される前の光伝送信号を信号品質モニタリング部77に入力させてもよい。このような態様は、例えば、接続手段71を出力光伝送経路部29に設けることによって実現することができる(図8参照)。