JP6047781B2 - 防錆剤組成物および水性防錆潤滑剤、並びにこれを用いた金属材の加工法 - Google Patents

防錆剤組成物および水性防錆潤滑剤、並びにこれを用いた金属材の加工法 Download PDF

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Description

本発明は、防錆剤組成物とこれを用いた水性防錆潤滑剤、並びに該水性防錆潤滑剤を用いた金属材の防錆潤滑法、金属材の加工法に関し、該防錆剤組成物および水性防錆潤滑剤は、アルミニウム材またはアルミニウム合金材に対して優れた防錆性能を有する。
金属材に用いられる防錆剤としては、例えば、有機アミン塩や複素環化合物などの有機系防錆剤や、リン酸塩やリン酸エステルなどのリン系防錆剤が知られている。これらの防錆剤は、鋼材などの鉄鋼材料や、アルミニウム、チタンなどの非鉄材料に用いられている。
特許文献1には、金属材に用いられる他の防錆剤として、セリウム化合物、ランタン化合物、モリブデン酸塩化物、グルコン酸誘導体塩類、多孔質基材、テトラサイクリン類等が記載されている(特許文献1(第1〜2頁))。
また特許文献2には、グルコン酸誘導体塩類を含む金属防錆性の塗料が記載されている(特許文献2(第1〜2頁))。
ところで、アルミニウム材やアルミニウム合金材は、常温常圧で良好な熱伝導性、電気伝導性を持ち、加工性が良く、軽量であるため、工業的にも広く活用されている。アルミニウム材やアルミニウム合金材は、前記のような優れた特徴を有するが、反面、アルミニウムの電位が金属種中、卑であることもあって、大気中や水存在下において非常に腐食されやすい。したがって、アルミニウム材およびアルミニウム合金材以外の非鉄材料や鋼材などの鉄鋼材料に使用されることが知られている防錆剤であっても、アルミニウム材およびアルミニウム合金材に使用できるとは限らない。
アルミニウムおよびアルミニウム合金に用いられる防錆剤としては、従来からケイ酸ソーダなどの水溶性アルカリケイ酸塩が知られている。
特許文献3には、特定のシラン系化合物を金属腐食防止剤として配合すると、アルミニウム合金などの金属材の腐食を防止できることが記載されている(特許文献3(第1〜2頁))。
特許文献4には、防錆成分として水溶性アルカリ珪酸塩を含み、且つ、エポキシ基を有するアルコキシシラン化合物を加水分解反応およびエポキシ開環反応することによって得られるポリシロキサン骨格を有する有機ケイ素化合物を配合すれば、アルミニウム合金などの腐食防止に有効であることが記載されている(特許文献4(第1〜5頁))。
特開2004−203902号公報 特開2001−262069号公報 特許第3267853号公報 特開2006−299357号公報
前記のような防錆剤は水性防錆潤滑剤に含有され、金属材の切断や切削、穿孔、または研磨等の加工に用いられることがある。水性防錆潤滑剤は、金属材の加工時、金属材を防錆すると同時に金属材加工面に防錆潤滑皮膜を形成し、加工により生じる熱や摩擦を低減する役割を持つため、高い潤滑性能を持つことが要求される。また、水性防錆潤滑剤の形成する前記防錆潤滑皮膜においては、空気中から酸素が多く取り込まれると同時に、金属が溶出しやすくなるため、過酷な腐食環境となる。また、水性防錆潤滑剤は、金属材の加工に際し、通常、水で10〜30倍程度に希釈して使用されるため、水性防錆潤滑剤に含有される防錆剤としては、少量で強い防錆性能を発揮することが必要とされる。アルミニウム材やアルミニウム合金材の加工時にも使用するためには、特に強い防錆性能を発揮することが必要とされる。
また、水性防錆潤滑剤等の水性潤滑剤では、酸化、腐敗等の各種の経時変化により性能が著しく劣化することが周知である。従って、水性防錆潤滑剤に用いられる防錆剤としては、安定性も必要とされる。
特許文献1では、アルミニウムに対して防錆性能を持つものとして、リン酸系防錆剤が例示されているが、リン酸系防錆剤は、長期間(例えば1ヶ月以上)保存すると、細菌やカビによる腐敗劣化が進行するという大きな問題を秘めており、安定性の点で問題がある。
特許文献2では、防錆成分としてグルコン酸誘導体を含有する塗料が記載され、防錆性が確認されている。しかし、特許文献2の防錆性とは、塗料を塗装した鋼板において、カット部からのフクレ幅を見るものであるが、このフクレ幅はある程度までは許容されており、実際には錆が発生している。このような防錆成分では、過酷な腐食環境となる水性防錆潤滑剤に適用した場合、防錆性能の点で問題がある。
また、特許文献3では、防錆成分としてシラン系化合物が記載されている。シラン化合物は、十分な腐食防止効果を得るためには高濃度で配合する必要があるが、水性防錆潤滑剤に使用する場合、少量でも強い防錆性能を発揮することが必要とされるため、防錆性能の点で問題がある。さらに、水性防錆潤滑剤はアルカリ性であることが多いが、シラン系化合物はアルカリ性条件では容易に重合し、ゲル化するため、金属材加工面に防錆皮膜を形成し難く、水性防錆潤滑剤とした時の安定性の点で問題がある。
特許文献4に記載の水性潤滑剤は防錆成分としてアルカリ珪酸塩を含み、エポキシ基を有するアルコキシシラン化合物を加水分解反応およびエポキシ開環反応することによって得られるポリシロキサン骨格を有する有機ケイ素化合物をゲル化抑制成分として併用しているが、水性潤滑剤の種類によってはアルカリ珪酸塩の経時的なゲル化が発生し、その結果、水性潤滑剤の防錆性能および安定性の点で問題がある。
本発明はこうした状況の下でなされたものであって、その目的は、金属の切断、切削、穿孔、研磨などの加工時に使用される水性潤滑剤に配合することで優れた防錆性能を発揮する防錆剤組成物を開発し、更には、該防錆剤潤滑剤に適量配合することで優れた防錆潤滑性能と安定性を兼ね備えた水性防錆潤滑剤を提供することにあり、また、該水性防錆潤滑剤を用いた防錆潤滑法、並びに金属加工法を提供することにある。
前記課題を解決することのできた本発明に係る防錆剤組成物とは、防錆成分としてグルコン酸塩および/またはヘプトグルコン酸塩、並びに糖類化合物を含有するところに特徴を有している。
また、本発明に係る水性防錆潤滑剤は、前記防錆剤組成物を水性潤滑剤に配合し、好ましくは、該水性防錆潤滑剤全体を100質量部としたとき、前記防錆剤組成物の含有量が0.01〜20質量部となる様に配合する。これにより優れた防錆性能および安定性がより一層確実に発揮される水性防錆潤滑剤となる。
そして、本発明に係る金属材の防錆潤滑法では、前記水性防錆潤滑剤を、防錆を兼ねた潤滑剤として使用する。また、本発明に係る金属材の加工法では、該水性防錆潤滑剤の水希釈液を加工面に存在させた状態で金属材の加工を行う。金属材の加工としては、例えば切断、切削、穿孔または研磨を挙げることができる。加工の対象となる金属材の種類は特に制限されず、鋼材などの鉄鋼材料やアルミニウム、銅、チタンなどの非鉄材料や合金などが含まれるが、中でも本発明による効果が最も有効に発揮されるのはアルミニウムまたはアルミニウム合金である。
本発明によれば、防錆成分として安価で有害性の少ないグルコン酸塩および/またはヘプトグルコン酸塩、並びに安価で有害性の少ない糖類化合物を併用することで、防錆性能が相乗的に向上した防錆剤組成物を提供できる。また、該防錆剤組成物は、長期間防錆性能を持続することができ、また腐敗要因となる成分も含まれていないことから保存安定性も良好であり、廉価で高性能の水性防錆潤滑剤を提供できる。さらに、この水性防錆潤滑剤を使用することで、アルミニウム材およびアルミニウム合金材に対しても優れた防錆性能および安定性を兼ね備え、実用に即した防錆潤滑法と金属加工法を提供できる。
図1は、金属材を半浸漬した際の気相部分、浸漬部分、境界面部分を表す図である。
本発明者らは、保存安定性が良好であり、廉価で高性能の防錆剤組成物を得るため鋭意検討した結果、以下の知見を得た。
グルコン酸塩および/またはヘプトグルコン酸塩は、水性媒体中で金属の表面に化学吸着して防錆皮膜を形成することにより金属の腐食抑制効果を発揮する有用な添加剤である。金属部材が空気中にある場合や、水性媒体中に浸漬されている場合には、腐食環境が穏やかであるため、グルコン酸塩および/またはヘプトグルコン酸塩の防錆性能は十分に発揮される。しかし、金属材の加工時、水性防錆潤滑剤により形成される防錆潤滑皮膜等の様に、腐食環境が非常に過酷となる場合では、グルコン酸塩および/またはヘプトグルコン酸塩のみでは満足のいく安定性や防錆性能が得られない。
本発明者らは、防錆剤組成物において、グルコン酸塩および/またはヘプトグルコン酸塩、に加えて糖類化合物を配合すれば、グルコン酸塩および/またはヘプトグルコン酸塩と該糖類化合物とが防錆性能を相乗的に向上させること、さらに、この相乗効果により、腐食環境が過酷となる場合、さらにアルミニウム材やアルミニウム合金材に用いた場合であっても、極めて安定した防錆性能を発揮し得る防錆剤組成物を提供できることを突き止め、前記本発明に想到したものである。以下、本発明について詳しく説明する。
1.防錆剤組成物
本発明の防錆剤組成物は、グルコン酸塩および/またはヘプトグルコン酸塩、並びに糖類化合物を防錆成分として含有する。なお、本発明の防錆剤組成物の形態は、後述する水性防錆潤滑剤において、防錆剤組成物の分散性を良好にするため、液状であることが好ましい。
1−1.グルコン酸塩および/またはヘプトグルコン酸塩
本発明に用いられるグルコン酸塩および/またはヘプトグルコン酸塩は、防錆剤組成物において、後述する糖類化合物と共に用いると、互いに相乗的に作用し、卓越した防錆性能を発揮する。前記グルコン酸塩および/またはヘプトグルコン酸塩は、下記一般式(1)で表される。
(Xは、金属イオン、アンモニウムイオンまたはアミン化合物を表し、nは6または7の整数を表す。mは1以上の整数を表す。)
上記一般式(1)において、nが6の場合がグルコン酸塩であり、nが7の場合がヘプトグルコン酸塩である。
一般式(1)において、金属イオンとしては、リチウムイオン、ナトリウムイオン、カリウムイオン、ルビジウムイオン、セシウムイオン等のアルカリ金属イオン;ベリリウムイオン、マグネシウムイオン、カルシウムイオン、ストロンチウムイオン、バリウムイオン等のアルカリ土類金属イオンが挙げられる。金属イオンとしては、防錆性能および水への溶解性の観点から、アルカリ金属イオンが好ましく、リチウムイオン、ナトリウムイオン、カリウムイオンがより好ましく、ナトリウムイオンであることが特に好ましい。
前記一般式(1)において、アミン化合物としては水溶性アミンが好ましい。水溶性アミンとしてはアルキルアミン、アルカノールアミンおよびヒドロキシルアミン等があげられる。なお、水溶性とは、25℃の水への溶解度が、水溶液100gあたり0.01g以上である性質をいう。
アルキルアミンとしては、アルキル基の炭素数が1〜12のアルキルアミンが含まれ、具体的には、モノメチルアミン、モノエチルアミン、n−プロピルアミン、モノイソプロピルアミン、モノブチルアミン、モノイソブチルアミン、モノペンチルアミン、アミノペンタン、アミノメチルブタン、ヘキシルアミン、アミノメチルペンタン、ヘプチルアミン、オクチルアミン、ノニルアミン、デシルアミン、ウンデシルアミン、ドデシルアミン等の第一級アルキルアミン;ジメチルアミン、ジエチルアミン、ジプロピルアミン、ジイソプロピルアミン、ジブチルアミン、ジイソブチルアミン、ジペンチルアミン、ジヘキシルアミン、メチルエチルアミン、メチルプロピルアミン、メチルイソプロピルアミン、メチルブチルアミン、メチルイソブチルアミン、メチルアミルアミン、メチルイソアミルアミン、エチルプロピルアミン、エチルイソプロピルアミン、エチルブチルアミン、エチルイソブチルアミン、エチルイソアミルアミン、プロピルブチルアミン、プロピルイソブチルアミン等の第二級アルキルアミン;トリメチルアミン、トリエチルアミン、トリプロピルアミン、トリブチルアミン、ジメチルエチルアミン、メチルジエチルアミン、メチルジプロピルアミン等の第三級アルキルアミン等があげられる。
アルカノールアミンとしては、炭素数2〜8のアルカノールアミンが含まれ、具体的には、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン等のエタノールアミン類;N−メチルエタノールアミン、N−エチルエタノールアミン、N−プロピルエタノールアミン、N−ブチルエタノールアミン等のアルキルエタノールアミン類;モノイソプロパノールアミン、ジイソプロパノールアミン、トリイソプロパノールアミン等のイソプロパノールアミン類;N−メチルイソプロパノールアミン、N−エチルイソプロパノールアミン、N−プロピルイソプロパノールアミン等のアルキルイソプロパノールアミン類等があげられる。
ヒドロキシルアミンとしては、ヒドロキシルアミン、N−メチルヒドロキシルアミン、N−エチルヒドロキシルアミン、N,N−ジエチルヒドロキシルアミン、O−メチルヒドロキシルアミンがあげられる。
アミン化合物としては、安定性および防錆性能の観点から、アルカノールアミンが好ましく、エタノールアミン類およびイソプロパノールアミン類がより好ましく、トリエタノールアミンおよびモノイソプロパノールアミンが特に好ましい。
前記一般式(1)で表されるグルコン酸および/またはヘプトグルコン酸のうち、Xは、安定性および防錆性能の観点から、アルカリ金属、エタノールアミン類、イソプロパノールアミン類であることが好ましく、ナトリウム、トリエタノールアミン、モノイソプロパノールアミンであることがより好ましく、その中でもナトリウムが特に好ましい。
これらのグルコン酸塩およびヘプトグルコン酸塩は市販のグルコン酸あるいはヘプトグルコン酸の溶液を、適宜中和アルカリ剤で中和し、塩溶液として使用することもでき、すでに中和アルカリ剤で中和された塩として、結晶や溶液の形態で市販されているものを使用することもできる。
前記中和アルカリ剤は具体的には、水酸化リチウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化ルビジウム、水酸化セシウム等のアルカリ金属水酸化物;水酸化ベリリウム、水酸化マグネシウム、水酸化カルシウム、水酸化ストロンチウム、水酸化バリウム等のアルカリ土類金属水酸化物、アンモニア、および前記アミン化合物が使用可能である。
本発明の防錆剤組成物におけるグルコン酸塩および/またはヘプトグルコン酸塩の含有量は、防錆性能や安定性などを考慮した上で、液状として製剤可能である限り特に制限されないが、防錆剤組成物全体としての量を100質量部としたとき、前記グルコン酸塩および/またはヘプトグルコン酸塩の含有量は1質量部以上であることが好ましく、より好ましくは5質量部以上、さらに好ましくは7質量部以上である。グルコン酸塩および/またはヘプトグルコン酸塩の割合が多いほど防錆性能が高くなるが、グルコン酸塩および/またはヘプトグルコン酸塩の防錆剤組成物における割合が多すぎると、防錆性能が飽和し、さらには防錆剤組成物自体の溶解安定性が低下するため好ましくない。そのため、防錆剤組成物全体としての量を100質量部としたとき、前記グルコン酸塩および/またはヘプトグルコン酸塩の含有量は60質量部以下であることが好ましく、より好ましくは50質量部以下、さらに好ましくは30質量部以下である。
1−2.糖類化合物
本発明に用いられる糖類化合物は、防錆剤組成物において、グルコン酸塩および/またはヘプトグルコン酸塩と共に用いると、互いに相乗的に作用し、卓越した防錆性能を発揮すると共に安定性を向上させる。前記糖類化合物は、本発明においては、炭素数4以上の糖類および糖アルコールである。なお、糖類や糖アルコールにD体およびL体が存在する場合、いずれもが使用可能であり、入手容易性等の観点から適宜選択すればよい。
本発明において、グルコン酸塩および/またはヘプトグルコン酸塩、および糖類化合物を配合することにより、相乗的な防錆性能が得られる理由は明らかではないが、糖類化合物が存在することにより、グルコン酸塩および/またはヘプトグルコン酸塩が防錆剤組成物中で安定的に均一溶解され、対象となる金属材の全体にわたって防錆性能を発揮できるためと考えられる。
前記糖類としては、エリトロース、トレオース、エリトルロース等の炭素数4の単糖類;リボース、リキソース、キシロース、アラビノース、キシルロース、リブロース等の炭素数5の単糖類;アロース、タロース、グロース、グルコース、アルトロース、マンノース、ガラクトース、イドース、プシコース、フルクトース、ソルボース、タガトース等の炭素数6の単糖類;スクロース、ラクツロース、ラクトース、マルトース、トレハロース、セロビオース等の二糖類等が挙げられる。
前記糖アルコールとしては、エリトリトール、トレイトール等の炭素数4の糖アルコール;アラビニトール、キシリトール、リビトール等の炭素数5の糖アルコール、イジトール、ガラクチトール、ソルビトール、マンニトール等の炭素数6の糖アルコール、ボレミトール、ペルセイトール等の炭素数7の糖アルコール等が挙げられる。
これらの中でも、グルコン酸塩および/またはヘプトグルコン酸塩と共に使用した場合に防錆性能を相乗的に向上させる観点から、糖アルコールであることが好ましく、炭素数6の糖アルコールであることがより好ましく、ソルビトールであることが特に好ましい。
本発明に係る防錆剤組成物における糖類化合物の含有量は、防錆性能や安定性などを考慮した上で、液状として製剤可能である限り特に制限されないが、好ましいのは、防錆剤組成物全体としての量を100質量部としたとき、前記糖類化合物の含有量は1質量部以上が好ましく、より好ましくは10質量部以上、さらに好ましくは20質量部以上である。糖類化合物の含有量が多いとグルコン酸塩および/またはヘプトグルコン酸塩の防錆性能を相乗的に向上させ、防錆剤組成物の安定性を向上させることができるが、糖類化合物の含有量が多すぎると、逆に防錆剤組成物自体の溶解安定性が低下するため好ましくない。そのため、防錆剤組成物全体としての量を100質量部としたとき、前記糖類化合物の含有量は80質量部以下が好ましく、より好ましくは60質量部以下であり、さらに好ましくは50質量部以下である。
また、本発明の防錆剤組成物において、糖類化合物の含有量は、防錆性能を相乗的に向上させる観点から、グルコン酸塩および/またはヘプトグルコン酸塩1質量部に対して0.5質量部以上が好ましく、0.7質量部以上がより好ましく、1.0質量部以上がより好ましい。また、グルコン酸塩および/またはヘプトグルコン酸塩に対して、糖類化合物の含有量が過多であると、防錆性能にもたらされる相乗効果が飽和し、糖類化合物の影響が大きくなって逆に防錆性能が低下するため好ましくない。したがって、本発明の防錆剤組成物において、糖類化合物の含有量は、グルコン酸塩および/またはヘプトグルコン酸塩1質量部に対して、7質量部以下が好ましく、5質量部以下がより好ましく、4質量部以下がさらに好ましい。
1−3.溶媒
本発明の防錆剤組成物は、前記グルコン酸塩および/またはヘプトグルコン酸塩並びに前記糖類化合物を防錆成分として含有し、さらに溶媒を含有する。溶媒としては水が使用されるが、必要によりアルコール類、グリコール類、ケトン類、エーテル類、エステル類などの水溶性溶剤を添加した混合溶媒とすることもできる。
前記アルコール類としては、ヒドロキシル基を分子中に有する化合物であれば、1価アルコール、2価アルコール、3価以上のアルコールのいずれであっても良く、特に制限なく使用することができる。例えば炭素数1〜8のメタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール、ペンタノール、ヘキサノール、ヘプタノールまたはオクタノールの中から選ばれる1種または2種以上の混合物を挙げることができる。
前記グリコール類としては、例えば炭素数1〜8のエチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、プロピレングリコール、1,3−プロパンジオール、1,3−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、ヘキシレングリコールなどのアルキレングリコール、またはポリアルキレングリコールの中から選ばれる1種または2種以上の混合物を挙げることができる。
前記ケトン類としては、炭素数3〜9のケトン類が好ましく、具体的には、アセトン、メチルエチルケトン、2−ペンタノン、3−ペンタノン、2−ヘキサノン、メチルイソブチルケトン、2−ヘプタノン、3−ヘプタノン、4−ヘプタノン、ジイソブチルケトン、メシチルオキシド、ホロン、2−オクタノン、シクロヘキサノン、メチルシクロヘキサノン、イソホロン、2,4−ベンタンジオン、2,5−ヘキサンジオン、ジアセトンアルコールまたはアセトフェノンの中から選ばれる1種または2種以上の混合物を挙げることができる。好ましくは、アセトン、メチルエチルケトンである。
前記エーテル類としては、炭素数2〜8の鎖状または環状の飽和または不飽和エーテル類が好ましく、ジメチルエーテル、ジエチルエーテル、ジプロピルエーテル、ジイソプロピルエーテル、ジブチルエーテル、エチルビニルエーテル、ブチルビニルエーテル、アニソール、フェネトール、メチルアニソール、ジオキサン、フラン、メチルフランまたはテトラヒドロフランの中から選ばれる1種または2種以上の混合物を挙げることができる。好ましくは、ジメチルエーテルである。
前記エステル類としては、炭素数2〜19の鎖状または環状の飽和または不飽和エステル類が好ましく、具体的には、ギ酸メチル、ギ酸エチル、ギ酸プロピル、ギ酸ブチル、ギ酸イソブチル、ギ酸ペンチル等のギ酸エステル類;酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸プロピル、酢酸イソプロピル、酢酸ブチル、酢酸イソブチル、酢酸sec−ブチル、酢酸ペンチル、酢酸メトキシブチル、酢酸sec−ヘキシル、酢酸2−エチルブチル、酢酸2−エチルヘキシル、酢酸シクロヘキシル、酢酸ベンジル等の酢酸エステル類;プロピオン酸メチル、プロピオン酸エチル、プロピオン酸ブチル等のプロピオン酸エステル類;酪酸メチル、酪酸エチル、酪酸ブチルまたはイソ酪酸イソブチル等の酪酸エステル類等の中から選ばれる1種または2種以上の混合物を挙げることができる。好ましくは、酢酸エステル類である。
本発明に係る防錆剤組成物における溶媒の含有量は、防錆性能や安定性などを考慮した上で、液状として製剤可能である限り特に制限されないが、防錆剤組成物全体としての量を100質量部としたとき、溶媒の含有量は30質量部以上が好ましく、より好ましくは40質量部以上であり、さらに好ましくは50質量部以上である。溶媒の含有量が多いと液状として製剤することが容易になるが、溶媒の含有量が多すぎると、防錆性能や安定性が低下するため好ましくない。そのため、防錆剤組成物全体としての量を100質量部としたとき、前記溶媒の含有量は80質量部以下が好ましく、より好ましくは70質量部以下であり、さらに好ましくは65質量部以下である。
また、本発明の防錆剤組成物において、溶媒の含有量は、液状として製剤可能とする観点から、グルコン酸塩および/またはヘプトグルコン酸塩1質量部に対して1.5質量部以上が好ましく、2.0質量部以上がより好ましく、2.5質量部以上がさらに好ましい。溶媒の含有量が多いほど、液状として製剤することが容易であるが、溶媒の含有量が多すぎると、防錆性能や安定性が低下するため好ましくない。そのため、溶媒の含有量は、グルコン酸塩および/またはヘプトグルコン酸塩1質量部に対して9質量部以下が好ましく、8質量部以下がより好ましく、7質量部以下がさらに好ましい。
1−4.防錆剤組成物の製造方法
本発明の防錆剤組成物は、グルコン酸塩および/またはヘプトグルコン酸塩、糖類化合物、並びに溶媒を従来公知の方法で混合することによって製造することができる。これらの混合物を混合する方法としては、例えば、攪拌溶解法、超音波分散溶解法等各種の方法を用いることができる。
グルコン酸塩および/またはヘプトグルコン酸塩、糖類化合物、並びに溶媒は、いずれの順序で添加してもよい。例えば、初めにグルコン酸塩および/またはヘプトグルコン酸塩を混合し、後から溶媒を添加することもでき、或いは溶媒に初めにグルコン酸塩および/またはヘプトグルコン酸塩、もしくは糖類化合物のいずれか一方または両方を添加し、後から他方を添加することもできる。
また、本発明の防錆剤組成物は、液状で保管してそのまま使用することもでき、或いは粉末状で保管して使用時に溶媒に溶解させて用いることもできる。
2.水性防錆潤滑剤
また、本発明の水性防錆潤滑剤は、前記防錆剤組成物および水性潤滑剤を含有しており、防錆性能を有する。また、本発明の水性防錆潤滑剤は、必要により、極圧添加剤、界面活性剤、防錆剤、防腐剤、消泡剤等を含有してもよい。
2−1.防錆剤組成物
防錆剤組成物としては、前述した本発明の防錆剤組成物を用いる。防錆剤組成物は、水性防錆潤滑剤に防錆性能を付与する。
前記防錆剤組成物の含有量は、水性防錆潤滑剤全体としての量を100質量部としたとき、0.01質量部以上であり、より好ましくは0.15質量部以上、さらに好ましくは0.20質量部以上である。水性防錆潤滑剤において、防錆剤組成物の割合が多いほど防錆性能が高くなり、防錆剤組成物の割合が少なすぎると防錆性能が不足する。しかし、防錆剤組成物の含有量が多すぎると防錆性能が飽和し、水性潤滑剤の潤滑性能に悪影響を与えると同時にコストアップを招くだけであるので、好ましくない。そのため、水性防錆潤滑剤全体としての量を100質量部としたとき、20質量部以下であり、より好ましくは10質量部以下、さらに好ましくは7質量部以下である。
2−2.水性潤滑剤
水性潤滑剤としては、従来公知の水性潤滑剤を適宜使用することができる。水性潤滑剤により、水性防錆潤滑剤に潤滑性能が付与される。本発明では、水性潤滑剤は、油性剤、アルカノールアミンおよび水を含有することが好ましい。
前記油性剤は、水性潤滑剤に潤滑性能を付与するために用いられる。前記油性剤としては、脂肪族アルコール、脂肪酸や脂肪酸金属塩などの脂肪酸化合物、ポリオールエステル、ソルビタンエステル、グリセライドなどのエステル化合物、脂肪族アミンなどのアミン化合物などを使用することができる。これらの油性剤の含有量は、水性潤滑剤全体としての量を100質量部としたとき、10質量部以上が好ましく、より好ましくは20質量部以上である。油性剤の含有量が多いほど潤滑性能は向上するが、油性剤の含有量が多くなりすぎると水性潤滑剤が劣化しやすくなる。そのため、油性剤の含有量は、水性潤滑剤全体としての量を100質量部としたとき、90質量部以下が好ましく、より好ましくは70質量部以下である。
前記アルカノールアミンは、水性潤滑剤において、腐敗の抑制、pHの維持、或いは乳化の目的で用いられる。水性潤滑剤に用いられるアルカノールアミンとしては、前記各種のアルカノールアミンを使用することができる。アルカノールアミンの含有量は、水性潤滑剤全体としての量を100質量部としたとき、3質量部以上が好ましく、より好ましくは5質量部以上である。アルカノールアミンの含有量が多いほど潤滑性能が向上するが、アルカノールアミンの含有量が多くなりすぎると水性潤滑剤が劣化しやすくなる。そのため、アルカノールアミンの含有量は、水性潤滑剤全体としての量を100質量部としたとき、30質量部以下が好ましく、より好ましくは20質量部以下である。
また、前記水性潤滑剤において、水の含有量は、水性潤滑剤全体としての量を100質量部としたとき、40質量部以上が好ましく、より好ましくは60質量部以上である。また、好ましくは87質量部以下であり、より好ましくは80質量部以下である。
前記水性潤滑剤の含有量は、水性防錆潤滑剤全体としての量を100質量部としたとき、80質量部以上が好ましく、より好ましくは90質量部以上、さらに好ましくは93質量部以上である。水性潤滑剤の割合が多いほど潤滑性能は高くなるが、防錆性能を向上するためには防錆剤組成物の割合を増やす必要がある。そのため、水性潤滑剤の含有量は、水性防錆潤滑剤全体としての量を100質量部としたとき、99.90質量部以下が好ましく、より好ましくは99.00質量部以下、さらに好ましくは98.00質量部以下である。
2−3.その他の成分
前記極圧添加剤としては、例えば、塩素系、硫黄系、およびリン酸系等が挙げられる。塩素系極圧添加剤としては、塩素化パラフィン、メチルトリクロロステアレート等が挙げられる。硫黄系極圧添加剤としては、ジベンジルジスルフィド、アルキルポリスルフィド、オレフィンポリスルフィド、硫化油脂、硫化エステル等が挙げられる。リン系極圧添加剤としては、トリクレジルリン酸塩、ラウリルリン酸塩、トリブチルリン酸塩、ジラウリルリン酸塩、ジアルキルジチオリン酸亜鉛、ジアリルジチオリン酸亜鉛、リン酸エステルのアミン塩、ジアルキルジチオカルバミン酸亜鉛が挙げられる。作業環境の観点から、前記極圧添加剤としては、硫黄系、リン酸系を使用することが好ましい。水性潤滑剤にこれら極圧添加剤を配合する場合、その含有量は、配合効果および経済性の点から、水性潤滑剤全体としての量を100質量部としたとき、通常0.01質量部以上30質量部以下であり、より好ましくは0.01質量部以上10質量部以下である。
前記界面活性剤としては、例えば、例えば、パーフルオロアルキルカルボン酸ナトリウム塩、パーフルオロアルキルスルホン酸ナトリウム塩、ジオクチルスルホコハク酸ナトリウム、ポリオキシエチレンアルキルエーテル等が挙げられる。水性潤滑剤にこれら界面活性剤を配合する場合、その含有量は、配合効果および経済性の点から、水性潤滑剤全体としての量を100質量部としたとき、通常0.01質量部以上30質量部以下であり、より好ましくは0.01質量部以上10質量部以下である。
前記防腐剤としては、例えば、o−フェニルフェノール、Na−o−フェニルフェノール、2,3,4,6−テトラクロロフェノール等のフェノール系化合物;2−ハイドロキシメチル−2−ニトロ−1,3−プロパンジオール、ヘキサハイドロ−1,3,5−トリス(2−ハイドロキシエチル)−(s)−トリアジン等のホルムアルデヒド供与体化合物、その他、トリブロモサリチルアニリドとジブロモサリチルアニリドの混合物等を使用することができる。水性潤滑剤にこれら防腐剤を配合する場合、その含有量は、配合効果および経済性の点から、水性潤滑剤全体としての量を100質量部としたとき、通常0.01質量部以上30質量部以下であり、より好ましくは0.01質量部以上10質量部以下である。
前記消泡剤としては、例えば、シリコーンオイル、アルケニルコハク酸誘導体、ポリヒドロキシ脂肪族アルコールと長鎖脂肪酸のエステル、メチルサリチレートとo−ヒドロキシベンジルアルコール等が挙げられる。水性潤滑剤にこれら消泡剤を配合する場合、その含有量は、配合効果および経済性の観点から、水性潤滑剤全体としての量を100質量部としたとき、通常0.01質量部以上30質量部以下であり、より好ましくは0.01質量部以上10質量部以下である。
3.金属の防錆潤滑法
前記の様に、本発明の水性防錆潤滑剤は、前記防錆剤組成物と前記水性潤滑剤を含有しており、金属材の加工面に防錆潤滑皮膜を形成して、卓越した防錆性能を発揮する。金属材の加工面に防錆潤滑皮膜を形成する方法としては、特に限定されず、従来公知の方法を制限なく使用することができる。例えば、金属材表面に噴射する、あるいは塗布する方法があり、塗布する方法としては、浸漬塗布、シャワー塗布、スプレー塗布、噴流塗布等の方法を挙げることができる。
4.金属材の加工法
本発明の水性防錆潤滑剤を実用化するに当たっては、10〜30倍の水希釈液として金属の加工(切断、切削、穿孔、研磨など)に使用される。
この時点で水希釈液のpHは8〜11程度になるが、本発明ではグルコン酸塩および/またはヘプトグルコン酸塩および糖類化合物が安定的に均一溶解されるため、防錆成分が析出して加工作業中に防錆性能が低下したり、付着することにより加工製品の外観が損なわれたりする恐れはない。
本発明の水性防錆潤滑剤は、グルコン酸塩および/またはヘプトグルコン酸塩および糖類化合物が共存することにより相乗的な防錆性能が発揮されるため、金属材を加工する際の水性潤滑防錆剤として幅広く有効に使用できる。金属材としては、具体的には、鋼材を始めとする鉄鋼材料やアルミニウム、チタンなどの非鉄材料やその合金材などがあり、全ての金属材に適用可能である。しかし、中でもアルカリ性環境下で潤滑用の油性剤成分などによる腐食を受け易いアルミニウムやその合金に本発明の水性防錆潤滑剤を使用すると、その特徴がより効果的に発揮され、卓越した潤滑防錆性能を発揮するので好ましい。
また、本発明の水性防錆潤滑剤は、金属材の加工の種類を問わず使用することができる。特に、切断、切削、穿孔、研磨等の加工であれば、本発明の水性防錆潤滑剤の卓越した潤滑防錆性能が有効に発揮される。
以下、実施例を挙げて本発明をより具体的に説明するが、本発明はもとより下記実施例によって制限を受けるものではなく、前・後記の趣旨に適合し得る範囲で適当に変更を加えて実施することも勿論可能であり、それらはいずれも本発明の技術的範囲に包含される。なお、以下においては、特に断りのない限り、「部」は「質量部」を、「%」は「質量%」を意味する。
実験例
下記表1に示す配合比率で防錆剤組成物の試料液を調製した。そして夫々について、下記の方法で安定性試験および防錆試験を行い、表2、3に示す結果を得た。
実施例1〜8
下記表1に示す配合比率でグルコン酸塩および/またはヘプトグルコン酸塩と糖類化合物を室温で水に溶解し、これを防錆剤組成物の試料液とした。
比較例1〜2
下記表1に示す配合比率でグルコン酸塩および/またはヘプトグルコン酸塩を室温で水に溶解し、澄明な水性液を調製した。これを防錆剤組成物の試料液とした。
比較例3〜4
下記表1に示す糖類化合物を室温で水に溶解し、澄明な水性液を調製した。これを防錆剤組成物の試料液とした。
安定性試験
油性剤を10質量部、アルカノールアミンを20質量部および水を70質量部含み、pHが9.3〜9.4である水性潤滑剤を調製した。次に、該水性潤滑剤100質量部に、表1に示す配合で調製した防錆剤組成物の試料液を各3質量部配合して水性防錆潤滑剤を調製し、容量200cm3のガラス瓶に入れて密封した。該水性防錆潤滑剤を封入したガラス瓶を40℃の恒温槽に入れて、同温度に維持しつつ時々加振し、濁りや沈殿の発生状況を目視確認した。
防錆試験
油性剤を10質量部、アルカノールアミンを20質量部および水を70質量部含み、pHが9.3〜9.4である水性潤滑剤を調製した。次に、該水性潤滑剤100質量部に、表1に示す配合で調製した防錆剤組成物の試料液を各3質量部配合し、水性防錆潤滑剤を調製した。そして、該水性防錆潤滑剤の調製直後のもの、および40℃の恒温槽内で1ヶ月間保存したものについて、夫々を水で20倍量に希釈して水希釈液とした。得られた水希釈液のpHは何れも9.3〜9.4であった。この水希釈液を使用し、JIS K 2241、7.9(切削油剤:金属腐食試験方法)に準拠してアルミニウム合金板(JIS H 4000 A1050P 幅40mm×高さ60mm×厚み1.5mm)の半浸漬試験(25℃、2日間)を行ない、下記の基準で防錆性能を評価した。
なお、表3に示す浸漬部分、気相部分、境界面部分は、図1に示す通りである。図1に示す様に、境界面部分とは液面から液面上5mmまでを示す。境界面部分においては、空気中から酸素が多く取り込まれると同時に金属が溶出し易い環境にあり、水性防錆潤滑剤を金属材の加工に用いた際、金属材表面に存在する防錆潤滑皮膜と類似した環境にある。
◎:変色なし、○:僅かに変色あり、△:少し変色あり、×:多量に変色あり
表2からは、次のように考察できる。
実施例1〜8、比較例1〜4のいずれの水性防錆潤滑剤においても、40℃で保存した場合、6ヶ月以上濁りおよび沈澱がなく、安定性に優れることがわかる。
表3からは、次のように考察できる。
実施例1〜3、8の水性防錆潤滑剤は、防錆剤組成物として、グルコン酸ナトリウムまたはヘプトグルコン酸ナトリウム、および、糖アルコールを使用したものであるが、腐食環境が過酷な場合であっても、優れた防錆性能を示しており、40℃で1ヶ月保存した後であっても、防錆性能は全く劣化しておらず、安定性が良好であることがわかる。
実施例4、5の水性防錆潤滑剤は、防錆剤組成物として、グルコン酸とアルカノールアミンの塩、および、糖アルコールを使用したものであるが、腐食環境が過酷な場合であっても、優れた防錆性能を示しており、40℃で1ヶ月保存した後であっても、防錆性能はほとんど劣化しておらず十分に実用可能な程度を維持しており、十分な安定性を持つことがわかる。
実施例6、7の水性防錆潤滑剤は、防錆剤組成物として、グルコン酸ナトリウム、および、炭素数6の糖類を使用したものであるが、腐食環境が過酷な場合であっても、十分な防錆性能を示しており、40℃で1ヶ月保存した後であっても、防錆性能は全く劣化しておらず、安定性が良好であることがわかる。
それに対して、比較例1、2の水性防錆潤滑剤では、グルコン酸ナトリウムまたはヘプトグルコン酸ナトリウムを含有するものの、糖類化合物を含有しておらず、腐食環境な穏やかな場合(気相部分や浸漬部分)では良好な防錆性能を示すものの、腐食環境が過酷になると、防錆性能は不十分であり、また40℃で1ヶ月保存した後には、防錆性能は劣化しており、安定性が不良であることがわかる。
また、比較例3、4の水性防錆潤滑剤では、糖類化合物を含有するものの、グルコン酸ナトリウムまたはヘプトグルコン酸ナトリウムを含有しておらず、腐食環境が特に穏やかな場合(気相部分)においてしか防錆性能が確認されなかった。

Claims (6)

  1. 防錆成分としてグルコン酸塩および/またはヘプトグルコン酸塩、並びに糖類化合物を含有する防錆剤組成物および
    水性潤滑剤を含有することを特徴とする水性防錆潤滑剤。
  2. 前記水性防錆潤滑剤全体を100質量部としたとき、前記防錆剤組成物の含有量が0.01質量部以上20質量部以下である請求項に記載の水性防錆潤滑剤。
  3. 請求項1または2に記載の水性防錆潤滑剤を、防錆を兼ねた潤滑剤として使用することを特徴とする金属材の防錆潤滑法。
  4. 金属材を加工するに当たり、請求項1または2に記載された水性防錆潤滑剤の水希釈液を加工面に存在させた状態で加工することを特徴とする金属材の加工法。
  5. 金属材の加工が、切断、切削、穿孔または研磨加工である請求項に記載の金属材の加工法。
  6. 金属材としてアルミニウムまたはアルミニウム合金を使用する請求項4または5に記載の金属材の加工法。
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