JP6047000B2 - 細胞を含む支持体層に培養液を灌流させることを特徴とする3次元培養組織 - Google Patents

細胞を含む支持体層に培養液を灌流させることを特徴とする3次元培養組織 Download PDF

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本発明は、生体内に類似した3次元培養組織に関し、更に詳しくは、細胞を含む支持体層に培養液を灌流させることを特徴とする3次元培養組織に関する。
ヒト細胞を体から分離して人工環境(インビトロ)で培養することによってその細胞の体の中(インビボ)での性質を科学的に調査する方法として、細胞培養法は有用な技術であり、研究者の間で広く利用されて来た。代表的な方法は2次元的広がりを持つプラスチック培養皿の表面に培養する方法で平面培養と呼ばれる。この技術は多くの変法があるが基本技術は公知である。
平面培養に比べて、3次元的広がりを持つ支持体(細胞の足場、マトリックス)の中で培養する方法を立体培養と呼ぶ。立体培養は平面培養に比べてよりインビボに近い環境を細胞に与え、この様に培養された細胞を含む支持体は3次元培養組織と呼ばれる。立体培養法にも多くの変法(特許文献1〜2、非特許文献1〜3)がある。流布している多くの立体培養はその培養液を必要に応じて新鮮な培養液で置換させるものであり、静置立体培養と呼ぶ。
3次元培養組織は、医薬品や化粧品の安全性評価、有効性評価に有用な生体のモデルであり、近年、動物愛護の観点から動物実験の代替としてもその利用が広がっている。
特開2009−112277 特表2008−519598
Yoshizato K et al,BiomedicalRes,6:287−296,1985. Kawada N et al,Biochem BiophysRes Commun,266(2):296−300,1999. Hu T et al,Toxicol In Vitro,24(5):1450−1463,2010.
本発明は、生体内により近い状態の3次元培養組織を提供することを課題とする。
生体に近似の3次元培養組織の培養法として「コラーゲンゲル培養法」がある。この方法は、細胞を水和化したゲル状のコラーゲン線維格子内に3次元的に封入して培養するものであるが、インビボの状態を正確に反映できないという基本的問題が存在していた。1つはゲル内部に酸素や栄養素が十分浸透しないために細胞が壊死化する問題、他の1つは、ゲルが収縮して体積を減じ、生体内では見られない凝集体化することである。生体内組織は張力付加状態にあり、かつ血管が隅々まで発達していることにより、この様な問題は起きていない。
さらに、生体の細胞は、単独でその機能を果たしているのではなく,直接的或いは間接的に近隣或いは遠隔地の細胞の影響を受けながらその機能を発揮できる。このような体内における細胞間のネットワークは、体液循環に依存するところが大きいが、インビトロ培養法による3次元培養組織は細胞間のネットワークを除去した組織であって、当該細胞のインビボ機能を再現出来ていない。
また、これまでの培養法では、3次元培養組織の培養可能期間は10日程であり、それ以上に長期間培養すると細胞機能が低下或いは細胞死してしまう。そこで、生体に類似の細胞機能を長期間維持するための細胞培養デバイス(特許文献2)が開示されているが、培養液の供給がデバイスのチャネル(溝)を流れる液からの拡散によること、細胞が複数の突起によって確定されるチャンバに保持されており、細胞外マトリックスとの相互作用により、生体と同じような張力が負荷されないことなど、インビボの状態との違いがある。したがって、長期間培養可能で、且つインビボの状態により類似した細胞を含む3次元培養組織の開発が求められている。
生体の細胞は体液循環系の中に取り込まれており、絶えず流体力学的影響と栄養素/酸素の供給を受けている。また、細胞外マトリックスとの相互作用により張力が付加されている。本発明者等は、鋭意検討を重ねた結果、細胞を含む支持体の水平方向の収縮を阻害することで細胞に生体と同じように張力を付加するとともに常時一定の流速で新鮮な培養液を供給することにより、体液循環環境に似せて細胞を培養できることを発見し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明は、
[1]細胞を含む支持体層に培養液を灌流させ製造することを特徴とする3次元培養組織。
[2]培養液の灌流が、培養液を支持体に挿入したチューブを通じて、細胞を含む支持体層に加圧送液して行われることを特徴とする[1]記載の3次元培養組織。
[3]培養液の送液が、支持体層の下部より行われることを特徴とする[2]記載の3次元培養組織。
[4]培養液の送液速度が、支持体1cm当たり0.1〜10μL/分であることを特徴とする[2]、[3]いずれか記載の3次元培養組織。
[5]細胞が、線維芽細胞である[1]〜[4]いずれか記載の3次元培養組織。
[6]支持体層がコラーゲンである[1]〜[5]いずれか記載の3次元培養組織。
[7]支持体層の下部及び側面が培養皿に接着していることを特徴とする[1]〜[6]いずれか記載の3次元培養組織。
[8][1]〜[7]いずれか記載の3次元培養組織を得るための培養方法及びその装置。
に関する。
本発明の3次元培養組織は、細胞を含む支持体の水平方向の収縮を阻害することで細胞に生体と同じように張力を付加するとともに培養液を灌流させることにより、そこに含まれる細胞をインビボにより近い状態で維持することができる。
本法は、細胞とマトリックスが本来的に有する自己組織能にしたがって、生体内組織に類似の組織構築を促進させることを特色とする培養法である。つまり、従来法のような人工的な鋳型を使用せず、細胞自身による自然の組織構築能(self−assembly)を利用することから、生体内により近い組織形成となっていることが期待できる。
本発明の3次元培養組織の培養装置を示す図である。
本発明の3次元培養組織は、細胞を含む支持体層に培養液を灌流させることを特徴とする。ここで、灌流とは、一般的には、人為的に臓器に血液を送ることをいうが、本発明では、人為的に管等を用いて、培養液を培養基質に送液することをいう。培養液の灌流は、プラスチック培養皿の培養表面に小穴を開け、その小穴に、送液ポンプに連結してある細いチューブを挿入することにより行われる。この培養皿に細胞を封入した支持体を作製後、ポンプを駆動させ新鮮培養液を支持体内に一定速度で加圧送液することにより、培養液は支持体内を底面から徐々に均一に広がり、支持体内全域を通過して支持体上面から支持体を離れる。このようにして、支持体内に分布している細胞に満遍なく緩慢な流速で移動する新鮮培養液を供給することができる。
インビボにおける支持体は、収縮とそれに反発する緊張が掛かった状態にある。収縮は細胞が周辺の支持体を足場として引き寄せることで起こる。緊張は、支持体が細胞による引力に反発することにより起こる。本発明では、この緊張を再現するために細胞に起因した支持体の収縮に任せるのではなく、支持体をプラスチック培養皿に接着させ、細胞を含む支持体の水平方向の収縮を阻害することにより、細胞に生体と同じように張力を付加し、インビボにより類似した細胞培養環境をつくることを特徴とする。プラスチック培養皿への支持体の接着性は、線維化コラーゲンコーティングを培養皿底部及び壁前面に対して行うことで高めることができる。また、培養皿底面内部に突出または傷を付けて支持体と培養皿が接する面積を増やし、繋留効率を上げることもできる。
本発明の3次元培養組織の支持体には、コラーゲン、ゼラチン、エラスチン、多糖類(ヒアルロン酸、コンドロイチン硫酸、キチン、キトサン等)、人工合成ポリマー(ポリ乳酸、ペプチド、ポリエステル類等)、フィブリン等を用いることができ、その性状としては、ゲル、スポンジ、シート等がある。
支持体の大きさ及び形は、特に限定されず、培養皿に合わせて作製することができるが、10〜100mmの円形培養皿に合わせて作製することが好ましく、35〜60mmの円形培養皿に合わせて作製することが特に好ましい。支持体を構築する成分の濃度も特に限定されないが、0.05〜5%が好ましく、0.1〜0.5%が特に好ましい。
本発明の3次元培養組織に用いられる細胞としては、例えば皮膚線維芽細胞、血管内皮細胞、リンパ内皮細胞、上皮細胞、色素細胞、脂肪細胞、神経細胞、肝臓星細胞、毛包細胞、網膜視細胞等が挙げられる。
細胞の密度及び分散状態は、特に限定されないが、1×10〜1×10個/mLの密度が好ましく、1×10〜2×10個/mLの密度が特に好ましい。また、均一に分散されていることが好ましい。
培養皿に挿入したチューブは、プラスチック培養皿底面の厚みを利用して培養皿に固定する。挿入する送液用チューブの本数は、特に限定されないが、1〜10本が好ましい。送液用チューブを挿入する位置は、特に限定されないが、1本の場合は、プラスチック培養皿の培養表面中央が好ましく、複数の場合は、培養表面を均等にカバーできる位置が好ましい。送液用チューブの材質としては、フッ素樹脂、シリコンゴム、ポリイミド、ポリカーボネート、アクリル、プラスチック、ポリプロピレン、塩化ビニル樹脂等が挙げられる。その内径は、0.5〜2mmが好ましい。
本発明の3次元培養組織に用いられる培養液は、特に限定されず、用いる細胞の培養に適した培養液及び添加物を利用することができる。例えば10%牛胎児血清を含むDulbecco’s Modified Eagle Medium(DMEM)等がある。
培養液の送液速度は、支持体1cm当たり0.1〜10μL/分が好ましく、特には、支持体1cm当たり1〜3μL/分が好ましい。
培養液の送液は、培養皿に挿入したチューブのもう一方の端にポンプを繋ぎ、そのポンプを稼動させることにより行う。ポンプとしては、シリンジ用ポンプ、点滴用ポンプ、血液循環用ポンプ、ペリスタポンプ、HPLC用ポンプ等を用いることができる。例えば、チューブのもう一方の端に培養液を注入したシリンジを繋ぎ、そのシリンジを送液ポンプに装着し、送液ポンプを稼動することにより培養液を送液することができる。この場合、用いるシリンジとしては、医療用のポリプロピレン製シリンジが好ましい。送液ポンプとしては、市販のシリンジ用ポンプを用いることができる。
支持体上面から支持体を離れた培養液の回収は、プラスチック培養皿の上部壁面に小穴を開け、チューブを挿入する。チューブの反対側の端をシリンジに接続しポンプで小穴の高さまで上昇した培養液を送液速度よりも遅い速度で吸引し回収する。または、培養皿よりも低い位置にチューブを垂らし、廃液用のタンクに接続し、高低差を利用して培養液の回収を行なう。チューブの素材としては、送液用チューブと同様のものを用いることができる。
本発明の3次元培養組織は、生体内組織に類似した性質を有しており、しかもその状態を維持して1ヶ月以上の長期間培養も可能である。したがって、生体内組織における細胞の本来的性質をインビトロで調べることが可能であり、生体内組織に対する被検物質の影響評価に用いることができる。医薬品や化粧品素材の生体内組織に対する安全性評価に用いることができる。また、医薬品や化粧品素材の生体組織内の特定の細胞機能に対する有効性評価に用いることができる。さらに、医薬品等の長期処理によって生じる慢性疾患のインビトロモデルとしても利用できる。
本発明の3次元培養組織は、生体への移植用組織として用いることができる。移植用組織の用途としては、皮膚移植、毛包移植、肝臓移植等が挙げられる。
本発明を詳細に説明するため、実施例として3次元培養組織の製造例及び実験例を挙げるが、本発明はこれに限定されるものではない。
製造例1 培養液灌流方式3次元培養皮膚1の作製
図1に概略した方法で培養装置を作製した。直径2mmのドリルをアルコールランプで炙った。これを使用するプラスチック培養皿の底面中央に当て皿に垂直に立てて貫通させた。熱で柔らかくなったプラスチックが冷えて固まったらドリルを廻して皿に孔を開け、そこに60cm長のフッ素樹脂(PFA)チューブを差し込んだ。チューブの他端を5cm長のシリコンチューブと繋ぎ、シリコンチューブの他端はルアーフィッティング(サンプラテック、FTLL210−6)と繋いでパラフィルムで固定した。皿に差し込んだチューブは、エポキシ系接着剤(アラルダイトラピッド、ニチバン)で固定した。皿とチューブを繋いだままドラフト内に置き2時間程風乾した。エポキシ系接着剤が乾いた後、パラフィルム(Pechiney Plastic Packaging Company)で固定防水した。ルアーフィッティングにシリンジ(TERUMO 10mL)を繋ぎ70%エタノールで消毒した。DMEM(GIBCO)、10%(v/v)牛胎児血清、25mMのHEPES及び抗生物質(ペニシリン、ストレプトマイシン)をシリンジにて通液させた。
培養皿底部及び壁前面の線維化コラーゲンコーティングを行った。コーティングの方法は、クリーンベンチ内で、0.1%コラーゲン(I)をプラスチック培養皿に満杯に注ぎ、抜き取った。PBSをプラスチック培養皿に満杯に注ぎ、37℃の炭酸ガスインキュベータ内に1時間置いた後、PBSを取り除いた。クリーンベンチ内で、プラスチック培養皿の蓋を開けて、培養皿内部を乾燥させた。
0.6mLの5倍濃度のDMEM、0.3mLの牛胎児血清、0.9mLの滅菌水及び1.2mLの0.5%atelocollagen(IPC−50 KOKEN)を氷冷下にて混合しゾルを作製した。合計3mLのゾルを事前に遠心して沈殿させた皮膚線維芽細胞(6×105cells)に加えて細胞が均一になるまで懸濁し、細胞懸濁ゾル(細胞密度2×105cells/mL)3mLを培養装置の35mm培養皿に注いだ。37℃の炭酸ガスインキュベータ内にて2時間静置することによりゲル化させた。
ゲルよりも上部の培養皿壁面に、底面の場合と同様に穴を開け、60cm長のフッ素樹脂(PFA)チューブを孔に差し込み、チューブの端をパラフィルムで固定した。チューブの他端を5cm長のシリコンチューブ、ルアーフィッティング、シリンジの順に繋いだ。培養装置の培養皿の底面に接続してあるチューブの先に繋いだシリンジを送液ポンプ(アイシス社、CXF1020 ヒュージョン200)の架台に装着し、0.7μL/分の速度で送液した。同時に培養皿の壁面に接続してあるチューブの先に繋いだシリンジを別の送液ポンプの架台に装着し、送液よりも遅い速度で支持体上面の培養液を回収した。この方法で6日間培養した。
製造例2 培養液灌流方式3次元培養皮膚2の作製
製造例1において、30日間培養したものを培養液灌流方式3次元培養皮膚2とした。
比較例1 従来の3次元培養皮膚1
製造例1において、10%牛胎児血清を含むDMEMを通液せず、培養皿内の培養液を1日1回交換したものを従来の3次元培養皮膚1とした。
比較例2 従来の3次元培養皮膚2
製造例2において、10%牛胎児血清を含むDMEMを通液せず、培養皿内の培養液を1日1回交換したものを従来の3次元培養皮膚2とした。
実験例1 細胞突起数の測定
製造例1の培養液灌流方式3次元培養皮膚1内の皮膚線維芽細胞と比較例1の従来の3次元培養皮膚1内の皮膚線維芽細胞をゲルごと中性ホルマリン固定し、常法に従いパラフィン切片を作製後、HE染色した。その後、顕微鏡下で細胞1個当たりの細胞突起数を測定した。
実験結果を表1に示した。培養液灌流方式3次元培養皮膚1内の皮膚線維芽細胞では、従来の培養液を灌流しない3次元培養皮膚1内の皮膚線維芽細胞に比べ、より多くの細胞突起が認められた。生体内組織において、線維芽細胞は多数の突起を介しコラーゲン線維等のマトリックス成分と結合し、相互作用を及ぼしあっている。したがって、今回の結果は、培養液灌流方式3次元培養皮膚1内の皮膚線維芽細胞が生体内組織における細胞により近い状態にあることを示す。
Figure 0006047000
実験例2 生細胞率の測定
製造例2の培養液灌流方式3次元培養皮膚2内の皮膚線維芽細胞と比較例2の従来の3次元培養皮膚2内の皮膚線維芽細胞をゲルごと中性ホルマリン固定し、常法に従いパラフィン切片を作製後、HE染色した。その後、顕微鏡下で生細胞と死細胞をカウントし、生細胞率を求めた。
実験結果を表2に示した。培養液灌流方式3次元培養皮膚2内の皮膚線維芽細胞の生細胞率は、従来の培養液を灌流しない3次元培養皮膚2内のそれに比べ、高値を示した。生体内組織において、線維芽細胞は長期間生存する。したがって、今回の結果は、培養液灌流方式3次元培養皮膚2が生体内組織により近い状態にあることを示す。
Figure 0006047000
実験例3 コラーゲン及びヒアルロン酸生成能の測定
皮膚線維芽細胞におけるコラーゲン及びヒアルロン酸生成能を1型コラーゲン、3型コラーゲン及びヒアルロン酸合成酵素HAS−2のmRNA発現量を指標として測定した。すなわち、製造例1の培養液灌流方式3次元培養皮膚1及び比較例1の従来の3次元培養皮膚1のコラーゲンゲルをコラゲナーゼにより分解し、残った細胞から総RNAの抽出を行った。総RNAの抽出には、RNAiso Plus(タカラバイオ)及びRNeasy Mini Kit(QIAGEN)を用いた。抽出した総RNAを基にRT−PCR法により1型コラーゲン、3型コラーゲン及びHAS−2 mRNA発現量の測定を行った。RT−PCR法にはSuperScript III Platinum Two−Step qRT−PCR Kit with SYBR Green(インビトロジェン)を用いた。PCR反応は、95℃にて2分間初期変性を行った後、95℃:15秒、60℃:31秒を1サイクルとして40サイクル行った。内部標準としては、GAPDHを用いた。1型コラーゲン、3型コラーゲン及びHAS−2 mRNA発現量は、GAPDH mRNA発現量に対する割合として求めた。なお、測定に使用したプライマーは以下の通りである。
1型コラーゲン用のプライマーセット
AGGACAAGAGGCATGTCTGGTT(配列番号1)
TTGCAGTGGTAGGTGATGTTCTG(配列番号2)
3型コラーゲン用のプライマーセット
TCCTTGCTGTGGTGGTGTTG(配列番号3)
GGCAAAACCGCCAGCTT(配列番号4)
HAS−2用のプライマーセット
TGGATGACCTACGAAGCGATTA(配列番号5)
GCTGGATTACTGTGGCAATGAG(配列番号6)
GAPDH用のプライマーセット
TGAACGGGAAGCTCACTGG(配列番号7)
TCCACCACCCTGTTGCTGTA(配列番号8)
実験結果を表3に示した。培養液灌流方式3次元培養皮膚1内の皮膚線維芽細胞では、従来の培養液を灌流しない3次元培養皮膚1内の皮膚線維芽細胞に比べ、1型コラーゲン、3型コラーゲン及びHAS−2 mRNA発現量の増加がみられた。生体内組織において、線維芽細胞はコラーゲンやヒアルロン酸合成酵素を生成し、細胞外マトリックスを構築している。したがって、今回の結果は、培養液灌流方式3次元培養皮膚1内の皮膚線維芽細胞が生体内組織における細胞により近い状態にあることを示す。
Figure 0006047000
本発明の細胞を含む支持体層に培養液を灌流させることを特徴とする3次元培養組織は、組織形態が生体に近いインビトロ培養組織である。この3次元培養組織は、化粧品素材や医薬品等の生体組織に及ぼす影響をインビトロにてより正確に評価するために利用できる。

Claims (6)

  1. 細胞を含む支持体層に培養液を灌流させ製造することを特徴とする3次元培養組織であり、細胞が支持体層内に分散して存在し、支持体層がコラーゲンゲルであり、支持体層の下部及び側面が培養皿に接着している3次元培養組織
  2. 培養液の灌流が、培養液を支持体に挿入したチューブを通じて、細胞を含む支持体層に加圧送液して行われることを特徴とする請求項1記載の3次元培養組織。
  3. 培養液の送液が、支持体層の下部より行われることを特徴とする請求項2記載の3次元培養組織。
  4. 培養液の送液速度が、支持体1cm当たり0.1〜10μL/分であることを特徴とする請求項2〜3いずれか記載の3次元培養組織。
  5. 細胞が、線維芽細胞である請求項1〜4いずれか記載の3次元培養組織。
  6. 支持体層を調製する培養皿の下部及び側面が線維化コラーゲンコートされていることを特徴とする請求項1〜5いずれか記載の3次元培養組織。
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