JP6045958B2 - 免震吊上装置 - Google Patents
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Description
ところが、従来の耐震吊上装置は、東北地方太平洋沖地震のような強い震動下では吊策の信頼性を十分に確保することは難しい。そこで、吊策巻上げ機構の強度を高めるものではなく、吊策巻上げ機構に係る衝撃荷重を吸収する構造の免震吊上装置が考えられる。
特に、原子力発電所等の原子力施設で使用される吊上装置では、吊荷の落下は施設に被害をもたらすだけでなく周辺環境にも深刻な影響を与えるおそれがある。そのため、吊荷の落下は絶対に避けなければならない。したがって、このような大型吊上装置においても適用可能な信頼性の高い免震構造を有する免震吊上装置が望まれている。
本実施形態では、原子力発電所等の原子力施設で使用される天井クレーンを例にとって免震吊上装置を具体的に説明する。
なお、以下の説明において、上下方向は鉛直方向に一致させた図1の上下方向を基準とする。
ここでは先ず免震吊上装置の全体構成について説明した後に衝撃緩衝機構としての免震ユニットについて説明する。図1は、本発明の第1実施形態に係る免震吊上装置の斜視図である。図2(a)は、図1の免震吊上装置の構成を模式的に示す側面図であり、図2(b)は、図2(a)の吊策(ワイヤロープ)の掛け要領を模式的に示す斜視図である。
図1に示すように、本実施形態の免震吊上装置20は、図示しない原子炉建屋の建屋対向壁のそれぞれに沿って略水平に配置される一対の架台21と、この架台21上に設けられる走行レール22と、この走行レール22上を走行可能に設けられる一対のサドル23と、この一対のサドル23両端に渡し架けられてサドル23と枠体を形成する一対のガーダ24と、ガーダ24の延在方向に沿って設けられる横行レール25と、一対のガーダ24に渡し架けられるように配置され、横行レール25上を横行可能に設けられるトロリ26と、トロリ26に設けられる吊策巻き上げ機構としてのドラム27と、このドラム27によって巻き上げられるワイヤロープ、チェーン等の吊策28と、吊策28の下端に設けられる吊具10と、を主に備えて構成されている。
なお、エコライザシーブ12は、後に詳しく説明するように、衝撃緩衝機構としての免震ユニット1に取り付けられている。
そして、ドラム27から延出する吊策28は、フックシーブ11、ヘッドシーブ9及びエコライザシーブ12に架け渡されている。本実施形態での吊策28としては、ワイヤロープを想定しているが、本発明での吊策28はこれに限定されるものではなくチェーン等で構成することもできる。
次に、衝撃緩衝機構としての免震ユニット1について説明する。
次に参照する図3(a)は、図2(a)中の衝撃緩衝機構としての免震ユニットの拡大図であり、図3(b)は、図3(a)のIIIb方向から見た免震ユニットの正面図である。なお、図3(a)は、図3(b)のA−A断面を表している。
なお、圧縮コイルばね6は、特許請求の範囲にいう「付勢部材」に相当する。
このばね軸3の先端には、ストッパ5が取り付けられている。このストッパ5は、ばね軸3から圧縮コイルばね6及び可動板33が抜け出るのを防止するものである。
可動フレーム7は、可動板33と、この可動板33に立設される一対の可動側連結部材36と、を主に備えて構成されている。なお、可動板33は、特許請求の範囲にいう「可動部材」に相当する。
ちなみに、本実施形態でのシーブ支持部材38は、平面形状が矩形の板体で形成され、その一端縁が回転軸部材37に取り付けられている。
このように可動側連結部材36に取り付けられるシーブ支持部材38は、エコライザシーブ12に掛けられる吊策28の張力方向に応じて回転軸部材37周りに回動自在となっている。
次に、本実施形態に係る免震吊上装置20の動作を説明しつつその作用効果について説明する。
図1に示す操縦室Cのオペレータは、吊具10が目的の吊荷(図示省略)の上方に位置するように、走行レール22上のサドル23を走行方向Xに移動させると共に、横行レール25上のトロリ26を横行方向Yに移動させる。
そして、たま掛け作業員による吊具10への吊荷の取付作業が完了すると、操縦室Cのオペレータは、ドラム27を逆回転させることで吊策28を巻き上げると、ヘッドシーブ9とフックシーブ11との間に架け渡された吊策28の長さが短くなることで、吊荷は吊具10とともにトロリ26に向かって上方に昇っていく。
これによりエコライザシーブ12に掛かる吊荷の荷重は、シーブ支持部材38、回転軸部材37、可動側連結部材36、破断ピン8、固定側連結部材32、及び支持板31を介して、トロリ26のベース面30に掛かることとなる。
図4に示すように、破断ピン8が破断すると、吊策28に掛かる張力によって可動側連結部材36及び可動板33は下方に移動する。この際、その挿通孔36aにばね軸3が挿通される可動板33は、圧縮コイルばね6の弾発力に抗しながらばね軸3に案内されて下方に移動する。
これにより吊策28を介してエコライザシーブ12に掛かる荷重は、前記の通常運転時とは異なって、シーブ支持部材38、回転軸部材37、可動側連結部材36、可動板33、圧縮コイルばね6、及び支持板31を介して、トロリ26(図2(a)参照)のベース面30に掛かることとなる。
これにより本実施形態の免震吊上装置20は、喩え天井クレーン等の大型の吊上装置に適用したとしても吊荷に発生する衝撃荷重を免震ユニット1が効率よく吸収することによって、構造部材の破損を防ぎ、吊荷の落下等をより確実に防止することができる信頼性の高い免震構造を有することとなる。
次に、本発明の第2実施形態に係る免震吊上装置20について説明する。
図5は、本発明の第2実施形態に係る免震吊上装置の免震ユニットを模式的に示す側面図である。なお、本実施形態において前記第1実施形態と同様の構成要素については同一の符号を付してその詳細な説明は省略する。
なお、図5には、作図の便宜上、1つのヘッドシーブ9のみ描いているが、図2(b)に示す掛け要領に基づいて説明すると、両方のヘッドシーブ9a,9bのそれぞれに免震ユニット1が適用される免震吊上装置20が望ましい。しかしながら、複数のヘッドシーブ9を有する免震吊上装置20においては、少なくもと1つのヘッドシーブ9に免震ユニット1が適用される構成であればよい。
次に、本発明の第3実施形態に係る免震吊上装置20について説明する。
図6は、本発明の第3実施形態に係る免震吊上装置の免震ユニットを模式的に示す側面図である。なお、本実施形態において前記第1実施形態と同様の構成要素については同一の符号を付してその詳細な説明は省略する。
前記第1実施形態(図3(b)参照)では、エコライザシーブ12に免震ユニット1を適用する構成となっていたが、第3実施形態では、図6に示すように、吊具10のフックシーブ11に免震ユニット1を適用する構成となっている。
そして、支持板31の縁部は、ケーシング40の上部開口周りに固定されている。さらに詳しくは、ケーシング40の上部開口の開口縁部の裏側面40aに支持板31の縁部が固定されている。この裏側面40aは、特許請求の範囲にいう「ベース面」に相当する。
可動板33の縁部は、ケーシング40の内壁に設けられたフランジ部40bの上面に離反可能に当接している。
なお、図6には、作図の便宜上、1つのフックシーブ11のみ描いているが、図2(b)に示す掛け要領に基づいて説明すると、第1から第4までのフックシーブ11a〜11dのそれぞれに免震ユニット1が適用される免震吊上装置20が望ましい。しかしながら、複数のフックシーブ11を有する免震吊上装置20においては、少なくもと1つのフックシーブ11に免震ユニット1が適用される構成であればよい。
また、第3実施形態に係る免震吊上装置20によれば、トロリ26側の構造を変更することなく、吊具10側の構造を変更することで前記の信頼性の高い免震構造を形成することができるので免震吊上装置20の製造コストを低減することができる。
次に、本発明の第4実施形態に係る免震吊上装置20について説明する。
図7は、本発明の第4実施形態に係る免震吊上装置20の免震ユニットを模式的に示す側面図である。図8(a)は、図7中の衝撃緩衝機構としての免震ユニット1aの拡大図であり、右半分が中心軸を通る断面で表されている半断面図、図8(b)は、図8(a)の免震ユニット1aの組立図である。なお、本実施形態において前記第1実施形態と同様の構成要素については同一の符号を付してその詳細な説明は省略する。
そして、トロリ下部26aとトロリ上部26bとの間には、次に説明する免震ユニット1aが配置されている。なお、図7中、符号9は、ヘッドシーブであり、符号10は、吊具であり、符号11は、フックシーブであり、符号12は、エコライザシーブであり、符号25は、横行レールであり、符号27は、ドラムであり、符号28は、吊策であり、符号29は、フックであり、符号30は、次に説明する免震ユニット1aの支持板31(図8(a)参照)を固定するための、トロリ下部26aの上面の適所に規定された略水平のベース面である。
なお、圧縮コイルばね6は、特許請求の範囲にいう「付勢部材」に相当する。
このばね軸3の先端には、ストッパ5が取り付けられている。このストッパ5は、ばね軸3から圧縮コイルばね6及び可動板33が抜け出るのを防止するものである。
そして、固定側連結部材32に形成されたピン孔34と、可動側連結部材36に形成されたピン孔35を位置合わせし、これらのピン孔34,35に破断ピン8を挿嵌する。その後、ばね軸3の先端にストッパ5を取り付けて、図8(a)に示す免震ユニット1aが完成する。なお、図8(b)中、符号31は、支持板である。
これにより吊具10に取り付けられる吊荷の荷重は、フックシーブ11及び吊策28、並びにドラム27、ヘッドシーブ9及びエコライザシーブ12を介してトロリ上部26bに伝達される。そして、トロリ上部26bは、免震ユニット1aを介して荷重をトロリ下部26aに伝達する。更に詳しく説明すると、この荷重は、可動板33、可動側連結部材36、破断ピン8、固定側連結部材32、及び支持板31を介して、トロリ下部26aのベース面30に掛かることとなる。
これにより可動板33に掛かる荷重は、前記の通常運転時とは異なって、圧縮コイルばね6及び支持板31を介して、トロリ下部26aのベース面30に掛かることとなる。
次に、本発明の第5実施形態に係る免震吊上装置20について説明する。
図9は、本発明の第5実施形態に係る免震吊上装置の免震ユニットを模式的に示す側面図である。なお、本実施形態において前記第1実施形態と同様の構成要素については同一の符号を付してその詳細な説明は省略する。
また、本実施形態でのベース面30は、前記第4実施形態でのベース面30とは異なって、下向きの略水平面で形成されている。
また、第5実施形態に係る免震吊上装置20によれば、前記第4実施形態と異なって、トロリ26をトロリ下部26aとトロリ上部26bとに分ける必要がないので構造が簡素化されて製造コストを低減することができる。
前記第1実施形態から前記第3実施形態では、エコライザシーブ12、ヘッドシーブ9及びフックシーブ11のいずれかに免震ユニット1を適用する構成について説明したが、本発明はエコライザシーブ12及びヘッドシーブ9のそれぞれに免震ユニット1を適用する構成、エコライザシーブ12及びフックシーブ11のそれぞれに免震ユニット1を適用する構成、ヘッドシーブ9及びフックシーブ11のそれぞれに免震ユニット1を適用する構成、並びにエコライザシーブ12、ヘッドシーブ9及びフックシーブ11のそれぞれに免震ユニット1を適用する構成とすることができる。
1a 免震ユニット
2 固定フレーム
3 ばね軸
5 ストッパ
6 圧縮コイルばね
7 可動フレーム
8 破断ピン(リミッタ)
9 ヘッドシーブ
9a 第1ヘッドシーブ
9b 第2ヘッドシーブ
10 吊具
11 フックシーブ
11a 第1フックシーブ
11b 第2フックシーブ
11c 第3フックシーブ
11d 第4フックシーブ
12 エコライザシーブ
13 車輪
13a ピローブロック
20 免震吊上装置
21 架台(クレーンガーダ鉄骨)
22 走行レール
23 サドル
24 ガーダ
25 横行レール
26 トロリ
26a トロリ下部
26b トロリ上部
27 ドラム
28 吊策
29 フック
30 ベース面
31 支持板(支持部材)
31a 支持板の切欠部
32 固定側連結部材
33 可動板(可動部材)
34 ピン孔
35 ピン孔
36 可動側連結部材
36a 挿通孔
37 回転軸部材
38 シーブ支持部材
39 回転軸
40 ケーシング
40a ケーシング上部開口縁部裏側面
40b ケーシングフランジ部
Claims (4)
- 吊荷の荷重により鉛直方向に移動可能な可動部材と、
鉛直方向にこの可動部材に対向して設けられ、吊荷の荷重が掛かる所定のベース面に支持される支持部材と、
前記可動部材を前記支持部材から離反する方向に付勢する付勢部材と、
前記可動部材と前記支持部材とを相互に連結するとともに所定値以上の荷重が掛ると破断するリミッタが配置された連結部材と、
を有する衝撃緩衝機構を備え、
前記可動部材には、シーブが取り付けられていることを特徴とする免震吊上装置。 - 請求項1に記載の免震吊上装置において、
前記可動部材には、エコライザシーブが取り付けられていることを特徴とする免震吊上装置。 - 請求項1又は請求項2に記載の免震吊上装置において、
前記可動部材には、ヘッドシーブが取り付けられていることを特徴とする免震吊上装置。 - 請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の免震吊上装置において、
前記可動部材には、フックシーブが取り付けられていることを特徴とする免震吊上装置。
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