JP3779000B2 - 免震装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は免震装置に関する。さらに詳しくは、ビルディングや橋梁等の構造物とその基礎との間および/または二つの構造物の間に介装して構造物の免震・制震を図るための免震装置において、構造物と基礎との実質的に鉛直方向の相対変位および/または二つの構造物の実質的に鉛直方向の相対変位を剛に拘束し、且つ、この拘束を解放して弾力的に拘束するための免震装置であって、装着対象構造物に加わる振動を抑制するとともに、該振動による荷重が所定値を超えないようにする免震装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、建造物等の免震装置のうち、水平方向成分の振動とともに鉛直方向成分の振動に対しても免震効果が奏されうるもの、また、主に鉛直方向成分の振動に対して免震効果が奏されうるものが種々提案されている。
【0003】
たとえば、特開平1−83744号公報および特開平5−302452号公報には、基礎に形成されたピット内に永久磁石等の磁場発生器を備え、このピット内に間隙をおいて没入するように構造物の下端近傍に前記磁場発生器とは異なる極性の磁場発生器(電磁石等)を備えた免震装置が開示されている。すなわち、構造物の重量を磁力によって支持しようというものである。このようにして、建造物と基礎との間に水平方向および鉛直方向の磁力を作用せしめることにより、特別の支承を設けずに水平方向の反力機構と鉛直方向の反力機構とをまかなうことを期待したものである。以下、この免震装置を従来技術1と呼ぶ。
【0004】
また、特開平7−173955号公報には、ベローズと積層免震ゴムとを鉛直方向に直列に連結した免震装置が開示されている。この免震装置は構造物と基礎との間および/または二つの構造物の間に介装され、そのベローズおよび積層免震ゴムの双方の弾力性によって構造物に対する加振力を低減しようというものである。したがって、構造物の重量はベローズおよび積層免震ゴムに均等に支持されている。そして、ベローズはその外周を入れ子式の一対の円筒部材によって囲まれており、それによってベローズには振動荷重のうちの縦方向(鉛直方向)成分のみが負荷されるように構成されている。一方、積層免震ゴムのみが水平方向の振動を抑制するように構成されている。以下、この免震装置を従来技術2と呼ぶ。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、叙上の従来技術1は、磁力によって橋梁等の構造物を支持するものであるため、きわめて大きい磁力が要求されることから高出力の電磁石が必要となり、装置が大がかりなものとなる。さらに、地震によって多発する停電への対応がきわめて不十分であり、現時点では非現実的な技術である。
【0006】
また、叙上の従来技術1、2のいずれも、一定のバネ定数を有する弾性部材(ゴム、ベローズまたは磁石の磁力)によって構造物を基礎にいわば固定するものである。したがって、免震効果を向上させるためには免震装置のバネ定数を低くする必要があるが、そうした場合、平常時においても風荷重や交通機関等による振動によって揺れ動くことがある。
【0007】
さらに、前述のように一定のバネ定数を有する弾性部材によって固定された構造物と基礎とからなる一つの振動系は定まった固有振動数を有している。したがって、たとえば発生する地震波の特性によっては前記振動系の応答加速度が増大し、さらには共振し、構造物の振動が増幅されて構造物に許容値を超える応力が発生することがあり、構造物の損傷、損壊を招くおそれがある。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明は、主に鉛直方向成分の振動荷重に対する免震装置に、実質的に剛体の支持装置を備えることによって平常時の風荷重や交通機関等による振動を抑制し、さらに、この支持部材に所定値以上の荷重によって切り離される切り離し部材を設けることにより、振動によって基礎と構造物とからおよび/または二つの構造物から所定値以上の相互反力が負荷されたときに構造物の剛な拘束を解いて弾性的に拘束し、構造物に所定値以上の反力が加わることを防止するとともに、免震装置を含む構造物全体の固有振動数を低下せしめてその応答加速度の増大を防止するものである。かかる構成により、地震等による構造物の損傷、損壊を効果的に防止しようとするものである。
【0009】
【発明の実施の形態】
本発明の免震装置は、
構造物と基礎との間および/または二つの構造物の間に介装される、構造物と基礎との実質的に鉛直方向の相対変位および/または二つの構造物の実質的に鉛直方向の相対変位を拘束および解放するための免震装置であって
造物と基礎との相対変位および/または二つの構造物の相対変位に応じて自ら変位しつつ反力を生じる第一弾性部材と
この第一弾性部材を囲み、且つ、上下に相対移動可能に内外に重なり合うように嵌合した、実質的に剛体の外側部と内側部とを含む支持部材と、
前記外側部と内側部とを接続するように介装された、所定値以上の荷重によって切り離される切り離し部材とを備えており、
この切り離し部材が、前記外側部および内側部にわたって挿通され、且つ、外側部と内側部との境界に対応する位置に切断予定部が形成されたものであり、
前記支持部材と第一弾性部材とが、上方の前記構造物の荷重を並列状で支持するように構成されている。
【0010】
したがって、構造物に加えられた振動の鉛直方向成分を先ずは剛体の支持部材が受けるため、平常時においては風荷重や交通機関等に起因する振動が、通常の免震装置を有さない構造物についてと同程度に防止される。一方、地震等によって大きな加振力が加わると、その荷重が前記切り離し部材に予め設定された値を越えたときに切り離し部材が切り離され、剛体の支持部材に代わって第一弾性部材が構造物を弾性的に支持することとなって構造物に加わる荷重が緩和される。また、免震装置を含めた構造物の固有振動数が低下し、構造物の応答加速度の増大や共振が防止される。その結果、構造物の損傷を防止しうる。また、免震装置全体のうち、破断する部位(切り離し部材の部分)が定まるため、メンテナンスが容易となり、免震装置の再使用も容易となる。
【0011】
そして、本発明の他の免震装置は、
前記支持部材と前記第一弾性部材とが一対で免震要素を構成しており、複数個の該免震要素が構造物と基礎との間および/または二つの構造物間に直列状に介装されており、各免震要素の支持部材における切り離し部材が、それぞれ異なる荷重によって切り離されるように構成された免震装置にあっては、振動が大きくなった場合、最小の切り離し荷重に設定された一個の切り離し部材が先ず切り離される。その結果、複数個の該免震要素のうちの当該一個における支持部材が作用しなくなって当該免震要素の第一弾性部材が荷重を受けるため、免震装置全体のバネ定数が低下する。そして、加振力が増大すれば次の切り離し部材が切り離されるという具合に、加振力が増大するほどバネ定数が低下していくことになる。つまり、前記一個の切り離し部材が先ず切り離されることによって免震装置と構造物とからなる振動系の固有振動数が低下するため、万が一構造物が共振して構造物の応答加速度が増加しようとしても固有振動数の変化によって共振が解消される。したがって、複数個の該免震要素の各設定切り離し荷重のうちの最大値を、構造物の許容荷重に設定しておけば、前述の作用を奏しうるとともに、許容荷重以下に相当する振動に対しても好適に損傷を防止することができる。また、免震要素の個数を増加させれば多数段階に固有振動数が変化しうるので、どのような振動数特性の加振力にも対応することができる。
【0012】
また、前記支持部材と前記第一弾性部材とが一対で免震要素を構成しており、該免震要素と直列状に、第一弾性部材より高い弾性係数を有する第二弾性部材が配設された免震装置にあっては、平常時の風荷重や交通機関等に起因する振動が抑制されることはもとより、より大きな地震荷重に対してもその振動エネルギをこの第二弾性部材が吸収しうるため、切り離し部材の分離に先立って地震による構造物の振動を抑制する効果が奏される。それ以上の加振力に対しては上述のごとき切り離し部材の作用によって固有振動数の変化による免震効果が奏される。また、振動の水平方向成分に対してもこの第二弾性部材が有効に作用して免震効果が奏される。
【0013】
さらに、前記支持部材と前記第一弾性部材とが一対で免震要素を構成しており、該免震要素と直列状に配設される、第一弾性部材より高い弾性係数を有する第二弾性部材が複数個配設された免震装置にあっては、振動の水平方向成分に対して、複数個の第二弾性部材が各々有効に作用し、支持部材と第一弾性部材とに作用する振動の水平方向成分を低減することができる。また、このように多重化することによって鉛直・水平のいずれの方向にも免震・制振の効果を向上することができる点で有利である。
【0014】
叙上の免震装置に、前記支持部材と前記第一弾性部材との一対で免震要素を構成し、該免震要素と直列状に滑り支承を配設することにより、前述した振動の鉛直方向成分に対する免震効果を奏しうるうえに、滑り支承の作用によって水平方向の振動に対しても免震効果が奏され、いわば三次元免震が可能となる。
【0015】
叙上の免震装置において、前記第一弾性部材をベローズから構成すれば、簡易且つコンパクトな構成によって固有振動数の低下を図ることができる点で好ましい。ベローズとしては、ステンレス鋼等の高強度の金属から構成するのが望ましく、また、一枚の金属板から形成されたものに限定されることはなく、同心状に複数枚重ね合わされたベローズを用いてもよい。
【0016】
さらに、このベローズ内を加圧するための作動流体供給器を配設すれば、支持すべき構造物の重量および振動荷重に応じた支持力をベローズに付与しうる点で好ましい。また、前述のように複数枚を同心状に重ね合わせたベローズの各ベローズ間に作動流体を圧入してもよい。
【0017】
前記作動流体供給器に、前記ベローズ内に連通された作動流体の蓄圧タンクを配設し、該蓄圧タンクの容積を増減調節しうるように構成すれば、この容積を変化させることによって第一弾性部材のバネ定数を変更調節することができるので好ましい。容積を変化させる手法としては、たとえば、蓄圧タンク内に仕切り板を内装しておき、ネジ式等によってその仕切り板を上下させて仕切り板の一方側(作用側)の容積を変化させるものであってもよい。または、蓄圧タンク内に水や油等の非圧縮性流体を注入することにより、気相体積を変化させるものであってもよい。
【0018】
前記第二弾性部材を積層免震ゴムから形成すれば、公知のものを使用できるので設計および製造を容易に行いうる点で好ましい。
【0019】
前記支持部材を実質的に環状に配設し、前記第一弾性部材を支持部材の内側に配設すれば、コンパクトな構成によって叙上の作用を奏しうる点で好ましい。
【0020】
なお、特許請求の範囲でいう「環状」とは、円環状はもとより、四角管状等の多角環状、楕円環状等を含む意味で用いている。さらに、「環状に配設され」るとは支持部材の形状が連続した環状を呈していることに限定する趣旨ではなく、たとえば、複数個の支持部材が断続的に、且つ、全体的に環状に配列されたようなものも含む意味である。
【0021】
【実施例】
以下、添付図面に記載の実施例を参照しつつ本発明の免震装置を説明する。
【0022】
図1は本発明の免震装置が適用される橋梁の概略図であり、(a)は免震装置が橋脚と基礎構造物との間に介装された状態を示し、(b)は免震装置が橋桁と橋脚との間に介装された状態を示す。図2は本発明の免震装置の一実施例を示す一部切欠き斜視図、図3は図2のIII−III線断面図、図4は本発明の免震装置の他の実施例を示す断面図、図5は図4の免震装置における切り離し部材の一例を示す図4のV部拡大図、図6は図4の免震装置における切り離し部材の他の例を示す図4のV部に相当する拡大図、図7は図4の免震装置における作動流体供給器の一例を示す概略断面図である。
【0023】
図1(a)に示す橋梁Bには橋脚Pと基礎Fとの間に免震装置1が装着されており、図1(b)に示す橋梁Bには橋桁Rと橋脚Pとの間に免震装置1が装着されている。
【0024】
図2には前記図1(a)に示す免震装置1が示されている。この免震装置1は図4に示す他の実施例に係る免震装置21中の一免震要素22に実質的に該当する。したがって、図4も併せて参照すれば理解し易い。
【0025】
この免震装置1の上部には、ステンレス鋼製のベローズ2が上面プレート3と中間プレート4との間に溶接等によって内外気密に固着されることにより配設されている。また、免震装置1の下部には、前記中間プレート4と下面プレート5との間に、溝・臍連結部6により積層免震ゴム7が配設されている。上面プレート3は上部橋脚Pの下端に溝・臍連結部6によって連結されており、下面プレート5は滑り支承8を介して基礎Fの上に配設されている。
【0026】
滑り支承2は、下面プレート5に固定される上側シュー8aと基礎Fに固定される下側シュー8bとから構成され、上側シュー8aと下側シュー8bとの間には滑り面8cが形成されている。両滑り面8cはともに公知のテフロン加工された面や滑らかな面に仕上げられたステンレス鋼等から形成されている。なお、滑り面はいずれか一方のみに形成してもよい。
【0027】
前記積層免震ゴム7は、ゴム板7aと金属板7bとが交互に積層された公知のものである。この積層免震ゴム7は、前記従来技術における磁力式免震装置やベローズに比較するとバネ定数ははるかに大きいため、平常時の風荷重や交通機関によって構造物が鉛直方向に大きく揺れることはない。
【0028】
図3も併せて参照すれば明らかなように、前記ベローズ2の外周側にはベローズ2を取り囲むように三個の円弧状の支持部材9が前記上面プレート3と中間プレート4との間にボルト10によって固定配設されている。この支持部材9は内周側円弧部9aと外周側円弧部9bとが内外に重なり合うように嵌合しており、両者は切り離し部材11によって相互に連結されている。したがって、前記ベローズ2には水平方向の剪断荷重が負荷されることはなく、前記切り離し部材11が分離されない限り鉛直方向の外力が負荷することもない。本実施例では、一個の支持部材9は一片の内周側円弧部9aと一片の外周側円弧部9bとから構成されているが、図6に示すように、一方を二片のものとし、他方をその二片間に貫入しうる一片のものから構成してもよい。
【0029】
図4からも明らかなように、内周側円弧部9aと外周側円弧部9bとの重なり合い寸法を大きく取っている。これは、地震等のときに切り離し部材11の分離後、両円弧部9a、9bが互いの相対移動によってその嵌合が外れることを防止しうるのはもとより、両円弧部9a、9bの端縁が上面プレート3および中間プレート4に当接してベローズ2の過大な撓みをも防止しうるからである。
【0030】
なお、本発明は前記積層免震ゴム7を含まずにベローズ2と支持部材9とのセットのみから構成された免震装置をも含むが、かかる免震装置も平常時の風荷重や交通機関によって構造物が鉛直方向に大きく揺れることはなく、切り離し部材11の分離によって振動を減衰せしめ、構造物の応答加速度の増大を防止するという効果を奏しうる。
【0031】
また、図示の支持部材9はベローズ2を含めたメンテナンス性を考慮して間隔を置いた複数個のものにしたが、とくにかかる構成に限定されることはなく、たとえば、連続した円環状等のものでもよい。
【0032】
この切り離し部材11は、図5および図6に示すように外周側円弧部9bから内周側円弧部9aに達する有底穴12dに装入されたシェアーピン12cから構成されている。このシェアーピン12cは、中間部における内周側円弧部9aと外周側円弧部9bとの境界面に対応する位置に縮径された切断予定部12bが形成されたものである。そして、このシェアーピン12cを前記有底穴12dに装入したのち、ネジ付きのプラグ12aによって閉止している。もちろん、前記シェアーピン12cとプラグ12aとを一体に形成したものであってもよい。さらに、前記有底穴12dに代えて貫通孔を形成し、貫通孔の両開口端それぞれをプラグ12aによって閉止するようにしてもよい。同一材料のシェアーピン12cでは、基本的にはその切断予定部12bの断面積によって切り離し荷重が設定される。振動荷重の鉛直方向成分によって、内周側円弧部9aと外周側円弧部9bとが相対移動するとシェアーピン12cに剪断荷重が負荷され、最弱部たる前記切断予定部12bにその強度以上の剪断荷重が加わったときに切断される。
【0033】
叙上の構成により、平常時の風荷重や交通機関による振動を効果的に防止し、地震等による大きな振動荷重が全切り離し部材11の設定荷重を越えたときにシェアピン12cが切断してベローズ2が振動荷重を受けることとなり、その弾性によってこれを減衰せしめる。
【0034】
図3および図4に示すように前記中間プレート4には、ベローズ2の内部に圧搾空気を供給するための空気供給通路13が穿設されている。そして、ベローズ2が支持すべき荷重、たとえば構造物の重量に応じて内圧を設定し、それによってベローズ2の初期撓みを設定する。
【0035】
図3に示すように、前記圧搾空気を供給する手段として高圧空気タンク(特許請求の範囲でいう蓄圧タンクに該当)15が配設されている。この高圧空気タンク15には図示しないコンプレッサ等から圧搾空気が供給される。また、高圧空気タンク15の内容積がベローズ2の内容積とともに内部空気の圧縮代を決定するため、ベローズ2のバネ定数を決定する一要素となる。したがって、高圧空気タンク15の内容積を変化させることによりベローズ2のバネ定数を調節することができる。高圧空気タンク15の内容積を変化させる手段として、図7に示すように、高圧空気タンク15内にネジ16によって上下しうる可動仕切板17を配備している。この可動仕切板17を上下することにより、高圧空気タンク15の有効容積たる可動仕切板17より上方の空間の容積を変化させるのである。なお、前記ネジ16の部分は高圧空気の漏れを防止するようにシール剤を塗布する等のシーリング施工を施している。
【0036】
また、内容積変化の他の手段としては、たとえば、高圧空気タンク15内に任意量の水や油等の非圧縮性流体を注入して気相体積部分を変化させ、該気相体積部分によってベローズ2のバネ定数を調節することも有効である。そうすることにより、きわめて容易にバネ定数を調節することができる。
【0037】
高圧空気タンク15からベローズ2内への連通は、途中に振動対策としての可撓らせん部18aが形成された配管18によってなされる。
【0038】
図4に示される免震装置21は、図2の免震装置1が実質的に複数段積層されたものである。したがって、共通の構成要素には共通の符号を付して説明する。なお、この免震装置21においては、ベローズ2と支持部材9とのセット(以下、免震要素22と呼ぶ)の個数は積層免震ゴム7の個数より一個多いが、本発明ではとくにこの個数に限定されることはない。また、もちろん個数は四個(三個)に限定されず、四個(三個)未満であっても四個(三個)を超える個数であってもよい。本実施例では免震要素22が複数個配設されている点に以下のごとき意味がある。
【0039】
本免震装置21の利点は、必要に応じて各免震要素22における切り離し部材11の設定破断力を互いに異なる値に設定できることである。すなわち、本実施例では一個の免震要素22における全切り離し部材11の設定破断力が、各々の免震要素22について異なる値として設定されている。たとえば、図中の最上段の免震要素たる第一免震要素221の設定破断力を最小にし、以下、第二免震要素222、第三免震要素223、第四免震要素224の順番に大きくしていく。そうすれば、発生する地震の強度に応じて小さい設定破断力の切り離し部材11が分離し、好適に免震装置21のバネ定数、引いては振動系の固有振動数を変化させうるため、構造物の応答加速度の増大を効果的に防止しうる。
【0040】
本発明においては、とくに設定破断力の大きさの順に免震要素を配列する必要はない。一方、全免震要素のベローズ2のバネ定数は必ずしも同一にする必要はない。
【0041】
(実施例)
図4に示される免震装置22を以下のとおり製造した。すなわち、
ベローズは、板厚を2mmの8枚のステンレス鋼板から形成し、上面プレートと中間プレートそれぞれの受圧径を80cmとし(受圧面積が5.03×103 cm2 )、一個あたり、ベローズ山数を3山とし、山高さを10cmとし、ベローズ軸方向長さを20cmとし、内部空気圧力を60kgf/cm2 とした。また、高圧空気タンクの容積を9.82×104 cm3 とした。
【0042】
以上から、四個合計のベローズ自体および内部高圧空気のバネ定数は7.45×103 kgf/cmとなる。また、支持しうる荷重は3.02×102 tonfとなる。
【0043】
積層免震ゴムは、一個あたり、全高を10cmとし、外径を88cmとし、バネ定数を5×105 kgf/cm以上とする。
【0044】
以上から、直列三個の積層免震ゴムのバネ定数は1.7×105 kgf/cm以上となる。
【0045】
支持部材は、内径を110cmとし、円弧部の板厚を10cmとすると、バネ定数が5.65×107 kgf/cmとなり、ベローズのバネ定数を無視しうるほど大きい。また、前記荷重は十分に支持することができる。
【0046】
かかる図4の免震装置を、門形橋梁の四本の橋脚それぞれに配設すると、全体で1.2×103 tonfの荷重を支持できる。また、支持部材の切り離し部材が分離する前の固有振動数は3.7Hz以上となり、全免震要素の全切り離し部材が分離した後の固有振動数は0.78Hzとなる。多くの地震波の周波数が1Hz以上であることを鑑みれば、十分な免震効果を発揮しうることがわかる。もちろん、四個の免震要素の全切り離し部材が順次分離していくことにより、徐々に固有振動数が減少していくことになり、種々の地震波に対して免震効果が発揮される。
【0047】
叙上の実施例においては第一弾性部材をベローズから構成したが、本発明ではとくにベローズに限定されることはなく、ベローズに代えてコイルバネ等を用いてもよい。
【0048】
【発明の効果】
本発明によれば、構造物に加えられた振動の鉛直方向成分を先ず剛体の支持部材が受けるため、平常時においては風荷重や交通機関等に起因する振動が、通常の免震装置を有さない構造物についてと同程度に防止される。一方、地震等によって大きな加振力が加わると、その荷重が前記切り離し部材に予め設定された値を越えたときに切り離し部材が切り離され、剛体の支持部材に代わって第一弾性部材が構造物を弾性的に支持することとなって構造物に加わる荷重が緩和される。また、免震装置を含めた構造物の固有振動数が低下し、構造物の応答加速度の増大や共振が防止される。その結果、構造物の損傷を防止しうる。また、免震装置全体のうち、破断する部位(切り離し部材の部分)が定まるため、メンテナンスが容易となり、免震装置の再使用も容易となる。
【0049】
さらに、かかる免震装置を直列に複数段配設することにより、振動荷重に応じて切り離し部材が先ず切り離されるので、その都度、免震装置のバネ定数が低下するとともに、免震装置と構造物とからなる振動系の固有振動数が低下する。したがって、どのような振動数特性の加振力に対しても構造物の応答加速度の増大が防止される。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の免震装置が適用される橋梁の概略図であり、(a)は免震装置が橋脚と基礎構造物との間に介装された状態を示し、(b)は免震装置が橋桁と橋脚との間に介装された状態を示す。
【図2】本発明の免震装置の一実施例を示す一部切欠き斜視図である。
【図3】図2のIII−III線断面図である。
【図4】本発明の免震装置の他の実施例を示す断面図である。
【図5】図4の免震装置における切り離し部材の一例を示す図4のV部拡大図である。
【図6】図4の免震装置における切り離し部材の他の例を示す図4のV部に相当する拡大図である。
【図7】図4の免震装置における作動流体供給器の一例を示す概略断面図である。
【符号の説明】
1、21・・・免震装置
2・・・ベローズ
3・・・上面プレート
4・・・中間プレート
5・・・下面プレート
7・・・積層免震ゴム
8・・・滑り支承
9・・・支持部材
11・・・切り離し部材
12c・・シェアーピン
15・・・高圧空気タンク

Claims (9)

  1. 構造物と基礎との間および/または二つの構造物の間に介装される、構造物と基礎との実質的に鉛直方向の相対変位および/または二つの構造物の実質的に鉛直方向の相対変位を拘束および解放するための免震装置であって
    造物と基礎との相対変位および/または二つの構造物の相対変位に応じて自ら変位しつつ反力を生じる第一弾性部材と
    該第一弾性部材を囲み、且つ、上下に相対移動可能に内外に重なり合うように嵌合した、実質的に剛体の外側部と内側部とを含む支持部材と、
    前記外側部と内側部とを接続するように介装された、所定値以上の荷重によって切り離される切り離し部材とを備えており、
    該切り離し部材が、前記外側部および内側部にわたって挿通され、且つ、外側部と内側部との境界に対応する位置に切断予定部が形成されたものであり、
    前記支持部材と第一弾性部材とが、上方の前記構造物の荷重を並列状で支持するように構成されてなる免震装置。
  2. 構造物と基礎との間および/または二つの構造物の間に介装される、構造物と基礎との実質的に鉛直方向の相対変位および/または二つの構造物の実質的に鉛直方向の相対変位を拘束および解放するための免震装置であって、
    所定値以上の荷重によって切り離される切り離し部材を介装した実質的に剛体の支持部材と、構造物と基礎との相対変位および/または二つの構造物の相対変位に応じて自ら変位しつつ反力を生じる第一弾性部材とを備えており、
    前記支持部材と第一弾性部材とが、上方の前記構造物の荷重を並列状で支持するように構成されており、
    前記支持部材と前記第一弾性部材とが一対で免震要素を構成しており、複数個の該免震要素が構造物と基礎との間および/または二つの構造物間に直列状に介装されており、各免震要素の支持部材における切り離し部材が、それぞれ異なる荷重によって切り離されるように構成されてなる免震装置。
  3. 前記支持部材と前記第一弾性部材とが一対で免震要素を構成しており、該免震要素と直列状に、第一弾性部材より高い弾性係数を有する第二弾性部材が配設されてなる請求項1または2記載の免震装置。
  4. 前記支持部材と前記第一弾性部材とが一対で免震要素を構成しており、該免震要素と直列状に配設される、第一弾性部材より高い弾性係数を有する第二弾性部材が、複数個配設されてなる請求項1〜3のうちのいずれか一の項に記載の免震装置。
  5. 前記支持部材と前記第一弾性部材とが一対で免震要素を構成しており、該免震要素と直列状に滑り支承が配設されてなる請求項1〜4のうちのいずれか一の項に記載の免震装置。
  6. 前記第一弾性部材がベローズから構成されてなる請求項1〜5のうちのいずれか一の項に記載の免震装置。
  7. 前記ベローズ内を加圧するための作動流体供給器が配設されており、該作動流体供給器が、前記ベローズ内に連通された作動流体の蓄圧タンクを有しており、該蓄圧タンクがその容積を増減調節しうるように構成されてなる請求項記載の免震装置。
  8. 前記第二弾性部材が積層免震ゴムから形成されてなる請求項3または4記載の免震装置。
  9. 前記支持部材が実質的に環状に配設されており、前記第一弾性部材が、支持部材の内側に配設されてなる請求項1〜のうちのいずれか一の項に記載の免震装置。
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