JP6045678B1 - アワビのβグルカン結合タンパク質から誘導された抗菌ペプチド、これをコーディングする核酸及びこれらの用途 - Google Patents

アワビのβグルカン結合タンパク質から誘導された抗菌ペプチド、これをコーディングする核酸及びこれらの用途 Download PDF

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Abstract

【課題】抗菌及び/または抗癌活性を有する新規ペプチド、新規ペプチドをコーディングする核酸及び新規ペプチドをコーディングする核酸が挿入されている再組合発現ベクターの提供。新規ペプチドを有効成分として含有する抗菌用及び/または抗癌用組成物としての薬学組成物、化粧品組成物及び/又は食品添加補助剤の提供。【解決手段】抗菌特性及び新しい生理学的活性として抗癌特性を有するペプチド、これをコーディングする核酸及びこのペプチド若しくは核酸の応用に関するものである。合成されたペプチド若しくはこのペプチドをコーディングする核酸が挿入されたベクターを有効成分に用い、抗菌及び/または抗癌組成物、例えば薬学的組成物、化粧品組成物及び/または食品添加剤に活用することができる。【選択図】図3A

Description

本発明は、新規ペプチドに関するものであり、さらに詳細には抗菌活性及び/または抗癌活性を有する新規ペプチド、これをコーディングする核酸及びこれらの産業的応用のような用途に関するものである。
外部病原体に対する防衛システムとしての免疫システムは、生命体によって異なる。すべての免疫システムは自己(self)と非自己(non−self)を区別し、外部分子を認識(recognition)、処理(disposal)、伝達(communication)するシステムで構成され得る。生命体における外部病原体に対する免疫システムは、病原体がはじめて侵入したとき、これを直ちに感知して反応する先天性免疫システム(innate immune system)と、同一病原体が侵入したとき、これを記憶し、効率的に病原体に対する防衛システムを構築する後天性免疫システムである適応性免疫システム(adaptive immune system)に大きく分けられる。
適応性免疫システムが発達した脊椎動物と異なり、無脊椎動物は抗体がなく、適応性免疫システムがないか或いは不十分である。その代わりに無脊椎動物は、侵入する病原体に対する防衛システムとして非常に効率的な先天性免疫系を有している。特に、海底環境では病原体となり得る微生物が豊かに生息するが、海洋無脊椎動物は、かかる微生物の豊かな環境で生息し、増殖するため、陸上の無脊椎動物に比べてより効率的な先天性免疫系が発達した。
海洋無脊椎動物をはじめとする生命体における先天性免疫反応の第1段階は、生体内に侵入しようとする病原菌を認識することである。代表的な病原体の一つである微生物の細胞壁は、脂質多糖類(lipopolysaccharides、LPS)、β‐1,3‐グルカン(β‐1,3−glucan)及びペプチドグリカン(peptidoglycans)といった糖タンパク質からなる病原体関連分子パターン(pathogen‐associated molecular patterns、PAMPs)を有しているが、これらは宿主には存在しないか、或いは様々な方法で隠されている。かかる病原体関連分子パターン(PAMPs)は、無脊椎動物の先天性免疫システムを構成する特定タンパク質、例えばパターン認識受容体(pattern recognition receptors、PRRs)若しくはパターン認識タンパク質(pattern recognition proteins、PRPs)によって認識することができる。
PRPsとPAMPsは複合体を形成し、一連の活性化された免疫反応を誘導する。それぞれのPRPsは、多細胞生物にはなく、病原体微生物の表面にのみ存在する適切なPAMPsを認識・結合し、食作用(phagocytosis)、ノジュール形成(nodule formation)、被包化(encapsulation)、プリテイナーゼカスケード(proteinase cascade)活性化及び抗菌ペプチドの合成といった一連の免疫反応を誘発する。例えば、ペプチドグリカン認識タンパク質(peptidoglycan recognition protein、PGRPs)、C‐型レクチン(lectins)、脂質多糖類結合タンパク質(LPS‐binding proteins)、β‐1,3‐グルカン結合タンパク質(β‐glucan binding proteins、βGBP)などといった脂質多糖類及びグルカン結合タンパク質(lipopolysaccharides and glucan binding proteins、LGBP)に代表される様々な形の無脊椎動物由来のPRPsが報告されている。
微生物の細胞壁に存在するPAMPsは、無脊椎動物の防衛細胞の機能を直接に活性化させるが、無脊椎動物のPRPsによって引き起こされる一連の刺激を増幅させる免疫反応は、脊椎動物における抗体の2次的な活性と類似する。特に、プロフェノールオキシダーゼ(prophenoloxydase、pro‐PO)活性システムは、極めて様々な無脊椎動物において重要な防衛メカニズムを見せる。この免疫システムは、酵母及び菌類(fungus)のような真菌類の細胞の主要成分として存在するLPS、ペプチドグリカン及びβ‐1,3‐グルカンのような細菌性抗原(糖類部位、saccharide moiety)を認識するのに基づく。
水棲生物において一部のLGBPがクローニング・分析された。例えば、ウチダザリガニ(Pacifastacus leniusculus LGBP)、クルマエビ(Marsupenaeus japonicas LGBP)、コウライエビ(Fenneropenaeus chinensis LGBP)、アズマニシキ(Chlamys farreri LGBP)、クロアワビ(Haliotis discus BGRP)、アコヤガイ(Pinctada fucata LGBP)などが報告された。特に、ウチダザリガニ(Pacifastacus leniusculus LGBP)は、プロフェノールオキシダーゼ(proPO)の活性に重要な役割を果たすことが知られている。
一般的に、LGBPは、多糖類結合モチーフ(polysaccharide binding motif)とβグルカン認識モチーフ(beta glucan recognition motif)の二つの多糖類認識部位を含んでいる。無脊椎動物は、すべての酵母及び菌類細胞の主要成分として存在するLPS、ペプチドグリカン及びβ‐1,3‐グルカンのような細菌抗原(糖類部位)を認識する。
LPSの結合若しくは認識ドメインに基づいて設計された抗菌ペプチドが知られている。現在、様々な甲殻類から得られた抗リポ多糖因子(anti‐lipopolysaccharide factor、ALF)の相応する合成LPS‐結合ドメインペプチドで抗菌活性が報告されている。例えば、非ヘム鉄(non−hemic iron)結合糖タンパク質であるラクトフェリン(lactoferrin)は、そのLPS‐結合ドメインが抗菌活性を有している。グラム陰性結合タンパク質3(Gram negative binding protein 3、GNBP3)の再組合N‐末端ドメインは、β‐1,3‐グルカンに結合し、抗菌活性を見せる。
しかし、新型の抗菌ペプチドを開発し、これらの新しい生理学的な活性を研究する必要がある。
本発明の目的は、抗菌及び/または抗癌活性を有する新規ペプチド、新規ペプチドをコーディングする核酸及び新規ペプチドをコーディングする核酸が挿入されている再組合発現ベクターを提供することである。
本発明の他の目的は、新規ペプチドを有効成分として含有する抗菌用及び/または抗癌用組成物としての薬学組成物、化粧品組成物及び/または食品添加補助剤を提供することである。
本発明は、抗菌特性及び新しい生理学的活性として抗癌特性を有するペプチド、これをコーディングする核酸及び応用に関するものである。
本発明の一側面によると、本発明は下記式(1)で表される配列を有するペプチドを提供する。
[式1]
(N‐末端)‐WLWKAIWKLLX‐(C末端)…(1)
式(1)中、Xはリシン(K)、アルギニン(R)及びヒスチジン(H)で構成される群から選択される塩基性アミノ酸であるか、或いはセリン(S)、トレオニン(T)、アスパラジン(N)及びグルタミン(Q)で構成される群から選択される極性アミノ酸である。
例えば、前記式(1)のペプチドは、配列番号:3若しくは配列番号:5のアミノ酸配列で構成される。
例示的な実施形態において、前記式(1)で表されるペプチドのC‐末端は、アミド化されている。
前記ペプチドは、抗菌活性及び抗癌活性から選択される少なくとも一つの生理的活性を有することができる。
本発明の他の側面によると、本発明は、前述したペプチドをコーディングする核酸を提供する。
例えば、前記核酸は、配列番号:4若しくは配列番号:6の塩基配列で構成されるヌクレオチドを含むことができる。
本発明のさらに他の側面によると、本発明は、前述したペプチドをコーディングする核酸が挿入された再組合発現ベクターを提供する。
本発明のさらに他の側面によると、本発明は、前述したペプチドを有効成分として含む抗癌用薬学組成物を提供する。
例えば、前記ペプチドは、子宮癌、子宮頸癌及び肺癌で構成される群から選択される少なくとも一つの癌を治療するための薬学組成物として用いられる。
本発明のさらに他の側面によると、本発明は、前述したペプチドを有効成分として含む抗菌用薬学組成物を提供する。
例えば、前記ペプチドは、グラム陽性菌、グラム陰性菌及び酵母に対して抗菌活性を示す。
本発明のさらに他の側面によると、本発明は、前述したペプチドを有効成分として含む抗菌用化粧品組成物を提供する。
本発明のさらに他の側面によると、本発明は、前述したペプチドを有効成分として含む抗菌用食品添加剤を提供する。
本発明によって得られるペプチド変異体は、様々な病原体に対し、効率的な抗菌活性を示す。さらに、本発明によって合成されるペプチドは、抗菌活性の他、別の生理的活性として様々な癌細胞株に対する抗癌活性を見せる。
したがって、本発明によって合成されるペプチドは、抗菌、抗生用組成物及び/または抗癌用組成物の有効成分として応用することができる。例えば、本発明によって合成されるペプチドは、抗癌用及び/または抗菌用薬学組成物の有効成分としてはもちろん、化粧品保存剤として抗菌用化粧品組成物の有効成分や抗菌用食品添加剤の有効成分として活用できることが期待される。
本発明の例示的な実施例により、アワビ(abalone)から由来した脂質多糖類及びβ‐1,3‐グルカン結合タンパク質(HDH‐LGBP)の全長アミノ酸配列及びcDNA配列を示した図面である。信号ペプチド配列とポリ‐(A)信号部位は、それぞれ下線で表し、インテグリン結合モチーフとN‐糖化部位は、灰色の四角形で囲んで強調している。そして、多糖結合モチーフは、赤いイタリック体及び下線で表す。 本発明の例示的な実施例により、アワビから由来した脂質多糖類及びβ‐1,3‐グルカン結合タンパク質(HDH‐LGBP)を構成するペプチド及び天然ペプチドから一部のアミノ酸を置換し、合成したペプチド変異体に対するSchiffer‐Edmundsonのヘリカルホイールダイアグラムである。矢印は、天然ペプチド(HDH‐LGBP)で置換されたアミノ酸残基を表し、ペプチドを構成する疎水性アミノ酸残基と親水性アミノ酸残基は、四角形で囲んである。 本発明の例示的な実施例によって合成されたペプチド変異体であるHDH‐LGBP‐A1の抗菌活性を測定したグラフである。微生物の成長は、ペプチドのない状態で観察された最大吸光度(OD)に対するパーセントで表す。データは、3回の独立的な実験により得られたものであり、平均±標準偏差(SD)値で表す。 本発明の例示的な実施例によって合成されたペプチド変異体であるHDH‐LGBP‐A2の抗菌活性を測定したグラフである。微生物の成長は、ペプチドのない状態で観察された最大吸光度(OD)に対するパーセントで表す。データは、3回の独立的な実験により得られたものであり、平均±標準偏差(SD)値で表す。 本発明の例示的な実施例によって合成されたペプチド変異体の加熱処理後の抗菌活性を示す写真である。図中、Nは非加熱処理ペプチドの放射拡散分析の結果を、Hは100℃で10分間加熱処理したペプチドの放射拡散分析の結果を示す。 本発明の例示的な実施例によって合成されたペプチドの塩濃度による抗菌活性を示す写真である。 本発明の例示的な実施例によって合成されたペプチド変異体であるHDH‐LGBP‐A1を、HeLa細胞株とA549細胞株に対し、異なる濃度で処理した後の細胞形態を、位相差顕微鏡を用いて撮影した写真である。図中、上側がHeLa細胞株に対する分析結果であり、下側がA549細胞株に対する分析結果である。 本発明の例示的な実施例によって合成されたペプチド変異体であるHDH‐LGBP‐A2を、HeLa細胞株とA549細胞株に対し、異濃度で処理した後の細胞形態を、位相差顕微鏡を用いて撮影した写真である。図中、上側がHeLa細胞株に対する分析結果であり、下側がA549細胞株に対する分析結果である。 本発明の例示的な実施例によって合成されたペプチド変異体であるHDH‐LGBP‐A1を、HeLa細胞株、A549細胞株及び正常細胞株に対し、37℃で24時間処理した後、各細胞株の生存力を測定したグラフである。 本発明の例示的な実施例によって合成されたペプチド変異体であるHDH‐LGBP‐A2を、HeLa細胞株、A549細胞株及び正常細胞株に対し、37℃で24時間処理した後、各細胞株の生存力を測定したグラフである。 酢酸で24時間処理し、Annexin‐V‐FITC/PIで染色したHeLa細胞における細胞膜の構造維持及びホスファチジルセリンの露出度合いを測定したFACS分析結果を示すグラフである。 本発明の例示的な実施例によって合成されたペプチド変異体であるHDH‐LGBP‐A1(濃度1μg/ml)で24時間処理し、Annexin‐V‐FITC/PIで染色したHeLa細胞における細胞膜の構造維持及びホスファチジルセリンの露出度合いを測定したFACS分析結果を示すグラフである。 本発明の例示的な実施例によって合成されたペプチド変異体であるHDH‐LGBP‐A1(濃度5μg/ml)で24時間処理し、Annexin‐V‐FITC/PIで染色したHeLa細胞における細胞膜の構造維持及びホスファチジルセリンの露出度合いを測定したFACS分析結果を示すグラフである。 本発明の例示的な実施例によって合成されたペプチド変異体であるHDH‐LGBP‐A1(濃度10μg/ml)で24時間処理し、Annexin‐V‐FITC/PIで染色したHeLa細胞における細胞膜の構造維持及びホスファチジルセリンの露出度合いを測定したFACS分析結果を示すグラフである。 本発明の例示的な実施例によって合成されたペプチド変異体であるHDH‐LGBP‐A1(濃度20μg/ml)で24時間処理し、Annexin‐V‐FITC/PIで染色したHeLa細胞における細胞膜の構造維持及びホスファチジルセリンの露出度合いを測定したFACS分析結果を示すグラフである。 酢酸で24時間処理し、Annexin‐V‐FITC/PIで染色したHeLa細胞における細胞膜の構造維持及びホスファチジルセリンの露出度合いを測定したFACS分析結果を示すグラフである。 本発明の例示的な実施例によって合成されたペプチド変異体であるHDH‐LGBP‐A2(濃度1μg/ml)で24時間処理し、Annexin‐V‐FITC/PIで染色したHeLa細胞における細胞膜の構造維持及びホスファチジルセリンの露出度合いを測定したFACS分析結果を示すグラフである。 本発明の例示的な実施例によって合成されたペプチド変異体であるHDH‐LGBP‐A2(濃度5μg/ml)で24時間処理し、Annexin‐V‐FITC/PIで染色したHeLa細胞における細胞膜の構造維持及びホスファチジルセリンの露出度合いを測定したFACS分析結果を示すグラフである。 本発明の例示的な実施例によって合成されたペプチド変異体であるHDH‐LGBP‐A2(濃度10μg/ml)で24時間処理し、Annexin‐V‐FITC/PIで染色したHeLa細胞における細胞膜の構造維持及びホスファチジルセリンの露出度合いを測定したFACS分析結果を示すグラフである。 本発明の例示的な実施例によって合成されたペプチド変異体であるHDH‐LGBP‐A2(濃度20μg/ml)で24時間処理し、Annexin‐V‐FITC/PIで染色したHeLa細胞における細胞膜の構造維持及びホスファチジルセリンの露出度合いを測定したFACS分析結果を示すグラフである。 本発明の例示的な実施例によって合成されたペプチド変異体のDNAに対するゲル遅延度アッセイの結果を示す写真である。アガロースゲルを用い、商業的な分子量マーカーであるλ‐Hind IIIで切断されたDNA(50ng)の遅延度を測定し、DNAに対するペプチドの結合を測定した。 本発明の例示的な実施例によって合成されたペプチド変異体のDNA重合酵素の抑制分析結果を示す写真である。DNA重合酵素に対するペプチドの効果は、 E.coli 16S rDNAを増幅したPCRを用いてテストした。
<定義>
本明細書において、用語「アミノ酸」は最も広い意味で用いられ、自然発生L-アミノ酸若しくは残基を含むものと意図される。自然発生アミノ酸に対し、通常用いられる1-及び3‐文字略語が本明細書に用いられる(文献[Lehninger、Biochemistry、2d ed.、pp.71−92、(Worth Publishers:New York、1975])。アミノ酸はD‐アミノ酸のみならず、化学的に変形されたアミノ酸、例えばアミノ酸類似体、通常はタンパク質に混入されない自然発生アミノ酸、例えば、ノルロイシン及び当業界に公知されたアミノ酸の特性を有する、化学的に合成された化合物を含む。例えば、天然フェニルアラニン(Phe)若しくはプロリン(Pro)と同一のペプチド化合物の立体形態の制限を許容するフェニルアラニン若しくはプロリンの類似体若しくは模倣体がアミノ酸の定義内に含まれる。かかる類似体及び模倣体は、本明細書においてアミノ酸の「機能的均等物」として称される。アミノ酸の他の例は、文献[Roberts and Vellaccio、The Peptides:Analysis、Synthesis、Biology、Eds.Gross and Meiehofer、Vol.5、p.341(Academic Press、Inc.:N.Y.1983)]に列挙されている。
例えば、標準固体相合成技術により合成された合成ペプチドは、遺伝子によってコーディングされるアミノ酸に制限されず、それによって与えられたアミノ酸に対し、より広範囲に様々な置換を許容する。遺伝子コードによってコーディングされないアミノ酸は、本明細書において「アミノ酸類似体(analog)」として称され、例えばWO90/01940に記載されている。例えば、アミノ酸類似体は、Glu及びAspに対する2‐アミノアジピン酸(Aad);Glu及びAspに対する2‐アミノピメリン酸(Apm);Met、Leu及び他の脂肪族アミノ酸に対する2‐アミノ酪酸(Abu);Met、Leu及び他の脂肪族アミノ酸に対する2‐アミノヘプタン酸(Ahe);Glyに対する2‐アミノ酪酸(Aib);Val、Leu及びIleに対するシクロヘキシルアラニン(Cha);Arg及びLysに対するホモアルギニン(Har);Lys、Arg及びHisに対する2、3‐ジアミノプロピオン酸(Dap);Gly、Pro及びAlaに対するN‐エチルグリシン(EtGly);Asn及びGlnに対するN‐エチルアスパラギン(EtAsn);Lysに対するヒドロキシリシン(Hyl);Lysに対するアロヒドロキシリシン(AHyl);Pro、Ser及びThrに対する3‐(及び4‐)ヒドロキシプロリン(3Hyp、4Hyp);Ile、Leu及びValに対するアロイソロイシン(AIle);Argに対する4‐アミジノフェニルアラニン;Gly、Pro及びAlaに対するN‐メチルグリシン(MeGly、サルコシン);Ileに対するNメチルイソロイシン(MeIle);Met及び他の脂肪族アミノ酸に対するノルバリン(Nva);Met及び他の脂肪族アミノ酸のためのノルロイシン(Nle);Lys、Arg及びHisに対するオルニチン(Orn);Thr、Asn及びGlnに対するシトルリン(Cit)及びメチオニンスルホキシド(MSO);及びPheに対するN‐メチルフェニルアラニン(MePhe)、トリメチルフェニルアラニン、ハロ‐(F‐、Cl‐、Br若しくはI‐)フェニルアラニン若しくはトリフルオリルフェニルアラニンを含む。
本明細書において、用語「ペプチド」は、自然に存在するものから分離、または組換え技術(recombinant technique)によって若しくは化学的に合成されたタンパク質、タンパク質の断片及びペプチドを全て含む。特定の実施様態において、化合物の変異体、例えば1つ以上のアミノ酸置換を有するペプチド変異体が提供される。本明細書において、「ペプチド変異体(peptide variants)」とは、1つまたはそれ以上のアミノ酸がペプチドのアミノ酸配列に置換(substitutions)、欠失(deletions)、添加(additions)及び/または挿入(insertions)されており、且つ本体のアミノ酸で構成されたペプチドと略同一の生物学的機能を発揮するものを示す。ペプチド変異体は、元々のペプチドと70%以上、好ましくは90%以上、さらに好ましくは95%以上の同一性(identity)を有しなければならない。かかる置換体として「保存性」と知られたアミノ酸置換体を含むことができる。変異体はまた非保存性(nonconservative)の変化を含むこともできる。一つの例示的な実施様態において、変異体ポリペプチドの配列は、5つまたはそれ以下のアミノ酸が置換、欠失、添加または挿入されることにより、本来の配列と異なるようになる。変異体はまたペプチドの免疫原性(immunogenicity)、2次構造(secondary structure)及び水治療性(hydropathic nature)に最小限の影響を与えるアミノ酸の欠失または添加により変化することができる。

「保存性」置換とは、1つのアミノ酸が他のアミノ酸に置換されたときにもポリペプチドの2次構造及び水治療性などの特性に大きな変化がないことを意味する。かかる保存性置換に関し、アミノ酸変異は、アミノ酸の側鎖置換体の相対的な類似性、例えば極性(polarity)、電荷(charge)、水溶性(solubility)、疎水性(hydrophobicity)、親水性(hydrophilicity)及び/または両親和性(amphipathic nature)などの類似性に基づいて得ることができる。
例えば、アミノ酸は共通の側鎖の特性により、i)疎水性(ロイシン、メチオニン、アラニン、バリン、イソロイシン)、ii)中性親水性(システイン、セリン、トレオニン、アスパラギン、グルタミン)、iii)酸性(アスパラギン酸、グルタミン酸)、iv)塩基性(ヒスチジン、リシン、アルギニン)、v)鎖方向に影響を与える残基(グリシン、プロリン)、vi)芳香族(トリプトファン、チロシン、フェニルアラニン)に分類することができる。保存的置換は、これらそれぞれのクラスのうち、1つの構成員を同一クラスの他の構成員に置換することを伴う。
アミノ酸の側鎖置換体のサイズ、形及び種類に対する分析により、アルギニン、リシン及びヒスチジンは全て陽電荷を帯びる残基であり、アラニン、グリシン及びセリンは類似したサイズを有し、フェニルアラニン、トリプトファン及びチロシンは類似した形を有することが分かる。したがって、かかる点に基づき、アルギニン、リシン及びヒスチジン;アラニン、グリシン及びセリン;フェニルアラニン、トリプトファン、及びチロシンは、生物学的に機能均等物であると言える。
変異を導入するにおいて、アミノ酸の疎水性インデックス(hydropathic index)を考慮することができる。それぞれのアミノ酸は、疎水性と電荷によって疎水性インデックスが与えられており、それぞれ、イソロイシン(+4.5)、バリン(+4.2)、ロイシン(+3.8)、フェニルアラニン(+2.8)、システイン(+2.5)、メチオニン(+1.9)、アラニン(+1.8)、グリシン(−0.4)、トレオニン(−0.7)、セリン(−0.8)、トリプトファン(−0.9)、チロシン(−1.3)、プロリン(−1.6)、ヒスチジン(−3.2)、グルタミン酸(−3.5)、グルタミン(−3.5)、アスパラギン酸(−3.5)、アスパラギン(−3.5)、リシン(−3.9)、アルギニン(−4.5)である。疎水性アミノ酸インデックスは、タンパク質の相互的な生物学的機能を付与するにおいて非常に重要である。類似した生物学的活性を保持するためには、類似した疎水性インデックスを有するアミノ酸で置換しなければならないということは公知の事実である。疎水性インデックスを参照し、変異を導入する場合、±2以内、好ましくは±1以内、さらに好ましくは±0.5以内の疎水性インデックス差を持つアミノ酸同士で置換される。
一方、類似した親水性値(hydrophilicity value)を有するアミノ酸間の置換が、均等な生物学的活性を有するタンパク質をもたらすことも知られている。米国特許、第4554101号に開示されているように、次のような親水性値がそれぞれのアミノ酸残基に与えられている。アルギニン(+3.0)、リシン(+3.0)、アスパラギン酸(+3.0±1)、グルタミン酸(+3.0±1)、セリン(+0.3)、アスパラギン(+0.2)、グルタミン(+0.2)、グリシン(0)、トレオニン(−0.4)、プロリン(−0.5±1)、アラニン(−0.5)、ヒスチジン(−0.5)、システイン(−1.0)、メチオニン(−1.3)、バリン(−1.5)、リシン(−1.8)、イソロイシン(−1.8)、チロシン(−2.3)、フェニルアラニン(−2.5)、トリプトファン(−3.4)。新水性インデックスを参照し、変異を導入する場合、±2以内、好ましくは±1以内、さらに好ましくは±0.5以内の新水性インデックス差を持つアミノ酸同士で置換される。
分子の活性を全体的に変更させないタンパク質におけるアミノ酸交換は、当該分野に公知されている(H.Neurath、R.L.Hill、The Proteins、Academic Press、New York、1979)。最も通常的に行なわれる交換は、アミノ酸残基Ala/Ser、Val/Ile、Asp/Glu、Thr/Ser、Ala/Gly、Ala/Thr、Ser/Asn、Ala/Val、Ser/Gly、Thy/Phe、Ala/Pro、Lys/Arg、Asp/Asn、Leu/Ile、Leu/Val、Ala/Glu、Asp/Gly間の交換である。
本発明書において「ポリヌクレオチド」若しくは「核酸」は交換可能に用いられ、任意の長さのヌクレオチドの重合体を称し、DNA(例えばcDNA)及びRNA分子を包括的に含む。核酸分子の構成単位である「ヌクレオチド」は、デオキシリボヌクレオチド、リボヌクレオチド、変形されたヌクレオチド若しくはヌクレオチド、及び/若しくはその類似体、DNA若しくはRNAポリメラーゼにより、重合体内に混入できたり、合成反応により重合体内に混入できる任意の気質であり得る。ポリヌクレオチドは、変形されたヌクレオチド、糖若しくはヌクレオチドが変形された類似体(analog)、例えばメチル化ヌクレオチド及びその類似体を含むことができる(Scheit、Nucleotide Analogs、John Wiley、New York(1980);Uhlman及びPeyman、Chemical Reviews、90:543−584(1990))。
ヌクレオチドにおける変異は、タンパク質で変異を齎さないものもある。かかる核酸は、機能的に均等なコドンまたは同一のアミノ酸をコーディングするコドン、または生物学的に均等なアミノ酸をコーデシングするコドンを含む核酸分子を含む。また、ヌクレオチドにおける変異がタンパク質そのものに変化を齎すこともできる。タンパク質のアミノ酸に変化を齎す変異の場合においても、本発明のタンパク質と略同一の活性を示すものが得られ得る。
本発明のペプチド、またはこれをコーディングする核酸が持つ特徴、例えば抗菌及び/または癌を治療する効果を有する範囲において、本発明のペプチド及び核酸分子が、配列目録に記載されたアミノ酸配列若しくはヌクレオチド配列に限定されないことは通常の技術者にとって自明である。例えば、本発明のペプチドに含まれ得る生物学的機能均等物は、本発明のペプチドと均等な生物学的活性を発揮するアミノ酸配列の変異を有するペプチドであり得る。
一般に、本明細書に言及されているペプチド(融合タンパク質を含む)及びポリヌクレオチドは、分離(isolated)されたものである。「分離された」ペプチド若しくはポリヌクレオチドとは、本来の環境から除去されたものである。例えば、自然状態に存在するタンパク質は、その状態で共に存在する物質の全部或いは一部を除去することで分離される。かかるポリペプチドは、少なくとも90%以上の純度を有しなければならず、好ましくは95%、さらに好ましくは99%以上の純度を有しなければならない。ポリヌクレオチドはベクター内でクローニングさせることにより分離される。
本明細書において用いられる用語「ベクター」は、宿主細胞に伝達可能であり、好ましくは1つ以上の目的遺伝子、若しくは核酸配列の発現ができるように作られた構造物を意味する。例えば、ベクターには、ウイルスベクター(viral vectors)、DNA若しくはRNA発現ベクター(expression vectors)、プラスミド(plasmid)、コスミド(cosmid)若しくはファージベクター(phage vectors)、CCA(cationic condensing agents)と連結されたDNA若しくはRNA発現ベクター、リポソーム(liposomes)で包装されたDNA若しくはRNA発現ベクター、プロデューサー細胞(producer cells)のような特定真核細胞(eukaryotic cells)などが含まれる。
本発明書において「発現調節配列(expression control sequence)」は、核酸の転写(transcription)を調節する核酸配列を意味する。発現調節配列には、構造プロモーター(constitutive promoter)若しくは誘導プロモーター(inducible promotor)のようなプロモーター、またはエンハンサー(enhancer)などがある。発現調節配列は、転写される核酸配列に連結されている。本明細書において「作動可能に結合された(operatively linked)」は、核酸調節配列(例えば、プロモーター、シグナル配列若しくは転写調節因子の結合位置アレイ)と別の核酸配列との間の機能的結合を意味する。前記調節配列は、これによって前記別の核酸配列の転写及び/翻訳を調節する。
本明細書において「薬学的有効量」若しくは「治療学的有効量」とは、有効成分であるペプチド若しくはその断片及び/またはこれらをコーディングする核酸の効能または活性を達成するのに十分な量を意味する。例えば、本発明にかかるペプチドを含む薬学的組成物は、抗菌剤、抗生剤及び/または抗癌剤の有効成分として活用することができる。
<ペプチド、核酸、ベクター>
抗菌ペプチドの作用機作は、大きく二つに分けられる。その一つは、殆どの抗菌ペプチドは菌の細胞膜の透過性を増加させて膜電位を破壊し、細胞代謝を止めることである。他の一つは、その他の少数の抗菌ペプチドは菌株細胞内に浸透し、DNA若しくはRNAと結合し、転写若しくは翻訳を抑制する強力な作用機作を示すことである。これら抗菌ペプチドの活性に重要であると知られた構造要素としては、次のようなものがある。第1に両親媒性へリックス構造(amphipathic helix)、第2に前記ヘリックス構造を安定化させる残基の分布、第3に塩基性残基の分布、第4に疎水性残基の分布、第5に電荷を帯びる残基とヘリックス構造の双極子との間の相互作用、第6に反対電荷を帯びる残基同士の塩橋が挙げられる。
本発明者は、生理的活性として抗菌活性及び/または抗癌活性を有するペプチドを合成するため、エゾアワビ(Haliotis discus hannai)から由来したペプチド変異体を合成し、その活性を確認した。エゾアワビの遺伝子の中から病原体関連分子パターン(PAMPs)を認識するパターン認識タンパク質として、脂質多糖類及びグルカン結合タンパク質(LGBP、lipopolysaccharides and glucan binding proteins)をコーディングする全長cDNA配列を分析し、そこから発現される全長タンパク質のアミノ酸配列を確認した。本発明は、エゾアワビ由来の全長cDNAから発現されるLGBP全長タンパク質のアミノ酸配列のうち、病原菌を認識するモチーフ若しくはドメイン領域を構成する短いペプチドの一部アミノ酸配列を置換したペプチド変異体が、抗菌活性及び/または抗癌活性を有することに基づく。
したがって、本発明の一側面によると、本発明は、生理的活性を有する変異体としてのペプチドに関するものである。本発明の一側面により、変異体としてのペプチドは下記式(1)のアミノ酸配列で表すことができる。
[式2]
(N‐末端)‐WLWKAIWKLLX‐(C末端)…(1)
式(1)中、Xはリシン(K)、アルギニン(R)及びヒスチジン(H)で構成される群から選択される塩基性アミノ酸であるか、或いはセリン(S)、トレオニン(T)、アスパラジン(N)及びグルタミン(Q)で構成される群から選択される極性アミノ酸である。
一つの例示的な実施形態において、式(1)のアミノ酸中、C‐末端を構成するXはリシン若しくはトレオニンであり得るが、この場合、式(1)のペプチドは、配列番号:3若しくは配列番号:5のアミノ酸配列で構成される。必要によって、本発明のペプチドの一部のアミノ酸をリン酸化などで修飾(modification)することができ、C‐末端に位置するカルボキシル基をアミド化することもできる。一つの例示的な実施形態で、本発明のペプチドは、様々な細菌または酵母に対して強力な抗菌活性を示し、例えば子宮癌、子宮頸癌及び肺癌を誘発する様々な腫瘍細胞株に対して活性を示すことから、抗癌活性があることが確認された。
例えば、本発明の例示的な実施例によって合成された配列番号:3若しくは配列番号:5で表されるペプチドは、様々なグラム陽性菌株・陰性菌株及び酵母に対し、抗菌活性を示す(図3A及び図3Bを参照)。例えば、本発明のペプチドは、Bacillus cereus,Staphylococus aureus RM4220 Streptococcus iniae FP5229及びS.mutansを含むグラム陽性菌と、Pseudomonas aeruginosa KCTC2004,Vibrio anguillarum,Vibrio harveyiを含むグラム陰性菌と、酵母Candida albicans KCTC7965などに対し、良好な抗菌活性を有するが、本発明のペプチドがこれら特定菌株に対してのみ抗菌活性を有すると限定されるものではない。特に、本発明によって合成されたペプチドは、高温の加熱処理及び高濃度の塩処理によってもその活性が低下しない(図4及び図5を参照)。
本発明にかかるペプチドは、組換え方法(recombinant means)若しくは化学的合成を通じて製造することにより、分離することができる。例示的に本明細書に言及された核酸配列により発現されるペプチドは、公知されている多くの発現ベクターのうち、何れを用いても公知の方法で容易く製造することができる。発現は、ペプチドをコーディングするDNA配列を含む発現ベクターに形質転換された適切な宿主細胞(host cell)内で実現できる。適切な宿主細胞には、原核細胞(prokaryotes)、酵母(yeast)及び真核細胞(eukaryotes)が含まれる。大腸菌、酵母若しくは哺乳動物の細胞株(Cos若しくはCHOなど)を宿主細胞に用いることが好ましい。タンパク質の精製のためには、まず、水溶性の宿主/ベクターシステムで得られた、培養液に分泌された再組合タンパク質を含む上澄液を市販のフィルターを用いて濃縮させる。次に、上記で得られた濃縮液を、親和マトリクス(affinity matrix)若しくはイオン交換樹脂(ion exchange resin)などの適切な精製マトリクス(purification matrix)を用いて精製する。最後に、一段階若しくは多段階の逆相(reverse phase)HPLCを行なうことにより、純水なタンパク質を得ることができる。
100個以下、一般的には50個以下のアミノ酸で構成された断片や変異体は、合成により製造することができる。例えば、かかるポリペプチドは常用化されている固相技法(solid−phase techniques)、即ち、成長するアミノ酸鎖にアミノ酸を順次付加させるメリフィールド固相法(Merrifield solid−phase synthesis method)で合成することができる(Merrifield、1963、J.Am.Chem.Soc.85:2146−2149)。ポリペプチドの自動合成のための装備は、供給者から購入することができ、供給者のマニュアルに沿って操作可能である。
例えば、微生物から発現される、本明細書に記載されたペプチドは、宿主細胞の周辺細胞質に分泌され、そこから回収することができる。一般的にタンパク質の回収は、浸透圧衝撃、超音波処理若しくは溶解のような手段により、微生物を粉砕することを含む。細胞が破壊されると、細胞残骸若しくは前細胞を遠心分離若しくは濾過により除去することができる。タンパク質は、例えば親和性樹脂クロマトグラフィーによって追加精製を行なうことができる。代替案として、タンパク質を培養培地に移し、そこから分離することができる。細胞を培養物から除去し、培養上澄液を濾過・濃縮し、生産されたタンパク質を追加精製することができる。発現されたポリペプチドは、通常、公知された方法、例えば免疫親和性若しくはイオン交換カラム上の分別蒸留;エタノールの沈殿;逆相HPLC;シリカ若しくは陽イオン交換樹脂、例えばDEAE上のクロマトグラフィー;クロマトフォーカシング;SDS‐PAGE;硫酸アンモニウムの沈殿;例えばセファデックスG‐75を用いるゲル濾過;疎水性親和度樹脂、マトリクス上に固定された適合な抗原を用いるリガンド親和度及びウェスタンブロッド検定を利用し、追加に分離及び確認することができる。
システム、生産されたペプチドは、追加検出及び実質的に均質な製剤を取得するため精製することができる。当業界に公知された標準タンパク質の精製方法を用いることができる。例えば、免疫親和性若しくはイオン交換カラム上の分別蒸留、エタノールの沈殿、逆相HPLC、シリカ若しくは陽イオン交換樹脂、例えばDEAE上のクロマトグラフィー、クロマトフォーカシング、SDS‐PAGE、硫酸アンモニウムの沈殿、及び例えばセファデックスG‐75を用いるゲル濾過などがある。
また、本発明の他の側面によると、本発明は、前述した式(1)で表されるペプチドをコーディングする核酸に関するものである。一つの例示的な実施形態において、本発明にかかるペプチドをコーディングする核酸は、配列番号:4若しくは配列番号:6の塩基配列で構成されるヌクレオチドを含む。
本発明によって式(1)のペプチドをコーデシングする核酸(例えば、配列番号:4若しくは配列番号:6のヌクレオチド)は、適切なベクター内に含まれ得る。また、ベクターは、本発明のポリヌクレオチドと連結された発現調節配列(expression control sequence)を含むことができる。それぞれのベクターは、その機能(異種ポリヌクレオチドの増幅若しくは発現のどちらか、若しくは両方)及びベクターが存在する特定宿主細胞との相溶性によって様々な成分を含む。一般にベクター成分は複製起点(特にベクターが原核細胞に挿入される場合)、選択マーカー遺伝子、プロモーター、リボソーム結合部位(RBS)、信号配列、異種核酸挿入物及び転写終結配列を含むが、これに制限されるものではない。例えば、本発明の再組合ベクターは、タンパク質の発現に影響を与え得る発現調節配列、例えば開始コドン、終結コドン、ポリアデニル化シグナル、エンハンサー、膜標的化、若しくは分泌のための信号配列などを含むことができる。ベクターの一類型は、追加のDNA切片がその内部にライゲーションできる環状二本鎖DNAを称する「プラスミド」がある。また、他の類型のベクターは、ファージベクターである。さらに他の類型のベクターは、追加のDNA切片がウイルスゲノム内にライゲーションできるウイルスベクターである。本発明のベクターシステムは、当業界に公知された様々な方法で構築することができ、これに対する具体的な方法は、Sambrook et al.,Molecular Cloning,A Laboratory Manual,Cold Spring Harbor Laboratory Press(2001)に開示されている。
発現ベクターにサブクローンされた配列を増幅させる様々な試験管内増幅技法(in vitro amplification techniques)が知られている。かかる技法にはPCR(polymerase chain reaction)、LCR(ligase chain reaction)、Qβ‐複製酵素増幅(replicase amplification)及び他のRNA重合酵素を利用した技法がある(Sambrook et al.,1989,Molecular Cloning−A Laboratory Manual(2nd Ed)1−3;U.S.Patent No.4,683,202;PCR protocols A Guide to Methods and Applications,Innis et al.,eds.Academic Press Inc.San Diego,CA 1990.Improved methods of cloning in vitro amplified nucleic acids are described in U.S.Patent No.5,426,039)。
本発明のベクターは、発現されるペプチドの精製を容易にするため、他の配列と融合することもできる。融合される配列は、例えば、グルタチオン‐S‐トランスフェラーゼ(Pharmacia、USA)、マルトース結合タンパク質(NEB、USA)、FLAG(IBI、USA)及び6x His(hexahistidine;Quiagen、USA)などがあり、最も好ましくは6x Hisである。前記精製のための追加配列のため、宿主で発現されたペプチドは、親和性クロマトグラフィーを通じて迅速、且つ容易に精製される。必要な場合、これらペプチドの細胞外分泌を促進できるよう、Fc切片をコーディングする配列を融合することもできる。
本発明の例示的な実施形態によると、式(1)のペプチドをコーディングするヌクレオチド配列が含まれているベクターによって発現されたペプチドは、親和性クロマトグラフィーを通じて精製される。例えば、グルタチオン‐S‐トランスフェラーゼが融合された場合には、この酵素の基質であるグルタチオンを利用することができ、6x Hisが利用された場合には、Ni‐NTA His‐結合レジンカラム(Novagen、USA)を利用し、希望するペプチドを迅速、且つ容易に得ることができる。前述したベクターを安定、且つ連続的にクローニング及び発現できる宿主細胞は、当業界に公知されており、いずれの宿主細胞も用いることができる。
<組成物>
本発明によって合成されたペプチドは、様々な細菌株及び酵母細胞株に対しても抗菌活性を示し(図3Aないし図3Bを参照)、高温の加熱処理によっても抗菌活性が低下せず(図4を参照)、高濃度の塩を加えてもその活性を失わない(図5を参照)。それだけではなく、本発明のペプチドは、正常細胞には毒性を示さないが、癌細胞株に対しては選択的に毒性を発揮し(図6Cないし図6Dを参照)、癌細胞株のアポトーシスを誘導し、抗癌活性を見せた(図7Aないし図7E及び図8Aないし図8Eを参照)。
したがって、本発明によって合成されたペプチドは、抗菌及び/または抗癌活性が求められる様々な組成物の有効成分として活用することができる。例えは、本発明のペプチドは、抗菌及び/または抗癌用薬学的組成物に活用するか、或いは抗菌特性が求められる化粧品組成物若しくは食品添加剤の有効成分に応用することができる。
一つの例示的な実施形態において、本発明は、前述の式(1)で表されるアミノ酸配列を有するペプチドの薬学的有効量、及び必要によって薬学的に許容される担体を含む抗菌用若しくは抗癌用薬学的組成物に関するものである。例えば、前記有効成分の有効容量は、0.01ないし1000μg/ml、好ましくは0.1ないし500μg/ml、さらに好ましくは0.1ないし100μg/mlであり、有効成分は、一日に一回ないし三回投与することができる。
本発明により、薬学的組成物の有効成分として用いられるペプチドは、任意の適当な手段、例えば、経口、局所(頬側及び舌下を含む)、直腸、膣、経皮、非経口、皮下、腹腔内、肺内、皮内、硬膜内および硬膜外、鼻腔内、そして希望する場合は局部治療、病変内投与のための手段によって投与することができる。非経口注入は、筋肉内、静脈内、動脈内、腹腔内若しくは皮下投与を含む。本発明の有効成分である化合物は、任意の便利な投与形態、例えば錠剤、粉末、カプセル、溶液、分散液、懸濁液、シロップ、噴霧剤、坐剤、ゲル、エマルジョン、パッチなどで投与することができる。かかる組成物は、薬剤に通常用いられる成分、例えば希釈剤、担体、pH調整剤、甘味剤、充填剤及び追加の活性剤を含むことができる。
例えば、本発明にかかる薬学的組成物の有効成分であるペプチドは、非経口の様々な剤形で投与することができるが、製剤化する場合には、通常用いられる充填剤、増量剤、結合剤、湿潤剤、崩解剤、界面活性剤などの希釈剤若しくは賦形剤を用いて調剤することができる。非経口投与のための製剤には、滅菌水溶液、非水性溶剤、懸濁剤、油剤、凍結乾燥製剤、坐剤が含まれる。非水性溶剤、懸濁溶剤には、プロピレングリコール、ポリエチレングリコール、オリーブオイルのような植物性油、エチルオレートのような注射可能なエステルなどを用いることができる。坐剤の基剤には、ウィテップゾール、マクロゴール、トウィーン61、カカオ脂、ラウリン脂、グリセロゼラチンなどを用いることができる。
必要な場合、本発明のペプチドは、生理食塩水若しくは有機溶媒のように薬学的に許容された様々な担体と混合して用いることができ、安定性や吸収性を増加させるため、グルコース、スクロース若しくはデキストランといった炭水化物、アスコルビン酸若しくはグルタチオンのような抗酸化剤、キレート剤、低分子タンパク質若しくは他の安定化剤と共に用いることができる。
一方、本発明は、式(1)で表されるアミノ酸配列を有するペプチドを有効成分として含む抗菌用化粧品組成物に関するものである。例えば、本発明のペプチドは、化粧品組成物中に保存剤として用いることができる。化粧品組成物は、皮膚科学的に許容された媒質、即ち皮膚、粘膜、頭髪及び頭皮に適合な媒質を含む。これは局所的用に適当なすべての薬剤学的投与形態であって、特に水性、水性/アルコール性、若しくは油性溶液、または水生、水性/アルコール性、若しくは油性ゲル、または固体若しくは混練無水生成物、または、水相に油相を分散させて得られたエマルジョン(O/W)若しくはその反対(W/O)、または懸濁液、マイクロエマルジョン、マイクロカプセル、微細顆粒球、イオン型(リポソム)及び/若しくは非イオン型の素嚢分散剤の形で提供することができる。例えば、化粧品組成物を製造するための溶媒として、エタノール、グリセリン、ブチレングリコール、プロピレングリコール、グリセレス‐26、メチルグルセス‐20、ミリスチレン酸イソセチル、オクタン酸イソセチル、ミリスチン酸オクチルドデシル、オクチルドデカノール、イソステアリルイソステアレート、オクタン酸セチル及びネオペンチルグリコールジカプラートからなる群から選択された1種以上を用いることができる。
本発明の化粧品には、必要によって前記成分と共に、通常、化粧品に配合される別の成分を配合することができる。添加できる配合成分としては、油脂成分、保湿剤、エモリエント剤、界面活性剤、有機・無機顔料、着色剤、有機粉体、紫外線吸収剤、防腐剤、殺菌剤、酸化防止剤、抗酸化剤、植物抽出物、pH調整剤、アルコール、発泡剤、充填剤、ゲル化剤若しくは濃縮剤、香料、冷感剤、血行促進剤、制汗剤、精製水などが挙げられる。
また、本発明は、前述の式(1)で表されるアミノ酸配列を有するペプチドを有効成分に含む抗菌用食品添加剤に関するものである。本発明のペプチドを食品添加物に用いる場合、前記ペプチドをそのまま添加してもよく、別の食品成分と共に用いてもよく、通常の方法によって適切に用いてもよい。有効成分の混合量は、使用目的によって適切に決めることができる。一般的に本発明のペプチドは、原料に対し15重量部以下、好ましくは10重量部以下で添加される。しかし、長期間摂取の場合、前記量は前記範囲以下の量であってもよく、安定性の面から何ら問題もないので、有効成分は前記範囲以上の量を用いてもよい。
前記食品の種類は、特に制限されない。前記物質を添加できる食品例には、肉類、ソーセージ、パン、チョコレート、キャンディ類、スナック類、お菓子類、ピザ、ラーメン、その他の麺類、ガム類、アイスクリーム類を含めた酪農製品、各種スープ、飲料水、お茶、ドリンク剤、アルコール飲料及びビタミン複合剤などがあり、通常の意味の食品をすべて含む。
以下、例示的な実施例を通じ、本発明を詳細に説明するが、本発明が下記実施例に記載された発明に限定されるものではない。
<実施例1:アワビLGBP(lipopolysaccharides and glucan binding proteins)の全長cDNA及び全長ペプチドの配列分析>
3年生のエゾアワビから得られた7つの組織からcDNAライブラリを構築し、発現された配列タグを分析した。エゾアワビの発現された配列決定タグである非相補的なオープンリーディングフレーム(ORF)及びクロアワビとの高い類似性を有するクローンを使用し、エゾアワビ由来の脂質多糖類及びβ‐1,3‐グルカン結合タンパク質(HDH‐LGBP)を分離した。消化管cDNAライブラリから得られた一つのEST(expressed sequence tag)クローン(DGT‐151)は、他の種のLGBPと相同性があり、このクローンから632‐bpの核酸配列を得た。
HDH‐LGBP遺伝子の全長cDNAを得るため、製造社の指示に従ってSMART RACE cDNA増幅キット(BD Biosciences)を使用し、cDNA末端の5´‐及び3´‐ランダム増幅(RACE、random amplification of cDNA ends)のための消化管cDNAをそれぞれ合成した。DGT‐150クローンの部分塩基配列に基づき、5´‐RACE及び3´‐RACEのための遺伝子特異的プライマーを設計し、遺伝子特異的プライマーを用いるRACE方法を採択して、アミノ末端のコーディング配列を得た。5´‐RACEにより380bpの断片が増幅され、配列分析の結果、EST配列と重なり、これに基づいてエゾアワビ由来のLGBP(HDH‐LGBP)をコーディングする全長cDNA配列を合成した。増幅された断片をpGEM‐T Easyベクター(Promega)内部へサブクローニングし、ABI3103自動DNA配列分析器(Applied Biosystems)を用いて配列を分析した。HDH‐LGBP cDNA全長配列を完了するため、5´‐末端、3´‐末端及びDGT‐151の部分配列を組み合わせ、GENETYX version 8.0(SDC Software Development、Tokyo、Japan)を用いて整列した。
続いて、コンピュータプログラムを用いて、配列を分析した。得られた全長cDNAからアミノ酸配列を類推し、GENETYX version 8.0(SDC Software Development、Tokyo、Japan)を用いて分子量及び等電点を計算した。また、NCBI(http://www.ncbi.nim.nih.gov/blast/)でBLASTPプログラムを使用し、他の配列との配列類似度を分析した。
シグナルペプチドの存在は、SignalP3.0で予測し、ドメイン検索はNCBI内のCD‐searchとPfam配列検索で行なった。
HDH‐LGBPの全長cDNA配列及びそれから発現されるアミノ酸配列が図1に示される。HDH‐LGBP cDNAの全体配列は、31‐bpの5´‐非翻訳領域(5´‐UTR)、ポリ(A)テールを有する162bpの3´‐UTR、予想分子量が47.8kDaであり、理論的等電点が5.27である420個のアミノ酸で構成されるポリペプチドをコーディングする1263bpのオープンリーディングフレーム(ORF)で構成された。得られたHDH‐LGBP全長遺伝子は、最初20個のアミノ酸残基の推定信号配列を含む。したがって、成熟したHDH‐LGBPは、400個のアミノ酸で構成され、測定されたタンパク質部分の分子量は、45467Da、予想等電点は4.93である。
SMART分析により、未成熟ペプチドの184番目残基から321番目残基のアミノ酸領域は、グリコシドヒドロラーゼファミリーに属するものであることが明らかになった。成熟したタンパク質の配列でN‐linked炭水化物鎖と関連する5つの推定される糖化部位(Asn‐Xaa‐Ser/Thr、NXS/T)が、成熟ペプチドを基準にAsn‐28、‐99、‐265、‐310、‐350に存在する。HDH‐LGBPのN‐linked糖化部位は、β‐グルカン認識モチーフの近くに位置するため、この部位での糖化は、β‐グルカンに対する結合能力に影響を与える。1つの短い推定的細胞付着部位とインテグリン結合部位、Arg/Lys−Gly−Asp(R/KGD)が成熟ペプチドのLys‐189からAsp‐191までの配列に存在する。HDH‐LGBPは、成熟ペプチドのTrp‐209、Glu‐214、Ile‐215及びAsp‐216の活性残基を有するβ‐1,3‐グルカナーゼ部位を有している。
<実施例2:ペプチドの設計、構造予測及び合成>
(1)抗菌活性ペプチドの設計及び生理化学的特性
HDH‐LGBPの多糖類‐結合ドメインに相応するアミノ酸配列に基づき、抗菌活性があるものと予想される天然ペプチドと、天然ペプチドとを比較し、一部のアミノ酸が異なって置換されたペプチド変異体を設計した。ペプチド変異体は、HDH‐LGBPの多糖類結合モチーフに位置するアミノ酸配列に基づいて設計された。配列番号:1のアミノ酸配列(図1の成熟全長ペプチドで192‐202アミノ酸残基)を有する天然ペプチド(HDH‐LGBP‐N)と、天然ペプチドの一部のアミノ酸を置換した配列番号:3のアミノ酸配列を有するペプチド変異体(HDH‐LGBP‐A1)及び配列番号:4のアミノ酸配列を有するペプチド変異体(HDH‐LGBP‐A2)が抗菌活性があるものと予想された。
天然ペプチド及びペプチド変異体の分子量及びペプチド活性に影響を与えるpI値、純電荷値、Boman Index値及び2次構造を評価した。ExPAYsサーバーで理論等電点(p.I.)と純電荷(net charge)を評価した。Boman Index値は、オンラインAntimicrobial Peptide Database v2.34(ADP2)により計算した。
これらペプチドのp.I.値、純電荷値、疎水性及びBoman Index値などが下記表1に示される。疎水性、純電荷、タンパク質‐結合能(protein binding potential、Boman index)などの因子は、ペプチド活性に影響を与えることができる。Boman indexは、ペプチドが別の受容体のような別のタンパク質に結合できる能力を評価するものであって、アミノ酸残基の側鎖の自由エネルギーの和を、アミノ酸残基の総数で割った値と定義される。豊富なWとPを有する天然ペプチドは、酸性PI値が5.52であり、純電荷値が0であり、低いBoman index値を見せる。さらに、2つの選択されたペプチド変異体は、相対的に高い純電荷値と低いBoman index値を示し、抗菌活性があるものと予想される。
ペプチドの2次構造は、GOR方法[17ExPASy]を用いて予測した。人為的に変形させた2つのペプチド変異体の2次構造で疎水性領域及び親水性領域、αヘリックス構造を予測するため、Schiffer・Edmundsonのヘリカルホイールプロジェクションを利用した。ヘリカルホイールダイアグラムは、EMBOSS pepwheel(European Bioinformatics Institute Cambridge、UK)を利用し、2次構造を予測した。その結果を図2に示し、2次構造を表1に示す。

表1中、はC‐末端アミド化を示し、**はβターンを示し、***はランダムコイルを示し、****はαヘリクスを示す。
(2)ペプチド変異体合成
抗菌活性が確認された天然ペプチド(HDH‐LGBP‐N)と、この天然ペプチドの一部のアミノ酸を置換した二つのペプチド変異体(HDH‐LGBP‐A1、HDH‐LGBP‐A2)を設計し、これらペプチドを95%以上の純度で、Peptron Inc.(大韓民国・大田)で商業的に合成した。これらペプチドは、ASP48S(Peptron Inc.大韓民国・大田)を使用し、FmoC solid phaseペプチド合成(SPPS)を用いて合成し、Vydac Everest C18カラム(250mm×22mm、10μm;Grace,Deerfield,IL,USA)を用いる高性能液体クロマトグラフィー(HPLC)を用いて精製した。溶離は、0.1%(v/v)トリフルオロ酢酸を含む水・アセトニトリル直線勾配(アセトニトリル3〜40%(v/v))を用いて行なった。精製されたペプチドの分子量は、液状クロマトグラフィー/質量分析器(LC/MS; HP100 series; Agilent,Santa Clara,CA,USA)を用いて確認した。合成されたすべてのペプチドを0.01%酢酸に溶解し、1000μg/mlの貯蔵溶液を得た。
<実施例3:抗菌性能のための高感度の放射拡散アッセイ(Ultrasensitive Radial Diffusion Assay)>
高感度の放射拡散アッセイ(URDA)を通じ、前述の合成されたペプチド変異体の抗菌活性を測定した。Bacillus cereus,Staphylococus aureus RM4220,Streptococcus iniae FP5229及びS.mutansを含むグラム陽性菌と、Pseudomonas aeruginosa KCTC2004、Vibrio anguillarum、Vibrio harveyiを含むグラム陰性菌と、Candida albicans KCTC7965酵母を対象に、合成ペプチドの抗菌特性をテストした。テスト対象の菌株を適切な温度(P.aeruginosa及びS.iniaeは25℃、その他は37℃)で、脳心臓・浸出液培地(BHI、BD Bioscience、USA)で成長させた。酵母菌株であるC.albicans KCTC7965は、25℃の酵母培地(YM)で成長させた。16〜18時間、恒温培養した後、菌及び酵母の懸濁液を微生物に対して〜10CFU/ml、C.albicansに対して〜10CFU/mlに相応する0.5マクファーランド濁度基準(McFarland turbidity standard of 0.5、Vitek Colorimeter #52‐1210;Hach、Loveland、CO、USA)に希釈した。希釈された細菌若しくはC.albicans懸濁液1/2mlを、0.03%TSB(Tryptic Soy Broth)若しくは0.03%SDB(Soybean powder Dextrose Broth)及び1%Type I(low EEO)アガロースが備えられた10mMのリン酸バッファー(PB; pH6.6)に溶解された5×10CFU/ml若しくは5×10CFU/mlを含むアンダーレイゲル9.5mlに添加した。精製されたペプチドを酸性化水(0.01%HAc)5μlで2つを連続希釈し、それぞれの希釈液を厚さ1mmのアンダーレイゲルで製造された直径2.5mmのウェルに添加した。P.aeruginosa、S.iniae、C.albicansに対して25℃、その他の菌株に対して37℃で、それぞれ3時間、恒温培養した後、リン酸緩衝生理食塩水(PBS,pH6.6)10mMを用いて、6%のBHI若しくは6%のYMを含むダブル・ストレングス・オーバーレイゲル10mlで、1%のアガロースで細菌若しくは酵母サスペンションを覆った。プレートをさらに18〜24時間恒温培養した後、透明部位の直径を測定した。ウェルの直径を除き、透明部位の直径をユニット(0.1mm=1U)で表した。
URDAを用いて、グラム陽性菌、グラム陰性菌及び酵母に対して最小有効濃度(MECs)を測定し、合成されたHDH‐LGBPペプチド変異体に対する抗菌活性を測定した。ペプチド濃度のlog10値に対するユニット図表のx‐切片として、合成ペプチドの最小有効濃度(MEC、μg/ml)を計算した。この抗菌分析を3回行い、結果の平均を求めた。実験結果を表2、図3A及び図3Bにそれぞれ示す。HDH‐LGBPペプチド変異体は、特にB.cereus、S.aureus、S.mutans及びS.iniaeのようなグラム陽性菌(MECs 0.008〜1.92μg/ml)及びP.aeruginosaのようなグラム陰性菌(MECs 1.92〜2.12μg/ml)に対し、優れた抗菌活性を示す。また、これらペプチド変異体は、C.albicans酵母に対しても潜在的な抗菌活性を示す(MECs 2.11〜2.16μg/ml)。かかる結果に基づき、HDH‐LGBPペプチド誘導体は、広範囲の抗菌活性を有することが確認された。
<実施例4:抗菌活性に対する温度及び塩の影響>
温度及び塩がペプチド変異体(HDH‐LGBP‐A1、HDH‐LGBP‐A2)の抗菌活性に与える影響を研究するため、細菌株B.cereus、S.aureus、S.iniae、P.aeruginosa及び酵母C.albicansを対象に、高感度放射拡散アッセイ(URDA)を用いて抗菌活性をテストした。熱安定性を探求するため、2つのペプチド変異体をそれぞれ10分間100℃で恒温培養した。加熱処理後、ペプチドを冷却させ、実施例3で記述したようにURDAに使用した。熱安定性に対する分析結果を図4に示す。これらペプチドの抗菌活性は、加熱処理によって深刻に影響されない。特に、2つのペプチド変異体は、S.aureus、P.aeruginosa及びC.albicansのような微生物菌株に対し、強い抗菌活性を示す。熱安定性分析により、HDH‐LGBPペプチド変異体が熱に安定するということが確認された。
一方、塩に対する安定性を確認するため、2つのペプチド変異体を異なる濃度の塩(0.5%、1%、2%)で30分間、恒温培養した。具体的に、塩に対するこれらペプチド変異体の敏感度を研究するため、HDH‐LGBP由来のペプチド変異体を異なる濃度のナトリウム(NaCl、0.5%、1%、2%)で恒温培養して抗菌活性を評価し、URDAを用いて比較した。処理後、ペプチドを前述のようにURDAに使用した。分析結果を図5に示す。これらペプチド変異体の抗菌活性は、高濃度に大きく影響されなかった。HDH‐LGBP由来のペプチド変異体は高い塩抵抗性を有することが確認された。
<実施例5:ペプチド変異体の細胞毒性効果>
2つのヒト癌細胞株(HeLaとA549)及び正常細胞株(ヒト臍帯静脈内皮細胞、Human Umbilical Vein Endothelial Cells、HUVEC)に対し、位相差顕微鏡検査と、ミトコンドリアの脱水素化酵素の活性に基づいて生きている細胞を測定するMTS分析とを用い、合成されたHDH‐LGBPペプチド変異体の毒性効果を研究した。HeLa(ヒト子宮頚部腺癌腫)及びA549(ヒト肺癌腫)細胞株を、米国の微生物保存センター(ATCC;Rockville MD、USA)で購入した。HUVEC細胞株は、ジョン博士(国立プサン大学・分子生物学科、プサン、韓国)から提供を受けた。すべての細胞を5%CO2の37℃のインキュベーターで、10%のウシ胎児血清(FBS、Gibco)と100U/mlの抗生/抗真菌剤(antibiotics‐antimycotics、Life Technologies)を含むDMEM(Dulbecco’s Modified Eagle’s medium、Welgene)培地で培養した。
培養されたHeLa及びA549細胞(4×103cells/well)を96‐ウェルプレートで一晩、37℃で培養した。続いて、抗菌ペプチド(AMPs)としての様々な濃度(1、5、10、25、50μg/ml)のHDH‐LGBP‐A1及びHDH‐LGBP‐A2ペプチド変異体を用いて、細胞を24時間、37℃で恒温培養した。位相差顕微鏡で、ペプチド変異体の処理による細胞形態を分析した。分析結果を図6A及び図6Bにそれぞれ示す。未処理の対照群細胞は、通常の単層形状を見せ(図6A及び図6Bの左側パネル)、濃度1〜5μg/mlのペプチド処理によって大きく影響されなかった。しかし、HDH‐LGBP由来のペプチド変異体を10μg/ml濃度で処理したら、細胞数は減少し、丸い形状の細胞が増加し、細胞の収縮が増加しはじめた(図6A及び図6B)。特に50μg/mlのペプチド変異体で処理したら、5分以内に細胞分離、スウェリング及び損傷がHeLa細胞とA549細胞で探知された(結果は図示しない)。かかる結果は、HDH‐LGBP由来のペプチド変異体が一定濃度、例えば50μg/mlで細胞膜を直接崩壊させ、細胞を溶解させることができることを示す。
続いて、製造社の指示に従い、MTS分析を利用し、正常細胞株であるHUVEC(Human umbilical vein endothelial cells)と、癌細胞株であるHeLa及びA549細胞のそれぞれの細胞毒性を測定した。HUVEC、HeLa及びA549細胞(4×103cells/well)を96ウェルプレートで一晩、37℃で培養した。続いて、抗菌ペプチド(AMPs)としての様々な濃度(1、5、10、25、50μg/ml)のHDH‐LGBP‐A1及びHDH‐LGBP‐A2ペプチド変異体を用いて、細胞を24時間、37℃で恒温培養した。細胞毒性に関する処理の最後の段階で、テトラゾリウム化合物、3‐(4,5‐ジメチルチアゾール‐2‐イル)‐5‐(3‐カルボキシメトキシフェニル)‐2‐(4‐スルホフェニル)‐2H‐テトラゾリウム(MTS)及び電子カップリング試薬であるフェナジンメトサルフェイト(PMS、Promega、Mannheim、Germany)の混合物を20μl添加し、細胞を37℃で4時間恒温培養した。490nmで吸光度を検出するため、マイクロタイタープレートリーダーを使用した。3つの独立的な実験のため、すべてのデータを3回繰り返した。結果は生存可能な細胞の抑制パーセンテージで表し、実験結果から0.01%の酢酸処理群(陰性対照群)の値を除外した。
HDH‐LGBP‐A1ペプチドは、濃度依存的に癌細胞の生存力を減少させた。特に、HDH‐LGBP‐A1ペプチドはHeLa細胞に対して毒性を示し、濃度10μg/ml、25μg/ml及び50μg/mlのHDH‐LGBP‐A1ペプチドに晒されたとき、HeLa細胞における非生存率が、それぞれ35%、99%、95%であった。同様に、濃度10μg/ml、25μg/ml及び50μg/mlのHDH‐LGBP‐A1ペプチドに晒されたとき、A549細胞の25%、99%、97%が損傷した(図6Cを参照)。また、HDH‐LGBP‐A2ペプチドの場合、それぞれ濃度10μg/ml、25μg/ml及び50μg/mlのHDH‐LGBP‐A1ペプチドに晒されたとき、HeLa細胞に対する細胞毒性は、それぞれ16%、99%、98%であった。同様に、濃度10μg/ml、25μg/ml及び50μg/mlのHDH‐LGBP‐A2ペプチドに晒されたとき、A549細胞に対する細胞毒性は、それぞれ13%、99%、99%であった(図6Dを参照)。
一方、50μg/mlの高濃度でも正常細胞(HUVEC)は、細胞生存力を発揮し、 HDH‐LGBP‐A1及びHDH‐LGBP‐A2に晒された場合の生存力は、それぞれ32.8%、47.9%であった。かかる結果から、本発明によって合成されたペプチド変異体は、子宮癌腫及び肺腺癌の成長を90%以上抑制できることが確認された。これは、本発明によって合成されたペプチド変異体が潜在的な抗癌効果を有することを意味する。
<実施例6:癌細胞膜に対するペプチド変異体の抗癌効果分析>
本実施例でAnnexin V‐FITC/PI(よう化プロピジウム)染色法を用いてHeLa細胞の癌細胞膜に対するHDH‐LGBPペプチド変異体の効果を研究した。細胞膜の構造維持及び細胞表面のホスファチジルセリン(PS)に対するHDH‐LGBPの効果を評価するため、HeLa細胞を35mmディッシュに播種し、24時間様々の濃度のHDH‐LGBP‐A1及びHDH‐LGBP‐A2(1〜50μg/ml)で恒温培養し、陰性コントロールとして0.01%の酢酸で処理した。一定濃度(1、5、10、20μg/ml)のペプチド変異体で処理した後、トリプシン消化させて細胞を収穫し、冷たいPBSで洗浄し、結合緩衝液(0.01M Hepes/NaOH、pH7.4)、0.14MのNaCl及び2.5mMのCaCl2で再懸濁させた。続いて、細胞を製造社の指示に従い、FITC‐annexin V及びPIで染色した(FITC‐Annexin V Apoptosis Detection Kit、BD Biosciences、USA)。染色した細胞を弱めに混合し、BeckmanCoulter FC500(BeckmanCoulter)でフローサイトメトリーを測定し、その結果をCellQuestソフトウェア(BD Biosciences、USA)を用いて分析した。ホスファチジルセリン(PS)は、アポトーシスの初期段階で、細胞膜の内層から外層に移動する。カルシウム依存性のリン脂質結合タンパク質であるannexin Vは、高い親和力でPSに結合するが、この結合はアポトーシスのマーカーである。損傷した細胞若しくは死滅細胞の崩壊された膜はPIを通過させる一方、破損していない膜を有する生存性細胞はPIを排除する。Q1・Q2・Q3・Q4ゲートは、それぞれ死滅細胞、アポトーシスの後期段階、正常細胞及びアポトーシスの初期段階を表す。
HDH‐LGBP‐A1ペプチド変異体を用いた分析結果を図7Aないし図7Eに、HDH‐LGBP‐A2ペプチド変異体を用いた分析結果を図8Aないし図8Eにそれぞれ示す。第三象限であるQ3に捕獲された生存細胞(正常細胞)は、ペプチド変異体で処理したら減少したが、第一象限であるQ2及び第四象限であるQ4に捕獲された細胞(アポトーシス中の細胞)は、ペプチド変異体で処理したら濃度依存的に増加した。HDH‐LGBP‐A1ペプチド変異体で処理した癌細胞の生存パーセンテージは、90.5%(コントロール)から86.13%(1μg/ml)、73.33%(5μg/ml)、68.01%(10μg/ml)、40.06%(20μg/ml)に減少し、HDH‐LGBP‐A2ペプチド変異体で処理した癌細胞の生存パーセンテージは、86.89%(1μg/ml)、75.21%(5μg/ml)、51.55%(10μg/ml)、29.76%(20μg/ml)に減少した。一方、Q2若しくはQ4に捕獲された、細胞膜の構造が損傷したり或いは喪失された割合は、濃度依存的に増加した。
図7Aないし図7E及び図8Aないし図8Eは、濃度10μg/mlのペプチド変異体で処理したHeLa細胞でアポトーシス中の細胞の分率が大きく増加したことを示す。かかる結果から、本発明によって合成されたペプチド変異体は、膜構造を崩壊させ(PS露出)、膜透過性を増加させることで(細胞内部へのPI取り込み)、HeLa細胞の死滅を誘導することができる。また、膜崩壊効果によってPSが晒され、細胞質成分が細胞外部へ放出できることにより、細胞死滅が誘導される。
<実施例7:DNA結合及びDNA重合酵素の抑制分析>
HDH‐LGBPペプチド変異体と、細胞内分子であるDNA及びDNA重合酵素との間の相互作用を調べるため、本発明によって合成されたHDH‐LGBPペプチド変異体を使用し、電気泳動移動度シフトアッセイ(EMSA、electrophoretic mobility shift assay)と、DNAポリメラーゼ抑制アッセイ(DNA polymerase inhibition assay)を行なった。本実施例によるテストで、アガロースゲルを通過するDNAバンドの移動速度抑制を検査し、ペプチド‐DNA結合を評価した。商業的な分子量マーカーであるλ‐Hind IIIで切断されたDNA(50ng;Roche、Basel、Switzerland)を0.01%の酢酸に溶解された様々な濃度のペプチド(0、0.157、0.313、0.625、1.25、2.5μg)と混合し、常温で5分間恒温培養した後、0.5μg/mlのエチジウムブロマイド(EtBr)を含む1.0%のアガロースゲルで電気泳動した。分析結果を図9Aに示す。一般的に陰電荷のDNAは電場で陽極に移動するが、DNAが陽イオン性ペプチドで密集されていると、DNAはローディングウェルで徐々に移動するか、或いは動かない。着体を形成しないDNAと比べ、2.5μgのHDH‐LGBP‐A1によって移動度が多少抑制された。
続いて、ペプチド変異体のDNAポリメラーゼ抑制活性を評価するため、様々な濃度(2.5、1.25、0.625、0.313μg/ml)のペプチド変異体を、それぞれの反応混合物に添加した。次のプライマー対を使用し、E.coli遺伝体DNA(genomic DNA)をPCRのためのテンプレートとして用いた(16S‐F1、5´‐CTCCTACGGGAGGCAGCAG‐3´、16S‐R3、5´‐CCAGGGTATCTAATCCTG‐3´)。予測された増幅産物は、その長さが〜1.5kbであった。それぞれのPCRは90℃で30秒、55℃で30秒、72℃で1分ずつの30サイクルで構成された。PCR後、すべての増幅産物を、EtBrを含む1.5%のアガロースゲルで電気泳動した。
分析結果を図9Bに示す。合成された2つのペプチド類似体は、すべて強いDNAポリメラーゼ抑制活性を見せる。特に、HDH‐LGBP‐A2ペプチドがHDH‐LGBP‐A1ペプチドに比べ、より強いDNAポリメラーゼ抑制活性を見せる。テストしたすべての濃度(0.157〜5μg)でHDH‐LGBP‐A2によってDNAポリメラーゼの活性が完全に抑制された。HDH‐LGBP‐A1の場合、HDH‐LGBP‐A2に比べ、濃度0.313μgで弱い抑制活性を見せた。本実施例のテスト結果は、HDH‐LGBP由来のペプチド変異体がDNA単独の場合より、DNAポリメラーゼに対する親和力が大きいことを示す。
前述では、本発明の例示的な実施形態及び実施例に基づいて本発明を説明したが、本発明は、前述した実施形態及び実施例に記載された技術的思想に限定されるものではない。むしろ、本発明の属する技術分野において通常の知識を有する者であれば、前述した実施形態及び実施例に基づき、様々な変形及び変更を容易に想定できるであろう。しかし、かかる変形及び変更がすべて本発明の権利範囲に属することは、請求の範囲からさらに明らかになるであろう。

Claims (13)

  1. 下記式(1)のアミノ酸配列で表されるペプチド。
    [式1]
    (N‐末端)‐WLWKAIWKLLX‐(C末端)…(1)
    (式(1)中、Xはリシン(K)、アルギニン(R)及びヒスチジン(H)で構成される群から選択される塩基性アミノ酸であるか、或いはセリン(S)、トレオニン(T)、アスパラジン(N)及びグルタミン(Q)で構成される群から選択される極性アミノ酸である。)
  2. 前記式(1)のペプチドは、配列番号:3若しくは配列番号:5のアミノ酸配列で構成される、請求項1に記載のペプチド。
  3. 前記式(1)で表されるペプチドのC‐末端は、アミド化されている、請求項1に記載のペプチド。
  4. 前記ペプチドは、抗菌活性及び抗癌活性から選択される少なくとも一つの生理的活性を有する、請求項1に記載のペプチド。
  5. 請求項1に記載のペプチドをコーディングする核酸。
  6. 前記核酸は、配列番号:4若しくは配列番号:6の塩基配列で構成されるヌクレオチドを含む、請求項5に記載の核酸。
  7. 請求項5または請求項6に記載の核酸が挿入された組換え発現ベクター。
  8. 請求項1ないし請求項4のうち、いずれか1項に記載のペプチドを有効成分として含む抗癌用薬学組成物。
  9. 前記ペプチドは、子宮癌、子宮頸癌及び肺癌で構成される群から選択される少なくとも一つの癌を治療する、請求項8に記載の抗癌用薬学組成物。
  10. 請求項1ないし請求項4のうち、いずれか1項に記載のペプチドを有効成分として含む抗菌用薬学組成物。
  11. 前記ペプチドは、グラム陽性菌、グラム陰性菌及び酵母に対して抗菌活性を示す、請求項10に記載の抗菌用薬学組成物。
  12. 請求項1ないし請求項4のうち、いずれか1項に記載のペプチドを有効成分として含む抗菌用化粧品組成物。
  13. 請求項1ないし請求項4のうち、いずれか1項に記載のペプチドを有効成分として含む抗菌用食品添加剤。
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