JP6044731B1 - インサート成形品の製造方法 - Google Patents

インサート成形品の製造方法 Download PDF

Info

Publication number
JP6044731B1
JP6044731B1 JP2016053314A JP2016053314A JP6044731B1 JP 6044731 B1 JP6044731 B1 JP 6044731B1 JP 2016053314 A JP2016053314 A JP 2016053314A JP 2016053314 A JP2016053314 A JP 2016053314A JP 6044731 B1 JP6044731 B1 JP 6044731B1
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
adhesive
insert
gate
mold
product
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Active
Application number
JP2016053314A
Other languages
English (en)
Other versions
JP2016221952A (ja
Inventor
通之 上地
通之 上地
禎啓 伊藤
禎啓 伊藤
伸政 岡
伸政 岡
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Nakanishi Metal Works Co Ltd
Original Assignee
Nakanishi Metal Works Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Nakanishi Metal Works Co Ltd filed Critical Nakanishi Metal Works Co Ltd
Priority to US15/154,056 priority Critical patent/US10449704B2/en
Priority to EP16169569.7A priority patent/EP3098051B1/en
Priority to CN201610355725.1A priority patent/CN106182573B/zh
Application granted granted Critical
Publication of JP6044731B1 publication Critical patent/JP6044731B1/ja
Publication of JP2016221952A publication Critical patent/JP2016221952A/ja
Active legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Landscapes

  • Moulds For Moulding Plastics Or The Like (AREA)
  • Injection Moulding Of Plastics Or The Like (AREA)

Abstract

【課題】インサート成形品におけるインサート品とプラスチックとの接着強度のばらつきを抑制しながら接着強度を向上できる射出成形用金型を提供する。【解決手段】熱硬化性樹脂接着剤を塗布したインサート品12を金型内に配置し、溶融プラスチック材料PをゲートGからキャビティC内に注入してインサート成形品を製造する射出成形用金型であって、ゲートGを、インサート品12の接合面に塗布された前記接着剤の表面A1から面外方向へ0.2mm以上離間した位置に配置した。射出成形の際にインサート品12のプラスチックとの接合面に塗布された前記接着剤のゲートG近くに発生する壁面せん断応力が小さくなる。インサート品12の接合面Aに塗布する前記接着剤を半硬化状態にしなくても前記接着剤が高圧の溶融プラスチック材料Pにより押し流されないため、前記接着剤を半硬化状態にしないで射出成形を行える。【選択図】図3

Description

本発明は、プラスチックとの接合面に熱硬化性樹脂接着剤を塗布したインサート品を金型内に配置した状態で射出成形を行って製造するインサート成形品の製造方法に関する。
プラスチックとの接合面に熱硬化性樹脂接着剤を塗布したインサート品である金属部品を金型内に配置し、溶融プラスチック材料をゲートから金型内に注入してインサート成形品を製造するインサート成形品の製造方法において、前記接着剤が未硬化の状態で射出成形を行うと、金型内に注入した溶融プラスチック材料により前記接着剤が押し流されるため、前記金属部品とプラスチックとの接着強度が低下する(例えば、特許文献1の段落[0010]参照)。
また、前記接着剤が完全に硬化した状態で射出成形を行うと、前記接着剤とプラスチックとの馴染みが良くないため、前記金属部品とプラスチックとの接着強度が低下する(例えば、特許文献1の段落[0010]参照)。
そこで、上記不都合を解消して前記金属部品とプラスチックとの接着強度を向上させるために、前記接着剤が半硬化の状態で射出成形を行う方法が提案されている(例えば、特許文献1の請求項1、並びに段落[0008]及び[0011]参照)。
このようなインサート品に塗布する熱硬化性樹脂接着剤を半硬化状態にしてから射出成形する技術は、回転体の回転数を検出するために用いる磁気エンコーダの製造方法にも用いられている(例えば、特許文献2及び3参照)。
ここで、「半硬化状態」とは、完全な硬化状態には至っていないが、所定の温度条件で加熱処理(焼付け処理)を行ってある程度硬化反応が進行した状態であって(特許文献2の段落[0046]及び特許文献3の段落[0025]参照)、インサート成形時にゲートから金型内に注入する高圧の溶融プラスチック材料によって流出しない程度になった状態であると解される(例えば、特許文献1の段落[0011]、特許文献2の段落[0043]、及び特許文献3の段落[0019]参照)。
このように熱硬化性樹脂接着剤を半硬化状態にすることにより金属部品及びプラスチックの双方に接着作用させる技術において、前記接着剤を半硬化状態に保持することは容易ではなく、半硬化状態は不安定な状態であるため、前記金属部品とプラスチックとの接着強度のばらつきが大きく再現性が十分ではないことが知られている(例えば、特許文献1の段落[0012]参照)。
また、前記磁気エンコーダを用いた回転速度検出装置を自動車のホイール支持用の転がり軸受(ハブベアリング)に備えた軸受装置も広く用いられている(例えば、特許文献2の図1、及び特許文献3の図1参照)。
ここで、前記軸受装置は様々な環境で使用される自動車のホイールを支持するものであるので、磁気エンコーダは、風雪や風雨、炎天下等にも晒され、−40℃〜120℃程度の温度変化が大きい環境で使用されるとともに、塩化カルシウムを主成分とする融雪剤や攻撃性の強いオイル等が付着することもある。これらのストレスは、いずれも磁気エンコーダの接着性の低下の原因となることも知られている。
特開平6−182808号公報 特許第4189696号公報 特許第4432764号公報
上記のような事情に鑑み、本発明の目的は、インサート成形品におけるインサート品とプラスチックとの接着強度のばらつきを抑制しながら接着強度を向上できインサート成形品の製造方法を提供することにある。
本願の発明者らは、インサート品の表面に塗布した前記接着剤を半硬化状態にすると、溶融プラスチック材料と接触する前に架橋反応による硬化が進んでいることから、溶融プラスチック材料と結合するための接着剤側の反応基が減少するため、接着剤とプラスチックとの結合力が弱められて接着強度が低下するという知見を得た。
また、熱硬化性樹脂接着剤を半硬化させる際の加熱温度及び時間のコントロールが難しいことも踏まえ、接着強度を高めるとともに接着強度のばらつきを抑制するために、前記接着剤を半硬化させずに射出成形を行うことを想到した。
そして、前記接着剤を半硬化させずに、インサート品とプラスチックとを安定して強固に接着できる条件等について、金型構造も含めた検討を行った。従来技術も含めた、実際の射出成形によるインサート成形品の評価、及び射出成形の際の溶融プラスチックの流動解析シミュレーションを行った結果、以下の知見を得た。
(1)特許文献2の図6のような、その金型構造上、インサート品のプラスチックとの接合面(熱硬化性樹脂接着剤によりプラスチックが接合される面)上にゲート位置を設定した射出成形用金型を用いて、前記接着剤を「半硬化状態」(架橋反応による硬化がある程度進んだ状態)にして射出成形を行うと、特許文献1〜3に記載されているように、高圧の溶融プラスチック材料をゲートから金型内に注入しても前記接着剤が流出しない。
(2)前記接合面上にゲート位置を設定した射出成形用金型を用いて、前記接着剤が未硬化の状態で射出成形を行うと、特許文献1〜3に記載されているように、高圧の溶融プラスチック材料によりゲート近傍の前記接着剤が押し流されて流出する(前記接着剤が剥ぎ取られてしまう)。
(3)高圧の溶融プラスチック材料により押し流されて流出した前記接着剤は、溶融プラスチック材料によって巻き込まれながら流動し、インサート成形品のプラスチックの表面に向かう方向へ移動して前記表面に浮き出てしまう。
(4)前記接合面上にゲート位置を設定した射出成形用金型(図13(a)参照)では、高圧の溶融プラスチック材料がゲートGから金型のキャビティC内に注入されると、流路が絞られることにより、前記接合面に塗布した熱硬化性樹脂接着剤B表面のゲートG近傍に、流速が速い状態の溶融プラスチック材料が流入する。よって、接着剤B表面のゲートG近傍に流入する溶融プラスチック材料のせん断速度が大きくなるので、接着剤B表面のゲートG近傍に発生する壁面せん断応力が大きくなる。
(5)これに対し、インサート品のプラスチックとの接合面に塗布した熱硬化性樹脂接着剤の表面から面外方向へ離間させた位置にゲート位置を設定した射出成形用金型(図13(b)参照)では、高圧の溶融プラスチック材料がゲートGを通過後、接着剤B界面に到達するまでに流速が低下する。そのため、接着剤B表面のゲートG近傍に流入する溶融プラスチック材料の流速が、前記接合面上にゲート位置を設定したものよりも小さくなる。よって、接着剤B表面のゲートG近傍に流入する溶融プラスチック材料のせん断速度が小さくなるので、接着剤B表面のゲートG近傍に発生する壁面せん断応力を小さくできる。
(6)溶融プラスチック材料が接着剤を剥ぎ取る力は前記壁面せん断応力に比例するので、前記壁面せん断応力を小さくできれば、前記接着剤を半硬化状態にしなくても、前記接着剤が高圧の溶融プラスチック材料により押し流されない。
本願の発明者らは、これらの知見に基づいて本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明のインサート成形品の製造方法は、前記課題解決のために、プラスチックとの接合面に熱硬化性樹脂接着剤を塗布した、金属部品であるインサート品を射出成形用金型内に配置し、溶融した前記プラスチックの材料を前記金型のゲートから前記金型のキャビティ内に注入してインサート成形品を製造するインサート成形品の製造方法であって、
前記インサート品の形状が円環状であり、
前記金型は、前記インサート品の前記接合面に塗布した前記接着剤の表面から面外方向へ0.2mm以上離間した位置に、内径側ディスクゲートである前記ゲートを配置するように、インサートコア又はスライドコアを備えた金型構造であり、
前記インサート品の前記接合面を含む表面に前記接着剤を、厚みが数μm〜数十μmになるように塗布する接着剤塗布工程と、
前記接着剤に含まれる溶剤を自然乾燥で揮発させる自然乾燥工程、又は、前記接着剤が架橋反応を開始する温度未満の温度条件下で前記接着剤に含まれる溶剤を揮発させて前記接着剤を乾燥固化させる乾燥固化工程と、
前記自然乾燥工程又は前記乾燥固化工程を経た前記インサート品を前記金型内に配置した状態で、溶融した前記プラスチックの材料を前記ゲートから前記金型のキャビティ内に注入する射出成形工程と、
を含むことを特徴とする
このようなインサート成形品の製造方法によればインサート品のプラスチックとの接合面に塗布した熱硬化性樹脂接着剤の表面から面外方向へ0.2mm以上離間した位置に射出成形用金型のゲートを配置していることから、前記金型を用いて射出成形工程を行う際に、インサート品の前記接合面に塗布した、厚みが数μm〜数十μmであり非常に薄い前記接着剤の表面のゲート近傍に流入する溶融プラスチック材料の流速が、前記接合面上にゲート位置を設定した金型よりも大幅に小さくなる。したがって、前記接着剤表面のゲート近傍に流入する溶融プラスチック材料のせん断速度が大幅に小さくなるので、前記接着剤表面のゲート近傍に発生する壁面せん断応力が大幅に小さくなる。前記接着剤を剥ぎ取る力に比例する前記壁面せん断応力が大幅に小さくなるため、インサート品の前記接合面に塗布する前記接着剤を半硬化状態にしなくても、前記接着剤が高圧の溶融プラスチック材料により押し流されない。
よって、前記接着剤を半硬化状態にする必要がないため、前記接着剤塗布工程の後に行う前記接着剤に含まれる溶剤を揮発させる工程を、前記接着剤に含まれる溶剤を自然乾燥で揮発させる自然乾燥工程、又は、前記接着剤が架橋反応を開始する温度未満の温度条件下で前記接着剤に含まれる溶剤を揮発させて前記接着剤を乾燥固化させる乾燥固化工程にすることができる。前記接着剤を加熱温度及び時間のコントロールが難しく不安定な半硬化状態にしないで射出成形工程を行うので、インサート成形品におけるインサート品とプラスチックとの接着強度のばらつきを小さくできる。
その上、射出成形工程で溶融プラスチック材料と接触する前に、前記接着剤を架橋反応による硬化が進んでいる半硬化状態にしないことから、前記接着剤とプラスチックとの結合力が弱められないので、インサート成形品におけるインサート品とプラスチックとの接着強度を向上できる。
その上さらに、前記インサート品の形状が円環状であり、前記金型は、前記インサート品の前記接合面に塗布した前記接着剤の表面から面外方向へ0.2mm以上離間した位置に、内径側ディスクゲートである前記ゲートを配置するように、インサートコア又はスライドコアを備えた金型構造であるので、成形品の取り出しができる。
よって、インサート品の形状が円環状で、ゲートが内径側ディスクゲートである構成において、本発明の特徴であるインサート品のプラスチックとの接合面に塗布した熱硬化性樹脂接着剤の表面から面外方向へ0.2mm以上離間した位置へのゲート配置を、インサートコア方式又はスライドコア方式の金型構造を利用して容易かつ確実に実現できる。
ここで、前記インサート成形品が自動車のホイール支持用軸受装置に用いる磁気エンコーダであり、前記インサート品が回転体に取り付け可能な円環状固定部材であり、前記プラスチックが円環状プラスチック磁石であるのが好適である。
このような製造方法によれば、自動車のホイール支持用軸受装置に用いる磁気エンコーダの製造方法として、前記インサート成形品の製造方法を用いるので、円環状固定部材と円環状プラスチック磁石との接着強度のばらつきを抑制しながら接着強度を向上できる。
よって、サーマルストレスやケミカルストレス等の厳しいストレスを受けるため、接着性が低下しやすい、自動車のホイール支持用軸受装置に用いられ磁気エンコーダにおいて、接着強度のばらつきを抑制しながら接着強度を向上できるので、前記磁気エンコーダの信頼性を向上できる。
以上のような本発明に係インサート成形品の製造方法によれば、主に以下のような顕著な作用効果を奏する。
(1)射出成形の際に、インサート品のプラスチックとの接合面に塗布した熱硬化性樹脂接着剤の表面のゲート近傍に発生する壁面せん断応力が大幅に小さくなる。したがって、インサート品の前記接合面に塗布する前記接着剤を半硬化状態にしなくても前記接着剤が高圧の溶融プラスチック材料により押し流されない。よって、前記接着剤を加熱温度及び時間のコントロールが難しく不安定な半硬化状態にしないで射出成形を行うことにより、インサート成形品におけるインサート品とプラスチックとの接着強度のばらつきを小さくできる。
(2)射出成形で溶融プラスチック材料と接触する前に、前記接着剤を架橋反応による硬化が進んでいる半硬化状態にしないことから、前記接着剤とプラスチックとの結合力が弱められない。よって、インサート成形品におけるインサート品とプラスチックとの接着強度を向上できる。
本発明の実施の形態に係る射出成形用金型の一例を示す要部拡大縦断面図である。 (a)はインサート品である円環状固定部材のプラスチックとの接合面に熱硬化性樹脂接着剤を塗布した状態を示す縦断面図、(b)は前記射出成形金型により製造されるリング形状インサート成形品である磁気エンコーダの縦断面図である。 金型構造(インサートコア方式)の例を示す要部拡大縦断面図であり、(a)は型締めを行った後金型内へ溶融したプラスチックを射出した状態、(b)は冷却後に型開きを行った状態を示している。 別の金型構造(スライドコア方式)の例を示す要部拡大縦断面図であり、(a)は型締めを行った後金型内へ溶融したプラスチックを射出した状態、(b)は冷却後に型開きを行った状態を示している。 インサート品のプラスチックとの接合面上にゲート位置を設定した金型構造の例を示す要部拡大縦断面図である。 実施例1〜3、及び比較例1及び2について、接着剤表面A1からゲートGまでの面外方向距離Dに対する、接着剤表面のゲート近傍における溶融樹脂流速及び壁面せん断応力を示すグラフである。 (a)は図3(a)の金型構造で成形した実施例4の磁気エンコーダの円環状プラスチック磁石表面の写真、(b)は(a)内の破線囲み部の拡大写真である。 (a)は図3(a)の金型構造で成形した実施例5の磁気エンコーダの円環状プラスチック磁石表面の写真、(b)は(a)内の破線囲み部の拡大写真である。 (a)は図3(a)の金型構造で成形した実施例6の磁気エンコーダの円環状プラスチック磁石表面の写真、(b)は(a)内の破線囲み部の拡大写真である。 (a)は図5の金型構造で成形した比較例3の磁気エンコーダの円環状プラスチック磁石表面の写真、(b)は(a)内の破線囲み部の拡大写真である。 剥離強度の比較試験で作製した、架橋反応開始温度以上(150℃)で熱硬化処理を行い、熱硬化性樹脂接着剤層に架橋反応を生じさせて硬化反応を行わせた接着強度評価用ダンベル試験片を示す概略斜視図である。 前記接着強度評価用ダンベル試験片における乾燥温度とその剥離強度との関係を示すグラフである。 溶融プラスチック材料の流速の説明図であり、(a)はインサート品のプラスチックとの接合面上にゲート位置を設定した金型構造、(b)は前記接合面に塗布した熱硬化性樹脂接着剤の表面から面外方向へ離間させた位置にゲート位置を設定した金型構造を示している。
以下、本発明を詳細に説明する。
<射出成形用金型>
本発明の射出成形用金型は、プラスチックとの接合面に熱硬化性樹脂接着剤を塗布したインサート品を固定でき、溶融プラスチック材料が充填される成形空間であるキャビティ及び前記キャビディ内に溶融プラスチック材料を射出できるゲートを備えたものである。そして、ゲートを、前記インサート品の前記接合面(前記接着剤によりプラスチックが接合される面)に塗布した前記接着剤の表面から面外方向(前記接合面から垂直な方向)へ0.2mm以上離間した位置に配置してなることを特徴とする。
本発明で使用するプラスチックは、例えば、ポリアミド(PA6、PA12、PA612等)やポリフェニレンサルファイド(PPS)等の熱可塑性樹脂を含むものが好適に使用できる。なお、前記熱可塑性樹脂の融点、曲げ弾性率等の物性については特に限定はない。
熱硬化性樹脂接着剤を介してインサート品に接合されるプラスチックとしてプラスチック磁石を用いる場合において、プラスチック磁石は、磁性体粉、熱可塑性樹脂及び必要に応じて添加剤が含まれた磁石材料によって形成されており、インサート品の表面の所望位置に取り付けられる略円環状の部材である。
前記プラスチック磁石材料である前記磁性体粉としては、インサート成形により製造された市販の磁気エンコーダのプラスチック磁石部に使用されている磁性体粉であればよく、例えば、ストロンチウムフェライトやバリウムフェライト等のフェライト系磁性粉末、ネオジム系やサマリウム系等の希土類磁性粉末が使用できる。また、フェライトの磁気特性を向上させるためにランタンとコバルト等を混入したり、フェライトの一部をネオジウム−鉄−ボロン、サマリウム−コバルト、サマリウム−鉄等の希土類磁性体粉に置き換えてもよい。これらの磁性体粉は単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせてもよい。
プラスチック磁石材料である熱可塑性樹脂としては、例えば、ポリアミド(PA6、PA12、PA612等)やポリフェニレンサルファイド(PPS)等の熱可塑性樹脂が好適に使用できる。
プラスチック磁石材料である添加剤としては、カーボンファイバー等の有機系添加剤や、ガラスビーズ、ガラスファイバー、タルク、マイカ、窒化珪素(セラミック)、及び結晶性(非結晶性)シリカ等の無機系添加剤、ベンゼンスルホン酸アルキルアミド類、トルエンスルホン酸アルキルアミド類、及びヒドロキシ安息香酸アルキルエステル類等が挙げられ、これらは単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせてもよい。
なお、前記プラスチック磁石における熱可塑性樹脂、磁性体粉、添加剤等の含有量については、市販の磁気エンコーダのプラスチック磁石部と同じ程度であればよく、特に限定はない。磁性体粉の含有量は、75重量%〜92重量%の範囲である。
本発明で使用する熱硬化性樹脂接着剤としては、例えば、フェノール樹脂系接着剤やエポキシ樹脂系接着剤等が挙げられる。
フェノール樹脂系接着剤は、例えば、ノボラック型フェノール樹脂やレゾール型フェノール樹脂と、ヘキサメチレンテトラミン等の硬化剤を、メタノールやメチルエチルケトン等の溶剤に溶解させたものが使用できる。また、接着性を向上させるために、これらにノボラック型エポキシ樹脂を混合した接着剤も使用できる。
エポキシ樹脂系接着剤としては、原液が一液型エポキシ系接着剤で、溶剤への希釈が可能な接着剤が挙げられる。一液型エポキシ系接着剤としては、エポキシ樹脂及び硬化剤からなり、必要に応じて反応性希釈剤として使用されるその他のエポキシ化合物、熱硬化速度を向上させる硬化促進剤、耐熱性や耐硬化歪み性を向上させる効果がある無機充填材、応力がかかった時に変形する可撓性を向上させる架橋ゴム微粒子等をさらに添加してもよい。
前記エポキシ樹脂としては、例えば、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、ビスフェノールAD型エポキシ樹脂、ナフタレン型エポキシ樹脂、ビフェニル型エポキシ樹脂、グリシジルアミン型エポキシ樹脂、脂環式エポキシ樹脂、ジシクロペンタジエン型エポキシ樹脂、フェノールノボラック型エポキシ樹脂、ポリエステル変性エポキシ樹脂、シリコン変性エポキシ樹脂等が挙げられるが、特に限定はない。
前記硬化剤としては、例えば、脂肪族アミン、脂環族アミン、芳香族アミン等のアミン系硬化剤;ポリアミド系硬化剤;無水フタル酸、メチルテトラヒドロ無水フタル酸、エンドメチレンテトラヒドロ無水フタル酸、メチレンエンドメチレンテトラヒドロ無水フタル酸、メチルヘキサヒドロ無水フタル酸、無水トリメリット酸等の酸無水物系硬化剤;2級又は3級アミン;イミダゾール類;1,3−ビス(ヒドラジノカルボエチル)−5−イソプロピルヒダントイン、エイコサン二酸ジヒドラジド、アジピン酸ジヒドラジド、ジシアンジアミド、7,11−オクタデカジエン−1,18−ジカルボヒドラジド等の硬化剤等が挙げられるが、特に限定はない。
前記反応性希釈剤としては、例えば、アルキルモノグリシジルエーテル、アルキルジグリシジルエーテル、アルキルフェノールモノグリシジルエーテル等が挙げられ、具体的には、2−エチルヘキシルグリシジルエーテル、アリルグリシジルエーテル、フェニルグリシジルエーテル、t−ブチルフェニルグリシジルエーテル等が挙げられるが、特に限定はない。
前記硬化促進剤は、酸無水物系、ジシアンジアミドのような硬化剤を用いた場合に硬化反応の速度を高めるために使用される。例えば、1−シアノエチル−2−エチル−4−メチルイミダゾール、2−メチルイミダゾール、2−エチル−4−メチルイミダゾール、2−ウンデシルイミダゾール、2−フェニルイミダゾール等のイミダゾール化合物;アジピン酸等のカルボン酸類;ジメチルベンジルアミン、トリス(ジメチルアミノメチル)フェノール等の3級アミン及び3級アミン塩;トリフェニルホスフィン、テトラフェニルホソホニウム・テトラフェニルポレート等のホスフィンやホスホニウム塩;テトラブチルアンモニウムブロマイド等の4級アンモニウム塩;3−(3’,4’−ジクロロフェニル)−1,1−ジメチル尿素等のアルキル尿素等が挙げられるが、特に限定はない。
前記無機充填材としては、例えば、溶融シリカ粉末、結晶シリカ、石英ガラス粉末、結晶ガラス粉末、ガラス繊維、アルミナ粉末、タルク、マイカ、アルミニウム粉末、酸化チタン、シリカチタニア、窒化ホウ素、窒化アルミニウム、窒化ケイ素、マグネシア、マグネシウムシリケート等が挙げられ、これらは単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせてもよい。
前記架橋ゴム微粒子としては、例えば、分子鎖中にカルボキシル基を有する加硫されたアクリロニトリルブタジエンゴム、アクリル系ゴム、シリコーンゴム、ウレタンゴム等が挙げられる。前記架橋ゴム微粒子の粒子径としては、例えば、平均粒子径で1μm以下、好ましくは30〜200nm程度の超微粒子のものが挙げられるが、特に限定はない。
前記エポキシ樹脂接着剤に含まれる溶剤としては、例えば、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素又はこれらとケトン類・アルコール類の混合物、シクロヘキサン等のナフテン系炭化水素等が挙げられるが、特に限定はない。
本発明におけるインサート品は、金属部品であり円環状のものである
また、本発明におけるインサート成形品は、前記インサート品に射出成形によりプラスチックを接合して一体化したものであり、例えば円環状のものであるが、形状は円環状に限定されない。
本発明は、ゲートの厚みが小さく、ゲート通過流速が高い(ゲート付近のせん断速度が高い)場合において、特に有効である。
<インサート成形品の製造方法>
本発明のインサート成形品の製造方法は、プラスチックとの接合面に熱硬化性樹脂接着剤を塗布したインサート品を射出成形用金型内に配置し、溶融した前記プラスチックの材料を前記金型のゲートから前記金型のキャビティ内に注入してインサート成形品を製造するインサート成形品の製造方法であって、
前記インサート品の形状が円環状であり、
前記金型は、前記インサート品の前記接合面に塗布した前記接着剤の表面から面外方向へ0.2mm以上離間した位置に、内径側ディスクゲートである前記ゲートを配置するように、インサートコア又はスライドコアを備えた金型構造であり、
前記インサート品の前記接合面を含む表面に前記接着剤を、厚みが数μm〜数十μmになるように塗布する接着剤塗布工程と、
前記接着剤に含まれる溶剤を自然乾燥で揮発させる自然乾燥工程、又は、前記接着剤が架橋反応を開始する温度未満の温度条件下で前記接着剤に含まれる溶剤を揮発させて前記接着剤を乾燥固化させる乾燥固化工程と、
前記自然乾燥工程又は前記乾燥固化工程を経た前記インサート品を前記金型内に配置した状態で、溶融した前記プラスチックの材料を前記ゲートから前記金型のキャビティ内に注入する射出成形工程と、
を含む。
(接着剤塗布工程)
本工程では、インサート品のプラスチックとの接合面を含む表面に熱硬化性樹脂接着剤を、厚みが数μm〜数十μmになるように塗布する。
インサート品のプラスチックとの接合面を含む表面への熱硬化性樹脂接着剤の塗布方法としては、刷毛、ローラー、スプレー等を用いて、インサート品の表面の一部(前記接合面を含めばよい)に前記接着剤を塗布する方法がある。
なお、液状の熱硬化性樹脂接着剤にインサート品の表面を浸漬する塗布方法を用いてもよいが、金型汚染を考慮すると、インサート品の表面の一部(前記接合面を含めばよい)に、なるべくプラスチックとの接合面からはみ出ない範囲内に前記接着剤を塗布する塗布方法の方が好ましい。
インサート品に熱硬化性樹脂接着剤を塗布する際の温度条件としては、前記接着剤が固化したり、架橋硬化反応を生じない温度であればよく、例えば、室温でもよいが、特に限定はない
また、熱硬化性樹脂接着剤を塗布するインサート品の表面には、前記接着剤に対するアンカー効果を向上させる観点から、粗面化処理又はプライマー処理を施すことが好ましい。
粗面化処理としては、ブラスト処理、ケミカルエッチング処理、化成処理、ヘアーライン処理等が挙げられる。
粗面化処理を施した場合のインサート品の塗布面面粗さとしては、Ra0.5〜2μmの範囲が好ましい。
なお、塗布面面粗さは、JIS B0601−1994に基づいて測定できる。
また、プライマーとしては、シラン系プライマー、フェノール系プライマー、エポキシ系プライマー等が挙げられる。
(自然乾燥工程)
本工程では、前記接着剤塗布工程でインサート品の表面に塗布した熱硬化性樹脂接着剤を、室温で自然乾燥させて前記接着剤に含まれる溶剤を揮発させる。
(乾燥固化工程)
本工程では、前記接着剤塗布工程でインサート品の表面に塗布した熱硬化性樹脂接着剤を、その架橋反応を開始する温度未満の温度条件下で前記接着剤に含まれる溶剤を揮発させて前記インサート品の表面に乾燥固化させる。
熱硬化性接着剤は、所定の温度にまで加熱すると架橋反応を開始して硬化を始める性質を有することから、本発明では、熱硬化性樹脂接着剤が架橋反応を開始して硬化を始める温度を「熱硬化性樹脂接着剤が架橋反応を開始する温度」という。
熱硬化性樹脂接着剤の「乾燥固化」とは、加熱により架橋反応が開始される前の状態であって、塗布時の熱硬化性樹脂接着剤に予め含まれている溶剤を揮発させ、熱硬化性樹脂接着剤の成分が固化した状態にすることをいう。
乾燥固化における溶剤の蒸発の程度としては、塗布した熱硬化性樹脂接着剤の表面を指で直接触った場合に、指に熱硬化性樹脂接着剤が付着しない程度でもよいし、溶剤がほとんど残存しない程度まで揮発させてもよく、特に限定はない。特に、プラスチックの接着し易さという観点からは、溶剤がほとんど残存しない程度まで乾燥固化することが好ましい。塗布した熱硬化性樹脂接着剤は乾燥するにつれて色が少し変化していくため、その様子を目視で観察することで乾燥固化の程度を確認できる。
乾燥固化時の温度は、熱硬化性樹脂接着剤が架橋反応を開始する温度未満で行えばよく、具体的には使用する熱硬化性樹脂接着剤により適宜決定すればよい。例えば、フェノール性樹脂接着剤であれば、短時間で乾燥固化を行うという観点からは、110℃未満、好ましくは25〜105℃に調整するのが望ましい。
また、熱硬化性樹脂接着剤の乾燥固化を効率よく行う観点から、所定の温度から複数段階に温度を上昇させて乾燥固化を行ってもよい。
この場合、一段目の温度と二段目の温度の差等については特に限定はない。
また、乾燥固化の時間については、熱硬化性樹脂接着剤中の溶剤を蒸発させ、熱硬化性樹脂の固形分が固化した状態にできる時間であればよく、乾燥固化の温度に応じて適宜決定すればよいが、例えば、工業的なレベルで安定に行うことができる観点からは、30〜60分以上に調整することが好ましい。
乾燥固化の手段としては、例えば、所定の温度に調整した気体を、インサート品に塗布した熱硬化性樹脂接着剤の表面に送風する方法がある。また、熱硬化性樹脂接着剤を塗布したインサート品を、減圧環境下又は常圧環境下で所定の温度環境に静置する方法等が挙げられる。また、これらの方法は組み合わせてもよい。
本発明では、前記のように熱硬化性樹脂接着剤が架橋反応を開始する温度未満で熱硬化性樹脂接着剤を乾燥固化させれば、加熱温度や時間のコントロールが難しかった半硬化を行う必要がない。しかも、プラスチック材料と結合させるための熱硬化性樹脂接着剤中の反応基の減少を抑えることで熱硬化性樹脂接着剤とプラスチックとの結合力を高めることが可能になる。
(射出成形工程)
本工程では、前記自然乾燥工程又は前記乾燥固化工程を経た前記インサート品を前記射出成形用金型内に配置した状態で、溶融した前記プラスチックの材料をゲートから前記金型のキャビティ内に注入する。
インサート品のプラスチックとの接合面に塗布した熱硬化性樹脂接着剤の表面から面外方向へ0.2mm以上離間した位置にゲートを配置してなる前記射出成形用金型を用いているので、前記接着剤塗布工程でインサート品の表面に塗布されて前記自然乾燥工程又は前記乾燥固化工程で溶剤が揮発した熱硬化性樹脂接着剤は、半硬化状態にしなくても、高圧の溶融プラスチック材料により押し流されて流出することがない(前記接着剤が剥ぎ取られてしまうことがない)。
次に、本発明の実施の形態に係る射出成形用金型、及びインサート成形品の製造方法について説明する。
<射出成形用金型、及びインサート成形品の実施の形態>
図1の要部拡大縦断面図に示すように、本発明の実施の形態に係る射出成形用金型1は、図示しない固定側取付板を固定盤にボルトで固定し、図示しない可動側取付板を可動盤にボルトで固定することにより、射出成形機に取り付けられる。
射出成形用金型1で成形するインサート成形品は、図2(b)の縦断面図に示す磁気エンコーダ11であり、インサート品である円環状固定部材12及びプラスチックである円環状プラスチック磁石13からなり、円環状固定部材12及び円環状プラスチック磁石13間には熱硬化性樹脂接着剤層14が介在する。
なお、熱硬化性樹脂接着剤層14の厚みは数μm〜数十μm程度であり非常に薄いものであるが、図2〜図5、及び図13においては図面の見やすさのために拡大して示している。
円環状固定部材12は、円筒部12A及び円筒部12Aの一端縁から径方向外方へ延出する円環部12Bからなる鋼板製のものであり、例えば厚さ0.6mmのステンレス鋼製の板材からプレス加工により成形される。
なお、円環状固定部材12は、少なくとも円筒部12A及び円環部12Bを含むものであればよく、その形状は図2(b)のものに限定されない。
円環状プラスチック磁石13は、円環状固定部材12に塗布した熱硬化性樹脂接着剤B(熱硬化性樹脂接着剤層14)の表面A1から距離(表面A1から面外方向への距離)D(D≧0.2mm)を離間した位置に形成されるゲート痕Eのバリが、磁気エンコーダ11の内径側に出っ張らない大きさに形成されるとともに、図2(b)中の厚さTは例えば0.9mm程度である。
また、円環状プラスチック磁石13は、前記磁性体粉、前記熱可塑性樹脂、及び添加剤が含まれた磁石材料によって形成される。
なお、円環状プラスチック磁石13における熱可塑性樹脂、磁性体粉、添加剤等の含有量については、前記のとおり、市販の磁気エンコーダのプラスチック磁石と同じ程度であればよく、特に限定はない。
本実施の形態の磁気エンコーダ11が、円環状固定部材12により取り付けられる回転体としては、例えば、自動車の車輪の回転数を検出する装置や相対回転する軸受部の回転数検出装置等、従来の磁気エンコーダが取り付けられている回転体であればよい。
前記回転体に磁気エンコーダ11を取り付けることで、前記回転体の回転に伴って、磁気エンコーダ11も回転し、円周方向に多極に着磁された円環状プラスチック磁石13の回転を円環状プラスチック磁石13に対向するように取り付けたセンサで検知することで、前記の回転体の回転速度(回転数)を検出できる。
<インサート成形品の製造方法の実施の形態>
(接着剤塗布工程)
図2(a)の縦断面図に示すように、円環状固定部材12における接合面A0、すなわち図2(b)に示す円環状プラスチック磁石13との接合面A0に、刷毛、ローラー、スプレー等により熱硬化性樹脂接着剤Bを塗布する。
(乾燥固化工程)
次に、前記接着剤塗布工程で熱硬化性樹脂接着剤Bを塗布した円環状固定部材12を、接着剤Bが架橋反応を開始する温度未満の所定の温度に調整した室内に入れて所定時間静置することにより、接着剤Bに含まれる溶剤を揮発させて円環状固定部材12の表面(接合面A0)に乾燥固化させる。
(射出成形工程)
次に、図1の要部拡大縦断面図に示すように、前記乾燥固化工程を経て熱硬化性樹脂接着剤Bが乾燥固化した円環状固定部材12を可動側金型3にセットして型締めした状態で、溶融したプラスチック磁石材料Pをスプルー4から注入する。溶融したプラスチック磁石材料Pは、ランナー5を通って内径側ディスクゲートGから固定側型板2及び可動側型板3間のキャビティC内に充填される(図3(a)の要部拡大縦断面図も参照)。
溶融したプラスチック磁石材料Pは、プラスチック磁石材料Pが射出できる粘度を有し、かつ固化しない程度の温度であればよく、例えば、200〜360℃が挙げられるが、特に限定はない。
なお、スプルー4の方向(溶融したプラスチック磁石材料Pの注入方向)は、水平方向である。
溶融したプラスチック磁石材料Pを冷却・固化させた後、図3(b)の要部拡大縦断面図に示すように、パーティングラインPLから可動側型板3を開き、ゲートカット前の成形品及びインサートコア6を図示しないエジェクタピンにより突き出すことにより、これらを取り出す。
次に、図3のようなインサートコア方式と異なる金型構造の例について説明する。
図4の要部拡大縦断面図は、スライドコア方式(内径スライドコア方式)の金型構造を示している。
図4(a)に示すように溶融したプラスチック磁石材料PをキャビティC内に充填し、溶融したプラスチック磁石材料Pを冷却・固化させた後、図4(b)に示すように、スライドコア7を径方向内方へスライドさせて成形品から退出させた状態で、パーティングラインPLから可動側型板3を開き、ゲートカット前の成形品を図示しないエジェクタピンにより突き出すことにより、ゲートカット前の成形品を取り出す。
次に、ゲートカット処理を行い、インサート成形品(磁気エンコーダ11)をゲートから切り離す。
(熱硬化処理工程)
次に、前記射出成形工程で得られたインサート成形品である磁気エンコーダ11に対し、熱硬化性樹脂接着剤Bが架橋反応を開始する温度以上で熱硬化処理を行うことにより、磁気エンコーダ11の完成品(前記射出成形工程内で後述する着磁を行わない場合は、着磁前のもの)が得られる。
本工程では、前記射出成形工程で得られた磁気エンコーダ11に対し、熱硬化性樹脂接着剤Bが架橋反応を開始する温度以上で熱硬化処理を行うことで、円環状固定部材12と円環状プラスチック磁石13との間にある乾燥固化した熱硬化性樹脂接着剤Bに架橋反応を生じさせて硬化させ、前記の3つの部材12,B,13同士を一体化させる。
前記架橋反応を開始する温度以上の温度としては、110〜180℃の範囲であれば、接着剤に用いられる樹脂の種類に関係なく、架橋反応を生じさせて硬化反応を行うことができる。
また、前記熱硬化処理は、段階的に温度を上昇させて行ってもよい。例えば、一段目の温度を110〜140℃、二段目の温度を140〜180℃の範囲に調整することが挙げられる。なお、前記架橋開始温度以上の温度の上限は、処理時間を短縮する観点から、180℃を超える温度にしてもよい
また、本発明では、円環状プラスチック磁石13は、円周方向に多極に着磁されている。この着磁は、例えば、前記射出成形工程において、調整した磁場内で射出成形をすることで、磁性粉を磁場配向させてもよいし、前記熱硬化処理工程で得られた磁気エンコーダに対して脱磁を行ったのち、別途準備した着磁ヨーク等の着磁装置を用いて前記プラスチック磁石の周方向にN極とS極とが交互になるように多極に着磁してもよい。
<溶融プラスチック材料の流動解析による評価>
プラスチック射出成形用シミュレーションツールであるSimulation Moldflowを使用して溶融プラスチック材料(以下、「溶融樹脂」という。)の流動解析を行った。
(解析条件及び評価項目)
材料データをMATE社製PA12-フェライトボンド磁石HM−1220K、樹脂温度を268℃、金型温度を80℃、射出流量を43cc/sとし、ゲート部及び接着剤表面のゲート近傍における溶融樹脂流速、並びにゲート部及び接着剤表面のゲート近傍における壁面せん断応力を評価項目とした。
ここで、前記接着剤表面のゲート近傍の壁面せん断応力の大きさは、溶融樹脂が接着剤を剥ぎ取る力に比例する。
<実施例>
(実施例1)
図3(a)の要部拡大縦断面図に示す金型構造の例において、インサート品(円環状固定部材12)のプラスチック(図2(b)の円環状プラスチック磁石13)との接合面A0に塗布した接着剤の表面A1からゲートGまでの面外方向距離Dが0.2mmのものを実施例1とした。
(実施例2)
図3(a)の要部拡大縦断面図に示す金型構造の例において、距離Dが0.25mmのものを実施例2とした。
(実施例3)
図3(a)の要部拡大縦断面図に示す金型構造の例において、距離Dが0.45mmのものを実施例3とした。
<比較例>
(比較例1)
図3(a)の要部拡大縦断面図に示す金型構造の例において、距離Dが0.1mmのものを比較例1とした。
(比較例2)
図5の要部拡大縦断面図に示す金型構造、すなわちインサート品(円環状固定部材12)のプラスチック(図2(b)の円環状プラスチック磁石13)との接合面A0上にゲート位置を設定したものを比較例2とした。
<解析結果及び考察>
表1に、解析結果を示す。
接着剤表面A1のゲートG近傍における溶融樹脂流速について、比較例1のように接着剤表面A1からゲートGまでの面外方向距離Dが0.1mmであるもの(図3(a)の金型構造)では24cm/s、比較例2のように接合面A0上にゲート位置を設定したもの(図5の金型構造)では71cm/sであった。
それらに対し、接着剤表面A1のゲートG近傍における溶融樹脂流速について、実施例1のように接着剤表面A1からゲートGまでの面外方向距離Dが0.2mmであるもの(図3(a)の金型構造)では11cm/s、実施例2のように距離Dが0.25mmであるもの(図3(a)の金型構造)では7cm/s、実施例3のように距離Dが0.45mmであるもの(図3(a)の金型構造)では4cm/sであった。
よって、接着剤表面A1のゲートG近傍における溶融樹脂流速は、実施例1,2,3では、比較例1に対して、それぞれ、約46%、約29%、約17%に低減しており、比較例2に対して、それぞれ、約15%、約10%、約6%に低減している。
また、接着剤表面A1のゲートG近傍の壁面せん断応力について、比較例1では1.6Mpa、比較例2では2.6MPaであった。
それらに対し、接着剤表面A1のゲートG近傍における壁面せん断応力について、実施例1では1.2Mpa、実施例2では1.2Mpa、実施例3では1.1MPaであった。
よって、接着剤表面A1のゲートG近傍の壁面せん断応力は、実施例1,2,3では、比較例1に対して、それぞれ、約75%、約75%、約69%に低減しており、比較例2に対して、それぞれ、約46%、約46%、約42%に低減している。
図6は、上記解析結果をグラフ化したものであり、横軸を接着剤表面A1からゲートGまでの面外方向距離D(mm)とし、縦軸を接着剤表面A1のゲートG近傍における溶融樹脂流速(cm/s)及び壁面せん断応力(MPa)として示したものである。
図6から、実施例のように接着剤表面A1からゲートGまでの面外方向距離Dを0.2mm以上にすれば、比較例よりも、接着剤表面A1のゲートG近傍における溶融樹脂の流速及び壁面せん断応力が大幅に小さくなることが分かる。
ここで、接着剤表面A1のゲートG近傍に流入する溶融樹脂の流速が大幅に小さくなれば、接着剤表面A1のゲートG近傍に流入する溶融樹脂のせん断速度が大幅に小さくなるので、接着剤表面A1のゲートG近傍に発生する壁面せん断応力が大幅に小さくなる。
図6から、距離Dを0.2mm以上にすれば、接着剤表面A1のゲートG近傍における壁面せん断応力が小さく略一定になることが分かる。
<インサート成形品による評価>
射出成形用金型を用いて図2(b)に示すインサート成形品である磁気エンコーダ11をインサート成形する実験を行った。
(実験条件及び評価項目)
プラスチック磁石をPA12ベースのボンド磁石、溶融樹脂温度を280℃、射出流量を45cc/sとし、円環状プラスチック磁石表面への接着剤浮き出しの有無を評価項目とした。
<実施例>
図3(a)の要部拡大縦断面図に示す金型構造において、インサート品(円環状固定部材12)のプラスチック(図2(b)の円環状プラスチック磁石13)との接合面A0に塗布した接着剤の表面A1からゲートGまでの面外方向距離Dが0.25mm、0.35mm、及び0.45mmのものを実施例とした。
(実施例4)
距離Dが0.25mmで、インサート品に塗布した熱硬化性樹脂接着剤の乾燥条件を、前記接着剤が架橋反応を開始する温度未満である60℃で60minとしたものを実施例4とした。
(実施例5)
距離Dが0.35mmで、インサート品に塗布した熱硬化性樹脂接着剤の乾燥条件を、前記接着剤が架橋反応を開始する温度未満である60℃で60minとしたものを実施例5とした。
(実施例6)
距離Dが0.45mmで、インサート品に塗布した熱硬化性樹脂接着剤の乾燥条件を、前記接着剤が架橋反応を開始する温度未満である60℃で60minとしたものを実施例6とした。
(実施例7)
距離Dが0.35mmで、インサート品に塗布した熱硬化性樹脂接着剤の乾燥条件を、前記接着剤が架橋反応を開始する温度未満である100℃で30minとしたものを実施例7とした。
<比較例>
図5の要部拡大縦断面図に示す金型構造、すなわちインサート品(円環状固定部材12)のプラスチック(図2(b)の円環状プラスチック磁石13)との接合面A0上にゲート位置を設定したものを比較例とした。
(比較例3)
インサート品に塗布した熱硬化性樹脂接着剤の乾燥条件を、前記接着剤が架橋反応を開始する温度未満である60℃で60minとしたものを比較例3とした。
(比較例4)
インサート品に塗布した熱硬化性樹脂接着剤の乾燥条件を、前記接着剤が架橋反応を開始する温度未満である100℃で30minとしたものを比較例4とした。
<実験結果及び考察>
表2に示す実験結果により、図5のような金型構造の比較例3及び4では、プラスチック磁石の表面へ接着剤が浮き出ていた(比較例3に対応する図10(a)及び図10(b)の磁気エンコーダの円環状プラスチック磁石表面の写真参照)。このようにプラスチック磁石の表面へ接着剤が浮き出した磁気エンコーダは、磁気特性に悪影響を及ぼすので、円環状固定部材とプラスチック磁石との接着強度等を評価するまでもなく、製品にならないものである。
このようにプラスチック磁石の表面へ接着剤が浮き出す現象について検討すると、図5のような金型構造では、熱硬化性樹脂接着剤の乾燥条件を、前記接着剤が架橋反応を開始する温度未満にした場合、表1の比較例2に示すように接着剤表面のゲート近傍における溶融樹脂流速が大きくなる。したがって、接着剤表面のゲート近傍に流入する溶融樹脂のせん断速度が大きくなるので、接着剤表面のゲート近傍に発生する壁面せん断応力が大きくなる。
よって、高圧の溶融樹脂によりゲート近傍の前記接着剤(図2(a)に示す接合面A0に塗布した接着剤Bのゲート近傍の部分H参照)が押し流されて流出し(剥ぎ取られ)、溶融樹脂によって巻き込まれながら流動し、溶融樹脂とともにプラスチック磁石の表面に向かう方向へ移動して前記表面にまで到達して浮き出るものと考えられる。
ここで、比較例3及び4の磁気エンコーダを円環状固定部材12の円環部12Bの表面(図2(b)参照)に垂直な径方向に切断し、その断面を電子顕微鏡で観察したところ、ゲートに近い側の前記接着剤(図2(b)に示す熱硬化性樹脂接着剤層14のゲート近傍の部分I参照)は実際に無くなっていた。
それに対して、図3(a)のような金型構造で、接着剤表面A1からゲートGまでの面外方向距離Dが0.2mm以上である、実施例4〜7では、プラスチック磁石の表面へ接着剤が浮き出していなかった(実施例4に対応する図7(a)及び(b)、実施例5に対応する図8(a)及び(b)、並びに実施例6に対応する図9(a)及び(b)の磁気エンコーダの円環状プラスチック磁石表面の写真参照)。
ここで、実施例4〜7の磁気エンコーダを円環状固定部材12の円環部12Bの表面(図2(b)参照)に垂直な径方向に切断し、その断面を電子顕微鏡で観察したところ、ゲートに近い側の前記接着剤(図2(b)に示す熱硬化性樹脂接着剤層14のゲート近傍の部分I参照)は実際に存在しており、流出していなかった。
なお図5のような金型構造で接着剤が流失しているのは、ゲート近傍のみであり、ゲートから離れた部分の接着剤は流失していない。これは流速の速いゲート部からある程度離れた位置(例えば図13(a)のJ参照)では、射出成形における通常流動(ファウンテンフロー)となることから、ゲート部からある程度離れた位置の接着剤表面付近における溶融樹脂の流速は小さくなるので、溶融樹脂のせん断速度も小さくなり、前記接着剤表面付近に発生する壁面せん断応力も小さくなるためである。また、当然のことであるが、図3(a)のような金型構造においても、ゲート部からある程度離れた位置(例えば図13(b)のK参照)では、射出成形における通常流動(ファウンテンフロー)となっている。
<剥離強度の比較試験>
ダンベル試験片を作製して接着強度を評価する試験を行った。
先ず、固定部材用のSUS430製金属プレートを加工して、図11の概略斜視図に示す固定部材プレート16(幅25mm、長さ80mm、厚み2mm)を作製した。
次に、固定部材プレート16端部の一方側の表面に、その長さ方向Fに対して約10mmの幅でフェノール系熱硬化性樹脂接着剤Bを塗布した。
次に、各固定部材プレート16を、温度を25℃、60℃、90℃、105℃、120℃、及び150℃に設定した反応容器内に30分又は60分間静置して、接着剤B中の有機溶剤(メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、メタノール)を完全に除去するまで乾燥して熱硬化性樹脂接着剤層19を形成した。
次に、所定のインサート成形用の金型に固定部材プレート16をセットし、270℃の溶融したプラスチック磁石材料(原料:PA12+ストロンチウムフェライト粉)を射出して、図11に示す固定部材プレート16とほぼ同じ形状のプラスチック磁石プレート17を成形した。
次に、架橋反応開始温度以上である150℃で熱硬化処理を行い、熱硬化性樹脂接着剤層19に架橋反応を生じさせて硬化反応を行わせることにより、図11に示す接着強度評価用ダンベル試験片15を得た。なお、着磁は行わなかった。
得られた接着強度評価用ダンベル試験片15を、精密万能試験機18にて、JISK6850の試験条件に基づいて、その両端方向に引張り、熱硬化樹脂接着剤層19が破断するまでの力を調べる引張せん断試験を行い、その剥離強度を測定した。その結果を、横軸を乾燥温度(℃)とし、縦軸を剥離強度(実線)及び剥離強度偏差(2点鎖線)として図12に示した。
図12における剥離強度は、乾燥温度が120℃で乾燥時間が30分の場合の剥離強度を100として示したものであり、図12における剥離強度偏差は、乾燥する処理時間(60分、30分)の差による剥離強度のばらつき(偏差)を示したものである。
ここで、接着強度評価用ダンベル試験片15を作製する工程は、前記インサート成形品の製造方法の実施の形態に準じていることから、得られる剥離強度は、同じように作製したインサート成形品(磁気エンコーダ11)の剥離強度に相当すると考える。
図12の結果より、乾燥温度が約105℃付近を超えると剥離強度が低くなり初め、乾燥温度が120℃付近で剥離強度が顕著に低下し、乾燥温度が150℃では剥離強度が0であることが分かる。
このような剥離強度の低下について、本願の発明者らは、その原因について検討し、乾燥温度が150℃では接着しない状態まで剥離強度が低下していることから、乾燥温度が高くなると、使用した接着剤の硬化反応が生じることで反応基が減少してしまい、プラスチック磁石の原料である熱可塑性樹脂との結合がうまく行われない可能性があることに着目した。
そこで、図2(a)のように円環状固定部材12の接合面A0に塗布したフェノール系熱硬化性樹脂接着剤Bを乾燥させる温度条件として、1)室温での風乾、2)90℃で10分間の乾燥、又は3)150℃で10分間の焼き付けを行い、それぞれについて前記接着剤Bをメチルエチルケトン(MEK)溶剤で取り除くことができるかを調べた。前記接着剤BはMEK溶剤に溶解する一方、前記接着剤Bが熱硬化による架橋反応をして変性しているとMEK溶剤に溶解しない。よって、前記接着剤Bが熱硬化しているか否かは、前記接着剤BをMEK溶剤で取り除けるか否かで確認できる。
その結果、上記1)の風乾処理品と上記2)の90℃乾燥処理品はいずれもMEK溶剤で前記接着剤Bを取り除くことが可能であったのに対して、上記3)の150℃処理品はMEK溶剤で前記接着剤Bを取り除くことができなかった。
よって、上記3)の150℃処理品は、熱硬化による架橋反応がすでに生じていたと考えられる。なお、上記3)の150℃処理品は、処理時間が短いことから完全な硬化ではなく、いわゆる半硬化していたと考えられる。
以上のことから、前記105℃付近を境に剥離強度が低下する現象は、円環状固定部材12の表面に塗布した熱硬化性樹脂接着剤Bの乾燥時に熱硬化を起こしていたことが原因であると推測される。
事実、25〜105℃の乾燥で得られた磁気エンコーダの剥離強度は、図12の結果から、処理時間に拘わらず120℃の乾燥で得られたものに比べて、約1.7〜1.9倍も高い剥離強度を有しているため、接着剤の結合強度が顕著に向上しているものであった。
また、25℃〜105℃の乾燥を行う場合、120℃などの高温に調整する場合に比べると、温度環境が低くなり、大量処理しても安定に作業し易いという利点もある。
さらに、図12の結果から、乾燥温度が105℃よりも高くなるに従い、剥離強度偏差が大きくなることから、乾燥温度による強度変化の影響が大きくなっていることが分かる。
具体的には、120℃処理では60℃処理と比較して、前記偏差を示す値は約5倍にも上昇している。これは、温度が高くなるにつれ、架橋硬化反応が活発になり、乾燥時間に対して硬化反応状態が大きく変化することを示している。
つまり、120℃のように高い温度で乾燥すると、処理時間短縮等の生産性向上に寄与できる反面、乾燥温度や乾燥時間のコントロールが難しく、大量処理時の乾燥装置内の温度のばらつき、並びに乾燥装置への投入及び取り出しのタイミング差により、製品の接着強度のばらつきが大きくなることが避けられないことが示唆される。
これに対して、乾燥温度を、25℃〜105℃のように熱硬化性樹脂接着剤Bの架橋反応開始温度未満で行うことにより、剥離強度偏差が小さくなるので、大量処理する際の処理バッチ内の製品の接着強度のばらつき、及び処理バッチ毎の製品の接着強度のばらつきを顕著に抑えることができる。
また、乾燥温度が25〜105℃で乾燥時間が30分における前記接着強度評価用ダンベル試験片の引張せん断接着強度は、8〜11N/mmであった。
一方、乾燥温度が120℃で乾燥時間が30分における前記接着強度評価用ダンベル試験片の引張せん断接着強度はおおむね5N/mm未満であった。
よって、本発明の製造方法で得られる磁気エンコーダは、従来品よりも接着強度が向上していることが分かった。
A0 接合面
A1 接着剤表面
B 熱硬化性樹脂接着剤
C キャビティ
D 接着剤表面からゲートまでの面外方向距離
E ゲート痕
F 長さ方向
G 内径側ディスクゲート(ゲート)
H 接合面に塗布した接着剤のゲート近傍の部分
I 熱硬化性樹脂接着剤層のゲート近傍の部分
J,K ゲート部からある程度離れた位置
P 溶融したプラスチック磁石材料
PL パーティングライン
T 厚さ
1 射出成形用金型
2 固定側型板
3 可動側型板
4 スプルー
5 ランナー
6 インサートコア
7 スライドコア
8 治具
11 磁気エンコーダ(インサート成形品)
12 円環状固定部材(インサート品)
12A 円筒部
12B 円環部
13 円環状プラスチック磁石(プラスチック)
14 熱硬化性樹脂接着剤層
15 接着強度評価用ダンベル試験片
16 固定部材プレート
17 プラスチック磁石プレート
18 精密万能試験機
19 熱硬化性樹脂接着剤層

Claims (2)

  1. プラスチックとの接合面に熱硬化性樹脂接着剤を塗布した、金属部品であるインサート品を射出成形用金型内に配置し、溶融した前記プラスチックの材料を前記金型のゲートから前記金型のキャビティ内に注入してインサート成形品を製造するインサート成形品の製造方法であって、
    前記インサート品の形状が円環状であり、
    前記金型は、前記インサート品の前記接合面に塗布した前記接着剤の表面から面外方向へ0.2mm以上離間した位置に、内径側ディスクゲートである前記ゲートを配置するように、インサートコア又はスライドコアを備えた金型構造であり、
    前記インサート品の前記接合面を含む表面に前記接着剤を、厚みが数μm〜数十μmになるように塗布する接着剤塗布工程と、
    前記接着剤に含まれる溶剤を自然乾燥で揮発させる自然乾燥工程、又は、前記接着剤が架橋反応を開始する温度未満の温度条件下で前記接着剤に含まれる溶剤を揮発させて前記接着剤を乾燥固化させる乾燥固化工程と、
    前記自然乾燥工程又は前記乾燥固化工程を経た前記インサート品を前記金型内に配置した状態で、溶融した前記プラスチックの材料を前記ゲートから前記金型のキャビティ内に注入する射出成形工程と、
    を含むことを特徴とするインサート成形品の製造方法。
  2. 前記インサート成形品が自動車のホイール支持用軸受装置に用いる磁気エンコーダであり、前記インサート品が回転体に取り付け可能な円環状固定部材であり、前記プラスチックが円環状プラスチック磁石である請求項記載のインサート成形品の製造方法。
JP2016053314A 2015-05-27 2016-03-17 インサート成形品の製造方法 Active JP6044731B1 (ja)

Priority Applications (3)

Application Number Priority Date Filing Date Title
US15/154,056 US10449704B2 (en) 2015-05-27 2016-05-13 Manufacturing method of insert molded article
EP16169569.7A EP3098051B1 (en) 2015-05-27 2016-05-13 Injection molding die and manufacturing method of insert molded article
CN201610355725.1A CN106182573B (zh) 2015-05-27 2016-05-26 注射成型用模具和嵌件成型品的制造方法

Applications Claiming Priority (2)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2015107578 2015-05-27
JP2015107578 2015-05-27

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP6044731B1 true JP6044731B1 (ja) 2016-12-14
JP2016221952A JP2016221952A (ja) 2016-12-28

Family

ID=57543833

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2016053314A Active JP6044731B1 (ja) 2015-05-27 2016-03-17 インサート成形品の製造方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP6044731B1 (ja)

Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
CN110884029A (zh) * 2018-09-07 2020-03-17 中西金属工业株式会社 磁编码器的制造方法

Citations (7)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2006313117A (ja) * 2005-05-09 2006-11-16 Nsk Ltd エンコーダの製造方法
JP4189696B2 (ja) * 2004-08-23 2008-12-03 日本精工株式会社 磁気エンコーダの製造方法
WO2011021671A1 (ja) * 2009-08-19 2011-02-24 三井化学株式会社 成形体及びその製造方法
JP2011068026A (ja) * 2009-09-25 2011-04-07 Toppan Printing Co Ltd インサート成形による加飾成形物およびその製造方法
JP2012098221A (ja) * 2010-11-04 2012-05-24 Jtekt Corp 着磁パルサリング、転がり軸受装置、及び、着磁パルサリングの製造方法
WO2015041187A1 (ja) * 2013-09-20 2015-03-26 日本精工株式会社 磁気エンコーダ及びその製造方法
JP2015066846A (ja) * 2013-09-30 2015-04-13 Dic株式会社 構造体および電池蓋体の製造方法

Patent Citations (7)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP4189696B2 (ja) * 2004-08-23 2008-12-03 日本精工株式会社 磁気エンコーダの製造方法
JP2006313117A (ja) * 2005-05-09 2006-11-16 Nsk Ltd エンコーダの製造方法
WO2011021671A1 (ja) * 2009-08-19 2011-02-24 三井化学株式会社 成形体及びその製造方法
JP2011068026A (ja) * 2009-09-25 2011-04-07 Toppan Printing Co Ltd インサート成形による加飾成形物およびその製造方法
JP2012098221A (ja) * 2010-11-04 2012-05-24 Jtekt Corp 着磁パルサリング、転がり軸受装置、及び、着磁パルサリングの製造方法
WO2015041187A1 (ja) * 2013-09-20 2015-03-26 日本精工株式会社 磁気エンコーダ及びその製造方法
JP2015066846A (ja) * 2013-09-30 2015-04-13 Dic株式会社 構造体および電池蓋体の製造方法

Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
CN110884029A (zh) * 2018-09-07 2020-03-17 中西金属工业株式会社 磁编码器的制造方法
CN110884029B (zh) * 2018-09-07 2022-09-30 中西金属工业株式会社 磁编码器的制造方法

Also Published As

Publication number Publication date
JP2016221952A (ja) 2016-12-28

Similar Documents

Publication Publication Date Title
CN106182573B (zh) 注射成型用模具和嵌件成型品的制造方法
JP2017047542A (ja) センサホルダ部を有する保護カバーの製造方法
US11131565B2 (en) Manufacturing method of an annular insert molded article
RU2561094C2 (ru) Элемент жесткости с покрытием (варианты), применение элемента жесткости, способ изготовления усиленного волокнами продукта
US20130101860A1 (en) Method for joining aluminum part and resin and composite made by same
TW201605964A (zh) 薄膜狀環氧樹脂組成物、薄膜狀環氧樹脂組成物的製造方法 及半導體裝置的製造方法
US9962877B2 (en) Ring-shaped insert molded article
JP2014517136A (ja) 熱硬化性組成物、及び繊維強化コンポジットの調製方法
JP6044731B1 (ja) インサート成形品の製造方法
JP2012245665A (ja) 成形法
JP2008038070A (ja) エポキシ接着剤、それを用いた注型品およびエポキシ接着剤を用いた注型品の製造方法
JP4457816B2 (ja) 転がり軸受ユニット及び前記転がり軸受ユニット用保持器の製造方法
JP2012076007A5 (ja)
JP2006273955A (ja) 金属と被着材との接着方法及び電鋳金型の製造方法
JP4432764B2 (ja) 磁気エンコーダの製造方法及び車輪支持用転がり軸受ユニットの製造方法
EP3326805B1 (en) Magnetic encoder and method for producing the same
JP2005321307A (ja) 磁気エンコーダ及び当該磁気エンコーダを備えた転がり軸受ユニット
JP2006017654A (ja) エンコーダとその製造方法及び転がり軸受ユニット
JPH0714453A (ja) 電気絶縁用注型品およびその製造方法
李熹平 et al. Analysis and experiment of metal-polymer composite microscopic structure molding
JP5275495B2 (ja) 結晶性樹脂成形体の接着方法
JP5290948B2 (ja) 耐熱性樹脂組成物とその製造方法及びそれを用いた成形品
JP2007305946A (ja) 半導体装置およびその製造方法ならびに電子機器
JP2014105304A (ja) プライマー剤、樹脂モールド機器、および、その製造方法

Legal Events

Date Code Title Description
TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20161018

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20161031

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Ref document number: 6044731

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250