JP6044208B2 - 車両輪止装置及び車両輪止方法 - Google Patents

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本発明は、鉄道車両の車輪をレール上で制止させる車両輪止装置、及び、その車両輪止装置を用いた車両輪止方法に関する。
製鉄所では、複数のレールが敷設されており、該レール上を、溶銑を収容する溶銑鍋が積載される車両が走行している。前記製鉄所内の製鋼工場では、レール上の車両に積載される溶銑鍋が収容する溶銑中の不純物を除去するために、その溶銑に対して精錬が行なわれる。この精錬では、不純物と反応して該不純物を除去するための添加剤(精錬剤)を溶銑に添加して、次いで、この溶銑を攪拌することで、添加剤と不純物との反応を促進させている。溶銑を攪拌する際には、上方から溶銑鍋を囲む集塵フードで、溶銑鍋からの排気を回収しつつ、溶銑にインペラを浸漬させて、この溶銑中でインペラを回転させている。
インペラの回転に伴って、振動が溶銑鍋に発生し、その振動が車両に伝わる。この振動によって車両が移動することで、溶銑鍋が集塵フードに衝突してしまい、その集塵フードが破損し得る。この集塵フードが破損した場合には、排気を回収できず、精錬処理の操業を停止する必要がある。このため、車両の車輪をレール上で制止させる車両輪止装置を用いる。
鉄道車両の車輪止め装置として、例えば、特許文献1には、車輪止めアームの先端に、レール上面及び車輪の踏づらが形成する隅部に嵌まる楔を設け、ヒンジピンの軸線を前記隅部の前方若しくは側方へ前下りに傾斜させて、アームの先端の楔がレール上の車輪止め位置とレール側方の退避位置との間で前記隅部の前方若しくは側方へ前上がりに傾斜した平面上を移動するようにした鉄道車両の車輪止め装置が提案されている。しかしながら、この車輪止め装置は駆動部分を複数有しているため、粉塵が多い製鉄所で用いると、破損しやすいという問題を有する。
特開平6−57996号公報
本発明は、上述の問題に鑑みてなされたもので、その目的とするところは、製鉄所のような粉塵が多い場所であっても故障しにくい簡易な構成を有する車両輪止装置、及び、この車両輪止装置を用いて、簡便に、車輪を制止させる車両輪止方法を提供することである。
上記課題を解決するための本発明の要旨は以下のとおりである。
(1)車両の車輪をレール上で制止させる車両輪止装置であって、車輪接触部位と、前記レールの上面に配置されるレール接触部位と、を有するレール上ブロック部材と、前記レールの側面側で固定されている動作規制部材と、前記レール上ブロック部材と接続し、かつ、前記動作規制部材を収容可能である内部空間を有する被動作規制部材と、を備えることを特徴とする車両輪止装置。
(2)前記動作規制部材は、前記レールの側面に固定されていることを特徴とする上記(1)に記載の車両輪止装置。
(3)前記動作規制部材は、前記レールの側面側の地面に固定されていることを特徴とする上記(1)または上記(2)に記載の車両輪止装置。
(4)上記(1)ないし(3)のいずれかに記載の車両輪止装置を、前記動作規制部材が前記内部空間に収容されるように、前記レールの側面側から前記動作規制部材に向けて移動させて、前記レールに設定することを特徴とする車両輪止方法。
本発明の車両輪止装置は、製鉄所のような粉塵の多い場所であっても、故障しにくい簡易な構成を有するため、長期間に亘り修理する手間を省くことが可能となる。更には、この車両輪止装置を用いた車両輪止方法によって、レール上で車輪を制止させるように、この車両輪止装置をレールに簡便に設定することが可能となる。
本発明に係る車両輪止装置の概略側面図である。 図1におけるII−II線概略断面図である。 図2に示す形態とは別の例の、図1におけるII−II線概略断面図である。 本発明に係る車両輪止方法の説明図である。
以下、添付図面を参照して、本発明に係る車両輪止装置を具体的に説明する。図1は、車両輪止装置の概略側面図であり、図2は、図1におけるII−II線概略断面図である。車両輪止装置1は、車輪接触部位2aとレール接触部位2bとを有するレール上ブロック部材2、動作規制部材3、及び、被動作規制部材4、を備える。レール上ブロック部材2は、車両(図示せず)の2つの車輪6a及び車輪6bの間に配置されており、車輪6a,6bが、レール5上を移動することにより、車輪接触部位2aに接触して、該車輪接触部位2aに、車両の移動による力が掛かる。車輪接触部位2aとレール接触部位2bとはレール上ブロック部材2の一部であるため、車輪接触部位2aに掛かる力はレール接触部位2bにも掛かる。
図1及び図2に示すように、レール上ブロック部材2及び被動作規制部材4を貫通する貫通穴を設けて、該貫通穴にボルトを挿入し、レール上ブロック部材2及び被動作規制部材4との側面で、このボルトをナットで締め付けて、レール上ブロック部材2を被動作規制部材4に接続している。これにより、レール上ブロック部材2に掛かる力(車輪接触部位2aとレール接触部位2bとに掛かる力)は、被動作規制部材4にも掛かり、レール上ブロック部材2と被動作規制部材4とは一体的に動作(移動)する。
動作規制部材3は、レール5の側面側で固定される。具体的には、図2に示すように、レール5のウエブ部分及び動作規制部材3を貫通する貫通穴を設け、該貫通穴にボルトを挿入し、前記レール5のウエブ面及び前記動作規制部材3の側面で、ボルトをナットで締め付けて、動作規制部材を、前記レール5の側面に固定することが好ましい。被動作規制部材4は、下方に開口している逆「U」字形状の部分を有しており、動作規制部材3が、この逆「U」字形状の内部空間7に収容される。また、被動作規制部材4は、内部空間7を形成する下面4aの、レール5に沿った方向における両端部から下方に突出する突出部4b,4cを有する。車輪6a,6bが、図1の矢線A方向または矢線B方向に移動すると、この突出部4b,4cが、動作規制部材3に当接して被動作規制部材4の動きを規制する。動作規制部材3が内部空間7に収容される形態としては、動作規制部材3が、クリアランス10を持って前記内部空間7に嵌合することが好ましい。
車両が、矢線A方向に移動すると、車輪6aが、左側の車輪接触部位2aに接触して、レール上ブロック部材2を矢線A方向に移動させようとする力が、該レール上ブロック部材2に掛かる。しかしながら、図2に示すように、レール接触部位2bはレール5の上面に接触しているため、このレール接触部位2bには、矢線B方向に摩擦力が生じるため、この摩擦力がレール上ブロック部材2に掛かる。更には、前述の通り、被動作規制部材4の動きが規制されるため、この規制と摩擦力との両方によって、矢線A方向に掛かる力に抗して、レール上ブロック部材2が、配置されている位置に止まる。
図3は、図2に示す形態とは別の例の、図1におけるII−II線概略断面図である。本発明は図2に示す形態に限られず、例えば、図3に示すように、下方に延びた下方延長部分11を有するように、動作規制部材3を作製して、その下方延長部分11を地面に埋めることで、動作規制部材3をレール5の一方の側面側の地面で固定してもよい。図3に示す形態では、動作規制部材3をレール5の一方の側面に固定しているが、下方延長部分11を地面に埋めるだけで、動作規制部材3をレール5の側面側に固定してもよく、必ずしも、動作規制部材3をレール5の側面に接触させる必要はない。
動作規制部材3が、レール5の側面側で、かつ、レール接触部位2bの直下に近いほど、動作規制部材3に掛かる力が小さくなる。なぜならば、レール上ブロック部材2に掛かる力の力線は、レール5に平行であり、梃子の原理に基づくと、動作規制部材3がその力線から遠ざかれば動作規制部材3に掛かる力は大きくなり、近づけばその力は小さくなるからである。このため、レール上ブロック部材2の直下で、かつ、レール5の側面の位置は、その力線に近いため、動作規制部材3を配置する位置に適する。
なお、図1に示す実施形態に係る車両輪止装置では、レール上ブロック部材2は、車輪接触部位2aとレール接触部位2bとを一体的に有しているが、本発明の車両輪止装置は、この形態に限られない。例えば、車輪接触部位2aを有する第1の部材と、レール接触部位2bを有し、第1の部材とは別の第2の部材とからなるように、レール上ブロック部材を構成してもよい。
以上に説明した本発明の車両輪止装置は、製鉄所のような粉塵の多い場所であっても、故障のしにくい簡易な構成を有するため、長い期間に亘り修理する手間を省くことができる。
次に、上記の車両輪止装置1を用いて、車両の車輪を制止させる車両輪止方法を説明する。図4は、本発明に係る車両輪止方法の説明図であり、(a)は、車両輪止装置1がレール5から離れた退避状態を示し、(b)は、車両輪止装置1をレール5に設定している設定状態を示す説明図である。例えば、製鋼工場などで、車両(図示せず)が止まる所定位置は予め決まっており、該所定位置に基づき、2つの車輪6a,6bが止まるべき車輪停止位置が決まる。該車輪停止位置を基準にして、レール5の側面に、車両輪止装置1から分離可能な動作規制部材3を設置しておく。
図4(a)に示すように、動作規制部材3の側面側の地面に、輪止装置退避設定装置21を設け、該輪止装置退避設定装置21には、輪止装置レール22が設けられている。該輪止装置レール22上を移動可能であるフレームホイール23が、フレーム24に設けられており、該フレーム24を輪止装置レール22上に配置しておく。このフレーム24の前端には、レール接触部位2bがレール5の上面より高くなるように、車両輪止装置1が取り付けられており、フレーム24の後部には、ハンドル25が取り付けられている。
車両輪止装置1を退避状態から設定状態にするために、作業者が、ハンドル25を持って、動作規制部材3が内部空間7(図1参照)に収容されるように、フレーム24(車両輪止装置1)を移動させる。動作規制部材3を内部空間7に収容する形態としては、動作規制部材3を、クリアランス10を持って内部空間7に嵌合するように、フレーム24(車両輪止装置1)を移動させることが好ましい。
輪止装置レール22の先端には、傾斜部22aが形成されている。作業者が、レール上ブロック部材2をレール5の上面に載せようとする際に、輪止装置レール22を走行していたフレームホイール23が傾斜部22aに入ると、車両輪止装置1は、動作規制部材3への方向に移動可能であることは勿論だが、下向きにも移動可能となるため、作業者は、レール接触部位2bをレール5の上面に載せやすくなる。
被動作規制部材4の突出部4b,4cと、動作規制部材3との間には、クリアランス10(図1参照)が形成されており、このクリアランス分、被動作規制部材4が、レール5上を矢線A方向または矢線B方向に動く可能性が生じるため、車両輪止装置1は、同方向に動き得る。しかしながら、このクリアランス10が存在することで、作業者が、動作規制部材3を内部空間7に収めやすくなっている。このため、車両輪止装置1をレール5に設定するための簡便さを考慮すれば、このクリアランス10を形成することが好ましい。クリアランス10の幅は、内部空間7への、動作規制部材3の収まり易さ、及び、車両輪止装置1をレール5に設定した場合の車両の移動許容範囲(車輪6a及び車輪6bと車輪接触部位2aとの間隔)を考慮した上で、決めればよい。
以上に説明した車両輪止方法によって、必要な時に応じて、レールに車両輪止装置を簡便に設定することができる。このため、製鋼工場において、溶銑をインペラで攪拌する際に、作業者が、レールに車両輪止装置を適宜素早く設定して、レール上で車輪を制止させることができる。
1 車両輪止装置
2 レール上ブロック部材
2a 車輪接触部位
2b レール接触部位
3 動作規制部材
4 被動作規制部材
4a 下面
4b,4c 突出部
5 レール
6a,6b 車輪
7 内部空間
10 クリアランス
11 下方延長部分
21 輪止装置退避設定装置
22 輪止装置レール
22a 傾斜部
23 フレームホイール
24 フレーム
25 ハンドル

Claims (4)

  1. 車両の車輪をレール上で制止させる車両輪止装置であって、
    車輪接触部位と、前記レールの上面に配置されるレール接触部位と、を有するレール上ブロック部材と、
    前記レールの側面側で固定されている動作規制部材と、
    前記レール上ブロック部材と接続し、かつ、前記動作規制部材を収容可能である内部空間を有する被動作規制部材と、を備え
    前記被動作規制部材と前記レール上ブロック部材とは、前記レールの側面側に設けられる輪止装置退避設定装置によって、前記動作規制部材がクリアランスを持って前記内部空間に嵌合するように、移動可能であることを特徴とする車両輪止装置。
  2. 前記動作規制部材は、前記レールの側面に固定されていることを特徴とする請求項1に記載の車両輪止装置。
  3. 前記動作規制部材は、前記レールの側面側の地面に固定されていることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の車両輪止装置。
  4. 請求項1ないし請求項3のいずれかに記載の車両輪止装置を、前記動作規制部材が前記内部空間に収容されるように、前記レールの側面側から前記動作規制部材に向けて、予め前記レールの側面側に設けられた輪止装置退避設定装置によって移動させて、前記レールに設定することを特徴とする車両輪止方法。
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