JP6044150B2 - 目覚まし装置 - Google Patents

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Description

本発明は、就寝者の睡眠状態に基づいて就寝者に起床を報知する目覚まし装置に関するものである。
従来から、人間の睡眠時には、眠りの浅いレム睡眠と眠りの深いノンレム睡眠とが交互に繰り返されることが知られている。また、眠りの浅い状態で就寝者を覚醒させると、快適な目覚めが得られると言われている。そこで、特許文献1には、就寝者の心拍数を計測して就寝者の睡眠状態を推定し、睡眠状態がレム睡眠のときに就寝者に起床を報知することが記載されている。
特開2007−105111号公報
ところで、人間の睡眠状態がレム睡眠となる周期は、概ね90分程度と言われている。このため、就寝者の睡眠状態がレム睡眠であるときに就寝者に起床を報知しようとすると、場合によっては、就寝者の起床予定時刻の1時間以上前に、例えばアラームを鳴らして就寝者に起床を報知することとなる。しかし、起床予定時刻よりもかなり前に就寝者を起床させると、就寝者の睡眠時間を充分に確保できなくなるおそれがある。
また、特許文献1に記載された装置は、就寝者の起床予定時刻の60分前から就寝者の睡眠状態の判断を開始し、その間に就寝者の睡眠状態がレム睡眠となっているときに就寝者に起床を報知する。しかし、就寝者の睡眠状態を判断する時間がレム睡眠の出現周期よりも短いため、その時間内に睡眠状態がレム睡眠であると判断できず、結局は起床予定時刻まで就寝者に起床を報知できない可能性がある。
しかし、就寝者の睡眠状態がレム睡眠でなくても、就寝者を覚醒させても快適な目覚めが得られる場合がある。例えば、就寝者自身が自覚していなくても、就寝者が覚醒していると見なせる場合がある。このような場合は、就寝者が既に覚醒しているため、就寝者の睡眠状態がレム睡眠だとは判定されない。しかし、その時点で就寝者は覚醒しているため、その時点で就寝者に起床を報知しても、就寝者に不快感を与えることはない。
このため、就寝者の睡眠状態がレム睡眠であることだけを基準に就寝者に起床を報知するタイミングを設定すると、起床予定時刻に近い時刻に就寝者に起床を報知できるタイミングがあったにも拘わらず、そのタイミングで就寝者に起床を報知できずに就寝者に快適な目覚めを提供できないおそれがあった。
本発明は、かかる点に鑑みてなされたものであり、その目的は、就寝者の睡眠状態に基づいて就寝者に起床を報知する目覚まし装置において、快適な目覚めが得られる適切なタイミングで就寝者に起床を報知できる可能性を高めることにある。
第1の発明は、目覚まし装置を対象とし、就寝者の体動を検出して体動信号を出力する検出部(25)と、上記就寝者の睡眠状態がレム睡眠か否かを判断するための判断用指標を上記検出部(25)が出力した上記体動信号から抽出する抽出部(50)と、上記判断用指標に基づいて上記就寝者の睡眠状態がレム睡眠だと判断したことを第1条件とし、上記体動信号に基づいて上記就寝者の粗体動が所定の基準時間に亘って継続していると判断したことを第2条件とし、上記就寝者の起床予定時刻までの所定時間である判断時間中に上記第1条件と上記第2条件の少なくとも一方が成立すると、上記就寝者に起床を報知する報知部(55)とを備えるものである。
第1の発明において、検出部(25)は、就寝者の体動に応じた体動信号を出力し、抽出部(50)は、検出部(25)が出力した体動信号から判断用指標を抽出する。報知部(55)は、判断時間中に第1条件の成否と第2条件の成否とを判断し、第1条件と第2条件の少なくとも一方が成立すると、就寝者に起床を報知する。つまり、報知部(55)は、判断時間中に判断用指標に基づいて上記就寝者の睡眠状態がレム睡眠だと判断した場合だけでなく、判断時間中に体動信号に基づいて就寝者の粗体動が所定の基準時間に亘って継続していると判断した場合も、就寝者に起床を報知する。
ここで、就寝者の粗体動は、就寝者の睡眠深度が深いときには殆ど生じず、就寝者の睡眠深度が浅くなるに従ってその頻度が増える。このため、就寝者の粗体動が所定の基準時間(例えば、数分間)に亘って継続している場合は、就寝者が覚醒していると判断できる。そこで、第1の発明の報知部(55)は、判断時間中に第1条件が成立した場合だけでなく、判断時間中に第2条件が成立した場合も、就寝者に起床を報知する。
なお、判断時間は、就寝者の起床予定時刻までの所定時間である。例えば、就寝者の起床予定時刻が午前7時であり、午前7時までの30分間が判断時間である場合は、午前6時30分から午前7時までの間が判断時間となる。また、就寝者の粗体動は、寝返りや身じろぎ等の比較的大きな就寝者の体の動きである。
また、第1の発明は、上記の構成に加えて上記判断用指標は、上記就寝者の心拍数に関する指標であり、上記抽出部(50)は、上記就寝者の呼吸の時間間隔の変動係数である補助指標を上記体動信号から抽出、上記報知部(55)は、上記判断時間中に上記第1条件と上記第2条件の少なくとも一方が成立した場合であっても、上記補助指標が所定の下限値以下である間は上記就寝者に対する起床の報知を禁止するものである。
第1の発明の抽出部(50)は、判断用指標と補助指標とを算出する。抽出部(50)は、検出部(25)が出力する体動信号に基づいて、補助指標を算出する。抽出部(50)が算出する補助指標は、就寝者の呼吸の時間間隔の変動係数である。ここで、就寝者の睡眠深度が深いほど、就寝者の呼吸の時間間隔の変動係数は小さくなる。このため、補助指標が所定の下限値を下回っている場合は、就寝者の睡眠深度が比較的深いと判断できる。そこで、この発明の報知部(55)は、判断時間中に補助指標が所定の下限値を下回っている間は、第1条件と第2条件の少なくとも一方が成立した場合であっても、就寝者に対する起床の報知を禁止する。
なお、就寝者の呼吸の時間間隔の変動係数は、所定時間内における就寝者の呼吸の時間間隔の標準偏差を、所定時間内における就寝者の呼吸の時間間隔の相加平均で除して得られる値である。
第2の発明は、上記第1の発明において、上記判断用指標は、上記就寝者の心拍数のウルトラディアンリズムに対応した周期成分であり、上記報知部(55)は、上記判断用指標の2次微分係数が負である場合に、上記就寝者の睡眠状態がレム睡眠だと判断するものである。
ここで、生物の生理現象には周期的に変動するものがある。このような生理現象の変動の周期のうち、概ね一日周期のものをサーカディアンリズムといい、それよりも短いもの(例えば数十分周期から数時間周期のもの)をウルトラディアンリズムという。人間の睡眠深度の大局的な変動の周期は、概ね90分〜120分であることが知られている。従って、人間の睡眠深度の大局的な変動は、ウルトラディアンリズムに該当する。また、就寝中の人間の心拍数は、就寝者の睡眠深度に応じて変動することが知られている。具体的には、睡眠深度が深いときには心拍数が比較的低くなり、睡眠深度が浅いときには心拍数が比較的高くなることが知られている。従って、就寝中の人間の心拍数の大局的な変動も、ウルトラディアンリズムに該当する。
上述したように、就寝中の人間の睡眠深度は、概ね90分〜120分周期で深くなったり浅くなったりを繰り返す。また、就寝中の人間の心拍数は、睡眠深度の変化に連動して、概ね90分〜120分周期で増減を繰り返す。一方、上述したように、就寝中の人間の心拍数は、睡眠深度が深いときに比較的低くなり、睡眠深度が浅いときに比較的高くなる。このため、就寝者の心拍数のウルトラディアンリズムに対応した周期成分の2次微分係数が負であるとき(即ち、この周期成分を示すグラフが上に凸の形状となるとき)には、就寝者の睡眠状態が睡眠深度の比較的浅いレム睡眠であると判断できる。
そこで、第2の発明の抽出部(50)は、就寝者の心拍数のウルトラディアンリズムに対応した周期成分を、判断用指標として体動信号から抽出する。また、この発明の報知部(55)は、判定用指標(即ち、就寝者の心拍数のウルトラディアンリズムに対応した周期成分)の2次微分係数が負であるときに、就寝者の睡眠状態をレム睡眠だと判断する。
第3の発明は、上記第1又は第2の発明において、上記報知部(55)は、上記判断時間中に上記就寝者に起床を報知しなかった場合は、上記起床予定時刻に上記就寝者に起床を報知するものである。
ここで、場合によっては、判断時間中に第1条件と第2条件の両方が一度も成立しないこともあり得る。しかし、だからといって就寝者に起床を報知しなければ、起床予定時刻を過ぎても就寝者眠ったままとなるおそれがある。そこで、判断時間中に就寝者に起床を報知しなかった場合、第3の発明の報知部(55)は、起床予定時刻に就寝者に起床を報知する。
本発明の報知部(55)は、判断時間中に第1条件が成立した場合(つまり、判断用指標に基づいて就寝者の睡眠状態がレム睡眠だと判断した場合)だけでなく、判断時間中に第2条件が成立した場合(つまり、体動信号に基づいて就寝者の粗体動が所定の基準時間に亘って継続していると判断した場合)も、就寝者に起床を報知する。このため、判断時間中に就寝者の睡眠状態がレム睡眠だと判断できなかった場合でも、判断時間中に就寝者の粗体動に基づいて就寝者が覚醒していると判断できた場合には、就寝者に起床を報知することが可能となる。従って、本発明によれば、快適な目覚めが得られる適切なタイミングで就寝者に起床を報知できる可能性を高めることができ、その結果、就寝者に快適な目覚めを提供できる可能性を高めることができる。
また、本発明では、判断時間中に補助指標が所定の下限値以下であり、就寝者の睡眠深度が深いと判断できた場合は、報知部(55)が就寝者に対する起床の報知を禁止する。従って、発明によれば、不適切なタイミングで就寝者に起床を報知する可能性を低くすることができ、就寝者に快適な目覚めを提供できる可能性を高めることができる。
上記第2の発明では、就寝者の心拍数のウルトラディアンリズムに対応した周期成分を判定用指標として用いることによって、就寝者の睡眠状態がレム睡眠か否かを確実に判断できる。
上記第3の発明では、判断時間中に就寝者に起床を報知しなかった場合に、報知部(55)が起床予定時刻に就寝者に起床を報知する。従って、この発明によれば、起床予定時刻に就寝者を確実に目覚めさせることができる。
図1は、実施形態の睡眠判定装置の使用状態を示す睡眠判定装置の概略構成図である。 図2は、睡眠判定装置の本外ユニットの概略平面図である。 図3は、ケースの一部を取り外した状態の本体ユニットの概略平面図である。 図4は、本体ユニットの要部を拡大して示す断面図である。 図5は、本体制御部の概略構成を示すブロック図である。 図6は、心拍信号処理部が導出するデータを示す図であって、(A)は実測の心拍数平均値と心拍ベースラインを示す図であり、(B)は心拍数のウルトラディアンリズムに対応した周期成分を示す図である。 図7は、体動信号と体動信号処理部が導出する体動判定閾値とを示す図である。 図8は、呼吸信号処理部が行う動作を説明するための図であって、(A)は呼吸信号強度の変化を示す図であり、(B)は呼吸時間間隔の変動係数の算出対象時間を示す図である。 図9は、実施形態の報知部が行う動作を示すフロー図である。 図10は、実施形態の変形例3の報知部が行う動作を示すフロー図である。
本発明の実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。なお、以下で説明する実施形態および変形例は、本質的に好ましい例示であって、本発明、その適用物、あるいはその用途の範囲を制限することを意図するものではない。
本実施形態は、就寝者(ユーザ)の睡眠状態を判定する睡眠判定装置(1)である。この睡眠判定装置(1)は、判定した就寝者の睡眠状態に応じて、図外の空気調和機の制御(例えば、運転の開始と停止、設定温度の調整など)を行う。また、この睡眠判定装置(1)は、アラーム音によって就寝者に起床を報知する目覚まし装置を構成している。
図1に示すように、睡眠判定装置(1)は、ユーザ側センサ部(2)と本体ユニット(3
)を備えている。
−ユーザ側センサ部−
ユーザ側センサ部(2)は、感圧チューブ(20)とパッド(21)とを備えている。感圧チューブ(20)は、就寝者の体動を検知するためのものである。感圧チューブ(20)は、その一端が本体ユニット(3)に接続され、その他端側がパッド(21)に接続されている。
感圧チューブ(20)は、樹脂製の比較的柔軟なチューブであって、ベッドなどの寝具(101)に設置される。感圧チューブ(20)は、例えば、ベッドの本体とマットレスの間に配置される。また、感圧チューブ(20)は、寝具(101)をその幅方向に横断するように配置される。
感圧チューブ(20)は、チューブ本体(20a)と、このチューブ本体(20a)よりもやや小径の連絡チューブ(20b)とが連結されて構成されている。感圧チューブ(20)の一端は、パッド(21)に接続されて封止されている。感圧チューブ(20)の他端は、後述するコネクタ部(32)に気密に接続されている。寝具(101)の上に就寝者が横臥している状態では、就寝者の体動に伴って感圧チューブ(20)の内圧が変化する。
パッド(21)は、例えばゴム等の柔軟な材料からなる長方形板状の部材である。このパッド(21)は、感圧チューブ(20)の端部の位置決め作業を容易にし、感圧チューブ(20)を寝具(101)に設置する際の作業性を向上させるための部材である。
−本体ユニット−
図2に示すように、本体ユニット(3)のケース(30)には、ユーザーが操作するスイッチ用のボタン(B1,B2,B3)が設けられている。また、このケース(30)には、後述する表示パネル(35)を露出させるための窓(30a)が形成されている。スイッチ用のボタン(B1,B2,B3)は、後述するスイッチ(S1,S2,S3)を操作するものである。また、図3に示すように、本体ユニット(3)のケース(30)には、圧力センサ(31)、コネクタ部(32)、及びプリント基板(33)が収容されている。
圧力センサ(31)は、空気圧を検知するセンサである。本実施形態の睡眠判定装置(1)では、空気の圧力変化を電気的な信号に変換するマイクロフォンが、圧力センサ(31)として用いられている。圧力センサ(31)は、コネクタ部(32)に取り付けられている。この圧力センサ(31)は、感圧チューブ(20)及びコネクタ部(32)と共に、就寝者の体動を検出して体動信号を出力する検出部(25)を構成している。また、圧力センサ(31)は、配線(L)を介してプリント基板(33)に接続されている。
コネクタ部(32)は、樹脂製の管状の部材である。図3に示すように、コネクタ部(32)は、ケース(30)を貫通するように設けられ、ケース(30)の側方へ突出している。
図4に示すように、コネクタ部(32)の一端部(ケース(30)の内側に位置する端部)には、圧力センサ(31)が挿入されている。このコネクタ部(32)の一端部は、圧力センサ(31)によって封止されている。コネクタ部(32)の他端部(ケース(30)の外側に位置する端部)には、感圧チューブ(20)が挿入されている。コネクタ部(32)の内周面は、コネクタ部(32)と感圧チューブ(20)の隙間から空気の漏れを防ぐため、感圧チューブ(20)の外周面と密着している。
プリント基板(33)には、種々の電子部品が搭載されている。具体的に、プリント基板(33)には、電源スイッチ(S1)、各種の設定スイッチ(S2,S3)、表示パネル(35)、圧電ブザー(36)、マイクロコンピュータ(34)、及び図外の水晶振動子が搭載されている。また、設定スイッチ(S2,S3)と表示パネル(35)は、後述する起床予定時刻と起床可能時間とをユーザーが入力するための入力部(26)を構成している。
−本体制御部−
マイクロコンピュータ(34)は、マイクロコンピュータ(34)を動作させるためのプログラムを記憶しており、本体制御部(40)を構成している。
図5に示すように、本体制御部(40)は、時計部(41)と、記憶部(42)と、空調制御部(43)と、信号処理部(50)と、報知部(55)とを備えている。
時計部(41)は、水晶振動子の出力信号に基づいて現在の時刻を算出し、算出した現在時刻を時刻情報として出力する。
記憶部(42)は、圧力センサ(31)の出力値を、時計部(41)が出力した時刻情報と共に記憶する。つまり、記憶部(42)は、圧力センサ(31)の出力値(即ち、就寝者の体動信号)を時系列データとして記憶する。
信号処理部(50)は、記憶部(42)が記憶する就寝者の体動信号を用いた演算処理を行う。この信号処理部(50)は、心拍信号処理部(51)と、体動信号処理部(52)と、呼吸信号処理部(53)とを備えている。心拍信号処理部(51)、体動信号処理部(52)、及び呼吸信号処理部(53)が行う詳細な動作は、後述する。
報知部(55)には、信号処理部(50)の出力が入力されている。また、報知部(55)には、起床予定時刻と起床可能時間とが入力部(26)から入力されている。報知部(55)は、入力された信号に基づいて就寝者の起床タイミングを決定し、圧電ブザー(36)に対して作動指令信号を出力する。制御部は、レム睡眠判断部(56)と、覚醒判断部(57)と、深睡眠判断部(58)とを備えている。レム睡眠判断部(56)、覚醒判断部(57)、及び深睡眠判断部(58)が行う詳細な動作は、後述する。
空調制御部(43)は、信号処理部(50)の出力を受信し、図外の空気調和機に対して制御信号を出力する。空調制御部(43)は、信号処理部(50)の出力に基づいて就寝者が覚醒状態か睡眠状態かを判定し、その結果に基づいて空気調和機の設定温度、吹き出し風量、吹き出し風向などを調節する。また、空調制御部(43)は、就寝者の睡眠状態(例えば、睡眠深度)に応じて、空気調和機の設定温度などを調節する。
−信号処理部−
抽出部である信号処理部(50)は、心拍信号処理部(51)と、体動信号処理部(52)と、呼吸信号処理部(53)とを備えている。ここでは、心拍信号処理部(51)、体動信号処理部(52)、及び呼吸信号処理部(53)が行う詳細な動作について説明する。
〈心拍信号処理部〉
心拍信号処理部(51)は、記憶部(42)が記憶する体動信号から就寝者の心拍に起因する成分を抽出する。また、心拍信号処理部(51)は、就寝者の心拍数のウルトラディアンリズムに対応した周期成分を、判断用指標として抽出する。
心拍信号処理部(51)は、記憶部(42)が記憶する体動信号から、心拍の周波数帯域(1.4±0.6Hz)の信号を抽出し、この抽出した信号の実測値から1分間毎の心拍数の平均値(以下、実測の心拍数平均値という)を導出する。実測の心拍数平均値は、周波数信号の実測値をそのまま心拍数として導出したものである。このため、図6(A)に点線(100)で示すように、実測の心拍数平均値は、に示すスパイク状の突起に現れる寝返り等の粗体動によるノイズを含んでいる。なお、図6(A)は、心拍数平均値の経時変化を示すグラフである。
そこで、導出した実測の心拍数平均値から、寝返り等の粗体動によるノイズの信号を除去し、これを1分間毎の心拍ベースラインとして導出する。つまり、心拍信号処理部(51)は、実測の心拍数平均値の変化を指数関数で緩和させた1分間の心拍ベースラインを導出する。図6(A)の実線(200)は、この心拍ベースラインを示す。
心拍ベースラインを導出すための指数関数で用いられる時定数は、実測の心拍数平均値の増大変化時と、減少変化時とで異なる値となる。
例えば所定時における心拍ベースラインがCであり、その後のto分間に実測の心拍数平均値がZiまで増大変化した場合(Zi>Cである場合)、本実施形態では、時定数τ1を2[min]として以下の式により新たな心拍ベースラインC’が更新される。
C’=C×α+Zi(1−α)
ただし、α=exp(−to/τ1)、τ1=2[min]
一方、例えば所定時における心拍数がCであり、その後のto分後に実測の心拍数平均値がZiまで減少変化した場合(Zi<Cの場合)、本実施形態では、時定数τ2を3[min]として以下の式により新たな心拍数C’が更新される。
C’=C×β+Zi(1−β)
ただし、β=exp(−to/τ2)、τ2=3[min]
このようにして、指数関数によって緩和された信号レベルを心拍ベースラインとするため、実測の心拍数平均値が粗体動等のノイズにより急激に変化した場合にも、心拍ベースラインは、実測の心拍数平均値の変化率よりも小さい変化率で適宜導出されることになる。また、指数関数の時定数は、実測の心拍数平均値の増大変化時よりも減少変化時の方が大きい値となる。このため、心拍ベースラインは、実測の心拍数平均値の増大変化に対しては比較的早い応答性をもち、実測の心拍数平均値の減少変化に対しては比較的遅い応答性をもつ。
心拍信号処理部(51)は、導出した心拍ベースラインから判断用指標を抽出する。具体的に、心拍信号処理部(51)は、心拍ベースラインに、ローパスフィルタ(カットオフ2.0Hz)によりフィルタ処理(例えば、チェビシェフ特性、8次、リップル0.25dB)を施すことによって、判断用指標である“就寝者の心拍数のウルトラディアンリズムに対応した周期成分”を抽出する。図6(B)の実線(300)は、就寝者の心拍数のウルトラディアンリズムに対応した周期成分を示す。
〈体動信号処理部〉
記憶部(42)が記憶する体動信号には、就寝者の微体動(呼吸や心拍に起因する比較的小さな体動)に起因する微動信号と、就寝者の粗体動(寝返りや身じろぎに起因する比較的大きな体動)に起因する粗動信号とが含まれている。そこで、体動信号処理部(52)は、記憶部(42)が記憶する体動信号から就寝者の粗体動に起因する粗動信号を抽出する。
体動信号処理部(52)は、記憶部(42)が記憶する体動信号から、10秒間毎の最小値を抽出し、抽出した最小値をトレースするようにして体動判定閾値を適宜更新する。
ここで、体動信号処理部(52)は、実際の体動信号の最小値の変化を指数関数で緩和させた信号レベルを、体動判定閾値とする。この指数関数で用いられる時定数は、最小値の増大変化時と、減少変化時とで異なる値となる。
具体的に、例えば所定時における最小値がMinであり、その後の更新間隔toに最小値がYiまで増大変化した場合(Yi>Minである場合)、新たな最小値Min’は、時定数τ1を30[min]として以下の式により更新される。
Min’=Min×α+Yi(1−α)
ただし、α=exp(−to/τ1)、τ1=30[min]
一方、所定時における最小値がMinであり、その後の更新間隔toに最小値がYiまで減少変化した場合(Yi<Minの場合)、新たな最小値Min’は、時定数τ2を1[min]として以下の式により更新される。
Min’=Min×β+Yi(1−β)
ただし、β=exp(−to/τ2)、τ2=1[min]
体動信号処理部(52)は、上記の指数関数によって緩和された信号レベルを体動判定閾値とし、この体動判定閾値の2倍の値を判定基準値とする。図7に示すように、体動信号処理部(52)は、記憶部(42)が記憶する体動信号のうち判定基準値よりも大きいものを、粗動信号として抽出する。
〈呼吸信号処理部〉
呼吸信号処理部(53)は、記憶部(42)が記憶する体動信号から就寝者の呼吸に起因する成分を抽出する。また、呼吸信号処理部(53)は、就寝者の呼吸の時間間隔の変動係数を、補助指標として抽出する。
呼吸信号処理部(53)は、記憶部(42)が記憶する体動信号にバンドパスフィルタ(通過域0.25±0.15Hz)によりフィルタ処理を施すことによって、就寝者の呼吸に伴う信号(呼吸信号)を抽出する。図8(A)に示すように、呼吸信号強度は、周期的に増減を繰り返す。
呼吸信号処理部(53)は、抽出した呼吸信号に基づいて、呼吸時間間隔Xを抽出する。具体的に、呼吸信号処理部(53)は、呼吸信号強度が負からゼロになった時点から、次に呼吸信号強度が負からゼロになった時点までの時間を、呼吸時間間隔とする。例えば、図8(A)において、呼吸信号処理部(53)は、時刻t1から時刻t2までの時間を呼吸時間間隔Xiとし、時刻t2から時刻t3までの時間を呼吸時間間隔Xi+1とする。ちなみに、安静時の成人の呼吸回数は、毎分12〜20回程度である。呼吸回数が毎分15回である場合、呼吸時間間隔は4秒となる。
次に、図8(B)に示すように、呼吸信号処理部(53)は、1分が経過する毎に、その時点までの所定時間(本実施形態では3分間)を算出対象時間Tとし、その算出対象時間T内の呼吸時間間隔Xを用いて変動係数CVを算出する。つまり、本実施形態の呼吸信号処理部(53)では、算出対象時間Tが3分間に設定されている。図8(B)において、呼吸信号処理部(53)は、算出対象時間Tnを対象として呼吸時間間隔の変動係数CVnを算出し、算出対象時間Tn+1を対象として呼吸時間間隔の変動係数CVn+1を算出する。算出対象時間Tn+1の開始時刻は、算出対象時間Tnの開始時刻の1分後である。なお、ここに示す算出対象時間(上記の例では3分間)と、呼吸時間間隔の変動係数CVの算出間隔(上記の例では1分間)とは、いずれも単なる一例である。
呼吸信号処理部(53)が呼吸時間間隔の変動係数CVを算出する動作について説明する。ここでは、算出対象時間Tnにおける呼吸時間間隔の変動係数CVnを算出する場合を例に、呼吸信号処理部(53)の動作を説明する。
まず、呼吸信号処理部(53)は、数式1に示す演算を行い、算出対象時間Tnにおける呼吸時間間隔の相加平均を算出する。次に、呼吸信号処理部(53)は、数式2に示す演算を行い、算出対象時間Tnにおける呼吸時間間隔の標準偏差σnを算出する。そして、呼吸信号処理部(53)は、数式3に示す演算を行い、算出対象時間Tnにおける呼吸時間間隔の変動係数CVnを算出する。なお、数式3に示す演算によって算出されるのは、呼吸時間間隔の変動係数CVnを百分率で示した値である。
Figure 0006044150
−報知部−
報知部(55)は、レム睡眠判断部(56)と、覚醒判断部(57)と、深睡眠判断部(58)とを備えている。そして、報知部(55)は、就寝者が心地よく目覚めることのできるタイミングで就寝者に起床を報知する動作を行う。
先ず、報知部(55)が行う動作の概略について説明する。
上述したように、報知部(55)は、起床予定時刻と、判断時間である起床可能時間とを、入力部(26)から受信する。そして、報知部(55)は、起床予定時刻の起床可能時間前になると(即ち、判断開始時刻を過ぎると)、就寝者が心地よく目覚めることのできるタイミングを特定するための動作を開始する。
判断開始時刻を過ぎると、報知部(55)は、実行条件が成立するか否かを判断する。この実行条件は、第1条件と第2条件の少なくとも一方が成立するという条件である。第1条件は、判断用指標(就寝者の心拍数のウルトラディアンリズムに対応した周期成分)に基づいて就寝者の睡眠状態がレム睡眠だと判断したという条件である。第2条件は、体動信号に基づいて就寝者の粗体動が所定の基準時間に亘って継続していると判断したという条件である。
続いて、報知部(55)は、禁止条件が成立するか否かを判断する。この禁止条件は、補助指標(就寝者の呼吸時間間隔の変動係数)が所定の下限値以下であるという条件である。
報知部(55)は、実行条件が成立し、且つ禁止条件が成立していない場合に、圧電ブザー(36)に対して作動指令信号を出力する。また、報知部(55)は、起床予定時刻までに圧電ブザー(36)へ作動指令信号を出力しなかった場合は、起床予定時刻に圧電ブザー(36)へ作動指令信号を出力する。そして、報知部(55)は、圧電ブザー(36)を鳴らすことによって、就寝者に起床を報知する。
次に、報知部(55)が行う詳細な動作について、図9を参照しながら説明する。報知部(55)は、図9のフロー図に示す動作を、例えば60秒毎に繰り返し実行する。
ステップST1において、報知部(55)は、就寝者が入眠したか否かを判断する。その際、報知部(55)は、例えば就寝者の粗体動の継続時間が所定時間以下になると、就寝者が入眠したと判断する。ステップST1において就寝者が入眠していないと判断した場合、報知部(55)は、就寝者が入眠したか否かの判断を繰り返す。一方、ステップST1において就寝者が入眠していると判断した場合、報知部(55)は、ステップST2の動作を行う。
ステップST2において、報知部(55)は、起床予定時刻の起床可能時間前の時刻を、判断開始時刻に設定する。例えば、起床予定時刻が午前7時に設定され、起床可能時間が30分間に設定された場合、報知部(55)は、判断開始時刻を午前6時30分に設定する。この場合は、判断開始時刻(午前6時30分)から起床予定時刻(午前7時)までの30分間が、判断時間となる。そして、報知部(55)は、判断開始時刻が経過したか否かを判断する。時計部(41)から受信した現在時刻が判断開始時刻よりも前である場合、報知部(55)は、ステップST2の動作を繰り返し行う。一方、現在時刻が判断開始時刻を過ぎている場合、報知部(55)は、ステップST3の動作を行う。
ステップST3において、報知部(55)は、起床予定時刻が経過したか否かを判断する。時計部(41)から受信した現在時刻が起床予定時刻を過ぎている場合、報知部(55)は、ステップST7の動作(即ち、圧電ブザー(36)に対して作動指令信号を出力する動作)を行う。一方、現在時刻が起床予定時刻よりも前の場合、報知部(55)は、ステップST4の動作を行う。
ステップST4では、報知部(55)のレム睡眠判断部(56)が、就寝者の睡眠状態がレム睡眠か否かを、判断用指標に基づいて判断する。レム睡眠判断部(56)が行う動作を説明する。レム睡眠判断部(56)は、判断用指標(即ち、就寝者の心拍数のウルトラディアンリズムに対応した周期成分)の2次微分係数を算出する。そして、レム睡眠判断部(56)は、判断用指標の2次微分係数が負である場合(即ち、図6(B)に示す波形が上に凸の形状となっている場合)に、就寝者の睡眠状態がレム睡眠であると判断する。
ステップST4において就寝者の睡眠状態がレム睡眠であると判断できなかった場合、報知部(55)は、ステップST5の動作を行う。一方、ステップST4において就寝者の睡眠状態がレム睡眠であると判断できた場合、報知部(55)は、ステップST6の動作を行う。
ステップST5では、報知部(55)の覚醒判断部(57)が、就寝者が覚醒状態か否かを、粗動信号(即ち、就寝者の粗体動に起因して生じる体動信号)に基づいて判断する。具体的に、覚醒判断部(57)は、粗動信号の継続時間が基準時間(例えば、3分間)に達するか否かを監視し、粗動信号が基準時間以上に亘って継続した場合に就寝者が覚醒状態であると判断する。
なお、脳波を計測することによって就寝者の睡眠状態を厳密に計測した場合でも、その計測結果に基づいて就寝者が覚醒状態であると判断された場合に、就寝者が覚醒状態であることを自覚しているとは限らない。従って、ステップST5において就寝者が覚醒状態であると覚醒判断部(57)が判断した場合も、就寝者自身が覚醒状態であると自覚しているとは限らない。
ステップST5において就寝者が覚醒状態であると判断できなかった場合、報知部(55)は、ステップST3の動作を再び行う。一方、ステップST5において就寝者が覚醒状態であると判断できた場合、報知部(55)は、ステップST6の動作を行う。
上述したように、報知部(55)では、ステップST4において就寝者の睡眠状態がレム睡眠であるとレム睡眠判断部(56)が判断した場合(即ち、第1条件が成立した場合)、またはステップST5において就寝者が覚醒状態であると覚醒判断部(57)が判断した場合(即ち、第2条件が成立した場合)に、ステップST6の動作を行う。つまり、実行条件(即ち、第1条件と第2条件の少なくとも一方が成立するという条件)が成立すると、報知部(55)がステップST6の動作を行う。
ステップST6では、報知部(55)の深睡眠判断部(58)が、就寝者の睡眠深度が深いか否かを、補助指標(即ち、就寝者の呼吸時間間隔の変動係数)に基づいて判断する。具体的に、深睡眠判断部(58)は、就寝者の呼吸時間間隔の変動係数CVが下限値(例えば、8%)以下である場合に、就寝者の睡眠深度が深いと判断する。このように、深睡眠判断部(58)は、就寝者の呼吸時間間隔の変動係数CVが下限値であるという条件(即ち、禁止条件)の成否を判断する。
ステップST6において就寝者の睡眠深度が深いと深睡眠判断部(58)が判断しなかった場合(即ち、禁止条件が成立しなかった場合)、報知部(55)は、ステップST7の動作(即ち、圧電ブザー(36)に対して作動指令信号を出力する動作)を行う。つまり、報知部(55)は、実行条件が成立し且つ禁止条件が成立していない場合に、ステップST7の動作を行う。
一方、ステップST6において就寝者の睡眠深度が深いと深睡眠判断部(58)が判断した場合(即ち、禁止条件が成立した場合)、報知部(55)は、ステップST3の動作を再び行う。つまり、報知部(55)は、実行条件が成立している場合であっても、禁止条件が成立している間はステップST7の動作を行わない。
−実施形態の効果−
本実施形態の報知部(55)は、判断時間中に第1条件が成立した場合(即ち、判断用指標に基づいて就寝者の睡眠状態がレム睡眠だとレム睡眠判断部(56)が判断した場合)だけでなく、判断時間中に第2条件が成立した場合(即ち、体動信号に基づいて就寝者の粗体動が所定の基準時間に亘って継続していると覚醒判断部(57)が判断した場合)も、就寝者に起床を報知する。このため、判断時間中に就寝者の睡眠状態がレム睡眠だと判断できなかった場合でも、判断時間中に就寝者の粗体動に基づいて就寝者が覚醒していると判断できた場合には、就寝者に起床を報知することが可能となる。従って、本実施形態によれば、快適な目覚めが得られる適切なタイミングで就寝者に起床を報知できる可能性を高めることができ、その結果、就寝者に快適な目覚めを提供できる可能性を高めることができる。
ここで、就寝者の睡眠状態がレム睡眠であることを正確に判定するには、就寝者の脳波を計測したり、就寝者の眼球の動きを検知する必要がある。このため、本実施形態のレム睡眠判断部(56)のように判断用指標に基づいて就寝者の睡眠状態を推定する場合は、就寝者の睡眠状態が実際にはノンレム睡眠であるのにレム睡眠だと誤判定する可能性が全く無いとは言い切れない。そして、就寝者の睡眠状態がノンレム睡眠であるときに、就寝者の睡眠状態がレム睡眠だと誤判定して就寝者に起床を報知すると、不適切なタイミングで就寝者を覚醒させてしまい、就寝者に不快感を与えるおそれがある。
これに対し、本実施形態では、判断時間中に補助指標が所定の下限値以下であって、就寝者の睡眠深度が深いと深睡眠判断部(58)が判断した場合は、報知部(55)が就寝者に対する起床の報知を禁止する。従って、本実施形態によれば、不適切なタイミングで就寝者に起床を報知する可能性を低くすることができ、就寝者に快適な目覚めを提供できる可能性を高めることができる。
また、本実施形態の報知部(55)は、判断時間中に就寝者に起床を報知しなかった場合、起床予定時刻になると就寝者に起床を報知する。従って、本実施形態によれば、起床予定時刻に就寝者を確実に目覚めさせることができる。
−実施形態の変形例1−
本実施形態のレム睡眠判断部(56)は、就寝者の心拍数の標準偏差を判断用指標とし、就寝者の心拍数の標準偏差に基づいて就寝者の睡眠状態がレム睡眠であるか否かを判断するものであってもよい。
ここで、就寝者の心拍数は、細かな増減を繰り返している。そして、レム睡眠中は、ノンレム睡眠中に比べて、就寝者の心拍数の細かな増減(即ち、心拍数の揺らぎ)が大きくなることが知られている。心拍数の揺らぎの大きさを示す指標としては、心拍数の標準偏差を用いることができる。従って、就寝者の標準偏差に基づいて、就寝者の睡眠状態がレム睡眠か否かを判断することができる。
本変形例のレム睡眠判断部(56)は、就寝者の心拍数の標準偏差を、就寝者が入眠してから1分毎に算出する。具体的に、レム睡眠判断部(56)は、1分が経過する毎に、過去10分間の就寝者の心拍数の標準偏差を算出して記憶する。そして、現在時刻が判断開始時刻を過ぎると、レム睡眠判断部(56)は、最新の心拍数の標準偏差が就寝者の入眠から算出してきた心拍数の標準偏差の上位20%に入っている場合に、就寝者の睡眠状態がレム睡眠であると判断し、そうでない場合に、就寝者の睡眠状態がレム睡眠ではないと判断する。
−実施形態の変形例2−
本実施形態のレム睡眠判断部(56)は、就寝者の呼吸時間間隔の変動係数CVを判断用指標とし、就寝者の呼吸時間間隔の変動係数CVに基づいて就寝者の睡眠状態がレム睡眠であるか否かを判断するものであってもよい。
本変形例のレム睡眠判断部(56)は、深睡眠判断部(58)と同様に、就寝者の呼吸時間間隔の変動係数CVを1分毎に算出する。現在時刻が判断開始時刻を過ぎると、レム睡眠判断部(56)は、最新の呼吸時間間隔の変動係数CVが所定の上限値(例えば、8%)を上回る場合に、就寝者の睡眠状態がレム睡眠である可能性があると判断し、そうでない場合に、就寝者の睡眠状態がレム睡眠ではないと判断する。
−実施形態の変形例3−
本実施形態の目覚まし装置では、報知部(55)から深睡眠判断部(58)が省略されていてもよい。例えば、レム睡眠判断部(56)における誤判断の可能性が殆ど無く、更には覚醒判断部(57)における誤判断の可能性も殆ど無いことが実験等によって照明できた場合は、報知部(55)に深睡眠判断部(58)が設けられていなくても、報知部(55)が不適切なタイミングで就寝者に起床を報知する可能性は殆ど無い。そこで、このような場合は、報知部(55)から深睡眠判断部(58)を省略してもよい。
本変形例の報知部(55)は、図10のフロー図に示す動作を行う。同図のフロー図は、図9に示すフロー図からステップST6を削除したものである。図10のフロー図に示すように、本変形例の報知部(55)は、“第1条件と第2条件の少なくとも一方が成立する”という実行条件が成立すると、圧電ブザー(36)に対して作動指令信号を出力する。
−実施形態の変形例4−
本実施形態の目覚まし装置は、アラーム音以外の手段によって就寝者に起床を報知するものであってもよい。例えば、目覚まし装置は、照明器具の照度を増やすことによって就寝者に起床を報知するものであってもよい。また、目覚まし装置は、例えば枕の下に敷いたエアマットを膨らませることによって就寝者に起床を報知するものであってもよい。また、目覚まし装置は、空気調和機の吹き出し風を就寝者に当てることによって就寝者に起床を報知するものであってもよい。
以上説明したように、本発明は、就寝者の睡眠状態に基づいて就寝者に起床を報知する目覚まし装置について有用である。
1 睡眠判定装置(目覚まし装置)
20 感圧チューブ
31 圧力センサ
25 検出部
50 信号処理部(抽出部)
55 報知部

Claims (3)

  1. 就寝者の体動を検出して体動信号を出力する検出部(25)と、
    上記就寝者の睡眠状態がレム睡眠か否かを判断するための判断用指標を上記検出部(25)が出力した上記体動信号から抽出する抽出部(50)と、
    上記判断用指標に基づいて上記就寝者の睡眠状態がレム睡眠だと判断したことを第1条件とし、上記体動信号に基づいて上記就寝者の粗体動が所定の基準時間に亘って継続していると判断したことを第2条件とし、上記就寝者の起床予定時刻までの所定時間である判断時間中に上記第1条件と上記第2条件の少なくとも一方が成立すると、上記就寝者に起床を報知する報知部(55)とを備え
    上記判断用指標は、上記就寝者の心拍数に関する指標であり、
    上記抽出部(50)は、上記就寝者の呼吸の時間間隔の変動係数である補助指標を上記体動信号から抽出し、
    上記報知部(55)は、上記判断時間中に上記第1条件と上記第2条件の少なくとも一方が成立した場合であっても、上記補助指標が所定の下限値以下である間は上記就寝者に対する起床の報知を禁止する
    ことを特徴とする目覚まし装置。
  2. 請求項1において、
    上記判断用指標は、上記就寝者の心拍数のウルトラディアンリズムに対応した周期成分であり、
    上記報知部(55)は、上記判断用指標の2次微分係数が負である場合に、上記就寝者の睡眠状態がレム睡眠だと判断する
    ことを特徴とする目覚まし装置。
  3. 請求項1又は2において、
    上記報知部(55)は、上記判断時間中に上記就寝者に起床を報知しなかった場合は、上記起床予定時刻に上記就寝者に起床を報知する
    ことを特徴とする目覚まし装置。
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