JP6043547B2 - 建具および連動装置 - Google Patents
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Description
この引き戸には、枠体にガイドレールを設け、このガイドレールで内扉および外扉を移動自在に案内し、ガイドレールと外扉とに当接する連動ローラーを内扉に設けた従来例がある(特許文献1)。
このような特許文献1では、内扉に対する外扉の吊り込み間隔にズレが生じると、前記付勢ばねで付勢された連動ローラーが軸方向に移動し、かつ、前記枢軸を回転中心として前記稼動ホルダが回転する。このため、連動ローラーはガイドレールと外扉の双方へ当接し続ける。
そのため、特許文献1では、連動ローラーが正しく転動しないことにより、内扉と外扉とが正確に連動しないおそれがある。
この際、開閉操作やその他の原因によって、第1の障子が見込み方向に振れる(移動する)ことがある。第1の障子が振れると、連動装置のローラーが当接する第1の障子の当接面と、枠体の対向面との間の寸法が変わることになる。
本発明では、付勢部材によってローラーが取付軸を回転軸として回動するため、第1の障子が見込み方向に振れて、第1の障子の当接面と枠体の対向面との間の寸法が変わっても、ローラーの周面が軸心方向に沿った異なる2箇所で前記当接面および対向面にそれぞれ当接する。ローラーの周面が前記当接面および対向面の一方にのみ当接し、他方には当接しない場合には、付勢部材の付勢力によって、フレームに取り付けられた取付軸が前記長孔の長手方向に沿って移動し、ローラーの周面が前記当接面および対向面に常に当接することになる。
したがって、第1の障子が振れても、ローラーが空回りすることなく第1の障子と枠体とに当接するので、第1の障子と第2の障子とが確実に連動されることになる。
さらに、連動装置の取付軸は、前記長孔内を見込み方向に移動するため、第1の障子の当接面と、枠体の対向面との間隔が変化した場合に、前記取付軸を当接面および対向面の中央位置に移動させることができる。このため、ローラーと、当接面および対向面に働く各摩擦力も同一にでき、ローラーはスムーズに回転して第1の障子および第2の障子を確実に連動させることができる。
その上、連動装置の取付軸が長孔内を見込み方向に移動するため、前記第1の障子が見込み方向に振れても、第2の障子は見込み方向に移動することがない。このため、第2の障子を案内するガイドローラー等に過度に接触することがなく、開閉操作に必要な力の増大を防止でき、開閉操作性の低下も防止できる。
つまり、第1の障子を第2の障子に対して正しい位置に戻すには、第2の障子を静止させ、第1の障子のみを移動させることになるが、付勢部材によってローラーが第1の障子と枠体のうち第1の障子に対向する部分とに付勢されているため、第2に障子を静止させた状態で第1の障子のみを移動させるには負荷がかかる。この負荷をなくすには、ローラーをその周面が第1の障子と枠体との双方から離れた状態で保持することが必要となるが、ローラーを作業者が保持しているのでは作業が繁雑となる。
そこで、本発明では、切換機構によって、ローラーの周面が第1の障子と枠体との双方から離れた状態を維持し、第1の障子を操作しても、第1の障子の動きが第2の障子に伝わらないようにした。そのため、作業者がローラーを保持しながら作業する必要が無いため、第1の障子を第2の障子に対して正しい位置に容易に復帰させることができる。
第1の障子と第2の障子とを正しい位置に復帰させた後では、切換機構によってローラーを当接状態に切り換える。すると、付勢部材の付勢によって、ローラーの周面が第1の障子と枠体との双方に当接することになる。従って、第1の障子を操作すると、その動きが第2の障子に伝達され、連動装置が正常に作動する。
このような構成によれば、フックを回動操作することで、離隔状態と当接状態とに容易に切り換えることができる。フックは板材を加工することで容易に作製することができるから、切換機構の構造を簡易なものにできる。
このような構成では、プレートとフレームとで見付け面部を挟むので、連動装置が第2の障子から離脱することを防止できる。その上、コイル状ばね部材は、その一端がプレートに係止され他端が取付軸に係止され、かつ、螺旋部に取付軸が挿通されるので、省スペースでコイル状ばね部材の装着を実現することができる。
このような連動装置は、第1の障子の開閉移動に伴って連動する第2の障子の被取付面部に取り付けられる。この際、付勢部材をプレートおよび取付軸間に設けることができ、付勢部材を被取付面部に係止する必要が無い。このため、連動装置が取り付けられる被取付面部には、取付溝が挿入される孔のみを加工すれば良く、被取付面部の加工コストも低減できる。
なお、第2実施形態において、次の第1実施形態で説明する構成部材と同じ構成部材、および同様な機能を有する構成部材には、第1実施形態の構成部材と同じ符号を付し、それらの説明を省略または簡略化する。また、各図においては、図面を見やすくするために、主要な構成部材については、その断面部分のハッチングを省略することがある。
本発明の第1実施形態に係る建具は、風除室に用いられる上吊り式ハンガー引き戸である。
図1は、本実施形態の建具1を示す縦断面図である。図2および図3は、建具1の横断面図である。
図1から図3において、建具1は、玄関に設けられた風除室の出入口開口部に設けられるもので、枠体としての建具枠2と、この建具枠2内に支持された第1の障子10、第2の障子30および第3の障子40とを備えた連動式建具である。
建具枠2は、上枠3および左右の縦枠4を備えており、これらの上枠3および縦枠4は、それぞれアルミ押出形材製の部材である。
上枠3は、上レール3Bの室外側に配置される無目3Dを備えている。
第1の障子10は、アルミ押出形材製の上框11、下框12、および左右の縦框13,14と、ガラス製や樹脂製の面材15とを備える。
上框11には取付片17を介して戸車18が回動自在に設けられている。
下框12は、ガイドローラー5Aが案内される断面コ字状の案内部12Aを有している。
縦框13は、第2の障子30との召合せ部における内召合せ框である。この縦框13には、第2の障子30に案内されるサイドローラー16が取り付けられている。
戸先框となる縦框14の見付け面(室内面および室外面)には、引手14Aが一体に形成されている。
上框31には、上框11と同様に、取付片17を介して戸車18が回動自在に設けられている。
下框32も、下框12と同様に、ガイドローラー5Bが案内される断面コ字状の案内部32Aを有している。また、下框32には、第1の障子10に設けられたサイドローラー16を案内する案内部32Aが設けられている。
第3の障子40との召合せ部の内召合せ框となる縦框33には、縦框13と同様に、サイドローラー16が取り付けられている。
第1の障子10との召合せ部の外召合せ框となる縦框34の見込み面部341には、後述する連動装置20が取り付けられている。
下框42には、下框32と同様に、第2の障子30に設けられたサイドローラー16を案内する案内溝42Aが設けられている。
連動装置20は、図4に示すように、第2の障子30の縦框(外召合せ框)34の見込み面部341に取り付けられている。
縦框34は、略角筒状のアルミ押出形材で構成され、見込み面部341と、室内側および室外側の見付け面部342とを備えている。そして、見込み面部341は、連動装置20が取り付けられる被取付面部であり、見込み方向(水平方向)に沿って長孔343が形成されている。
そして、連結部212の背面、つまり連結部212において、ローラー22に対向する表面とは反対側の背面に前記取付軸23が取り付けられている。具体的には、取付軸23は、連結部212の中心(重心)位置に取り付けられている。
また、ローラー22の回転軸心22Cは、連結部212の長手方向に平行であり、このため、取付軸23の軸心23Cと直交する。
そして、ローラー本体222,223は、その最大径寸法が、上枠3の無目3Dの室内面3Eと第1の障子10の上框11の室外面11Eとの間の寸法より小さい値となるように設計されている。
プレート24は平面L字状の板部材であり、取付軸23が挿通される挿通孔240が形成された平面略長方形の基部241と、この基部241の一端部から直角方向に延長された当接部242とを有する。基部241には、ねじりばね25の端部を係止する係止部243が切起し加工などにより形成されている。
ねじりばね25は、プレート24の係止部243に係止される一端部251と、取付軸23の係止溝230に係止される他端部252と、一端部251および他端部252を結ぶコイル状に巻かれた螺旋部253とを有する。この螺旋部253は、取付軸23に挿通される。
ねじりばね25は、取付軸23とプレート24とを、相対的に互いに反対方向に回動させる付勢力を付与する。これにより、プレート24の当接部242が、縦框34の見付け面部342に当接してプレート24が回り止めされると、取付軸23が図1中時計回りに回動する。
取付軸23が図1中時計回りに回動すると、上方に位置するローラー本体222が第1の障子10の上框11の室外面11Eに当接し、下方に位置するローラー本体223が無目3Dの室内面3Eに当接する。なお、図7において図示されるプレート24は、実線が縦框34の内部に装着される前(ねじりばね25が撓む前)の状態であり、想像線が縦框34の内部に装着された後(ねじりばね25が撓んだ後)の状態を示す。プレート24が縦框34の内部に装着された状態では、プレート24が90度回転した分、ねじりばね25が撓む。このため、プレート24を基準にすると、プレート24に対して取付軸23、フレーム21を、図7中、反時計回りに回転するように、前記ねじりばね25はプレート24を取付軸23の周方向に沿って付勢する。
建具1の被取付面部である見込み面部341に連動装置20を取り付けるには、図4にも示すように、連動装置20の取付軸23を、第2の障子30の縦框34の見込み面部341に形成された長孔343に挿通する。さらに、縦框34の開口端面からプレート24を挿入し、前記取付軸23にプレート24を装着する。さらに、プレート24と取付軸23とにねじりばね25を介装する。ねじりばね25をプレート24と取付軸23とに介装するにあたり、プレート24とフレーム21とに取付軸23の周方向の付勢力が加わるようにする。この状態では、ねじりばね25の付勢によってフレーム21が取付軸23を中心として周方向に回動し、ローラー22のローラー本体222が第1の障子10の上框11の室外面11Eに当接し、ローラー本体223が上枠3の無目3Dの室内面3Eに当接する。
仮に、上下のローラー本体222,223の一方のみが第1の障子10または無目3Dに当接するものの、他方が第1の障子10または無目3Dに当接しない状態となった場合には、ねじりばね25の付勢によって取付軸23が長孔343に沿って見込み方向P2にずれることで、ローラー本体222が第1の障子10に確実に当接することになり、ローラー本体223が無目3Dに確実に当接する。なお、図8ではローラー22が回動する取付軸23の周方向P1は時計方向とされているが、ねじりばね25の付勢方向を変えることで反時計方向とし、ローラー本体222を無目3Dに当接させ、ローラー本体223を第1の障子10に当接させることもできる。
(1)縦框34の見付け面部342に長孔343を形成し、この長孔343に取付軸23を挿通し、この取付軸23をプレート24で抜け止めし、かつ、ねじりばね25で取付軸23を軸としてフレーム21を回転させる方向に付勢しているので、第1の障子10が見込み方向に振れて第1の障子10と無目3Dとの間の寸法が変わっても、ローラー本体222を第1の障子10に当接させ、ローラー本体223を無目3Dに当接させることができる。従って、ローラー本体222、223を、第1の障子10と無目3Dとに常に当接させることができ、第1の障子10が見込み方向に振れても、ローラー22が空回りすることなく第1の障子10と無目3Dとに当接するので、第1の障子10と第2の障子30とを確実に連動できる。
次に、本発明の第2実施形態に係る建具1Aについて、図9に基づいて説明する。
図9は、建具1Aの上部を拡大して示す横断面図である。図9では、第1の障子10は上框11のみ示す。
第2実施形態の連動装置20Aは、切換機構26を備えた点が前記第1実施形態の連動装置20と相違する。その他の構成は、第1実施形態と略同様であるため、切換機構26について説明する。
フック26Aは、その一端が第2の障子30の見込み面部341にねじ部26Bにより回動自在に取り付けられ、他端がフレーム21の支持片部211に係止可能とされる金具である。
そして、フレーム21の支持片部211をフック26Aの他端で係止することで、ローラー22の軸部221を鉛直方向に向けることができる。このため、ローラー22の周面がねじりばね25の付勢に抗して、第1の障子10と無目3Dとの双方から離れている離隔状態(実線で示す位置)となる。
一方、支持片部211からフック26Aを外すと、ねじりばね25の付勢を許容してローラー22の周面が第1の障子10と無目3Dとにそれぞれ当接する当接状態(想像線で示す位置)になる。
(7)連動装置20Aは、ねじりばね25の付勢に抗してローラー22の周面が第1の障子10と無目3Dとの双方から離れている離隔状態と、ねじりばね25の付勢を許容してローラー22の周面が第1の障子10と無目3Dとにそれぞれ当接する当接状態とに切り換える切換機構26を備えている。
このため、第1の障子10の急激な開閉等によってローラー22が第1の障子10に対してスリップし、第1の障子10が第2の障子30に対して必要以上に移動しても、切換機構26によって第1の障子10を第2の障子30に対して正しい位置に戻すことを容易に行える。
特に、フック26Aをフレーム21の支持片部211に係止すれば、作業者はフレーム21を手で保持しながら第1の障子10を移動する必要が無いため、各障子10,30の位置合わせ時の作業性を向上できる。
例えば、前記各実施形態では、ローラー22は軸部221の軸方向に2つのローラー本体222,223が並んで取り付けられる構造としたが、本発明では、ローラー22を1本の円柱状部材から構成するものであってもよい。ただし、前記各実施形態のように2つのローラー本体222,223を軸部221に並べて設ける構成とすれば、ローラー全体の容積を少なくすることができるので、ローラー22に用いる弾性材料の量を少なくすることができる。弾性材料を少なくすることで、ローラー22の製造コストを低いものにできる他、軽量となるので、ローラー22の回転をスムーズに行うことができる。
さらに、前記実施形態では、ねじりばね25の一端部251をプレート24に係止される構成としたが、ねじりばね25の一端部251を第2の障子30の縦框34の内部に係合させる構成としてもよい。
この場合、切換機構26を用いない場合には、2つのローラー本体222,223の周面がそれぞれ無目3Dと上框11との双方に当接し、軸部221が鉛直に延びている状態となる。
一方、第1の障子10が見込み方向に振れて両者の間隔が広がった場合に、軸部221が傾いて、2つのローラー本体222,223の一方が第1の障子10の上框11に当接し、他方が無目3Dに当接する。
また、本発明の建具、前記実施形態の固定障子(第3の障子40)に替えて壁体(面状体)や戸袋が設けられていてもよく、この壁体に略重なって2枚の障子が開放されるような構成や、2枚の障子が戸袋に収納されて開放されるような構成が採用可能である。
従って、上記に開示した形状、材質などを限定した記載は、本発明の理解を容易にするために例示的に記載したものであり、本発明を限定するものではないから、それらの形状、材質などの限定の一部もしくは全部の限定を外した部材の名称での記載は、本発明に含まれるものである。
Claims (5)
- 枠体と、
この枠体にスライド開閉自在に支持された第1の障子および第2の障子の少なくとも2枚の障子と、
前記第1の障子の開閉移動に伴って前記第2の障子を連動させる連動装置とを備え、
前記第2の障子の第1の障子との召合せ部の見込み面部には、見込み方向に沿って長孔が形成され、
前記連動装置は、
前記見込み面部の長孔に回動自在かつ前記長孔の長手方向に移動自在に支持される取付軸と、
この取付軸が取り付けられたフレームと、
このフレームに回転自在に支持され前記取付軸の軸心と直交する回転軸心を有するローラーと、
前記取付軸が挿通されるプレートと、
前記取付軸および前記プレートに係止される付勢部材とを備え、
前記付勢部材は、前記取付軸を回転軸として前記フレームが回転する方向に付勢し、前記ローラーの周面を、前記取付軸を挟んで前記回転軸心に沿った異なる2箇所で、前記第1の障子の当接面と、前記枠体の前記当接面に対向する対向面とにそれぞれ当接させる建具。 - 前記連動装置は、前記付勢部材の付勢に抗して前記ローラーの周面が前記第1の障子と前記枠体との双方から離れている離隔状態と、前記付勢部材の付勢を許容して前記ローラーの周面が前記第1の障子と前記枠体とにそれぞれ当接する当接状態とに切り換える切換機構を備える請求項1に記載の建具。
- 前記切換機構は、前記見込み面部に回動自在に取り付けられ前記フレームに係止されるフックを備えた請求項2に記載の建具。
- 前記第2の障子は、前記見込み面部と前記見込み面部に直交する見付け面部とを有する縦框を備え、
前記プレートには、前記フレームに対して前記見込み面部を挟んで配置され前記取付軸
が挿通される挿通孔が形成され、前記プレートは前記見付け面部に係止され、
前記付勢部材は、
前記プレートに係止される一端部と、
前記取付軸に係止される他端部と、
前記一端部と前記他端部とに接続され前記取付軸を挿通する螺旋部を有するコイル状ばね部材を備えた請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の建具。 - 被取付面部に形成された孔に支持される取付軸と、
この取付軸が取り付けられたフレームと、
このフレームに回転自在に支持され前記取付軸の軸心と直交する回転軸心を有する第1ローラー本体および第2ローラー本体を備えるローラーと、
前記取付軸が挿通されるプレートと、
前記取付軸および前記プレートに係止される付勢部材とを備え、
前記第1ローラー本体および前記第2ローラー本体は、前記取付軸を挟んで前記回転軸心に沿った方向に並んで設けられ、
前記付勢部材は、前記プレートに対して前記フレームを前記取付軸の周方向に沿って付勢する連動装置。
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