JP6041621B2 - センサ及びロボット装置 - Google Patents
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つまり外力に対して磁電変換素子と磁束発生源との相対位置を変化できる構成であればどのような構成を採用してもよい。また、以下ではSUS等の高剛性の部材で弾性体5や筐体12を形成した場合について説明する。SUSを用いた場合は、産業用途のロボット等に搭載されて強い力が加わっても故障することなく力をセンシングできる磁気式力覚センサとなる。
垂直方向成分Fz,Mx,Myを算出するためには、磁石の磁極面の中心に対向して配置された第1の磁電変換素子1a〜1dによって検出された垂直方向成分の磁場を用いる。第1の磁電変換素子1aの変位によって生じる出力変化を信号増幅部8で増幅し、A/D変換器等を有する変換器9を用いてV1aとして検出する。同様に、第1の磁電変換素子1b〜1dについてもV1b〜V1dとする。
Fz=V1a+V1b+V1c+V1d
Mx=(V1a+V1b)−(V1c+V1d)
My=(V1b+V1c)−(V1a+V1d)
Fz, Mx, My は、演算部10で以上のように計算される。Fzは4つの素子の総変化量により算出し、MxはX軸方向に対して平行に配置した素子2組のペアの変化量によって算出し、MyはY軸方向に対して平行に配置した素子2組のペアの変化量により算出することができる。
水平方向成分Fx,Fy,Mzを算出するためには、第1の磁電変換素子の間にそれぞれ配置された第2の磁電変換素子2a〜2dによって検出された水平方向成分の磁場を用いる。第2の磁電変換素子2aの変位によって生じる出力変化を信号増幅部8で増幅し、A/D変換器等からなる変換器9を用いてV2aとして検出する。同様に、第2の磁電変換素子2b〜2dについてもV2b〜V2dとする。
Fx=V2b−V2d
Fy=V2a−V2c
Mz=V1a+V1b+V1c+V1d
Fx, Fy, Mz は、演算部10で以上のように計算される。FxはX軸方向に対して垂直に配置した素子のペアの変化量によって算出し、FyはY軸方向に対して垂直に配置した素子のペアの変化量によって算出し、Mzは4つの素子の総変化量により算出することができる。
図4は、磁気式力覚センサに負荷が加えられていない状態の時、環境温度(℃)の変化に応じて変化する第1の磁電変換素子の出力及び第2の磁電変換素子の出力を示したものである。
あらかじめ磁気式力覚センサに外力が加わっていない状態で第2の磁電変換素子2の出力を参照値として記憶部11に記憶しておく。そして、記憶部11に記憶された参照値(値P1)と、磁気式力覚センサを無負荷の状態にした上で現在の第2の磁電変換素子2とを、所望のシーンで〔=磁気式力覚センサの出力が適正かどうかを検査したいタイミング(シーン)で〕比較する処理を行う。第2の磁電変換素子2は、磁気式力覚センサに対して水平方向に力が加わった場合には、その出力が大きく変化をする一方で、環境温度の変化による出力の変化は比較的小さい。したがって、磁気式力覚センサが無負荷の状態にもかかわらず出力(値P2)が参照値と比べて変化している場合は、温度による出力の変化ではなく、磁束発生源7と第2の磁電変換素子2の距離が変化していることに起因することがわかる。このことから磁気式力覚センサが変形、もしくは故障している可能性を検査することが可能である。
(1)出力−参照値 <閾値
この場合は設定された閾値に対して適正な範囲の出力が生じているため、磁気式力覚センサは引き続き使用可能であることが分かる。
一方、無負荷状態の磁気式力覚センサの第2の磁電変換素子2の出力が異常に大きい場合はこのような関係となる場合がある。この場合、環境温度の変化ではなく、無負荷状態における磁気式力覚センサの歪(=故障)が原因である可能性が高いので、使用不可の判断をすることができる。閾値の大きさに関して、その設定は任意だが、高い検出精度が要求される場合は閾値をより小さくするとよい。また、磁気式力覚センサを接触の有無を検知する場合に用いる場合は、検出精度を低くし、閾値をより高く設定するとよい。第2の磁電変換素子2の出力は、磁気式力覚センサにて力を検出する際に必ず用いられるものであり、ユーザーは所望の通知方法で磁気式力覚センサの使用可否を通知する方法をとることができる。PCに連結されたシステムの一部として磁気式力覚センサをモニタリングしながら用いるのであれば、ユーザーが利用しているPCのディスプレイに、故障のおそれがある磁気式力覚センサが存在していることを通知するアラートを表示しても良い。また、磁気式力覚センサを単体で用いる場合は、上述した故障の怖れがあると判断された場合に磁気式力覚センサに連結された発光素子が点灯する構成をとってもよい。上述の例では参照値と閾値とをそれぞれ設定して比較する例を説明したが、参照値と閾値の和に相当する設定値を定めておいて、検出された出力に対して直接比較して、磁気式力覚センサの使用可否判断を行ってももちろん良い。
以下では磁気式力覚センサをロボット装置に搭載して用いる場合に関して、図面を用いつつ説明する。
図7を用いて、磁気式力覚センサをロボットアームに搭載した場合に好適な参照値の設定例及びセンサの使用可否の判断方法について以下に説明する。前述したようにロボットアーム、磁気式力覚センサ、ロボットハンドを直列に連結したロボット装置の場合、磁気式力覚センサにかならず他の部材の自重が加わるため無負荷の状態とすることは難しい。
ロボットアームの姿勢によってさまざまな方向と大きさの力が磁気式力覚センサに加わり、出力に影響する。図8は、時間にともなって第2の磁電変換素子2の出力がさまざまに変化する様子を示したものである。産業用途のロボット装置の場合、プログラムされた動作に伴ってロボット装置は駆動するため、時間の経過にそって磁気式力覚センサの出力が規則的に変動する。そして、同じ姿勢での動作を反復して繰り返すことが多い。
例えば、先に説明したロボット装置の姿勢(図6)では、ロボットハンドの自重がそのまま磁気式力覚センサの水平方向(X軸の方位)に加わる。ロボット装置はプログラムに従って動作しているため、ある時刻にどのような姿勢をしていることはロボット制御部による演算結果から判断できるので、リアルタイムに計算して新参照値もしくは新閾値とする。
使用可否を判断する姿勢をあらかじめ設定しておき、その姿勢をとるタイミングにおける力覚センサの値を新参照値、新閾値とする。決められた姿勢でしか使用可否を判断できないが、精度は高い。
2(2a〜2d) 第2磁電変換素子
3(3a〜3d) 磁石
4 作用部
5 弾性体
6 磁電変換素子実装基板
7 磁束発生源
8 信号増幅部
9 変換部
10 演算部
11 記憶部
Claims (7)
- 磁束発生源と、第1の磁電変換素子と第2の磁電変換素子とを有するセンサであり、
前記磁束発生源は、第1の磁石と第2の磁石とを少なくとも有しており、
前記第1の磁石の磁極面の第1の磁極と、前記第2の磁石の磁極面の第2の磁極とは、隣り合っており、
前記第1の磁極と、前記第2の磁極とは逆極性であり、
前記第1の磁電変換素子は、前記第1の磁石の前記磁極面の中央部に対向して配置され、
前記第2の磁電変換素子は、前記第1の磁石と前記第2の磁石との境界部に配置され、
前記センサは記憶部と演算部を有し、
前記記憶部には、予め設定された閾値と、前記第2の磁電変換素子の、前記センサに負荷が加わっていない状態で且つ前記センサに外力を受けていない状態での出力値である参照値が記憶され、
前記演算部は、前記第2の磁電変換素子から出力された検出値と、前記参照値と、の差と、前記閾値とを比較することを特徴とするセンサ。 - 前記検出値が前記閾値を超えた場合、アラートを表示することを特徴とする請求項1記載のセンサ。
- センサを搭載したロボットアームと、前記ロボットアームを制御する制御部とを有するロボット装置であって、
前記センサは、
磁束発生源と、第1の磁電変換素子と第2の磁電変換素子とを有するセンサであり、
前記磁束発生源は、第1の磁石と第2の磁石とを少なくとも有しており、
前記第1の磁石の磁極面の第1の磁極と、前記第2の磁石の磁極面の第2の磁極とは、隣り合っており、
前記第1の磁極と、前記第2の磁極とは逆極性であり、
前記第1の磁電変換素子は、前記第1の磁石の前記磁極面の中央部に対向して配置され、
前記第2の磁電変換素子は、前記第1の磁石と前記第2の磁石との境界部に配置され、
前記制御部には、予め設定された閾値と、前記ロボットアームの所定の姿勢の時の前記第2の磁電変換素子の出力値である参照値が記憶され、
前記制御部は、前記第2の磁電変換素子から出力された検出値と、前記参照値と、の差と、前記閾値とを比較することを特徴とするロボット装置。 - 前記検出値が前記閾値を超えた場合、アラートを表示することを特徴とする請求項3記載のロボット装置。
- 前記ロボットアームと、前記センサと、ロボットハンドとが直列に連結されており、前記センサの垂直方向を、前記ロボットアームの自由端と前記ロボットハンドとを結ぶ方向としたとき、前記所定の姿勢は、前記センサに水平方向の負荷が加わらない姿勢とする請求項3または4に記載のロボット装置。
- 前記制御部には、ロボットアームの姿勢もしくはロボットアームの移動によって生じる前記センサに加わる力を減算する補正値を算出する請求項5に記載のロボット装置。
- 前記補正値によって前記参照値を補正することを特徴とする請求項6に記載のロボット装置。
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