JP2004325328A - 多分力検出器 - Google Patents
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Abstract
【課題】作用力間の干渉が小さい単純な構造で、小型化および低コスト化を図ることができ、しかも、組み立てが容易となり、衝撃力に対する信頼性を向上することができる多分力検出器を提供する。
【解決手段】弾性体1と、弾性体1の内部に設けられた永久磁石2と、弾性体1とは非接触に設けられた複数のホール素子6a〜6dと、ホール素子6a〜6dの出力に基づいて弾性体1への作用力Fを算出するMPUシステムとを備える。
【選択図】 図1
【解決手段】弾性体1と、弾性体1の内部に設けられた永久磁石2と、弾性体1とは非接触に設けられた複数のホール素子6a〜6dと、ホール素子6a〜6dの出力に基づいて弾性体1への作用力Fを算出するMPUシステムとを備える。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、複数の分力を検出する多分力検出器に係り、特に、作用力間の干渉が小さい単純な構造で、小型化および低コスト化を図ることができ、しかも、組み立てが容易となり、衝撃力に対する信頼性を向上することができる多分力検出器に関する。
【0002】
【従来の技術】
産業機器やロボットなどの構造体において、各関節、各部(例えば、歩行ロボットの足部)が受ける力やモーメントなどの複合力を検出するのに多分力検出器が用いられている。
従来の多分力検出器としては、例えば、特許文献1に開示されている多分力ロードセル(以下、第1の従来例という。)、または特許文献3に開示されている多分力検出器(以下、第2の従来例という。)があった。
【0003】
まず、第1の従来例の構造を図9を参照しながら説明する。
図9は、従来の多分力ロードセルの構造を示す斜視図である。
第1の従来例は、図9に示すように、荷重受部に作用した作用力を起歪部に導き、起歪部に貼り付けた歪ゲージの抵抗変化から荷重受部への作用力を算出するようになっている。図9の符号51〜82が歪ゲージ(ストレインゲージ)で、これを独特の梁構造の特定の場所に貼り付ける。
【0004】
次に、第2の従来例の構造を図10ないし図12を参照しながら説明する。
図10は、従来の多分力検出器の外観を示す図である。
図11は、従来の多分力検出器の構造を示す分解斜視図である。
第2の従来例は、起歪部に発生した歪や変位を磁気的に検出する方式としてホール素子を利用したものである。
【0005】
図10および図11に示すように、作用力は、荷重受部2にかかり、荷重受部2と一体に構成されたリング4に伝えられる。リング4の外周辺には、永久磁石5(5a〜5d)および板バネ6(6a〜6d)が設けられている。外部固定リング9の内周辺には、ホール素子10(10a〜10d)が設置されている。外部固定リング9とリング4は、板バネ6の弾性力で接続されている。
【0006】
荷重受部2への作用力は、リング4に伝わって永久磁石5の変位となり、永久磁石5に対向して設置されたホール素子10によりその変位が電圧に変換される。
図12は、永久磁石5a〜5dとホール素子10a〜10dの対応関係を示す図である。
図12に示すように、永久磁石5a〜5dとホール素子10a〜10dは、特定の位置関係にあり、その箇所の変位とホール素子検出電圧に比例関係が成り立つことを利用する。また、特定箇所の複数変位情報を利用して作用力を算出する。
【0007】
【特許文献1】
特開昭57−169643号公報(第7〜8頁、第9図)
【特許文献2】
特開昭60‐177232号公報(第1図〜第3図)
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、特許文献1記載の発明にあっては、荷重受部に作用する複数の分力(偶力)が1つの歪ゲージに異なる歪として寄与するため、歪ゲージの出力値において複数の分力の干渉効果を少なくするために梁の構造、歪ゲージを貼る場所に工夫が必要となり、構造が複雑化している。また、作用力に対応する弾性限界が高いこと、引張り強さが大きいことなどが必要なため、材質、大きさに制約がでてき、検出器が大型および高コストとなる。さらに、歪ゲージの貼り方も、起歪体の種類や検出する歪の大きさに応じて調整しなければならず、専用の技術が必要となるなどの問題がある。
【0009】
また、特許文献2記載の発明にあっては、荷重受部への作用力を構造体の剛性を利用して特定位置での変位とし、それを対向した永久磁石とホール素子の組で検出するもので、複数の変位検出が必要なため、部品点数が多くなり、コストおよび組み立ての点で問題であり、また、荷重受部への作用力を永久磁石設置場所まで伝えるための構造が必要で、検出器全体の小型化がしにくい。さらに、荷重受部および変位部と固定部との間が板バネで接続されているが、歩行ロボットの足部のような衝撃的な力を受ける場所で使用するには機械的な信頼性の点で問題がある。
【0010】
そこで、本発明は、このような従来の技術の有する未解決の課題に着目してなされたものであって、作用力間の干渉が小さい単純な構造で、小型化および低コスト化を図ることができ、しかも、組み立てが容易となり、衝撃力に対する信頼性を向上することができる多分力検出器を提供することを目的としている。
【0011】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために、本発明に係る請求項1記載の多分力検出器は、弾性体と、前記弾性体の変位を電気的変位に変換する変位変換手段と、前記変位変換手段の出力に基づいて前記弾性体への作用力を算出する作用力算出手段とを備える多分力検出器であって、前記変位変換手段は、前記弾性体の変位領域に設けられた磁性体と、前記弾性体とは非接触に設けられた複数の磁電変換素子とを有する。
【0012】
このような構成であれば、弾性体に作用力が加わると、その作用力により弾性体が変位する。このとき、弾性体の変位領域に磁性体が設けられているので、弾性体の変位に伴って磁性体が変位する。磁性体が変位すると、磁電変換素子近傍の磁束密度が変化するので、複数の磁電変換素子により、磁束密度の変化が検出されることにより磁性体の変位(すなわち、弾性体の変位)が電気的変位に変換される。
【0013】
ここで、磁性体は、弾性体の変位領域に設けるのであればどこに設けてもよく、例えば、弾性体の内部に設けてもよいし、弾性体の外側に設けてもよい。
さらに、本発明に係る請求項2記載の多分力検出器は、請求項1記載の多分力検出器において、さらに、前記弾性体を支持する弾性体支持部と、前記磁電変換素子を支持しかつ前記弾性体支持部の前記弾性体支持面とは反対側に設けられた磁電変換素子支持部とを備え、前記磁電変換素子は、前記弾性体支持部または前記磁電変換素子支持部を介して前記弾性体とは非接触に設けられている。
【0014】
このような構成であれば、磁電変換素子が、弾性体支持部または磁電変換素子支持部を介して弾性体とは非接触に設けられているので、磁電変換素子と弾性体とを比較的確実に隔離することができる。したがって、異なる複数の方向から加わる作用力間の干渉および作用力が磁電変換素子に直接加わる可能性をさらに低減することができる。
【0015】
さらに、本発明に係る請求項3記載の多分力検出器は、請求項2記載の多分力検出器において、前記磁性体の磁気モーメントの方向が前記磁電変換素子支持部の前記磁電変換素子の配置面に対して直交またはほぼ直交するように前記弾性体の内部に前記磁性体を設け、前記磁性体から前記配置面に向かって前記磁気モーメントの方向に伸びる直線が前記配置面と交差する点を中心点として、前記中心点を通過する互いに直交する2つの軸のうち一方の軸上に前記中心点を対称として2つの前記磁電変換素子を配置し、前記2つの軸のうち他方の軸上に前記中心点を対称として2つの前記磁電変換素子を配置した。
【0016】
このような構成であれば、弾性体に作用力が加わり磁性体が配置面に対して直交する方向に変位すると、各磁電変換素子からはいずれも、磁性体の変位量に比例した電気的変位が得られる。また、弾性体に作用力が加わり磁性体が配置面の2つの軸のうち一方の軸方向に変位すると、当該一方の軸上に配置された2つの磁電変換素子のうち一方のものからは、磁性体の変位量に比例した電気的変位が得られ、当該一方の軸上に配置された2つの磁電変換素子のうち他方のものからは、磁性体の変位量に反比例した電気的変位が得られる。また、弾性体に作用力が加わり磁性体が配置面の2つの軸のうち他方の軸方向に変位すると、当該他方の軸上に配置された2つの磁電変換素子のうち一方のものからは、磁性体の変位量に比例した電気的変位が得られ、当該他方の軸上に配置された2つの磁電変換素子のうち他方のものからは、磁性体の変位量に反比例した電気的変位が得られる。
したがって、磁性体の変位のうち、配置面に対して直交する方向の変位および配置面の2つの軸方向の変位を比較的確実に検出することができる。
【0017】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の第1の実施の形態を図面を参照しながら説明する。図1ないし図6は、本発明に係る多分力検出器の第1の実施の形態を示す図である。
本実施の形態は、本発明に係る多分力検出器を、図1に示すように、永久磁石2およびホール素子6a〜6dを用いて弾性体1への作用力Fを検出する場合について適用したものである。
【0018】
図1は、本発明に係る多分力検出器100の構造を示す図である。同図(a)は、多分力検出器100を上方からみた上面図であり、同図(b)は、同図(a)のX軸に沿った側断面図である。
図1において、弾性体支持部4の上部には、弾性体1が設置されており、弾性体1の内部には、永久磁石2が設けられている。永久磁石2は、その磁気モーメントの方向が弾性体支持部4と弾性体1との設置面(以下、単に設置面という。)に対して直交するように設けられている。ここで、設置面に対して直交する方向の軸をZ軸と定義する。
【0019】
弾性体支持部4には、貫通孔4a,4bおよび図示しない貫通孔4c,4dがZ軸方向に形成されている。貫通孔4a,4bは、永久磁石2からZ軸方向に伸びる直線が設置面と交差する点を中心点Oとして、中心点Oを通過する互いに直交する2つの軸のうち一方の軸上に中心点Oを対称として形成されている。貫通孔4c,4dは、中心点Oを通過する互いに直交する2つの軸のうち他方の軸上に中心点Oを対称として形成されている。ここで、直交する2つの軸のうち貫通孔4a,4bが形成されている軸をX軸と定義し、直交する2つの軸のうち貫通孔4c,4dが形成されている軸をY軸と定義する。
【0020】
磁電変換素子支持部5の上部には、貫通孔4a,4bの径および位置に対応した凸部5a,5bと、貫通孔4c,4dの径および位置に対応した図示しない凸部5c,5dとが形成されている。そして、磁電変換素子支持部5は、貫通孔4a〜4dに凸部5a〜5dを填め込んで弾性体支持部4の下方に接合している。凸部5a,5bの内側にはホール素子6a,6bが、凸部5c,5dの内側にはホール素子6c,6dがそれぞれ設けられている。
【0021】
このような配置構造をとることにより、ホール素子6a,6bは、磁電変換素子支持部5を介して弾性体1とは非接触にかつ一定の距離をもって設けられるとともに中心点Oを対称としてX軸上に配置される。同様に、ホール素子6c,6dは、磁電変換素子支持部5を介して弾性体1とは非接触にかつ一定の距離をもって設けられるとともに中心点Oを対称としてY軸上に配置される。
【0022】
弾性体支持部4および磁電変換素子支持部5は、止め具10により固定部7上に固定されている。弾性体1の上部には、荷重受部3が設けられ、止め具8により荷重源と接続する役割および弾性体1の保護の役割を果たす。
磁電変換素子支持部5の下部には、ホール素子6a〜6dからの出力信号を処理する信号処理部9が設けられている。
【0023】
信号処理部9は、図示しない外部のMPUシステムに接続し、ホール素子6a〜6dからの出力信号に対して増幅検出制御を行い、増幅した出力信号をMPUシステムに出力するようになっている。ホール素子6a〜6dで検出される起電圧の変化は微小であるため、ホール素子6a〜6dからの出力信号は、信号処理部9により増幅される。信号処理部9では、数1000倍〜数万倍程度の増幅が必要となる。また、ノイズを低減するために低域通過フィルタのカットオフ周波数を低く調整することが必要となる場合がある。
【0024】
MPUシステムは、信号処理部9からの出力信号をA/D変換し、得られたディジタルデータに基づいて演算処理を行い、弾性体1への作用力Fを算出するようになっている。
次に、弾性体1の材質および大きさ、並びに永久磁石2の材質、大きさおよび位置関係を説明する。
【0025】
永久磁石2は、例えば、数mm角の小さな角型ネオジウム磁石で、表面磁束密度が約0.2テスラのものである。弾性体1は、例えば、ゴムである。
図2は、永久磁石2とホール素子6a〜6dとの位置関係を示す図である。
永久磁石2とホール素子6a〜6dの位置関係は、磁場シミュレーションにより決定する。永久磁石2は、図2に示すように、Z軸方向の磁気モーメントをもち、X−Y平面の原点(中心点O)の上方、Z軸方向の位置に配置される。ホール素子6a,6bは、原点対称で×軸上に、ホール素子6c,6dは、原点対称でY軸上にそれぞれ配置される。ホール素子6a〜6dの感磁面は、Z軸方向を向き、Z軸方向の磁場Hzを検出するようになっている。
【0026】
図3は、永久磁石2がホール素子6a〜6dの下方に形成する磁束密度の分布を等高線表示した図である。
図3において、直方体が永久磁石2であり、永久磁石2の下部中心に向かって対称性をもち、Z軸方向の磁場が強くなっているのが分かる。
次に、本発明の実施の形態の動作を図4ないし図6を参照しながら説明する。
【0027】
荷重受部3に作用力Fが加わると、弾性体1は、作用力Fに比例した内部歪を発生し、内部に設けられた永久磁石2も、その軸方向で作用力Fに比例した変位を示す。ここで、作用力Fの×軸方向成分、Y軸方向成分およびZ軸方向成分をそれぞれFx、Fy、Fzと定義する。
図4は、永久磁石2がZ軸方向に変位した場合に、永久磁石2の変位量に対するホール素子6a〜6dの各配置位置での磁束密度の変位量を示すグラフである。
【0028】
永久磁石2がZ軸方向に変位すると、ホール素子6a〜6dの各配置位置ではいずれも、図4に示すように、永久磁石2の変位量に比例して磁束密度が変化していることが分かる。したがって、各ホール素子6a〜6dからはいずれも、磁束密度の変位量に比例した電圧の信号が出力される。
図5は、永久磁石2がX軸方向に変位した場合に、永久磁石2の変位量に対するホール素子6a〜6dの各配置位置での磁束密度の変位量を示すグラフである。
【0029】
永久磁石2がX軸方向に変位すると、ホール素子6aの配置位置では、図5に示すように、永久磁石2の変位量に比例して磁束密度が変化し、ホール素子6bの配置位置では、永久磁石2の変位量に反比例して磁束密度が変化していることが分かる。また、ホール素子6c,6dの各配置位置ではいずれも、永久磁石2の変位量にかかわらず磁束密度の変化がないことが分かる。したがって、ホール素子6aからは、磁束密度の変位量に比例した電圧の信号が出力されるとともに、ホール素子6bからは、磁束密度の変位量に反比例した電圧の信号が出力される。
【0030】
図6は、永久磁石2がY軸方向に変位した場合に、永久磁石2の変位量に対するホール素子6a〜6dの各配置位置での磁束密度の変位量を示すグラフである。
永久磁石2がY軸方向に変位すると、ホール素子6cの配置位置では、図6に示すように、永久磁石2の変位量に比例して磁束密度が変化し、ホール素子6dの配置位置では、永久磁石2の変位量に反比例して磁束密度が変化していることが分かる。また、ホール素子6a,6bの各配置位置ではいずれも、永久磁石2の変位量にかかわらず磁束密度の変化がないことが分かる。したがって、ホール素子6cからは、磁束密度の変位量に比例した電圧の信号が出力されるとともに、ホール素子6dからは、磁束密度の変位量に反比例した電圧の信号が出力される。
【0031】
本実施の形態のように、永久磁石2およびホール素子6a〜6dを配置することにより、比較的大きな変位の範囲で磁束密度変化が線形性を示すことが分かり、この変位の範囲で使用する弾性体1の特性を選択することができる。
MPUシステムでは、図4ないし図6に示す磁束密度変化曲線を用い、下式(1)〜(3)により作用力Fを算出することができる。
【0032】
ΔVHz(A)=κ11×Fx+κ12×Fy+κ13×Fz …(1)
ΔVHz(B)=κ21×Fx+κ22×Fy+κ23×Fz …(2)
ΔVHz(C)=κ31×Fx+κ32×Fy+κ33×Fz …(3)
【0033】
ここで、ΔVHz(A)は、ホール素子6aの出力電圧変化量であって、作用力Fが加わっていないときのホール素子6aの起電圧と、作用力Fが加わって永久磁石2が変位したときのホール素子6aの起電圧との差である。ΔVHz(B)は、ホール素子6bの出力電圧変化量であって、作用力Fが加わっていないときのホール素子6bの起電圧と、作用力Fが加わって永久磁石2が変位したときのホール素子6bの起電圧との差である。ΔVHz(C)は、ホール素子6cの出力電圧変化量であって、作用力Fが加わっていないときのホール素子6cの起電圧と、作用力Fが加わって永久磁石2が変位したときのホール素子6cの起電圧との差である。
【0034】
また、κ11、κ21およびκ31は、×軸方向に作用力Fが加わった場合においてホール素子6a〜6cの各配置位置での磁束密度変化曲線の傾きを示す比例係数である。κ12、κ22およびκ32は、Y軸方向に作用力Fが加わった場合においてホール素子6a〜6cの各配置位置での磁束密度変化曲線の傾きを示す比例係数である。κ13、κ23およびκ33は、Z軸方向に作用力Fが加わった場合においてホール素子6a〜6cの各配置位置での磁束密度変化曲線の傾きを示す比例係数である。
【0035】
MPUシステムでは、最初に、これらの比例係数を決定する。
各軸方向の作用力Fの範囲から、数点を選んでその軸方向に作用力Fをかけて、そのときの出力電圧変化量を検出し、検出結果に基づいてその傾きを求める。例えば、×軸方向に対して、複数回、異なる大きさの作用力Fx(i)をかけて、各ホール素子6a〜6cにより、そのときの出力電圧変化量ΔVHz(A),ΔVHz(B),ΔVHz(C)を検出する。ホール素子6aについては、作用力Fx(i)対出力電圧変化量ΔVHz(A)のグラフを作り、その傾きを求めてκ11とする。ホール素子6bについては、作用力Fx(i)対出力電圧変化量ΔVHz(B)のグラフを作り、その傾きを求めてκ21とする。ホール素子6cについては、作用力Fx(i)対出力電圧変化量ΔVHz(C)のグラフを作り、その傾きを求めてκ31とする。これと同様の処理をY軸およびZ軸に対しても行い、他の比例係数κ12、κ22、κ32、κ13、κ23およびκ33が決定される。
【0036】
MPUシステムでは、これらの比例係数が決定されると、上式(1)〜(3)の連立方程式より作用力Fx、Fy、Fzを算出することができる。作用力Fは、作用力Fx、Fy、Fzをベクトル合成すれば算出することができる。
このようにして、本実施の形態では、弾性体1と、弾性体1の内部に設けられた永久磁石2と、弾性体1とは非接触に設けられた複数のホール素子6a〜6dと、ホール素子6a〜6dの出力に基づいて弾性体1への作用力Fを算出するMPUシステムとを備える。
【0037】
これにより、弾性体1の内部に永久磁石2を設け、ホール素子6a〜6dにより弾性体1の変位を電気的変位に変換することにより、弾性体1とは離隔した場所でその電気的変位を検出することができるので、従来に比して、多分力検出器100を比較的単純な構造とすることができるとともに、異なる複数の方向から加わる作用力Fx、Fy、Fz間の干渉を低減することができる。また、作用力Fの大小によらず材質や大きさを比較的幅広く選択することができるので、従来に比して、小型化および低コスト化を図ることができる。さらに、永久磁石2を少なくとも一つ設ければよいので、部品点数を少なくすることができ、従来に比して、小型化および低コスト化を図ることができるとともに組み立てが比較的容易となる。さらに、弾性体1とは非接触にホール素子6a〜6dを設けたことにより、ホール素子6a〜6dに作用力Fが直接加わる可能性を低減することができるので、従来に比して、衝撃力に対する信頼性を比較的向上することができる。
【0038】
さらに、本実施の形態では、ホール素子6a〜6dは、磁電変換素子支持部5を介して弾性体1とは非接触に設けられている。
これにより、ホール素子6a〜6dと弾性体1とを比較的確実に隔離することができる。したがって、異なる複数の方向から加わる作用力Fx、Fy、Fz間の干渉をさらに低減することができる。また、ホール素子6a〜6dに作用力Fが直接加わる可能性をさらに低減することができるので、衝撃力に対する信頼性をさらに向上することができる。
【0039】
さらに、本実施の形態では、永久磁石2の磁気モーメントの方向が設置面に対して直交するように弾性体1の内部に永久磁石2を設け、X軸上に中心点Oを対称として2つのホール素子6a,6bを配置し、Y軸上に中心点Oを対称として2つのホール素子6c,6dを配置した。
これにより、永久磁石2の変位のうちX軸方向、Y軸方向およびZ軸方向の変位を比較的確実に検出することができる。
【0040】
上記第1の実施の形態において、永久磁石2は、請求項1または3記載の磁性体に対応し、ホール素子6a〜6dは、請求項1ないし3記載の磁電変換素子に対応し、永久磁石2およびホール素子6a〜6dは、請求項1記載の変位変換手段に対応し、MPUシステムは、請求項1記載の作用力算出手段に対応している。また、設置面は、請求項3記載の配置面に対応している。
【0041】
次に、本発明の第2の実施の形態を図面を参照しながら説明する。図7および図8は、本発明に係る多分力検出器の第2の実施の形態を示す図である。
本実施の形態は、本発明に係る多分力検出器を、図7に示すように、ソフトフェライト12および半導体磁気抵抗素子11a〜11dを用いて弾性体1への作用力Fを検出する場合について適用したものである。
【0042】
図7は、本発明に係る多分力検出器200の構造を示す図である。同図(a)は、多分力検出器200を上方からみた上面図であり、同図(b)は、同図(a)のX軸に沿った側断面図である。
図7において、弾性体支持部4の上部には、弾性体1が設置されており、弾性体1の内部には、ソフトフェライト12が設けられている。ソフトフェライト12と半導体磁気抵抗素子11a〜11dの位置関係は、磁場シミュレーションにより決定する。
【0043】
弾性体支持部4には、貫通孔4eがZ軸方向に形成されている。
磁電変換素子支持部5の上部には、貫通孔4eの径に対応した永久磁石13が設置されている。永久磁石13の上部には、絶縁体を介して半導体磁気抵抗素子11a〜11dが配置されている。そして、永久磁石13は、貫通孔4eに填め込まれて弾性体1を臨んで弾性体1の下方に配置されている。
【0044】
半導体磁気抵抗素子11a〜11dは、上記第1の実施の形態におけるホール素子6a〜6dと同様の位置に配置されている。したがって、半導体磁気抵抗素子11a,11bは、弾性体1とは非接触にかつ一定の距離をもって設けられるとともに中心点Oを対称としてX軸上に配置される。同様に、半導体磁気抵抗素子11c,11dは、弾性体1とは非接触にかつ一定の距離をもって設けられるとともに中心点Oを対称としてY軸上に配置される。また、半導体磁気抵抗素子11a〜11dには、永久磁石13により常に一定の磁気バイアスがかけられている。ここで、永久磁石13は、例えば、サマリウム・コバルト磁石で数mm角のサイズである。また、半導体磁気抵抗素子11a〜11dの感度は、永久磁石13の磁気バイアスがある程度以上大きい必要があり、例えば、0.2テスラ以上である。
【0045】
弾性体支持部4および磁電変換素子支持部5は、止め具10により固定部7上に固定されている。弾性体1の上部には、荷重受部3が設けられ、止め具8により荷重源と接続する役割および弾性体1の保護の役割を果たす。
磁電変換素子支持部5には、半導体磁気抵抗素子11a〜11dからなる回路の出力信号を処理する信号処理部14が設けられている。
【0046】
図8は、半導体磁気抵抗素子11a〜11dからなる回路を示す回路図である。
図8において、VDD、VSSは、それぞれ電源電圧とグランドである。電圧の抵抗分割の形で、出力信号が作られる。半導体磁気抵抗素子11a〜11d(MR素子)が永久磁石13の上部に設置され、他の抵抗素子は、信号処理部14上に設けられる。
【0047】
信号処理部14は、MPUシステムに接続し、信号増幅およびノイズのフィルタリングを行う点については、上記第1の実施の形態における信号処理部9と同様であるが、ホール素子6a〜6dの出力が差動出力であったのに対して、半導体磁気抵抗素子11a〜11dからの出力がシングル出力であるため、この信号を受ける回路部分が異なる。
【0048】
MPUシステムは、信号処理部14からの出力信号をA/D変換し、得られたディジタルデータに基づいて演算処理を行い、弾性体1への作用力Fを算出するようになっている。
次に、本実施の形態の動作を説明する。
荷重受部3への作用力Fによりソフトフェライト12が作用力Fの方向に変位することは、上記第1の実施の形態と同様である。この変位の際に永久磁石13の作る磁場が変化し、半導体磁気抵抗素子11a〜11dの各配置位置での磁束密度が変化する。この変化により半導体磁気抵抗素子11a〜11dの抵抗が変化し、その出力電圧が変化する。この出力電圧の変化は、磁束密度の変化量に比例し、ソフトフェライト12の変位量に比例する。
【0049】
半導体磁気抵抗素子11a〜11dの出力電圧の変化は、ソフトフェライト12の変位に対して図4ないし図6と相似のグラフとなる。したがって、上記第1の実施の形態と同様に、各比例係数を決定し、上式(1)〜(3)の連立方程式により作用力Fを算出することができる。
このようにして、本実施の形態では、弾性体1と、弾性体1の内部に設けられたソフトフェライト12と、弾性体1とは非接触に設けられた複数の半導体磁気抵抗素子11a〜11dと、半導体磁気抵抗素子11a〜11dの出力に基づいて弾性体1への作用力Fを算出するMPUシステムとを備える。
【0050】
これにより、弾性体1の内部にソフトフェライト12を設け、半導体磁気抵抗素子11a〜11dにより弾性体1の変位を電気的変位に変換することにより、弾性体1とは離隔した場所でその電気的変位を検出することができるので、従来に比して、多分力検出器200を比較的単純な構造とすることができるとともに、異なる複数の方向から加わる作用力Fx、Fy、Fz間の干渉を低減することができる。また、作用力Fの大小によらず材質や大きさを比較的幅広く選択することができるので、従来に比して、小型化および低コスト化を図ることができる。さらに、ソフトフェライト12を少なくとも一つ設ければよいので、部品点数を少なくすることができ、従来に比して、小型化および低コスト化を図ることができるとともに組み立てが比較的容易となる。さらに、弾性体1とは非接触に半導体磁気抵抗素子11a〜11dを設けたことにより、半導体磁気抵抗素子11a〜11dに作用力Fが直接加わる可能性を低減することができるので、従来に比して、衝撃力に対する信頼性を比較的向上することができる。
【0051】
上記第2の実施の形態において、ソフトフェライト12は、請求項1記載の磁性体に対応し、半導体磁気抵抗素子11a〜11dは、請求項1記載の磁電変換素子に対応し、ソフトフェライト12および半導体磁気抵抗素子11a〜11dは、請求項1記載の変位変換手段に対応している。また、MPUシステムは、請求項1記載の作用力算出手段に対応している。
【0052】
なお、上記第1の実施の形態においては、4つのホール素子6a〜6dを設けて構成したが、これに限らず、作用力Fを求めるには3つのホール素子で足りる。上記第1の実施の形態のように、4つのホール素子6a〜6dを用いて作用力Fを求める場合は、異なる3つのホール素子の組((6a,6b,6c)、(6a,6b,6d)、(6b,6c,6d))を利用してそれぞれ作用力Fを算出するようにすれば、それらのバラツキを平均化したり、何らかの非線形性が現れることを確認したりすることが可能となるとなるので、作用力Fの検出精度を比較的向上することができる。このことは、上記第2の実施の形態についても同様である。
【0053】
また、上記第1および第2の実施の形態においては、弾性体1として各種の材料が利用可能であるが、内部構造に不均一性があると、作用力Fx、Fy、Fz間で干渉効果が発生するので、均一な材質のものが好ましい。
また、上記第1および第2の実施の形態においては、比例係数κ12、κ22、κ32などを求める際には、弾性体1の不均一性を考慮して、グラフで得た傾きを補正し、測定値を補正する効果を持たせることも可能である。また、作用力Fの範囲で、異なる係数を使い、検出する作用力Fの精度を上げることも可能である。
【0054】
また、上記第1の実施の形態においては、MPUシステムで作用力Fを算出するように構成したが、これに限らず、処理速度を上げるために、専用のハードウェア回路を信号処理部9に備え、信号処理部9で作用力Fを算出するように構成することもできる。
また、上記第2の実施の形態において、永久磁石13は、例えば、ネオジウム磁石でもアルニコ(登録商標)磁石でもよいが、多分力検出器200の全体構造を小型化するためには、より強力な磁石が好ましい。
【0055】
また、上記第2の実施の形態においては、磁性材料としてソフトフェライト12以外にも各種のものが利用可能であるが、変位による磁束密度の変化が大きくなるように透磁率の大きいものが好ましい。
また、上記第2の実施の形態においては、磁電変換素子として半導体磁気抵抗素子11a〜11dを用いているが、弾性体1中にソフトフェライト12を用い、バイアス磁石を利用する場合には、磁電変換素子としてホール素子を利用することも可能である。
【0056】
また、上記第2の実施の形態においては、MPUシステムで作用力Fを算出するように構成したが、これに限らず、処理速度を上げるために、専用のハードウェア回路を信号処理部14に備え、信号処理部14で作用力Fを算出するように構成することもできる。
また、上記第1の実施の形態においては、本発明に係る多分力検出器を、図1に示すように、永久磁石2およびホール素子6a〜6dを用いて弾性体1への作用力Fを検出する場合について適用したが、これに限らず、本発明の主旨を逸脱しない範囲で他の場合にも適用可能である。
【0057】
また、上記第2の実施の形態においては、本発明に係る多分力検出器を、図7に示すように、ソフトフェライト12および半導体磁気抵抗素子11a〜11dを用いて弾性体1への作用力Fを検出する場合について適用したが、これに限らず、本発明の主旨を逸脱しない範囲で他の場合にも適用可能である。
【0058】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明に係る請求項1ないし3記載の多分力検出器によれば、弾性体の変位領域に磁性体を設け、磁電変換素子により弾性体の変位を電気的変位に変換することにより、弾性体とは離隔した場所でその電気的変位を検出することができるので、従来に比して、検出器を比較的単純な構造とすることができるとともに、異なる複数の方向から加わる作用力間の干渉を低減することができるという効果が得られる。また、作用力の大小によらず材質や大きさを比較的幅広く選択することができるので、従来に比して、小型化および低コスト化を図ることができるという効果も得られる。さらに、磁性体を少なくとも一つ設ければよいので、部品点数を少なくすることができ、従来に比して、小型化および低コスト化を図ることができるとともに組み立てが比較的容易となるという効果も得られる。さらに、弾性体とは非接触に磁電変換素子を設けたことにより、作用力が磁電変換素子に直接加わる可能性を低減することができるので、従来に比して、衝撃力に対する信頼性を比較的向上することができるという効果も得られる。
【0059】
さらに、本発明に係る請求項2または3記載の多分力検出器によれば、磁電変換素子が、弾性体支持部または磁電変換素子支持部を介して弾性体とは非接触に設けられているので、磁電変換素子と弾性体とを比較的確実に隔離することができる。したがって、異なる複数の方向から加わる作用力間の干渉をさらに低減することができるという効果も得られる。また、作用力が磁電変換素子に直接加わる可能性をさらに低減することができるので、衝撃力に対する信頼性をさらに向上することができるという効果も得られる。
さらに、本発明に係る請求項3記載の多分力検出器によれば、磁性体の変位のうち、配置面に対して直交する方向の変位および配置面の2つの軸方向の変位を比較的確実に検出することができるという効果も得られる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る多分力検出器100の構造を示す図である。
【図2】永久磁石2とホール素子6a〜6dとの位置関係を示す図である。
【図3】永久磁石2がホール素子6a〜6dの下方に形成する磁束密度の分布を等高線表示した図である。
【図4】永久磁石2がZ軸方向に変位した場合に、永久磁石2の変位量に対するホール素子6a〜6dの各配置位置での磁束密度の変位量を示すグラフである。
【図5】永久磁石2がX軸方向に変位した場合に、永久磁石2の変位量に対するホール素子6a〜6dの各配置位置での磁束密度の変位量を示すグラフである。
【図6】永久磁石2がY軸方向に変位した場合に、永久磁石2の変位量に対するホール素子6a〜6dの各配置位置での磁束密度の変位量を示すグラフである。
【図7】本発明に係る多分力検出器200の構造を示す図である。
【図8】半導体磁気抵抗素子11a〜11dからなる回路を示す回路図である。
【図9】従来の多分力ロードセルの構造を示す斜視図である。
【図10】従来の多分力検出器の外観を示す図である。
【図11】従来の多分力検出器の構造を示す分解斜視図である。
【図12】永久磁石5a〜5dとホール素子10a〜10dの対応関係を示す図である。
【符号の説明】
100,200 多分力検出器
1 弾性体
2,13 永久磁石
3 荷重受部
4 弾性体支持部
4a〜4e 貫通孔
5 磁電変換素子支持部
5a〜5d 凸部
6a〜6d ホール素子
7 固定部
8,10 止め具
9,14 信号処理部
11a〜11d 半導体磁気抵抗素子
12 ソフトフェライト
【発明の属する技術分野】
本発明は、複数の分力を検出する多分力検出器に係り、特に、作用力間の干渉が小さい単純な構造で、小型化および低コスト化を図ることができ、しかも、組み立てが容易となり、衝撃力に対する信頼性を向上することができる多分力検出器に関する。
【0002】
【従来の技術】
産業機器やロボットなどの構造体において、各関節、各部(例えば、歩行ロボットの足部)が受ける力やモーメントなどの複合力を検出するのに多分力検出器が用いられている。
従来の多分力検出器としては、例えば、特許文献1に開示されている多分力ロードセル(以下、第1の従来例という。)、または特許文献3に開示されている多分力検出器(以下、第2の従来例という。)があった。
【0003】
まず、第1の従来例の構造を図9を参照しながら説明する。
図9は、従来の多分力ロードセルの構造を示す斜視図である。
第1の従来例は、図9に示すように、荷重受部に作用した作用力を起歪部に導き、起歪部に貼り付けた歪ゲージの抵抗変化から荷重受部への作用力を算出するようになっている。図9の符号51〜82が歪ゲージ(ストレインゲージ)で、これを独特の梁構造の特定の場所に貼り付ける。
【0004】
次に、第2の従来例の構造を図10ないし図12を参照しながら説明する。
図10は、従来の多分力検出器の外観を示す図である。
図11は、従来の多分力検出器の構造を示す分解斜視図である。
第2の従来例は、起歪部に発生した歪や変位を磁気的に検出する方式としてホール素子を利用したものである。
【0005】
図10および図11に示すように、作用力は、荷重受部2にかかり、荷重受部2と一体に構成されたリング4に伝えられる。リング4の外周辺には、永久磁石5(5a〜5d)および板バネ6(6a〜6d)が設けられている。外部固定リング9の内周辺には、ホール素子10(10a〜10d)が設置されている。外部固定リング9とリング4は、板バネ6の弾性力で接続されている。
【0006】
荷重受部2への作用力は、リング4に伝わって永久磁石5の変位となり、永久磁石5に対向して設置されたホール素子10によりその変位が電圧に変換される。
図12は、永久磁石5a〜5dとホール素子10a〜10dの対応関係を示す図である。
図12に示すように、永久磁石5a〜5dとホール素子10a〜10dは、特定の位置関係にあり、その箇所の変位とホール素子検出電圧に比例関係が成り立つことを利用する。また、特定箇所の複数変位情報を利用して作用力を算出する。
【0007】
【特許文献1】
特開昭57−169643号公報(第7〜8頁、第9図)
【特許文献2】
特開昭60‐177232号公報(第1図〜第3図)
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、特許文献1記載の発明にあっては、荷重受部に作用する複数の分力(偶力)が1つの歪ゲージに異なる歪として寄与するため、歪ゲージの出力値において複数の分力の干渉効果を少なくするために梁の構造、歪ゲージを貼る場所に工夫が必要となり、構造が複雑化している。また、作用力に対応する弾性限界が高いこと、引張り強さが大きいことなどが必要なため、材質、大きさに制約がでてき、検出器が大型および高コストとなる。さらに、歪ゲージの貼り方も、起歪体の種類や検出する歪の大きさに応じて調整しなければならず、専用の技術が必要となるなどの問題がある。
【0009】
また、特許文献2記載の発明にあっては、荷重受部への作用力を構造体の剛性を利用して特定位置での変位とし、それを対向した永久磁石とホール素子の組で検出するもので、複数の変位検出が必要なため、部品点数が多くなり、コストおよび組み立ての点で問題であり、また、荷重受部への作用力を永久磁石設置場所まで伝えるための構造が必要で、検出器全体の小型化がしにくい。さらに、荷重受部および変位部と固定部との間が板バネで接続されているが、歩行ロボットの足部のような衝撃的な力を受ける場所で使用するには機械的な信頼性の点で問題がある。
【0010】
そこで、本発明は、このような従来の技術の有する未解決の課題に着目してなされたものであって、作用力間の干渉が小さい単純な構造で、小型化および低コスト化を図ることができ、しかも、組み立てが容易となり、衝撃力に対する信頼性を向上することができる多分力検出器を提供することを目的としている。
【0011】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために、本発明に係る請求項1記載の多分力検出器は、弾性体と、前記弾性体の変位を電気的変位に変換する変位変換手段と、前記変位変換手段の出力に基づいて前記弾性体への作用力を算出する作用力算出手段とを備える多分力検出器であって、前記変位変換手段は、前記弾性体の変位領域に設けられた磁性体と、前記弾性体とは非接触に設けられた複数の磁電変換素子とを有する。
【0012】
このような構成であれば、弾性体に作用力が加わると、その作用力により弾性体が変位する。このとき、弾性体の変位領域に磁性体が設けられているので、弾性体の変位に伴って磁性体が変位する。磁性体が変位すると、磁電変換素子近傍の磁束密度が変化するので、複数の磁電変換素子により、磁束密度の変化が検出されることにより磁性体の変位(すなわち、弾性体の変位)が電気的変位に変換される。
【0013】
ここで、磁性体は、弾性体の変位領域に設けるのであればどこに設けてもよく、例えば、弾性体の内部に設けてもよいし、弾性体の外側に設けてもよい。
さらに、本発明に係る請求項2記載の多分力検出器は、請求項1記載の多分力検出器において、さらに、前記弾性体を支持する弾性体支持部と、前記磁電変換素子を支持しかつ前記弾性体支持部の前記弾性体支持面とは反対側に設けられた磁電変換素子支持部とを備え、前記磁電変換素子は、前記弾性体支持部または前記磁電変換素子支持部を介して前記弾性体とは非接触に設けられている。
【0014】
このような構成であれば、磁電変換素子が、弾性体支持部または磁電変換素子支持部を介して弾性体とは非接触に設けられているので、磁電変換素子と弾性体とを比較的確実に隔離することができる。したがって、異なる複数の方向から加わる作用力間の干渉および作用力が磁電変換素子に直接加わる可能性をさらに低減することができる。
【0015】
さらに、本発明に係る請求項3記載の多分力検出器は、請求項2記載の多分力検出器において、前記磁性体の磁気モーメントの方向が前記磁電変換素子支持部の前記磁電変換素子の配置面に対して直交またはほぼ直交するように前記弾性体の内部に前記磁性体を設け、前記磁性体から前記配置面に向かって前記磁気モーメントの方向に伸びる直線が前記配置面と交差する点を中心点として、前記中心点を通過する互いに直交する2つの軸のうち一方の軸上に前記中心点を対称として2つの前記磁電変換素子を配置し、前記2つの軸のうち他方の軸上に前記中心点を対称として2つの前記磁電変換素子を配置した。
【0016】
このような構成であれば、弾性体に作用力が加わり磁性体が配置面に対して直交する方向に変位すると、各磁電変換素子からはいずれも、磁性体の変位量に比例した電気的変位が得られる。また、弾性体に作用力が加わり磁性体が配置面の2つの軸のうち一方の軸方向に変位すると、当該一方の軸上に配置された2つの磁電変換素子のうち一方のものからは、磁性体の変位量に比例した電気的変位が得られ、当該一方の軸上に配置された2つの磁電変換素子のうち他方のものからは、磁性体の変位量に反比例した電気的変位が得られる。また、弾性体に作用力が加わり磁性体が配置面の2つの軸のうち他方の軸方向に変位すると、当該他方の軸上に配置された2つの磁電変換素子のうち一方のものからは、磁性体の変位量に比例した電気的変位が得られ、当該他方の軸上に配置された2つの磁電変換素子のうち他方のものからは、磁性体の変位量に反比例した電気的変位が得られる。
したがって、磁性体の変位のうち、配置面に対して直交する方向の変位および配置面の2つの軸方向の変位を比較的確実に検出することができる。
【0017】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の第1の実施の形態を図面を参照しながら説明する。図1ないし図6は、本発明に係る多分力検出器の第1の実施の形態を示す図である。
本実施の形態は、本発明に係る多分力検出器を、図1に示すように、永久磁石2およびホール素子6a〜6dを用いて弾性体1への作用力Fを検出する場合について適用したものである。
【0018】
図1は、本発明に係る多分力検出器100の構造を示す図である。同図(a)は、多分力検出器100を上方からみた上面図であり、同図(b)は、同図(a)のX軸に沿った側断面図である。
図1において、弾性体支持部4の上部には、弾性体1が設置されており、弾性体1の内部には、永久磁石2が設けられている。永久磁石2は、その磁気モーメントの方向が弾性体支持部4と弾性体1との設置面(以下、単に設置面という。)に対して直交するように設けられている。ここで、設置面に対して直交する方向の軸をZ軸と定義する。
【0019】
弾性体支持部4には、貫通孔4a,4bおよび図示しない貫通孔4c,4dがZ軸方向に形成されている。貫通孔4a,4bは、永久磁石2からZ軸方向に伸びる直線が設置面と交差する点を中心点Oとして、中心点Oを通過する互いに直交する2つの軸のうち一方の軸上に中心点Oを対称として形成されている。貫通孔4c,4dは、中心点Oを通過する互いに直交する2つの軸のうち他方の軸上に中心点Oを対称として形成されている。ここで、直交する2つの軸のうち貫通孔4a,4bが形成されている軸をX軸と定義し、直交する2つの軸のうち貫通孔4c,4dが形成されている軸をY軸と定義する。
【0020】
磁電変換素子支持部5の上部には、貫通孔4a,4bの径および位置に対応した凸部5a,5bと、貫通孔4c,4dの径および位置に対応した図示しない凸部5c,5dとが形成されている。そして、磁電変換素子支持部5は、貫通孔4a〜4dに凸部5a〜5dを填め込んで弾性体支持部4の下方に接合している。凸部5a,5bの内側にはホール素子6a,6bが、凸部5c,5dの内側にはホール素子6c,6dがそれぞれ設けられている。
【0021】
このような配置構造をとることにより、ホール素子6a,6bは、磁電変換素子支持部5を介して弾性体1とは非接触にかつ一定の距離をもって設けられるとともに中心点Oを対称としてX軸上に配置される。同様に、ホール素子6c,6dは、磁電変換素子支持部5を介して弾性体1とは非接触にかつ一定の距離をもって設けられるとともに中心点Oを対称としてY軸上に配置される。
【0022】
弾性体支持部4および磁電変換素子支持部5は、止め具10により固定部7上に固定されている。弾性体1の上部には、荷重受部3が設けられ、止め具8により荷重源と接続する役割および弾性体1の保護の役割を果たす。
磁電変換素子支持部5の下部には、ホール素子6a〜6dからの出力信号を処理する信号処理部9が設けられている。
【0023】
信号処理部9は、図示しない外部のMPUシステムに接続し、ホール素子6a〜6dからの出力信号に対して増幅検出制御を行い、増幅した出力信号をMPUシステムに出力するようになっている。ホール素子6a〜6dで検出される起電圧の変化は微小であるため、ホール素子6a〜6dからの出力信号は、信号処理部9により増幅される。信号処理部9では、数1000倍〜数万倍程度の増幅が必要となる。また、ノイズを低減するために低域通過フィルタのカットオフ周波数を低く調整することが必要となる場合がある。
【0024】
MPUシステムは、信号処理部9からの出力信号をA/D変換し、得られたディジタルデータに基づいて演算処理を行い、弾性体1への作用力Fを算出するようになっている。
次に、弾性体1の材質および大きさ、並びに永久磁石2の材質、大きさおよび位置関係を説明する。
【0025】
永久磁石2は、例えば、数mm角の小さな角型ネオジウム磁石で、表面磁束密度が約0.2テスラのものである。弾性体1は、例えば、ゴムである。
図2は、永久磁石2とホール素子6a〜6dとの位置関係を示す図である。
永久磁石2とホール素子6a〜6dの位置関係は、磁場シミュレーションにより決定する。永久磁石2は、図2に示すように、Z軸方向の磁気モーメントをもち、X−Y平面の原点(中心点O)の上方、Z軸方向の位置に配置される。ホール素子6a,6bは、原点対称で×軸上に、ホール素子6c,6dは、原点対称でY軸上にそれぞれ配置される。ホール素子6a〜6dの感磁面は、Z軸方向を向き、Z軸方向の磁場Hzを検出するようになっている。
【0026】
図3は、永久磁石2がホール素子6a〜6dの下方に形成する磁束密度の分布を等高線表示した図である。
図3において、直方体が永久磁石2であり、永久磁石2の下部中心に向かって対称性をもち、Z軸方向の磁場が強くなっているのが分かる。
次に、本発明の実施の形態の動作を図4ないし図6を参照しながら説明する。
【0027】
荷重受部3に作用力Fが加わると、弾性体1は、作用力Fに比例した内部歪を発生し、内部に設けられた永久磁石2も、その軸方向で作用力Fに比例した変位を示す。ここで、作用力Fの×軸方向成分、Y軸方向成分およびZ軸方向成分をそれぞれFx、Fy、Fzと定義する。
図4は、永久磁石2がZ軸方向に変位した場合に、永久磁石2の変位量に対するホール素子6a〜6dの各配置位置での磁束密度の変位量を示すグラフである。
【0028】
永久磁石2がZ軸方向に変位すると、ホール素子6a〜6dの各配置位置ではいずれも、図4に示すように、永久磁石2の変位量に比例して磁束密度が変化していることが分かる。したがって、各ホール素子6a〜6dからはいずれも、磁束密度の変位量に比例した電圧の信号が出力される。
図5は、永久磁石2がX軸方向に変位した場合に、永久磁石2の変位量に対するホール素子6a〜6dの各配置位置での磁束密度の変位量を示すグラフである。
【0029】
永久磁石2がX軸方向に変位すると、ホール素子6aの配置位置では、図5に示すように、永久磁石2の変位量に比例して磁束密度が変化し、ホール素子6bの配置位置では、永久磁石2の変位量に反比例して磁束密度が変化していることが分かる。また、ホール素子6c,6dの各配置位置ではいずれも、永久磁石2の変位量にかかわらず磁束密度の変化がないことが分かる。したがって、ホール素子6aからは、磁束密度の変位量に比例した電圧の信号が出力されるとともに、ホール素子6bからは、磁束密度の変位量に反比例した電圧の信号が出力される。
【0030】
図6は、永久磁石2がY軸方向に変位した場合に、永久磁石2の変位量に対するホール素子6a〜6dの各配置位置での磁束密度の変位量を示すグラフである。
永久磁石2がY軸方向に変位すると、ホール素子6cの配置位置では、図6に示すように、永久磁石2の変位量に比例して磁束密度が変化し、ホール素子6dの配置位置では、永久磁石2の変位量に反比例して磁束密度が変化していることが分かる。また、ホール素子6a,6bの各配置位置ではいずれも、永久磁石2の変位量にかかわらず磁束密度の変化がないことが分かる。したがって、ホール素子6cからは、磁束密度の変位量に比例した電圧の信号が出力されるとともに、ホール素子6dからは、磁束密度の変位量に反比例した電圧の信号が出力される。
【0031】
本実施の形態のように、永久磁石2およびホール素子6a〜6dを配置することにより、比較的大きな変位の範囲で磁束密度変化が線形性を示すことが分かり、この変位の範囲で使用する弾性体1の特性を選択することができる。
MPUシステムでは、図4ないし図6に示す磁束密度変化曲線を用い、下式(1)〜(3)により作用力Fを算出することができる。
【0032】
ΔVHz(A)=κ11×Fx+κ12×Fy+κ13×Fz …(1)
ΔVHz(B)=κ21×Fx+κ22×Fy+κ23×Fz …(2)
ΔVHz(C)=κ31×Fx+κ32×Fy+κ33×Fz …(3)
【0033】
ここで、ΔVHz(A)は、ホール素子6aの出力電圧変化量であって、作用力Fが加わっていないときのホール素子6aの起電圧と、作用力Fが加わって永久磁石2が変位したときのホール素子6aの起電圧との差である。ΔVHz(B)は、ホール素子6bの出力電圧変化量であって、作用力Fが加わっていないときのホール素子6bの起電圧と、作用力Fが加わって永久磁石2が変位したときのホール素子6bの起電圧との差である。ΔVHz(C)は、ホール素子6cの出力電圧変化量であって、作用力Fが加わっていないときのホール素子6cの起電圧と、作用力Fが加わって永久磁石2が変位したときのホール素子6cの起電圧との差である。
【0034】
また、κ11、κ21およびκ31は、×軸方向に作用力Fが加わった場合においてホール素子6a〜6cの各配置位置での磁束密度変化曲線の傾きを示す比例係数である。κ12、κ22およびκ32は、Y軸方向に作用力Fが加わった場合においてホール素子6a〜6cの各配置位置での磁束密度変化曲線の傾きを示す比例係数である。κ13、κ23およびκ33は、Z軸方向に作用力Fが加わった場合においてホール素子6a〜6cの各配置位置での磁束密度変化曲線の傾きを示す比例係数である。
【0035】
MPUシステムでは、最初に、これらの比例係数を決定する。
各軸方向の作用力Fの範囲から、数点を選んでその軸方向に作用力Fをかけて、そのときの出力電圧変化量を検出し、検出結果に基づいてその傾きを求める。例えば、×軸方向に対して、複数回、異なる大きさの作用力Fx(i)をかけて、各ホール素子6a〜6cにより、そのときの出力電圧変化量ΔVHz(A),ΔVHz(B),ΔVHz(C)を検出する。ホール素子6aについては、作用力Fx(i)対出力電圧変化量ΔVHz(A)のグラフを作り、その傾きを求めてκ11とする。ホール素子6bについては、作用力Fx(i)対出力電圧変化量ΔVHz(B)のグラフを作り、その傾きを求めてκ21とする。ホール素子6cについては、作用力Fx(i)対出力電圧変化量ΔVHz(C)のグラフを作り、その傾きを求めてκ31とする。これと同様の処理をY軸およびZ軸に対しても行い、他の比例係数κ12、κ22、κ32、κ13、κ23およびκ33が決定される。
【0036】
MPUシステムでは、これらの比例係数が決定されると、上式(1)〜(3)の連立方程式より作用力Fx、Fy、Fzを算出することができる。作用力Fは、作用力Fx、Fy、Fzをベクトル合成すれば算出することができる。
このようにして、本実施の形態では、弾性体1と、弾性体1の内部に設けられた永久磁石2と、弾性体1とは非接触に設けられた複数のホール素子6a〜6dと、ホール素子6a〜6dの出力に基づいて弾性体1への作用力Fを算出するMPUシステムとを備える。
【0037】
これにより、弾性体1の内部に永久磁石2を設け、ホール素子6a〜6dにより弾性体1の変位を電気的変位に変換することにより、弾性体1とは離隔した場所でその電気的変位を検出することができるので、従来に比して、多分力検出器100を比較的単純な構造とすることができるとともに、異なる複数の方向から加わる作用力Fx、Fy、Fz間の干渉を低減することができる。また、作用力Fの大小によらず材質や大きさを比較的幅広く選択することができるので、従来に比して、小型化および低コスト化を図ることができる。さらに、永久磁石2を少なくとも一つ設ければよいので、部品点数を少なくすることができ、従来に比して、小型化および低コスト化を図ることができるとともに組み立てが比較的容易となる。さらに、弾性体1とは非接触にホール素子6a〜6dを設けたことにより、ホール素子6a〜6dに作用力Fが直接加わる可能性を低減することができるので、従来に比して、衝撃力に対する信頼性を比較的向上することができる。
【0038】
さらに、本実施の形態では、ホール素子6a〜6dは、磁電変換素子支持部5を介して弾性体1とは非接触に設けられている。
これにより、ホール素子6a〜6dと弾性体1とを比較的確実に隔離することができる。したがって、異なる複数の方向から加わる作用力Fx、Fy、Fz間の干渉をさらに低減することができる。また、ホール素子6a〜6dに作用力Fが直接加わる可能性をさらに低減することができるので、衝撃力に対する信頼性をさらに向上することができる。
【0039】
さらに、本実施の形態では、永久磁石2の磁気モーメントの方向が設置面に対して直交するように弾性体1の内部に永久磁石2を設け、X軸上に中心点Oを対称として2つのホール素子6a,6bを配置し、Y軸上に中心点Oを対称として2つのホール素子6c,6dを配置した。
これにより、永久磁石2の変位のうちX軸方向、Y軸方向およびZ軸方向の変位を比較的確実に検出することができる。
【0040】
上記第1の実施の形態において、永久磁石2は、請求項1または3記載の磁性体に対応し、ホール素子6a〜6dは、請求項1ないし3記載の磁電変換素子に対応し、永久磁石2およびホール素子6a〜6dは、請求項1記載の変位変換手段に対応し、MPUシステムは、請求項1記載の作用力算出手段に対応している。また、設置面は、請求項3記載の配置面に対応している。
【0041】
次に、本発明の第2の実施の形態を図面を参照しながら説明する。図7および図8は、本発明に係る多分力検出器の第2の実施の形態を示す図である。
本実施の形態は、本発明に係る多分力検出器を、図7に示すように、ソフトフェライト12および半導体磁気抵抗素子11a〜11dを用いて弾性体1への作用力Fを検出する場合について適用したものである。
【0042】
図7は、本発明に係る多分力検出器200の構造を示す図である。同図(a)は、多分力検出器200を上方からみた上面図であり、同図(b)は、同図(a)のX軸に沿った側断面図である。
図7において、弾性体支持部4の上部には、弾性体1が設置されており、弾性体1の内部には、ソフトフェライト12が設けられている。ソフトフェライト12と半導体磁気抵抗素子11a〜11dの位置関係は、磁場シミュレーションにより決定する。
【0043】
弾性体支持部4には、貫通孔4eがZ軸方向に形成されている。
磁電変換素子支持部5の上部には、貫通孔4eの径に対応した永久磁石13が設置されている。永久磁石13の上部には、絶縁体を介して半導体磁気抵抗素子11a〜11dが配置されている。そして、永久磁石13は、貫通孔4eに填め込まれて弾性体1を臨んで弾性体1の下方に配置されている。
【0044】
半導体磁気抵抗素子11a〜11dは、上記第1の実施の形態におけるホール素子6a〜6dと同様の位置に配置されている。したがって、半導体磁気抵抗素子11a,11bは、弾性体1とは非接触にかつ一定の距離をもって設けられるとともに中心点Oを対称としてX軸上に配置される。同様に、半導体磁気抵抗素子11c,11dは、弾性体1とは非接触にかつ一定の距離をもって設けられるとともに中心点Oを対称としてY軸上に配置される。また、半導体磁気抵抗素子11a〜11dには、永久磁石13により常に一定の磁気バイアスがかけられている。ここで、永久磁石13は、例えば、サマリウム・コバルト磁石で数mm角のサイズである。また、半導体磁気抵抗素子11a〜11dの感度は、永久磁石13の磁気バイアスがある程度以上大きい必要があり、例えば、0.2テスラ以上である。
【0045】
弾性体支持部4および磁電変換素子支持部5は、止め具10により固定部7上に固定されている。弾性体1の上部には、荷重受部3が設けられ、止め具8により荷重源と接続する役割および弾性体1の保護の役割を果たす。
磁電変換素子支持部5には、半導体磁気抵抗素子11a〜11dからなる回路の出力信号を処理する信号処理部14が設けられている。
【0046】
図8は、半導体磁気抵抗素子11a〜11dからなる回路を示す回路図である。
図8において、VDD、VSSは、それぞれ電源電圧とグランドである。電圧の抵抗分割の形で、出力信号が作られる。半導体磁気抵抗素子11a〜11d(MR素子)が永久磁石13の上部に設置され、他の抵抗素子は、信号処理部14上に設けられる。
【0047】
信号処理部14は、MPUシステムに接続し、信号増幅およびノイズのフィルタリングを行う点については、上記第1の実施の形態における信号処理部9と同様であるが、ホール素子6a〜6dの出力が差動出力であったのに対して、半導体磁気抵抗素子11a〜11dからの出力がシングル出力であるため、この信号を受ける回路部分が異なる。
【0048】
MPUシステムは、信号処理部14からの出力信号をA/D変換し、得られたディジタルデータに基づいて演算処理を行い、弾性体1への作用力Fを算出するようになっている。
次に、本実施の形態の動作を説明する。
荷重受部3への作用力Fによりソフトフェライト12が作用力Fの方向に変位することは、上記第1の実施の形態と同様である。この変位の際に永久磁石13の作る磁場が変化し、半導体磁気抵抗素子11a〜11dの各配置位置での磁束密度が変化する。この変化により半導体磁気抵抗素子11a〜11dの抵抗が変化し、その出力電圧が変化する。この出力電圧の変化は、磁束密度の変化量に比例し、ソフトフェライト12の変位量に比例する。
【0049】
半導体磁気抵抗素子11a〜11dの出力電圧の変化は、ソフトフェライト12の変位に対して図4ないし図6と相似のグラフとなる。したがって、上記第1の実施の形態と同様に、各比例係数を決定し、上式(1)〜(3)の連立方程式により作用力Fを算出することができる。
このようにして、本実施の形態では、弾性体1と、弾性体1の内部に設けられたソフトフェライト12と、弾性体1とは非接触に設けられた複数の半導体磁気抵抗素子11a〜11dと、半導体磁気抵抗素子11a〜11dの出力に基づいて弾性体1への作用力Fを算出するMPUシステムとを備える。
【0050】
これにより、弾性体1の内部にソフトフェライト12を設け、半導体磁気抵抗素子11a〜11dにより弾性体1の変位を電気的変位に変換することにより、弾性体1とは離隔した場所でその電気的変位を検出することができるので、従来に比して、多分力検出器200を比較的単純な構造とすることができるとともに、異なる複数の方向から加わる作用力Fx、Fy、Fz間の干渉を低減することができる。また、作用力Fの大小によらず材質や大きさを比較的幅広く選択することができるので、従来に比して、小型化および低コスト化を図ることができる。さらに、ソフトフェライト12を少なくとも一つ設ければよいので、部品点数を少なくすることができ、従来に比して、小型化および低コスト化を図ることができるとともに組み立てが比較的容易となる。さらに、弾性体1とは非接触に半導体磁気抵抗素子11a〜11dを設けたことにより、半導体磁気抵抗素子11a〜11dに作用力Fが直接加わる可能性を低減することができるので、従来に比して、衝撃力に対する信頼性を比較的向上することができる。
【0051】
上記第2の実施の形態において、ソフトフェライト12は、請求項1記載の磁性体に対応し、半導体磁気抵抗素子11a〜11dは、請求項1記載の磁電変換素子に対応し、ソフトフェライト12および半導体磁気抵抗素子11a〜11dは、請求項1記載の変位変換手段に対応している。また、MPUシステムは、請求項1記載の作用力算出手段に対応している。
【0052】
なお、上記第1の実施の形態においては、4つのホール素子6a〜6dを設けて構成したが、これに限らず、作用力Fを求めるには3つのホール素子で足りる。上記第1の実施の形態のように、4つのホール素子6a〜6dを用いて作用力Fを求める場合は、異なる3つのホール素子の組((6a,6b,6c)、(6a,6b,6d)、(6b,6c,6d))を利用してそれぞれ作用力Fを算出するようにすれば、それらのバラツキを平均化したり、何らかの非線形性が現れることを確認したりすることが可能となるとなるので、作用力Fの検出精度を比較的向上することができる。このことは、上記第2の実施の形態についても同様である。
【0053】
また、上記第1および第2の実施の形態においては、弾性体1として各種の材料が利用可能であるが、内部構造に不均一性があると、作用力Fx、Fy、Fz間で干渉効果が発生するので、均一な材質のものが好ましい。
また、上記第1および第2の実施の形態においては、比例係数κ12、κ22、κ32などを求める際には、弾性体1の不均一性を考慮して、グラフで得た傾きを補正し、測定値を補正する効果を持たせることも可能である。また、作用力Fの範囲で、異なる係数を使い、検出する作用力Fの精度を上げることも可能である。
【0054】
また、上記第1の実施の形態においては、MPUシステムで作用力Fを算出するように構成したが、これに限らず、処理速度を上げるために、専用のハードウェア回路を信号処理部9に備え、信号処理部9で作用力Fを算出するように構成することもできる。
また、上記第2の実施の形態において、永久磁石13は、例えば、ネオジウム磁石でもアルニコ(登録商標)磁石でもよいが、多分力検出器200の全体構造を小型化するためには、より強力な磁石が好ましい。
【0055】
また、上記第2の実施の形態においては、磁性材料としてソフトフェライト12以外にも各種のものが利用可能であるが、変位による磁束密度の変化が大きくなるように透磁率の大きいものが好ましい。
また、上記第2の実施の形態においては、磁電変換素子として半導体磁気抵抗素子11a〜11dを用いているが、弾性体1中にソフトフェライト12を用い、バイアス磁石を利用する場合には、磁電変換素子としてホール素子を利用することも可能である。
【0056】
また、上記第2の実施の形態においては、MPUシステムで作用力Fを算出するように構成したが、これに限らず、処理速度を上げるために、専用のハードウェア回路を信号処理部14に備え、信号処理部14で作用力Fを算出するように構成することもできる。
また、上記第1の実施の形態においては、本発明に係る多分力検出器を、図1に示すように、永久磁石2およびホール素子6a〜6dを用いて弾性体1への作用力Fを検出する場合について適用したが、これに限らず、本発明の主旨を逸脱しない範囲で他の場合にも適用可能である。
【0057】
また、上記第2の実施の形態においては、本発明に係る多分力検出器を、図7に示すように、ソフトフェライト12および半導体磁気抵抗素子11a〜11dを用いて弾性体1への作用力Fを検出する場合について適用したが、これに限らず、本発明の主旨を逸脱しない範囲で他の場合にも適用可能である。
【0058】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明に係る請求項1ないし3記載の多分力検出器によれば、弾性体の変位領域に磁性体を設け、磁電変換素子により弾性体の変位を電気的変位に変換することにより、弾性体とは離隔した場所でその電気的変位を検出することができるので、従来に比して、検出器を比較的単純な構造とすることができるとともに、異なる複数の方向から加わる作用力間の干渉を低減することができるという効果が得られる。また、作用力の大小によらず材質や大きさを比較的幅広く選択することができるので、従来に比して、小型化および低コスト化を図ることができるという効果も得られる。さらに、磁性体を少なくとも一つ設ければよいので、部品点数を少なくすることができ、従来に比して、小型化および低コスト化を図ることができるとともに組み立てが比較的容易となるという効果も得られる。さらに、弾性体とは非接触に磁電変換素子を設けたことにより、作用力が磁電変換素子に直接加わる可能性を低減することができるので、従来に比して、衝撃力に対する信頼性を比較的向上することができるという効果も得られる。
【0059】
さらに、本発明に係る請求項2または3記載の多分力検出器によれば、磁電変換素子が、弾性体支持部または磁電変換素子支持部を介して弾性体とは非接触に設けられているので、磁電変換素子と弾性体とを比較的確実に隔離することができる。したがって、異なる複数の方向から加わる作用力間の干渉をさらに低減することができるという効果も得られる。また、作用力が磁電変換素子に直接加わる可能性をさらに低減することができるので、衝撃力に対する信頼性をさらに向上することができるという効果も得られる。
さらに、本発明に係る請求項3記載の多分力検出器によれば、磁性体の変位のうち、配置面に対して直交する方向の変位および配置面の2つの軸方向の変位を比較的確実に検出することができるという効果も得られる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る多分力検出器100の構造を示す図である。
【図2】永久磁石2とホール素子6a〜6dとの位置関係を示す図である。
【図3】永久磁石2がホール素子6a〜6dの下方に形成する磁束密度の分布を等高線表示した図である。
【図4】永久磁石2がZ軸方向に変位した場合に、永久磁石2の変位量に対するホール素子6a〜6dの各配置位置での磁束密度の変位量を示すグラフである。
【図5】永久磁石2がX軸方向に変位した場合に、永久磁石2の変位量に対するホール素子6a〜6dの各配置位置での磁束密度の変位量を示すグラフである。
【図6】永久磁石2がY軸方向に変位した場合に、永久磁石2の変位量に対するホール素子6a〜6dの各配置位置での磁束密度の変位量を示すグラフである。
【図7】本発明に係る多分力検出器200の構造を示す図である。
【図8】半導体磁気抵抗素子11a〜11dからなる回路を示す回路図である。
【図9】従来の多分力ロードセルの構造を示す斜視図である。
【図10】従来の多分力検出器の外観を示す図である。
【図11】従来の多分力検出器の構造を示す分解斜視図である。
【図12】永久磁石5a〜5dとホール素子10a〜10dの対応関係を示す図である。
【符号の説明】
100,200 多分力検出器
1 弾性体
2,13 永久磁石
3 荷重受部
4 弾性体支持部
4a〜4e 貫通孔
5 磁電変換素子支持部
5a〜5d 凸部
6a〜6d ホール素子
7 固定部
8,10 止め具
9,14 信号処理部
11a〜11d 半導体磁気抵抗素子
12 ソフトフェライト
Claims (3)
- 弾性体と、前記弾性体の変位を電気的変位に変換する変位変換手段と、前記変位変換手段の出力に基づいて前記弾性体への作用力を算出する作用力算出手段とを備える多分力検出器であって、
前記変位変換手段は、前記弾性体の変位領域に設けられた磁性体と、前記弾性体とは非接触に設けられた複数の磁電変換素子とを有することを特徴とする多分力検出器。 - 請求項1において、
さらに、前記弾性体を支持する弾性体支持部と、前記磁電変換素子を支持し且つ前記弾性体支持部の前記弾性体支持面とは反対側に設けられた磁電変換素子支持部とを備え、
前記磁電変換素子は、前記弾性体支持部又は前記磁電変換素子支持部を介して前記弾性体とは非接触に設けられていることを特徴とする多分力検出器。 - 請求項2において、
前記磁性体の磁気モーメントの方向が前記磁電変換素子支持部の前記磁電変換素子の配置面に対して直交又はほぼ直交するように前記弾性体の内部に前記磁性体を設け、
前記磁性体から前記配置面に向かって前記磁気モーメントの方向に伸びる直線が前記配置面と交差する点を中心点として、前記中心点を通過する互いに直交する2つの軸のうち一方の軸上に前記中心点を対称として2つの前記磁電変換素子を配置し、前記2つの軸のうち他方の軸上に前記中心点を対称として2つの前記磁電変換素子を配置したことを特徴とする多分力検出器。
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