JP6040113B2 - 車両の制動システム - Google Patents
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Description
そのため、回生ブレーキから摩擦ブレーキに交代する際に、摩擦ブレーキの制動力の立ち上がりが当該液損により遅れ、回生ブレーキの制動力が減少し、代わりに摩擦ブレーキの制動力が増加しなければならないにも関わらず摩擦ブレーキの制動力が不足して、制動力の変化が生じる恐れがある。
よって、モータシリンダ装置等の液圧発生装置の圧力状態を考慮せずに、回生ブレーキから摩擦ブレーキに交代する際に、回生制動力の低減の開始をむやみに行うと、回生ブレーキと摩擦ブレーキとのトータルの制動力が変動して、運転者に違和感を与えてしまう場合がある。
本発明によれば、摩擦制動部が予め定められた作動量以下からの作動となるときは、そうでないときに比べて回生制動力の低減を遅らせ、又は、前記摩擦制動部による摩擦制動力の増大を早めることで、回生制動力から摩擦制動力に制動力を交代させる場合に、適切な条件の下で、回生制動力の低減を遅らせ、又は、摩擦制動力の増大を早めることができる車両の制動システムを提供することができる。
本発明によれば、摩擦制動力に応じて適切に回生制動力の低減を遅らせて、制動力の変化を防止することができる。
本発明によれば、運転者が大きな制動力を要求した場合ほど、制動力の変化を防止することが可能となる。
本発明によれば、車両挙動の乱れやすい高い車速域での制動力の変化を防止することが可能となる。
図1は、本発明の一実施の形態である車両の制動システムを備えた車両100の要部系統図である。この車両100は、例えば、ハイブリッド車両であり、車両100の前側に設けられた左右一対の前輪2aR、2aLと、車両100の後側に設けられた左右一対の後輪2bR、2bLを有する。
モータ・ジェネレータ3は、モータ・ジェネレータ3の駆動および発電を制御するインバータ6に接続されている。インバータ6は、例えば、スイッチング素子を複数用いてブリッジ接続してなるブリッジ回路を具備するパルス幅変調(PWM)によるPWMインバータを備えて構成されている。
制御装置7は、マイクロコンピュータを備え、各部を集中的に制御する装置である。その詳細については後述する。
モータシリンダ装置16には、車両100の右側前輪2aRに設けられたディスクブレーキ機構30aで液圧により摩擦制動力を発生させるホイールシリンダ32FRと、左側後輪2bLに設けられたディスクブレーキ機構30bに液圧により摩擦制動力を発生させるホイールシリンダ32RLと、右側後輪2bRに設けられたディスクブレーキ機構30cに液圧により摩擦制動力を発生させるホイールシリンダ32RRと、左側前輪2aLに設けられたディスクブレーキ機構30dに液圧により摩擦制動力を発生させるホイールシリンダ32FLと、が接続される。
前記のブレーキペダル12およびモータシリンダ装置16等により、制動操作部を実現している。その他の入力装置14、モータシリンダ装置16、VSA装置18の構成や動作は公知であるため、詳細な説明は省略する。
そのため、回生制動力から摩擦制動力に交代する際に、摩擦ブレーキの制動力の立ち上がりが液損により遅れ、回生制動力が減少しているにも関わらず摩擦制動力が不足して、制動力の変化が生じることがある。
そこで、図4のような場合に、摩擦制動力の立ち上がりが遅れる分を回生制動力で補うような制御を回生制動力制御部122で行う。以下では、その内容について説明する。
また、ディレイ回路を用いる場合は、入力部141に入力された回生トルク要求信号にディレイ時間をもたせ、よって回生制動力の低減のタイミングを遅らせることができる回生トルク要求信号(補正後)にして、出力部142から出力させることができる。
回生制動力制御部122は、制御マップ部151を備えている。制御マップ部151には、前述のブレーキ操作信号が入力され、予め定められた制御マップに基づいて、ブレーキ操作信号から第1設定信号を生成して出力する。
また、回生制動力制御部122は、制御マップ部152を備えている。制御マップ部152には、前述の車速信号が入力され、予め定められた制御マップにより、車速信号に基づいて第2設定信号を出力する。
車速信号は、前述のとおり、車両100の車速を示す信号である。制御マップ部152は、車速信号が示す車速が速い程、回生トルク要求信号に対して、より大きな時間遅れをもたせるような第2設定信号に変換する。
また、制動力を早く発生させたい場合には、遅れ時間を小さくもたせるような第1設定信号及び第2設定信号に変換してもよい。
図7に明らかなとおり、ブレーキペダル12が操作されたときは、まず、回生トルクによる回生制動力が大きな値で出力される。この場合の目標回生トルクは符号160aに示している。
そこで、目標ブレーキ液圧トルク131に対する実ブレーキ液圧トルク132の不足分を補うように、回生トルク要求信号を前述のとおり補正して、目標回生トルク160を目標回生トルク(補正後)161としている。そして、この目標回生トルク(補正後)161に基づいて回生制動力を制御し、実回生トルク162を発生させている。
よって、この場合は、前述の制御マップ部151により、第1設定信号(に基づく第3設定信号)は、回生制動力の低減を遅らせないような、あるいは、図7の例に比較して遅らせる度合いを小さくするような信号とされ、ディレイ部140から出力される回生トルク要求信号(補正後)は、回生制動力の低減を遅らせないような、あるいは遅らせる度合いを小さくするような信号となる。
このように、回生制動力制御部122は、ブレーキ液圧トルク、すなわち摩擦制動力の程度に応じて、回生トルク、すなわち、回生制動力の低減を遅らせる時間の程度を設定するようにしている。
従って、モータシリンダ装置16の液圧がほぼゼロから摩擦制動力を立ち上げる場合は、前述の液損により摩擦制動力が立ち上がるのが遅れるのに対応して、回生制動力の低減を遅らせ、回生制動力から摩擦制動力に制動力を交代させる場合に、制動力の変化が発生するのを防止することができる。
従って、本実施形態の車両の制動システムによれば、回生制動力から摩擦制動力に制動力を交代させる場合に、適切な条件の下で回生制動力の低減を遅らせることができる。
さらに、制御マップ部151により、ブレーキペダル12の操作量あるいは操作速度に応じて、当該操作量あるいは操作速度が、多いあるいは速い場合、すなわち、運転者が大きな制動力を要求した場合は、そうでない場合に比べて、回生制動力の低減を大きく遅らせて、制動力の変化を防止することが可能となる。
さらに、制御マップ部152により、車速が速い程、回生制動力の低減を大きく遅らせて、車両挙動の乱れやすい高い車速域での制動力の変化を防止することが可能となる。
また、前記図7の例では、回生制動力と摩擦制動力とが完全に交代し、すなわち、摩擦制動力が完全に立ち上がった後は回生制動力をゼロとする場合を示しているが、本発明はこれに限定されず、回生制動力から摩擦制動力に主たる制動力が交代すればよい。すなわち、摩擦制動力が完全に立ち上がった後も回生制動力をある程度残すようにしてもよい。
5 バッテリ(回生制動部)
6 インバータ(回生制動部)
7 制御装置(制動制御部)
10 制動力発生装置(摩擦制動部)
12 ブレーキペダル(制動操作部)
34 マスタシリンダ(制動操作部)
30a〜30d ディスクブレーキ機構(摩擦制動部)
100 車両
110 ブレーキペダルストロークセンサ(制動操作検出部)
111 車速センサ(車速検出部)
122 回生制動力制御部(タイミング調整部)
Claims (3)
- 車両を駆動するモータ・ジェネレータで回生制動力を発生する回生制動部と、
前記車両の摩擦制動力を液圧により発生する摩擦制動部と、
制動操作を行う制動操作部と、
前記制動操作部で制動操作が行われたときは、前記回生制動部による回生制動力を作動させてから前記摩擦制動部による摩擦制動力に漸次交代するように制動を制御する制動制御部と、
前記制動制御部で前記回生制動部による回生制動力から前記摩擦制動部による摩擦制動力に主たる制動力が交代する場合に、当該摩擦制動部が予め定められた作動量以下からの作動となるときは、そうでないときに比べて前記回生制動部による回生制動力の低減を遅らせ、又は、前記摩擦制動部による摩擦制動力の増大を早めるタイミング調整部と、
前記車両の車速を検出する車速検出部とを備え、
前記タイミング調整部は、前記回生制動力の低減を遅らせる時間の程度を前記車速検出部による車速の程度に応じて変えることを特徴とする車両の制動システム。 - 前記タイミング調整部は、前記回生制動力の低減を遅らせる時間の程度を前記摩擦制動部による摩擦制動力に応じて設定していることを特徴とする請求項1に記載の車両の制動システム。
- 前記制動操作部による制動操作の程度を検出する制動操作検出部をさらに備え、
前記タイミング調整部は、前記回生制動力の低減を遅らせる時間の程度を前記制動操作部による制動操作の程度の検出に応じて変えることを請求項1又は2に記載の車両の制動システム。
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