次に、この発明の一実施形態のヒートポンプ装置を図1に基づき説明する。
図示のように、本実施形態のヒートポンプ装置は、大きく分けてヒートポンプユニット1と、熱源部としての熱媒循環式の熱源熱交換部2と、負荷熱交換部3とから構成されるものである。
前記ヒートポンプユニット1は、冷媒を圧縮する回転数可変の圧縮機4と、圧縮機4から吐出された高温高圧冷媒を流通させこの高温高圧冷媒と負荷熱交換部3の負荷側の熱媒との熱交換を行う凝縮器としての負荷側熱交換器5と、負荷側熱交換器5から流出する冷媒を減圧する減圧手段としての膨張弁6と、膨張弁6からの低温低圧冷媒を流通させこの低温低圧冷媒と熱源熱交換部2の熱源側の熱媒との熱交換を行う蒸発器としての熱源側熱交換器7とを備え、これらを冷媒配管8で環状に接続しヒートポンプ回路9を形成しているものである。なお、ヒートポンプユニット1の冷媒としては、二酸化炭素冷媒やHFC冷媒等の任意の冷媒を用いることができるものである。また、10は膨張弁6の出口と熱源熱交換器7の入口とを接続する熱源側熱交換器7側の冷媒配管8、つまり低圧側の冷媒配管8に設けられ、膨張弁6を流出し熱源側熱交換器7に流入するまでの冷媒の温度を検出する冷媒温度検出手段としての冷媒温度センサである。
前記熱源熱交換部2は、熱源側熱交換器7と、熱源側熱交換器7の冷媒を加熱する熱源として地中に埋設された地中熱交換器11と、熱源側熱交換器7と地中熱交換器11との間を熱媒配管12で環状に接続する熱源側循環回路としての地中熱循環回路13と、地中熱循環回路13に熱媒である水や不凍液を循環させる回転数可変の熱源側循環ポンプとしての地中熱循環ポンプ14とを備えているものである。
ここで、前記熱源熱交換部2では、後述する負荷運転を行う際に、前記地中熱交換器11によって地中から地中熱を採熱し、その熱を帯びた熱媒が地中熱循環ポンプ14により熱源側熱交換器7に供給される。そして、熱源側熱交換器7にて冷媒と熱媒とが対向して流れて熱交換が行われ、地中熱交換器11にて採熱された地中熱がヒートポンプユニット1の冷媒側に汲み上げられ、熱源側熱交換器7は蒸発器として機能するものとなる。
前記負荷熱交換部3は、負荷側に熱を与える前記負荷側熱交換器5と、被空調空間を加熱する床暖房パネル等の負荷端末15と、負荷側熱交換器5と負荷端末15との間を循環液配管16で環状に接続する負荷側循環回路17と、負荷側循環回路17に循環液として不凍液を循環させる負荷側循環ポンプ18と、負荷端末15毎に分岐した負荷側循環回路17に各々設けられその開閉により負荷端末15への循環液の供給を制御する熱動弁19(19a、19b)とを備えているものである。なお、20は負荷側循環回路17に設けられ、負荷端末15から流出し負荷側熱交換器5に戻ってくる循環液の温度を検出する負荷温度センサである。
前記負荷端末15によって加熱される被空調空間には、リモコン(図示せず)が各々設置されており、このリモコンにより被空調空間の加熱の指示がなされると、圧縮機4および地中熱循環ポンプ14および負荷側循環ポンプ18の駆動が開始され、熱源側熱交換器7を蒸発器として機能させると同時に、負荷側熱交換器5を凝縮器として機能させて負荷側を加熱する負荷運転としての暖房運転が行われる。この暖房運転の際、前記負荷側熱交換器5では、冷媒と循環液とが対向して流れて熱交換が行われ、負荷側熱交換器5にて加熱された循環液は、熱動弁19を介して負荷端末15に送られ、リモコンにより指示を受けた被空調空間を加熱するものである。
21は冷媒温度センサ10、負荷温度センサ20の入力や前記リモコンからの信号を受けて、圧縮機4、膨張弁6、地中熱循環ポンプ14、負荷側循環ポンプ18の各アクチュエータの作動を制御するマイコンを有する制御手段であり、制御手段21は前記暖房運転の際に、冷媒温度センサ10の検出する温度が所定の目標温度になるように地中熱循環ポンプ14の回転数を制御して地中熱循環回路13を循環する熱媒の流量を調整するものであり、また、負荷温度センサ20の検出する温度が所定温度になるように圧縮機4の回転数または周波数を制御するものである。
次に、図1に示す一実施形態の暖房運転時の動作について図2に示すフローチャートに基づき説明する。
前記リモコンにより負荷端末15による被空調空間の暖房の指示がなされると、前記制御手段21は圧縮機4、地中熱循環ポンプ14、負荷側循環ポンプ18を駆動させ、暖房運転を開始させ、負荷側熱交換器5では負荷側循環ポンプ18により循環される循環液と圧縮機4から吐出された高温高圧の冷媒とが熱交換され、加熱された循環液が負荷端末15に供給され被空調空間を加熱すると共に、熱源側熱交換器7では、地中熱循環ポンプ14により循環され地中熱交換器11を介して地中熱を採熱した熱媒と膨張弁6から吐出された低温低圧の冷媒とが熱交換され、地中熱により冷媒を加熱し蒸発させるものである。
前記暖房運転中、制御手段21は、後述する設定方法に基づき、圧縮機4の回転数に応じて低圧側の冷媒の目標温度を所定の目標温度Xに設定し(ステップS1)、冷媒温度センサ10で低圧側の冷媒の温度を検出し(ステップS2)、検出した冷媒の温度と前記所定の目標温度Xとの比較を行うものである(ステップS3)。
前記ステップS3で、制御手段21は、冷媒温度センサ10の検出した冷媒の温度が所定の目標温度Xであると判断したら、それまでの地中熱循環ポンプ14の回転数を維持するように制御して地中熱循環回路13を循環する熱媒の循環流量を一定に保つようにし(ステップS4)、前記ステップS1の処理に戻るものである。
また、前記ステップS3にて、制御手段21は、冷媒温度センサ10の検出した冷媒の温度が所定の目標温度Xでないと判断したら、冷媒温度センサ10の検出した冷媒の温度が所定の目標温度Xより低いか否か判断し(ステップS5)、冷媒温度センサ10の検出した冷媒の温度が所定の目標温度Xより低いと判断したら、地中熱循環ポンプ14の回転数を所定回転数増加させ、地中熱循環回路13を循環する熱媒の循環流量を増加させ(ステップS6)、前記ステップS1の処理に戻るものである。一方、前記ステップS5にて、制御手段21は、冷媒温度センサ10の検出した冷媒の温度が所定の目標温度Xより高いと判断したら、地中熱循環ポンプ14の回転数を所定回転数減少させ、地中熱循環回路13を循環する熱媒の循環流量を減少させ(ステップS7)、前記ステップS1の処理に戻るものである。
ここで、前記ステップS1における所定の目標温度Xの設定方法について説明すると、図3に示すように、圧縮機4の回転数に応じた複数のゾーンz1〜z3を設け、各々のゾーンz1〜z3に所定の目標温度Xが設定されており、例えば、太線αより下の領域であるゾーンz1では前記目標温度Xを−1.5℃、太線αと太線βとで挟まれた領域であるゾーンz2では前記目標温度Xを0℃、太線βより上の領域であるゾーンz3では前記目標温度Xを2℃とした場合、前記暖房運転中に、圧縮機4が2200rpmで回転しているときは、圧縮機4の回転数はゾーンz1に含まれるので、制御手段21は所定の目標温度Xを−1.5℃に設定し、圧縮機4が3000rpmで回転しているときは、圧縮機4の回転数はゾーンz2に含まれるので、制御手段21は所定の目標温度Xを0℃に設定し、圧縮機4が4500rpmで回転しているときは、圧縮機4の回転数はゾーンz3に含まれるので、制御手段21は所定の目標温度Xを2℃に設定するものである。
また、図3に示した上向き矢印u1のように、ゾーンz1に含まれる回転数で回転していた圧縮機4が、暖房負荷の増加に伴い、ゾーンz1とゾーンz2の境界線である太線αを越えてゾーンz2に含まれる回転数に上がる場合、すなわち、2200rpmで回転していた圧縮機4が、暖房負荷の増加に伴い、ゾーンz1とゾーンz2の境界である2700rpmを越えて、3000rpmに上がった場合、所定の目標温度Xは、−1.5℃から0℃に変更されるものであり、さらに、図3に示した上向き矢印u2のように、ゾーンz2に含まれる回転数で回転していた圧縮機4が、暖房負荷の増加に伴い、ゾーンz2とゾーンz3の境界線である太線βを越えてゾーンz3に含まれる回転数に上がる場合、すなわち、3000rpmで回転していた圧縮機4が、暖房負荷の増加に伴い、ゾーンz2とゾーンz3の境界である3600rpmを越えて、4500rpmに上がった場合、所定の目標温度Xは、0℃から2℃に変更されるものである。
逆に、図3に示した下向き矢印d1のように、ゾーンz3に含まれる回転数で回転していた圧縮機4の回転数が、暖房負荷の減少に伴い、ゾーンz3とゾーンz2の境界線である太線βを越えてゾーンz2に含まれる回転数に下がる場合、すなわち、4500rpmで回転していた圧縮機4の回転数が、暖房負荷の減少に伴い、ゾーンz3とゾーンz2の境界である3300rpmを越えて、3000rpmに下がった場合、所定の目標温度Xは、2℃から0℃に変更されるものであり、さらに、図3に示した下向き矢印d2のように、ゾーンz2に含まれる回転数で回転していた圧縮機4の回転数が、暖房負荷の減少に伴い、ゾーンz2とゾーンz1の境界線である太線αを越えてゾーンz1に含まれる回転数に下がる場合、すなわち、3000rpmで回転していた圧縮機4の回転数が、暖房負荷の減少に伴い、ゾーンz2とゾーンz1の境界である2400rpmを越えて、2200rpmに下がった場合、所定の目標温度Xは、0℃から−1.5℃に変更されるものである。なお、前記制御手段21には、この図3に示した圧縮機4の回転数と所定の目標温度Xとの関係が予め記憶されており、暖房運転中はその情報を基に、圧縮機4の回転数に応じて所定の目標温度Xを設定しているものである。
次に、一実施形態のヒートポンプ装置における暖房運転の動作を、先に説明した図2の制御を交えて図4のタイムチャートを用いて説明する。ここで、図4のタイムチャートにおいて、時間t0は暖房運転を開始した時間ではなく、暖房運転がある程度行われ安定した後の任意の時間とする。なお、図5のタイムチャートは、図12に示した従来のヒートポンプ装置で暖房運転を行ったときのタイムチャートで、図4のタイムチャートとの比較に用いるものであり、図5のタイムチャートにおいて、時間t0は暖房運転を開始した時間ではなく、暖房運転がある程度行われ安定した後の任意の時間とし、時間t0〜時間t12は図4のタイムチャートの時間t0〜t12と同タイミングを表しているものである。また、図5のタイムチャート中において、低圧側の冷媒の目標温度は固定の温度(2℃)に設定してあるものとする。
まず、図4中の前記暖房運転がある程度行われ安定した後の時間t0において、制御手段21は圧縮機4の回転数を4500rpmで制御しており、制御手段21は、この時の低圧側の冷媒の目標温度Xを、図3に示した圧縮機4と目標温度との関係から2℃に設定し(前記ステップS1)、冷媒温度センサ10で低圧側の冷媒の温度を検出し(前記ステップS2)、冷媒温度センサ10で検出した冷媒の温度が2℃であるか否かを判断し(前記ステップS3)、検出した冷媒の温度が2℃であるので、地中熱循環ポンプ14の回転数をそれまでの回転数である3500rpmに維持する(前記ステップS4)。時間t0から時間t1までは、圧縮機4の回転数は4500rpmなので、この期間は目標温度Xを2℃に設定しているものである。
続いて、時間t1から時間t2にかけて、負荷端末15での暖房負荷が5kWから徐々に減少していくと、制御手段21は圧縮機4の回転数を徐々に減少させていく。それと連動して低圧側の冷媒の温度が上昇していくものであるが、この時、制御手段21は、冷媒温度センサ10の検出した冷媒の温度が目標温度Xより高いと判断し(前記ステップS5)、地中熱循環ポンプ14の回転数を減少させ(前記ステップS7)、冷媒温度センサ10の検出する冷媒の温度が目標温度Xの2℃になるように制御するものである。次に、時間t2において、制御手段21は、圧縮機4の回転数が図3に示すゾーンz3とゾーンz2の境界である3300rpmを越えて下がったことを検知すると、目標温度Xを2℃から0℃に変更するものである。
そして、時間t2から時間t3の間に、圧縮機4の回転数が3000rpmまで減少するが、3000rpmは図3に示すゾーンz2に含まれる回転数なので、目標温度Xの設定は0℃のままである。この期間、制御手段21は、冷媒温度センサ10の検出した冷媒の温度が目標温度Xの0℃より高いと判断し(前記ステップS5)、地中熱循環ポンプ14の回転数を減少させ(前記ステップS7)、冷媒温度センサ10の検出する冷媒の温度が目標温度Xの0℃になるように制御するものであり、時間t3において、制御手段21が冷媒温度センサ10で検出した冷媒の温度が目標温度Xと同温度の0℃であると判断すると(前記ステップS3)、地中熱循環ポンプ14の回転数を2500rpmに維持する(前記ステップS4)。時間t3から時間t4までは、圧縮機4の回転数は3000rpmなので、この期間は目標温度Xを0℃に設定しているものである。
続いて、時間t4から時間t5にかけて、負荷端末15での暖房負荷が4kWから徐々に減少していくと、制御手段21は圧縮機4の回転数を徐々に減少させていく。それと連動して低圧側の冷媒の温度が上昇していくものであるが、この時、制御手段21は、冷媒温度センサ10の検出した冷媒の温度が目標温度Xより高いと判断し(前記ステップS5)、地中熱循環ポンプ14の回転数を減少させ(前記ステップS7)、冷媒温度センサ10の検出する冷媒の温度が目標温度Xの0℃になるように制御するものである。次に、時間t5において、制御手段21は、圧縮機4の回転数が図3に示すゾーンz2とゾーンz1の境界である2400rpmを越えて下がったことを検知すると、目標温度Xを0℃から−1.5℃に変更するものである。
そして、時間t5から時間t6の間に、圧縮機4の回転数が2200rpmまで減少するが、2200rpmは図3に示すゾーンz1に含まれる回転数なので、目標温度Xの設定は−1.5℃のままである。この期間、制御手段21は、冷媒温度センサ10の検出した冷媒の温度が目標温度Xの−1.5℃より高いと判断し(前記ステップS5)、地中熱循環ポンプ14の回転数を減少させ(前記ステップS7)、冷媒温度センサ10の検出する冷媒の温度が目標温度Xの−1.5℃になるように制御するものであり、時間t6において、制御手段21が冷媒温度センサ10で検出した冷媒の温度が目標温度Xと同温度の−1.5℃であると判断すると(前記ステップS3)、地中熱循環ポンプ14の回転数を1500rpmに維持する(前記ステップS4)。時間t6から時間t7までは、圧縮機4の回転数は2200rpmなので、この期間は目標温度Xを−1.5℃に設定しているものである。
続いて、時間t7から時間t8にかけて、負荷端末15での暖房負荷が3kWから徐々に増加していくと、制御手段21は圧縮機4の回転数を徐々に増加させていく。それと連動して低圧側の冷媒の温度が低下していくものであるが、この時、制御手段21は、冷媒温度センサ10の検出した冷媒の温度が目標温度Xより低いと判断し(前記ステップS5)、地中熱循環ポンプ14の回転数を増加させ(前記ステップS6)、冷媒温度センサ10の検出する冷媒の温度が目標温度Xの−1.5℃になるように制御するものである。次に、時間t8において、制御手段21は、圧縮機4の回転数が図3に示すゾーンz1とゾーンz2の境界である2700rpmを越えて上がったことを検知すると、目標温度Xを−1.5℃から0℃に変更するものである。
そして、時間t8から時間t9にかけて、暖房負荷が徐々に増加していき、制御手段21は圧縮機4の回転数を徐々に増加させるが、この期間の圧縮機4の回転数は図3に示すゾーンz2に含まれる回転数なので、目標温度Xの設定は0℃のままである。また、この期間、制御手段21は、冷媒温度センサ10の検出した冷媒の温度が目標温度Xの0℃より低いと判断し(前記ステップS5)、地中熱循環ポンプ14の回転数を増加させ(前記ステップS6)、冷媒温度センサ10の検出する冷媒の温度が目標温度Xの0℃になるように制御するものである。次に、時間t9において、制御手段21は、圧縮機4の回転数が図3に示すゾーンz2とゾーンz3の境界である3600rpmを越えて上がったことを検知すると、目標温度Xを0℃から2℃に変更するものである。
続いて、時間t9から時間t10の間に、圧縮機4の回転数が4500rpmまで増加するが、4500rpmは図3に示すゾーンz3に含まれる回転数なので、目標温度Xの設定は2℃のままである。この期間、制御手段21は、冷媒温度センサ10の検出した冷媒の温度が目標温度Xの2℃より低いと判断し(前記ステップS5)、地中熱循環ポンプ14の回転数を増加させ(前記ステップS6)、冷媒温度センサ10の検出する冷媒の温度が目標温度Xの2℃になるように制御するものであり、時間t10において、制御手段21が冷媒温度センサ10で検出した冷媒の温度が目標温度Xと同温度の2℃であると判断すると(前記ステップS3)、地中熱循環ポンプ14の回転数を3500rpmに維持する(前記ステップS4)。時間t10から時間t11までは、圧縮機4の回転数は4500rpmなので、この期間は目標温度Xが2℃に設定されており、冷媒温度センサ10で検出する冷媒の温度は目標温度Xと同温度の2℃であり、地中熱循環ポンプ14の回転数が3500rpmに維持されるものであり、前記リモコンから暖房運転の停止指示がなされるまで、図4のタイムチャートに示したような動作で暖房運転を行うものである。
なお、上述の暖房運転において、制御手段21は、冷媒温度センサ10の検出する冷媒温度を監視することで、暖房負荷の変動を素早く把握することができたが、例えば暖房負荷に変動がなく一定の状態で推移している時に、地中の熱を連続して採熱したために地中の温度が低下してきた場合においても、冷媒温度センサ10の検出する冷媒温度は低下するので、制御手段21は、冷媒温度センサ10の検出する冷媒温度を監視することで、地中の温度の変動、すなわち採熱出力の変動も素早く把握することができ、その場合も制御手段21は、冷媒温度センサ10の検出する冷媒温度が所定の目標温度Xになるように地中熱循環ポンプ14の回転数を制御するものである。
以上説明した暖房運転において、制御手段21が、冷媒温度センサ10の検出する温度が所定の目標温度Xになるように地中熱循環ポンプ14の回転数を制御し、地中熱循環回路13を循環する熱媒の流量を調整することで、最適な採熱を行わせて所望の暖房負荷を出力するまでの時間を短縮することができ、ヒートポンプ装置のシステムCOPを高く維持したまま暖房運転を行うことができ、さらに、制御手段21は、低圧側の冷媒の目標温度を、圧縮機4の回転数に応じて所定の目標温度Xに設定することで、暖房負荷に応じた最適な採熱を実行しつつ、地中熱循環ポンプ14の消費電力を抑えることができ、ヒートポンプ装置のシステムCOP(=「暖房負荷÷(圧縮機4消費電力+地中熱循環ポンプ14消費電力」とする)を向上させることができるものである。
また、図4のタイムチャートと図5のタイムチャートとの比較から分かるように、図4のタイムチャートの時間t0〜時間t7のように、暖房負荷の減少に伴い、圧縮機4の回転数が下がるにつれて、前記所定の目標温度Xの設定を下げるようにしたことで、所望の暖房負荷に対して地中からの採熱量を減らし、地中熱循環ポンプ14の回転数を減少させることができ、暖房負荷に対して地中からの採熱量が過剰な状態、すなわち、地中熱循環ポンプ14が過剰に回転する状態がなく、特に、暖房負荷が低負荷の時に、最適な採熱を行わせつつ地中熱循環ポンプ14の消費電力を従来よりも抑えることができ、システムCOPを向上させることができるものである。
また、本発明は上記の一実施形態に限定されるものではなく、本実施形態では、圧縮機4の回転数に応じて所定の目標温度を設定するようにしたが、圧縮機4の回転数の代わりに圧縮機4の周波数を用いて、圧縮機4の周波数に応じて所定の目標温度を設定するようにしてもよいものである。
また、本実施形態では、圧縮機4の回転数に応じて3つ目標温度を設定できるようにしたが、3つに限定する必要はなく、圧縮機4の回転数に応じた目標温度を必要分用意すればよいものである。
また、本実施形態では、負荷側熱交換器5で熱交換して加熱された循環液を床暖房パネル等の負荷端末15に供給することにより被空調空間である室内を暖房する暖房運転時に本発明の制御を適用したが、一般的にエアコンと呼ばれるような、被空調空間である室内に設置された空調用室内機に直接的に圧縮機4から吐出された高温高圧冷媒を供給して室内を暖房するものにおいて、暖房運転時に本発明の制御を適用してもよいものであり、本発明の要旨を変更しない範囲で様々な変形が可能であり、これを妨げるものではない。
また、本実施形態では、熱媒循環式の熱源部として、地中熱を地中熱交換器11で採熱する熱源熱交換部2を採用したが、熱源部としては、川・湖・海の水を循環させて熱源側熱交換器7の冷媒を加熱するような熱媒循環式のものでもよく、さらに、貯湯タンクに貯湯された湯水を直接的または間接的に利用、または井戸水を直接的または間接的に利用して熱源側熱交換器7の冷媒を加熱するような熱媒循環式のものでもよく、本発明の要旨を変更しない範囲で様々な変形が可能であり、これを妨げるものではない。
次に、図6に示すこの発明の他の実施形態のヒートポンプ装置について説明するが、この実施形態は先に説明した一実施形態と同じ構成についての説明は省略し、相違点についてのみ説明すると、負荷熱交換部3が空調用の室内機で、被空調空間を冷房するものであり、負荷熱交換部3としての室内機には、室内の空調を行う負荷側熱交換器5と、負荷側熱交換器5に送風し負荷側熱交換器5の放熱を行って室内に供給する送風ファン22とが備えられ、負荷熱交換部3としての室内機によって冷房される被空調空間には、リモコン(図示せず)が設置されており、このリモコンにより被空調空間の冷房の指示がなされると、圧縮機4の駆動を開始させ、負荷側熱交換器5を蒸発器として機能させて負荷側を冷却する負荷運転としての冷房運転が行われる。冷房運転の際、負荷側熱交換器5では、膨張弁6から吐出された低温低圧冷媒と送風ファン22の駆動により送風される被空調空間の空気とで熱交換が行われ、負荷側熱交換器5にて冷却された空気は被空調空間に送られ、リモコンにより指示を受けた被空調空間を冷房するものである。なお、本実施形態のヒートポンプ装置における熱源熱交換部3は、熱源側熱交換器7の冷媒を冷却する熱媒循環式のものであり、また、冷媒温度センサ10は、凝縮器として機能する熱源側熱交換器7の出口と膨張弁6の入口とを接続する冷媒配管8、つまり高圧側の冷媒配管8に設けられ、熱源側熱交換器7を流出し膨張弁6に流入するまでの冷媒の温度を検出するものとなる。
ここで、前記冷房運転の際、熱源熱交換部2の熱源側熱交換器7では、圧縮機4から吐出された高温高圧の冷媒と、地中熱循環ポンプ14の駆動により地中熱循環回路13を循環する熱媒とが対向して流れて熱交換が行われ、熱源側熱交換器7を凝縮器として機能させて熱源熱交換部2側に熱を与え、その熱を帯びた熱媒が地中熱交換器11に供給され、地中熱交換器11により地中に放熱されるものである。
次に、図6に示す他の実施形態の冷房運転時の動作について図7に示すフローチャートに基づき説明する。
前記リモコンにより負荷熱交換部3としての室内機による被空調空間の冷房の指示がなされると、前記制御手段21は圧縮機4、地中熱循環ポンプ14、送風ファン22を駆動させ、冷房運転を開始させ、負荷側熱交換器5では送風ファンにより送風される被空調空間の空気と膨張弁6から吐出された低温低圧の冷媒とが熱交換され、冷却された空気が被空調空間に供給され被空調空間の冷房が行われると共に、熱源側熱交換器7では、圧縮機4から吐出された高温高圧の冷媒と地中熱循環ポンプ14により循環された熱媒(不凍液)とが熱交換され、その熱を帯びた熱媒が地中熱交換器11に供給され、地中熱交換器11により地中に放熱されるものである。
前記冷房運転中、制御手段21は、後述する設定方法に基づき、圧縮機4の回転数に応じて高圧側の冷媒の目標温度を所定の目標温度Yに設定し(ステップS8)、冷媒温度センサ10で高圧側の冷媒の温度を検出し(ステップS9)、検出した冷媒の温度と前記所定の目標温度Yとの比較を行うものである(ステップS10)。
前記ステップS10で、制御手段21は、冷媒温度センサ10の検出した冷媒の温度が所定の目標温度Yであると判断したら、それまでの地中熱循環ポンプ14の回転数を維持するように制御して地中熱循環回路13を循環する熱媒の循環流量を一定に保つようにし(ステップS11)、前記ステップS8の処理に戻るものである。
また、前記ステップS10にて、制御手段21は、冷媒温度センサ10の検出した冷媒の温度が所定の目標温度Yでないと判断したら、冷媒温度センサ10の検出した冷媒の温度が所定の目標温度Yより低いか否か判断し(ステップS12)、冷媒温度センサ10の検出した冷媒の温度が所定の目標温度Yより低いと判断したら、地中熱循環ポンプ14の回転数を所定回転数減少させ、地中熱循環回路13を循環する熱媒の循環流量を減少させ(ステップS13)、前記ステップS8の処理に戻るものである。一方、前記ステップS12にて、制御手段21は、冷媒温度センサ10の検出した冷媒の温度が所定の目標温度Yより高いと判断したら、地中熱循環ポンプ14の回転数を所定回転数増加させ、地中熱循環回路13を循環する熱媒の循環流量を増加させ(ステップS14)、前記ステップS8の処理に戻るものである。
ここで、前記ステップS8における所定の目標温度Yの設定方法について説明すると、図8に示すように、圧縮機4の回転数に応じた複数のゾーンz4〜z6を設け、各々のゾーンz4〜z6に所定の目標温度Yが設定されており、例えば、太線γより下の領域であるゾーンz4では前記目標温度Yを31℃、太線γと太線δとで挟まれた領域であるゾーンz5では前記目標温度Yを29℃、太線δより上の領域であるゾーンz6では前記目標温度Yを27.5℃とした場合、前記冷房運転中に、圧縮機4が2200rpmで回転しているときは、圧縮機4の回転数はゾーンz4に含まれるので、制御手段21は所定の目標温度Yを31℃に設定し、圧縮機4が3000rpmで回転しているときは、圧縮機4の回転数はゾーンz5に含まれるので、制御手段21は所定の目標温度Yを29℃に設定し、圧縮機4が4500rpmで回転しているときは、圧縮機4の回転数はゾーンz6に含まれるので、制御手段21は所定の目標温度Yを27.5℃に設定するものである。
また、図8に示した上向き矢印u3のように、ゾーンz4に含まれる回転数で回転していた圧縮機4の回転数が、冷房負荷の増加に伴い、ゾーンz4とゾーンz5の境界線である太線γを越えてゾーンz5に含まれる回転数に上がる場合、すなわち、2200rpmで回転していた圧縮機4の回転数が、冷房負荷の増加に伴い、ゾーンz4とゾーンz5の境界である2700rpmを越えて、3000rpmに上がった場合、所定の目標温度Yは、31℃から29℃に変更されるものであり、さらに、図8に示した上向き矢印u4のように、ゾーンz5に含まれる回転数で回転していた圧縮機4の回転数が、冷房負荷の増加に伴い、ゾーンz5とゾーンz6の境界線である太線δを越えてゾーンz6に含まれる回転数に上がる場合、すなわち、3000rpmで回転していた圧縮機4の回転数が、冷房負荷の増加に伴い、ゾーンz5とゾーンz6の境界である3600rpmを越えて、4500rpmに上がった場合、所定の目標温度Yは、29℃から27.5℃に変更されるものである。
逆に、図8に示した下向き矢印d3のように、ゾーンz6に含まれる回転数で回転していた圧縮機4の回転数が、冷房負荷の減少に伴い、ゾーンz6とゾーンz5の境界線である太線δを越えてゾーンz5に含まれる回転数に下がる場合、すなわち、4500rpmで回転していた圧縮機4の回転数が、冷房負荷の減少に伴い、ゾーンz6とゾーンz5の境界である3300rpmを越えて、3000rpmに下がった場合、所定の目標温度Yは、27.5℃から29℃に変更されるものであり、さらに、図8に示した下向き矢印d4のように、ゾーンz5に含まれる回転数で回転していた圧縮機4の回転数が、冷房負荷の減少に伴い、ゾーンz5とゾーンz4の境界線である太線γを越えてゾーンz4に含まれる回転数に下がる場合、すなわち、3000rpmで回転していた圧縮機4の回転数が、冷房負荷の減少に伴い、ゾーンz5とゾーンz4の境界である2400rpmを越えて、2200rpmに下がった場合、所定の目標温度Yは、29℃から31℃に変更されるものである。なお、前記制御手段21には、この図8に示した圧縮機4の回転数と所定の目標温度Yとの関係が予め記憶されており、冷房運転中はその情報を基に、圧縮機4の回転数に応じて所定の目標温度Yを設定しているものである。
次に、他の実施形態のヒートポンプ装置における冷房運転の動作を、先に説明した図7の制御を交えて図9のタイムチャートを用いて説明する。ここで、図9のタイムチャートにおいて、時間t0は冷房運転を開始した時間ではなく、冷房運転がある程度行われ安定した後の任意の時間とする。なお、図10のタイムチャートは、図12に示した従来のヒートポンプ装置で冷房運転を行った場合のタイムチャートで、図9のタイムチャートとの比較に用いるものであり、図10のタイムチャートにおいて、時間t0は冷房運転を開始した時間ではなく、冷房運転がある程度行われ安定した後の任意の時間とし、時間t0〜時間t12は図9のタイムチャートの時間t0〜t12と同タイミングを表しているものである。また、図10のタイムチャート中において、熱源側熱交換器7を流出し膨張弁6に流入するまでの高圧側の冷媒の目標温度は固定の温度(27.5℃)に設定してあるものとする。
まず、図9中の前記冷房運転がある程度行われ安定した後の時間t0において、制御手段21は圧縮機4の回転数を4500rpmで制御しており、制御手段21は、この時の前記高圧側の冷媒の目標温度Yを、図8に示した圧縮機4と目標温度との関係から27.5℃に設定し(前記ステップS8)、冷媒温度センサ10で高圧側の冷媒の温度を検出し(前記ステップS9)、冷媒温度センサ10で検出した冷媒の温度が27.5℃であるか否かを判断し(前記ステップS10)、検出した冷媒の温度が27.5℃であるので、地中熱循環ポンプ14の回転数をそれまでの回転数である3500rpmに維持する(前記ステップS11)。時間t0から時間t1までは、圧縮機4の回転数は4500rpmなので、この期間は目標温度Yを27.5℃に設定しているものである。
続いて、時間t1から時間t2にかけて、負荷端末15での冷房負荷が5kWから徐々に減少していくと、制御手段21は圧縮機4の回転数を徐々に減少させていく。それと連動して高圧側の冷媒の温度が低下していくものであるが、この時、制御手段21は、冷媒温度センサ10の検出した冷媒の温度が目標温度Yより低いと判断し(前記ステップS12)、地中熱循環ポンプ14の回転数を減少させ(前記ステップS13)、冷媒温度センサ10の検出する冷媒の温度が目標温度Yの27.5℃になるように制御するものである。次に、時間t2において、制御手段21は、圧縮機4の回転数が図8に示すゾーンz6とゾーンz5の境界である3300rpmを越えて下がったことを検知すると、目標温度Yを27.5℃から29℃に変更するものである。
そして、時間t2から時間t3の間に、圧縮機4の回転数が3000rpmまで減少するが、3000rpmは図8に示すゾーンz5に含まれる回転数なので、目標温度Yの設定は29℃のままである。この期間、制御手段21は、冷媒温度センサ10の検出した冷媒の温度が目標温度Yの29℃より低いと判断し(前記ステップS12)、地中熱循環ポンプ14の回転数を減少させ(前記ステップS13)、冷媒温度センサ10の検出する冷媒の温度が目標温度Yの29℃になるように制御するものであり、時間t3において、制御手段21が冷媒温度センサ10で検出した冷媒の温度が目標温度Yと同温度の29℃であると判断すると(前記ステップS10)、地中熱循環ポンプ14の回転数を2500rpmに維持する(前記ステップS11)。時間t3から時間t4までは、圧縮機4の回転数は3000rpmなので、この期間は目標温度Yを29℃に設定しているものである。
続いて、時間t4から時間t5にかけて、負荷端末15での冷房負荷が4kWから徐々に減少していくと、制御手段21は圧縮機4の回転数を徐々に減少させていく。それと連動して高圧側の冷媒の温度が低下していくものであるが、この時、制御手段21は、冷媒温度センサ10の検出した冷媒の温度が目標温度Yより低いと判断し(前記ステップS12)、地中熱循環ポンプ14の回転数を減少させ(前記ステップS13)、冷媒温度センサ10の検出する冷媒の温度が目標温度Yの29℃になるように制御するものである。次に、時間t5において、制御手段21は、圧縮機4の回転数が図8に示すゾーンz5とゾーンz4の境界である2400rpmを越えて下がったことを検知すると、目標温度Yを29℃から31℃に変更するものである。
そして、時間t5から時間t6の間に、圧縮機4の回転数が2200rpmまで減少するが、2200rpmは図8に示すゾーンz4に含まれる回転数なので、目標温度Yの設定は31℃のままである。この期間、制御手段21は、冷媒温度センサ10の検出した冷媒の温度が目標温度Yの31℃より低いと判断し(前記ステップS12)、地中熱循環ポンプ14の回転数を減少させ(前記ステップS13)、冷媒温度センサ10の検出する冷媒の温度が目標温度Yの31℃になるように制御するものであり、時間t6において、制御手段21が冷媒温度センサ10で検出した冷媒の温度が目標温度Yと同温度の31℃であると判断すると(前記ステップS10)、地中熱循環ポンプ14の回転数を1500rpmに維持する(前記ステップS11)。時間t6から時間t7までは、圧縮機4の回転数は2200rpmなので、この期間は目標温度Yを31℃に設定しているものである。
続いて、時間t7から時間t8にかけて、負荷端末15での冷房負荷が3kWから徐々に増加していくと、制御手段21は圧縮機4の回転数を徐々に増加させていく。それと連動して高圧側の冷媒の温度が上昇していくものであるが、この時、制御手段21は、冷媒温度センサ10の検出した冷媒の温度が目標温度Yより高いと判断し(前記ステップS12)、地中熱循環ポンプ14の回転数を増加させ(前記ステップS14)、冷媒温度センサ10の検出する冷媒の温度が目標温度Yの31℃になるように制御するものである。次に、時間t8において、制御手段21は、圧縮機4の回転数が図8に示すゾーンz4とゾーンz5の境界である2700rpmを越えて上がったことを検知すると、目標温度Yを31℃から29℃に変更するものである。
そして、時間t8から時間t9にかけて、冷房負荷が徐々に増加していき、制御手段21は圧縮機4の回転数を徐々に増加させるが、この期間の圧縮機4の回転数は図8に示すゾーンz5に含まれる回転数なので、目標温度Yの設定は29℃のままである。また、この期間、制御手段21は、冷媒温度センサ10の検出した冷媒の温度が目標温度Yの29℃より高いと判断し(前記ステップS12)、地中熱循環ポンプ14の回転数を増加させ(前記ステップS14)、冷媒温度センサ10の検出する冷媒の温度が目標温度Yの29℃になるように制御するものである。次に、時間t9において、制御手段21は、圧縮機4の回転数が図8に示すゾーンz5とゾーンz6の境界である3600rpmを越えて上がったことを検知すると、目標温度Yを29℃から27.5℃に変更するものである。
続いて、時間t9から時間t10の間に、圧縮機4の回転数が4500rpmまで増加するが、4500rpmは図8に示すゾーンz6に含まれる回転数なので、目標温度Yの設定は27.5℃のままである。この期間、制御手段21は、冷媒温度センサ10の検出した冷媒の温度が目標温度Yの27.5℃より高いと判断し(前記ステップS12)、地中熱循環ポンプ14の回転数を増加させ(前記ステップS14)、冷媒温度センサ10の検出する冷媒の温度が目標温度Yの27.5℃になるように制御するものであり、時間t10において、制御手段21が冷媒温度センサ10で検出した冷媒の温度が目標温度Yと同温度の27.5℃であると判断すると(前記ステップS10)、地中熱循環ポンプ14の回転数を3500rpmに維持する(前記ステップS11)。時間t10から時間t11までは、圧縮機4の回転数は4500rpmなので、この期間は目標温度Yが27.5℃に設定されており、冷媒温度センサ10で検出する冷媒の温度は目標温度Yと同温度の27.5℃であり、地中熱循環ポンプ14の回転数が3500rpmに維持されるものであり、前記リモコンから冷房運転の停止指示がなされるまで、図9のタイムチャートに示したような動作で冷房運転を行うものである。
なお、上述の冷房運転において、制御手段21は、冷媒温度センサ10の検出する冷媒温度を監視することで、冷房負荷の変動を素早く把握することができ、冷媒温度センサ10の検出する冷媒温度が所定の目標温度Yになるように地中熱循環ポンプ14の回転数を制御するものである。
以上説明した冷房運転において、制御手段21が、冷媒温度センサ10の検出する温度が所定の目標温度Yになるように地中熱循環ポンプ14の回転数を制御し、地中熱循環回路13を循環する熱媒の流量を調整することで、最適な放熱を行わせて所望の冷房負荷を出力するまでの時間を短縮することができ、ヒートポンプ装置のシステムCOPを高く維持したまま冷房運転を行うことができ、さらに、制御手段21は、熱源側熱交換器7を流出し膨張弁6に流入するまでの高圧側の冷媒の目標温度を、圧縮機4の回転数に応じて所定の目標温度Yに設定したことで、冷房負荷に応じた最適な放熱を実行しつつ、地中熱循環ポンプ14の消費電力を抑えることができ、ヒートポンプ装置のシステムCOP(=「冷房負荷÷(圧縮機4消費電力+地中熱循環ポンプ14消費電力」とする)を向上させることができるものである。
また、図9のタイムチャートと図10のタイムチャートとの比較から分かるように、図9のタイムチャートの時間t0〜時間t7のように、冷房負荷の減少に伴い、圧縮機4の回転数が下がるにつれて、前記所定の目標温度Yの設定を上げるようにしたことで、所望の冷房負荷に対して地中への放熱量を減らし、地中熱循環ポンプ14の回転数を減少させることができ、冷房負荷に対して地中への放熱量が過剰な状態、すなわち、地中熱循環ポンプ14が過剰に回転する状態がなく、特に、冷房負荷が低負荷の時に、最適な放熱を行わせつつ地中熱循環ポンプ14の消費電力を従来よりも抑えることができ、システムCOPを向上させることができるものである。
また、本発明は上記の他の実施形態に限定されるものではなく、本実施形態では、圧縮機4の回転数に応じて所定の目標温度を設定するようにしたが、圧縮機4の回転数の代わりに圧縮機4の周波数を用いて、圧縮機4の周波数に応じて所定の目標温度を設定するようにしてもよいものである。
また、本実施形態では、圧縮機4の回転数に応じて3つ目標温度を設定できるようにしたが、3つに限定する必要はなく、圧縮機4の回転数に応じた目標温度を必要分用意すればよいものである。
また、本実施形態では、負荷熱交換部3としての室内機の負荷側熱交換器5にて膨張弁6から吐出された冷媒と被空調空間の空気とで直接熱交換して被空調空間を冷却する冷房運転をするものにおいて、本発明の制御を適用したが、本発明は上記の他の実施形態に限定されるものではなく、負荷熱交換部3を熱媒循環式のものとして、負荷側熱交換器5で膨張弁6から吐出された冷媒と負荷熱交換部3側の循環液とで熱交換して、循環液を循環させて負荷端末により被空調空間である室内を冷却する冷房運転を行うものにおいても、本制御を適用してもよいものであり、本発明の要旨を変更しない範囲で様々な変形が可能であり、これを妨げるものではない。
また、本実施形態では、熱媒循環式の熱源部として、地中熱交換器11を介して地中に熱を放熱する熱源熱交換部2を採用したが、熱源部としては、川・湖・海の水を循環させて熱源側熱交換器7の冷媒を冷却するような熱媒循環式のものでもよく、さらに、貯湯タンクに貯湯された湯水を直接的または間接的に利用、または井戸水を直接的または間接的に利用して熱源側熱交換器7の冷媒を冷却するような熱媒循環式のものでもよく、本発明の要旨を変更しない範囲で様々な変形が可能であり、これを妨げるものではない。
また、先に説明した本発明の一実施形態では、負荷側を加熱する暖房運転等の負荷運転のみが行えるヒートポンプ装置を示し、本発明の他の実施形態では、負荷側を冷却する冷房運転等の負荷運転のみが行えるヒートポンプ装置を示したが、図11に示すように、ヒートポンプ回路9に四方弁23を備え、四方弁23の切り替えにより、負荷側を加熱する暖房運転等の負荷運転と負荷側を冷却する冷房運転等の負荷運転との両方が行えるようなヒートポンプ装置において、暖房運転等の負荷運転時に一実施形態で説明した本発明の制御を、冷房運転等の負荷運転時に他の実施形態で説明した本発明の制御を適用してもよいものである。