以下、本発明の一実施形態を図1〜図14に基づいて説明する。
本実施形態は、本発明を複合熱源型のヒートポンプ装置に適用した場合の実施形態である。本実施形態のヒートポンプ装置1の主要なユニットの外観構成を図1に示す。図1において、本実施形態のヒートポンプ装置1は、地中熱ヒートポンプユニット4と、空気熱ヒートポンプユニット5と、熱交換端末36に循環液L(例えば、水や不凍液)を循環させる、負荷側回路としての端末循環回路30と、熱源接続路としての地中熱循環回路20とを有している。
本実施形態のヒートポンプ装置1全体の回路構成を図2に示す。図2に示すように、前記ヒートポンプ装置1は、前記地中熱ヒートポンプユニット4に備えられ、地中熱源を利用して前記熱交換端末36側の循環液Lを加熱又は冷却可能な第1ヒートポンプ回路40と、前記空気熱ヒートポンプユニット5に備えられ、空気熱源を利用して前記熱交換端末36側の循環液Lを加熱又は冷却可能な第2ヒートポンプ回路50と、前記端末循環回路30と、前記地中熱循環回路20とを有している。
図2において、第1ヒートポンプ回路40は、能力可変の第1圧縮機43と、負荷側熱交換器としての第1熱交換器41と、減圧手段としての第1膨張弁44と、熱源側熱交換器としての地中熱源熱交換器45とが、第1冷媒配管42によって環状に接続されている。この第1冷媒配管42には、前記第1ヒートポンプ回路40における第1冷媒C1(後述の図3及び図4参照)の流れ方向を切り換える切換弁としての四方弁46が設けられている。
前記第1熱交換器41及び前記地中熱源熱交換器45は、例えばプレート式熱交換器で構成されている。このプレート式熱交換器は、複数の伝熱プレートが積層され、第1冷媒C1を流通させる冷媒流路と熱媒である前記循環液Lを流通させる流体流路とが各伝熱プレートを境にして交互に形成されているものである。
また、第1圧縮機43から吐出された第1冷媒C1の温度は、吐出温度検出手段としての第1冷媒吐出温度センサ42aによって検出される。同様に、第1熱交換器45から第1膨張弁44を介して地中熱源熱交換器45に至るまでの第1冷媒配管42に設けられた冷媒温度センサ42c,42bのうち、第1膨張弁44から地中熱源熱交換器45までの第1冷媒配管42に設けられた冷媒温度検出手段としての第1冷媒温度センサ42bによって、低圧側(暖房時)又は高圧側(冷房時)の第1冷媒C1の温度が検出される。前記第1冷媒吐出温度センサ42a及び前記第1冷媒温度センサ42bの検出結果は、前記地中熱制御装置61へ入力される。
第2ヒートポンプ回路50は、能力可変の第2圧縮機53と、第2熱交換器51と、第2膨張弁54と、空気熱源熱交換器55とが、第2冷媒配管52によって環状に接続されている。この第2冷媒配管52には、前記第2ヒートポンプ回路50における第2冷媒C2(後述の図3及び図4参照)の流れ方向を切り換える切換弁としての四方弁58が設けられている。
前記第2熱交換器51は、前述と同様、例えばプレート式熱交換器で構成されており、前記第2冷媒C2を流通させる冷媒流路と前記循環液Lを流通させる流体流路とが各伝熱プレートを境にして交互に形成されているものである。
また、第2圧縮機53から吐出された第2冷媒C2の温度は、第2冷媒吐出温度センサ52aによって検出される。同様に、第2膨張弁54から空気熱源熱交換器55までの第2冷媒配管52に設けられた第2冷媒温度センサ52bによって、低圧側(暖房時)又は高圧側(冷房時)の第2冷媒C2の温度が検出される。さらに、外気の温度が、外気温センサ57によって検出される。前記第2冷媒吐出温度センサ52a及び前記外気温度センサ57の検出結果は、空気熱制御装置62へ入力される。
なお、前記第1ヒートポンプ回路40の前記第1冷媒C1、および、前記第2ヒートポンプ回路50の前記第2冷媒C2としては、例えばR410AやR32等のHFC冷媒や二酸化炭素冷媒等の任意の冷媒を用いることができる。
地中熱循環回路20は、回転速度(単位時間当たりの回転数)可変の熱源側循環ポンプとしての地中熱循環ポンプ22と、熱源側熱交換器としての地中熱源熱交換器45と、地中熱源熱交換器45を流通する前記第1冷媒C1と熱交換する熱源として(この例では地中に)設置された地中熱交換器23とが、熱媒配管としての地中熱配管21によって環状に接続されている。この地中熱配管21には、前記地中熱循環ポンプ22によって、エチレングリコールやプロピレングリコール等を添加した不凍液が熱媒H1(後述の図3及び図4参照)として循環されるとともに、前記熱媒H1を貯留し地中熱循環回路20の圧力を調整する地中用シスターン24が設けられている。なお、地中熱交換器23は、地中に設けられるのには限られず、例えば湖沼、貯水池、河川、海、温泉、井戸等の、比較的大容量の水源中に設けられ、それらから採熱するようにしてもよい。
端末循環回路30は、前記第1熱交換器41と、前記第2熱交換器51と、ファンコイルや床暖房パネルやパネルコンベクタ等の負荷端末としての熱交換端末36とが、循環液配管としての負荷配管31によって上流側から順に環状に接続されている。この負荷配管31には、端末循環回路30に前記循環液Lを循環させる負荷側循環ポンプとしての循環液循環ポンプ32と、循環液Lを貯留し端末循環回路30の圧力を調整する暖房用シスターン35とが設けられている。前記循環液循環ポンプ32は、この例では、定速(一定回転数)にて回転するように構成されている。また、前記熱交換端末36は、端末用リモコン60bによって操作可能である。なお、熱交換端末36は、図2では1つ設けられているが、2つ以上であってもよく、数量や仕様が特に限定されるものではない。
このとき、端末循環回路30においては、前記第1熱交換器41と前記第2熱交換器51とが直列に接続されており、かつ、前記したように、端末循環回路30を循環する循環液Lの流れに対して、前記第1熱交換器41が前記第2熱交換器51よりも上流側に配設されている。すなわち、前記ヒートポンプ装置1は、地中熱源を利用して熱交換端末36側の循環液Lを加熱又は冷却する第1ヒートポンプ回路40の第1熱交換器41と、空気熱源を利用して熱交換端末36側の循環液Lを加熱又は冷却する第2ヒートポンプ回路50の第2熱交換器51とが、端末循環回路30に対して直列に接続された、複合熱源ヒートポンプ装置となっているものである。
なお、負荷配管31には、熱交換端末36から第1熱交換器41に流入する循環液Lの温度を検出する、循環液温度検出手段としての戻り温水温度センサ34が設けられており、その検出結果は、前記地中熱制御装置61及び前記空気熱制御装置62へ入力される。なお、空気熱制御装置62は、戻り温水温度センサ34に直接接続されず、前記地中熱制御装置61を介して戻り温水温度センサ34の検出結果を取得する構成でもよい。
ここで、前記ヒートポンプ装置1は、前記の四方弁46,58の切替によって暖房運転を行う暖房装置、若しくは、冷房運転を行う冷房装置、として選択的に機能させることができる。次に、図3及び図4を用いてこの暖房運転及び冷房運転について説明する。
図3に、暖房運転時の状態を示す。なお、図示の煩雑を防止するために、図2に示していた各種の信号線は省略している。この図3に示す暖房運転時においては、前記第1ヒートポンプ回路40では、図示のように前記四方弁46が切り替えられることで、第1圧縮機43から吐出された第1冷媒C1を、第1熱交換器41、第1膨張弁44、地中熱源熱交換器45の順に流通させた後、第1圧縮機43に戻す流路を形成する。これにより、低温・低圧で吸入されたガス状態の第1冷媒C1が前記第1圧縮機43で圧縮されて高温・高圧のガスとなった(後述の図9の点A→点B参照)後、凝縮器として機能する前記第1熱交換器41において、前記端末循環回路30を流れる循環液Lと熱交換を行って前記循環液Lに熱を放出し加熱しながら高圧の液体に変化する(後述の図9の点B→点C参照)。こうして液体となった第1冷媒C1は前記第1膨張弁44において減圧されて低圧の液体となって蒸発しやすい状態となり(後述の図9の点C→点D参照)、蒸発器として機能する前記地中熱源熱交換器45において、前記地中熱循環回路20を流れる熱媒H1と熱交換を行って蒸発してガスに変化することで吸熱し(後述の図9の点D→点A参照)、低温・低圧のガスとして再び前記第1圧縮機43へと戻る。
一方、前記第2ヒートポンプ回路50では、図示のように前記四方弁58が切り替えられることで、第2圧縮機53から吐出された第2冷媒C2を、第2熱交換器51、第2膨張弁54、空気熱源熱交換器55の順に流通させた後、第2圧縮機53に戻す流路を形成する。これにより、低温・低圧で吸入されたガス状態の第2冷媒C2が前記第2圧縮機53で圧縮されて高温・高圧のガスとなった後、凝縮器として機能する前記第2熱交換器51において、前記端末循環回路30を流れる循環液Lとの熱交換を行って前記循環液Lに熱を放出し加熱しながら高圧の液体に変化する。こうして液体となった第2冷媒C2は第2膨張弁54において減圧されて低圧の液体となって蒸発しやすい状態となり、蒸発器として機能する前記空気熱源熱交換器55において、送風ファン56の作動により送られる空気と熱交換を行って蒸発してガスに変化することで吸熱し、低温・低圧のガスとして再び前記第2圧縮機53へと戻る。
また、地中熱循環回路20では、地中熱交換器23によって地中から地中熱が採熱され、その熱を帯びた前記熱媒H1が地中熱循環ポンプ22により地中熱源熱交換器45に供給される。そして、蒸発器として機能する前記地中熱源熱交換器45において、地中熱源熱交換器45の冷媒流路を流通する前記第1冷媒C1と、地中熱源熱交換器45の流体流路を流通する前記熱媒H1とが対向して流れて熱交換が行われ、地中熱交換器23にて採熱された地中熱が第1冷媒C1側に汲み上げられ前記のように第1冷媒C1が加熱される。
また、端末循環回路30では、循環液循環ポンプ32により前記第1熱交換器41に流入した循環液Lは、凝縮器として機能する前記第1熱交換器41において、地中熱循環回路20の熱媒H1と熱交換し前記のように加熱された前記第1冷媒C1との熱交換を行って加熱された後、凝縮器として機能する前記第2熱交換器51において、前記空気熱源熱交換器55で外気と熱交換し前記のように加熱された前記第2冷媒C2との熱交換を行ってさらに加熱される。こうして加熱された前記循環液Lは、その後、前記熱交換端末36に供給されて被空調空間を加熱する。
なお、上記においては、地中熱ヒートポンプユニット4および空気熱ヒートポンプユニット5の両方を動作させた暖房運転時の状態を図3に示して説明したが、これに限られない。すなわち、地中熱ヒートポンプユニット4単体のみを動作させての暖房運転(後述の図7及び図10参照)や、空気熱ヒートポンプユニット5単体のみを動作させての暖房運転も可能なものである。
図4に、冷房運転時の状態を示す。なお、図示の煩雑を防止するために、図2に示していた各種の信号線は省略している。この図4に示す冷房運転時においては、前記第1ヒートポンプ回路40では、図示のように前記四方弁46が切り替えられることで、第1圧縮機43から吐出された第1冷媒C1を、地中熱源熱交換器45、第1膨張弁44、第1熱交換器41の順に流通させた後、第1圧縮機43に戻す流路を形成する。これにより、低温・低圧で吸入されたガス状態の第1冷媒C1が前記第1圧縮機43で圧縮されて高温・高圧のガスとなった後、凝縮器として機能する前記地中熱源交換機45において、前記地中熱循環回路20を流れる熱媒H1と熱交換を行って前記熱媒H1に熱を放出しながら高圧の液体に変化する。こうして液体となった第1冷媒C1は前記第1膨張弁44において減圧されて低圧の液体となって蒸発しやすい状態となり、蒸発器として機能する前記第1熱交換器41において、前記端末循環回路30を流れる循環液Lと熱交換を行って蒸発してガスに変化することで吸熱し前記循環液Lを冷却した後、低温・低圧のガスとして再び前記第1圧縮機43へと戻る。
一方、前記第2ヒートポンプ回路50では、図示のように前記四方弁58が切り替えられることで、第2圧縮機53から吐出された第2冷媒C2を、空気熱源熱交換器55、第2膨張弁54、第2熱交換器51の順に流通させた後、第2圧縮機53に戻す流路を形成する。これにより、低温・低圧で吸入されたガス状態の第2冷媒C2が前記第2圧縮機53で圧縮されて高温・高圧のガスとなった後、凝縮器として機能する前記空気熱源熱交換器55において、送風ファン56の作動により送られる空気との熱交換を行って外気へ熱を放出しながら高圧の液体に変化する。こうして液体となった第2冷媒C2は前記第2膨張弁54において減圧されて低圧の液体となって蒸発しやすい状態となり、蒸発器として機能する前記第2熱交換器51において、前記端末循環回路30を流れる循環液Lと熱交換を行って蒸発してガスに変化することで吸熱し前記循環液Lを冷却した後、低温・低圧のガスとして再び前記第2圧縮機53へと戻る。
また、地中熱循環回路20では、前記熱媒H1が地中熱循環ポンプ22により地中熱源熱交換器45に供給される。そして、凝縮器として機能する前記地中熱源熱交換器45において、地中熱源熱交換器45の冷媒流路を流通する前記第1冷媒C1と、地中熱源熱交換器45の流体流路を流通する前記熱媒H1とが対向して流れて熱交換が行われ、高温となっている第1冷媒C1の熱が熱媒H1側に放熱されて第1冷媒C1が冷却された後、熱媒H1の熱は地中熱交換器23によって地中へと放熱される。
また、端末循環回路30では、循環液循環ポンプ32により第1熱交換器41に流入した循環液Lは、蒸発器として機能する前記第1熱交換器41において、地中熱循環回路20の熱媒H1と熱交換し前記のように冷却された前記第1冷媒C1との熱交換を行って冷却された後、蒸発器として機能する前記第2熱交換器51において、前記空気熱源熱交換器55で外気と熱交換し前記のように冷却された前記第2冷媒C2との熱交換を行ってさらに冷却される。こうして冷却された循環液Lは、その後、前記熱交換端末36に供給されて被空調空間を冷却する。
なお、上記においては、地中熱ヒートポンプユニット4および空気熱ヒートポンプユニット5の両方を動作させた冷房運転時の状態を図4に示して説明したが、これに限られない。すなわち、地中熱ヒートポンプユニット4単体のみを動作させての冷房運転(後述の図12及び図13参照)や、空気熱ヒートポンプユニット5単体のみを動作させての冷房運転も可能なものである。
次に、地中熱制御装置61及び空気熱制御装置62について説明する。前記地中熱制御装置61及び前記空気熱制御装置62は、詳細な図示を省略するが、各種のデータやプログラムを記憶する記憶部と、演算・制御処理を行う制御部とを備えている。これら前記地中熱制御装置61及び前記空気熱制御装置62の機能的構成を図5及び図6により説明する。
図5に示すように、前記地中熱制御装置61は、圧縮機制御手段としての圧縮機制御部61Aと、減圧制御手段としての膨張弁制御部61Bと、ポンプ制御手段としてのポンプ制御部61Cとを機能的に備えている。また、地中熱制御装置61は、熱交換端末36に備えられた端末制御装置36a及びメインリモコン60aに対し、通信可能に接続されている(図2参照)。
圧縮機制御部61Aは、前記戻り温水温度センサ34により検出された循環液Lの温度に応じて、前記第1圧縮機43の回転数を制御する。特にこの例では、圧縮機制御部61Aは、前記戻り温水温度センサ34により検出される循環液Lの温度が、例えば前記メインリモコン60aの操作に対応した所望の目標温度となるように、前記第1圧縮機43の回転数を制御する。
膨張弁制御部61Bは、第1冷媒吐出温度センサ42aにより検出される第1冷媒C1の温度に応じて、前記第1膨張弁44の弁開度を制御する。特にこの例では、膨張弁制御部61Bは、第1冷媒吐出温度センサ42aにより検出される第1冷媒C1の温度が、例えば前記メインリモコン60aの操作に対応した制御上の目標温度となるように、前記第1膨張弁44の弁開度を制御する。
ポンプ制御部61Cは、前記第1冷媒温度センサ42bにより検出された第1冷媒C1の温度に応じて、前記地中熱循環ポンプ22の前記回転数を制御する(図2も参照)。特にこの例では、前記ポンプ制御部61Cは、前記第1冷媒温度センサ42bにより検出される前記第1冷媒C1の温度が略一定値となるように、前記地中熱循環ポンプ22の前記回転数を制御する。
図6に示すように、前記空気熱制御装置62は、圧縮機制御部62Aと、膨張弁制御部62Bと、ファン制御部62Cとを機能的に備えている。また空気熱制御装置62は、前記地中熱制御装置61に対し、通信可能に接続されている(図2参照)。
圧縮機制御部62Aは、前記戻り温水温度センサ34により検出された循環液Lの温度に応じて、前記第2圧縮機53の回転数を制御する。特にこの例では、圧縮機制御部62Aは、前記戻り温水温度センサ34により検出される循環液Lの温度が、例えば前記メインリモコン60aの操作に対応した所望の目標温度となるように、前記第2圧縮機53の回転数を制御する。なお、この空気熱制御装置62の圧縮機制御部62Aと前記地中空気熱制御装置61の前記圧縮機制御部61Aとは、必要に応じて互いに連携しつつ、対象となる第1圧縮機43又は第2圧縮機53の制御を行う。
膨張弁制御部62Bは、第2冷媒吐出温度センサ52aにより検出される第2冷媒C2の温度に応じて、前記第2膨張弁54の弁開度を制御する。特にこの例では、膨張弁制御部62Bは、第2冷媒吐出温度センサ52aにより検出される第2冷媒C2の温度が、例えば前記メインリモコン60aの操作に対応した制御上の目標温度となるように、前記第2膨張弁54の弁開度を制御する。なお、この空気熱制御装置62の膨張弁制御部62Bと前記地中空気熱制御装置61の前記膨張弁制御部61Bとは、必要に応じて互いに連携しつつ、対象となる第1膨張弁44又は第2膨張弁54の制御を行う。
ファン制御部62Cは、前記外気温センサ57により検出された外気の温度に応じて、前記送風ファン56の回転数を制御する(図2も参照)。
以上の基本構成及び作動であるヒートポンプ装置1において、本実施形態の要部は、ポンプ制御部61Cに新たに設けた下限値設定部61p(詳細は後述)よる前記地中熱循環ポンプ22に対する制御内容(ポンプ回転数の下限値設定。詳細は後述)にある。以下、その詳細を順を追って説明する。
まず、本実施形態の第1比較例として、前記のように地中熱ヒートポンプユニット4単体のみを動作させての暖房運転を行うときで、前記下限値設定部61pによる前記ポンプ回転数の下限値設定を行わない場合の第1ヒートポンプ回路40の挙動を、図7中の破線で示すグラフにより説明する。
図示において、図7(a)は、第1ヒートポンプ回路40の第1冷媒配管42における第1圧縮機43から吐出された第1冷媒C1の温度[℃](冷媒吐出温度。本実施形態では第1冷媒吐出温度センサ42aにより検出。以下同様)の経時推移を示している。
また、図7(b)は、地中熱ヒートポンプユニット4の成績係数SCOPの経時推移を示している。この地中熱ヒートポンプユニット4のSCOPは、
COP=地中熱ヒートポンプユニット4の暖房能力[kW]/(第1圧縮機43の消費電力[kW]+地中熱制御装置61の消費電力[kW])
をさらにユニット全体に拡張したものであり、
SCOP=地中熱ヒートポンプユニット4の暖房能力[kW]/地中熱ヒートポンプユニット4の合計消費電力[kW]
で表される。具体的には、
SCOP≒地中熱ヒートポンプユニット4の暖房能力[kW]/(第1圧縮機43の消費電力[kW]+地中熱制御装置61の消費電力[kW]+循環液循環ポンプ32の消費電力[kW]+地中熱循環ポンプ22の消費電力[kW])
で表されるものである。
また、図7(c)は、第1ヒートポンプ回路40の第1圧縮機43への回転制御時に指示する回転数に相当する指示周波数(但し回転数[rps]で表記)の経時推移を示しており、図7(d)は、そのときの第1圧縮機43の消費電力[kW]の経時推移を示している。また、図7(e)は、第1ヒートポンプ回路40の暖房出力値[kW]の経時推移を示しており、図7(f)は、暖房運転時において第1ヒートポンプ回路40の地中熱源熱交換器45に流入する第1冷媒C1の温度[℃](流入冷媒温度。本実施形態では第1冷媒温度センサ42bにより検出。以下同様)の経時推移を示している。そして、図7(g)は、地中熱循環回路20における地中熱循環ポンプ22の回転数[rpm]の経時推移を示しており、図7(h)は第1ヒートポンプ回路40の第1膨張弁44の弁開度の経時推移を示している。
例えば暖房運転開始時においては、第1ヒートポンプ回路40にて前記流入冷媒温度が大きく低下する(図7(f)における時間to〜t1参照)のに連動して、前述したポンプ制御部61Cの制御(第1冷媒C1の温度が略一定値となるように地中熱循環ポンプ22の回転数を制御)により地中熱循環ポンプ22の回転数が急上昇する(図7(g)における時間to〜t1参照)。これによって、地中熱源熱交換器45において地中熱循環回路20から第1ヒートポンプ回路40側へと汲み上げられる採熱出力が増大するので、前記流入冷媒温度は下げ止まり(図7(f)における時間t1参照)、その後、地中熱循環ポンプ22の回転数が例えば最大回転数(この例では4000[rpm])まで上昇する頃に再び前記流入冷媒温度は上昇する(図7(f)における時間t1〜t2参照)。
ここで、前記したように、第1ヒートポンプ回路40の前記第1圧縮機43の回転数は、前記圧縮機制御部61Aの制御により、端末循環回路30において第1熱交換器41へ流入する循環液Lの温度(戻り温度。本実施形態では戻り温水温度センサ34により検出。以下同様)に応じて、制御される。前記のように運転開始直後で前記循環液Lの温度が目標温度に達していない間は、熱交換端末36の暖房出力(負荷出力)が足りていないとして、前記第1圧縮機43は所定の回転数(指示回転数)で運転継続され(図7(c)参照;この例では90[rps])、第1圧縮機43から吐出される冷媒吐出温度が上昇する(図7(a)における時間t0〜t2参照)。このとき、前記したように、第1ヒートポンプ回路40の前記第1膨張弁44の弁開度は、前記膨張弁制御部61Bの制御により、前記冷媒吐出温度に応じて制御される(図7(h)参照)。したがって、前記のようにして冷媒吐出温度が上昇し、さらに目標吐出温度(この例では80[℃])を超えると、前記第1膨張弁44の弁開度が増大する、すなわち第1膨張弁44の弁開度を開く方向に制御する(図7(h)における時間t2参照)。
その後、前記のようにして流入冷媒温度が上昇することで目標流入温度(この例では2[℃])を超えると(図7(f)における時間t1〜t2参照)、ポンプ制御部61Cの制御により、地中熱循環ポンプ22の回転数が低下する(図7(g)における時間t2〜t3参照。この例では1000[rpm]以下まで低下)。この結果、地中熱循環回路20における流量が低下する。
このとき、図8に示すように、地中熱源熱交換器45における熱媒H1の流量と熱交換量との関係は単調増加関係にあることから、前記のように流量が低下すると、地中熱源熱交換器45における熱交換量が低下する。この結果、地中熱循環回路20から第1ヒートポンプ回路40側へと汲み上げられる採熱出力が低下するので、第1ヒートポンプ回路40における前記冷媒吐出温度が低下すると共に(図7(a)における時間t2〜t3参照)、第1ヒートポンプ回路40の暖房出力値が低下する(図7(e)における時間t2〜t3参照)。
冷媒吐出温度が低下して目標吐出温度を割ると(図7(a)における時間t3参照)、前記膨張弁制御部61Bの制御により、前記のようにして一旦増大した第1膨張弁44の弁開度が再び減少する、すなわち第1膨張弁44の弁開度を閉じる方向に制御する(図7(h)における時間t3参照)。この結果、図9のモリエル線図に示すように、第1ヒートポンプ回路40の冷凍サイクルが、実線で表されるサイクルから破線で表されるサイクル(=この第1比較例のサイクル)へと変化する。これにより、蒸発温度が低下する(破線白矢印参照)とともに、図示線図の台形高さに相当するサイクル圧力が増大(破線白矢印参照)して第1圧縮機43の消費電力が増大し(図7(d)における時間t3参照)、ユニット全体の前記成績係数SCOPも低下することとなってしまう(図7(b)における時間t3〜t4参照)。
なお、図7(a)〜(h)には、暖房の負荷が比較的大きい場合(大負荷)を例にとって示しているが、それよりも暖房の負荷がやや軽い場合(中負荷)においても、図10(a)〜(h)に示すように、傾向としては概ね同等の挙動となる。
そこで、本実施形態においては、上記のような(冷媒吐出温度の低下に伴う)第1圧縮機43の消費電力の増大を防止するために、前記ポンプ制御部61Cに下限値設定手段としての下限値設定部61pを設ける。この下限値設定部61pは、前記端末循環回路30の負荷に係わる負荷状態量に対応させて、前記したポンプ制御部61Cの制御における、地中熱循環ポンプ22の回転数の下限値を設定する。
この例では、前記負荷状態量の一例としての前記第1圧縮機43の回転数に応じ、当該第1圧縮機43の回転数が高いほど前記地中熱循環ポンプ22の回転数の下限値を高く設定し、当該第1圧縮機43の回転数が低いほど前記地中熱循環ポンプ22の回転数の下限値を低く設定するように、順次切り替えて設定する。具体的には、図11に示すように、第1圧縮機43の回転数が増加して55[rps]以上となるまで(55[rps]未満の場合)は前記地中熱循環ポンプ22の回転数の下限値を1000[rpm]に設定し、第1圧縮機43の回転数が55[rps]以上に増加してさらに65[rps]以上となるまで(65[rps]未満の場合)は前記下限値を1500[rpm]に設定し、第1圧縮機43の回転数が65[rps]以上に増加したら前記下限値を2000[rpm]に設定する。
なお、このように、第1圧縮機43の回転数の増大方向では、下限値設定の値を切り替える区切りとなる区切り回転数を55[rps]及び65[rps]とするが、第1圧縮機43の回転数の減少方向では、前記区切り回転数を変えて50[rps]及び60[rps]とする(=下限値設定にヒステリシスを持たせている)。すなわち、第1圧縮機43の回転数が減少して60[rps]未満となるまで(60[rps]以上の場合)は前記地中熱循環ポンプ22の回転数の下限値を2000[rpm]に設定し、第1圧縮機43の回転数が60[rps]未満に減少してさらに50[rps]未満となるまで(50[rps]以上の場合)は前記下限値を1500[rpm]に設定し、第1圧縮機43の回転数が50[rps]未満に減少したら前記下限値を1000[rpm]に設定する。
本実施形態においては、前記のようなポンプ回転数下限値の設定を下限値設定部61pが行うことにより、前記図7の実線のグラフに示すように、前記のようにして流入冷媒温度が上昇して目標流入温度を超え(図7(f)における時間t1〜t2参照)、ポンプ制御部61Cの制御により地中熱循環ポンプ22の回転数が低下する場合であっても、前記第1比較例と異なり、その回転数の低下は上記設定された下限値でとどまる(この例では2000[rpm]。図7(g)における時間t2以降の上向き矢印参照)。この結果、前記した地中熱循環回路20における流量低下、及び、地中熱源熱交換器45における熱交換量の低下が抑制されるので、第1ヒートポンプ回路40における前記冷媒吐出温度の低下が防止され(図7(a)における時間t2〜t3参照)、前記膨張弁制御部61Bの制御により、第1膨張弁44の弁開度はさらに開かれる(図7(h)における時間t3参照)。この結果、前記図9のモリエル線図で説明したような、第1ヒートポンプ回路40の冷凍サイクルの、実線で表されるサイクルから破線で表されるサイクルへの変化が起こらない(実線のサイクルのまま維持され、上記蒸発温度の低下やサイクル圧力の増加が防止される。図9中の実線白矢印参照)。したがって、サイクル圧力の増大による前記した第1圧縮機43の消費電力増大が抑制され(図7(d)における時間t3参照)、ユニット全体の前記成績係数SCOPを向上することができる(図7(b)における時間t3以降参照)。
なお、詳細な説明を省略するが、前記図10(a)〜(h)に示した暖房の負荷がやや軽い場合(中負荷)においても、実線のグラフに示すように、上記同様にして、第1圧縮機43の消費電力増大が抑制され、ユニット全体の前記成績係数SCOPが向上される。
なお、以上は、地中熱ヒートポンプユニット4単体が動作して暖房運転を行っている場合を例にとって説明したが、地中熱ヒートポンプユニット4および空気熱ヒートポンプユニット5の両方が動作して暖房運転を行っている場合も、前記地中熱ヒートポンプユニット4において上記の制御が適用されるものである。
また、以上は暖房運転開始時を例にとって説明したが、冷房運転時においても同様の課題が生じる。本実施形態の第2比較例として、前記のように地中熱ヒートポンプユニット4単体のみを動作させての冷房運転を行うときで、前記下限値設定部61pによる前記ポンプ回転数の下限値設定を行わない場合の第1ヒートポンプ回路40の挙動を、前記図7(a)〜(h)にそれぞれ対応した、図12(a)〜(h)中の破線で示すグラフにより説明する。
図示において、図12(a)は、前記図7(a)同様の第1冷媒C1の温度[℃](前記の冷媒吐出温度)の経時推移を示しており、図12(b)は、前記図7(b)同様の地中熱ヒートポンプユニット4の成績係数SCOPの経時推移を示しており、図12(c)は、前記図7(c)同様の第1圧縮機43への指示周波数(但し回転数[rps]で表記)の経時推移を示しており、図12(d)は、前記図7(d)同様の第1圧縮機43の消費電力[kW]の経時推移を示している。また、図12(e)は、前記図7(e)に対応して第1ヒートポンプ回路40の冷房出力値[kW]の経時推移を示しており、図12(f)は、前記図7(f)に対応して、冷房運転時において第1ヒートポンプ回路40の地中熱源熱交換器45から流出する第1冷媒C1の温度[℃](流出冷媒温度。本実施形態では第1冷媒温度センサ42bにより検出。以下同様)の経時推移を示している。また、図12(g)は、前記図7(g)同様、地中熱循環ポンプ22の回転数[rpm]の経時推移を示しており、図12(h)は、前記図7(h)同様、第1膨張弁44の弁開度の経時推移を示している。
冷房運転開始時においては、第1ヒートポンプ回路40にて前記流出冷媒温度が上昇する(図12(f)参照)のに連動して、前述したポンプ制御部61Cの制御(第1冷媒C1の温度が略一定値となるように地中熱循環ポンプ22の回転数を制御)により地中熱循環ポンプ22の回転数が急上昇する(図12(g)における時間to〜t1参照)。これによって、地中熱源熱交換器45において第1ヒートポンプ回路40側から地中熱循環回路20への放熱量が増大しつつも、前記流出冷媒温度は緩やかに上昇を続け(図12(f)における時間t0〜t1〜t2参照)、地中熱循環ポンプ22の回転数は例えば最大回転数(この例では4000[rpm])まで上昇する。
ここで、前記同様、前記第1圧縮機43の回転数が、前記圧縮機制御部61Aの制御により、前記第1熱交換器41へ流入する循環液Lの温度に応じて制御される。前記循環液Lの温度が目標温度まで降下していない間は、熱交換端末36の冷房出力(負荷出力)が足りていないとして、前記第1圧縮機43は所定の回転数(指示回転数)で運転継続され(図12(c)参照;この例では90[rps])、第1圧縮機43からの前記冷媒吐出温度は緩やかに上昇する(図12(a)における時間t0〜t2参照)。このとき、前記同様、前記第1膨張弁44の弁開度が、前記膨張弁制御部61Bにより前記冷媒吐出温度に応じて制御され(図12(h)参照)、前記のようにして冷媒吐出温度が緩やかにしか上昇せず、目標吐出温度(この例では60[℃])に達しない間は、前記第1膨張弁44の弁開度が減少する、すなわち第1膨張弁44の弁開度を(それまでよりも)閉じる方向に制御する(図12(h)における時間t2参照)。
その後、前記のようにして流出冷媒温度が緩やかにしか上昇しないことで目標流出温度(この例では28[℃])に達しないことから(図12(f)における時間t1〜t2参照)、ポンプ制御部61Cの制御により、地中熱循環ポンプ22の回転数が低下する(図12(g)における時間t2〜t3参照。この例では1000[rpm]以下まで低下)。この結果、前記したように地中熱循環回路20における流量が低下し、地中熱源熱交換器45における熱交換量が低下する。この結果、第1ヒートポンプ回路40から地中熱循環回路20側への放熱量があまり増加しないので、第1ヒートポンプ回路40における前記冷媒吐出温度があまり上昇しないと共に(図12(a)における時間t2〜t3参照)、第1ヒートポンプ回路40の冷房出力値もあまり増加しない(図12(e)における時間t2〜t3参照)。
前記のように冷媒吐出温度がなかなか目標吐出温度に到達しないことから(図12(a)における時間t3参照)、前記膨張弁制御部61Bの制御により、前記のようにして一旦減少した第1膨張弁44の弁開度がさらに減少する、すなわち第1膨張弁44の弁開度をさらに閉じる方向に制御する(図12(h)における時間t3参照)。この結果、図9のモリエル線図を用いて前記したように、第1ヒートポンプ回路40の冷凍サイクルが、実線で表されるサイクルから破線で表されるサイクル(=この第2比較例のサイクル)へと変化する。これにより、前記同様、サイクル圧力が増大して第1圧縮機43の消費電力が増大し(図12(d)における時間t3参照)、ユニット全体の前記成績係数SCOPも低下する(図12(b)における時間t3〜t4参照)。
そして、上記のような冷房運転の場合においても、前記のようなポンプ回転数下限値の設定を下限値設定部61pが行うことにより、図12の実線のグラフに示すように、前記のようにして流出冷媒温度が緩やかにしか上昇せず目標流出温度になかなか達せず(図12(f)における時間t1〜t2参照)、ポンプ制御部61Cの制御により地中熱循環ポンプ22の回転数が低下する場合であっても、前記第2比較例と異なり、その回転数の低下は上記設定された下限値でとどまる(この例では2000[rpm]。図12(g)における時間t2以降の上向き矢印参照)。この結果、前記した地中熱循環回路20における流量低下、及び、地中熱源熱交換器45における熱交換量の低下が抑制されるので、第1ヒートポンプ回路40における前記冷媒吐出温度が前記緩やかな上昇から急激な上昇に改善され(図12(a)における時間t2〜t3参照)、前記膨張弁制御部61Bの制御により、一旦減少した第1膨張弁44の弁開度が再び開かれる(図12(h)における時間t3参照)。この結果、前記図9のモリエル線図で説明したような、第1ヒートポンプ回路40の冷凍サイクルの、実線で表されるサイクルから破線で表されるサイクルへの変化が起こらない(実線のサイクルのまま維持され、上記蒸発温度の低下やサイクル圧力の増加が防止される。図9中の実線白矢印参照)。したがって、サイクル圧力の増大による前記した第1圧縮機43の消費電力増大が抑制され(図12(d)における時間t3参照)、ユニット全体の前記成績係数SCOPを向上することができる(図12(b)における時間t3以降参照)。
なお、図12(a)〜(h)には、冷房の負荷が比較的大きい場合(大負荷)を例にとって示しているが、それよりも冷房の負荷がやや軽い場合(中負荷)においても、図13(a)〜(h)に示すように、傾向としては概ね同等の挙動となり、実線のグラフに示すように、上記同様にして、第1圧縮機43の消費電力増大が抑制され、ユニット全体の前記成績係数SCOPが向上される。
なお、以上は、地中熱ヒートポンプユニット4単体が動作して冷房運転を行っている場合を例にとって説明したが、地中熱ヒートポンプユニット4および空気熱ヒートポンプユニット5の両方が動作して冷房運転を行っている場合も、前記地中熱ヒートポンプユニット4において上記の制御が適用されるものである。
次に、以上の手法を実現するために、前記下限値設定部61pが実行する制御手順を図14のフローチャートにより説明する。図14において、まずステップS10で、下限値設定部61pは、ヒートポンプ装置1が運転開始状態となったか否かを判定する。具体的には、運転開始状態とは、例えば、操作者による適宜のヒートポンプ装置1の運転開始操作がなされることで停止状態から起動される場合、若しくは、後述の待機状態から復帰してヒートポンプ装置1の運転が再び開始される場合(詳細は後述)、である。運転開始状態となるまではステップS10の判定が満たされず(S10:No)ループ待機し、運転開始状態となるとステップS10の判定が満たされ(S10:Yes)、ステップS15に移る。
ステップS15では、下限値設定部61pは、前記圧縮機制御部61Aの制御により制御されている第1圧縮機43の回転数(適宜の公知の手法により検出されポンプ制御部61Cに入力されている。以下同様)が55[rps]以上であるか否かを判定する。例えば運転開始直後は55[rps]未満であるから判定が満たされず(S15:No)、ステップS20に移る。
ステップS20では、下限値設定部61pは、前記のようにして前記第1冷媒温度センサ42bによる前記第1冷媒C1の温度が略一定値となるように前記地中熱循環ポンプ22の前記回転数を制御する際の、回転数下限値を1000[rpm]に設定する。その後、ステップS30に移る。
ステップS30では、下限値設定部61pは、ヒートポンプ装置1が運転終了状態となったか否かを判定する。すなわち、上述のような回転数の制御の下で暖房運転(又は冷房運転)を行って暖房負荷(又は冷房負荷)が小さくなると、ヒートポンプ装置1を動作させずとも、前記端末循環回路30の前記戻り温水温度センサ34で検出される循環液Lの温度が目標戻り温度以上(又は目標戻り温度以下)に達する場合がある。この場合は、前記地中熱制御装置61による公知の制御によりヒートポンプ装置1が停止され、待機状態となる(すなわち、いったんヒートポンプ装置1の運転が終了される)。ステップS30では、下限値設定部61pは、ヒートポンプ装置1がこの待機状態となったか否かを判定するものである。運転終了状態(すなわち待機状態)となっていない間はステップS30の判定が満たされず(S30:No)、前記ステップS15に戻り、前記したステップS15→ステップS20→ステップS30→ステップS15・・の流れを繰り返す。ヒートポンプ装置1が運転終了状態(すなわち待機状態)となっていた場合はステップS30の判定が満たされ(ステップS30:YES)、ステップS10に戻る。このときのステップS10における前記運転開始状態となったか否かの判定は、前記待機状態が解除されたか否かの判定となる。すなわち、前記のようにして循環液Lの温度が目標戻り温度以上(又は目標戻り温度以下)に達して待機状態となった後、再び、前記循環液Lの温度が目標戻り温度を下回る(又は目標戻り温度を上回る)と、前記地中熱制御装置61による公知の制御によりヒートポンプ装置1の運転が再び開始される。したがってこのときのステップS10では、下限値設定部61pは、ヒートポンプ装置1がこのようにして待機状態から復帰して運転再開されたか否かを判定するものである。運転が再開されてステップS10の判定が満たされると前記したステップS15→ステップS20→ステップS30→ステップS15・・の流れを繰り返す。
前記のようなステップS15→ステップS20→ステップS30→・・の繰り返しの間に第1圧縮機43の回転数が55[rps]以上となると前記ステップS15の判定が満たされるようになり(S15:Yes)、ステップS35へ移行する。
ステップS35では、下限値設定部61pは、前記圧縮機制御部61Aの制御により制御されている第1圧縮機43の回転数が65[rps]以上であるか否かを判定する。まだ65[rps]以上とはなっていない間は判定が満たされず(S35:No)、ステップS40に移る。
ステップS40では、下限値設定部61pは、前記のようにして前記地中熱循環ポンプ22の前記回転数を制御する際の、回転数下限値を1500[rpm]に設定する。その後、ステップS42に移る。
ステップS42では、下限値設定部61pは、前記圧縮機制御部61Aの制御により制御されている第1圧縮機43の回転数が引き続き増大傾向であり、65[rps]以上となったか否かを判定する。まだ65[rps]以上とはなっていない間は判定が満たされず(S42:No)、ステップS45に移る。
ステップS45では、下限値設定部61pは、前記圧縮機制御部61Aの制御により制御されている第1圧縮機43の回転数が減少傾向に転じ、50[rps]未満となったか否かを判定する。まだ50[rps]以上である間は判定が満たされず(S45:No)、前記ステップS42に戻る。
前記のようにして、ステップS42→ステップS45→ステップS42→・・を繰り返している間に、前記圧縮機制御部61Aの制御により制御されている第1圧縮機43の回転数が減少傾向に転じ、50[rps]未満となった場合はステップS45の判定が満たされ(S45:Yes)、前記したステップS20に移行し、以降、前記した手順を繰り返す。
一方、前記のステップS42→ステップS45→ステップS42→・・を繰り返している間に、前記圧縮機制御部61Aの制御により制御されている第1圧縮機43の回転数がさらに増大して65[rps]以上となった場合はステップS42の判定が満たされ(S42:Yes)、ステップS55に移行する。なお、前記ステップS35において、前記圧縮機制御部61Aの制御により制御されている第1圧縮機43の回転数が65[rps]以上であり判定が満たされた(S35:Yes)場合も同様に、ステップS55に移行する。
ステップS55では、下限値設定部61pは、前記のようにして前記地中熱循環ポンプ22の前記回転数を制御する際の、回転数下限値を2000[rpm]に設定する。その後、ステップS60に移る。
ステップS60では、下限値設定部61pは、前記圧縮機制御部61Aの制御により制御されている第1圧縮機43の回転数が減少傾向に転じ、60[rps]未満となったか否かを判定する。まだ60[rps]以上である間は判定が満たされず(S60:No)ループ待機し、60[rps]未満となったら判定が満たされて(S60:Yes)、前述のステップS40に移り、以降、前記した手順を繰り返す。
なお、図示を省略しているが、以上の各手順における任意のタイミングで操作者による適宜のヒートポンプ装置1の運転終了操作がなされた場合には、このフローは終了され、ヒートポンプ装置1が停止する。
以上説明したように、本実施形態のヒートポンプ装置1によれば、ポンプ制御部61Cに下限値設定部61pが設けられる。これにより、前記地中熱循環ポンプ22の回転数が、前記流入冷媒温度(又は前記流出冷媒温度)に応じて制御される(この例ではそれらの温度が略一定値となるように制御される)場合において、前記のようにして前記流入冷媒温度が目標流入温度を超え(又は前記流出冷媒温度が目標流出温度に達せず)地中熱循環ポンプ22の回転数が低下するとき、前記下限値設定部61pが設定した所望の下限値未満には回転数が低下しないようにすることができる。この結果、前記した地中熱循環回路20における流量低下が抑制され、前記冷媒吐出温度が低下せずに目標吐出温度未満とはならない(又は前記冷媒吐出温度の上昇が促進され目標吐出温度に達する)ので、第1膨張弁44の弁開度の減少を防止できる。したがって、サイクル圧力の増大を招くことがなくなり、前記した第1圧縮機43の消費電力の増大を防止することができる。
また、本実施形態では特に、下限値設定部61pが、前記第1圧縮機43の回転数に応じて、前記地中熱循環ポンプ22の回転数の下限値を設定する。これにより、地中熱循環ポンプ22の回転数の下限値を、確実に端末循環回路30の負荷の大小に応じて設定することができる。その際、冷暖房負荷の大小に応じ、第1圧縮機43の回転数が高いほど下限値を高く設定し、第1圧縮機43の回転数が低いほど下限値を低く設定する。これにより、端末循環回路30の負荷に合わせて、地中熱源熱交換器45において汲み上げるべき採熱量(又は地中熱源熱交換器45から放熱すべき放熱量)が最適に設定され、地中熱循環回路20における流量を最適に制御することができる。
また、本実施形態では特に、戻り温水温度センサ34が検出する循環液Lの温度(前記戻り温度)に応じて(この例では循環液Lの温度が目標温度となるように)、第1圧縮機43の回転数が制御される。これにより、端末循環回路30において熱交換端末36が提供すべき冷暖房出力に合わせて、第1圧縮機43の回転数を最適に制御することができる。
また、本実施形態では特に、第1冷媒吐出温度センサ42aが検出する第1冷媒C1の温度(前記冷媒吐出温度)に応じて(この例では第1冷媒C1の温度が目標温度となるように)、第1膨張弁44の弁開度が制御される。これにより、第1熱交換器41において第1ヒートポンプ回路40と端末循環回路30との間で交換すべき熱交換量に合わせて、第1膨張弁44の弁開度を最適に制御することができる。
また、本実施形態では特に、端末循環回路30の循環液循環ポンプ32は、一定回転数で回転する。これにより、端末循環回路30における循環液Lの流量を一定としつつ、第1ヒートポンプ回路40側における第1圧縮機43及び第1膨張弁44を介した第1冷媒C1の制御により、第1熱交換器41における熱交換量を調整する。この結果、簡素でかつ信頼性・安定性の高い制御で、熱交換端末36の冷暖房出力を所望に調整することができる。
なお、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、発明の要旨を変更しない範囲で種々の変更が可能である。例えば、上記実施形態では、前記地中又は前記比較的大容量の水源中に地中熱交換器23を設け、この地中熱熱交換器23で前記地中又は前記水源と熱交換した熱媒H1を、地中熱循環回路20において循環させたが、これに限られない。すなわち、このような循環回路を構成するのではなく、開放型の管路を地中熱循環ポンプ22に接続するようにしても良い。この場合、地中熱循環ポンプ22の上流側(ポンプ流入側)及び下流側(ポンプ流出側)がそれぞれ前述の湖沼、貯水池、河川、海、温泉、井戸等の水源(あるいは一定温度の水を供給する冷水器でもよい)に接続され、その水源等の水を前記地中熱循環ポンプ22で直接汲み上げて使用する。すなわち、前記水源等の水は、ポンプ上流側に接続された管路(上流側管路)を通じて前記地中熱循環ポンプ22に供給され、ポンプ下流側に接続された管路(下流側管路)へ吐出された後、その下流側管路に設けられた前記地中熱源熱交換器45に導かれて前記第1冷媒C1と熱交換を行った後、さらに前記下流側管路を通じて前記水源等に戻される。この場合、前記上流側管路に接続される水源等と前記下流側管路に接続される水源等は同一のものでもよいし、別々のものでもよい。なおこの場合、前記上流側管路及び下流側管路が、各請求項記載の熱源接続路に相当する。
また例えば、上記実施形態では、地中熱交換器23を1本だけ地中に設けた場合を例にとって説明しているが、これに限られず、地中熱交換器23は地中に複数設けられていてもよい。その場合、それら複数の地中熱交換器23は互いに並列に接続されていてもよいし、直列に接続されていてもよい。
また、上記実施形態では、地中熱を用いた第1ヒートポンプ回路40と空気熱を用いた第2ヒートポンプ回路50とを備えた複合熱源型のヒートポンプ装置に本発明を適用した場合を例にとって説明したが、これに限られない。すなわち、地中熱を用いた第1ヒートポンプ回路40のみを備えた、単一熱源型のヒートポンプ装置に適用してもよい。逆に、第1ヒートポンプ回路40を含み3つ以上のヒートポンプ回路を備えた複合熱源型のヒートポンプ装置に適用してもよい。