以下、添付図面を参照して、実施の形態について説明する。図1は、この実施の形態にかかるスロットマシンの全体構造を示す正面図である。また、図2は、スロットマシンの内部構造を示す図である。また、図3は、可変表示装置を構成する各リール上における図柄の配列を示す図である。また、図4は、スロットマシンの制御回路の全体構成を示すブロック図である。
スロットマシン1は、前面が開口する筐体1aと、この筺体1aの側端に回動自在に枢支された前面扉1bとから構成されている。
スロットマシン1の筐体1a内部には、外周に複数種の図柄が配列されたリール2L、2C、2R(以下、左リール、中リール、右リールともいう)が水平方向に並設されており、図1に示すように、これらリール2L、2C、2Rに配列された図柄のうち連続する3つの図柄が前面扉1bに設けられた透視窓3から見えるように配置されている。
リール2L、2C、2Rの外周部には、図3に示すように、それぞれ、「ベルa(たとえば、左リール2Lの領域番号21)」、「リプa(たとえば、左リール2Lの領域番号19)」、「7(たとえば、左リール2Lの領域番号18の図柄)」、「メロン(たとえば、左リール2Lの領域番号17)」、「ベルb(たとえば、左リール2Lの領域番号16)」、「リプb(たとえば、左リール2Lの領域番号15)」、「スイカ(たとえば、左リール2Lの領域番号14)」、「JAC(たとえば、左リール2Lの領域番号13)」、「チェリー(たとえば、左リール2Lの領域番号10)」、「BAR(たとえば、左リール2Lの領域番号5)」、といった互いに識別可能な複数種類の図柄が所定の順番で、21個描かれている。
各リール2L、2C、2Rは、各々対応して設けられたリールモータ32L、32C、32R(図2、図4参照)によって回転させることで、各リール2L、2C、2Rの図柄が透視窓3に連続的に変化しつつ表示されるとともに、各リール2L、2C、2Rの回転を停止させることで、透視窓3に3つの連続する図柄が表示結果として導出表示されるようになっている。
リール2L、2C、2Rの内側には、リール2L、2C、2Rそれぞれに対して、基準位置を検出するリールセンサ33L、33C、33Rと、リール2L、2C、2Rを背面から白色光で照射するリールLED55とが設けられている。また、リールLED55は、リール2L、2C、2Rの連続する3つの図柄に対応する9つのLEDからなり、各図柄をそれぞれ独立して照射可能とされている。
前面扉1bには、メダルを投入可能なメダル投入部4、メダルが払い出されるメダル払出口9、クレジット(遊技者所有の遊技用価値として記憶されているメダル数)を用いてその範囲内において遊技状態に応じて定められた規定数の賭数を設定する際に操作されるMAXBETスイッチ6、入賞の発生により払い出されたメダル枚数やエラー発生時にその内容を示すエラーコードなどが表示される遊技補助表示器12、ゲームを開始する際に操作されるスタートスイッチ7、リール2L、2C、2Rの回転を各々停止する際に操作されるストップスイッチ8L、8C、8R、演出用スイッチ56が遊技者により操作可能にそれぞれ設けられている。
また、前面扉1bには、遊技に関する情報を報知する遊技用表示部13が設けられている。遊技用表示部13には、クレジットとして記憶されているメダル枚数が表示されるクレジット表示器11、クレジットとして記憶されているメダルおよび賭数の設定に用いたメダルを精算する(クレジットおよび賭数の設定に用いた分のメダルを返却させる)際に操作される精算スイッチ10、賭数が1設定されている旨を点灯により報知する1BETLED14、賭数が2設定されている旨を点灯により報知する2BETLED15、賭数が3設定されている旨を点灯により報知する3BETLED16、メダルの投入が可能な状態を点灯により報知する投入要求LED17、スタートスイッチ7の操作によるゲームのスタート操作が有効である旨を点灯により報知するスタート有効LED18、ウェイト(前回のゲーム開始から一定期間経過していないためにリール2L、2C、2Rの回転開始を待機している状態)中である旨を点灯により報知するウェイト中LED19、後述するリプレイゲーム中である旨を点灯により報知するリプレイ中LED20が設けられている。
MAXBETスイッチ6の内部には、MAXBETスイッチ6の操作による賭数の設定操作が有効である旨を点灯により報知するBETスイッチ有効LED21(図4参照)が設けられており、ストップスイッチ8L、8C、8Rの内部には、該当するストップスイッチ8L、8C、8Rによるリール2L、2C、2Rの停止操作が有効である旨を点灯により報知する左、中、右停止有効LED22L、22C、22R(図4参照)がそれぞれ設けられている。
また、図4に示すように、前面扉1bの内側には、所定のキー操作により後述するRAM異常エラーを除くエラー状態および後述する打止状態を解除するためのリセット操作を検出するリセットスイッチ23、後述する設定値の変更中や設定値の確認中にその時点の設定値が表示される設定値表示器24、打止状態(リセット操作がなされるまでゲームの進行が規制される状態)に制御する打止機能の有効/無効を選択するための打止スイッチ36a、自動精算処理(クレジットとして記憶されているメダルを遊技者の操作によらず精算(返却)する処理)に制御する自動精算機能の有効/無効を選択するための自動精算スイッチ36b、メダル投入部4から投入されたメダルの流路を、筐体1a内部に設けられたホッパータンク34a(図2参照)側またはメダル払出口9側のいずれか一方に選択的に切り替えるための流路切替ソレノイド30、メダル投入部4から投入され、ホッパータンク34a側に流下したメダルを検出する投入メダルセンサ31を有するメダルセレクタ(図示略)、前面扉1bの開放状態を検出するドア開放検出スイッチ25(図4参照)が設けられている。
筐体1a内部には、リール2L、2C、2R、リールモータ32L、32C、32R、各リール2L、2C、2Rのリール基準位置をそれぞれ検出可能なリールセンサ33L、33C、33R(図4参照)、リールLED55からなるリールユニット、外部出力信号を出力するための外部出力基板1000、メダル投入部4から投入されたメダルを貯留するホッパータンク34a、ホッパータンク34aに貯留されたメダルをメダル払出口9より払い出すためのホッパーモータ34b、ホッパーモータ34bの駆動により払い出されたメダルを検出する払出センサ34cからなるホッパーユニット34、電源ボックス100が設けられている。
ホッパーユニット34の側部には、ホッパータンク34aから溢れたメダルが貯留されるオーバーフロータンク35が設けられている。オーバーフロータンク35の内部には、貯留された所定量のメダルを検出可能な高さに設けられた左右に離間する一対の導電部材からなる満タンセンサ35aが設けられており、導電部材がオーバーフロータンク35内に貯留されたメダルを介して接触することにより導電したときに内部に貯留されたメダル貯留量が所定量以上となったこと、すなわちオーバーフロータンクが満タン状態となったことを検出できるようになっている。
電源ボックス100の前面には、起動時に設定変更モードに切り替えるための設定キースイッチ37、通常時においてはRAM異常エラーを除くエラー状態や打止状態を解除するためのリセットスイッチとして機能し、設定変更モードにおいては後述する内部抽選の当選確率(出玉率)の設定値を変更するための設定スイッチとして機能するリセット/設定スイッチ38、電源をON/OFFする際に操作される電源スイッチ39が設けられている。
スロットマシン1においてゲームを行なう場合には、先ず、メダルをメダル投入部4から投入するか、あるいはクレジットを使用して賭数を設定する。クレジットを使用するにはMAXBETスイッチ6を操作すればよい。
後述するCB(チャレンジボーナス)中ではない非CB中においては、遊技状態に応じて定められた規定数の賭数が設定されると、入賞ラインL1(図1参照)が有効となり、スタートスイッチ7の操作が有効な状態、すなわち、ゲームが開始可能な状態となる。本実施の形態においては、非CB中では遊技状態にかかわらず規定数の賭数としてメダル3枚が定められ、CB中では遊技状態にかかわらず規定数の賭数としてメダル1枚が定められている。そして、規定数の賭数が設定されると入賞ラインL1が有効となる。なお、遊技状態に対応する規定数のうち最大数を超えてメダルが投入された場合には、その分はクレジットに加算される。
入賞ラインとは、各リール2L、2C、2Rの透視窓3に表示された図柄の組合せが入賞図柄の組合せであるかを判定するために予め設定されているラインである。本実施の形態では、図1に示すように、1種類の入賞ラインL1のみが入賞ラインとして定められている。
入賞ラインL1は、左リール2Lの下段、中リール2Cの中段、右リール2Rの中段に並んだ図柄に跨って設定された入賞ラインである。なお、入賞ラインは、L1に示すラインに限らず、複数の入賞ラインを含んでいてもよい。たとえば、入賞ラインは、左リール2Lの中段、中リール2Cの中段、右リール2Rの中段、すなわち中段に並んだ図柄に跨って設定された入賞ラインと、左リール2Lの上段、中リール2Cの上段、右リール2Rの上段、すなわち上段に並んだ図柄に跨って設定された入賞ラインと、左リール2Lの下段、中リール2Cの下段、右リール2Rの下段、すなわち下段に並んだ図柄に跨って設定された入賞ラインと、左リール2Lの上段、中リール2Cの中段、右リール2Rの下段、すなわち右下がりに並んだ図柄に跨って設定された入賞ラインと、左リール2Lの下段、中リール2Cの中段、右リール2Rの上段、すなわち右上がりに並んだ図柄に跨って設定された入賞ラインとを含んでいてもよい。
規定数の賭数が設定されると、入賞ラインL1が有効となり、ゲームが開始可能な状態となる。そして、ゲームが開始可能な状態でスタートスイッチ7を操作すると、各リール2L、2C、2Rが回転し、各リール2L、2C、2Rの図柄が連続的に変動する。この状態でいずれかのストップスイッチ8L、8C、8Rを操作すると、対応するリール2L、2C、2Rの回転が停止し、透視窓3に表示結果が導出表示される。
そして、全てのリール2L、2C、2Rが停止されることで1ゲームが終了し、有効化された入賞ラインL1上に予め定められた図柄の組合せ(以下、役とも呼ぶ)が各リール2L、2C、2Rの表示結果として停止した場合には入賞が発生し、その入賞に応じて定められた枚数のメダルが遊技者に対して付与され、クレジットに加算される。また、クレジットが上限数(本実施の形態では50)に達した場合には、メダルが直接メダル払出口9(図1参照)から払い出されるようになっている。また、有効化された入賞ラインL1上に、遊技状態の移行を伴なう図柄の組合せが各リール2L、2C、2Rの表示結果として停止した場合には図柄の組合せに応じた遊技状態に移行するようになっている。
また、本実施の形態におけるスロットマシン1にあっては、ゲームが開始されて各リール2L、2C、2Rが回転して図柄の変動が開始した後、いずれかのストップスイッチ8L、8C、8Rが操作されたときに、当該ストップスイッチ8L、8C、8Rに対応するリール2L、2C、2Rの回転が停止して図柄が停止表示される。ストップスイッチ8L、8C、8Rの操作から対応するリール2L、2C、2Rの回転を停止するまでの最大停止遅延時間は非CB中においては190ms(ミリ秒)である。
リール2L、2C、2Rは、1分間に80回転し、80×21(1リール当たりの図柄コマ数)=1680コマ分の図柄を変動させるので、190msの間では最大で4コマの図柄を引き込むことができることとなる。つまり、停止図柄として選択可能なのは、ストップスイッチ8L、8C、8Rが操作されたときに表示されている図柄と、そこから4コマ先までにある図柄、合計5コマ分の図柄である。このため、たとえば、ストップスイッチ8L、8C、8Rのいずれかが操作されたときに当該ストップスイッチに対応するリール2L、2C、2Rの下段に表示されている図柄を基準とした場合、当該図柄から4コマ先までの図柄を下段に表示させることができるため、その結果として当該図柄から6コマ先までの図柄を上段に表示させることができる。
なお、本実施の形態においては、CB中に限って、ストップスイッチ8L、8C、8Rの操作から対応するリール2L、2C、2Rの回転を停止するまでの最大停止遅延時間は75ms(ミリ秒)に設定されている。75msの間では最大で1コマの図柄を引き込むことができる。つまり、停止図柄として選択可能なのは、ストップスイッチ8L、8C、8Rが操作されたときに表示されている図柄と、そこから1コマ先までにある図柄、合計2コマ分の図柄となる。そのため、CB中においては、遊技者の目押しの技量に大きく依存して入賞が可能となる。
[スロットマシンの構成]
図4は、スロットマシン1の構成を示すブロック図である。スロットマシン1には、図4に示すように、遊技制御基板40、演出制御基板90、電源基板101が設けられており、遊技制御基板40によって遊技状態が制御され、演出制御基板90によって遊技状態に応じた演出が制御され、電源基板101によってスロットマシン1を構成する電気部品の駆動電源が生成され、各部に供給される。
電源基板101には、外部からAC100Vの電源が供給されるとともに、このAC100Vの電源からスロットマシン1を構成する電気部品の駆動に必要な直流電圧が生成され、遊技制御基板40および遊技制御基板40を介して接続された演出制御基板90に供給されるようになっている。また、電源基板101には、前述したホッパーモータ34b、払出センサ34c、満タンセンサ35a、設定キースイッチ37、リセット/設定スイッチ38、電源スイッチ39が接続されている。
遊技制御基板40には、MAXBETスイッチ6、スタートスイッチ7、ストップスイッチ8L、8C、8R、精算スイッチ10、リセットスイッチ23、打止スイッチ36a、自動精算スイッチ36b、投入メダルセンサ31、ドア開放検出スイッチ25、リールセンサ33L、33C、33Rが接続されているとともに、電源基板101を介して払出センサ34c、満タンセンサ35a、設定キースイッチ37、リセット/設定スイッチ38が接続されており、これら接続されたスイッチ類の検出信号が入力されるようになっている。
また、遊技制御基板40には、クレジット表示器11、遊技補助表示器12、1〜3BETLED14〜16、投入要求LED17、スタート有効LED18、ウェイト中LED19、リプレイ中LED20、BETスイッチ有効LED21、左、中、右停止有効LED22L、22C、22R、設定値表示器24、流路切替ソレノイド30、リールモータ32L、32C、32Rが接続されているとともに、電源基板101を介して前述したホッパーモータ34bが接続されており、これら電気部品は、遊技制御基板40に搭載された後述のメイン制御部41の制御に基づいて駆動されるようになっている。
遊技制御基板40には、メインCPU41a、ROM41b、RAM41c、I/Oポート41dを備えたマイクロコンピュータからなり、遊技の制御を行なうメイン制御部41、所定範囲(本実施の形態では0〜65535)の乱数を発生させる乱数回路42、一定周波数のクロック信号を乱数回路42に供給するパルス発振器43、遊技制御基板40に直接または電源基板101を介して接続されたスイッチ類から入力された検出信号を検出するスイッチ検出回路44、リールモータ32L、32C、32Rの駆動制御を行なうモータ駆動回路45、流路切替ソレノイド30の駆動制御を行なうソレノイド駆動回路46、遊技制御基板40に接続された各種表示器やLEDの駆動制御を行なうLED駆動回路47、スロットマシン1に供給される電源電圧を監視し、電圧低下を検出したときに、その旨を示す電圧低下信号をメイン制御部41に対して出力する電断検出回路48、電源投入時またはメインCPU41aからの初期化命令が入力されないときにメインCPU41aにリセット信号を与えるリセット回路49、その他各種デバイス、回路が搭載されている。
メインCPU41aは、計時機能、タイマ割込などの割込機能(割込禁止機能を含む)を備え、ROM41bに記憶されたプログラム(後述)を実行して、遊技の進行に関する処理を行なうとともに、遊技制御基板40に搭載された制御回路の各部を直接的または間接的に制御する。ROM41bは、メインCPU41aが実行するプログラムや各種テーブルなどの固定的なデータを記憶する。RAM41cは、メインCPU41aがプログラムを実行する際のワーク領域などとして使用される。I/Oポート41dは、メイン制御部41が備える信号入出力端子を介して接続された各回路との間で制御信号を入出力する。
また、メイン制御部41には、停電時においてもバックアップ電源が供給されており、バックアップ電源が供給されている間は、RAM41cに記憶されているデータが保持されるようになっている。
メインCPU41aは、基本処理として遊技制御基板40に接続された各種スイッチ類の検出状態が変化するまでは制御状態に応じた処理を繰り返しループし、各種スイッチ類の検出状態の変化に応じて段階的に移行する処理を実行する。また、メインCPU41aは、前述のように割込機能を備えており、割込の発生により基本処理に割り込んで割込処理を実行できるようになっており、電断検出回路48から出力された電圧低下信号の入力に応じて電断処理(メイン)を実行し、一定時間間隔ごとにタイマ割込処理(メイン)を実行する。なお、タイマ割込処理(メイン)の実行間隔は、基本処理において制御状態に応じて繰り返す処理が一巡する時間とタイマ割込処理(メイン)の実行時間とを合わせた時間よりも長い時間に設定されており、今回と次回のタイマ割込処理(メイン)との間で必ず制御状態に応じて繰り返す処理が最低でも一巡することとなる。
電断処理においては、当該処理の開始にともなってその他の割込処理の実行を禁止する。そして、使用している可能性がある全てのレジスタをRAM41cに退避させる処理が行なわれる。これにより、電断復旧時に、元の処理に復帰できるようにする。次に、全出力ポートを初期化した後、RAM41cに記憶されている全てのデータに基づいてRAMパリティを計算して所定のパリティ格納領域にセットし、RAMアクセスを禁止する。そして何らの処理も行なわないループ処理に入る。すなわち、そのまま電圧が低下すると内部的に動作停止状態になる。よって、電断時に確実にメイン制御部41は動作停止する。このように電断処理においては、その時点のRAMパリティを計算してパリティ格納領域に格納されるようになっており、次回起動時において計算したRAMパリティと比較することで、RAM41cに格納されているデータが正常か否かを確認できるようになっている。
次に、リセット回路49は、電源投入時においてメイン制御部41が起動可能なレベルまで電圧が上昇したときにメイン制御部41に対してリセット信号を出力し、メイン制御部41を起動させるとともに、メイン制御部41から定期的に出力される信号に基づいてリセットカウンタの値がクリアされずにカウントアップした場合、すなわちメイン制御部41が一定時間動作を行なわなかった場合にメイン制御部41に対してリセット信号を出力し、メイン制御部41を再起動させる回路である。
メインCPU41aは、I/Oポート41dを介して演出制御基板90に、各種のコマンドを送信する。ここで、遊技制御基板40から演出制御基板90へは、たとえば、ダイオードやトランジスタなどの単方向性回路などを用いて、一方向(遊技制御基板40から演出制御基板90への方向)のみにしか信号が通過できないように構成されている。そのため、遊技制御基板40から演出制御基板90へ送信されるコマンドは一方向のみで送られ、演出制御基板90から遊技制御基板40へ向けてコマンドが送られることはない。遊技制御基板40から演出制御基板90へのコマンド送信は、シリアル通信にて行なわれる。なお、遊技制御基板40と演出制御基板90とは、直接接続される構成に限らず、たとえば、中継基板を介して接続されるように構成してもよい。
演出制御基板90には、スロットマシン1の前面扉1bに配置された液晶表示器51(図1参照)、演出効果LED52、スピーカ53、54、およびリールLED55などの電気部品が接続されており、これら電気部品は、演出制御基板90に搭載された後述のサブ制御部91による制御に基づいて駆動されるようになっている。また、演出制御基板90には、演出用スイッチ56が接続されており、この演出用スイッチ56の検出信号が入力されるようになっている。なお、本実施の形態では、演出制御基板90に搭載されたサブ制御部91により、液晶表示器51、演出効果LED52、スピーカ53、54、およびリールLED55などの演出装置の出力制御が行なわれる構成であるが、サブ制御部91とは別に演出装置の出力制御を直接的に行なう出力制御部を演出制御基板90または他の基板に搭載し、サブ制御部91がメイン制御部41からのコマンドに基づいて演出装置の出力パターンを決定し、サブ制御部91が決定した出力パターンに基づいて出力制御部が演出装置の出力制御を行なう構成としてもよく、このような構成では、サブ制御部91および出力制御部の双方によって演出装置の出力制御が行なわれることとなる。
また、本実施の形態では、演出装置として液晶表示器51、演出効果LED52、スピーカ53、54、およびリールLED55を例示しているが、演出装置は、これらに限られず、たとえば、機械的に駆動する表示装置や機械的に駆動する役モノなどを演出装置として適用してもよい。
演出制御基板90には、メイン制御部41と同様にサブCPU91a、ROM91b、RAM91c、I/Oポート91dを備えたマイクロコンピュータにて構成され、演出の制御を行なうサブ制御部91、演出制御基板90に接続された液晶表示器51の表示制御を行なう表示制御回路92、演出効果LED52、およびリールLED55の駆動制御を行なうLED駆動回路93、スピーカ53、54からの音声出力制御を行なう音声出力回路94、電源投入時またはサブCPU91aからの初期化命令が一定時間入力されないときにサブCPU91aにリセット信号を与えるリセット回路95、演出制御基板90に接続された演出用スイッチ56から入力された検出信号を検出するスイッチ回路96、スロットマシン1に供給される電源電圧を監視し、電圧低下を検出したときに、その旨を示す電圧低下信号をサブCPU91aに対して出力する電断検出回路98、その他の回路など、が搭載されており、サブCPU91aは、遊技制御基板40から送信されるコマンドを受けて、演出を行なうための各種の制御を行なうとともに、演出制御基板90に搭載された制御回路の各部を直接的または間接的に制御する。
サブCPU91aは、メインCPU41aと同様に、割込機能(割込禁止機能を含む)を備える。サブ制御部91の割込端子の1つは、コマンド伝送ラインのうち、メイン制御部41がコマンドを送信する際に出力するストローブ(INT)信号線に接続されており、サブCPU91aは、ストローブ信号の入力に基づいて割込を発生させて、メイン制御部41からのコマンドを取得し、バッファに格納する。また、サブCPU91aは、クロック入力数が一定数に到達するごと、すなわち一定間隔ごとに割込を発生させて後述するタイマ割込処理(サブ)を実行する。また、サブ制御部91の割込端子の1つは、電断検出回路98と接続されており、サブCPU91aは、電断検出回路98から出力された電圧低下信号の入力に応じて電断処理(サブ)を実行する。また、サブCPU91aにおいても未使用の割込が発生した場合には、もとの処理に即時復帰させるようになっている。
また、サブ制御部91にも、停電時においてバックアップ電源が供給されており、バックアップ電源が供給されている間は、RAM91cに記憶されているデータが保持されるようになっている。
[設定値について]
スロットマシン1は、設定値に応じてメダルの払出率が変わるものである。詳しくは、後述する内部抽選において設定値に応じた当選確率を用いることにより、メダルの払出率が変わるようになっている。設定値は1〜6の6段階からなり、6が最も払出率が高く、5、4、3、2、1の順に払出率が低くなる。すなわち設定値として6が設定されている場合には、遊技者にとって最も有利度が高く、5、4、3、2、1の順に有利度が段階的に低くなる。なお、CBの当選確率については、設定値に依存することなくいずれの遊技状態においても一定の当選確率となっている。
設定値を変更するためには、スロットマシン1の電源がON状態である場合には一旦OFF状態にし、設定キースイッチ37をON状態としてからスロットマシン1の電源をONする必要がある。設定キースイッチ37をON状態として電源をONすると、設定値表示器24に設定値の初期値として1が表示され、リセット/設定スイッチ38の操作による設定値の変更操作が可能な設定変更モードに移行する。設定変更モードにおいて、リセット/設定スイッチ38が操作されると、設定値表示器24に表示された設定値が1ずつ更新されていく(設定6からさらに操作されたときは、設定1に戻る)。そして、スタートスイッチ7が操作されると設定値が確定し、確定した設定値がメイン制御部41のRAM41cに格納される。そして、設定キースイッチ37がOFFされると、賭数を設定することによりゲームが開始可能となる状態に移行する。
また、設定値を確認するためには、ゲーム終了後、賭数が設定されていない状態で設定キースイッチ37をON状態とすればよい。このような状況で設定キースイッチ37をON状態とすると、設定値表示器24にRAM41cから読み出された設定値が表示されることで設定値を確認可能な設定確認状態に移行する。設定確認状態においては、ゲームの進行が不能であり、設定キースイッチ37をOFF状態とすることで、設定確認状態が終了し、ゲームの進行が可能な状態に復帰することとなる。
[入賞役、遊技状態の遷移]
図5〜8は、入賞役の種類、入賞役の図柄組合せ、および入賞役に関連する技術事項について説明するための図である。また、図10は、メイン制御部41により制御される遊技状態の遷移を説明するための図である。
本実施の形態におけるスロットマシンは、図10に示すように、メイン制御部41により、RT0(ペナルティ遊技状態)、RT1(通常遊技状態)、およびRT2(有利遊技状態)といった3種類の遊技状態(RT状態とも称する)のうち、いずれかに制御される。
RT0とは、RT2から移行可能であり、再遊技役に当選する確率が最も低い遊技状態である。なお、再遊技役とは、入賞することによってメダルを消費することなく次のゲームを遊技することが可能な役である。そのため、再遊技役に当選する確率が高い遊技状態ほど、メダルの純増枚数が増えやすくなり、遊技者にとって有利となる。
RT1とは、RT0から移行可能であり、RT0よりも再遊技役に当選する確率が高い遊技状態である。なお、遊技者は遊技の大半をこの通常遊技状態で遊技することになる。
RT2とは、RT0から移行不可能でかつRT1から移行可能であり、RT0およびRT1よりも再遊技役に当選する確率が高い遊技状態である。つまり、RT2は、RT0およびRT1よりも遊技者にとって有利度合いの高い遊技状態である。
RT0においては、所定ゲーム数を消化(本実施の形態においては、30ゲーム消化)したときに遊技状態がRT1に移行する。また、RT1においては、後述するリプ3が入賞したときに遊技状態がRT2に移行する。また、RT2においては、後述するベル4が入賞したときに遊技状態がRT0に移行する。さらに、RT2においては、後述するベルこぼし目が導出されたときにRT1に移行する。
また、本実施の形態におけるスロットマシン1は、サブ制御部91により、内部抽選結果を報知するナビ演出を実行可能な報知期間となるアシストタイム(以下、ATとも称する)に演出状態を制御可能となっている。本実施の形態においては、たとえば、ATに制御されることによって、後述する図11に示すの押し順ベル(中ベルA〜C、右ベルA〜C)および図12に示す押し順リプ(リプB〜D)のうちのいずれかに当選したゲームにおいて、当選した役に対応する操作態様を報知するナビ演出が実行される。なお、本実施の形態においては、RT1またはRT2においてATへの制御が可能となっている。
図5〜8に示す入賞役については、それぞれの入賞役に対応する図柄組合せが入賞ラインL1上に導出されたときに入賞となる。なお、本実施の形態における図柄組合せの説明において、以下では、“隣り合うリールの区切り”を「−」を用いて説明する。
たとえば、図5に示すように、入賞役のうちCB役には、CB1およびCB2が含まれる。CB1は、入賞ラインL1上に「チェリー−チェリー−BAR」、「チェリー−チェリー−ベルa」、「チェリー−7−BAR」、「チェリー−7−ベルa」、「チェリー−メロン−BAR」、「チェリー−メロン−ベルa」、「スイカ−チェリー−BAR」、「スイカ−チェリー−ベルa」、「スイカ−7−BAR」、「スイカ−7−ベルa」、「スイカ−メロン−BAR」、「スイカ−メロン−ベルa」、「7−チェリー−BAR」、「7−チェリー−ベルa」、「7−7−BAR」、「7−7−ベルa」、「7−メロン−BAR」、および「7−メロン−ベルa」のいずれかの図柄組合せが導出されたときに入賞となる。
CB1について、左リール2Lの「チェリー」、「スイカ」、および「7」と、中リール2Cの「チェリー」、「7」、および「メロン」と、右リール2Rの「BAR」および「ベルa」は、それぞれ5コマ以内に配置されている。そのため、内部抽選においてCB1に当選しているときには、ストップスイッチ8L、8C、8Rの操作タイミングにかかわらず、当選しているCB1を入賞させることができる。つまり、CB1は取りこぼしのない役である。
その他の入賞役についても同様に、各々対応する図柄組合せが導出されたときに入賞となる。
CB2は、CB2に対応する図5に示す図柄組合せが入賞ラインL1上に導出されたときに入賞となる。そして、CB1と同様に、内部抽選においてCB2に当選しているときには、ストップスイッチ8L、8C、8Rの操作タイミングにかかわらず、当選しているCB2を入賞させることができる。つまり、CB2は取りこぼしのない役である。
CB1またはCB2が入賞したときには、CB入賞前後で遊技状態が変わらないままCBが作動される。また、CB1またはCB2が入賞したときには、メダルは払い出されない。なお、CB2が入賞したときに導出される表示結果をCB特定目とも称し、CB1が入賞したときに導出される表示結果をCB非特定目とも称する。
図5に示すように、入賞役のうち1枚役には、1枚役1〜3が含まれる。1枚役1〜3は、それぞれの役に対応する図5に示す図柄組合せが入賞ラインL1上に導出されたときに入賞となる。内部抽選において1枚役1〜3のいずれかに当選しているときには、ストップスイッチ8L、8C、8Rを適正なタイミングで操作しなければ当選している1枚役を入賞させることができない。たとえば、1枚役1の左リール2Lの図柄(「スイカ」)、中リール2Cの図柄(「スイカ」)、および右リール2Rの図柄(「JAC」)は、左リール2L、中リール2C、および右リール2Rにおいてそれぞれ5コマ以内に配置されていないためである。1枚役1〜3のいずれかが入賞したときには、1枚のメダルが払い出される。
なお、本実施の形態においては、後述する推奨手順で停止操作を行なって1枚役1〜3を取りこぼした時には、引込範囲内で左リール2Lの上段、中リール2Cの上段、および右リール2Rの上段にそれぞれメロンが停止して、上段に3つのメロン図柄が揃うチャンス目(上段メロンとも称する)が導出される場合がある。同様に、後述する推奨手順で停止操作を行なって1枚役1〜3を取りこぼした時には、引込範囲内で左リール2Lの下段、中リール2Cの下段、および右リール2Rの下段にそれぞれメロンが停止して、下段に3つのメロン図柄が揃うチャンス目(下段メロンとも称する)が導出される場合がある。本実施の形態においては、1枚役1〜3が当選しているときには後述するAT抽選が実行されるため、このチャンス目が導出されることにより、遊技者はAT抽選が実行されたことを認識できるようになっている。
図5に示すように、入賞役のうち14枚役には、14枚役1〜4が含まれる。14枚役1〜4は、それぞれの役に対応する図5に示す図柄組合せが入賞ラインL1上に導出されたときに入賞となる。内部抽選において14枚役1〜4のいずれかに当選しているときには、ストップスイッチ8L、8C、8Rを適正なタイミングで操作しなければ当選している14枚役を入賞させることができない。たとえば、14枚役1の左リール2Lの図柄(「BAR」)、中リール2Cの図柄(「ベルa」)、および右リール2Rの図柄(「ベルa」)は、左リール2L、中リール2C、および右リール2Rにおいてそれぞれ5コマ以内に配置されていないためである。14枚役1〜4のいずれかが入賞したときには、14枚のメダルが払い出される。
図5に示すように、入賞役のうちメロン役には、メロン1〜4が含まれる。メロン1〜4は、それぞれの役に対応する図5に示す図柄組合せが入賞ラインL1上に導出されたときに入賞となる。内部抽選においてメロン1〜4のいずれかに当選しているときには、ストップスイッチ8L、8C、8Rを適正なタイミングで操作しなければ当選しているメロン役を入賞させることができない。たとえば、メロン1の左リール2Lの図柄(「ベルb」)、中リール2Cの図柄(「メロン」)、および右リール2Rの図柄(「メロン」)は、左リール2L、中リール2C、および右リール2Rにおいて5コマ以内に配置されていないためである。メロン1〜4のいずれかが入賞したときには、3枚のメダルが払い出される。なお、メロン1またはメロン3が入賞したときには、左リール2Lの中段、中リール2Cの中段、および右リール2Rの中段にそれぞれメロンが停止して、中段に3つのメロン図柄が揃う表示結果が導出される。そのため、メロン1またはメロン3が入賞したときに導出される表示結果を中段メロンとも称する。また、メロン1またはメロン2が入賞したときには、左リール2Lの上段、中リール2Cの中段、および右リール2Rの下段にそれぞれメロンが停止して、右下斜めに3つのメロン図柄が揃う表示結果が導出される。そのため、メロン1またはメロン2が入賞したときに導出される表示結果を右下斜めメロンとも称する。
図6に示すように、入賞役のうちベル役には、ベル1〜3が含まれる。ベル1〜3は、それぞれの役に対応する図6に示す図柄組合せが入賞ラインL1上に導出されたときに入賞となる。内部抽選においてベル1〜3のいずれかに当選しているときには、ストップスイッチ8Cを適正なタイミングで操作しなければ当選しているベル役を入賞させることができない。たとえば、ベル1の中リール2Cの図柄(「スイカ」)は、中リール2Cにおいて5コマ以内に配置されていないためである。ベル1〜3のいずれかが入賞したときには、1枚のメダルが払い出される。なお、ベル1〜3が入賞したときには、左リール2Lの上段、中リール2Cの上段、および右リール2Rの上段にそれぞれベルaまたはベルbが停止して、上段に3つのベル図柄が揃う表示結果が導出される。そのため、ベル1〜3が入賞したときに導出される表示結果を上段ベルとも称する。また、当選しているベル1〜3のいずれも入賞させることができない場合は、特定の表示結果であるベルこぼし目が導出される。RT2においてベルこぼし目が導出されると、遊技状態がRT1へ移行する。なお、ベル1〜3による入賞は、後述するように、押し順ベルが当選したゲームで遊技者によるストップスイッチの押し順が不正解であった場合に主図柄による入賞(ベル5入賞)を取りこぼしたときに、引込範囲内で入賞する可能性があるため、副図柄入賞とも称する。
入賞役のうちベル役には、ベル4が含まれる。ベル4は、ベル4に対応する図6に示す図柄組合せが入賞ラインL1上に導出されたときに入賞となる。内部抽選においてベル4に当選しているときには、ストップスイッチ8L、8C、8Rの操作タイミングにかかわらず、当選しているベル4を入賞させることができる。つまり、ベル4は取りこぼしのない役である。ベル4が入賞したときには、1枚のメダルが払い出される。なお、ベル4が入賞したときには、左リール2Lの中段、中リール2Cの中段、および右リール2Rの中段にそれぞれベルaまたはベルbが停止して、中段に3つのベル図柄が揃う表示結果が導出される。そのため、ベル4が入賞したときに導出される表示結果を中段ベルとも称する。また、RT2においてベル4が入賞すると、遊技状態がRT0へ移行する。なお、ベル4による入賞は、後述するように、押し順ベルが当選したゲームで遊技者によるストップスイッチの押し順が不正解であった場合に主図柄による入賞(ベル5入賞)を取りこぼしたときに、入賞する可能性があるため、副図柄入賞とも称する。
入賞役のうちベル役には、ベル5が含まれる。ベル5は、ベル5に対応する図6に示す図柄組合せが入賞ラインL1上に導出されたときに入賞となる。内部抽選においてベル5に当選しているときには、ストップスイッチ8L、8C、8Rの操作タイミングにかかわらず、当選しているベル5を入賞させることができる。つまり、ベル5は取りこぼしのない役である。ベル5が入賞したときには、ベル1〜4のいずれかが入賞したときよりも多い9枚のメダルが払い出される。なお、ベル5が入賞したときには、左リール2Lの下段、中リール2Cの下段、および右リール2Rの下段にそれぞれベルaまたはベルbが停止して、下段に3つのベル図柄が揃う表示結果が導出される。そのため、ベル5が入賞したときに導出される表示結果を下段ベルとも称する。なお、ベル5による入賞は、後述するように、押し順ベルが当選したゲームで遊技者によるストップスイッチの押し順が正解であった場合に入賞するため、主図柄入賞とも称する。
図7に示すように、入賞役のうちベル役には、ベル6、7が含まれる。ベル6、7は、それぞれの役に対応する図7に示す図柄組合せが入賞ラインL1上に導出されたときに入賞となる。内部抽選においてベル6またはベル7に当選しているときには、ストップスイッチ8L、8C、8Rの操作タイミングにかかわらず、当選しているベル役を入賞させることができる。つまり、ベル6およびベル7は取りこぼしのない役である。ベル6およびベル7は、CB中の1ゲーム目において、実行されたナビ演出に遊技者が従わずにストップスイッチを操作したとき(つまり、押し順不正解のとき)に入賞し、14枚のメダルが払い出される。また、ベル6およびベル7は、CB中の2ゲーム目において、実行されたナビ演出に遊技者が従ってストップスイッチを操作したとき(つまり、押し順正解のとき)に入賞し、14枚のメダルが払い出される。
入賞役のうちベル役には、CB中ベル1、2が含まれる。CB中ベル1、2は、それぞれの役に対応する図7に示す図柄組合せが入賞ラインL1上に導出されたときに入賞となる。内部抽選においてCB中ベル1またはCB中ベル2に当選しているときには、ストップスイッチ8L、8C、8Rの操作タイミングにかかわらず、当選しているベル役を入賞させることができる。つまり、CB中ベル1およびCB中ベル2は取りこぼしのない役である。CB中ベル1およびCB中ベル2は、CB中の1ゲーム目において、実行されたナビ演出に遊技者が従ってストップスイッチを操作したとき(つまり、押し順正解のとき)に入賞し、13枚のメダルが払い出される。また、CB中ベル1およびCB中ベル2は、CB中の2ゲーム目において、実行されたナビ演出に遊技者が従わずにストップスイッチを操作したとき(つまり、押し順不正解のとき)に入賞し、13枚のメダルが払い出される。なお、CB中ベル1が入賞したときには、左リール2Lの上段、中リール2Cの中段、および右リール2Rの上段にそれぞれベルaまたはベルbが停止して、小谷に3つのベル図柄が揃う表示結果が導出される。そのため、CB中ベル1が入賞したときに導出される表示結果を小谷ベルとも称する。また、CB中ベル2が入賞したときには、左リール2Lの下段、中リール2Cの中段、および右リール2Rの下段にそれぞれベルaまたはベルbが停止して、小山に3つのベル図柄が揃う表示結果が導出される。そのため、CB中ベル1が入賞したときに導出される表示結果を小山ベルとも称する。
図8に示すように、入賞役のうち再遊技役には、リプ1〜4が含まれる。リプ1〜4は、それぞれの役に対応する図8に示す図柄組合せが入賞ラインL1上に導出されたときに入賞となる。内部抽選においてリプ1〜4のいずれかに当選しているときには、ストップスイッチ8L、8C、8Rの操作タイミングにかかわらず、当選している再遊技役を入賞させることができる。つまり、リプ1〜4は取りこぼしのない役である。リプ1〜4のいずれかが入賞したときには、メダルを消費することなく次のゲームを遊技することが可能となる。なお、リプ1は、内部抽選において抽選対象役を区別するために設けられた制御用リプであるため、当選しても入賞することはないが、他の例として入賞するものであってもよい。リプ2またはリプ4が入賞したときには、RT状態が維持される。そのため、リプ2およびリプ4を維持リプとも称する。リプ3が入賞したときには、RT1時であれば、遊技状態がRT2に移行する。そのため、リプ3を昇格リプとも称する。
[非CB中の抽選対象役の組合せ]
次に、図9を参照して、非CB中の内部抽選において読み出される抽選対象役について説明する。本実施の形態では、遊技状態が、RT0、RT1、およびRT2のいずれであるかによって内部抽選の対象となる役が異なる。図9においては、縦の欄に、内部抽選で読み出され得る抽選対象役の名称を示し、横の欄に、抽選対象役ごとの、入賞役の組合せ、抽選される遊技状態、および関連情報の内容を示している。
抽選対象役は、一の入賞役のみについて内部抽選される役と、複数の入賞役について同時に内部抽選される役とが設けられている。抽選対象役に対応して内部抽選される役については、入賞役の組合せの欄に示している。
また、抽選対象役に対応する遊技状態の欄の○印は、当該遊技状態であるときの内部抽選において当該抽選対象役が読み出されることを示し、×印は、当該遊技状態であるときの内部抽選において当該抽選対象役が読み出されないことを示している。
また、スロットマシン1においては、抽選対象役として複数の入賞役が同時に読み出されて、重複して当選し得る。以下では、入賞役の間に“+”を表記することにより、内部抽選において同時に抽選対象役として読み出されることを示す。
遊技状態がRT0であるときには、CB、中ベルA〜C、右ベルA〜C、共通ベルA、B、CB中ベルA、B、リプA〜E、メロンA、B、1枚役A〜C、および14枚役A〜Dが内部抽選の対象役として順に読み出される。また、遊技状態がRT1であるときには、CB、中ベルA〜C、右ベルA〜C、共通ベルA、B、CB中ベルA、B、リプB〜D、メロンA、B、1枚役A〜C、および14枚役A〜Dが内部抽選の対象役として順に読み出される。また、遊技状態がRT2であるときには、CB、中ベルA〜C、右ベルA〜C、共通ベルA、B、CB中ベルA、B、リプB〜E、メロンA、B、1枚役A〜C、および14枚役A〜Dが内部抽選の対象役として順に読み出される。
CBは、CB1+CB2を読み出す抽選対象役をいう。ATに制御されている場合に内部抽選でCBに当選したときには、CB2を入賞させるためのナビ演出が実行される。
中ベルAは、ベル1+ベル4+ベル5+1枚役1を読み出す抽選対象役をいう。中ベルBは、ベル2+ベル4+ベル5+1枚役2を読み出す抽選対象役をいう。中ベルCは、ベル3+ベル4+ベル5+1枚役3を読み出す抽選対象役をいう。右ベルAは、メロン4+ベル1+ベル4+ベル5+1枚役1を読み出す抽選対象役をいう。右ベルBは、メロン4+ベル2+ベル4+ベル5+1枚役2を読み出す抽選対象役をいう。右ベルCは、メロン4+ベル3+ベル4+ベル5+1枚役3を読み出す抽選対象役をいう。なお、ATに制御されている場合に内部抽選で中ベルA、中ベルB、中ベルC、右ベルA、右ベルB、および右ベルCのいずれかに当選したときには、ベル5を入賞させるためのナビ演出が実行される。そのため、中ベルA、中ベルB、中ベルC、右ベルA、右ベルB、および右ベルCは、押し順ベルとも称する。
共通ベルAは、ベル6を読み出す抽選対象役をいう。共通ベルBは、ベル7を読み出す抽選対象役をいう。
CB中ベルAは、CB中ベル1を読み出す抽選対象役をいう。CB中ベルBは、CB中ベル2を読み出す抽選対象役をいう。
リプAは、リプ2を読み出す抽選対象役をいう。リプAに当選したときには、リプ2に入賞することでRT状態が維持される。リプBは、リプ2+リプ3を読み出す抽選対象役をいう。リプCは、リプ1+リプ2+リプ3を読み出す抽選対象役をいう。リプDは、リプ2+リプ3+リプ4を読み出す抽選対象役をいう。リプB、リプC、およびリプDのいずれかに当選した場合であって、リプ2が入賞したときにはRT状態が維持され、RT1時にリプ3が入賞したときにはRT2に遊技状態が昇格し、RT2時にリプ3が入賞したときにはRT状態が維持される。リプEは、リプ2+リプ4を読み出す抽選対象役をいう。リプEに当選したときには、リプ2およびリプ4のいずれが入賞してもRT状態が維持される。なお、ATに制御されている場合に内部抽選でリプB、リプC、およびリプDのいずれかに当選したときには、リプ3を入賞させるためのナビ演出が実行される。そのため、リプB、リプC、およびリプDは、押し順リプとも称する。
メロンAは、メロン1+メロン2+メロン3+メロン4を読み出す抽選対象役をいう。メロンBは、メロン2+メロン3+メロン4を読み出す抽選対象役をいう。メロンAまたはメロンBに当選したときには、後述するAT抽選が実行される。
1枚役Aは、1枚役1を読み出す抽選対象役をいう。1枚役Bは、1枚役2を読み出す抽選対象役をいう。1枚役Cは、1枚役3を読み出す抽選対象役をいう。1枚役A、1枚役B、および1枚役Cのいずれかに当選したときには、後述するAT抽選が実行される。また、1枚役A、1枚役B、および1枚役Cのいずれかに当選したときには、後述する特定範囲ナビ演出が実行される。
14枚役Aは、14枚役1を読み出す抽選対象役をいう。14枚役Bは、14枚役2を読み出す抽選対象役をいう。14枚役Cは、14枚役3を読み出す抽選対象役をいう。14枚役Dは、14枚役4を読み出す抽選対象役をいう。14枚役A、14枚役B、14枚役C、および14枚役Dのいずれかに当選したときには、後述するAT抽選が実行される。
[内部抽選]
次に、内部抽選について詳細に説明する。内部抽選は、上記した各入賞役の発生を許容するか否か、すなわち入賞役を発生させる図柄組合せを入賞ラインL1に揃える制御を行なうことを許容するか否かを、可変表示装置の表示結果が導出表示される以前に(実際には、スタートスイッチ7操作時に)、決定するものである。内部抽選では、乱数回路42から内部抽選用の乱数(0〜65535の整数)を取得する。そして、遊技状態に応じて定められた各役について、取得した内部抽選用の乱数と、遊技状態と、リセット/設定スイッチ38により設定された設定値に応じて定められた各入賞役の判定値数に応じて行なわれる。
本実施の形態においては、各役および役の組合せの判定値数から、CB、中ベルA、中ベルB、中ベルC、右ベルA、右ベルB、右ベルC、共通ベルA、共通ベルB、CB中ベルA、CB中ベルB、リプA、リプB、リプC、リプD、リプE、メロンA、メロンB、1枚役A、1枚役B、1枚役C、14枚役A、14枚役B、14枚役C、および14枚役Dに当選する判定値の範囲が特定されるようになっている。なお、本実施の形態においては、RT2のときには、他のRT0およびRT1よりも高い確率で再遊技役(リプA〜E)に当選するように判定値数が設定されている。そのため、RT2においては、RT0およびRT1よりもメダルを消費することなく遊技を進められる可能性が高い点で遊技者にとって有利度合いが高い遊技状態であるといえる。また、メロンAまたはメロンBの当選時にはAT抽選が実行されるようになっている。そのため、メロンAおよびメロンBの希少価値を出すため、メロンAおよびメロンBはその他の役よりも低い確率で当選するように判定値数が設定されている。
内部抽選では、内部抽選の対象となる役または役の組合せおよび現在の遊技状態について定められた判定値数を、内部抽選用の乱数に順次加算し、加算の結果がオーバーフローしたときに、当該役または役の組合せに当選したものと判定される。
いずれかの役または役の組合せの当選が判定された場合には、当選が判定された役または役の組合せに対応する当選フラグをRAM41cに割り当てられた内部当選フラグ格納ワークに設定する。内部当選フラグ格納ワークは、2バイトの格納領域にて構成されている。
[リールの停止制御]
次に、リール2L、2C、2Rの停止制御について説明する。メインCPU41aは、リールの回転が開始したとき、および、リールが停止し、かつ未だ回転中のリールが残っているときに、ROM41bに格納されているテーブルインデックスおよびテーブル作成用データを参照して、回転中のリール別に停止制御テーブルを作成する。そして、ストップスイッチ8L、8C、8Rのうち、回転中のリールに対応するいずれかの操作が有効に検出されたときに、該当するリールの停止制御テーブルを参照し、参照した停止制御テーブルの引込コマ数に基づいて、操作されたストップスイッチ8L、8C、8Rに対応するリール2L、2C、2Rの回転を停止させる制御を行なう。
テーブルインデックスには、内部抽選による当選フラグの設定状態(以下、内部当選状態と呼ぶ)別に、テーブルインデックスを参照する際の基準アドレスから、テーブル作成用データが格納された領域の先頭アドレスを示すインデックスデータが格納されているアドレスまでの差分が登録されている。テーブル作成用データは、停止操作位置に応じた引込コマ数を示す停止制御テーブルと、リールの停止状況に応じて参照すべき停止制御テーブルのアドレスとからなる。
リールの停止状況に応じて参照される停止制御テーブルは、全てのリールが回転しているか、左リール2Lのみ停止しているか、中リール2Cのみ停止しているか、右リール2Rのみ停止しているか、左リール2Lおよび中リール2Cが停止しているか、左リール2Lおよび右リール2Rが停止しているか、中リール2Cおよび右リール2Rが停止しているか、によって異なる場合があり、さらに、いずれかのリールが停止している状況においては、停止済みのリールの停止位置によっても異なる場合があるので、それぞれの状況について、参照すべき停止制御テーブルのアドレスが回転中のリール別に登録されており、テーブル作成用データの先頭アドレスに基づいて、それぞれの状況に応じて参照すべき停止制御テーブルのアドレスが特定可能とされ、この特定されたアドレスから、それぞれの状況に応じて必要な停止制御テーブルを特定できるようになっている。なお、リールの停止状況や停止済みのリールの停止位置が異なる場合でも、同一の停止制御テーブルが適用される場合においては、停止制御テーブルのアドレスとして同一のアドレスが登録されているものもあり、このような場合には、同一の停止制御テーブルが参照されることとなる。
停止制御テーブルは、停止操作が行なわれたタイミング別の引込コマ数を特定可能なデータである。本実施の形態では、リールモータ32L、32C、32Rに、168ステップ(0〜167)の周期で1周するステッピングモータを用いている。すなわちリールモータ32L、32C、32Rを168ステップ駆動させることでリール2L、2C、2Rが1周することとなる。そして、リール1周に対して8ステップ(1図柄が移動するステップ数)ごとに分割した21の領域(コマ)が定められており、これらの領域には、リール基準位置から1〜21(図3参照)の領域番号が割り当てられている。
一方、1リールに配列された図柄数も21であり、各リールの図柄に対して、リール基準位置から1〜21の図柄番号が割り当てられているので、1番図柄から21番図柄に対して、それぞれ1〜21の領域番号が順に割り当てられていることとなる。そして、停止制御テーブルには、領域番号別の引込コマ数が所定のルールで圧縮して格納されており、停止制御テーブルを展開することによって領域番号別の引込コマ数を取得できるようになっている。
前述のようにテーブルインデックスおよびテーブル作成用データを参照して作成される停止制御テーブルは、領域番号に対応して、各領域番号に対応する領域が停止基準位置(本実施の形態では、透視窓3の下段図柄の領域)に位置するタイミング(リール基準位置からのステップ数が各領域番号のステップ数の範囲に含まれるタイミング)でストップスイッチ8L、8C、8Rの操作が検出された場合の引込コマ数がそれぞれ設定されたテーブルである。すなわち、停止制御テーブルにより、リールの領域番号に対応する図柄ごとに、当該図柄が停止基準位置(下段)を通過しているときにストップスイッチ8L、8C、8Rの操作が検出された場合の引込コマ数を特定することができる。
次に、停止制御テーブルの作成手順について説明すると、先ず、リール回転開始時においては、そのゲームの内部当選状態に応じたテーブル作成用データの先頭アドレスを取得する。具体的には、先ずテーブルインデックスを参照し、内部当選状態に対応するインデックスデータを取得し、そして取得したインデックスデータに基づいてテーブル作成用データを特定し、特定したテーブル作成用データから全てのリールが回転中の状態に対応する各リールの停止制御テーブルのアドレスを取得し、取得したアドレスに格納されている各リールの停止制御テーブルを展開して全てのリールについて停止制御テーブルを作成する。また、いずれか1つのリールが停止したとき、またはいずれか2つのリールが停止したときには、リール回転開始時に取得したインデックスデータ、すなわちそのゲームの内部当選状態に応じたテーブル作成用データの先頭アドレスに基づいてテーブル作成用データを特定し、特定したテーブル作成用データから停止済みのリールおよび当該リールの停止位置の領域番号に対応する未停止リールの停止制御テーブルのアドレスを取得し、取得したアドレスに格納されている各リールの停止制御テーブルを展開して未停止のリールについて停止制御テーブルを作成する。
次に、メインCPU41aがストップスイッチ8L、8C、8Rのうち、回転中のリールに対応するいずれかの操作を有効に検出したときに、該当するリールに表示結果を導出させる際の制御について説明する。ストップスイッチ8L、8C、8Rのうち、回転中のリールに対応するいずれかの操作を有効に検出すると、停止操作を検出した時点のリール基準位置からのステップ数に基づいて停止操作位置の領域番号を特定し、停止操作が検出されたリールの停止制御テーブルを参照し、特定した停止操作位置の領域番号に対応する引込コマ数を取得する。そして、取得した引込コマ数分リールを回転させて停止させる制御を行なう。具体的には、停止操作を検出した時点のリール基準位置からのステップ数から、取得した引込コマ数引き込んで停止させるまでのステップ数を算出し、算出したステップ数分リールを回転させて停止させる制御を行なう。これにより、停止操作が検出された停止操作位置の領域番号に対応する領域から引込コマ数分先の停止位置となる領域番号に対応する領域が停止基準位置(本実施の形態では、透視窓3の下段図柄の領域)に停止することとなる。
本実施の形態のテーブルインデックスには、一の遊技状態における一の内部当選状態に対応するインデックスデータとして1つのアドレスのみが格納されており、さらに、一のテーブル作成用データには、一のリールの停止状況(および停止済みのリールの停止位置)に対応する停止制御テーブルの格納領域のアドレスとして1つのアドレスのみが格納されている。すなわち一の遊技状態における一の内部当選状態に対応するテーブル作成用データ、およびリールの停止状況(および停止済みのリールの停止位置)に対応する停止制御テーブルが一意的に定められており、これらを参照して作成される停止制御テーブルも、一の遊技状態における一の内部当選状態、およびリールの停止状況(および停止済みのリールの停止位置)に対して一意となる。このため、遊技状態、内部当選状態、リールの停止状況(および停止済みのリールの停止位置)の全てが同一条件となった際に、同一の停止制御テーブル、すなわち同一の制御パターンに基づいてリールの停止制御が行なわれることとなる。
また、本実施の形態では、引込コマ数として0〜4の値が定められており、停止操作を検出してから最大4コマ図柄を引き込んでリールを停止させることが可能である。すなわち停止操作を検出した停止操作位置を含め、最大5コマの範囲から図柄の停止位置を指定できるようになっている。また、1図柄分リールを移動させるのに1コマの移動が必要であるので、停止操作を検出してから最大4図柄を引き込んでリールを停止させることが可能であり、停止操作を検出した停止操作位置を含め、最大5図柄の範囲から図柄の停止位置を指定できることとなる。
本実施の形態では、いずれかの役に当選している場合には、当選役を入賞ラインL1上に4コマの範囲で最大限引き込み、当選していない役が入賞ラインL1上に揃わないように引き込む引込コマ数が定められた停止制御テーブルを作成し、リールの停止制御を行なう一方、いずれの役にも当選していない場合には、いずれの役も揃わない引込コマ数が定められた停止制御テーブルを作成し、リールの停止制御を行なう。これにより、停止操作が行なわれた際に、入賞ラインL1上に最大4コマの引込範囲で当選している役を揃えて停止させることができれば、これを揃えて停止させる制御が行なわれ、当選していない役は、最大4コマの引込範囲でハズシて停止させる制御が行なわれることとなる。
なお、本実施の形態におけるスロットマシン1では設けられていないが、ボーナス(たとえば、BBやRB)などの特別役を実行するものであれば、以下の制御を行なうものであってもよい。たとえば、特別役が前ゲーム以前から持ち越されている状態で小役(メロン役、ベル役、1枚役、および14枚役など入賞によってメダルの払出しが行なわれる役)に当選した場合や、特別役が同時当選役と同時に当選した場合などでは、当選した小役を入賞ラインL1に4コマの範囲で最大限に引き込むように引込コマ数が定められているとともに、当選した小役を入賞ラインL1に最大4コマの範囲で引き込めない停止操作位置については、当選した特別役を入賞ラインL1に4コマの範囲で最大限に引き込むように引込コマ数が定められた停止制御テーブルを作成し、リールの停止制御を行なう。これにより、停止操作が行なわれた際に、入賞ラインL1上に最大4コマの引込範囲で当選している小役を揃えて停止させることができれば、これを揃えて停止させる制御が行なわれ、入賞ラインL1上に最大4コマの引込範囲で当選している小役を引き込めない場合には、入賞ラインL1上に最大4コマの引込範囲で当選している特別役を揃えて停止させることができれば、これを揃えて停止させる制御が行なわれ、当選していない役は、4コマの引込範囲でハズシて停止させる制御が行なわれることとなる。
すなわち、このような場合には、特別役よりも小役を入賞ラインL1上に揃える制御が優先され、小役を引き込めない場合にのみ、特別役を入賞させることが可能となる。その結果、小役を優先的に入賞させた後に特別役を入賞させることにより、小役よりも特別役を優先的に入賞させるものと比較して、小役を入賞させてメダルを獲得した後に特別役を入賞させることができるため、特別役入賞前に遊技者のメダルを極力増加させるようにすることができ、遊技者にとって有利なリール制御が行なわれる。なお、特別役と小役とを同時に引き込める場合には、小役のみを引き込み、小役と同時に特別役が入賞ライン上に揃わないようになっている。
次に、特別役が前ゲーム以前から持ち越されている状態で再遊技役が当選した場合や、特別役と再遊技役が同時に当選している場合などでは、当選した再遊技役を入賞ラインL1に4コマの範囲で最大限に引き込むように引込コマ数が定められた停止制御テーブルを作成し、リールの停止制御を行なう。これにより、停止操作が行なわれた際に、入賞ラインL1上に最大4コマの引込範囲で再遊技役の図柄を揃えて停止させる制御が行なわれる。
複数種類の再遊技役が同時に当選している場合には、同時当選した再遊技役の種類および停止操作順に応じて定められた入賞役を入賞ラインL1上に最大4コマの引込範囲で揃えて停止させる制御が行なわれる。
なお、本実施の形態では、回転を開始した3つのリール2L、2C、2Rのうち、最初に停止するリールを第1停止リールと称し、また、その停止を第1停止と称する。同様に、2番目に停止するリールを第2停止リールと称し、また、その停止を第2停止と称し、3番目に停止するリールを第3停止リールと称し、また、その停止を第3停止あるいは最終停止と称する。なお、3つのリール2L、2C、2Rのうち、左リール2Lを第1停止することを左第1停止、中リール2Cを第1停止することを中第1停止、右リール2Rを第1停止することを右第1停止と称する。また、本実施の形態において、遊技者がストップスイッチ8L、8C、8Rを操作する手順(押し順ともいう)には、順押し、順挟み押し、中左押し、中右押し、逆挟み押し、および逆押しが含まれる。順押しとは、左リール2Lを第1停止させた後に、中リール2Cを第2停止させる押し順をいう。また、順挟み押しとは、左リール2Lを第1停止させた後に、右リール2Rを第2停止させる押し順をいう。中左押しとは、中リール2Cを第1停止させた後に、左リール2Lを第2停止させる押し順をいう。中右押しとは、中リール2Cを第1停止させた後に、右リール2Rを第2停止させる押し順をいう。逆挟み押しとは、右リール2Rを第1停止させた後に、左リール2Lを第2停止させる押し順をいう。逆押しとは、右リール2Rを第1停止させた後に、中リール2Cを第2停止させる押し順をいう。
また、本実施の形態のスロットマシン1では、非AT中のゲームにおいて左リール2Lを第1停止させなかった場合には、左リール2Lを第1停止させたときには科されることのない遊技者にとって不利な所定のペナルティを生じさせる制御が行なわれる。これは、演出状態が非AT中のゲームにおいて遊技者が左第1停止をするように仕向けるためである。つまり、本実施の形態のスロットマシン1は、非AT中のゲームにおいて左第1停止させるように設計されている。
本実施の形態においては、非AT中において遊技者が左第1停止を行なわなかったとき(変則押しともいう)には、サブ制御部91によりペナルティフラグがセットされる。このペナルティフラグがセットされると、所定のペナルティが遊技者に科される。具体的なペナルティとしては、ナビストックを付与するか否かのAT抽選において、ナビストック付与の当選確率が著しく低い確率に設定されたり、ATに制御されるゲーム数が最も少ないゲーム数に決定されたりする。これにより、ペナルティが科されてしまうと、ATに制御されにくくなるため、RT1においては昇格リプに入賞させることが難しくなり、RT1よりも有利なRT2に移行しにくくなる。また、ペナルティが科されてしまうと、RT2においてはベルこぼし目が導出しやすくなるため、その結果、RT2よりも不利なRT1に移行しやすくなる。そのため、遊技者は、ペナルティが科されないように、非AT中に左第1停止をするようになる。
[ベル役当選時のリール制御]
図11は、ベル役当選時のリール制御を説明するための図である。押し順ベルである中ベルA、中ベルB、中ベルC、右ベルA、右ベルB、および右ベルCのいずれかに当選している場合には、最初に停止操作がなされたリール(第1停止リール)が左リール2L、中リール2C、右リール2Rのいずれであるかに応じて、当選しているベル役のうちのいずれかを入賞ライン上に最大4コマの引込範囲で揃えて停止させる制御が行なわれる。
たとえば、中ベルAに当選し、左第1停止された場合には、引込範囲内で当選したベル役のうちベル1の図柄組合せを入賞ラインL1上に揃えて停止させる制御が行なわれ、副図柄入賞であるベル1の入賞が発生する。この場合、押し順不正解であるとして、1枚のメダルしか払い出されない。ここで、前述したように、ベル1は、取りこぼしのある役である。よって、ストップスイッチ8L、8C、8Rの各々が、当選しているベル1に応じた適正なタイミングで停止操作されたときにはベル1が入賞し得るが、適正なタイミングで停止操作されなかったときにはベル1は入賞せずに、ベルこぼし目を入賞ラインL1上に揃えて停止させる制御が行なわれる。また、中ベルAに当選し、中第1停止された場合には、当選したベル役のうちベル5の図柄組合せを入賞ラインL1上に揃えて停止させる制御が行なわれ、主図柄入賞であるベル5の入賞が発生する。この場合、押し順正解であるとして、9枚のメダルが払い出される。また、中ベルAに当選し、右第1停止された場合には、当選したベル役のうちベル4の図柄組合せを入賞ラインL1上に揃えて停止させる制御が行なわれ、副図柄入賞であるベル4の入賞が発生する。この場合、押し順不正解であるとして、1枚のメダルしか払い出されない。
中ベルBに当選し、左第1停止された場合には、引込範囲内で当選したベル役のうちベル2の図柄組合せを入賞ラインL1上に揃えて停止させる制御が行なわれ、副図柄入賞であるベル2の入賞が発生する。この場合、押し順不正解であるとして、1枚のメダルしか払い出されない。ここで、前述したように、ベル2は、取りこぼしのある役である。よって、ストップスイッチ8L、8C、8Rの各々が、当選しているベル2に応じた適正なタイミングで停止操作されたときにはベル2が入賞し得るが、適正なタイミングで停止操作されなかったときにはベル2は入賞せずに、ベルこぼし目を入賞ラインL1上に揃えて停止させる制御が行なわれる。また、中ベルBに当選し、中第1停止された場合には、当選したベル役のうちベル5の図柄組合せを入賞ラインL1上に揃えて停止させる制御が行なわれ、主図柄入賞であるベル5の入賞が発生する。この場合、押し順正解であるとして、9枚のメダルが払い出される。また、中ベルBに当選し、右第1停止された場合には、当選したベル役のうちベル4の図柄組合せを入賞ラインL1上に揃えて停止させる制御が行なわれ、副図柄入賞であるベル4の入賞が発生する。この場合、押し順不正解であるとして、1枚のメダルしか払い出されない。
中ベルCに当選し、左第1停止された場合には、引込範囲内で当選したベル役のうちベル3の図柄組合せを入賞ラインL1上に揃えて停止させる制御が行なわれ、副図柄入賞であるベル3の入賞が発生する。この場合、押し順不正解であるとして、1枚のメダルしか払い出されない。ここで、前述したように、ベル3は、取りこぼしのある役である。よって、ストップスイッチ8L、8C、8Rの各々が、当選しているベル3に応じた適正なタイミングで停止操作されたときにはベル3が入賞し得るが、適正なタイミングで停止操作されなかったときにはベル3は入賞せずに、ベルこぼし目を入賞ラインL1上に揃えて停止させる制御が行なわれる。また、中ベルCに当選し、中第1停止された場合には、当選したベル役のうちベル5の図柄組合せを入賞ラインL1上に揃えて停止させる制御が行なわれ、主図柄入賞であるベル5の入賞が発生する。この場合、押し順正解であるとして、9枚のメダルが払い出される。また、中ベルCに当選し、右第1停止された場合には、当選したベル役のうちベル4の図柄組合せを入賞ラインL1上に揃えて停止させる制御が行なわれ、副図柄入賞であるベル4の入賞が発生する。この場合、押し順不正解であるとして、1枚のメダルしか払い出されない。
右ベルAに当選し、左第1停止された場合には、引込範囲内で当選したベル役のうちベル1の図柄組合せを入賞ラインL1上に揃えて停止させる制御が行なわれ、副図柄入賞であるベル1の入賞が発生する。この場合、押し順不正解であるとして、1枚のメダルしか払い出されない。この場合、1枚のメダルが払い出される。そして、ストップスイッチ8L、8C、8Rの各々が、当選しているベル1に応じた適正なタイミングで停止操作されなかったときにはベル1は入賞せずに、ベルこぼし目を入賞ラインL1上に揃えて停止させる制御が行なわれる。また、右ベルAに当選し、中第1停止された場合には、当選したベル役のうちベル4の図柄組合せを入賞ラインL1上に揃えて停止させる制御が行なわれ、副図柄入賞であるベル4の入賞が発生する。この場合、押し順不正解であるとして、1枚のメダルしか払い出されない。また、右ベルAに当選し、右第1停止された場合には、当選したベル役のうちベル5の図柄組合せを入賞ラインL1上に揃えて停止させる制御が行なわれ、主図柄入賞であるベル5の入賞が発生する。この場合、押し順正解であるとして、9枚のメダルが払い出される。
右ベルBに当選し、左第1停止された場合には、引込範囲内で当選したベル役のうちベル2の図柄組合せを入賞ラインL1上に揃えて停止させる制御が行なわれ、副図柄入賞であるベル2の入賞が発生する。この場合、押し順不正解であるとして、1枚のメダルしか払い出されない。そして、ストップスイッチ8L、8C、8Rの各々が、当選しているベル2に応じた適正なタイミングで停止操作されなかったときにはベル2は入賞せずに、ベルこぼし目を入賞ラインL1上に揃えて停止させる制御が行なわれる。また、右ベルBに当選し、中第1停止された場合には、当選したベル役のうちベル4の図柄組合せを入賞ラインL1上に揃えて停止させる制御が行なわれ、副図柄入賞であるベル4の入賞が発生する。この場合、押し順不正解であるとして、1枚のメダルしか払い出されない。また、中ベルBに当選し、右第1停止された場合には、当選したベル役のうちベル5の図柄組合せを入賞ラインL1上に揃えて停止させる制御が行なわれ、主図柄入賞であるベル5の入賞が発生する。この場合、押し順正解であるとして、9枚のメダルが払い出される。
右ベルCに当選し、左第1停止された場合には、引込範囲内で当選したベル役のうちベル3の図柄組合せを入賞ラインL1上に揃えて停止させる制御が行なわれ、副図柄入賞であるベル3の入賞が発生する。この場合、押し順不正解であるとして、1枚のメダルしか払い出されない。そして、ストップスイッチ8L、8C、8Rの各々が、当選しているベル3に応じた適正なタイミングで停止操作されなかったときにはベル3は入賞せずに、ベルこぼし目を入賞ラインL1上に揃えて停止させる制御が行なわれる。また、右ベルCに当選し、中第1停止された場合には、当選したベル役のうちベル4の図柄組合せを入賞ラインL1上に揃えて停止させる制御が行なわれ、副図柄入賞であるベル4の入賞が発生する。この場合、押し順不正解であるとして、1枚のメダルしか払い出されない。また、右ベルCに当選し、右第1停止された場合には、当選したベル役のうちベル5の図柄組合せを入賞ラインL1上に揃えて停止させる制御が行なわれ、主図柄入賞であるベル5の入賞が発生する。この場合、押し順正解であるとして、9枚のメダルが払い出される。
以上のように本実施の形態では、中ベルA、中ベルB、中ベルC、右ベルA、右ベルB、および右ベルCのいずれに当選したかによって、9枚払出しのベル5を確実に入賞させるための押し順を異ならせることができる。つまり、押し順ベルについては、それぞれベル5を入賞させるための押し順(以下、特定押し順とも称する。)が対応付けられており、特定押し順で操作することによって主図柄入賞させるとともに、副図柄入賞および入賞のとりこぼしによるベルこぼし目の導出を回避することができる。
また、本実施の形態においては、左第1停止が押し順正解となって主図柄入賞であるベル5の入賞が発生する当選役(たとえば、左ベル)が設けられていない。この理由は、本実施の形態においては、非AT中においては左第1停止が推奨されているため、非AT中に偶然にも押し順正解されてベル5が入賞してしまうことを回避するためである。これにより、AT中においては、非AT中に比べてベル5を入賞しうる点でも有利にすることができる。なお、左第1停止が押し順正解となる左ベルを設けてもよいが、左ベルについては中ベルや右ベルよりも当選確率を低く設定して、当選し難くする方が好ましい。
なお、本実施の形態においては、右ベルA〜Cのいずれが当選したときであっても、メロン4は入賞することはないが、たとえば、BBやRBなどの特別役を備え、当該特別役が内部当選したときに限って、メロン4を押し順に応じて入賞させるものであってもよい。そして、内部当選中にのみ制御される内部遊技状態において、右ベルA〜Cの当選確率を向上させることにより、メロン役の当選確率をその他の遊技状態のときよりも向上させることが可能となる。これにより、メロン役当選を契機とした後述するAT抽選の実行頻度を向上させることができる。
[再遊技役当選時のリール制御]
図12は、再遊技役当選時のリール制御を説明するための図である。押し順リプであるリプB、リプC、およびリプDのいずれかに当選している場合には、遊技者のストップスイッチの押し順に応じて、当選している再遊技役のうちのいずれかを入賞ライン上に最大4コマの引込範囲で揃えて停止させる制御が行なわれる。
たとえば、リプBに当選し、順挟み押しで操作された場合には、リプ3が入賞する。この場合、RT1時であれば遊技状態がRT2に移行し、RT2時であればRT状態が維持される。一方、リプBに当選し、順挟み押し以外で操作された場合には、リプ2が入賞し、RT状態が維持される。
リプCに当選し、中左押しで操作された場合には、リプ3が入賞する。この場合、RT1時であれば遊技状態がRT2に移行し、RT2時であればRT状態が維持される。一方、リプCに当選し、中左押し以外で操作された場合には、リプ2が入賞し、RT状態が維持される。
リプDに当選し、逆押しで操作された場合には、リプ3が入賞する。この場合、RT1時であれば遊技状態がRT2に移行し、RT2時であればRT状態が維持される。一方、リプDに当選し、逆押し以外で操作された場合には、リプ2が入賞し、RT状態が維持される。
以上のように本実施の形態では、リプB、リプC、およびリプDのいずれが当選したかによって、昇格リプであるリプ3を確実に入賞させるための押し順を異ならせることができる。つまり、押し順リプについては、それぞれリプ3を入賞させるための特定押し順が対応付けられており、特定押し順で操作することによってリプ3を入賞させることができる。
[推奨手順について]
ここで、本実施の形態において用いられる推奨手順について説明する。本実施の形態においては、1枚役A〜Cのいずれかに当選したときに、1枚役1〜3のいずれも入賞させられなかった(取りこぼした)場合でも、推奨手順で停止操作を行なうことにより、1枚役A〜Cのいずれかの当選時にしか導出されない(すなわちハズレのときには導出されない)チャンス目(上段メロン、下段メロン)を導出させることが可能となっている。これにより、推奨手順で停止操作をしてチャンス目が導出されることで、遊技者は1枚役A〜Cのいずれかに当選していることを認識できるようになっている。
ここで、推奨手順とは、左リール2Lにおいて、図3に示す図柄番号「5」〜「7」の特定範囲に配置された図柄(「BAR],「7」、「リプb」)が透視窓3内の上・中・下段に位置する特定タイミングでストップスイッチ8Lを操作する手順である。この推奨手順で操作されたときには、推奨手順以外で操作されたときよりもメダルの獲得に対する期待値が高くなり、メダルを獲得するうえで有利になる。すなわち、内部抽選で抽選された小役を入賞させるにあたって、推奨手順でストップスイッチ8Lを操作すると、推奨手順以外の手順でストップスイッチ8Lを操作した場合と比べ、多くの種類の小役を入賞させることが可能になる。よって、メダルの払出し率は、推奨手順以外の手順でストップスイッチ8Lを操作した場合よりも高くなる。
より具体的には、推奨手順でストップスイッチ8Lを操作すると、取りこぼしのある14枚役1〜4、メロン1〜4のうちのいずれかに当選していれば、当選している役を入賞可能な状態にできる可能性がある。しかし、推奨手順以外の手順でストップスイッチ8Lを操作すると、少なくとも14枚役1〜4は入賞させることはできず、入賞可能になる小役の種類が減少するとともに、メダル14枚といった大量の払出しを受けることができない。また、推奨手順でストップスイッチ8Lを操作すると、14枚役1〜4の他に、メロン1〜4も入賞可能となっているため、推奨手順でストップスイッチ8Lを操作すると、可能な限り当選した小役の取りこぼしが発生することを極力抑えることができるとともに、後述するAT抽選によるナビストックの獲得も期待できる。なお、推奨手順で操作されたとしても、1枚役1〜3の左リール2Lの図柄である「スイカ」は、5コマ以上先にあるため、1枚役1〜3が当選していても入賞させることはできないようになっている。
また、本実施の形態では、後述するナビ演出が実行される報知期間であり、遊技者にとって有利な有利状態であるAT(アシストタイム)に制御される。ATに制御するか否かはAT抽選により決定される。AT抽選は、メロンA、メロンB、1枚役A、1枚役B、および1枚役Cの当選時に実行される。よって、1枚役1〜3のいずれかが入賞したときには、1枚役A〜Cのいずれかに当選してAT抽選が行なわれたことを認識できる。しかし、推奨手順でストップスイッチ8Lを操作すると、5コマの範囲に1枚役1〜3の入賞図柄である「スイカ」が配置されていないため、1枚役1〜3のいずれも入賞可能にならず、取りこぼしが発生する。そのため、1枚役A〜Cのいずれかに当選したときには遊技者はAT抽選が行なわれたことを認識できない。このため、1枚役A〜Cのいずれかに当選していてもゲームを中止してしまうおそれや、AT抽選が行なわれたときの遊技者の期待感を高めることができなくなるおそれがある。そこで、本実施の形態においては、1枚役A〜Cのいずれかに当選したゲームで1枚役1〜3の取りこぼしが発生した場合にはAT抽選が実行されたことを遊技者に示唆するため、内部抽選でハズレとなったときには導出されないチャンス目が表示されるようになっている。
このように、推奨手順でストップスイッチ8Lを操作すると1枚役1〜3の取りこぼしが発生するように構成し、また、1枚役1〜3の取りこぼしが発生した場合にチャンス目を導出させることにより、有利度が異なる図柄組み合わせの多様化を図ることが可能になり、ゲームの内容をバリエーション豊かにしてゲームへの興趣を高めることができる。また、メダルの払出しがない図柄組み合わせでも有利なときと不利なときがあるので、ゲームの内容に意外性を付与することが可能になり、ゲームへの興趣を高めることができる。
また、推奨手順でストップスイッチ8Lを操作したときにはチャンス目が導出されるため、推奨手順でストップスイッチ8Lを操作すると、小役の取りこぼしの発生を極力抑えることが可能になり、さらにAT抽選が実行されることを認識することができるため、遊技者は有利にゲームを進めることができる。
なお、本実施の形態においては、チャンス目は、内部抽選でハズレとなったときに導出されない図柄組み合わせとしているが、内部抽選で1枚役A〜C以外の当選役に当選したときに導出されない図柄組み合わせをチャンス目としてもよい。また、AT抽選条件の成立となる当選役が当選したときに、当選した当選役の種類によってAT抽選の当選確率が異なる場合や、ボーナスと同時に当選役が当選するように構成したときにボーナスに当選している確率が当選した当選役の種類によって異なる場合など、当選役の種類によって有利度が異なる場合には、有利度の低い当選役に当選したときには導出されない図柄組み合わせをチャンス目としてもよい。また、これら3つのパターンの全てを満たす図柄組み合わせをチャンス目としてもよく、これら3つのパターンのうちの2つのパターンを満たす図柄組み合わせチャンス目としてもよい。
なお、推奨手順でストップスイッチ8Lを操作したときには、推奨手順以外の手順でストップスイッチ8Lを操作したときに移行する不利な遊技状態に移行しないように構成することも可能である。具体的には、たとえば、推奨手順でストップスイッチ8Lを操作したときには不利な遊技状態に移行する図柄組み合わせ(すなわち移行出目)が導出されないが、推奨手順以外の手順でストップスイッチ8Lを操作したときには当該図柄組み合わせが導出されることが挙げられる。このように構成することにより、推奨手順によって少なくとも不利な遊技状態に移行させずにゲームを進行することが可能になり、有利にゲームを進めることができる。
また、推奨手順でストップスイッチ8Lを操作したときには、推奨手順以外の手順でストップスイッチ8Lを操作したときに移行しない有利な遊技状態に移行するように構成することも可能である。具体的には、たとえば、推奨手順でストップスイッチ8Lを操作したときには有利な遊技状態に移行する図柄組み合わせ(すなわち移行出目)が導出されるが、推奨手順以外の手順でストップスイッチ8Lを操作したときには当該図柄組み合わせが導出されないことが挙げられる。このように構成することにより、推奨手順によって有利な遊技状態に移行させることが可能になり、有利にゲームを進めることができる。
また、ボーナスが当選役の1つとして設定されたスロットマシンにおいて、推奨手順でストップスイッチ8Lを操作したときにはボーナスに当選したことの報知または示唆がなされるが、推奨手順以外の手順でストップスイッチ8Lを操作したときには報知または示唆がなされないように構成することも可能である。このように構成することにより、推奨手順によってボーナスに当選したことの察知を早めることが可能になり、ボーナスが入賞するまでの無駄なメダルの消費を抑えて有利にゲームを進めることができる。なお、具体的には、リーチ目を構成する図柄組み合わせの導出やチャンス目を構成する図柄組み合わせの導出、演出効果LED52の点灯や点滅、リールの背面側(内側)に配置されたバックランプ(たとえば、リールLED55)の点灯や点滅、リールの前面側に配置された透過液晶表示器(リールを目視できるように構成された液晶表示器)による画像表示、前面扉1bなどに取り付けられたランプやLED(たとえば、演出効果LED52)の点灯や点滅、ストップスイッチの振動、ストップスイッチの周囲からの送風、ストップスイッチの温度の変化などにより示唆あるいは報知することが可能である。
また、推奨手順でストップスイッチ8Lを操作したときには、推奨手順以外の手順でストップスイッチ8Lを操作したときよりも高い当選確率でAT抽選(換言すると、遊技者に特典を付与するか否かを決定する抽選)を受けることが可能になるように構成することも可能である。このように構成することにより、推奨手順によってATに移行する確率を高くすることが可能になり、有利にゲームを進めることができる。
また、推奨手順でストップスイッチ8Lを操作したときには、推奨手順以外の手順でストップスイッチ8Lを操作したときよりも高い確率で演出が実行されるように構成することも可能である。このように構成することにより、推奨手順によって演出の実行確率を高くすることが可能になり、有利にゲームを進めることができる。なお、推奨手順のときには100%の割合で実行され、推奨手順以外の手順のときは0%の割合で演出が実行されることも含み、演出としては、ナビ演出、推奨手順以外の手順のときには実行されないプレミア演出などが挙げられる。
また、推奨手順でストップスイッチ8Lを操作したときには設定値の推測が可能であるが、推奨手順以外の手順でストップスイッチ8Lを操作したときには設定値の推測が不能となるように構成することも可能である。このように構成することにより、設定値が高いことを推測したときにゲームを中止せずに続行することにより、利益を得る確率を高めることが可能になり、利益を得るうえで有利にゲームを進めることができる。なお、具体的には、設定値を示唆する図柄組み合わせの導出、演出効果LED52の点灯や点滅、リールの背面側(内側)に配置されたバックランプ(たとえば、リールLED55)の点灯や点滅、リールの前面側に配置された透過液晶表示器(リールを目視できるように構成された液晶表示器)による画像表示、前面扉1bなどに取り付けられたランプやLED(たとえば、演出効果LED52)の点灯や点滅、ストップスイッチの振動、ストップスイッチの周囲からの送風、ストップスイッチの温度の変化などにより設定値を推測させることが可能である。
このように、推奨手順でゲームを行なうと有利になるので、推奨順序にしたがってストップスイッチ8Lを操作する意欲を高めることが可能になる。また、故意に推奨順序以外の順序でストップスイッチ8Lを操作して有利状態で利益と得ようとする意欲を低減させて推奨順序でゲームを行っている遊技者が不公平感を抱くことを防止することが可能になる。これにより、ゲームへの興趣が低下することを防止できる。
[CB役当選時のリール制御]
次に、CB役当選時のリール制御について説明する。図13は、CB役当選時のリール制御を説明するための図である。CBに当選している場合には、遊技者のストップスイッチの押し順に応じて、当選しているCB役のうちのいずれかを入賞ライン上に最大4コマの引込範囲で揃えて停止させる制御が行なわれる。
たとえば、CBに当選し、逆押しで操作された場合には、押し順正解であるとして、CB特定目を入賞ラインL1上に揃えて停止させる制御が行なわれ、CB2が入賞する。一方、一方、CBに当選し、逆押し以外で操作された場合には、CB非特定目を入賞ラインL1上に揃えて停止させる制御が行なわれ、CB1が入賞する。なお、CB1およびCB2のいずれが入賞してもAT状態およびRT状態を維持したままでCBに制御される。
このように、本実施の形態においては、CB特定目およびCB非特定目のいずれが導出された場合でも同じCBに制御される。つまり、AT状態およびRT状態がCB入賞前後で変化しないため、異なる種類の図柄組合せが導出された場合でも同じ有利度のCBに制御される。したがって、導出された図柄組合せの種類に応じて異なる有利度のCBに振り分けて制御させるものと比べてメイン制御部41の処理負担を軽減することができる。
また、遊技者がストップスイッチ8L、8C、8Rの押し順を誤った場合でも、CB当選時にはCB特定目またはCB非特定目を導出させることができるため、取りこぼすことなくいずれにしてもCBへ制御させることができる。
また、CB特定目とCB非特定目とを区別することなくCB入賞させるための図柄組合せの導出を許容することが決定したとき、つまり、CB当選という一のフラグであっても、ストップスイッチ8L、8C、8Rの押し順に応じてCB特定目を導出させるか、またはCB非特定目を導出させるかを判別することができるため、たとえば、CB特定目を導出させるための当選フラグおよびCB非特定目を導出させるための当選フラグを予め準備しておいて、それに基づき導出内容を区別して決定するものに比べて処理を簡略化することができる。
[CB中の抽選対象役の組合せ、リール制御]
次に、図14を参照して、CB中の内部抽選において読み出される抽選対象役、およびリール制御について説明する。本実施の形態では、遊技状態が、RT0、RT1、およびRT2のいずれであるかによって、内部抽選の対象となる役が異なる。図14においては、縦の欄に、内部抽選で読み出され得る抽選対象役の名称を示し、横の欄に、抽選対象役ごとの、入賞役の組合せ、抽選される遊技状態、およびリール制御の内容を示している。また、抽選対象役に対応する遊技状態の欄の○印は、当該遊技状態であるときの内部抽選において当該抽選対象役が読み出されることを示し、×印は、当該遊技状態であるときの内部抽選において当該抽選対象役が読み出されないことを示している。
本実施の形態のCB(チャレンジボーナス)は、全ての小役の当選が同時に成立し、所定の条件(本実施の形態においては、14枚以上のメダルの払出し、つまり、13枚を超えるメダルの払出し)が成立するまで、遊技者の目押しにより小役の入賞を毎ゲーム可能とする。また、再遊技役については、CBが発生した遊技状態に応じて、全ての小役と同時当選する役が予め定められている。当該CB中では、再遊技役以外の全ての小役(以下、単に「全ての小役」とも称する。)が当選することから、再遊技役に当選した場合には、全ての小役と当選した再遊技役とが同時当選することになる。
たとえば、遊技状態がRT0であるときには、全ての小役とリプAが内部抽選の対象役として順に読み出される。遊技状態がRT1であるときには、全ての小役とリプB、リプC、およびリプDとが内部抽選の対象役として順に読み出される。遊技状態がRT2であるときには、全ての小役とリプB、リプC、リプD、およびリプEとが内部抽選の対象役として順に読み出される。なお、本実施の形態においては、全ての小役のみのが内部抽選の対象役として読み出される場合はないが、全ての小役のみが内部抽選の対象役として読み出されるものであってもよい。
また、CB中の内部抽選において読み出される抽選対象役および抽選対象役の判定値数は、再遊技役以外の全ての小役が当選していることを除いて、図9で示された非CB中の内部抽選において読み出される抽選対象役および抽選対象役の判定値数と同じである。つまり、再遊技役の抽選対象役および判定値数は、CB入賞前後で変化しないようになっている。そのため、CB入賞前のRT状態が遊技者にとって有利な状態であれば、CB入賞後においても、遊技者にとって有利な状態を維持したままでCB中のゲームが行なわれることになる。たとえば、CB入賞前がRT2であれば、CB入賞後においても、RT2と同じ再遊技役の抽選対象役および判定値数を維持したままでCB中のゲームが行なわれる。
次に、CB中のリール制御について説明する。CB中のゲームで全ての小役とリプAが同時当選し、右第1停止で操作された場合には、小谷ベルを入賞ラインL1上に揃えて停止させる制御が行なわれ、CB中ベル1が入賞する。この場合、13枚のメダルが払い出される。一方、全ての小役とリプAが同時当選し、右第1停止以外で操作された場合には、ベル6が入賞する。この場合、14枚のメダルが払い出される。
CB中のゲームで全ての小役とリプBが同時当選し、中第1停止で操作された場合には、小山ベルを入賞ラインL1上に揃えて停止させる制御が行なわれ、CB中ベル2が入賞する。この場合、13枚のメダルが払い出される。一方、全ての小役とリプBが同時当選し、中第1停止以外で操作された場合には、ベル7が入賞する。この場合、14枚のメダルが払い出される。
CB中のゲームで全ての小役とリプCが同時当選し、中第1停止で操作された場合には、小谷ベルを入賞ラインL1上に揃えて停止させる制御が行なわれ、CB中ベル1が入賞する。この場合、13枚のメダルが払い出される。一方、全ての小役とリプCが同時当選し、中第1停止以外で操作された場合には、ベル6が入賞する。この場合、14枚のメダルが払い出される。
CB中のゲームで全ての小役とリプDが同時当選し、右第1停止で操作された場合には、小山ベルを入賞ラインL1上に揃えて停止させる制御が行なわれ、CB中ベル2が入賞する。この場合、13枚のメダルが払い出される。一方、全ての小役とリプDが同時当選し、右第1停止以外で操作された場合には、ベル7が入賞する。この場合、14枚のメダルが払い出される。
CB中のゲームで全ての小役とリプEが同時当選し、右第1停止で操作された場合には、小山ベルを入賞ラインL1上に揃えて停止させる制御が行なわれ、CB中ベル2が入賞する。この場合、13枚のメダルが払い出される。一方、全ての小役とリプEが同時当選し、右第1停止以外で操作された場合には、ベル7が入賞する。この場合、14枚のメダルが払い出される。
以上のように本実施の形態では、CB中において、リプA〜Eのいずれが当選したかによって、13枚のメダルが払い出されるCB中ベル1、2が入賞するか、または14枚のメダルが払い出されるベル6、7が入賞するかの押し順を異ならせることができる。つまり、リプA〜Eについては、それぞれCB中ベル1またはCB中ベル2を入賞させるための特定押し順が対応付けられており、特定押し順で操作するか否かによってCB中の1ゲーム内でのメダル払出枚数を調整することができる。
ここで、本実施の形態におけるCBは、14枚以上のメダルの払出しが成立するまで遊技可能であるため、CB1ゲーム目でCB中ベル1またはCB中ベル2を入賞させて13枚のメダルを獲得することで、その後のCB2ゲーム目も遊技することが可能である。よって、CB1ゲーム目で全ての小役とリプA〜Eのいずれかに当選した場合に、特定押し順で操作されたときには、CB1ゲーム目で13枚のメダルが払い出されてCBが継続し、CB2ゲーム目でさらにメダルを獲得できる。一方、CB1ゲーム目で全ての小役とリプA〜Eのいずれかに当選した場合に、特定押し順以外で操作されたときには、CB1ゲーム目で14枚のメダルが払い出されてCBが終了する。このように、CB中においては1ゲーム目から特定押し順で操作して13枚の払出しが行なわれるときの方が、1ゲーム目から特定押し順以外で操作して14枚の払出しが行なわれるときよりもCB中に2ゲーム遊技できる点では遊技者にとって有利となる。
なお、本実施の形態においては、後述するように、AT状態でCB入賞した場合、CB中の1ゲーム目では、13枚払出しであるCB中ベル1またはCB中ベル2を入賞させるためのナビ演出が実行されるようになっている。これは、CB中の2ゲーム目も遊技者に遊技させることで、CB中により多くのメダルを獲得させるためである。そのため、AT状態においては、非AT状態に比べて、CB中の1ゲーム目から13枚のメダルが払い出されてCB中の2ゲーム目も遊技できる可能性が高い点で遊技者にとって有利となる。
[起動処理(メイン)]
次に、本実施の形態におけるメイン制御部41が実行する起動処理について説明する。図15は、メイン制御部41が起動時に実行する起動処理(メイン)の制御内容を示すフローチャートである。
メイン制御部41は、リセット回路49からシステムリセット信号が入力されると、図15のフローチャートに示す起動処理(メイン)を行なう。先ず、内蔵デバイスや周辺IC、割込モード、スタックポインタなどを初期化した後(Sa1)、IレジスタおよびIYレジスタの値を初期化する。IレジスタおよびIYレジスタの初期化により、Iレジスタには、割込発生時に参照する割込テーブルのアドレスが設定され、IYレジスタには、RAM41cの格納領域を参照する際の基準アドレスが設定される(Sa2)。これらの値は、固定値であり、起動時には常に初期化されることとなる。
次に、RAM41cへのアクセスを許可した後(Sa3)、バックアップフラグがバックアップRAMにセットされているか否かを判定する(Sa4)。なお、この実施の形態では、電源断の発生時に、バックアップデータに対してバックアップフラグがセットされる。
バックアップフラグがセットされている場合には、バックアップフラグをクリアする(Sa5)。バックアップフラグをクリアした後、バックアップデータの排他的論理和を求めてチェックサムを計算し、計算したチェックサムが、バックアップされているチェックサムと一致するか否かを判定する(Sa6)。なお、バックアップされているチェックサムは、電源断の発生時に、バックアップデータに対してチェックサムが計算されてセットされる。また、チェックサムとは、バックアップRAMの各ビットに格納されている値の排他的論理和として算出される値である。このため、バックアップRAM内の全ての領域に格納されたバックアップデータに基づいて排他的論理和を求めた値が0であれば、チェックサムは0となり、バックアップRAM内の全ての領域に格納されたバックアップデータに基づいて排他的論理和を求めた値が1であれば、チェックサムは1となる。
Sa6においてチェックサムが一致していないことを判定した場合、または、Sa4においてバックアップフラグがセットされていないことを判定した場合には、RAM41cおよびバックアップRAMの全ての格納領域を初期化する初期化処理を実行した後(Sa14)、設定キースイッチ37がonか否かを判定する(Sa15)。設定キースイッチ37がonであれば、設定変更中であることを示す設定変更中コマンドを生成するとともに、生成した設定変更中コマンドをコマンドバッファに格納する(Sa12)。なお、設定変更中コマンドは、ステップSa17の処理の後、後述するタイマ割込処理におけるステップSk16のコマンド送信処理と同様の処理が実行されることによって直ちに送信される。次に、図17、図18において説明するメイン制御部41が一定間隔(0.56msの間隔)で実行するタイマ割込処理(メイン)の割込を許可して(Sa18)、当選役の当選確率の変更などを行なう設定変更処理、すなわち設定変更状態に移行する。そして、設定変更処理が終了すると、図16に示す遊技制御処理に移行する。
Sa15のステップにおいて設定キースイッチ37がoffであれば、RAM異常を示すエラーコードをレジスタに設定し(Sa16)、RAM異常を示すエラーコマンドを生成し、生成したエラーコマンドをコマンドバッファに格納する(Sa17)。なお、エラーコマンドは、ステップSa17の処理の後、後述するタイマ割込処理におけるステップSk16のコマンド送信処理と同様の処理が実行されることによって直ちに送信される。次に、図17、図18において説明するメイン制御部41が一定間隔(0.56msの間隔)で実行するタイマ割込処理(メイン)の割込を許可して(Sa18)、エラー処理、すなわちRAM異常エラー状態に移行する。そして、たとえば、遊技店員によってリセット/設定スイッチ38が操作されるなどして、RAM異常エラー状態が解除されると、図16に示す遊技制御処理に移行する。
Sa6において、チェックサムが一致していることを判定した場合には、設定キースイッチ37がonか否かを判定する(Sa7)。設定キースイッチ37がonであれば、RAM41cの全ての格納領域を初期化する初期化処理を実行した後(Sa11)、前述したSa12〜Sa13の処理を行ない、設定変更処理、すなわち設定変更状態に移行する。そして、設定変更処理が終了すると、図16に示す遊技制御処理に移行する。
Sa7のステップにおいて設定キースイッチ37がoffであることが判定された場合には、各レジスタを電断前の状態、すなわちスタックに保存されている状態に復帰する(Sa8)。そして、復帰コマンドを生成して、生成したコマンドをコマンドバッファに格納し(Sa9)、図17、図18において説明するメイン制御部41が一定間隔(0.56msの間隔)で実行するタイマ割込処理(メイン)の割込を許可して(Sa10)、電断前の最後に実行していた処理に戻る。なお、復帰コマンドは、メイン制御部41のRAM41cの特別ワークに割り当てられたコマンド送信用バッファに格納され、ステップSa31〜Sa37の後、後述するタイマ割込処理におけるステップSk16のコマンド送信処理と同様の処理が実行されることによって直ちに送信される。なお、電断前に図16に示す遊技制御処理中のいずれかの処理が行なわれていた場合には、Sa8で復帰されたプログラムカウンタ(PC)の値に基づいて、ゲーム処理のSd1〜Sd7の処理のうち、電断前に行なわれていた処理に戻る。また、たとえば、電断前に図17、図18に示すタイマ割込処理中のいずれかの処理が行なわれていた場合には、Sa8で復帰されたプログラムカウンタ(PC)の値に基づいて、タイマ割込処理のSk1〜Sk26の処理のうち、電断前に行なわれていた処理に戻る。
なお、エラーコマンドは、エラー状態の発生または解除、エラー状態の種類を示すコマンドである。設定変更中コマンドは、設定変更中であることを示すコマンドである。設定変更状態への移行に伴ってメイン制御部41の制御状態が初期化されるため、設定変更中であることを示す設定変更中コマンドによりメイン制御部41の制御状態が初期化されたことを特定可能である。復帰コマンドは、メイン制御部41が電断前の制御状態に復帰した旨を示すコマンドである。
なお、起動処理(メイン)においては、上記のコマンドに加え、投入枚数コマンド、遊技状態コマンド、RT情報1コマンド、復帰時当選番号コマンドが生成され、生成されたコマンドはコマンドバッファに格納される。そして、コマンドバッファに格納されたコマンドは、メイン制御部41のRAM41cの特別ワークに割り当てられたコマンド送信用バッファに格納され、ステップSa9の後、後述するタイマ割込処理におけるステップSk16のコマンド送信処理と同様の処理が実行されることによって直ちに送信される。
投入枚数コマンドは、メダルの投入枚数を指定するコマンドである。遊技状態コマンドは、実行中の遊技状態(再遊技中、設定変更中)を指定するコマンドである。RT情報1コマンドは、RT状態の種類を指定するコマンドである。復帰時当選番号コマンドは、電断発生時の内部当選結果(内部当選フラグのフラグ番号)を指定するコマンドである。
なお、本実施の形態では、メイン制御部41からサブ制御部91に送信されるコマンドとして、上述したエラーコマンド、設定変更中コマンド、復帰コマンド、投入枚数コマンド、ボーナス種別コマンド、遊技状態コマンド、RT情報1コマンド、復帰時当選番号コマンドの他に、BETコマンド、クレジットコマンド、当選番号コマンド、入賞番号コマンド、リール回転開始コマンド、リール停止コマンド、RT情報2コマンド、払出開始コマンド、払出終了コマンドがある。
BETコマンドは、メダルの投入枚数、すなわち賭数の設定に使用されたメダル枚数を特定可能なコマンドであり、ゲーム終了後(設定変更後)からゲーム開始までの状態であり、規定数の賭数が設定されていない状態において、メダルが投入されるか、MAXBETスイッチ6が操作されて賭数が設定されたときに送信される。また、BETコマンドは、賭数の設定操作がなされたときに送信されるので、BETコマンドを受信することで賭数の設定操作がなされたことを特定可能である。クレジットコマンドは、クレジットとして記憶されているメダル枚数を特定可能なコマンドであり、ゲーム終了後(設定変更後)からゲーム開始までの状態であり、規定数の賭数が設定されている状態において、メダルが投入されてクレジットが加算されたときに送信される。当選番号コマンドは、内部当選フラグの当選状況、並びに成立した内部当選フラグの種類を特定可能なコマンドであり、スタートスイッチ7が操作されてゲームが開始したときに送信される。また、当選番号コマンドは、スタートスイッチ7が操作されたときに送信されるので、当選番号コマンドを受信することでスタートスイッチ7が操作されたことを特定可能である。
入賞番号コマンドは、入賞ラインL1に揃った図柄の組み合わせ、入賞の有無、並びに入賞の種類、入賞時のメダルの払出枚数を特定可能なコマンドであり、全リールが停止して入賞判定が行なわれた後に送信される。リール回転開始コマンドは、リールの回転の開始を通知するコマンドである。リール停止コマンドは、停止するリールがリール2L、リール2C、リール2Rのいずれかであるか、該当するリールの停止操作位置の領域番号、該当するリールの停止位置の領域番号、を特定可能なコマンドである。また、リール停止コマンドは、ストップスイッチ8L、8C、8Rが操作されたときに送信されるので、リール停止コマンドを受信することでストップスイッチ8L、8C、8Rが操作されたことを特定可能である。RT情報2コマンドは、RT状態の種類を指定するコマンドである。払出開始コマンドは、メダルの払出開始を通知するコマンドであり、入賞やクレジット(賭数の設定に用いられたメダルを含む)の精算によるメダルの払出が開始されたときに送信される。また、払出終了コマンドは、メダルの払出終了を通知するコマンドであり、入賞およびクレジットの精算によるメダルの払出が終了したときに送信される。
なお、エラーコマンド、設定変更中コマンド、復帰コマンド、投入枚数コマンド、ボーナス種別コマンド、遊技状態コマンド、RT情報1コマンド、復帰時当選番号コマンドとは異なり、BETコマンド、クレジットコマンド、当選番号コマンド、入賞番号コマンド、リール回転開始コマンド、リール停止コマンド、RT情報2コマンド、払出開始コマンド、払出終了コマンドについては、メイン制御部41のRAM41cの特別ワークに設けられたコマンド送信用バッファに一時的に格納され、図16、図17に示すタイマ割込処理(メイン)で実行されるコマンド送信処理(Sk16)においてサブ制御部91に送信される。
図16は、メイン制御部41が実行する遊技制御処理の制御内容を示すフローチャートである。
遊技制御処理では、BET処理(Sd1)、内部抽選処理(Sd2)、リール回転処理(Sd3)、入賞判定処理(Sd4)、払出処理(Sd5)、ゲーム終了時処理(Sd6)、入出力処理(Sd7)を順に実行し、入出力処理(Sd7)が終了すると、再びBET処理(Sd1)に戻る。
Sd1のステップにおけるBET処理では、賭数を設定可能な状態で遅延し、遊技状態に応じた規定数の賭数が設定され、スタートスイッチ7が操作された時点でゲームを開始させる処理を実行する。Sd2のステップにおける内部抽選処理では、Sd1のステップにおけるスタートスイッチ7の検出によるゲーム開始と同時にラッチされた内部抽選用の乱数値に基づいて上記した各役への入賞を許容するかどうかを決定する処理を行なう。この内部抽選処理では、それぞれの抽選結果に基づいて、RAM41cに当選フラグが設定される。
Sd3のステップにおけるリール回転処理では、各リール2L、2C、2Rを回転させる処理、内部抽選の結果および遊技者によるストップスイッチ8L、8C、8Rの操作が検出されたことに応じて対応するリール2L、2C、2Rの回転を停止させ(前述した停止制御テーブルの作成を行なう処理を含む)、ストップスイッチ8L、8C、8Rの操作タイミングに対応する停止制御テーブルから特定される図柄組み合わせを表示することにより表示結果を導出させる処理を実行する。リール2L、2C、2Rが回転開始したことを示すリール回転コマンドおよび停止されるリールの種類および該リールについて停止される図柄を示すリール停止コマンドは、リール回転処理において生成し、コマンドバッファに格納する。コマンドバッファに格納された各コマンドは、図16、図17に示すタイマ割込処理(メイン)で実行されるコマンド送信処理(Sk16)においてサブ制御部91に送信される。その後、操作されたストップスイッチに対応するリール(2L、2C、2Rのいずれか)の回転が停止するまで遅延する。
Sd4のステップにおける入賞判定処理では、Sd4のステップにおいて全てのリール2L、2C、2Rの回転が停止したと判定した時点で、各リール2L、2C、2Rに導出された表示結果に応じて入賞が発生したか否かを判定する処理を実行する。Sd5のステップにおける払出処理では、Sd4のステップにおいて入賞の発生が判定された場合に、その入賞に応じた払出枚数に基づきクレジットの加算並びにメダルの払出などの処理を行なう。
Sd6のステップにおけるゲーム終了時処理では、次のゲームに備えて遊技状態を設定する処理を実行する。Sd7のステップにおける入出力処理では、入力ポートの入力状態を監視して各種スイッチ類の入力の有無を検出し、検出結果を入力バッファにセットするなどの処理を行なう。なお、この実施の形態では、たとえば、後述する図16、図17に示すタイマ割込処理(メイン)で実行されるSk21のスイッチ入力判定処理やSk23の停止スイッチ処理では、Sd7でセットされた入力バッファの状態を見て各スイッチがonしたか否かを確認する。また、Sd7のステップにおける入出力処理では、出力バッファの状態に基づいて各種ソレノイドやLEDに出力信号を出力する処理を行なう。なお、この実施の形態では、たとえば、後述する図16、図17に示すタイマ割込処理(メイン)で実行されるSk12のLEDダイナミック表示処理などで出力バッファにLEDなどの各種出力値がセットされる。
図16、図17は、メイン制御部41が一定間隔(0.56msの間隔)で起動処理や遊技制御処理に割り込んで実行するタイマ割込処理(メイン)の制御内容を示すフローチャートである。なお、タイマ割込処理(メイン)の実行期間中は自動的に他の割込が禁止される。
タイマ割込処理(メイン)においては、先ず、使用中のレジスタをスタック領域に退避する(Sk1)。次に、停電判定処理を行なう(Sk2)。停電判定処理では、電断検出回路48から電圧低下信号が入力されているか否かを判定し、電圧低下信号が入力されていれば、前回の停電判定処理でも電圧低下信号が入力されていたか否かを判定し、前回の停電判定処理でも電圧低下信号が入力されていた場合には停電と判定し、その旨を示す電断フラグを設定する。
Sk2のステップにおける停電判定処理の後、電断フラグが設定されているか否かを判定し(Sk3)、電断フラグが設定されていなければ、Sk4に進み、電断フラグが設定されていた場合には、電断処理(メイン)に移行する。電断処理(メイン)では、図15で示す起動処理(メイン)のSa4の判定で用いるバックアップフラグをバックアップデータの作成後にセットしたり、図15で示す起動処理(メイン)のSa6の判定で用いるチェックサムをバックアップデータの排他的論理和を算出して計算するなどの処理を実行する。Sk4のステップでは、入力ポートから各種スイッチ類の検出データを入力するポート入力処理を行なう。
次に、4種類のタイマ割込1〜4から当該タイマ割込処理(メイン)において実行すべきタイマ割込を識別するための分岐用カウンタを1進める(Sk5)。この実施形態では、タイマ割込1とは、モータを制御してリールの開始制御を行なうタイマ割込中の分岐処理であり、具体的には、後述するリール始動処理など、Sk9〜Sk11の処理が行なわれる。また、タイマ割込2とは、LED表示制御や、時間カウンタの更新、ドア開閉状態の監視、制御信号などの出力制御、コマンドおよび外部出力信号の更新を行なうタイマ割込中の分岐処理であり、具体的には、後述するLEDダイナミック表示処理など、Sk12〜Sk17の処理が行なわれる。また、タイマ割込3とは、リールの原点通過を検出したり、スイッチ入力を監視したり、乱数値の読み出しを行なうタイマ割込中の分岐処理であり、具体的には、後述する原点通過時処理など、Sk20〜Sk22の処理が行なわれる。また、タイマ割込4とは、停止スイッチの入力を検出してリールの停止制御を行なうタイマ割込中の分岐処理であり、具体的には、後述する停止スイッチ処理など、Sk23〜Sk25の処理が行なわれる。Sk5のステップでは、分岐用カウンタ値が0〜2の場合に1が加算され、カウンタ値が3の場合に0に更新される。すなわち分岐用カウンタ値は、タイマ割込処理(メイン)が実行されるごとに、0→1→2→3→0・・・の順番でループする。
次に、分岐用カウンタ値を参照して2または3か、すなわちタイマ割込3またはタイマ割込4かを判定し(Sk6)、タイマ割込3またはタイマ割込4ではない場合、すなわちタイマ割込1またはタイマ割込2の場合には、リールモータ32L、32C、32Rの始動時または定速回転中か否かを確認し、リールモータ32L、32C、32Rの始動時または定速回転中であれば、後述するSk10のモータステップ処理において変更した位相信号データや後述するSk24の最終停止処理において変更した位相信号データを出力するモータ位相信号出力処理を実行する(Sk7)。次に、分岐用カウンタ値を参照して1か否か、すなわちタイマ割込2か否かを判定し(Sk8)、タイマ割込2ではない場合、すなわちタイマ割込1の場合には、リールモータ32L、32C、32Rの始動時のステップ時間間隔の制御を行なうリール始動処理(Sk9)、リールモータ32L、32C、32Rの位相信号データの変更を行なうモータステップ処理(Sk10)、リールモータ32L、32C、32Rの停止後、一定時間経過後に位相信号を1相励磁に変更するモータ位相信号スタンバイ処理(Sk11)を順次実行した後、Sk25のステップに進む。
また、Sk8のステップにおいてタイマ割込2の場合には、各種表示器をダイナミック点灯させるLEDダイナミック表示処理(Sk12)、各種LEDなどの点灯信号などのデータを出力ポートへ出力する制御信号等出力処理(Sk13)、各種時間カウンタを更新する時間カウンタ更新処理(Sk14)、ドア開放検出スイッチ25の検出状態の監視、ドアコマンドの送信要求などを行なうドア監視処理(Sk15)、コマンドバッファに設定された設定変更中コマンドや復帰コマンド、エラーコマンドなどの各種コマンドをサブ制御部91に送信するコマンド送信処理(Sk16)、外部出力信号を更新する外部出力信号更新処理(Sk17)を順次実行した後、Sk25のステップに進む。
また、Sk6のステップにおいてタイマ割込3またはタイマ割込4であれば、さらに、分岐用カウンタ値を参照して3か否か、すなわちタイマ割込4か否かを判定し(Sk18)、タイマ割込4でなければ、すなわちタイマ割込3であれば、回転中のリール2L、2C、2Rの原点通過(リール基準位置の通過)をチェックし、リール回転エラーの発生を検知するとともに、停止準備が完了しているか(停止準備完了コードが設定されているか)を確認し、停止準備が完了しており、かつ定速回転中であれば、回転中のリールに対応するストップスイッチの操作を有効化する原点通過時処理(Sk20)、スイッチ類(MAXBETスイッチ6、スタートスイッチ7、ストップスイッチ8L、8C、8Rなど)の検出状態に変化があったか否かの判定、操作検出コマンドの送信要求などを行なうスイッチ入力判定処理(Sk21)、乱数値レジスタR1Dから数値データを読み出して乱数値格納ワークに格納する乱数値読出処理(Sk22)を順次実行した後、Sk26のステップに進む。なお、原点通過時処理においてストップスイッチの操作を有効化するまでの時間はスタートスイッチの操作から一定時間経過した後に設定されている。
また、Sk18のステップにおいてタイマ割込4であれば、ストップスイッチ8L、8C、8Rの検出に伴って停止リールのワークに停止操作位置が格納されたときに、停止リールのワークに格納された停止操作位置から停止位置を決定し、何ステップ後に停止すれば良いかを算出する停止スイッチ処理(Sk23)、停止スイッチ処理で算出された停止までのステップ数をカウントして、停止する時期になったら2相励磁によるブレーキを開始する停止処理(Sk24)、停止処理においてブレーキを開始してから一定時間後に3相励磁とする最終停止処理(Sk25)を順次実行した後、Sk26のステップに進む。Sk26のステップでは、Sk1においてスタック領域に退避したレジスタを復帰し、割込前の処理に戻る。
[サブ制御部の演出制御]
次に、メイン制御部41が演出制御基板90に対して送信するコマンドに基づいてサブ制御部91が実行する演出の制御について説明する。
サブ制御部91は、メイン制御部41からのコマンドを受信した際に、コマンド受信割込処理を実行する。コマンド受信割込処理では、RAM91cに設けられた受信用バッファに、コマンド伝送ラインから取得したコマンドを格納する。受信用バッファには、最大で16個のコマンドを格納可能な領域が設けられており、複数のコマンドを蓄積できるようになっている。
サブ制御部91は、タイマ割込処理(サブ)において、受信用バッファに未処理のコマンドが格納されているか否かを判定し、未処理のコマンドが格納されている場合には、そのうち最も早い段階で受信したコマンドに基づいてROM91bに格納された制御パターンテーブルを参照し、制御パターンテーブルに登録された制御内容に基づいて液晶表示器51、演出効果LED52、スピーカ53、54、リールLED55などの各種演出装置の出力制御を行なう。
制御パターンテーブルには、複数種類の演出パターンごとに、コマンドの種類に対応する液晶表示器51の表示パターン、演出効果LED52の点灯態様、スピーカ53、54の出力態様、リールLEDの点灯態様など、これら演出装置の制御パターンが登録されており、サブ制御部91は、コマンドを受信した際に、制御パターンテーブルの当該ゲームにおいてRAM91cに設定されている演出パターンに対応して登録された制御パターンのうち、受信したコマンドの種類に対応する制御パターンを参照し、当該制御パターンに基づいて演出装置の出力制御を行なう。これにより演出パターンおよび遊技の進行状況に応じた演出が実行されることとなる。
なお、サブ制御部91は、あるコマンドの受信を契機とする演出の実行中に、新たにコマンドを受信した場合には、実行中の制御パターンに基づく演出を中止し、新たに受信したコマンドに対応する制御パターンに基づく演出を実行するようになっている。すなわち演出が最後まで終了していない状態でも、新たにコマンドを受信すると、受信した新たなコマンドが新たな演出の契機となるコマンドではない場合を除いて実行していた演出はキャンセルされて新たなコマンドに基づく演出が実行されることとなる。
特に、本実施の形態では、演出の実行中に賭数の設定操作がなされたとき、すなわちサブ制御部91が、賭数が設定された旨を示すBETコマンドを受信したときに、実行中の演出を中止するようになっている。このため、遊技者が、演出を最後まで見るよりも次のゲームを進めたい場合には、演出がキャンセルされ、次のゲームを開始できるので、このような遊技者に対して煩わしい思いをさせることがない。また、演出の実行中にクレジットまたは賭数の精算操作がなされたとき、すなわちサブ制御部91が、ゲームの終了を示すリール停止コマンドを受信した後、ゲームの開始を示すリール回転開始コマンドを受信する前に、払出開始コマンドを受信した場合には、実行中の演出を中止するようになっている。クレジットや賭数の精算を行なうのは、遊技を終了する場合であり、このような場合に実行中の演出を終了させることで、遊技を終了する意志があるのに、不要に演出が継続してしまわないようになっている。
演出パターンは、当選番号コマンドを受信した際に、当選番号コマンドが示す内部抽選の結果に応じた選択率にて選択され、RAM91cに設定される。演出パターンの選択率は、ROM91bに格納された演出テーブルに登録されており、サブ制御部91は、当選番号コマンドを受信した際に、当選番号コマンドが示す内部抽選の結果に応じて演出テーブルに登録されている選択率を参照し、その選択率に応じて複数種類の演出パターンからいずれかの演出パターンを選択し、選択した演出パターンを当該ゲームの演出パターンとしてRAM91cに設定するようになっており、同じコマンドを受信しても当選番号コマンドの受信時に選択された演出パターンによって異なる制御パターンが選択されるため、結果として演出パターンによって異なる演出が行なわれることがある。
また、サブ制御部91では、非AT中のゲームにおいて、受信したリール停止コマンドに基づき、左第1停止されているか否かを判定し、当該判定結果に応じて所定のペナルティを科す制御を行なう。ペナルティとしては、前述したように、サブ制御部91は、ナビストックを付与するか否かのAT抽選において、ナビストック付与の当選確率を著しく低い確率に設定したり、ATに制御されるゲーム数を最も少ないゲーム数に決定したりする。
また、本実施の形態では、遊技状態がRT1またはRT2であるときに、サブ制御部91により、内部抽選結果を報知するナビ演出を実行可能な報知期間となるアシストタイム(以下、ATという)に演出状態を制御可能となっている。
ATに制御されているときには、遊技者が獲得したメダルの枚数として、入賞により遊技者が得たメダルの枚数から遊技者が賭数の設定に用いたメダルの枚数を差し引いたメダルの純増枚数がカウントされ、獲得枚数が所定枚数(以下、「ATの終了枚数」または単に「終了枚数」とも称する)である50枚に達するとATが終了する。AT中にAT抽選に当選すると終了枚数がナビストック1個につき50枚上乗せされ、また、遊技者が獲得したメダルの枚数がATの終了枚数と同一数で終了した場合には終了枚数に50枚が上乗せされ、ATの終了条件が成立した後にも延長してATに制御される。
具体的に、サブ制御部91は、RT1またはRT2において、遊技者の獲得枚数が終了枚数に達していないときにはATに制御する。また、非CB中の場合、RT1またはRT2において、押し順リプ(リプB〜D)のいずれかの当選時にはリプ3(昇格リプ)を入賞させる押し順が報知される。特に、RT1においては、押し順リプ(リプB〜D)のいずれかの当選時に実行されるナビ演出で昇格リプを入賞させる押し順が報知されるので、報知された押し順に従って停止操作を行なうことによりRT1からRT2に移行させることが可能となる。
また、非CB中の場合、ATの制御開始後、RT1またはRT2において、押し順ベル(中ベルA〜C、右ベルA〜C)のいずれかの当選時にはベル5を入賞(主図柄入賞)させる押し順が報知されるので、報知された押し順に従って停止操作を行なうことにより、確実に主図柄入賞による9枚のメダルを獲得することも可能となる。特に、RT2においては、ナビ演出によって、ベルこぼし目の導出を回避し、RT1への遊技状態の移行を回避することができる。
なお、ATの開始後、RT1からRT2に移行したときに、ARTが開始することとなり、遊技者が獲得したメダルの枚数のカウントを開始する。そして、サブ制御部91は、遊技者が獲得したメダルの枚数がATの終了枚数に達するまでの期間においてARTに制御する。その後、遊技者が獲得したメダルの枚数がATの終了枚数に達して、ATの終了枚数が上乗せされない場合にはARTを終了し、非ATに制御する。
非ATに制御されたときには、ナビ演出が実行されない。これにより、RT2であるときには、ベルこぼし目が導出される可能性が高まり、RT1に移行する可能性が高まる。
また、ATの終了枚数が上乗せされた場合には、遊技者が獲得したメダルの枚数がATの終了枚数に達するまで、ARTに継続して制御されることとなる。
サブ制御部91は、ATまたはARTに制御されている場合には、ナビ対象役に当選することにより、ナビ演出を実行する。ナビ対象役とは、非CB中においては、押し順ベル(中ベルA〜C、右ベルA〜C)、押し順リプ(リプB〜D)、およびCBである。一方、CB中においては、リプA〜Eである。
非CB中において押し順ベル(中ベルA〜C、右ベルA〜C)のいずれかに当選したときのナビ演出としては、当選状況に応じてベル5を入賞させるための押し順(図11参照)が報知される。たとえば、中ベルAに当選したときのナビ演出としては、「中を押せ!!」といったメッセージが、液晶表示器51に表示される。
非CB中において押し順リプ(リプB〜D)のいずれかに当選したときのナビ演出としては、当選状況に応じて昇格リプを入賞させるための押し順(図12参照)が報知される。たとえば、リプBに当選したときのナビ演出としては、「左右中!」といったメッセージが、液晶表示器51に表示される。
非CB中においてCBに当選したときのナビ演出としては、CB2を入賞させるための押し順(図13参照)が報知される。たとえば、非CB中においてCBに当選したときのナビ演出としては、「右中左!」といったメッセージが、液晶表示器51に表示される。つまり、この場合、入賞ラインL1にCB特定目を導出させるためのナビ演出が実行される。
CB中においてリプA〜Eのいずれかに当選したときのナビ演出としては、CB中の1ゲーム目であれば13枚払出しのCB中ベル1またはCB中ベル2を入賞させるための押し順(図14参照)が報知される。たとえば、CB中の1ゲーム目にリプAに当選したときのナビ演出としては、「右だ!」といったメッセージが、液晶表示器51に表示される。また、CB中の2ゲーム目であれば14枚払出しのベル6またはベル7を入賞させるための押し順(図14参照)が報知される。たとえば、CB中の2ゲーム目にリプAに当選したときの14枚払出しをさせるためのナビ演出としては、「左または中だ!」といったメッセージが、液晶表示器51に表示される。
このように、AT状態の場合、非CB中でCBに当選したときにCB2を入賞させてCB特定目を導出させるナビ演出が実行されるため、ナビ演出の実行有無によって、AT状態とった有利度の高い状態であることを遊技者に認識させることができ、さらに、CB中に入った後に1ゲーム目から13枚の払出しを期待させることができる。
以上のように、本実施の形態におけるナビ演出は、遊技者にとって有利となる操作態様を想起させるメッセージが、ナビ対象役の種類にかかわらず同じ態様で報知される。このため、遊技者は、当選したナビ対象役の種類を意識せずに遊技者にとって有利となる操作態様で操作することができる。
なお、ナビ演出の態様は、このような態様に限らず、遊技者が当選状況に応じて区別可能な態様であればどのようなものであってもよい。また、ナビ演出は、液晶表示器51に表示するものに限らず、演出効果LED52、スピーカ53、54、リールLED55などを用いて実行するものであってもよい。
[ナビ演出に従わなかったときのペナルティ制御について]
ここで、AT中に実行されるナビ演出に対して、遊技者がナビ演出に従わずにストップスイッチを操作したときに科されるペナルティ制御について説明する。
本実施の形態においては、前述したように、ARTに制御されているときには、メダルの純増枚数がカウントされ、獲得枚数が50枚に達するとARTが終了する。さらに、後述するように、AT状態であるときの方が、非AT状態であるときよりもAT抽選で多くのナビストックが高確率で獲得できるようになっている。そして、後述するように、RT2であるときの方が、その他のRT0およびRT1であるときよりもAT抽選で多くのナビストックが高確率で獲得できるようになっている。そのため、遊技者の立場からすると、ARTが長く続けば続くほどARTに制御するためのナビストックを多く獲得できる可能性が高まるため、ART中における1ゲームあたりのメダルの獲得枚数を少なくしてARTの終了タイミングを引き延ばした方が有利となる。したがって、遊技者の中には、メダルの払出しがある小役入賞に対するナビ演出が実行されても、故意にナビ演出に従わずにストップスイッチを当選役に対応しない押し順で操作するものがいる虞がある。そこで、本実施の形態においては、このような正当に遊技を進めない遊技者に対して、メイン制御部41によるペナルティ制御によって所定のペナルティを与えることにより、正当に遊技を進める遊技者との間の不公平を生じさせないようにしている。
より具体的には、ARTで押し順ベルに対するナビ演出が実行されたときに、遊技者が故意にナビ演出に従わずに9枚払出しの主図柄入賞(ベル5の入賞)を取りこぼして、払出しのないベルこぼし目を導出させたときには、図10に示すようにRT2からRT1へ直接的に遊技状態を移行制御するようになっている。また、ARTで押し順ベルに対するナビ演出が実行されたときに、遊技者が故意にナビ演出に従わずに9枚払出しの主図柄入賞(ベル5の入賞)を取りこぼして、1枚払出しの副図柄入賞のうちベル4を入賞させたときには、図10に示すようにRT2から一旦RT0へ遊技状態を移行制御して、その後、30ゲーム経過した後にRT1へ遊技状態を移行制御するようになっている。なお、遊技者が故意にナビ演出に従わずに1枚払出しの副図柄入賞のうちベル1〜3を入賞させたときには、後述する変形例のように、ATの制御が停止され(非AT状態に制御)、その後ナビ演出がされないことによってベルこぼし目が導出されて結果的に(間接的に)RT2からRT1へ遊技状態を移行させるようになっていてもよい。
これにより、故意にナビ演出に従わずにストップスイッチを主図柄入賞に対応しない押し順で操作することによってベルこぼし目を導出させてARTの終了時期を引き延ばすことを企てる遊技者に対して、遊技状態をRT1へ制御させることで、このような行為をすることを遊技者に抑制させることができる。さらに、故意にナビ演出に従わずにストップスイッチを主図柄入賞に対応しない押し順で操作することによって副図柄入賞(ベル1〜4の入賞)させてARTの終了時期を引き延ばすことを企てる遊技者に対しても、結局はRT0を経由して遊技状態をRT1へ制御させることができ、このような行為をすることを遊技者に抑制させることができる。よって、ATで獲得したメダル枚数が終了枚数に達することを意図的に引き延ばすことを防止でき、ATを意図的に延長させ、その間にAT抽選に再度当選させてATを継続させ続ける不公平な方法でゲームが行なわれることを防止できる。その結果、正当に遊技を進める遊技者とそうでない遊技者との間の不公平を生じさせることがない。さらに、主図柄入賞に対応しない操作手順で操作されたときに副図柄入賞したときとベルこぼし目が導出されたときとで、タイミングは異なっていても結果的に同じRT1に遊技状態を制御することができ、結果的に両者に対して同じ有利度合いのペナルティを与えることができる。
また、上記の場合に限らず、本実施の形態においては、その他の場合でも遊技者がペナルティを科されることがある。具体的には、本実施の形態においては、AT状態であるCB中においては、CB中に2ゲーム遊技させてCB中により多くのメダルを獲得させるために、CB中の1ゲーム目では13枚払出しのCB中ベル1またはCB中ベル2を入賞させるためのナビ演出が実行され、さらに、その後のCB中の2ゲーム目では14枚払出しのベル6またはベル7を入賞させるためのナビ演出が実行されるようになっている。そのため、より少ないメダル払出しを狙う遊技者は、CBを1ゲームで終了させるために、CB中の1ゲーム目で故意にナビ演出に従わずに14枚払出しのベル6またはベル7を入賞させる虞がある。あるいは、CB中の2ゲーム目まで遊技したとしても、CB中の2ゲーム目で故意にナビ演出に従わずに13枚払出しのCB中ベル1またはCB中ベル2を入賞させる虞がある。そこで、本実施の形態においては、ART状態であるCB中の1ゲーム目において、遊技者が故意にナビ演出に従わずに14枚払出しのベル6またはベル7を入賞させたときには、ATの制御が停止され(非AT状態に制御)、その後ナビ演出がされないことによってベルこぼし目が導出されてRT2からRT1へ遊技状態を移行制御するようになっている。また、ART状態であるCB中の2ゲーム目において、遊技者が故意にナビ演出に従わずに13枚払出しのCB中ベル1またはCB中ベル2を入賞させたときにも、RT2からRT1へ遊技状態を移行制御するようになっている。
これにより、故意にナビ演出に従わずにストップスイッチをサブ制御部91が意図する入賞(1ゲーム目は13枚払出しのCB中ベル1またはCB中ベル2の入賞、2ゲーム目は14枚払出しのベル6またはベル7の入賞)に対応しない押し順で操作することによってARTの終了時期を引き延ばすことを企てる遊技者に対して、遊技状態をRT1へ制御させることで、このような行為をすることを遊技者に抑制させることができる。よって、ATで獲得したメダル枚数が終了枚数に達することを意図的に遅らせることを防止でき、ATを意図的に延長させ、その間にAT抽選に再度当選させてATを継続させ続ける不公平な方法でゲームが行なわれることを防止できる。その結果、正当に遊技を進める遊技者とそうでない遊技者との間の不公平を生じさせることがない。
[起動処理(サブ)]
次に、本実施の形態におけるサブ制御部91が実行する各種制御内容を説明する。図19は、サブ制御部が起動時に実行する起動処理(サブ)の制御内容を示すフローチャートである。
サブ制御部91は、リセット回路95からシステムリセット信号が入力されると、図19のフローチャートに示す起動処理(サブ)を行なう。
図19に示すように、起動処理(サブ)では、先ず、サブ制御部91は、内蔵デバイスや周辺IC、割込モード、スタックポインタなどを初期化した後(Sn1)、RAM91cおよび外部メモリ(バックアップRAM)へのアクセスを許可する(Sn2)。次に、図15の起動処理(メイン)のSa9で生成された復帰コマンドをメイン制御部41から受信したか否かを判定する(Sn3)。復帰コマンドを受信していない場合には、図15の起動処理(メイン)のSa12で生成された設定変更中コマンドをメイン制御部41から受信したか否かを判定する(Sn4)。設定変更中コマンドを受信した場合には、設定変更中コマンドを受信したことを示す設定変更中コマンド受信フラグをRAM91cの所定領域にセットする(Sn5)。
設定変更中コマンド受信フラグをセットした後、RAM91cにバックアップフラグがセットされているか否かを判定する(Sn6)。バックアップフラグがセットされていることを判定した場合には、バックアップフラグをクリアする(Sn7)。バックアップフラグをクリアした後、バックアップRAMに格納されている領域のバックアップデータの排他的論理和を求めチェックサムを計算する(Sn8)。この後、計算したチェックサムが、バックアップされているチェックサムと一致するか否かを判定する(Sn9)。チェックサムが一致している場合には、設定変更中コマンド受信フラグがセットされているか否かを判定する(Sn10)。
設定変更中コマンドを受信していないことが判定された場合には、図15の起動処理(メイン)のSa13で生成されたエラーコマンドをメイン制御部41から受信したか否かが判定される(Sn13)。エラーコマンドを受信していることが判定された場合には、RAM91cの初期化を実行し(Sn14)、エラー処理が行なわれる(Sn15)。エラー処理では、エラー報知がなされ、たとえば、遊技店員によってリセット/設定スイッチ38が操作されるなどしてエラー状態が解除されると、エラー報知が終了して元の状態に復帰する。Sn13において、エラーコマンドを受信していないことが判定された場合、すなわち、設Z定変更中コマンドおよび復帰コマンドおよびエラーコマンドを受信していない場合には、RAM91cの初期化を実行する(Sn12)。Sn12の処理が終了した後は、タイマ割込に応じて、図20で示すタイマ割込処理(サブ)が行なわれる。
[タイマ割込処理(サブ)]
図20は、CPU91cが内部クロックのカウント値に基づいて1.12秒の間隔で実行するタイマ割込処理(サブ)のフローチャートである。
タイマ割込処理(サブ)においては、先ず、使用中のレジスタをスタック領域に退避する(Sb1)。次に、停電判定処理を行なう(Sb2)。停電判定処理では、電断検出回路48から電圧低下信号が入力されているか否かを判定し、電圧低下信号が入力されていれば、前回の停電判定処理でも電圧低下信号が入力されていたか否かを判定し、前回の停電判定処理でも電圧低下信号が入力されていた場合には停電と判定し、その旨を示す電断フラグを設定する。
Sb2のステップにおける停電判定処理の後、電断フラグが設定されているか否かを判定し(Sb3)、電断フラグが設定されていた場合には電断処理(サブ)に移行する。電断処理(サブ)では、図19で示す起動処理(サブ)のSn6の判定で用いるバックアップフラグをバックアップデータの作成後にセットしたり、図19で示す起動処理(サブ)のSn9の判定で用いるチェックサムをバックアップデータの排他的論理和を算出して計算するなどの処理を実行する。
電断フラグが設定されていない場合にはコマンド解析処理を実行する(Sb4)。コマンド解析処理では、コマンドバッファにコマンドが格納されているか否かを判定し、コマンドバッファにコマンドが格納されていればコマンドバッファからコマンドを取得する。そして、取得したコマンドに応じた処理を実行する。
Sb5のステップでは、ATに制御するか否かを決定するAT抽選を行なうAT抽選処理を実行する(Sb5)。
Sb6のステップでは、ATでのゲームでナビ対象役に当選したときにナビ演出を行なうAT制御処理を実行する(Sb6)。AT制御処理では、AT中にメイン制御部41から受信した当選番号コマンドに基づいて内部抽選の結果を特定し、ナビ演出の対象となるナビ対象役に当選したことを特定した場合にナビ演出を実行する。
Sb7のステップでは、前述したリール2Lにおける図柄番号「5」〜「7」の特定範囲(図3参照)の図柄が表示されたときにストップスイッチ8Lを操作することを促す、換言すると推奨手順(すなわち特定タイミング)でストップスイッチ8Lを操作することを促す特定範囲ナビ演出実行処理を実行する(Sb7)。
Sb8のステップでは、RT2でATに制御されているとき、すなわちARTに制御されているときに遊技者の獲得したメダルの獲得枚数をカウントする獲得枚数カウント処理を実行する(Sb8)。なお、前述したように、AT中は、遊技者が獲得したメダルの枚数として、入賞により遊技者が得たメダルの枚数から遊技者が賭数の設定に用いたメダルの枚数を差し引いたメダルの純増枚数がカウントされ、ATの終了枚数である50枚に達するとATが終了する。AT中にAT抽選に当選すると終了枚数が1回の当選につき50枚上乗せされ、また、遊技者が獲得したメダルの枚数がATの終了枚数と同一数で終了した場合には終了枚数に50枚が上乗せされ、ATの終了条件が成立した後にも延長してATに制御される。
Sb9のステップでは、AT中にさらにAT抽選に当選した場合に、1回の当選につき50枚をATの終了枚数に上乗せする(すなわち終了枚数を50枚増加させる)終了枚数増加処理を実行する(Sb9)。
その後は、後述する図25のAT終了制御処理が実行されることによって、AT中に遊技者が獲得したメダルの枚数が終了枚数に達したときにATを終了させる。なお、遊技者が獲得したメダルの枚数がATの終了枚数と同一数で終了した場合には終了枚数に50枚が上乗せされ、ATの終了条件が成立した後にも延長してATに制御される。
なお、詳しくは図示しないが、タイマ割込処理(サブ)では、上述の各処理の他、各種演出の実行処理も行なう。
[AT抽選処理]
次に図21を用いて、図20のタイマ割込処理(サブ)のSb5で実行するAT抽選処理について説明する。
図21に示すように、サブ制御部91は、メイン制御部41から当選番号コマンドを受信したか否かを判定する(Sc1)。当選番号コマンドを受信していない場合には処理を終了する。当選番号コマンドを受信した場合には、当選番号コマンドに基づいて内部抽選の結果を特定し、AT抽選の抽選条件が成立したか否かを判定する(Sc2)。具体的には、AT状態に応じて、メロンA、メロンB、1枚役A、1枚役B、および1枚役Cのいずれかに当選したか否かを判定する。AT抽選の抽選条件が成立しなかった場合には処理を終了する。AT抽選の抽選条件が成立した場合には、AT抽選処理を実行する(Sc3)。
ここで、図22は、サブ制御部91がAT抽選処理において使用するAT抽選テーブルを説明するための図である。AT抽選テーブルには、AT状態およびRT状態に対応して、ナビストック数(0個、1個、2個、3個)ごとの当選確率の情報が格納されている。サブ制御部91は、AT抽選処理を実行することにより、このAT抽選テーブルに格納された当選確率の情報に基づいて付与するナビストック数を抽選により決定する。
たとえば、AT状態が非AT中であり、かつRT状態がRT0またはRT1の場合、メロンAおよび1枚役A〜Cのいずれかに当選したときにAT抽選が行なわれ、そのときの抽選においては、90%の確率でナビストックが付与されない旨が決定され、10%の確率で1個のナビストックが付与される旨が決定される。また、AT状態が非AT中であり、かつRT状態がRT2の場合、メロンAおよび1枚役A〜Cのいずれかに当選したときにAT抽選が行なわれ、そのときの抽選においては、70%の確率でナビストックが付与されない旨が決定され、30%の確率で1個のナビストックが付与される旨が決定される。
また、AT状態がAT中であり、かつRT状態がRT0またはRT1の場合、メロンA、メロンB、および1枚役A〜Cのいずれかに当選したときにAT抽選が行なわれ、そのときの抽選においては、50%の確率でナビストックが付与されない旨が決定され、40%の確率で1個のナビストックが付与される旨が決定され、10%の確率で2個のナビストックが付与される旨が決定される。また、AT状態がAT中であり、かつRT状態がRT2の場合、メロンA、メロンB、および1枚役A〜Cのいずれかに当選したときにAT抽選が行なわれ、そのときの抽選においては、30%の確率でナビストックが付与されない旨が決定され、50%の確率で1個のナビストックが付与される旨が決定され、10%の確率で2個のナビストックが付与される旨が決定され、10%の確率で3個のナビストックが付与される旨が決定される。
このように、本実施の形態においては、AT中は、非AT中に比べて、より多くのナビストック数が高確率で獲得できるようになっている。さらに、AT中においては、非AT中ではAT当選役の対象となっていないメロンBが当選したときでもAT抽選が実行されるため、ナビストック数を獲得できる機会が多くなっている。これにより、AT中は、非AT中よりも、ナビストックを獲得できる可能性が高まる点で遊技者にとって有利となる。そのため、遊技者はATが終了するタイミングが後になればなるほど、ナビストック数の獲得という恩恵を受けやすくなっている。さらに、RT2においては、RT0およびRT1に比べて、より多くのナビストック数が高確率で獲得できるようになっている。そのため、ART中(RT2であって、かつAT中)は、遊技者にとって最も多くのナビストック数を高確率で獲得できるため、遊技者はARTが終了するタイミングが後になればなるほど、ナビストック数の獲得という恩恵を受けやすくなっている。
図21に戻り、Sc3の後、AT抽選処理で実行したAT抽選に当選したか否かを判定する(Sc4)。AT抽選に当選しなかった場合には処理を終了する。
AT抽選に当選した場合には、ATに制御することを示すATフラグをRAM91cの所定領域にセットして処理を終了する(Sc5)。
[特定範囲ナビ演出]
次に、図20のタイマ割込処理(サブ)のSb7で実行する特定範囲ナビ演出実行処理について説明する。特定範囲ナビ演出は、1枚役A〜Cのいずれかに当選したときに実行されるナビ演出であり、遊技者に推奨手順でストップスイッチ8Lを操作させることを促す演出である。
先ず、サブ制御部91は、メイン制御部41から当選番号コマンドを受信したか否かを判定する。当選番号コマンドを受信していない場合には処理を終了する。
当選番号コマンドを受信した場合には、当選番号コマンドに基づいて、1枚役A〜Cのいずれかに当選したか否かを判定する。いずれにも当選していない場合には処理を終了する。いずれかに当選した場合には推奨手順(すなわち特定タイミング)でストップスイッチ8Lを操作することを促す特定範囲ナビ演出を実行する。特定範囲ナビ演出では、液晶表示器51から「チャンスだ!」との文字を表示される。
メダルの払出し枚数が多い14枚役1〜4、およびAT当選役であるメロン1〜4のいずれかを入賞しうるようにするには、特定範囲である図柄番号「5」〜「7」の図柄が透視窓3内の上・中・下段に位置する特定タイミングでストップスイッチ8Lを操作する必要がある。よって、遊技者は、特定範囲ナビ演出により14枚役1〜4、およびメロン1〜4のいずれかに当選したことが示唆されると、推奨手順でストップスイッチ8Lを操作しようとする。これにより、推奨手順でストップスイッチ8Lを操作することを促している。
このように、1枚役A〜Cのいずれかに当選したときに特定範囲ナビ演出を実行し、推奨手順でストップスイッチ8Lを操作することを促すことにより、チャンス目が表示されやすくしている。これにより、AT当選役に当選したことをいち早く察知させることができ、遊技への興趣を高めることができる。
なお、チャンス目が表示されたときのみAT抽選を行なったり、あるいは、チャンス目が表示されたときには1枚役1〜3のいずれかが入賞したりしたときと比べて高い当選確率の下でAT抽選を行なったりするなどにより、推奨手順でストップスイッチ8Lを操作したときに有利となるようにしてもよい。
[獲得枚数カウント処理]
次に図23を用いて、図20のタイマ割込処理(サブ)のSb8で実行する獲得枚数カウント処理について説明する。
図23に示すように、サブ制御部91は、図21のSc5でATフラグがセットされたか否かを判定する(Se1)。すなわち、ATの実行中であるか否かを判定する。ATフラグがセットされていない場合には処理を終了する。一方、ATフラグがセットされている場合には、メイン制御部41からのRT2情報コマンドに基づいてRT2中か否かを判定する(Se2)。すなわち、ART中であるか否かを判定する。RT2(ART)中でない場合には処理を終了する。
RT2(ART)中である場合にはメイン制御部41からリール回転開始コマンドを受信したか否かを判定する(Se3)。すなわち、賭数を設定してスタートスイッチ7を操作し、ゲームが開始されたか否かを判定する。リール回転開始コマンドを受信していない場合にはSe5に進む。リール回転開始コマンドを受信した場合には、AT(すなわちART)中に遊技者が獲得したメダルの枚数をカウントする獲得枚数カウンタのカウント値から3枚を減算する(Se4)。なお、スロットマシン1では1回のゲームで3枚のメダルが賭数として設定されるのでSe4のステップではカウント値から3枚が減算される。
Se5のステップでは、メイン制御部41から当選番号コマンドを受信したか否かを判定する(Se5)。当選番号コマンドを受信していない場合にはSe8に進む。当選番号コマンドを受信した場合には、当選番号コマンドに基づいて内部抽選の結果を特定し、1枚役A〜Cのいずれかに当選したか否かを判定する(Se6)。1枚役A〜Cのいずれかに当選した場合にはSe8に進む。1枚役A〜Cのいずれかに当選していない場合には、小役に当選しているときは当選した小役の種類に応じた払出し枚数を獲得枚数カウンタのカウント値に加算する(Se7)。
Se8のステップでは、メイン制御部41から入賞番号コマンドを受信したか否かを判定する(Se8)。入賞番号コマンドを受信していない場合には処理を終了する。入賞番号コマンドを受信した場合には、入賞番号コマンドから入賞結果を特定し、1枚役1〜3のいずれかが入賞したか否かを判定する(Se9)。1枚役1〜3のいずれかが入賞しなかった場合には処理を終了する。1枚役1〜3のいずれかが入賞した場合には獲得枚数カウンタに入賞で得られる1枚に相当する「1」を加算して処理を終了する(Se10)。
上述したように、Se3のステップでRT2でないことが判定された場合、すなわち、ATが中断してRT1などに移行した場合にも獲得枚数カウンタでのカウント値をリセットすることがないので、ATを中断させてATで獲得したメダルの枚数を調節することにより、ATで獲得したメダルの枚数が終了枚数に達することを意図的に遅らせることを防止できる。このため、ATを意図的に延長させ、その間にAT抽選に再度当選させてATを継続させ続ける不公平な方法でゲームが行なわれることを防止できる。
また、Se6のステップで1枚役A〜Cのいずれかに当選したことが判定されても、Se9のステップで1枚役1〜3のいずれかが入賞しなかったことが判定されたときは獲得枚数カウンタによるカウントを行なわないので、1枚役A〜Cを取りこぼしてチャンス目が導出されたときにもカウントが行なわれない。よって、チャンス目が導出されたときにゲームへの興趣が低下することを防止できる。また、推奨手順でストップスイッチ8Lを操作し、小役の取りこぼしを防ぐとともにチャンス目が導出されるように有利な方法でゲームを進めたときに、取りこぼすことが前提となってしまう1枚役1〜3がカウントされないので、ATの終了が早まることを防止でき、ゲームへの興趣が低下することを防止できる。
また、推奨手順以外の手順でストップスイッチ8Lを操作して小役の入賞を阻止することによりATを引き延ばし、ATの終了枚数が上乗せされる機会を増やそうとしても、Se7では、1枚役A〜C以外の小役に当選したときには獲得枚数カウンタによるカウントを行なうので、そのような行為を防止できる。また、推奨手順では最も多くの小役を入賞させることが可能なので、推奨手順でゲームが行なわれている場合には、たとえば遊技者には故意に小役を取りこぼして利益を得ようとする意図がないことになる。しかし、推奨手順でストップスイッチ8Lを操作すると1枚役1〜3を取りこぼしてしまう。ところが本発明では、1枚役1〜3を取りこぼしたときは獲得枚数カウンタによるカウントが行なわれない。よって、推奨手順でゲームを行ってチャンス目を表示させるにあたって取りこぼすことが前提となる1枚がカウントされないので、推奨手順でゲームを行なう遊技者が不利になり、ゲームへの興趣が低下することを防止できる。また、同じ1枚の取りこぼしの発生でも、チャンス目の表示により推奨手順でゲームを行なうほうが有利になるので、推奨手順でゲームを行った場合とそれ以外の手順でゲームをおこなった場合とで同一条件でATでのゲームが行なわれることがなく、推奨手順でゲームを行なう遊技者が不公平感を抱くことを防止できる。これにより、ゲームへの興趣が低下することを防止できる。
また、Se9で1枚役1〜3のいずれかが入賞したことが判定された場合には獲得枚数カウンタによるカウントが行なわれるので、1枚役1〜3のいずれかが入賞したにもかかわらずメダルが付与されずにカウントが行なわれないという、ゲームの進行状況と整合性の取れない状況が発生することを防止できる。
[終了枚数増加処理]
次に図24を用いて、図20のタイマ割込処理(サブ)のSb9で実行する終了枚数増加処理について説明する。
図24に示すように、サブ制御部91は、図21のSc5でATフラグがセットされたか否かを判定する(Sh1)。すなわち、ATの実行中であるか否かを判定する。ATフラグがセットされていない場合には処理を終了する。一方、ATフラグがセットされている場合には、図21のSc3で実行されるAT抽選が行なわれ、AT抽選に当選したか否かを判定する(Sh2)。すなわち、AT中にAT抽選条件が成立してAT抽選が行なわれ、これに当選したか否かを判定している。換言するとナビストックを獲得してATの終了枚数を上乗せするか否かを判定している。AT抽選に当選しなかった場合には処理を終了する。AT抽選に当選した場合には、獲得したナビストック数に応じて獲得枚数カウンタのカウント値からメダル枚数を減算する。これにより、ATの終了枚数が増加し(すなわち終了枚数にメダル枚数が上乗せされ)、ATが延長される。なお、たとえば、獲得枚数カウンタのカウント値から50枚を減算するときに獲得枚数カウンタのカウント値が30枚である場合には獲得枚数カウンタのカウント値が−20枚になるまで減算を行なうなど、減算する枚数がカウント値よりも大きい場合でもカウント値がマイナスになるまで減算する。
AT中にAT抽選に当選した場合にはATが延長されるので、メダルの獲得頻度が低く終了枚数に達するまでの期間が長期間にわたっても、ATが長くなることへの期待感を高めることができる、遊技者がゲームへの不満を募らせることを防止できる。また、ATでのゲーム数が長期間にわたるほどATでの終了枚数が増加する期待値が上昇し、ATでの獲得枚数が増加することへの期待値が高くなるので、ゲームへの興趣を高めることができる。また、1枚役A〜Cのいずれかに当選したときにカウントを行なわないのでATの終了枚数が上乗せされることへの期待感を高めることができる。
なお、本実施形態では獲得枚数カウンタから獲得したナビストック数に応じたメダル枚数を減算してATの終了枚数を上乗せしているが、ATで遊技者が獲得したメダルの枚数と比較する閾値を50枚から獲得したナビストック数に応じたメダル枚数分だけ増やすことによりATの終了枚数を上乗せしてもよい。
[AT終了制御処理]
次に図25を用いて、AT終了制御処理について説明する。図25に示すように、サブ制御部91は、図21のSc5でATフラグがセットされたか否かを判定する(Sf1)。すなわち、ATの実行中であるか否かを判定する。ATフラグがセットされていない場合には処理を終了する。一方、ATフラグがセットされている場合には、獲得枚数カウンタのカウント値が50枚以上か否かを判定する(Sf2)。獲得枚数カウンタのカウント値が50枚未満の場合には処理を終了する。
獲得枚数カウンタのカウント値が50枚以上の場合には、獲得枚数カウンタのカウント値が50枚であるか否かを判定する(Sf3)。獲得枚数カウンタのカウント値が50枚でない場合(すなわち50枚を超えている場合)にはATフラグをクリアして処理を終了する。ATフラグをクリアするとATが終了することを示す演出を液晶表示器51で実行し、ATを終了させる。
一方、獲得枚数カウンタのカウント値が50枚の場合には獲得枚数カウンタからAT抽選で獲得したナビストック数に応じたメダル枚数分だけ減算する(Sf5)。これにより、ATの終了枚数が増加し(すなわち終了枚数にメダル枚数が上乗せされ)、ATが延長される。なお、たとえば、獲得枚数カウンタのカウント値から50枚を減算するときに獲得枚数カウンタのカウント値が30枚である場合には獲得枚数カウンタのカウント値が−20枚になるまで減算を行なうなど、減算する枚数がカウント値よりも大きい場合でもカウント値がマイナスになるまで減算する。また、本実施形態では獲得枚数カウンタから獲得したナビストック数に応じたメダル枚数を減算してATの終了枚数を上乗せしているが、ATで遊技者が獲得したメダルの枚数と比較する閾値を50枚から獲得したナビストック数に応じたメダル枚数分だけ増やすことによりATの終了枚数を上乗せしてもよい。
このように、遊技者がATで獲得したメダルの枚数が終了枚数と同一枚数の50枚になったときはAT中にナビストックを獲得していれば100%の割合で特典(ATの延長)が付与されるが、遊技者がATで獲得したメダルの枚数が終了枚数と同一枚数の50枚にならなかったときは特典が付与される可能性が0%となる。すなわち、遊技者がATで獲得したメダルの枚数が終了枚数と同一枚数の50枚になったときは、遊技者がATで獲得したメダルの枚数が終了枚数と同一枚数の50枚にならなかったときよりも特典(ATの延長)が付与される可能性が高くなる。これにより、終了枚数を超えた分のメダルが得られなかったことへの残念感を抱くことを防止でき、ゲームへの興趣を向上させることができる。
また、特典としてATを延長することにより、ATの終了条件が成立したにもかかわらずATが延長するので、ゲームへの興趣を高めることができる。
また、入賞した当選役によって払出枚数が異なるので、遊技者が獲得するメダルの枚数にばらつきを持たせることができる。これにより、終了枚数と同一数のメダルを獲得することが必ずしも可能にならないので、終了枚数と同一数を獲得したときの喜びを得ることができ、ゲームへの興趣を高めることができる。
[チャンス目導出時の具体例]
次に、図26を用いて1枚役A〜Cのいずれかに当選したときにチャンス目が表示されたときの具体例について説明する。
図26(1)に示すように、ATでゲームを開始したときに液晶表示器51から「チャンスだ!!」と表示され、チャンス目を表示させるように推奨手順(すなわち特定タイミング)でストップスイッチ8Lを操作することを促す特定範囲ナビ演出が実行されたとする。このとき、ATでメダルを獲得しておらず、液晶表示器51からは終了枚数に到達するまでのメダルの枚数が50枚であることを示す「残り50枚」という文字が表示されている。
図26(2)に示すように、ストップスイッチ操作されたリール2L,2C,2Rが停止するとチャンス目(本例では、上段−上段−上段に「メロン−メロン−メロン」が揃う)が表示されたとする。このとき、1枚役1〜3を取りこぼしたことになるが、枚数のカウントは行なわれない(図23のSe9で「N」)。よって、液晶表示器51の表示も「残り50枚」のままになる。
[ATで獲得したメダル枚数と終了枚数とが同一枚数になったか否かに応じた具体例]
次に、図27および図28を用いてATで獲得したメダル枚数と終了枚数とが同一枚数になったか否かに応じた具体例について説明する。
図27(1)に示すように、RT2でのATすなわちARTでのゲームが開始されると、「ART開始」と液晶表示器51から表示されるとともに、ARTで終了枚数に到達するまでのメダルの枚数が50枚であることを示す「残り50枚」という文字が表示されている。
図27(2)に示すように、仮にこのゲームで中ベルA〜Cのいずれかに当選し、当選したベル5を入賞させる押し順を示すナビ演出として液晶表示器51から「中を押せ!!」と表示されたとする。
図27(3)に示すように、ナビ演出にしたがってストップスイッチを操作した結果、ベル5が入賞して9枚のメダルが得られたとする。このとき、液晶表示器51からは9枚のメダルを得られたことを示す「9枚GET!」の文字と、ARTで終了枚数に到達するまでのメダルの枚数が41枚であることを示す「残り41枚」という文字が表示される。
図27(4)に示すように、ゲームを進めていき、ARTで終了枚数に到達するまでのメダルの枚数が残り3枚になったとする。この後、図28の(5)〜(7)または(8)〜(10)のいずれかのパターンに進む。
図28(5)〜(7)のパターンに進んだ場合には、たとえば、右ベルA〜Cのいずれかに当選して、ナビ演出として液晶表示器51から「右を押せ!!」と表示され、ナビ演出にしたがってストップスイッチを操作した結果、ベル5が入賞して9枚のメダルが得られたとする。この結果、遊技者が獲得したメダルの枚数は50枚を超えるので、液晶表示器51から「END」の文字が表示されてARTが終了する(図25のSf4)。
図28(8)〜(10)のパターンに進んだ場合には、たとえば、メロンA〜Cに当選して、ナビ演出として液晶表示器51からメロン図柄が表示され、ナビ演出にしたがってメロン1〜4のいずれかが入賞するように目押しで狙ってストップスイッチを操作した結果、メロン1〜4のいずれかが入賞して3枚のメダルが得られたとする。この結果、遊技者が獲得したメダルの枚数は終了枚数と同一の50枚になるので、液晶表示器51から「3枚GET!」の文字とともに「ピッタリ賞」と「ART+1セット」の文字が表示される。つまり、AT抽選によって獲得したナビストック1個分に対応するメダル枚数が上乗せされたことが遊技者に報知される。そして、終了枚数に1セットのART(AT)分の50枚が上乗せされ(図25のSf5)、液晶表示器51からはこれを示す文字や遊技者を祝福する文字が表示される。
[変形例]
以上、本発明における主な実施の形態を説明してきたが、本発明は、上記の実施の形態に限られず、種々の変形、応用が可能である。以下、本発明に適用可能な上記の実施の形態の変形例について説明する。
[AT終了制御処理について]
次に、図29を用いて、図25のAT終了制御処理の変形例について説明する。図25のAT終了制御処理では、遊技者がATで獲得したメダルの枚数が終了枚数と同一枚数の50枚になったときは、遊技者がATで獲得したメダルの枚数が終了枚数と同一枚数の50枚にならなかったときよりも特典(ATの延長)が付与される可能性が高くなる実施形態について説明したが、図29のAT終了制御処理では、遊技者がATで獲得したメダルの枚数が終了枚数と同一枚数の50枚になったときは、遊技者がATで獲得したメダルの枚数が終了枚数と同一枚数の50枚にならなかったときよりも特典の有利度合い(ATの終了枚数に対する上乗せ枚数)が高くなる実施形態について説明する。なお、本実施の形態と同一の制御(特に図25の制御)については詳しい説明は省略する。
図29に示すように、サブ制御部91は、図21のSc5でATフラグがセットされたか否かを判定する(Sj1)。すなわち、ATの実行中であるか否かを判定する。ATフラグがセットされていない場合には処理を終了する。一方、ATフラグがセットされている場合には、獲得枚数カウンタのカウント値が50枚以上か否かを判定する(Sj2)。獲得枚数カウンタのカウント値が50枚未満の場合には処理を終了する。
獲得枚数カウンタのカウント値が50枚以上の場合には、獲得枚数カウンタのカウント値が50枚であるか否かを判定する(Sj3)。獲得枚数カウンタのカウント値が50枚でない場合(すなわち50枚を超えている場合)には、獲得枚数カウンタから10枚を減算する(Sj4)。これにより、ATの終了枚数が10枚増加し(すなわち終了枚数に10枚が上乗せされ)、ATが延長される。
一方、獲得枚数カウンタのカウント値が50枚の場合には獲得枚数カウンタからAT抽選で獲得したナビストック数に応じたメダル枚数分だけ減算する(Sj5)。これにより、ATの終了枚数が増加し(すなわち終了枚数にメダル枚数が上乗せされ)、ATが延長される。
そして、図示はしないが、サブ制御部91は、延長されたATで遊技者が獲得したメダルの枚数が終了枚数に達した場合(終了枚数と同一枚数になった場合および終了枚数を超えた場合のいずれの場合も含む)にはATフラグをクリアしてATを終了させる。すなわち、本変形例では、遊技者が獲得したメダルの枚数が終了枚数を超えた場合でもATが延長されるが、延長前に遊技者が獲得したメダルの枚数が終了枚数と同一枚数になった場合には終了枚数を超えた場合よりも延長される期間が長くなることになる。
このように、遊技者がATで獲得したメダルの枚数が終了枚数と同一枚数の50枚になったときに得られる特典は、遊技者がATで獲得したメダルの枚数が終了枚数と同一枚数の50枚にならなかったときに得られる特典よりも大きくなり、特典の有利度合いが高くなる。これにより、終了枚数を超えた分のメダルが得られなかったことへの残念感を抱くことを防止でき、ゲームへの興趣を向上させることができる。
なお、本変形例では、遊技者がATで獲得したメダルの枚数が終了枚数に達したときに必ず特典を付与してATの終了枚数を上乗せしているが、遊技者がATで獲得したメダルの枚数が終了枚数に達したときに特典を付与するか否かを抽選により決定してもよい。この場合にはたとえばATの開始時に抽選を行って特典を付与するか否かを決定することが一例として挙げられる。
[メダルの計数について]
また、本実施の形態においては、図23のSe7で、当選役に応じた枚数を獲得枚数カウンタに加算してカウントする例を示したが、必ずしも当選役に応じた枚数をカウントしないものであってもよい。
たとえば、図11に示すように、ナビ演出に従って特定押し順(ベル5を入賞しうる操作手順)で操作したときには、押し順ベルは主図柄入賞であるベル5の入賞が発生して9枚のメダルが払い出されるのに対し、ナビ演出に従わずに特定押し順以外で操作したときには、副図柄入賞であるベル1〜4のいずれかの入賞が発生して1枚のメダルしか払い出されないか、あるいはベルこぼし目が導出されてメダルが払い出されないようにすることができる。このように、遊技者の押し順の如何によって払い出されるメダル枚数を調整してARTの終了時期を引き延ばすことが可能となっていた。しかし、図23のSe7の処理の変形例として、押し順ベルに当選した場合のナビ演出に従わずに特定押し順以外で操作したときには、副図柄入賞が発生したり、ベルこぼし目が導出されたりしても、ナビ演出に従って特定押し順で操作した場合に主図柄入賞が発生したときと同じく、9枚の払出し枚数が獲得枚数カウンタのカウント値に加算されるものであってもよい。これにより、故意にナビ演出に従わずに、押し順を特定押し順にするかまたは特定押し順以外の順序にするかを選択して(すなわち、メダルの払出枚数を選択して)、ATで獲得したメダルの枚数を調節することでARTの終了時期を引き延ばすような行為をさらに抑制することができる。よって、その結果、正当に遊技を進める遊技者とそうでない遊技者との間の不公平を生じさせることがない。
また、本実施の形態においては、メダルの純増枚数をカウントする例を挙げたが、この実施の形態に限らず、たとえば、メダルの払出枚数のみをカウントするなど、上記の実施形態と異なる態様で遊技者が獲得した遊技用価値の量を計数するスロットマシンに上記の実施形態で示した構成を適用して、本発明を実現することが可能である。
また、本実施の形態においては、1枚役A〜C以外の当選役が当選したときには全てをカウントの対象とする例を挙げたが、この実施の形態に限らず、たとえば、予め定めた一部の当選役(たとえば、押し順ベル)のみカウントの対象とするなど、上記の実施形態と異なる契機に遊技者が獲得した遊技用価値の量を計数するスロットマシンに上記の実施形態で示した構成を適用して、本発明を実現することが可能である。
また、入賞したときの払出枚数を利用して、当該払出枚数や純増枚数をカウントするものに限らず、ベルこぼし目やチャンス目などの特殊なこぼし目やその他のこぼし目が導出されたときに予め定められたメダル枚数がカウントされるものであってもよい。
さらに、カウントの対象は、メダル枚数に関するもの(純増枚数や払出枚数)に限らない。たとえば、ナビ対象役に当選したときに実行されたナビ演出に従って入賞させた回数をカウントするものであって、当該入賞回数がART中に所定回数(たとえば、10回)に達したときにARTが終了するものであってもよい。そして、遊技者がナビ対象役に当選したときに実行されたナビ演出に対して故意に従わずに入賞を回避して入賞回数を調整したときには、ペナルティ制御(たとえば、RT2からRT1へ移行制御)するものであってもよい。なお、遊技者によるストップスイッチの操作の如何によってメダルの払出枚数や入賞回数を調整するなど、遊技者によってARTの終了時期を引き延ばすことが可能なカウント対象であればいずれのカウント対象を用いてもよい。なお、遊技者によってカウントを調整できない例としては、毎回のゲームでカウントされてしまうゲーム数のカウントが挙げられる。
また、本実施の形態においては、AT中に1枚役1〜3のいずれかが入賞したときに遊技者が獲得したメダルの枚数のカウントを行なう例を挙げたが、この実施の形態に限らず、たとえば、AT中に1枚役A〜Cのいずれかが当選した場合には1枚役1〜3のいずれかが入賞してもカウントを行なわないスロットマシンに上記の実施形態で示した構成を適用して、本発明を実現することが可能である。
また、上記実施の形態では、ATの中断時に獲得枚数カウンタのカウント値をリセットしない例を挙げたが、この実施の形態に限らず、たとえば、ATの中断時に獲得枚数カウンタのカウント値をリセットするスロットマシンに上記の実施形態で示した構成を適用して、本発明を実現することが可能である。
たとえば、ボーナスを設けてボーナス当選時にはボーナスが当選してからボーナスでのゲームが終了するまでATが中断するようにした場合には、ボーナスが当選してから入賞するまでに遊技者が獲得したメダルの枚数(純増枚数)が減少したときはその分の枚数を獲得枚数カウンタのカウント値に反映してもよい。
[ペナルティ制御について]
本実施の形態においては、ナビ演出に従わずにARTの終了時期を引き延ばそうとする遊技者に対して、メイン制御部41によって、RT2からRT1へ遊技状態を移行させたり、RT2からRT0を経由してRT1へ遊技状態を移行させたりするペナルティ制御を行なうものであったが、これに限らない。ペナルティ制御はメイン制御部41によって行なわれるものに限らず、サブ制御部91によって行なわれるものであってもよいし、ペナルティ制御の内容もその他の制御内容であってもよい。
たとえば、非CB中のペナルティ制御であれば、遊技者がナビ演出に従わずにARTの終了時期を引き延ばそうとして、払出しのないベルこぼし目を導出させたときにはRT2からRT1へ直接的に遊技状態を移行させ、1枚払出しの副図柄入賞させたときにはRT2においてサブ制御部91によりATの制御が停止され(非AT状態に制御)、その後ナビ演出がされないことによってベルこぼし目が導出されて結果的に(間接的に)RT2からRT1へ遊技状態を移行させるものであってもよい。
これにより、故意にナビ演出に従わずにストップスイッチを主図柄入賞に対応しない押し順で操作することによってベルこぼし目を導出させてARTの終了時期を引き延ばすことを企てる遊技者に対して、遊技状態をRT1へ制御させることで、このような行為をすることを遊技者に抑制させることができる。さらに、故意にナビ演出に従わずにストップスイッチを主図柄入賞に対応しない押し順で操作することによって副図柄入賞(ベル1〜4の入賞)させてARTの終了時期を引き延ばすことを企てる遊技者に対しても、非ATへの制御によってその後のゲームでベルこぼし目を導出させて遊技状態をRT1へ制御させることができ、このような行為をすることを遊技者に抑制させることができる。その結果、正当に遊技を進める遊技者とそうでない遊技者との間の不公平を生じさせることがない。
また、遊技者がナビ演出に従わずにARTの終了時期を引き延ばそうとして、1枚払出しの副図柄入賞させたときには非ATに制御するものに限らず、ATの制御はそのままでナビ演出の実行確率を著しく低くすることで、ベルこぼし目を導出させやすくして、その後RT2からRT1へ遊技状態を移行させるものであってもよい。
さらに、その他の例として、遊技者がナビ演出に従わずにARTの終了時期を引き延ばそうとして、1枚払出しの副図柄入賞させたときにはベルこぼし目が導出可能な役(中ベルA〜C、右ベルA〜C)に当選したときのナビ演出だけを実行しないようにして、その後ベルこぼし目を導出させてRT2からRT1へ遊技状態を移行させるものであってもよい。
[CB中のナビ演出について]
本実施の形態においては、AT状態であるCB中においては、CB中に2ゲーム遊技させてCB中により多くのメダルを獲得させるために、CB中の1ゲーム目では13枚払出しのCB中ベル1またはCB中ベル2を入賞させるためのナビ演出が実行され、さらに、その後のCB中の2ゲーム目では14枚払出しのベル6またはベル7を入賞させるためのナビ演出が実行されるようになっていたが、これに限らない。たとえば、CB中に2ゲーム遊技させることのみを目的とするならば、CB中の1ゲーム目では13枚払出しのCB中ベル1またはCB中ベル2を入賞させるためのナビ演出が実行され、さらに、その後のCB中の2ゲーム目でも13枚払出しのCB中ベル1またはCB中ベル2を入賞させるためのナビ演出が実行されるものであってもよい。この場合、CB中の2ゲーム目では、ペナルティ制御が行なわれないものであってもよい。
なお、CB中に14枚払出しさせるための入賞役は、ベル6またはベル7に限らず、14枚役1〜4のいずれかであってもよい。
[AT抽選について]
本実施の形態においては、図22に示すAT抽選テーブルに示されるように、AT抽選によってナビストックの獲得を決定し、獲得したナビストック数1個あたりにつき、カウントの上限値に50枚加算されるものであったが、これに限らない。たとえば、ナビストックによる管理をせずに、ATに制御されるためのカウントの上限値に加算するメダル枚数を決定するものであってもよい。また、単に、当選するか否かだけを決定し、当選した場合には一律50枚のメダル分だけカウントの上限値に加算するものであってもよい。なお、遊技者がARTの終了時期を引き延ばそうとする動機づけとしては、RT2が他のRT0およびRT1よりもカウントの上限値にメダル枚数が加算される機会が多く、また、より多くのメダル枚数が加算がされる方が好ましい。
[特定結果に決定されたときの価値について]
本実施の形態においては、1枚役A〜Cのいずれかに当選したときには、1枚役A〜Cのいずれかに当選しなかったときと異なる価値の付与としてAT抽選を実行したが、異なる態様の価値を付与することも可能である。
たとえば、1枚役A〜Cのいずれかに当選したときには1枚役A〜Cのいずれかに当選しなかったときよりもAT抽選の当選確率を高くすることが挙げられる。また、たとえば、1枚役A〜Cのいずれかに当選したときには1枚役A〜Cのいずれかに当選しなかったときよりもATの有利度を高くする(ナビストックの数、ATでのゲーム数やナビ演出回数など)ことが挙げられる。
また、たとえば、1枚役A〜Cのいずれかに当選したときにはボーナスが同時当選するが、1枚役A〜Cのいずれかに当選しなかったときにはボーナスが同時当選しないように構成することが挙げられる。また、たとえば、1枚役A〜Cのいずれかに当選したときにはボーナスが同時当選する確率が高いが、1枚役A〜Cのいずれかに当選しなかったときにはボーナスが同時当選する確率が低くなるように構成することが挙げられる。また、たとえば、1枚役A〜Cのいずれかに当選したときと1枚役A〜Cのいずれかに当選しなかったときとで同時当選するボーナスの種類(有利度)が異なるように構成することが挙げられる。
また、たとえば、1枚役A〜Cのいずれかに当選したときには有利な遊技状態(たとえば、RT1からRT2に移行するなど)に移行する契機となる図柄組み合わせが1枚役A〜Cのいずれかに当選しなかったときよりも導出されやすくすることが挙げられる。
また、たとえば、1枚役A〜Cのいずれかに当選したときには1枚役A〜Cのいずれかに当選しなかったときよりも特定の演出(プレミア演出)を実行されやすくすることが挙げられる。
また、たとえば、1枚役A〜Cのいずれかに当選したときには1枚役A〜Cのいずれかに当選しなかったときよりも演出の種類が増加したり、演出の実行確率を高めることが挙げられる。
また、たとえば、1枚役A〜Cのいずれかに当選しなかったときには設定値を推測できないが、1枚役A〜Cのいずれかに当選したときには設定値を推測できることが挙げられる。具体的には、1枚役A〜Cのいずれかの当選確率を設定値に応じた確率に設定し、1枚役A〜Cのいずれかの当選頻度から設定値を推測するものにおいて、設定値に応じた1枚役A〜Cのいずれかの当選確率の差を大きくする。
なお、1枚役A〜Cのいずれかに当選したときに1枚役A〜Cのいずれかに当選しなかったときと異なる価値が付与されたことを、チャンス目、リーチ目、またはこれら以外の特定の図柄組み合わせで示唆あるいは報知してもよい。
また、1枚役A〜Cのいずれかに当選したときに1枚役A〜Cのいずれかに当選しなかったときと異なる価値が付与されたことを、演出効果LED52の点灯や点滅、リールの背面側(内側)に配置されたバックランプ(たとえば、リールLED55)の点灯や点滅、リールの前面側に配置された透過液晶表示器(リールを目視できるように構成された液晶表示器)による画像表示、前面扉1bなどに取り付けられたランプやLED(たとえば、演出効果LED52)の点灯や点滅、ストップスイッチの振動、ストップスイッチの周囲からの送風、ストップスイッチの温度の変化などにより示唆あるいは報知してもよい。
また、上記に挙げた価値を組み合わせて実施することも可能である。
上記のように価値を異ならせることにより、メダルの払出しがない図柄組み合わせでも有利なときと不利なときがあるので、ゲームの内容に意外性を付与することが可能になり、ゲームへの興趣を高めることができる。
また、上記実施形態では、1枚役A〜Cのいずれかに当選したときには、ハズレになったときと異なる価値(AT抽選の実行)を付与する例を挙げたが、事前決定手段が特定結果に決定しなかったときとして、たとえば、最も当選確率の高い当選役が当選したときと異なる価値を付与する、最も払出枚数が多いあるいは当選確率の高い小役が当選したときと異なる価値を付与する、最も払出枚数が多いあるいは当選確率の高い小役が当選したが取りこぼしが発生したときと異なる価値を付与することが挙げられる。
[特典について]
本実施の形態においては、特典としてATを延長する例を挙げたが、この実施の形態に限らず、たとえば、小役など所定役の当選確率が通常時よりも高くなるBB(ビックボーナス)やRB(レギュラーボーナス)、CBなどのボーナスの付与、ボーナスの付与確率の上昇、ボーナスが付与されやすい状態の付与、ATの継続率引き上げやATのストック数上乗せといったより有利なATの付与、ATに移行しやすい状態の付与、有利RTへの移行の許容、設定示唆演出の実行、演出種類の増加、プレミアム演出が出現しやすい状態への移行、遊技者に携帯端末の壁紙や音楽を付与するための二次元コードの表示、携帯端末の壁紙や音楽の付与など、上記の実施形態と異なる特典を付与するスロットマシンに上記の実施形態で示した構成を適用して、本発明を実現することが可能である。
特に、ボーナスを特典とした場合には、たとえば、1枚役を単独で設けるとともに1枚役とボーナスとを組み合わせた複合役を設け、複合役に当選してボーナスを導出させることが可能な場合と単独の1枚役に当選した場合との両方の場合で1枚役を取りこぼすとチャンス目が導出されるように図柄を配置することにより、本発明を実施可能である。
また、特典の付与に関して、遊技者の獲得枚数がATの終了枚数を超えてATが終了した場合には、獲得枚数が終了枚数に近づくほど、特典を得られやすくなるように、特典を付与することも可能である。
[有利状態について]
また、本実施の形態においては、有利状態としてATを例に挙げたが、この実施の形態に限らず、たとえば、スロットマシンにおいては、他のRTよりも有利なRT、通常遊技状態よりも有利なボーナス、一部あるいは全部のリールが無制御状態になって通常遊技状態よりも有利なCB(チャレンジボーナス)など、上記の実施形態と異なる態様の有利状態に制御するスロットマシンに上記の実施形態で示した構成を適用して、本発明を実現することが可能である。
[特殊表示結果について]
また、本実施の形態においては、特殊表示結果としてチャンス目を表示する例に挙げたが、この実施の形態に限らず、たとえば、内部抽選でボーナスが当選していることを示すリーチ目や小役を取りこぼしたことを示すハズレ目など、上記の実施形態と異なる態様の特殊表示結果を表示するスロットマシンに上記の実施形態で示した構成を適用して、本発明を実現することが可能である。
[特定範囲ナビ演出について]
また、上記実施の形態では、特定範囲の図柄が表示される推奨手順(すなわち特定タイミング)でストップスイッチを操作することを促す特定範囲ナビ演出を14枚役1〜4、およびメロン1〜4のいずれかに当選したことを示唆する演出により行なう例を挙げたが、この実施の形態に限らず、たとえば、特定タイミングとなったときにランプでストップスイッチの操作を促すなど、上記の実施形態と異なる態様で特定範囲の図柄が表示される特定タイミングでストップスイッチの操作を促すナビ演出を行なうスロットマシンに上記の実施形態で示した構成を適用して、本発明を実現することが可能である。
[推奨手順について]
また、上記実施の形態では、推奨手順としてストップスイッチ8Lを特定タイミングで操作する手順を例に挙げたが、この実施形態に限らず、たとえば、ストップスイッチ8Cを特定タイミングで操作する手順、ストップスイッチ8Rを特定タイミングで操作する手順、いずれか2つあるいは全てのストップスイッチを特定タイミングまたは特定順序または特定タイミングかつ特定順序で操作する手順とするなど、上記実施形態と異なる推奨手順を設定したスロットマシンに本発明を適用することも可能である。
[本実施の形態におけるその他の変形例や実施の形態の特徴点について]
(1) ボーナスを備え、ナビストック数が残存している状態でボーナス当選したときにおける当該ナビストック数について、クリア(たとえば「0」)する処理を行なうものであってもよく、当該ボーナス終了後まで持ち越す処理を行なうものであってもよく、所定数減算する処理を行なうものであってもよく、所定数上乗せ加算する処理を行なうものであってもよく、また当該ボーナス当選ごとにいずれの処理を行なうかを決定し、該決定された処理を行なうものであってもよい。これにより、ナビストック数が残存している状態においてボーナス当選したときのバリエーションが増加し、遊技の興趣を向上させることができる。
(2) 本実施の形態では、賭数の設定や入賞に伴う遊技用価値の付与に用いる遊技媒体としてメダルを適用したスロットマシンを例として説明した。しかしながら、本発明を具現化するスロットマシンは、パチンコ遊技機で用いられている遊技球を遊技媒体として適用したスロットマシン(いわゆるパロット)であってもよい。遊技球を遊技媒体として用いる場合は、たとえば、メダル1枚分を遊技球5個分に対応させることができ、上記の実施の形態で賭数として3を設定する場合は、15個の遊技球を用いて賭数を設定するものに相当する。
(3) また、本実施の形態では、メダルならびにクレジットを用いて賭数を設定するスロットマシンを用いているが、これに限定されるものではなく、遊技球を用いて賭数を設定するスロットマシンや、クレジットのみを使用して賭数を設定する完全クレジット式のスロットマシンであってもよい。遊技球を遊技用価値として用いる場合には、たとえば、メダル1枚分を遊技球5個分に対応させることができ、上記実施の形態で賭数として3を設定する場合は15個の遊技球を用いて賭数を設定するものに相当する。
(4) さらに、本実施の形態では、メダルおよび遊技球などの複数種類の遊技用価値のうちのいずれか1種類のみを用いるものに限定されるものではなく、たとえばメダルおよび遊技球などの複数種類の遊技用価値を併用できるものであってもよい。すなわち、メダルおよび遊技球などの複数種類の遊技用価値のいずれを用いても賭数を設定してゲームを行なうことが可能であり、かつ入賞の発生によってメダルおよび遊技球などの複数種類の遊技用価値のいずれをも払出し得るものであってもよい。
(5) 本実施の形態においては、3つのリール2L、2C、2Rを有する可変表示装置を備え、全てのリールが停止した時点で1ゲームが終了し、3つのリールに導出された表示結果の組合せに応じて入賞が発生するスロットマシンについて説明した。すなわち、各々が識別可能な複数種類の識別情報を変動表示可能な複数の可変表示領域のそれぞれに表示結果を導出させることが可能な可変表示装置を備え、遊技用価値を用いて1ゲームに対して所定数の賭数を設定することによりゲームが開始可能となるとともに、前記複数の可変表示領域の全てに前記表示結果が導出されることにより1ゲームが終了し、1ゲームの結果として前記複数の可変表示領域のそれぞれに導出された前記表示結果の組合せに応じて入賞が発生可能とされたスロットマシンについて説明した。しかし、各々が識別可能な複数種類の識別情報を変動表示可能な可変表示装置に表示結果が導出されることにより1ゲームが終了し、該可変表示装置に導出された表示結果に応じて入賞が発生可能とされたスロットマシンであれば、3つのリールを有する可変表示装置を備えるものに限らず、1のリールしか有しないものや、3以外の複数のリールを有する可変表示装置を備えるスロットマシンであってもよい。
(6) 本実施の形態においては、各々が識別可能な複数種類の識別情報(図柄)を変動表示可能な複数の可変表示領域(透視窓3)のそれぞれに表示結果を導出させることが可能な可変表示装置を備え、遊技用価値(メダル、クレジット)を用いて1ゲームに対して所定数の賭数を設定することによりゲームが開始可能となるとともに、複数の可変表示領域の全てに表示結果が導出されることにより1ゲームが終了し、1ゲームの結果として複数の可変表示領域のそれぞれに導出された表示結果の組合せに応じて入賞が発生可能とされたスロットマシンであってもよい。
(7) 本実施の形態においては、各演出を液晶表示器51やスピーカ53,54を用いて実行する例を挙げたが、この実施の形態に限らず、たとえば、演出効果LED52、リールの背面側(内側)に配置されたバックランプ(たとえば、リールLED55)、リールの前面側に配置された透過液晶表示器(リールを目視できるように構成された液晶表示器)、前面扉1bなどに取り付けられたランプやLED(たとえば、演出効果LED52)、ストップスイッチの振動、ストップスイッチの周囲からの送風、ストップスイッチの温度の変化など、上記の実施形態と異なる手段で演出を行なうスロットマシンに上記の実施形態で示した構成を適用して、本発明を実現することが可能である。また、演出は他の機能を有する装置の一部を利用して行ってもよいし(たとえば、リールLED55を用いて演出や報知を行なう場合にリールLED55はリールを背面側から照明する機能を有する)、演出のみを行なう装置を設けて行ってもよい。
なお、今回開示された実施の形態は全ての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなく特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均などの意味および範囲内での全ての変更が含まれることが意図される。