JP6038278B2 - X線分析方法及びx線撮像装置 - Google Patents

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Description

本発明はX線撮像方法及びX線撮像装置に係わり、特に、物体の内部を非破壊に検査するのに適したX線撮像方法及び装置に関する。
X線が被写体を透過すると,吸収による強度の変化に加えて,位相の変化(位相シフト)も生じる。硬X線領域において,位相シフトを与える散乱断面積は,強度の変化を与える散乱断面積に比べて,軽元素において1000倍以上大きいという特徴がある。このため,被写体によって生じた位相シフトを画像化する位相コントラスト撮像法によって,無造影・低被曝で生体軟部組織や有機材料など軽元素で主に形成された被写体を高精細に観察することが可能になる。
位相シフトの検出手段として、非特許文献1に記載されているように(1)X線干渉計を用いる特許文献1の方法や、特許文献2に記載された方法、(2)X線の屈折角をアナライザー結晶で検出する特許文献3の方法や、特許文献4に記載された方法、(3)フレネル回折を用いる方法、などがある。このうち、(1)の方法が位相シフトを直接検出しているが故に、最も高感度であることが知られている。ここでは以下、本発明に関連の深い(1)の方法について説明する。
上記に示した特許文献1の方法は、X線源、試料設置機構及び検出器に、ボンゼ・ハート型干渉計(非特許文献2に記載)などX線用のマッハツェンダー型干渉計を加えた構成となっている。ボンゼ・ハート型干渉計は、図1に示したように等間隔で平行に配置された3枚の結晶歯(ビームスプリッタ1、ミラー2、アナライザー3)を持ち、単結晶インゴットから一体で形成された結晶ブロックで構成される。入射X線4は1枚目の歯(ビームスプリッタ1)で2本のビーム5及びビーム6に分割され、2枚目の歯(ミラー2)で反射(回折)され、3枚目の歯(アナライザー3)上で再度結合されて2本の干渉ビーム7及び8を形成する。
スプリッタ1で分割されたビーム5とビーム6の強度をそれぞれI1及びI2としたとき、干渉ビーム7の強度Iは
Figure 0006038278
で与えられる。ここで、rはコヒーレンス度、φはビーム5とビーム6の間の位相差である。実際の測定で得られるのではIだけであり,I1,I2及びrも未知数であるために数1からφを求めることができない。このため,縞走査法やフーリエ変換法などサブフリンジ計測法を用いてφを求める必要がある。ここでは以下縞走査法について説明する。縞走査法は位相シフタと呼ばれるくさび形のアクリルなどをビーム6に設置し,位相を人為的に変化させて測定した複数の干渉像からφを求める方法である。縞の走査数nを3とし,位相の増加分を0,2π/3,4π/3としたとき,測定される各干渉像In(n=0〜2)は
Figure 0006038278
Figure 0006038278
Figure 0006038278
となる。ここで,数2から数4に位相の増加分を変数とするcos(2πn/3)およびsin(2πn/3)をそれぞれ乗算し,その和を計算すると
Figure 0006038278
Figure 0006038278
となる。さらに,三角関数の加法定理を用いて数3と数4のcos項を展開すると
Figure 0006038278
Figure 0006038278
となることを利用して,数5と数6は最終的に
Figure 0006038278
Figure 0006038278
となる。したがって,φは
Figure 0006038278
により,即ち測定で得られた干渉像Inから一意に求めることができる。ビーム5の光路に被写体を設置すると,φは被写体によって生じた位相シフトφsを加えた値φ1(=φ+φs)に変化する。したがって,被写体9を予め待避させてφを測定しておき,被写体9を設置して得られたφ1から減算することで,φsを求めることができる。
また,被写体9によって生じた位相シフトと吸収による強度の変化を合わせて測定する方法として,被写体9が設置されたビームとは異なるもう一方のビーム(ビーム6)を遮蔽する板を設置する方法が特許文献1に提案されている。ここでは,遮蔽板によりビーム6を遮蔽することで,被写体9の吸収投影像を求め,これを利用して縞走査法などを用いることなく位相シフトを求める概念が記載されている。ただし,単に一方のビームを遮蔽するだけでは後述するような問題点がある。
位相コントラストX線撮像において、周辺より密度差が大きな試料の近傍では,位相シフトαが大きく変化する。αが2πを超える場合,図2に示すように0〜2πで丸め込まれた(ラップされた)値α’(α’=α-Int(α/2π)×2π)で検出される。このため、特許文献5に記載された方法等を用いて位相アンラップと呼ばれる複雑な演算処理を行い、真の位相の変化αを復元する必要がある(図2)。さらに、試料の形状や内部構造が複雑で密度が空間的により急激に変化している箇所では、X線が屈折されて本来の光路からずれ、元のビームとは異なったビームと重ね合わさることになる。
このため、可干渉距離が数〜数十μmと短いX線では、干渉像の鮮明度(Visibility)が低下し,場合によっては干渉縞が消失してしまい、正常にアンラップ処理ができず、αを正確に復元できないという問題があった。尚、この問題を回避するために、特許文献6に記載されたような試料を液体中に沈めて試料とその周辺との密度差を小さくするという方法もあるが、この場合、形状の影響は低減できても、内部の急激な密度変化には対応することができなかった。また、測定対象が限定されるという問題がある。さらに,特許文献7のように被写体と同程度の密度分布を有したファントムを用いる方法もあるが,被写体の形状が既知である必要があった。
特開平4−348262号 特開平10−248833号 PCT/AU94/00480 特開平9−187455号 特開2001−153797号 特開平7−209212号 特開2008−26098号
PHYSICS TODAY, 2000年6月号 23ページ Applied Physics Letter, 1965年Vol6,155ページ
従来の位相コントラストX線撮像法では、検出のダイナミックレンジが狭いために、大きな密度差をもった試料(骨と肉で構成された生体試料や、金属とポリマーで構成された材料など)を正常に観察することが難しかった。本発明の目的は、図3に示すように位相コントラストX線撮像法の密度ダイナミックレンジを吸収コントラストX線撮像法の領域にまで拡大し、上記のような各部位が絡み合った試料であっても高い密度分解能で観察できる撮像方法及び撮像装置を提供することにある。
なお,ダイナミックレンジを拡大する方法として,特許文献1に提案されているように,被写体が設置されたビームとは異なるもう一方のビーム(ビーム6)を遮蔽する板を設置し,位相シフトと擬似的な吸収を合わせて測定する方法が考えられる。しかし,単にビームを遮蔽しただけでは,結合・干渉する手段において,被写体を透過したX線がX線回折による変調を受け,正常な吸収像が測定できないという問題がある。結合・干渉する手段ではX線の回折によりビームの結合を行っているが,ビーム5だけでもX線は回折されることになる。被写体を透過したX線は屈折により極僅かであるが角度が発散しており,回折X線の強度は入射角に対して極めて敏感に変化するため,結果として大きな強度変化が生じることになる。このため,正常な吸収像を求めることができない。
入射X線ビームを、結晶の回折により被写体が設置された第一の光路と、遮蔽板が設置された第二の光路に分割し、第一の光路を経て得られたX線と、第二の光路を経て得られたX線を結晶の回折により再び結合・干渉させて、被写体の像を得るX線撮像方法において、遮蔽板のない状態で被写体の位相分布像を測定する第一の工程と、遮蔽板により第二の光路を遮蔽し,かつ第一の光路が結晶の回折条件からはずれた状態で被写体の吸収像を測定する第二の工程と、得られた前記位相分布像と前記吸収像に基づいて、上記被写体の像を得る第三の工程を行う。
本発明により、密度のダイナミックレンジが広い撮像が可能になる。
X線干渉計の概要を示す図である。 ラップされた位相の変化とアンラップ後の位相の変化を表す図である。 本発明における密度のダイナミックレンジの範囲を示す図である。 本発明におけるX線遮蔽板の概要を示す図である。 X線回折における透過波と回折波の強度の例を示す図である。 本発明の実施例1におけるX線撮像装置の構成を示す図である。 本発明の実施例1における測定のフローチャートを示す図である。 ブラッグ角からのずれに伴う位相シフトの変化の例を示す図である。 本発明の実施例3における角度調整機構を示す図である。 本発明の実施例3における測定のフローチャートを示す図である。 本発明の実施例4におけるX線撮像装置の構成を示す図である。
以下、図面を用いて本発明の実施例について説明する。以下に示す図において、同じ機能を有する部分には同じ符号を付し、重複する説明を省略する。
まず、本発明の概要を説明する。本発明ではX線干渉計10の被写体が設置された光路とは異なるもう一方の光路(ビーム6)にX線を遮蔽する板を設け,更に分割されたビームを結合・干渉する手段(図1のアナライザー3)を回転などして,回折条件を満たさなくするように調整する。
図4に示すように遮蔽板11を設置することにより、数1におけるビーム6の強度の項(I2)がなくなり, 数1は
Figure 0006038278
となる。この式は,被写体9の密度分布が均一でX線の屈折(X線の進行方向の変化)がない場合に,検出されるIは被写体の単なる吸収投影像であることを表している。しかし,一般に被写体の密度は不均一であるために屈折が生じ,結合・干渉する手段(アナライザー結晶3)において回折の影響を受けることになる。このため,遮蔽板を設置しただけでは通常は吸収投影像を得ることができない。そこで,分割されたビームを結合・干渉する手段(結晶)における回折条件を満たさないようにする。回折されるX線の強度は結晶に対するX線の入射角に極めて敏感で,ラウエケースの場合,回折X線の強度Igは動力学的な回折理論により、
Figure 0006038278
で与えられ、透過X線の強度Ihは
Figure 0006038278
で与えられる。ここでは、結晶によるX線の吸収は無視した。また、Ioは入射X線強度で、Wは
Figure 0006038278
で与えられる。ここでdθはブラッグ角からのずれ、χgは電気感受率であり、IgとIhは入射角のブラッグ角からのずれdθに依存した量になる。図5に示すようにdθが数マイクロラジアン変化しただけで,回折及び透過したX線の強度は大きく変化する。
このため上述したように,被写体の屈折によってX線の進行方向が変化していると回折により変調を受けて,正確な吸収像を求められなくなる。そこで,本発明ではアナライザー結晶3の角度を,回折条件を満たさないように変化させる。これにより結晶は単なる吸収板となり,数10がどのような被写体に対しても成立するようになり,正確な吸収像を取得できるようになる。
吸収投影像の場合,アンラップなどダイナミックレンジを制限する問題がなく,広いダイナミックレンジを確保することが可能で,上記のような密度が大きく異なる試料であっても正常に観察することが出来る。したがって、遮蔽板の出し入れと,結晶の回転を組み合わせて位相分布像と吸収像を順次取得し,得られた像を合成することによって、ダイナミックレンジの広い撮像が可能になり,本発明の課題は解決される。
<<第一の実施形態>>
図6は本発明で使用するX線撮像装置の一例の構成図である。同図に示すようにX線撮像装置は、X線干渉計12、X線干渉計用位置調整機構13、試料ホルダー14、試料ホルダー位置決め機構15、位相シフタ16、位相シフタ位置決め機構17,遮蔽板11,遮蔽板挿入機構18,X線干渉計のスリット19,結晶歪み発生機構20、X線検出器21、制御装置22、処理部23、表示装置24から主に構成される。
ここではX線干渉計12として図1に示したボンゼ・ハート型干渉計を用いている。上記に示したようにこの干渉計において、入射したX線4はスプリッター1、ミラー2、アナライザー3で順次分割・反射・結合され、干渉ビーム7及び干渉ビーム8を形成する。分割された一方のビームの光路に試料ホルダー位置決め機構15により位置決めされた試料ホルダー14を用いて被写体を設置すると、被写体によってビームの強度、位相が変化する。この結果、他方のビームとの重ね合わせ(干渉)により干渉ビーム7及び8の強度が変化することになる。
ボンゼ・ハート型干渉計は,シリコンインゴットから一体で切り出し,加工時に発生した歪みを除去するためにエッチングしたもの等を用いれば良い。結晶歯の回折格子面は、使用するX線のエネルギー、試料の大きさ、必要な密度分解能及びダイナミックレンジに基づいて決定する。大きな観察視野が必要な場合はブラッグ角の大きな高次の格子面を選択すればよい。測定時に,干渉計に対するX線の入射角が僅かでもずれると,干渉像の像鮮明度や干渉縞が大きく変動するために,干渉計の角度制御は極めて重要である。そこで、本実施例では、干渉計用位置調整機構13として、タンジェンシャルバーを用いた精密ゴニオステージを用いている。この機械機構を採用することにより、回転位置決め精度を1/100角度秒、ドリフトを1/10角度秒以下にすることができる。
遮蔽板11として,鉛や銅など重元素で構成された板を利用することができる。板の厚さは使用するX線のエネルギーに対応して決めれば良い。遮蔽板挿入機構18は上記遮蔽板11をX線の光路に挿入及び待避するもので,モーター等により直線的に導入する機構(ステージ)などを用いる。さらに,リモート制御可能な機構を設けることで,後述する測定の工程を自動で行うことが可能になる。
結晶歪み発生機構20は,一体型干渉計の基部に設けたスリット19(切れ込み)に差し込むような形で伸縮機構を設置し,伸縮によってビームの結合を行う結晶歯(アナライザー結晶3)の角度をずらして,回折条件を満足できなくする。なお、ここにおいて「回折条件」とは、ブラッグの回折条件とも言われる条件で、入射X線の波長をλ、入射角をθ、結晶の格子面間隔をdとしたときλ=2dsinθを満たす条件のことである。λ、dは一般に固定で利用し、入射角を変化して上記条件を満たしたり、満たさなかったりするようにする。切り込みの深さを10 mm、設置する機構を圧電素子(最大伸縮10ミクロン)としたとき、1 mradの角度変化を生じることが可能で,回折条件から十分に外すことができる。尚、圧電素子の応力緩和等による長時間にわたるドリフトを抑制するために、静電容量センサーやレーザーを用いた測長機構を組み込み、ドリフトを打ち消すように圧電素子に加えている電圧を制御するフィードバック制御を用いてもよい。また,ねじ等をモーターで回転して伸縮を行う場合は,給電を断っても長さを維持することができるため,歪みをそのまま保持することができる。
位相シフタ16として,くさび形のアクリルなどを用い,これを位相シフタ位置決め機構により上下することによってX線の位相をシフトさせれば良い。この他に平板のアクリルを回転させて位相をシフトさせてもよい。この場合,位相シフタによるX線の吸収を空間的に均一にすることができるが,回転を高精度に制御することが必要になる。
X線画像検出器21としては、サチコン管や蛍光体+集光光学系(レンズやオプティカルファイバー)+CCDカメラを組み合わせたものなどを用いるとよい。いずれもX線の検出効率が高いため、短い測定時間で精度の高い測定を行うことができる。
以上の装置構成において,測定は図7に示した以下の手順により制御装置22の制御により行う。
(1) 結晶歪み発生機構20による歪みの発生をなくし,かつ被写体9と遮蔽板11を光路から待避した状態で,干渉計位置決め機構13によりX線干渉計12を入射X線に対して回転して,干渉像の鮮明度が最大となる角度に調整する。
(2) 上記従来技術に記載した縞走査法により背景となる位相分布像を取得する。
(3) 遮蔽板11を光路に設置した後,更に結晶歪み発生機構20により歪みを発生して干渉計のアナライザー結晶3の角度を回折条件から外して背景となる強度分布像を測定する。
(4) 被写体位置決め機構15により被写体9を光路に挿入し,吸収像を測定する。
(5) 遮蔽板11を光路から待避し,更に結晶歪み発生機構20による歪みを緩和して干渉計のアナライザー結晶3の角度が回折条件を満たすように戻した後,縞走査法により被写体の位相分布像を測定する。
(6) (2)と(5)によって得られた像を用いて背景位相分布像を減算した位相分布像を計算する。
(7) (3)と(4)によって得られた像から,背景の強度分布を除算した被写体の吸収像を計算する。
(8) (6)と(7)で得られた像から,被写体の空間的な密度分布を表す像を処理部23で合成し,表示部24に表示する。
上記では背景位相−背景吸収像−吸収像−位相像の順で測定を行っているが,この順序を入れ替えて背景位相−位相像−吸収像−背景吸収像としても良い。この場合,被写体の挿入と待避を複数回行うことになるが,同じ干渉条件で位相像を測定できるため,より位相決定精度の高い測定が可能になる。
像の合成方法としては,例えば画像の各位置における吸収の大きさΔIと、画像内のΔIの最大値ΔImaxの比
Figure 0006038278
で与えれる合成比cを用いて、合成Icを
Figure 0006038278
とすればよい。なお,ここでΔpは各位置における位相シフトである。
以上、本実施例によれば、試料の吸収像と位相像を測定することで,よりダイナミックレンジの広い撮像が可能なる。
<<第二の実施形態>>
実施例1において取得した吸収像と位相像を使用するとダイナミックレンジを拡大する効果とは異なる効果を発揮することができる。位相像で得られた位相φsはX線の波長をλ,被写体の厚さをt,被写体の屈折率の実部をδとすると
Figure 0006038278
で与えられる。一方,吸収像は被写体を待避したときの強度をIo,被写体を設置した時の強度をIとしたとき,
Figure 0006038278
となる。ここで,μは被写体の吸収係数である。数15の両辺の対数をとるとμtは
Figure 0006038278
となり,更にμは被写体の屈折率の虚部βと
Figure 0006038278
の関係にあるために,
Figure 0006038278
となる。
以上から,数14を数18で除算すると被写体の厚さtがキャンセルされて,最終的には
Figure 0006038278
となる。ここで,δ/βは実効的な原子番号と呼ばれ,元素の種類によって異なる量である。仮に被写体が単一の元素で構成されている場合,その値から元素の種類を同定することができる。また,複数の元素で構成されている場合でも,その構成比等を算出することが可能になる。
本実施例では実施例1の処理部23に代えて,上記の解析を行う解析部23aを設け,実施例1の測定手順(8)の代わりに
(8) (6)で得られた位相像を(7)で得られた吸収像の対数を計算した像で除算し,被写体の実効的な原子番号を表す像を計算し,表示部に表示する。
を行う。以上により、本実施例では、試料の吸収像と位相像を解析することで,よりダイナミックレンジの広い撮像に加えて被写体の元素種の識別が可能なる。
<<第三の実施形態>>
実施例1において被写体が単結晶の場合,取得した吸収像と位相像を使用すると,ダイナミックレンジを拡大する効果とは異なる効果を発揮することができる。
動力学的な回折理論により,ブラッグの回折条件をほぼ満足しているX線に対する結晶の複素屈折率n は
Figure 0006038278
で与えられる。ここで,λ はX線の波長,re は古典電子の半径,Vc はユニットセルの体積,Fo は散乱角0 の前方散乱における結晶構造因子,Fh とF ̄hはhkl と ̄h  ̄k ̄l 面の回折における結晶構造因子,ΔθB はブラッグ角からのずれ(オフアングル),θB はブラッグ角である。
回折条件を満たしてX線が結晶板を透過すると,通常の位相シフトである数22の第2 項に加えて,第3 項(X線回折)による位相シフトδ が大きくなる。δ はΔn と結晶板の厚さt を用いて
Figure 0006038278
で与えられる。ここで,Rは実数部を示す。この式から,位相シフトδ は厚さt に比例し,オフアングルΔθ に反比例することがわかる。数21を用いて,回折格子面Si(220),t = 200,500,1000 μn,エネルギー17.8 keV の条件において,Δθ に対するδの変化を計算した結果を図8に示す。なお,本計算では入射X線の角度広がりΔω として,単色器及びその下流に設置されたコリメータ結晶(非対称結晶)の非対称度から計算された値(1.1 秒)を仮定し,この広がりで平均化を行っている。
この結果から,位相シフトδ はΔθ =0 に向かって単調に増加或いは減少し,ブラッグ角の近傍(Δθ〜0)ではその変化が極めて急峻であることがわかる。例えば,厚さ1000 μmの結晶板において,Δθ が1 秒近傍で0.1 秒変化するとδ はπ/6 rad も変化することになる。このため,結晶の各位置において位相シフトδ を定量的に測定することにより,結晶の欠陥や歪みを表す像,即ち高感度なトポグラフィー像を得ることができる。
しかし,数21からわかるようにδは被写体の厚さtの関数でもあるために,tが未知で一定でない場合,その影響により各位置における定量的な歪みを測定することが難しい。そこで,本実施例では,各Δθにおいて実施例1と同様に位相像に加えて吸収像の測定も行い,実施例2のように吸収像の対数を計算した像で除算することにより,厚さtを打ち消したトポグラフィー像を求める。
上記の測定を実施するために,本実施例では図9に示すように被写体を回折条件の近傍で回転させる角度調整機構25を新たに設ける。測定は本機構を用いて,図10に示した以下の手順により行う。
(1) 被写体及び遮蔽板を光路から待避し,かつ結晶歪み発生機構による歪みを緩和した状態で,干渉計位置決め機構によりX線干渉計を入射X線に対して回転して,鮮明度が最大となる角度に調整する。
(2) 角度調整機構を用いて被写体の角度を測定開始角度にセットする。
(3) 実施例1の測定手順(2)から(7)を行い,位相像及び吸収像を取得する。
(4) 位相像を吸収像の対数を計算した像で除算し,被写体の厚さが打ち消されたトポグラフィー像を求める。
(5) 角度調整機構を用いて被写体の角度を次の測定角度にセットする。
(6) (3)から(5)を繰り返し行い,回折条件近傍における複数のトポグラフィー像を求める。
(7) 得られたトポグラフィー像から被写体上の各位置における歪みを計算で求め,表示部で表示する。
以上本実施例によれば、試料の吸収像と位相像を測定し,吸収像の対数を計算した像で除算することにより,厚さtを打ち消したトポグラフィー像を求めることができる。これにより,被写体の厚さが未知で一定でなくとも歪みを定量的に評価することが可能なる。
<<第四の実施形態>>
実施例1から3で使用した結晶歯は結晶ブロック上に一体で形成されているため、その大きさ(観察視野)は結晶ブロックの母材となる結晶インゴットの直径で制限されてしまい、2cm角以上確保することが難しかった。ここでは、結晶ブロックを複数個に分離した分離型X線干渉計を用いることにより、観察視野が2cm以上確保可能な撮像装置の一例を示す(図11)。
図11に示すように,分離型X線干渉計は結晶歯26と27,及び28と29を搭載した2個の結晶ブロック30及び31で構成される。各結晶ブロック間の角度を調整するために,結晶ブロック30はチルト角度調整機構32上に,結晶ブロック31は水平面内角度調整機構33上に各々搭載され、更に各角度調整機構全体が大きな1台の位置調整機構34に搭載される。この各機構により,分離型X線干渉計に対する入射X線4の入射角は位置調整機構34で調整し,結晶ブロック30に対する結晶ブロック31の水平面内回転は水平面内角度調整機構33で,チルト回転はチルト角度調整機構32で調整する。この際、各角度はマイクロラジアン以下の精度で制御する必要があるので、タンジェンシャルバーを用いた位置決め精度の高い回転ステージなどを用いると良い。また、ドリフト等を抑制するために、レーザーを用いた測長機構や、高精度のエンコーダを用いて、その測定値が一定となるように回転を制御するとよい。位置調整機構34は、各角度調整機構及び結晶ブロックを搭載するために、安定性をより高めるために回転軸のより太い耐荷重の大きなステージなどが適している。
本分離型X線干渉計では,実施例1から3で使用した結晶歪み発生機構が不要になる。この代わりに,回折条件を満たさないようにするためには,水平面内角度調整機構33の駆動機構である圧電素子35の伸縮を利用して結晶ブロック31を,回折条件を満す回転角度から逃すようにする。
本実施例における測定は、実施例1と同様に行い、取得した各像を用いて、位相分布像,吸収像,及び合成像を計算し、オペレーターの指示等により、各像を表示部21で表示する。また,実施例2のように処理部に代えて,解析部を設けて,試料の吸収像と位相像を解析することで被写体の元素種の識別が可能なる。さらに,実施例3のように被写体が結晶性を有する場合,実施例3と同様に角度調整機構25を設け,同測定手順を実施することにより,被写体のトポグラフィー像を求めることができる。
以上、本実施例によれば、サイズの大きな被写体でも、試料の吸収像と位相像を測定することが可能になり,よりダイナミックレンジの広い撮像に加え,被写体の元素種の識別や,トポグラフィー像を求めることができる。
1 ビームスプリッタ
2 ミラー
3 アナライザー
4 入射X線
5 ビーム
6 ビーム
7 干渉ビーム
8 干渉ビーム
9 被写体
10 X線干渉計
11 遮蔽板
12 X線干渉計
13 X線干渉計用位置調整機構
14 試料ホルダー
15 試料ホルダー位置決め機構
16 位相シフタ
17 位相シフタ位置決め機構
18 遮蔽板挿入機構
19 X線干渉計のスリット
20 結晶歪み発生機構
21 X線検出器
22 制御装置
23 処理部
23a 解析部
24 表示装置
25 角度調整機構
26 結晶歯
27 結晶歯
28 結晶歯
29 結晶歯
30 結晶ブロック
31 結晶ブロック
32 チルト角度調整機構
33 水平面内角度調整機構
34 位置調整機構
35 圧電素子

Claims (6)

  1. 入射X線ビームを、結晶の回折により被写体が設置された第一の光路と、遮蔽板が設置された第二の光路に分割し、上記第一の光路を経て得られたX線と、上記第二の光路を経て得られたX線を結晶の回折により再び結合・干渉させて、前記被写体の像を得るX線撮像方法において、
    前記遮蔽板のない状態で上記被写体の位相分布像を測定する第一の工程と、前記遮蔽板により前記第二の光路を遮蔽し,かつ前記第一の光路が結晶の回折条件からはずれた状態で上記被写体の吸収像を測定する第二の工程と、得られた前記位相分布像と前記吸収像に基づいて、上記被写体の像を得る第三の工程を含むことを特徴とするX線撮像方法。
  2. 請求項1記載のX線撮像方法において,前記第二の光路への遮蔽板の挿入と待避,および前記第一の光路に対する結晶の回折条件への調整を前記各工程に併せて行うことを特徴とするX線撮像方法。
  3. 請求項1記載のX線撮像方法において,上記第三の工程が、前記第一の工程で測定された前記被写体の位相分布像と、前記第二の工程で測定された前記被写体の吸収像を合成し,上記被写体の密度を示す像を取得することを特徴とするX線撮像方法。
  4. 請求項1記載のX線撮像方法の前記第一の工程において,前記第二の光路にX線の位相を変化できる位相シフタを設置し、前記第二の光路の位相を変化させながら取得した複数の干渉像から、前記被写体の位相分布像を取得することを特徴とするX線撮像方法。
  5. 請求項1記載のX線撮像方法において,上記第三の工程が、前記第一の工程で測定された前記被写体の位相分布像を、前記第二の工程で測定された前記被写体の吸収像で除算し,上記被写体の実効的な原子番号を示す像を取得する工程を含むことを特徴とするX線撮像方法。
  6. 請求項1記載のX線撮像方法において,前記被写体が結晶性を有する場合,当該結晶の回折条件を満足するように調整した状態で前記第一の工程と前記第二の工程を行い,前記第三の工程において得られた被写体の位相分布像を吸収像で除算することで上記被写体の原子散乱因子の異常分散項の虚部と実部の比を示す像を得ることを特徴とするX線撮像方法。
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