しかしながら、従来のロードセルは、側面貫通孔を設けた矩形状ブロック体で構成されており、製造し易いことと実績があるという理由で、多少の大きさの違いが有るものの、昔から同じ様な形状のままであった。
このため、ロードセルの性能も昔からわずかに向上しているに過ぎない。このわずかな性能の向上も、主に歪ゲージの性能、起歪体の素材の改良、ロードセル製造技術の進歩によるものであって、ロードセル(起歪体)の形状の工夫によるものではなかった。
このように、ロードセル(起歪体)の形状を工夫することによってロードセルの性能を改善しようとする試みは、現在まで全くなされていなかった。
このような背景の下、ロードセルを備えた電子天秤では、秤量物を電子天秤の計量皿に載せた直後は測定値がふらつくものの、暫くして安定する。これは、薄肉部に発生する歪(応力)が安定するまで時間がかかるためであるが、この測定値が安定するまでの時間が短いほどロードセルが高性能といえる。
そこで、発明者は、薄肉部の形状を工夫することで、測定値が安定するまでの時間(薄肉部に発生する応力が安定するまでの時間)を短縮できないか、と考えた。
そして、発明者は、まず、従来構造のロードセル(起歪体)を用いて、ロードセルに荷重を負荷した場合の薄肉部に発生する応力を有限要素法により解析した。
すると、図7(c)に示すように、薄肉部に発生する応力は、幅方向中央部付近では、ほぼ一定の大きさを示すのに対し、幅方向両端部では、中央部付近の値よりも大きな値を示す。薄肉部に発生する応力の値は、理屈上は幅方向に均一となるはずであるが、実際には、両端部において大きくなった。
発明者が考察した結果、ロードセル(起歪体)の薄肉部の幅方向両端部に発生するこの大きな応力は、「ころ軸受け」業界では周知の「エッジロード」に相当すると考えられる。
即ち、例えば、円筒状の「ころ」が内輪と外輪の間で転がるように構成されている「ころ軸受け」では、円筒状の「ころ」と内輪の接触応力は、「ころ」の幅方向で均一なはずであるが、実際には均一ではなく、「ころ」の両端部の応力が中央部付近の応力よりも大きくなることが知られており、「ころ」の両端部に発生するこの大きな応力は、「エッジロード」と呼ばれている。
そして、ロードセル(起歪体)に荷重を負荷した場合の薄肉部にも、「ころ軸受け」と同様に、薄肉部の端部(以下、エッジ部という)に「エッジロード」が発生していると考えられる。
このように、ロードセル(起歪体)に荷重を負荷した場合の薄肉部に発生する応力は、薄肉部の両端部にエッジロードが発生するため、幅方向中央部付近と両端部付近で不均衡となる。このため、幅方向中央部付近に接着されている歪ゲージが応力を感受するときに、エッジロードの影響を受けて、測定誤差となるし、薄肉部における幅方向の応力がバランスして安定するまで測定値も安定しない(測定値が安定するまで所定時間がかかる)、と考えられる。
また、ロードセルを備えた電子天秤において、計量皿の四隅などに偏荷重を加えるとロードセル(起歪体)がねじられるが、この場合の薄肉部に発生する応力もエッジロードの影響を受けると考えられる。
即ち、ロードセル(起歪体)がねじられる場合は、ロードセル(起歪体)の幅方向中央に前後(ロードセル長手方向)に延びる仮想中立軸が存在し、ロードセル(起歪体)はこの仮想中立軸を中心として回転する(捩られる)。しかし、この仮想中立軸はロードセル(起歪体)の幅方向中央付近というだけで、その位置は明確に決まっているものではない。しかも薄肉部の幅方向両端部に発生したエッジロードがやはり幅方向中央部付近の応力に影響を及ぼすため、これが測定誤差となるし、薄肉部における幅方向の応力がバランスして安定するまで測定値も安定しない(偏荷重が負荷として作用する場合も、測定値が安定するまで所定の時間がかかる)、と考えられる。
また、ロードセルが過負荷によって破損する実験を行なったところ、ロードセルの薄肉部に塑性変形が生じ、これによりロードセル(薄肉部)が破損した。
このときの薄肉部の変形は、薄肉部の幅方向の一方の端部から変形が始まり、塑性変形が反対側端部まで伝わり、薄肉部中央付近に直線状の筋が発生する。即ち、筋は、薄肉部の幅方向の一方の端部を起点として発生し、反対側の端部に延びることも、薄肉部の幅方向端部にエッジロードが発生していることを示唆している。
このように、従来のロードセルでは、薄肉部に発生するエッジロードが「測定誤差」や「測定値が安定するまでの時間」といった、ロードセルの性能に関連することから、発明者は、薄肉部に発生するエッジロードを小さくできれば、ロードセルの性能を改善できるのではないかと考えた。
そこで、発明者は、先ず、薄肉部に円形の貫通孔(以下、円孔という)を設けた場合に、薄肉部に発生するエッジロードがどのようになるか、薄肉部に発生する応力が安定するまでの時間はどう変わるか等を検討する過程で、従来構造のロードセルを構成する起歪体の下ビームの2箇所の薄肉部に円孔を設けたロバーバル機構を試作した。
そして、円孔を設けた薄肉部(下ビームの薄肉部)および円孔を設けない薄肉部(上ビームの薄肉部)にそれぞれ発生する応力を有限要素法により解析した。
すると、円孔を設けた薄肉部(下ビームの薄肉部)では、図7(a)に示すように、孔周縁部の2箇所が新たな端部(エッジ部)となって、全4箇所の端部(エッジ部)においてエッジロードが発生した。このエッジロードの値H3は、従来のロードセル(起歪体)の薄肉部に発生するエッジロードの値H1(図7(c)参照)よりも低い値(H3<H1)であった。
一方、円孔を設けない薄肉部(上ビームの薄肉部)では、図7(b)に示すように、従来のロードセルにおける薄肉部に発生する応力分布(図7(c)参照)と同じような応力分布となるが、エッジロードの値H2が、従来のロードセルのエッジロードの値H1よりも僅かに低かった(H3<H2<H1)。
そこで、発明者は、薄肉部の幅方向中央部に円孔を設け、該薄肉部の円孔を挟んだ幅方向両側に歪ゲージをそれぞれ接着すれば、該薄肉部に発生するエッジロードの値H3が低い分、歪ゲージが検出する歪(応力)へのエッジロードの影響が少なくなって、測定誤差が減るのではないか、特に、偏荷重によってロードセル(起歪体)がねじり回転する仮想中立軸がロードセル(起歪体)の幅方向中央に位置決めされるので、エッジロードの影響が少なく、測定誤差が減る、と考えた。
そして、図7(a),(b)に示す起歪体の下ビームの2箇所の薄肉部のそれぞれの円孔を挟む両側に歪ゲージをそれぞれ接着したロードセル(全4個の歪ゲージを接着したロードセル)を試作して、荷重を負荷する試験を行なったところ、従来のロードセルに比べて測定誤差が少なく、測定値が安定するまでの時間も短縮される等、ロードセルの性能を改善する上で有効であることが確認されたことを受けて、この度の特許出願に至ったものである。
本発明は、前記した従来の問題点および発明者の前記した知見に基づいてなされたもので、その目的は、ロードセルの薄肉部に貫通孔を設け、薄肉部の貫通孔を挟んだ幅方向の両側に歪ゲージを接着することで、ロードセルの基本性能を向上させることにある。
前記した目的を達成するために、請求項1に係るロバーバル型ロードセルにおいては、長手方向前後2箇所に薄肉部をそれぞれ設けた上下一対の平行ビームの端部が固定部と可動部で接続されてロバーバル機構を構成する起歪体と、前記薄肉部に接着された歪ゲージとを備えたロバーバル型ロードセルにおいて、
前記薄肉部には、その幅方向中央部に略円形の貫通孔を設けるとともに、前記貫通孔を挟んだその幅方向両側に前記歪ゲージをそれぞれ接着するように構成した。
(作用)従来のロードセル(起歪体)に荷重を負荷すると、薄肉部の幅方向両端部の2箇所にエッジロードH1が発生する(図7(c)参照)。一方、従来のロードセル(起歪体)の薄肉部の幅方向中央部に円孔(円形の貫通孔)を設けると、薄肉部の幅方向両端部と貫通孔の幅方向周縁端部2箇所の全4箇所にエッジロードH3が発生し、従来のロードセルの薄肉部に発生するエッジロードH1よりもその値が小さく(H3<H2<H1)なる(図7(a),(b)参照)。
即ち、従来のロードセルの薄肉部(貫通孔を設けない薄肉部)は、「薄肉部の幅方向両端部に相対的に値の大きいエッジロードが発生し、薄肉部の幅方向の応力がバランスして安定するまでの時間が相対的に長い」という特性を示すのに対し、本発明のロードセルの薄肉部(貫通孔を設けた薄肉部)は、「薄肉部の幅方向両端部に加えて貫通孔の幅方向周縁端部2箇所の全4箇所でエッジロードが発生するものの、それぞれのエッジロードの大きさは相対的に小さく、薄肉部の幅方向の応力がバランスして安定するまでの時間が相対的に短い」という特性を示す。
このため、本発明のロードセルでは、第1には、従来のロードセル(起歪体)に比べて、貫通孔を設けた薄肉部に発生するエッジロードの値が小さくなる(H3<H1)分、歪ゲージが応力を感受するときに、エッジロードの影響を受けにくく、測定誤差が少なくなる。
第2には、貫通孔を設けた薄肉部に発生するエッジロードは、薄肉部の幅方向4箇所に分散して発生しており、しかも従来のロードセル(起歪体)に比べて、エッジロードの値が小さくなる(H3<H1)分、薄肉部の幅方向の応力がバランスして安定するまでの時間が短縮される(測定を開始できるまでの時間が短縮される)。
第3には、薄肉部の幅方向中央部に略円形の貫通孔を設けたので、偏荷重によってロードセル(起歪体)がねじり回転する仮想中立軸がロードセル(起歪体)の幅方向中央に位置決めされるので、エッジロードの影響、即ち、測定誤差が減るし、測定値が安定するまで所定の時間も短縮される。換言すれば、偏荷重作用時のロードセルのねじり回転の正確性および再現性が上がり、誤差が低減する。 なお、薄肉部に設ける貫通孔の形状は、矩形であっても、略円形の貫通孔と同様の作用・効果が奏されるが、矩形の貫通孔の加工は難しく、それだけ費用と時間がかかるため、貫通孔の形状は略円形が望ましい。また、「略円形」には、「楕円形」は勿論、起歪体の幅方向に延びる「長円」も含まれる。
また、偏荷重によってロードセル(起歪体)がねじり回転する仮想中立軸の正確な位置決めには、薄肉部に設ける略円形の貫通孔の大きさはある程度小さい方がよいが、小さすぎると、孔の周縁端部にはエッジロードではなく、応力集中に伴う過大応力が発生し、ロバーバル機構が成立しない。一方、大きすぎると、歪ゲージを接着する十分なスペースを確保できない。このため、図6(a)に示すように、薄肉部に設ける略円形の貫通孔の幅W1は、薄肉部への歪ゲージの接着を妨げず、孔の周縁部に過大応力の発生しない所定の大きさ(比較的小さい幅)にすることが望ましい。
また、ロバーバル機構を構成する起歪体は、可動部に下向き荷重が作用した場合には、全4箇所の薄肉部のうち、上ビームの可動部寄りの薄肉部および下ビームの固定部寄りの薄肉部には圧縮応力がそれぞれ作用し、上ビームの固定部寄りの薄肉部および下ビームの可動部寄りの薄肉部には引張応力がそれぞれ作用するように構成されており、起歪体の4箇所の薄肉部のうちのどの薄肉部に貫通孔を設けるかによって、請求項2、3,4に対応する3つの構成が考えられる。
即ち、請求項2においては、長手方向前後2箇所に薄肉部をそれぞれ設けた上下一対の平行ビームの端部が固定部と可動部で接続されてロバーバル機構を構成する起歪体と、前記薄肉部に接着された歪ゲージとを備え、前記可動部に下向き荷重が作用した場合には、前記全4箇所の薄肉部のうち、上ビームの可動部寄りの薄肉部および下ビームの固定部寄りの薄肉部には圧縮応力がそれぞれ作用し、上ビームの固定部寄りの薄肉部および下ビームの可動部寄りの薄肉部には引張応力がそれぞれ作用するロバーバル型ロードセルにおいて、
前記引張応力が作用する薄肉部2箇所のうちのいずれか一方、および前記圧縮応力が作用する薄肉部2箇所のうちのいずれか一方に、その幅方向中央部に略円形の貫通孔をそれぞれ設けるとともに、
前記それぞれの貫通孔を挟んだその幅方向両側に前記歪ゲージをそれぞれ接着するように構成した。
そして、請求項2に対応する形態の具体的な構造としては、請求項2に記載のロバーバル型ロードセルにおいて、前記上ビームの2箇所の薄肉部に前記孔をそれぞれ設ける構造、記下ビームの2箇所の薄肉部に前記貫通孔をそれぞれ設ける構造、前記上下一対のビームの固定部寄りのそれぞれの薄肉部に前記貫通孔をそれぞれ設ける構造、または前記上下一対のビームの可動部寄りのそれぞれの薄肉部に前記貫通孔をそれぞれ設ける構造の4タイプが考えられる。
また、請求項3においては、長手方向前後2箇所に薄肉部をそれぞれ設けた上下一対の平行ビームの端部が固定部と可動部で接続されてロバーバル機構を構成する起歪体と、前記薄肉部に接着された歪ゲージとを備え、前記可動部に下向き荷重が作用した場合には、前記全4箇所の薄肉部のうち、上ビームの可動部寄りの薄肉部および下ビームの固定部寄りの薄肉部には圧縮応力がそれぞれ作用し、上ビームの固定部寄りの薄肉部および下ビームの可動部寄りの薄肉部には引張応力がそれぞれ作用するロバーバル型ロードセルにおいて、
前記全4箇所の薄肉部には、その幅方向中央部に略円形の貫通孔をそれぞれ設けるとともに、
前記引張応力が作用する薄肉部2箇所のうちのいずれか一方、および前記圧縮応力が作用する薄肉部2箇所のうちのいずれか一方には、前記それぞれの貫通孔を挟んだその幅方向両側に前記歪ゲージをそれぞれ接着するように構成した。
そして、請求項3に対応する形態の具体的な構造としては、請求項3に記載のロバーバル型ロードセルにおいて、前記上ビームの2箇所の薄肉部に前記歪ゲージをそれぞれ接着する構造、前記下ビームの2箇所の薄肉部に前記歪ゲージをそれぞれ接着する構造、前記上下一対のビームの固定部寄りのそれぞれの薄肉部に前記歪ゲージをそれぞれ接着する構造、または前記上下一対のビームの可動部寄りのそれぞれの薄肉部に前記歪ゲージをそれぞれ接着する構造の4タイプが考えられる。
また、請求項4においては、長手方向前後2箇所に薄肉部をそれぞれ設けた上下一対の平行ビームの端部が固定部と可動部で接続されてロバーバル機構を構成する起歪体と、前記薄肉部に接着された歪ゲージとを備え、前記可動部に下向き荷重が作用した場合には、前記全4箇所の薄肉部のうち、上ビームの可動部寄りの薄肉部および下ビームの固定部寄りの薄肉部には圧縮応力がそれぞれ作用し、上ビームの固定部寄りの薄肉部および下ビームの可動部寄りの薄肉部には引張応力がそれぞれ作用するロバーバル型ロードセルにおいて、
前記全4箇所の薄肉部には、その幅方向中央部に略円形の貫通孔をそれぞれ設けるとともに、
前記それぞれの貫通孔を挟んだその幅方向両側に前記歪ゲージをそれぞれ接着するように構成した。
(作用)請求項3や請求項4では、上ビームおよび下ビームの全4箇所の薄肉部の幅方向中央部に略円形の貫通孔がそれぞれ設けられることで、偏荷重によってロードセル(起歪体)がねじり回転する仮想中立軸が上ビームおよび下ビームの双方に対して幅方向中央に位置決めされるので、エッジロードの影響、即ち、測定誤差がさらに減るし、測定値が安定するまで所定の時間もさらに短縮される。換言すれば、偏荷重作用時のロードセルのねじり回転の正確性および再現性がいっそう上がり、誤差がいっそう低減する。
本発明のロバーバル型ロードセルによれば、測定誤差、測定開始可能時間、ロバーバル変形の正確性や再現性等の基本性能に優れたロードセルが提供される。
特に、請求項3,4によれば、全4箇所の薄肉部の幅方向中央部に略円形の貫通孔が設けられることで、偏荷重によってロードセル(起歪体)がねじり回転する仮想中立軸がロードセル(起歪体)の幅方向中央により正確に位置決めされるので、偏荷重作用時のロードセルのねじり回転の正確性および再現性がいっそう上がり、偏荷重作用時の誤差がいっそう減るし、測定値が安定するまで所定の時間もいっそう短縮される。
以下、添付図面に従って、本発明に係るロードセルの好ましい実施形態について説明する。図1は、本発明が適用された第1の実施形態のロバーバル型ロードセル10を示す斜視図であり、図2は、同ロードセルの分解斜視図、図3は、同ロードセルの水平断面図(図1のIII−III線に沿う断面図)、図4は、底面側から見た同ロードセルの斜視図、図5は、同ロードセルの縦断面図(図2のV−V線に沿う断面図)、図6は同ロードセル(起歪体)の薄肉部を拡大して示す図で、(a)は同薄肉部の拡大側面図、(b)は下ビームの薄肉部の拡大平面図(図5のVI−VI線に沿う断面図)である。
これらの図に示すように、ロードセル10は主として、起歪体12、歪ゲージ20、過荷重防止用ストッパ30で構成される。
起歪体12は、アルミ等の金属材から成り、たとえば一定形状に押し出し成形したものを一定の幅で切断し、必要に応じて切削加工することによって製造される。この起歪体12には、幅方向(矢印α方向)に貫通する略眼鏡状の貫通孔13が形成されており、この貫通孔13が形成されることによって、起歪体12は、平行に配設された上ビーム14と下ビーム15、上下一対のビーム14,15の両端部をそれぞれ接続する固定部16と可動部17、上ビーム14と下ビーム15のそれぞれ対向する位置に設けられた2個所の薄肉部18を備えたロバーバル機構を構成している。
薄肉部18は合計4個所形成されており、可動部17に負荷をかけて起歪体12が変形した際に2個の薄肉部18は引っ張られ、残りの2個の薄肉部18は圧縮される。図では、引張側の薄肉部は符号18a、圧縮側の薄肉部は符号18bで示されており、本実施の形態では、下ビーム15の引張側(図の左側)の薄肉部18(18a)および圧縮側(図の右側)の薄肉部18(18b)にそれぞれ2個の歪ゲージ20が貼り付けられている(図4参照)。歪ゲージ20は、電気的に接続されてブリッジ回路が構成されている。
一方、固定部16は、ケース等の装置本体(不図示)に固定される部分であり、本実施の形態では、底面にネジ孔(不図示)が形成され、下側からネジ止めされて装置本体に固定される。起歪体12における固定部16の反対側には、可動部17が設けられている。可動部17は、秤量皿(不図示)が接続される部分であり、本実施の形態では上面にネジ孔21が形成され、秤量皿(不図示)の支持部材等が上側からネジ止めにより固定される。この可動部17の内側の側面(貫通孔13に臨む側面)には、起歪体12の幅方向に延びるストッパ係合用凹部19が形成されている。凹部19は、起歪体12の幅方向において一定の形状に形成されており、凹部19の内側には、ストッパ30の先端部32の一部が配置されている。
過荷重防止用ストッパ30は、凹部19内に配置される先端部32と、起歪体12の固定部の側面に固定される基端部34を備え、起歪体12と同じ材質(たとえばアルミ材)によって一体的に形成されている。
ストッパ先端部32は、貫通孔13の内側に非接触で配置可能な形状(例えば所定の厚みをもったプレート状)に形成されている。また、先端部32は、起歪体12の幅よりも大きい幅に形成されており、ストッパ30を起歪体12に固定した時に、図3符号32bで示すように、可動部17の幅方向外側に突出する。さらにストッパ先端部32の先端32aは、可動部17の凹部19内に非接触で配置され、上面および下面が平行で平坦に形成された先端部32は、凹部19内に配置された際に、凹部19の上下面との間に所定のクリアランスが形成される。
一方、ストッパ基端部34は、起歪体12の固定部16の外側面に面接触する部位である幅広板状の側板部36を備え、ストッパ先端部32の幅方向の一方端側に繋がっている。したがって、図3に示すように、ストッパ30は全体として水平断面L型に形成されている。また、側板部36は、図2に示すように、先端部32の厚さ(上下方向の寸法)よりも上下方向に大きく(幅広に)形成されるとともに、上下2箇所にネジ25用の挿通孔35が形成されている。この挿通孔35の位置に合わせて、固定部16の外側面にネジ孔22が形成されている。
このように構成されたストッパ30は、まず、その先端部32を起歪体12の貫通孔13に挿通させるとともに、先端部32の先端32aを可動部17の凹部19内に配置し、側板部36を固定部16の外側面に面接触させる。このとき、ストッパ30の先端部32が起歪体12よりも幅広に形成されているので、ストッパ30の先端部32の左右の側縁部32bは、起歪体12の可動部17の両側に突出した状態になる。次に、突出部分である側縁部32b(図3参照)に位置決め用の治具(不図示)を当てて、先端部32と凹部19の上下面とのクリアランスを調整した後、その状態を保ったまま、ネジ25を挿通孔35に挿通しネジ孔22に締め付ける。これにより、ストッパ30が起歪体12(の凹部19)に対し位置決めされた状態で固定される。
次に、ストッパ30の作用について説明する。
ロードセル10では、ストッパ30の先端部32が起歪体12の可動部17よりも幅広に形成されて、ストッパ先端部32の左右の側縁部32bが、図3符号32bに示すように、可動部17の両外側に突出した形態になっている。このため、ロードセル10において、可動部17に垂直方向の過荷重が作用した場合、可動部17の凹部19の下面または上面がストッパ30の先端部32の上面または下面に当接し、起歪体12への過荷重の伝達が防止されて、薄肉部18の過剰変形が抑制される。
また、このロードセル10において、可動部17にねじれ方向の過荷重が作用した場合には、起歪体12の幅方向端部である、凹部19の延在方向の端部(エッジ部)19aが最大に変位して、このエッジ部19aがストッパ先端部32に当接する位置に最大荷重が伝達されるが、エッジ部19aの上下に対向する位置では、ストッパ30の先端部32が面積を有している。即ち、エッジ部19aの上下に対向する位置には、ストッパ部30の先端部32の平面領域が延在している。このため、起歪体12にねじれ方向の過荷重が加わった場合には、エッジ部19aがストッパ30の先端部32(の平面領域)に必ず当接して、所定値以上の過過荷重が起歪体12に伝達されず、薄肉部18の過剰変形が抑制される。
このように本実施の形態によれば、垂直方向の過荷重に対してだけでなく、ねじれ方向の過荷重に対しても、薄肉部の過剰変形を抑制する上で有効である。
また、歪ゲージ20が接着されている下ビーム15の薄肉部18(18a,18b)には、薄肉部18(起歪体12)の幅方向中央位置に円形の貫通孔(以下、円孔という)100が設けられることで、下ビーム15の薄肉部18(18a,18b)に発生するエッジロードの大きさが小さくなって、測定誤差、測定値が安定するまでの時間等のロードセル10の性能が改善されている。
即ち、4箇所の薄肉部のうち、下ビーム15の薄肉部18(18a,18b)には、幅方向中央部に円孔100が設けられるとともに、孔100を挟んだその幅方向両側に歪ゲージ20がそれぞれ接着されることで、ロードセル10の性能(測定誤差が少なく、測定開始可能時間も短縮される等の基本性能)が改善されている。
以下、下ビーム15の薄肉部18(18a,18b)に円孔100を設け、円孔100の両側に歪ゲージ20を接着することで、ロードセル10の性能が改善されるという作用について説明する。
従来のロードセル(起歪体)では、荷重が負荷されると、図7(c)に示すように、薄肉部の両端部の2箇所にエッジロード(エッジロードの値H1)が発生する。一方、本実施の形態のロードセル10(起歪体12)では、上ビーム15の薄肉部18(18a,18b)に発生する応力(図7(b)参照)は、従来のロードセルの薄肉部に発生する応力と同じような分布を示すが、薄肉部の幅方向両端部に発生するエッジロードの値H2が僅かに低い(H2<H1)。また、幅方向中央部に円孔100が設けられた下ビーム15の薄肉部18(18a,18b)では、図7(a)に示すように、薄肉部の幅方向両端部と孔100の幅方向周縁端部2箇所の全4箇所にエッジロードが発生し、従来のロードセルの薄肉部で発生するエッジロードよりもその値H3が小さい(H3<H2<H1)。
即ち、従来のロードセルの薄肉部は、「薄肉部の幅方向両端部で相対的に値の大きいエッジロードが発生し、薄肉部の幅方向の応力がバランスして安定するまでの時間が相対的に長い」という特性を示すのに対し、ロードセル100(起歪体12)の下ビーム15の薄肉部18(18a,18b)は、円孔100が設けられることで、「薄肉部の幅方向両端部に加えて円孔100の幅方向周縁端部2箇所の全4箇所にエッジロードが発生するものの、それぞれのエッジロードの大きさは相対的に小さく、薄肉部の幅方向の応力がバランスして安定するまでの時間が相対的に短い」という特性を示す。
このため、ロードセル10では、第1には、従来のロードセル(起歪体)に比べて、孔100を設けた薄肉部18(18a,18b)に発生するエッジロードの値が小さくなる(H3<H1)分、歪ゲージ20が応力を感受するときに、エッジロードの影響を受けにくく、測定誤差が少なくなる。
第2には、円孔100を設けた薄肉部18(18a,18b)に発生するエッジロードは、薄肉部18の幅方向4箇所に分散して発生しており、しかも従来のロードセル(起歪体)に比べて、エッジロードの値が小さくなる(H3<H1)分、薄肉部18の幅方向の応力がバランスして安定するまでの時間が短縮される(測定を開始できるまでの時間が短縮される)。
第3には、薄肉部18(18a,18b)の幅方向中央部に円孔100を設けたので、偏荷重によってロードセル10(起歪体12)がねじり回転する仮想中立軸がロードセル(起歪体)の幅方向中央に位置決めされるので、エッジロードの影響、即ち、測定誤差が減るし、測定値が安定するまで所定の時間も短縮される。換言すれば、偏荷重作用時のロードセル10のねじり回転の正確性および再現性が上がり、誤差が低減する。
また、本実施の形態のロードセル10では、偏荷重が作用した場合の四隅誤差が従来のロードセルに比べて圧倒的に少ないことは、以下のように説明できる。
図8は、第1の実施の形態のロードセル10を組み込んだ四隅誤差測定装置を示し、(a)は同装置の断面図、(b)は偏荷重の作用位置を示す同装置の平面図、図9は、ロードセル10の四隅誤差を従来のロードセル(比較例)の四隅誤差と比較して示す図で、(a)はロードセル10の四隅誤差(推定値)を示し、(b)は従来のロードセル(比較例)の四隅誤差(実測値)を示す。
これらの図において、四隅誤差測定装置は、図8(a)に示すように、ロードセル10の固定部16がベースプレートに固定されて片持ち状に水平に配設され、ロードセル10の可動部17に平面視正方形状の秤量皿が固定された構造で、図8(b)に示すように、秤量皿の中央部に荷重を作用させたときの値を基準として、符号A,B,C,Dで示す四箇所に荷重を作用させた場合のそれぞれの「ずれ量」を四隅誤差としてロードセル10で測定するように構成されている。
偏荷重が作用するとロードセル10(起歪体12)は、ロードセル10(起歪体12)の幅方向中央に前後に延びる仮想中立軸を中心として回転する。従来のロードセルでは、この仮想中立軸はロードセル(起歪体)の幅方向中央付近というだけで、その位置は明確に決まっているものではない。しかも薄肉部の幅方向両端部に発生したエッジロードが中央部付近の応力に影響を及ぼすため、これが測定誤差となるし、薄肉部における幅方向の応力がバランスして安定するまで測定値も安定しない(偏荷重が負荷として作用する場合も、測定値が安定するまで所定の時間がかかる)。
このため、従来のロードセルでは、図9(b)に示すように、負荷荷重の増加に伴って、+方向のずれ,−方向のずれがいずれも略二次元的に増加する。特に、1/3秤量までは僅かな増加に留まるが、2/3秤量,3/3秤量と順次秤量が増加すると、+方向、−方向いずれの方向の「ずれ」も急激に増加する。
然るに、ロードセル10(起歪体12)では、下側の前後方向の2箇所の薄肉部18(18a,18b)の幅方向中央部に円孔100がそれぞれ設けられることで、従来のロードセルでは明確でなかった、ねじりの回転中心となる前後に延びる仮想中立軸がロードセル10(起歪体12)の幅方向中央に正確に位置決めされることとなって、偏荷重作用時のロードセル10(起歪体12)のねじり回転の正確性および再現性が上がり、誤差が低減する。
このため、本実施の形態のロードセル10では、例えば、図9(a)に示すように、秤量の増加に伴って、+方向のずれ,−方向の「ずれ」の増加の割合が、従来のロードセルの場合と比べて著しく少なくなる、と推定される。
また、各薄肉部18は、横(側方)から見て、図6(a)に示すように、外側直線Fと内側円弧Rで形成されているが、内側円弧Rの頂点Pに最大応力が発生するように設計されて、ロバーバル変形の起点でもある。そして、薄肉部18が変形する際の円弧Rの頂点Pに発生する応力は、内側円弧Rの頂点P近傍では薄肉部の厚さがほほ同じであるため、内側円弧Rの頂点P近辺を起点としてロバーバル変形していると考えられる。
然るに、円孔100を設けた下側の薄肉部18では、図6(b)に示すように、薄肉部18を平面視して起歪体12の幅方向の中心に円孔100の中心O1があるため、薄肉部18における円孔100を挟んだ左右の領域であって円孔100の中心O1を通り左右に延びる直線L−Lに沿った、最小面積となる横断面に最大応力が発生する。さらにこの横断面位置(直線L−Lに沿った断面位置)は、薄肉部18を横(側方)から見た場合の内側円弧Rの頂点Pと一致する。
即ち、内側円弧Rの頂点Pに一致するこの横断面には確実に最大応力が生じ、この横断面が確実にロバーバル変形の起点となる。そして、下側の2箇所の薄肉部18の内側円弧Rのそれぞれの頂点Pが必ずロバーバル変形の起点となることで、上側の2箇所の薄肉部18も下側の2箇所の薄肉部18に倣うように、薄肉部18の内側円弧Rのそれぞれの頂点Pを起点としてロバーバル変形する。
このため、ロードセル10では、薄肉部に円孔100を設けていない従来のロードセル(起歪体)に比べて、ロバーバル変形の正確性および再現性が上がる。
図10は、第2の実施形態のロードセルの縦断面図である。
前記した第1の実施形態のロードセル10では、下ビーム15の薄肉部18(18a,18b)に円孔100がそれぞれ設けられるとともに、円孔100を挟んだその両側に歪ゲージ20がそれぞれ接着されていたが、この第2の実施形態のロードセル10Aでは、上ビーム15の薄肉部18(18a,18b)に円孔100がそれぞれ設けられるとともに、円孔100を挟んだその両側に歪ゲージ20がそれぞれ接着されている。
その他の構造は、前記した第1の実施形態のロードセル10と同一であるので、同一の符号を付すことで、重複した説明は省略する。
図11,図12は、第3、第4の実施形態のロードセル10B,10Cの縦断面図である。
第3の実施形態のロードセル10Bでは、上下一対のビーム14,15の固定部16寄りのそれぞれの薄肉部18(18a,18b)に円孔100がそれぞれ設けられるとともに、円孔100を挟んだその両側に歪ゲージ20がそれぞれ接着されている。
一方、第4の実施形態のロードセル10Cでは、上下一対のビーム14,15の可動部17寄りのそれぞれの薄肉部18(18b,18a)に円孔100がそれぞれ設けられるとともに、円孔100を挟んだその両側に歪ゲージ20がそれぞれ接着されている。
これらの第3,第4の実施形態のロードセル10B,10Cのその他の構造は、前記した第1の実施形態のロードセル10と同一であるので、同一の符号を付すことで、重複した説明は省略する。
図13〜図16は、請求項3に対応する第5〜第8の実施形態のロードセル10D,10E,10F,10Gの縦断面図である。
前記した第1〜第4の実施の形態のロードセル10〜10Cは、請求項2に対応する構成、すなわち、全4箇所の薄肉部18のうち、引張応力が作用する薄肉部2箇所のいずれか一方、および圧縮応力が作用する薄肉部2箇所のいずれか一方に、その幅方向中央部に円孔100がそれぞれ設けられるとともに、それぞれの孔100を挟んだその幅方向両側に歪ゲージ20がそれぞれ接着された構造であったが、第5〜第8の実施形態のロードセル10D〜10Gは、請求項3に対応する構成、すなわち、全4箇所の薄肉部18には、その幅方向中央部に円孔100がそれぞれ設けられるとともに、引張応力が作用する薄肉部2箇所のうちのいずれか一方、および圧縮応力が作用する薄肉部2箇所のうちのいずれか一方に、それぞれの円孔100を挟んだその幅方向両側に歪ゲージ20がそれぞれ接着された構造である。
即ち、図13に示す第5の実施形態のロードセル10Dでは、上ビーム14および下ビーム15の全4箇所の薄肉部18に円孔100がそれぞれ設けられ、上ビーム14の2箇所の薄肉部18(18a,18b)の円孔100を挟んだその両側に歪ゲージ20がそれぞれ接着されている。
図14に示す第6の実施形態のロードセル10Eでは、上ビーム14および下ビーム15の全4箇所の薄肉部18に円孔100がそれぞれ設けられ、下ビーム15の2箇所の薄肉部18(18a,18b)の円孔100を挟んだ両側に歪ゲージ20がそれぞれ接着されている。
図15に示す第7の実施形態のロードセル10Fでは、上ビーム14および下ビーム15の全4箇所の薄肉部18に円孔100がそれぞれ設けられ、上下一対のビーム14,15の固定部16寄りのそれぞれの薄肉部18(18a,18b)の円孔100を挟んだ両側に歪ゲージ20がそれぞれ接着されている。
図16に示す第8の実施形態のロードセル10Gでは、上ビーム14および下ビーム15の全4箇所の薄肉部18に円孔100がそれぞれ設けられ、上下一対のビーム14,15の可動部17寄りのそれぞれの薄肉部18(18a,18b)の円孔100を挟んだ両側に歪ゲージ20がそれぞれ接着されている。
これらの第5〜第8の実施の形態のロードセル10D〜10Gでは、上ビーム14および下ビーム15の全4箇所の薄肉部18に円孔100がそれぞれ設けられているので、前記した第1〜第4の実施の形態のロードセル10〜10Cよりも、エッジロードの影響、即ち、測定誤差がさらに減るし、測定値が安定するまで所定の時間もさらに短縮される。換言すれば、偏荷重作用時のロードセル10Dのねじり回転の正確性および再現性がいっそう上がり、誤差がいっそう低減する。
図17,18,19は、請求項4に対応する第9の実施形態のロードセル10Hを示し、図17は、同ロードセル10Hの縦断面図、図18は、同ロードセル10Hの斜視図、図19(a),(b)は、歪ゲージを接続したブリッジ回路を示す図である。
ロードセル10Hでは、上ビーム14および下ビーム15の全4箇所の薄肉部18の幅方向中央部に円孔100がそれぞれ設けられるとともに、全4箇所の薄肉部18の円孔100を挟んだ両側に歪ゲージ20がそれぞれ接着されている。
詳しくは、上ビーム14の可動部17寄りの薄肉部18には、歪ゲージ20a,20bが接着され、固定動部16寄りの薄肉部18には、歪ゲージ20c,20dが接着され、下ビーム15の可動部17寄りの薄肉部18には、歪ゲージ20e,20fが接着され、固定動部16寄りの薄肉部18には、歪ゲージ20g,20hが接着されている。
ロードセル10Hでは、前記した第5〜第8の実施形態のロードセル10D〜10Gにもいえることであるが、起歪体12の全4箇所の薄肉部18の幅方向中央部に円孔100がそれぞれ設けられることで、以下の効果が奏される。
第1には、4箇所の薄肉部18の内側円弧Rのそれぞれの頂点Pが必ずロバーバル変形の起点となるので、ロードセル10D〜10Hは、4箇所の薄肉部18の内側円弧Rのそれぞれの頂点Pを起点としてロバーバル変形する。即ち、ロードセル10Hでは、前記した第1〜第4の実施の形態のロードセル10〜10Cよりも、ロバーバル変形の正確性および再現性が上がる。
第2には、偏荷重によってロードセル10D〜10H(起歪体12)がねじり回転する仮想中立軸が上ビーム14および下ビーム15の双方に対して幅方向中央に位置決めされて、ロードセル10H(起歪体12)の幅方向中央に正確に位置決めされる。
このため、ロードセル10D〜10Hでは、前記した第1〜第4の実施の形態のロードセル10〜10Dよりも、偏荷重作用時のロードセルのねじり回転の正確性および再現性がいっそう上がり、偏荷重作用時の誤差がいっそう低減し、測定値が安定するまで所定の時間もいっそう短縮される。
また、第9の実施の形態のロードセル10Hでは、薄肉部18に接着された歪ゲージ20は、図19(a)に示すように、歪ゲージ20a,20c,20f,20hを接続して第1のブリッジを組み、歪ゲージ20b,20d,20e,20gを接続して第2のブリッジを組み、端子Xを入力端子,端子Yを出力端子とする回路(両ブリッジを足し合わせる回路)が構成されている。
あるいは、図19(b)に示すように、歪ゲージ20a,20d,20f,20gを接続して第1のブリッジを組み、歪ゲージ20b,20c,20e,20hを接続して第2のブリッジを組み、端子Xを入力端子,端子Yを出力端子とする回路(両ブリッジを足し合わせる回路)が構成されている。
ロードセル10Hでは、偏荷重によりロードセル10Hが仮想中立軸周りにねじられる際(四隅に分銅を載せた場合)に、円孔100を挟んで接着されている一対の歪ゲージには、正負それぞれ逆向きの誤差が生じるが、ロードセル10Hは、起歪体12の上下方向および左右方向に正確に位置決めされた仮想中立軸周りにねじられるため、円孔100を挟んで接着されている一対の歪ゲージに発生する誤差の絶対値が同一となって、2つのブリッジの四隅誤差が相殺されるため、四隅誤差がでない。
このため、従来では、薄肉部の側縁部をヤスリなどで削って四隅誤差がでないように調整していたが、ロードセル10Hでは、四隅誤差がでないので、面倒な四隅誤差の調整作業が不要となる。
なお、ロードセル(起歪体)の全4箇所の薄肉部のうちの2箇所に略円形の孔を設け、孔の両側に歪ゲージを接着する構造(第1〜第4の実施の形態のロードセル)では、孔を設けた薄肉部の強度を補うために、孔を設けない薄肉部の厚さよりも厚く形成してもよい。