JP6036412B2 - 収音装置 - Google Patents
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この種の収音装置として、特許文献1及び特許文献2記載のものがある。
特許文献1記載の収音装置は、ベースの上に、収音面が略垂直になるように配置された指向性のマイクロホンと、その後方に配置された回路基板とが取り付けられ、全体がカバー部材で覆われている。そのカバー部材は、多数の孔を形成したパンチングプレートにより構成され、その中央部がベース上の支持ボスの上端にねじで固定されている。
特許文献2記載の収音装置も、ベースの上に、回路基板に実装されたマイクロホンが取り付けられ、これらがカバー部材により覆われている。そのカバー部材として、パンチングプレートや金網体が用いられ、特許文献1記載のものと同様、中央部がベース上のボスの上端にねじによって固定されている。
その他にも、回路基板とマイクロホンを覆うカバー部材を樹脂や金属板により形成し、マイクロホン付近に孔をあけた構成のものも知られている。
この場合、特許文献1記載のように回路基板とマイクロホンとを並べて配置する場合は特に顕著になる。特許文献2記載のように回路基板の上にマイクロホンを配置すれば、スペース効率が良くなると考えられるが、マイクロホンの位置が高くなる分、机の表面からの反射を収音し易くなるため、ベースをさらに広くする必要があり、小型化は難しい。
これに対して、樹脂等によりカバー部材を形成した場合は、その壁を剛構造として高い強度を得ることができるが、音の反射によりマイクロホンの周波数特性にピークやディップが生じる。特に単一指向性のマイクロホンは、マイクロホン周囲の障害物からの反射音を敏感に拾ってしまい、ピークディップが生じ易い。また、指向性も損なわれる。
反面、ベースと回路基板との間にマイクロホンが配置されることから、マイクロホンの後方でベースと回路基板との間の空間がカバー部材により覆われた状態となり、これが箱状の閉空間となると、カバー部材の内部で音が反射して、その反射音をマイクロホンが拾ったり、特定の周波数の共鳴が発生したりし、収音特性を劣化させる可能性がある。本発明の収音装置は、カバー部材の側壁部にマイクロホンの収音面より後方側で開口する開放孔が設けられているため、マイクロホンの後方側での反射音を少なくすることができる。特に、ベースと回路基板との間の高さの範囲内にマイクロホンが設けられていることから、これらベースと回路基板との間で音が反響し易くなるが、開放孔により音を速やかに外部に放出することができ、マイクロホンの周囲が開放されているのと等価な状況となり、収音特性の劣化が防止できる。
また、カバー部材の側壁部を剛性部材により形成し、開放孔を形成する構成としたので、カバー部材としての強度を確保することができ、落下や衝撃等の外力による変形を防止することができる。
当該マイクロホンに対して側壁部からの反射成分が同相化することで生じるマイクロホンの収音周波数特性のピークやディップが抑制され、マイクロホンの収音特性の劣化を防止できる。
それぞれの開放孔と合わせて配置することになる壁面による反射に起因する共鳴が抑制され、マイクロホンの収音周波数特性にピークやディップが生じにくくなる。
それぞれの開放孔及び壁面にて決定される側壁の反射周波数特性が異なることにより、特定の周波数での共鳴を抑制でき、マイクロホンの収音周波数特性にピークやディップが生じにくくなる。
指向性マイクロホンの後方に回り込む音は、吸音材により吸収されるため、反射音の発生をより少なくすることができる。
図1〜図3は第1実施形態の収音装置を示している。この収音装置1は、3個の単一指向性マイクロホン(以下、単にマイクロホンという)2を備えており、平面視が全体として正三角形状に形成した筐体3内に、三角形の頂点部に1個ずつマイクロホン2が配置され、各マイクロホン2により、120°間隔をあけて異なる3方向に向けて収音できるようになっている。
筐体3は、平板状のベース4と、このベース4の上に被せられるように取り付けられるカバー部材5とを備えている。
ベース4は、三角形の頂点を面取りした形状をなし、その頂点部にそれぞれマイクロホン2が取り付けられるとともに、これらマイクロホン2に接続された回路基板6が、3個のマイクロホン2に囲まれた中央位置に固定されている。
回路基板6は、ベース4の表面と平行に設けられ、インピーダンス変換器、音質調整回路、出力回路(いずれも図示略)等が実装されており、マイクロホン2に電気的に接続された状態で固定されている。また、ベース4と回路基板6とが平行に設けられることから、これらの間に一定高さの空間部が形成される。マイクロホン2は、このベース4と回路基板6との間の高さの範囲内に設置される。
また、ベース4と回路基板6との間の空間部には、3個のマイクロホン2の間に配置されるように、発泡ウレタン等の多孔質樹脂からなる吸音材8が設けられている。この吸音材8は、後述する音波の反射による影響を抑制するためのものであり、各マイクロホン2の設置位置を頂点とする三角形に対して、若干小さい相似形の平面視三角形状に形成され、その頂点をそれぞれマイクロホン2に向けた姿勢で配置されている。
また、このカバー部材5において、収音孔13の間の側壁部11は、ベース4の表面に対して垂直に形成されるが、外部への接続部14が設けられる側壁部を除き、複数の開放孔15が形成されている。これら開放孔15は、各側壁部11において回路基板6とベース4との間の高さの範囲程度に形成され、いずれも矩形に形成されているが、その側壁部11の長さ方向(水平方向)に沿う幅寸法Wが個々の開放孔15で異なっている。
また、このカバー部材5は、ポリカーボネート樹脂、ABS樹脂等の合成樹脂、あるいは金属板等の剛性の高い材料が用いられている。
一方、収音孔13から入射する音波はマイクロホン2の周囲の空間を通ってマイクロホン2の収音面2aよりも後方の筐体3内に進入する。
この音波がマイクロホン2の収音面2aよりも後方に進入した場合、筐体3内では、カバー部材5の側壁部11の内面に達するが、この側壁部11には複数の開放孔15が形成されているので、音波は、その大部分が開放孔15から筐体3の外部に放散し、側壁部11の内面で反射することが抑制される。また、開放孔15の間に残る側壁部11のブリッジ部分で若干の反射が生じたとしても、他の側壁部11にも開放孔15が形成されているので、乱反射を繰り返すうちに大部分がいずれかの開放孔15から外部に放出され、筐体3の内部からマイクロホン2の収音面2aにまで到達する音波を極めて少なくすることができる。
この収音装置1は、電話会議システム等の端末として人の声を収音するものであるから、人の声の周波数帯域である約10kHz以下の音を対象としており、その場合、側壁部11の開放孔15により残る側壁部11の全体幅が波長の半分以下であれば、側壁部11からの反射の影響はほとんど生じない。側壁部11の全体幅が10cmであるとすると、開放孔15により残る壁の幅が前記周波数帯域の最短波長(約4cm以下)の半分の2cm以下であれば、反射の影響を少なくすることができる。
また、収音孔13及び開放孔15とも外装部材17により覆われるが、パンチングプレートからなる外装部材17であり、多数の孔により面積の半分以上は開口しているため、音響特性的には存在しないものとして差し支えない。
さらに、本実施形態のマイクロホン2は、ばね部材7によりベース4の上面から離間した状態に支持されているので、ベース4からの振動も伝わりにくく、より音響特性を高めることができる。
なお、落下、衝撃以外にも、例えば会議参加者が椅子から立ち上がる際に収音装置1に手をついて荷重をかけてしまうことによる外力が想定されるが、その場合でも、十分な機械的強度を発揮することができる。
また、回路基板6よりも下方に開放孔15が形成されていることから、衝撃時の偏応力が小さく、強度的に有利である。
この収音装置21は、筐体22が、円形板状のベース23と、このベース23に被せられるカバー部材24とからなり、カバー部材24に120°間隔をあけて3個の収音孔13が形成され、これら収音孔13にマイクロホン2が取り付けられている。この場合、ベース23の上には回路基板6が平行に固定され、ベース23と回路基板6との間の高さ範囲内にマイクロホン2が設置されている。カバー部材24は、ポリカーボネート樹脂、ABS樹脂等の合成樹脂、あるいは金属板等の剛性の高い材料が用いられる。
その他、回路基板6とベース23との間に、各マイクロホン2を頂点とする三角形の相似形の平面形状を有する吸音材8が設けられる点等、第1実施形態の構成と共通する。
なお、開放孔15を覆うパンチングプレート等の外装部材26は、カバー部材24の側壁部25だけでなく全体を覆う形状に形成されている。
マイクロホンの数も実施形態の3個に限らず、1個でも可能であるとともに、4個以上設けたものにも適用することができ、その個数は限定されない。
Claims (5)
- ベースの上に平行に回路基板が支持されるとともに、前記ベースの外周部に、前記ベースと前記回路基板との間の高さの範囲内に配置されるように指向性マイクロホンが取り付けられ、これら指向性マイクロホン及び前記回路基板を前記ベースとの間で覆うカバー部材が設けられてなり、前記カバー部材は、剛性部材からなる側壁部が前記ベースの外周部に沿って設けられ、前記側壁部の少なくとも前記回路基板よりも下方位置に、前記指向性マイクロホンの収音面より後方側で開口する開放孔が形成されていることを特徴とする収音装置。
- 前記開放孔は、複数形成されるとともに、前記指向性マイクロホンを中心として左右非対称となる位置に配置されていることを特徴とする請求項1記載の収音装置。
- 前記開放孔は、複数形成されるとともに、前記ベースの中心に対して非回転対称となる位置に配置されていることを特徴とする請求項1又は2記載の収音装置。
- 前記開放孔は、複数形成されるとともに、各開放孔における前記側壁部の長さ方向に沿う幅寸法がそれぞれ異なっていることを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項記載の収音装置。
- 前記指向性マイクロホンの後方における前記ベースと回路基板との間に吸音材が配置されていることを特徴とする請求項1〜4のいずれか一項記載の収音装置。
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Family Applications (1)
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