JP2008211388A - 通話装置 - Google Patents

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進弥 木本
Kosaku Kitada
耕作 北田
Yasushi Arikawa
泰史 有川
Osamu Akasaka
修 赤坂
恵一 ▲吉▼田
Keiichi Yoshida
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Abstract

【課題】 音声帯域の音質および効率の向上を実現可能な小型のスピーカ装置を提供する。
【解決手段】 ハウジングA1と、ハウジングA1に取り付けられて、一方面側からハウジングA1外へ音声情報を出力するスピーカSPと、ハウジングA1内でスピーカSPの他方面側に形成された空間である後気室Brと、一端を開口し他端を閉塞した中空に形成され、開口を介して後気室Br内に連通した音響管40とを備え、音響管40は、後気室Brの容量が小さいことによって低下するスピーカ出力の所定周波数の音圧レベルを増大させるために、増大させる周波数の1/4波長に基づく長さに設定される。
【選択図】図1

Description

本発明は、スピーカ装置に関するものである。
従来、スピーカをキャビネットに取り付けて、スピーカ(振動板)の表面側から外部空間に向かって音声情報が出力されるスピーカ装置があり、各種音響機器に用いられている。このようなスピーカ装置のキャビネット内には、スピーカの裏面側に形成された後気室があり、スピーカの裏面から後気室に放射される音波が、後気室を包囲する内面で反射して、互いに対向する内面間の距離が半波長の整数倍に等しくなる周波数の定在波を生じる。後気室内に生じる定在波は、スピーカの振動板の動きを阻害する作用を担うので、スピーカの出力から定在波と同一の周波数成分が低下してしまい、スピーカの音質、効率を劣化させる大きな要因となっている。
そこで、定在波を吸収する音響管を後気室内に設けることで、後気室に発生した定在波による音質悪化を抑制したスピーカ装置が提案されている(例えば、特許文献1参照)。
特許第3763682号
携帯電話やハンズフリー通話装置等の機器はそのハウジングをスピーカのキャビネットとして用い、近年、これらの機器はますます小型化する傾向があり、ハウジングの容量は小さくなっている。したがって、ハウジング内の後気室の容量も小さくなっており、この後気室の容量低減によって、一般に通話で使用される音声帯域600Hz〜3KHzのうち特に低周波数帯域でのスピーカの放射音圧が低下し、さらにはスピーカの最低共振周波数が高周波数側にずれてしまい、音声帯域におけるスピーカの音質、効率が悪化するという問題が生じている。
しかしながら、上記従来技術は、後気室内に発生する定在波による音質低下を抑制するものであり、小型のスピーカ装置において、後気室の容量低減による音声帯域の音質、効率の悪化を抑制するものではなかった。
本発明は、上記事由に鑑みてなされたものであり、その目的は、音声帯域の音質および効率の向上を実現可能な小型のスピーカ装置を提供することにある。
請求項1の発明は、ハウジングと、ハウジングに取り付けられて、一方面側からハウジング外へ音声情報を出力するスピーカと、ハウジング内でスピーカの他方面側に形成された空間である後気室と、一端を開口し他端を閉塞した中空に形成され、開口を介して後気室内に連通した音響管とを備え、音響管は、後気室の容量が小さいことによって低下するスピーカ出力の所定周波数の音圧レベルを増大させるために、増大させる周波数の1/4波長に基づく長さに設定されることを特徴とする。
この発明によれば、音響管によって、スピーカの最低共振周波数が低周波数側に移行し、さらにはスピーカの音圧レベルが増加するので、後気室が小容量であっても音声帯域の音質および効率が向上する。すなわち、音声帯域の音質および効率の向上を実現可能な小型のスピーカ装置を提供することができる。
請求項2の発明は、請求項1において、前記後気室を包囲する各面は、互いに対向する面間の距離が50mm以下に形成されることを特徴とする。
この発明によれば、後気室に音声帯域の定在波が発生しない小型のスピーカ装置となる。
請求項3の発明は、請求項1または2において、前記音響管は、前記後気室を包囲する各面のうち、複数の面に亘って連続して形成されることを特徴とする。
この発明によれば、音響管を必要に応じて長くすることができる。
以上説明したように、本発明では、音声帯域の音質および効率の向上を実現可能な小型のスピーカ装置を提供することができるという効果がある。
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。
(実施形態1)
本発明のスピーカ装置を用いた一形態として、インターホンの通話装置を例に挙げて以下説明する。
本実施形態の通話装置Aは図1〜図3に示され、前面に開口を形成したボディA10と、ボディA10の開口に覆設したカバーA11とでハウジングA1(横寸法X1=40mm、縦寸法X2=90mm、厚さ寸法X3=8mm)を構成し、ハウジングA1に、スピーカSP、マイクロホン基板MB1、通話スイッチSW1、音声処理部10を備え、部屋間で双方向の通話が可能なインターホンとして機能するものである。なお、通話装置Aの電源は、設置場所の近傍に設けたコンセントから供給されるか、あるいは情報線Lsを介して供給されてもよい。
まず、スピーカSPは、図1に示すように、図示しないヨークや永久磁石等を設けた支持体20を具備し、ドーム型の振動板21の外周側の縁部が支持体20に固定されている。振動板21は、PET(PolyEthyleneTerephthalate)またはPEI(Polyetherimide)等の熱可塑性プラスチック(例えば、厚み12μm〜50μm)で形成され、振動板21の背面に固定した図示しないボイスコイルに音声信号を入力すると、この音声信号の電流と支持体20の永久磁石の磁界とにより、ボイスコイルに電磁力が発生するため、振動板21が前後方向に振動させられる。このとき、振動板21から音声信号に応じた音が発せられる。すなわち、動電型のスピーカSPが構成される(例えば、直径25mm,厚さ3.6mm)。なお、動電型のスピーカの構成については周知であるので、詳細な説明は省略する。
そして、カバーA11の内面に等間隔に形成された4箇所の円柱状のボス11に、スピーカSPの支持体20の四隅に設けた取付孔22を各々載置し、ボス11の軸方向に形成されたねじ孔11aに取付ねじ23を螺合することで、振動板21がカバーA11の内面に対向する状態でスピーカSPが固定される。また、カバーA11の振動板21に対向する箇所には複数の音孔12が穿設されている。
このスピーカSPが固定されたカバーA11をボディA10に取り付けてハウジングA1を組み立てると、ボディA10の底面に立設した隔壁13によって、ハウジングA1内には隔壁13で仕切られた2つの空間A1a,A1bが形成され、スピーカSPは空間A1a内に配置される。この空間A1aは、ハウジングA1の横寸法X1=40mm、縦寸法X2a=30mm、厚さ寸法X3=8mmに対応する空間に形成され、空間A1bは、ハウジングA1の横寸法X1=40mm、縦寸法X2a=60mm、厚さ寸法X3=8mmに対応する空間に形成されている。
そして、空間A1a内では、カバーA11の内面とスピーカSPの表面側(振動板21側)とで囲まれた空間である前気室Bfと、ボディA10の底面および4つの内壁面(隔壁13含む)とスピーカSPの裏面側(支持体20側)とで囲まれた空間である後気室Brとが形成される。前気室Bfは、カバーA11に複数設けた音孔12を介して外部に連通している。後気室Brは、スピーカSPの支持体20がカバーA11の内面に密着することで、前気室Bfとは絶縁した(連通していない)空間となり、さらにカバーA11がボディA10の前面開口に密着することで、外部とも絶縁した密閉された空間となっている。
次に、マイクロホン基板MB1は、マイクロホンM1およびマイクロホンM2をモジュール基板2の一面に各々実装し、ハウジングA1の外面に取付可能に構成される。本実施形態では、モジュール基板2の一面をハウジングA1の前面外側に沿って配置し、マイクロホンM1はハウジングA1前面の開口14を挿通する。そして、マイクロホンM1の集音面は、前気室Bfに向かってスピーカSPの振動板21に対向しており、スピーカSPからの音声に対して高い指向性を有して、スピーカSPが発する音声を確実に集音することができる。また、マイクロホンM2は、ハウジングA1の前面に設けた凹部15に嵌合し、モジュール基板2に穿設したマイクロホンM2の音孔2aはハウジングA1の外部(前方)に面しているので、音孔2aを介して伝達される、通話装置Aの前方に位置する話者からの音声に対して高い指向性を有している。すなわち、スピーカSPが発する音声と話者の発する音声とをマイクロホンM1,M2で分離して集音しているのである。
また、ハウジングA1内の空間A1bには音声処理部10、通話スイッチSW1が配置されており、通話スイッチSW1は、ハウジングA1の前面からその操作部が露出している。そして音声処理部10は、他の部屋等に設置されている通話装置Aから情報線Lsを介して送信された音声信号をスピーカSPから出力したり、通話スイッチSW1を操作することで通話可能状態となった場合に、マイクロホンM2で集音した通話音声から,マイクロホンM1で集音したスピーカ音を除去することで、スピーカSPから回り込んだ音声をキャンセルするハウリング防止処理を施して、情報線Lsを介して他の部屋等に設置されている通話装置Aへ音声信号を送信する。
上記のように構成された通話装置Aは、概略寸法が40mm×30mm×8mmである空間A1a(実際は、ハウジングA1の厚みがあるためこの寸法より小さくなる)内にスピーカSPを配置しており、スピーカSPの裏面側の空間である後気室Brの寸法も、上記概略寸法40mm×30mm×8mmより小さくなり、本実施形態では後気室Brの容量を3800mm(または3800mm以下)に設定している。一般に通話で使用される音声帯域は600Hz〜3KHzであり、後気室Br内に3KHz以下の定在波を発生させるためには、後気室Brを包囲する面間の距離が50mm以上必要になる。したがって、本実施形態のように後気室Brを包囲する面間の距離が50mm以下の小型の装置では、後気室Br内に3KHz以下の定在波が発生することはなく、後気室Br内に発生する定在波によって通話音質が悪化することは考えられない。しかし、後気室Brの容量が小さいことによってスピーカSPの放射音圧が低下し、スピーカSPの最低共振周波数foが高周波数側にずれて、スピーカSPの音質、効率が悪化する恐れがある。
ここで、スピーカSPの最低共振周波数foは、一般に、スピーカの振動系の等価質量(振動板、ボイスコイル、空気付加質量)Moと、それを支持するエッジ等のスティフネスSoと、後気室Br内の空気のスティフネスSrとによって決まり、
Figure 2008211388
で表される。
図4はスピーカSPの前方における放射音圧の周波数特性を示しており、密閉された後気室の容量が3800mm(または3800mm以下)のハウジング(後述する音響管無し)を用いた場合と、ハウジングとして理想的なバッフル板を用いた場合との両方の場合について各結果を示す。
まず、理想的なバッフル板とは、図5に示すように無限大の大きさを有するバッフル板Cのことであり、放射音圧特性(図4の特性Y1)は、スピーカSPの最低共振周波数fo1=600Hzとなり、最低共振周波数はスピーカSP単体での特性と同じ理想的な特性を示している。バッフル板Cを用いるとこのように優れた特性を備えるが、これはバッフル板Cが無限大の大きさを有して、スピーカSPの裏面(振動板21の裏面)から放射された音がバッフル板Cで遮断されて前方に回り込まないとした場合の結果であり、現実的ではない。
次に、密閉された後気室を有するハウジングを用いた場合の放射音圧特性については、後気室の容量が十分に大きければバッフル板Cと同様の特性を得ることができるが、後気室の容量が小さいと、後気室内の空気のスティフネスSrが大きくなり、スピーカSPの最低共振周波数は高くなり、放射音圧が低下して、通話音質および効率が悪化する。後気室の容量が3800mm(または3800mm以下)のハウジングを用いた場合の放射音圧特性(図4の特性Y2)は、スピーカSPの最低共振周波数fo2=1200Hzとなり、バッフル板Cを用いた場合に比べて最低共振周波数が高周波数側にずれ、さらには800Hz以下の周波数帯域でバッフル板Cを用いた場合に比べて音圧レベルが5〜20dB程度減少しており、スピーカSPの音質および効率が悪化している。後気室の容量を大きくすればスピーカSPの音質は改善されるが、後気室の容量を大きくするとハウジングも大型化し、通話装置の小型化が困難になる。
そこで、本実施形態では、図1、図3に示すように、スピーカSP裏面の後気室Brを包囲するハウジングA1の内壁面に沿って、一端を内壁面から離し、他端を内壁面に連続させた管壁16が立設されており、この管壁16とハウジングA1の内壁面とカバーA11の裏面とで中空の音響管40が形成され、この音響管40が小容量の後気室Br内に配置されている。音響管40は、後気室Brの3つの内壁面に沿って屈曲し、後気室Brの周囲を略3/4周に亘って形成された矩形の断面形状を有する中空の閉管で、一端を開口し(開口端40a)、他端を閉塞して(閉塞端40b)形成され、管内は開口端40aを介して後気室Br内に連通している。音響管とは、閉管の共振周波数(管の全長が略1/4波長の奇数倍に一致する周波数)で入力インピーダンスが極めて小さくなることを利用したもので、共振周波数の音波が入射すると、その反射波は入射波に対して位相が反転した波形となり、入射波と反射波とが互いに打ち消しあうことで、開口端40aから外部へ伝播する音波を低減させている。また、音響管40を後気室Brの複数の内壁面に亘って連続して形成することで、小容量の後気室Br内に設けられる音響管40を必要に応じて長くすることができ、さらに音響管40を屈曲した形状に形成することで、小容量の後気室Br内に音響管40を配置することができる。
以下、音響管40の作用について詳細に説明する。まず、図6は、後気室Brに音響管40を備えたスピーカ装置、および音響管40を備えていないスピーカ装置の各概略構成とその振動モデルとを示しており、音響管40を備えていないハウジングA1では、スピーカSPの振動系の等価質量Moが、この振動系を支持するスピーカSPのエッジ等の減衰定数m1およびばね定数m2の並列回路と、後気室Br内の減衰定数m3とを介して固定端に接続している。一方、音響管40を備えたハウジングA1では、上記音響管40を備えていない構成に加えて、質量、減衰定数、ばね定数を合成して表される音響管40のインピーダンスZp(以後、音響インピーダンスZpと称す)が、後気室Br内の減衰定数m3と固定端との間に存在する。
そして、上記音響管40を備えた場合の振動モデルの等価回路は、図7のように、電気系回路Keと機械系回路Ksと音響系回路Kaとで構成される。なお、[スピーカSPの振動系の等価質量Mo]=[振動板とボイスコイルの質量Ms]+[空気付加質量2Ma]とする。
電気系回路Keは、電圧源Eの出力端間に直列接続されたスピーカSPのボイスコイルインピーダンスZe[ボイスコイル抵抗ReとボイスコイルインダクタンスLeの直列回路]で構成され、機械系回路Ksは、振動板21の機械インピーダンスZms[振動板の機械抵抗Rsと振動板およびボイスコイルの重量MsとスピーカSPのエッジ等のスティフネスSoとの直列回路]で構成され、電気系回路Keの電気エネルギーは、トランスT1を介して機械エネルギーに変換されて機械系回路Ksに伝達される。具体的には、電気系回路Keのボイスコイルを流れる電流I(A)、変換時の力係数G(N/A)とすると、スピーカSPの振動板21には力Fs=GI(N)が加わり速度Vs(m/s)で振動する。
また、音響系回路Kaは、放射インピーダンスZa[後気室Br内の空気の機械抵抗Raと空気付加質量Maの直列回路]と、後気室インピーダンスZr(後気室Br内の空気のスティフネスSr)と音響インピーダンスZpの並列回路との直列回路で構成され、機械系回路Ksの機械エネルギーは、トランスT2を介して音響エネルギーに変換されて音響系回路Kaに伝達される。具体的には、速度Vs(m/s)で振動するスピーカSPの振動板21から、体積速度Ua(m/s)の音波が放射される。
上記電気系回路Keと機械系回路Ksと音響系回路Kaとで構成される等価回路は、さらに図8に示す機械系等価回路に置き換えられる。この機械系等価回路は、振動板21を速度Vs(m/s)で振動させる力Fsの加振源F1を有し、この加振源F1の両端間には、機械系電気インピーダンスZme(=Ze/G)と、振動板インピーダンスZs(=Zms+Za)と、後気室インピーダンスZr(後気室Br内の空気のスティフネスSr)と音響インピーダンスZpとの並列回路と、前気室Bf内の空気のスティフネスSfと音孔12のインピーダンスZf[音孔抵抗Rbと空気付加質量Mb]との並列回路とを直列接続して構成される。
このような機械系等価回路において、後気室Br前方のゾーンH1(図6参照)での振動板インピーダンスZsは、
Figure 2008211388
となり、さらに、振動板21による音源を半径Dの呼吸球とみなし、空気密度をρ、音速をc、Bessel関数をJ、Struve関数をK1、位相定数をkとすると、放射インピーダンスZaは、
Figure 2008211388
となる。
そして、ハウジングA1に取り付けたスピーカSPの音圧レベルの周波数特性Y11、および自由インピーダンスの周波数特性Y12を[数2][数3]に基づいて算出すると図9のように各々示され、ともに600Hz付近でピークとなる特性を有している。なお、自由インピーダンスとは、二端子対の系で出力側に接続する負荷のインピーダンスがゼロのときの入力側から見たインピーダンスのことである。
次に、音響管40を含む後気室Br後方のゾーンH2(図6参照)での音響管40による作用について、図10(a)(b)に示すような後気室Brの外部に音響管40’を設けた構成を用いて理論的に説明する。なお、後気室Br内は平面波音場であり、ハウジングA1および音響管40’は、その断面形状が波長に比較して小さい剛壁であるとする。
後気室Br内の進行波(振動板21の裏面からハウジングA1の底面に向かう方向に進む音波)の圧力Pr+、粒子速度Vr+とし、後気室Br内の反射波(ハウジングA1の底面から振動板21の裏面に向かう方向に進む音波)の圧力Pr-、粒子速度Vr-とした場合、後気室Br内の振動板21寄りの面101(音波の進行方向を法線とする面)での圧力Pr1、粒子速度Vr1は、
Figure 2008211388
となり、面101から距離XrだけハウジングA1の底面寄りに位置する面102(音波の進行方向を法線とする面)での圧力Pr2、粒子速度Vr2は、
Figure 2008211388
となる。
したがって、後気室Brの断面積をQr、面101での体積速度をUr1、面102での体積速度をUr2とした場合、上記[数4][数5]より、伝達行列は、
Figure 2008211388
となる。
そして、音響管40’の開口端40a’を、面102と同様に面101から距離XrだけハウジングA1の底面寄りに設けたとすると、後気室Brの長さをLrとし、音響管40’の断面積をQp、長さをLpとした場合、閉管の条件より閉塞端での粒子速度=0となることから、後気室インピーダンスZr、音響インピーダンスZpは、
Figure 2008211388
となる。
そして、後気室Brと音響管40’のつなぎ目での境界条件として、後気室Brおよび音響管40’での各体積速度および圧力が同じであることを適用すると、後気室Brでの機械系インピーダンスZmr、および音響管40’での機械系インピーダンスZmpは、
Figure 2008211388
となり、上記機械系インピーダンスZmr、Zmpの合成インピーダンスZmは、
Figure 2008211388
となる。
上記[数7]の音響インピーダンスZpは、音響管40’の管壁の粘性による減衰を考慮していないが、以下、音響管40’の管壁の粘性による減衰を考慮した音響インピーダンスZpを求める。まず、[数10]で表される交番力Faが空気に作用することを考慮して、音響管40’内の運動方程式を解くと、管壁の粘性によって粒子速度が影響を受ける範囲δoは、音波の波長をλ、周波数をf、空気の粘性をμとした場合には[数11]のようになり、範囲δoは図11に示すように周波数が高いほど狭くなる。
Figure 2008211388
Figure 2008211388
そして、図12に示すように、音響管40’の開口端40a’での圧力をPp1、粒子速度をVp1とし、開口端40a’から距離Xpだけ閉塞端40b’寄りの位置での圧力をPp2、粒子速度をVp2とし、さらにαを波長定数、βを減衰定数、γを伝播定数、dを音響管40’の内径(半径)とすると、音響管40’内を軸方向に進む音波の位相定数kは、
Figure 2008211388
となる。なお、[数12]中の減衰定数β、および管内音波の速度c”は、図13および図14に示すように周波数が高いほど大きくなる。
また、音響管40’内を軸方向に進む音波の振幅速度uは、音響管40’の管壁の粘性の影響を受けない振幅速度をVoとした場合、
Figure 2008211388
となる。
したがって、開口端40’での体積速度をUp1、開口端40a’から距離Xpだけ閉塞端40b’寄りの位置での体積速度をUp2とし、[数14]に位相定数k=−jγを代入して、音響管40’の概略音響インピーダンスZp’を求めると[数15]のようになる。
Figure 2008211388
Figure 2008211388
ここで、[数16]に示す開口端補正値ΔLと、[数17]に示す音響管40’の開口端40a’での圧力損失Δpを考慮すると、音響管40’の音響インピーダンスZpは[数18]のようになる。
Figure 2008211388
Figure 2008211388
Figure 2008211388
この音響管40’の長さLp=95mm、断面積Qp=9mmとした場合の比音響インピーダンスZp/ρc(音響インピーダンスZpを、空気の特性インピーダンス=ρcで割った値)の周波数特性は図15に示され、Y21は音響管の管壁の粘性による減衰を考慮していない比音響インピーダンスであり、Y22は音響管の管壁の粘性による減衰を考慮した比音響インピーダンスであり、管壁の粘性を考慮していない場合は、比音響インピーダンスの極大値、極小値の変動が大きくなる。また、図15中において、比音響インピーダンスが1以下であれば、音響インピーダンスが空気の特性インピーダンスより小さく、吸音効果があることを示す。
図10(a)(b)に示すような後気室Brの外部に音響管40’を設けた構成を用いて音響管の作用を上記説明したが、図1〜図3のように、後気室Br内に音響管40を設けた構成であっても、音響管40の作用は同様に説明でき、音響管40(40’)の全長Lpを、音圧レベルを増大させたい周波数(本実施形態では700〜800Hz付近の低周波数)の略1/4波長に設定することで、スピーカSPの最低共振周波数が低周波数側に移行し、さらにはスピーカSPの音圧レベルが増加するので、後気室Brが小容量であってもスピーカSPの音質および効率が向上する。音圧レベルを増大させたい周波数と音響管40の全長Lpとの関係は[数19]に示される。
Figure 2008211388
そして、図16(a)(b)(c)は、音響管40を備えたハウジングA1に取り付けたスピーカSPの放射音圧特性を示しており、後気室Brの容量:3800mm、音響管40の長さ:95mmは共通で、音響管40の断面積のみが異なり、図16(a)は音響管40の断面積が3.8mm(φ2.2mm相当)の場合の特性であり、Y31(破線)は音響管の管壁の粘性による減衰を考慮していない音圧レベルの理論値、Y32(実線)は音響管の管壁の粘性による減衰を考慮した音圧レベルの理論値、Y33(△マーク)は音圧レベルの実験結果を示す。また、図16(b)は音響管40の断面積が9.0mm(φ3.4mm相当)の場合の特性であり、Y41(破線)は音響管の管壁の粘性による減衰を考慮していない音圧レベルの理論値、Y42(実線)は音響管の管壁の粘性による減衰を考慮した音圧レベルの理論値、Y43(△マーク)は音圧レベルの実験結果を示す。また、図16(c)は音響管40の断面積が12.6mm(φ4.0mm)の場合の特性であり、Y51(破線)は音響管の管壁の粘性による減衰を考慮していない音圧レベルの理論値、Y52(実線)は音響管の管壁の粘性による減衰を考慮した音圧レベルの理論値、Y53(△マーク)は音圧レベルの実験結果を示す。
而して、音響管の管壁の粘性による減衰を考慮した音圧レベルの理論値と実験結果とはほぼ一致しており、音響管40を設けたハウジングA1では、スピーカSPの最低共振周波数fo0=800Hzとなって、図4に示す音響管無しの特性Y2(最低共振周波数fo2=1200Hz)に比べて最低共振周波数が低周波数側に移行し、さらには800Hz以下の低域の音圧レベルが増大しており、スピーカSPの音質および効率が向上している。また、図16(a)(b)(c)によると、音響管40の断面積が小さいほど、1000Hz近傍での音圧レベルの落ち込みが小さくなることがわかる。
また、図1に破線で示すように、音響管40の開口端40a近傍に、不織布等の吸音材45を配設することで、吸音効果を高めて、音響管40の共振周波数を微調整することができ、図16(a)(b)(c)の900〜1000Hz付近で発生している音圧レベルの落ち込みを抑制して、音圧レベルを上げることができる。この吸音材45は、微調整の度合によって、後気室Br内または音響管40内の各所に配置すればよい。
また、音響管40の断面形状は矩形に限定されず、円、楕円、多角形等の形状でもよく、さらに1つの音響管40で異なる形状の断面形状を連続して形成してもよい。(例えば、音響管40の前半分の断面形状を円とし、後ろ半分の断面形状を矩形とする)。
また、音響管の形態として、図17の概略図のようにハウジングA2の外部からチューブ状の音響管41を後気室Brに差し込む形態でもよい。この音響管41にウレタンチューブ等を用いると、全長Lpを任意に設定、変更することができる。
(実施形態2)
実施形態1ではハウジング内に音響管を1つ設けていたが、本実施形態では図18の概略図に示すように、ハウジングA3の後気室Brに複数の音響管42,43,44(本実施形態では3つ)を設けており、音響管42,43,44を互いに異なる長さに設定すれば、その共振周波数も互いに異なる周波数となる。したがって、スピーカSPの音圧レベルを、複数の周波数で増大させることができ、音響管42,43,44の各全長を適宜設定することで、所望の音質および効率を得ることができる。
また、音響管42,43,44の長さを同一にすれば、所定周波数の音圧レベルを大幅に向上させることができる。
(a)(b)(c)実施形態1の構成を示す図である。 同上の斜視図である。 同上の一部分解図である。 スピーカの放射音圧特性を示す図である。 理想的なバッフル板を用いた場合の構成を示す一部側面断面図である。 スピーカ装置の振動モデルを示す図である。 スピーカ装置の等価回路を示す図である。 スピーカ装置の機械系等価回路を示す図である。 後気室前方のゾーンにおけるスピーカの周波数特性を示す図である。 音響管の作用を理論説明するための構成を示す図である。 音響管の管壁の粘性によって粒子速度が影響を受ける範囲の周波数特性を示す図である。 音響管内の音場を示す図である。 減衰定数の周波数特性を示す図である。 管内音波の速度の周波数特性を示す図である。 音響管の比音響インピーダンスの周波数特性を示す図である。 音響管を設けた場合の放射音圧特性を示す図である。 同上の別のハウジングを示す側面断面図である。 実施形態2のハウジングを示す側面断面図である。
符号の説明
A1 ハウジング
SP スピーカ
Bf 前気室
Br 後気室
40 音響管
40a 開口端
40b 閉塞端
本発明は、通話装置に関するものである。
本発明は、上記事由に鑑みてなされたものであり、その目的は、音声帯域の音質および効率の向上を実現可能な小型の通話装置を提供することにある。
請求項1の発明は、双方向の通話が可能な通話装置において、ハウジングと、ハウジングに取り付けられて、一方面側からハウジング外へ音声情報を出力するスピーカと、ハウジング内でスピーカの他方面側に形成された空間である後気室と、一端を開口し他端を閉塞した中空に形成され、開口を介して後気室内に連通した音響管と、音声を集音するマイクロホンと、スピーカおよびマイクロホンとの間で音声信号の授受を行う音声処理部とを備え、音響管は、後気室の容量が小さいことによって低下するスピーカ出力の所定周波数の音圧レベルを増大させるために、増大させる周波数の1/4波長に基づく長さに設定されることを特徴とする。
この発明によれば、音響管によって、スピーカの最低共振周波数が低周波数側に移行し、さらにはスピーカの音圧レベルが増加するので、後気室が小容量であっても音声帯域の音質および効率が向上する。すなわち、音声帯域の音質および効率の向上を実現可能な小型の通話装置を提供することができる。
この発明によれば、後気室に音声帯域の定在波が発生しない小型の通話装置となる。
以上説明したように、本発明では、音声帯域の音質および効率の向上を実現可能な小型の通話装置を提供することができるという効果がある。
(実施形態1)
本発明の一形態として、インターホンの通話装置を例に挙げて以下説明する。
請求項1の発明は、双方向の通話が可能な通話装置において、ハウジングと、ハウジングに取り付けられて、一方面側からハウジング外へ音声情報を出力するスピーカと、ハウジング内でスピーカの他方面側に形成された空間である後気室と、一端を開口し他端を閉塞した中空に形成され、開口を介して後気室内に連通した音響管と、音声を集音するマイクロホンと、スピーカおよびマイクロホンとの間で音声信号の授受を行う音声処理部とを備え、音響管は、後気室の容量が小さいことによって低下するスピーカ出力の所定周波数の音圧レベルを増大させるために、増大させる周波数の1/4波長に基づく長さに設定され、音響管の内径は、音響管の管壁の粘性による減衰を考慮した音響インピーダンスに基づいて設定されることを特徴とする。

Claims (3)

  1. ハウジングと、
    ハウジングに取り付けられて、一方面側からハウジング外へ音声情報を出力するスピーカと、
    ハウジング内でスピーカの他方面側に形成された空間である後気室と、
    一端を開口し他端を閉塞した中空に形成され、開口を介して後気室内に連通した音響管とを備え、
    音響管は、後気室の容量が小さいことによって低下するスピーカ出力の所定周波数の音圧レベルを増大させるために、増大させる周波数の1/4波長に基づく長さに設定されることを特徴とするスピーカ装置。
  2. 前記後気室を包囲する各面は、互いに対向する面間の距離が50mm以下に形成されることを特徴とする請求項1記載のスピーカ装置。
  3. 前記音響管は、前記後気室を包囲する各面のうち、複数の面に亘って連続して形成されることを特徴とすることを特徴とする請求項1または2記載のスピーカ装置。
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