JP6034692B2 - 複合材料およびその製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、プリフォームにマトリックスを含浸させた複合材料およびその製造方法に関する。
従来、炭化ホウ素の強化材と金属ケイ素のマトリックスとからなる炭化ホウ素複合材料が知られている。例えば、特許文献1記載の炭化ホウ素複合材料は、炭化ホウ素充填材にケイ素成分および反応性炭素質成分を有する溶浸材を溶浸させることで製造されている。溶浸材は、充填材料とその場で形成された炭化ケイ素との間に残った空隙を充填するのに十分な量が提供され、炭化ホウ素により形成される多孔質の塊または予備成形品における相互接続された孔に溶浸する。
特表2007−513854号公報
しかしながら、このような炭化ホウ素複合材料では、溶融材料の浸透時にはクラックやメタルベインを誘発し、これが一因となって割れが起こりやすい。このような割れは特に一番弱い部分に生じる。
炭化ホウ素は硬度が高く、被粉砕性に著しく劣る。そのため体積粉砕が進みにくく、表面粉砕で形成される扁平な粒子の割合が、他のセラミック粒子に比べ多い。例えば締め固め充填させてプリフォームを形成しても、プリフォームには粗大な空隙が残りやすい。その結果、粗大な空隙はプリフォームの強度低下につながり、炭化ホウ素プリフォームの強度は、他のセラミックプリフォームの強度に比べ低くなりやすい。炭化ホウ素粒子の球形度が、炭化ケイ素並みに高ければ、空隙径を小さくすることができるが、そのような粒種の炭化ホウ素の粉末は市販されていない。
特に、バインダで炭化ホウ素の成形体を作製し、これを炭化させて脱脂して得られたプリフォームでは、粗大な空隙による強度低下の影響は更に大きい。このようなプリフォームの強度低下により、浸透までの形状保持力が低下し、浸透後のクラックが誘発される。
本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであり、マトリックス浸透時のクラックやメタルベインを防ぎ、割れを生じ難くした複合材料およびその製造方法を提供することを目的とする。
(1)上記の目的を達成するため、本発明の複合材料は、プリフォームにマトリックスを含浸させた複合材料であって、炭化ホウ素の強化材で形成された多孔質体および炭化ケイ素で形成されたシート状のセラミックス繊維織物を有するプリフォームと、金属ケイ素を含み、前記プリフォームの空隙に充填されたマトリックスと、を備えることを特徴としている。
このように、本発明の複合材料は、プリフォームがセラミック繊維織物を有し、その強度が向上しているため、マトリックス浸透時のクラックやメタルベインが少なく、割れが生じ難い。また、セラミック繊維織物は、金属ケイ素との濡れ性が高い材質で非酸化物系繊維として形成されている。その結果、作製時に溶浸が阻害されず、割れを生じ難くすることができる。
(2)また、本発明の複合材料は、前記セラミック繊維織物が、前記多孔質体の主面に平行な方向に広がり、中心に対して対称に配置されていることを特徴としている。これにより、マトリックス含浸後の収縮が偏らず、クラックを防止し、強度を向上できる。
(3)また、本発明の複合材料の製造方法は、プリフォームにマトリックスを含浸させた複合材料の製造方法であって、炭化ホウ素の強化材で形成された多孔質体および炭化ケイ素で形成されたシート状のセラミックス繊維織物によりプリフォームを作製する工程と、金属ケイ素を含むマトリックスを前記プリフォームに含浸させて、前記プリフォームの空隙に充填する工程と、を含むことを特徴としている。
このように、セラミック繊維織物を含むプリフォームを用いることで、破断に対する抗力を発生させ、プリフォームの強度を向上させることができる。そして、プリフォームに浸透までの形状の保持力を与え、浸透後のクラックを防止することができる。
(4)また、本発明の複合材料の製造方法は、前記多孔質体で前記セラミック繊維織物を挟んで作製した成形体を脱脂してプリフォームを作製することを特徴としている。これにより、プリフォームの強度を向上させることができ、複合材料の割れを生じ難くすることができる。
(5)また、本発明の複合材料の製造方法は、前記多孔質体の主面上に前記セラミック繊維織物を配置することでプリフォームを作製することを特徴としている。これにより、強度を向上させたプリフォームを容易に準備することができる。また、プリフォームの成形体および脱脂体の強度を向上させ、金属ケイ素の含浸後のクラックを防止できる。
(6)また、本発明の複合材料の製造方法は、前記セラミック繊維織物を前記多孔質体の両主面に配置することを特徴としている。これにより、一方の主面における冷却時の収縮量を、反対側の主面における冷却時の収縮量と均衡させることができる。そして、冷却時における収縮量差の発生を回避し、クラックを防止できる。
(7)また、本発明の複合材料の製造方法は、前記プリフォームが、前記セラミック繊維織物を前記多孔質体に対し重量比で5%以上加えて作製することを特徴としている。これにより、プリフォームの強度が向上し、金属ケイ素の含浸後のクラックを確実に防止できる。なお、セラミック繊維織物を多孔質体に挟んで加えてもよいし、両主面に配置して加えてもよい。
本発明によれば、プリフォームがセラミック繊維織物を有するため、破断に対する抗力が発生し、マトリックスの浸透時に生じるクラックを原因とする強度低下を防止できる。
本発明に係る複合材料を示す模式断面図である。 プリフォームの作製方法の一例を示した模式図である。 本発明に係る複合材料を示す模式断面図である。 本発明に係る複合材料を示す模式断面図である。 冷却時の収縮量差によるクラックの発生を示す模式図である。 本発明に係る複合材料を示す模式断面図である。 (a)、(b)実施例および比較例についてそれぞれ製造の条件および結果を示す表である。
以下に、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。以下、特にことわらない限り本発明に係る複合材料を単に「複合材料」と呼ぶ。
[第1の実施形態]
(複合材料10の構成)
図1は、複合材料10を示す模式断面図である。複合材料10は、プリフォーム11とマトリックス12とから構成され、プリフォーム11の空隙にマトリックス12が充填されている。このような構成は、プリフォーム11にマトリックス12が含浸されることで形成される。
プリフォーム11は、炭化ホウ素(BC、ボロンカーバイド)の強化材により形成される多孔質体13および多孔質体13の主面に平行な方向に広がったシート状のセラミック繊維織物14を有している。なお、主面とは、最も広い面を指す。シート状のセラミック繊維織物14は、2つの多孔質体13に挟まれ、複合材料10の中央に位置している。マトリックス12は、主に金属ケイ素で構成されており、若干の不純物を含んでいてもよい。
セラミック繊維織物14を形成する繊維の材質は、強度向上の目的から、市販で存在するセラミック繊維であれば、制約はない。ただし、金属ケイ素を溶浸させる場合、酸化物系のセラミック繊維は溶浸を阻害する可能性があるため、炭化ケイ素等の非酸化物系繊維が望ましい。また非酸化物系繊維であっても、例えば窒化ホウ素等の材質は、好ましくない。このような溶浸させる金属ケイ素との濡れ性の極端に低い材質は、金属ケイ素の溶浸を阻害する可能性があるためである。また、セラミック繊維織物としては、フェルトが好ましいが、所期の目的を達成できれば種類は限定されず、織布またはテープ等であってもよい。
複合材料10は、プリフォーム11に予めセラミック繊維織物14が含まれることで、破断に対する抗力が発生し、その強度が向上されている。これにより、浸透によるクラックを原因とする強度低下を防止できる。
(複合材料10の製造方法)
上記のように構成される複合材料10の製造方法を説明する。まず、炭化ホウ素の原料粉を準備する。そして、準備した炭化ホウ素粉末を用いてプリフォーム11を作製する。プリフォーム11は、炭化ホウ素粉末にバインダーを加えて成形し、脱脂することで作製できる。
成形する際には、炭化ホウ素粉末を加圧しつつ加熱し、プリフォーム11を作製してもよい。例えば、カーボン治具により炭化ホウ素粉末を加圧しながら、ヒータにより加熱することでプリフォーム11の作製が可能である。
図2は、プリフォーム11の作製方法の一例を示した模式図である。例えば図2に示す方法により、プリフォーム11の内部に、予めセラミック繊維織物14を含ませることができる。この方法では、バインダーを加えた後の炭化ホウ素粉末を、予め2分割し、2分割した片方の炭化ホウ素粉末15を成形型17に投入した後、成形型に投入した炭化ホウ素粉末の上にセラミック繊維織物14を配置し、その後に2分割した残りの炭化ホウ素粉末16を成形型に投入し、成形する。その結果、複合材料10に用いられるプリフォーム11を得ることができる。
マトリックス12となる溶融材料を含浸するプリフォーム11(脱脂体)の3点曲げ強度は、20MPa以上であることが好ましい。このように十分な強度を有するプリフォーム11を用いることで、マトリックス12を浸透させたときのクラックの発生を防止することができる。
このようにして形成されたプリフォーム11を容器内に設置する。容器は、有底開口の容器であり、溶融金属を保持して、設置されたプリフォーム11へ浸透させるのに用いられる。プリフォーム11は、事前に準備された複合材料のセッター上に設置してもよい。
一方、金属ケイ素を含む溶融材料を準備する。その際には、炭化ホウ素含有材料を溶融金属ケイ素に混合し事前に溶解(ドープ)させて準備することもできる。炭化ホウ素含有材料には、複合材料の端材を用いることができる。また、炭化ホウ素含有材料は、塊状でも、粉末でもよい。
このようにしてプリフォーム11に、金属ケイ素を含む溶融材料をマトリックス12として含浸させる。たとえば1500℃の温度で6時間以下金属ケイ素を含浸する。含浸工程を行なった後は、容器内を自然冷却し、室温まで冷却された複合材料を容器から分離して取り出す。このようにして得られた複合材料は、加工され例えば耐衝撃材料として用いることができる。
[第2の実施形態]
(複合材料20、30の構成)
セラミック繊維織物14は、多孔質体13の表面に貼り付けられていてもよい。図3は、セラミック繊維織物14が表面に配置された複合材料20を示す模式断面図である。図3に示す複合材料20は、炭化ホウ素の多孔質体13を予め作製し、多孔質体13の両主面にシート状のセラミック繊維織物14を貼り付けて製造されている。そのためセラミック繊維織物14がプリフォーム21の内部ではなく表面に配置されている。製造工程に起因する特徴が複合材料10の場合と異なるが、得られる効果は同様である。
ただし、セラミック繊維織物14は、複合材料20ように両主面に配置させることが好ましい。図4は、セラミック繊維織物14を片方の主面にのみ設けた複合材料30を示す模式断面図である。複合材料30に示すように、セラミック繊維織物14を片方の主面のみに配置させてプリフォーム31を形成する場合、プリフォーム強度は両主面に配置させる場合と同程度に高くなる。
しかしながら、セラミック繊維織物14と多孔質体13とで熱膨張係数が異なる場合、浸透後の冷却中、クラックの原因となる。図5は、冷却時の収縮量差によるクラックの発生を示す模式図である。例えば、多孔質体13に炭化ホウ素の強化材が用いられ、セラミック繊維織物14に炭化ケイ素が用いられる場合、セラミック繊維織物14と多孔質体13(強化材)との間に熱膨張率の差が生じる。
図5に示す冷却時の収縮量差によるクラックを回避する観点からは、セラミック繊維織物は、多孔質体の主面に平行な方向に広がり、中心に対して対称に配置されていることが好ましい。
炭化ケイ素の熱膨張率は2.9×10−6/Kであるのに対し、炭化ホウ素の熱膨張率は4.5×10−6/K(25℃〜200℃、以下同じ)である。このような場合には、図5に示すようにセラミック繊維織物14を貼り付けた面での冷却時の収縮量54に比べて、反対側の面での冷却時の収縮量55の方が大きくなり、冷却時の収縮量差により応力が発生し、クラック56を誘発する。なお、上記の熱膨張率は線膨張率を指し、以下の説明でも同様である。
なお、複合材料20のプリフォーム21は、炭化ホウ素粉末を予め2分割する代わりに、セラミック繊維織物14の配置を分割して作製できる。すなわち、粉末を成形型17に投入する前にセラミック繊維織物14の半数を成形型17に予め配置し、粉末を成形型17に投入し、その後に残り半数のセラミック繊維織物14を、成形型17に投入した粉末の上に配置する。
複合材料30のプリフォーム31は、予めセラミック繊維織物14を配置して成形型17に炭化ホウ素粉末を投入し、その粉末の上にはセラミック繊維織物14を配置しないようにして作製できる。このような方法によって、複合材料30に用いられるプリフォーム31を得ることができる。
(複合材料20、30の製造方法)
多孔質体13を作製し、多孔質体13の作製後に、プリフォーム21の表面にセラミック繊維織物14を貼り付ける。このような方法によれば、複合材料20に用いられるプリフォーム21を得ることができる。
貼り付けるセラミック繊維織物14は、多孔質体13の両主面上に、それぞれ同量を配置することが好ましい。両主面上に貼り付ける量や枚数、ないしは厚みが異なる場合、図5に示すように冷却時の収縮量差が生じ、クラックが誘発されるおそれがあるためである。
また、多孔質体13に加えるセラミック繊維織物14の量により、プリフォーム21の強度向上、浸透時のクラック防止効果は変わる。加える量が少ないと効果は不十分となる。浸透後のクラックを防止する程度に十分なプリフォーム21の強度を向上させるには、多孔質体13の重量に対して重量比で5%以上のセラミック繊維織物14を加えることが好ましい。なお、多孔質体13の重量とは、バインダー分を除いた重量、すなわち多孔質体13における炭化ホウ素原料粉末のみに相当する重量を指す。また、セラミック繊維織物14を多孔質体13に加えるとは、セラミック繊維織物14を多孔質体13に挟むことおよび多孔質体13両主面に配置することを含む。
上記のような製造方法以外にも、図1に示すように予めセラミック繊維織物14を多孔質体13に挟んでプリフォーム21を作製した後、図6に示すように、プリフォーム21の主面にセラミック繊維織物14を張り付けることもできる。このような製造方法により、さらに強度の高いプリフォーム61を得ることができる。
プリフォーム21の表面にセラミック繊維織物14を貼り付けるときの接着手段は、所期の目的が達せられれば、特段限定されない。ただし、接着剤として、含浸を阻害するおそれのある材質は好ましくなく、また金属ケイ素含浸は1500℃前後の高温、かつ真空下となるので、そのような環境でも強度を保つものが好ましい。このような条件を満たす材質には、例えばカーボン接着剤が挙げられる。
[実施例、比較例]
実施例および比較例として、下記に示す条件にて複合材料を作製した。図6(a)、(b)は、それぞれ製造の条件および結果を示す表である。
(作製条件)
まず、各配合の炭化ホウ素の原料粉末を準備した。原料粉末は、炭化ホウ素を粉砕して粉末にし、得られた粉末を篩分け法で粒度に応じて分け、そのうち、F240の粒度を用いた。粒度はレーザ回折により決定してdp50を測定した。
次に、セラミック繊維織物を準備した。セラミック繊維織物としては、次の3種類を準備した。
(S1)原糸直径10μm、引張り強度2.8GPa、目付け230g/m、厚み10mmの炭化ケイ素フェルト
(S2)原糸直径14μm、引張り強度2.9GPa、目付け380g/m、厚み0.35mmの炭化ケイ素織布
(S3)市販のアルミナフェルト
準備した各々の繊維織物を、成形する寸法に合わせて切断し、準備した。切断は挟みで行なった。なお、比較例1として、セラミック繊維織物を添加せず、炭化ホウ素粉末のみを用いた試料も同時に作製した。
次に、炭化ホウ素にバインダーを加え、20mm□×50mmの矩形体の成形体を作製し、成形体の強度を測定した。強度は、3点曲げ強度で測定した。
成形体を600℃で脱脂してプリフォーム(脱脂体)を作製した後、プリフォームの強度を測定し、成形体と同様に3点曲げ強度を測定した。孔径の最大径は顕微鏡観察により測定した。孔径の平均値N2は、吸着により細孔径測定を行ない、測定した。
そして、プリフォームおよびセラミック繊維織物を配置し、1500℃で金属ケイ素を含浸させた。含浸体は、冷却して取り出し、必要な加工を行なって複合材料の矩形体を得た。そして、浸透後の複合材料の性状を確認した。なお、実施例1〜10および比較例1〜2の試料作製条件は、各々下記の通りとした。
実施例1:
セラミック繊維織物として(S1)の炭化ケイ素フェルトを用い、切断した炭化ケイ素フェルト10枚を、プリフォームの中央に配置し(図1参照)、これらを一緒に鋳込んで成形体を作製した(図2参照)。プリフォームを構成する多孔質体(バインダー分を除いた重量、すなわち多孔質体における炭化ホウ素原料粉末のみに相当する重量。以下同じ)に対するセラミック繊維織物の重量比は、7.9%であった。
実施例2:
セラミック繊維織物として(S1)の炭化ケイ素フェルトを用い、切断した炭化ケイ素フェルト10枚のうち、半数である5枚をプリフォームの下面に、5枚を上面に配置し(図3参照)、これらを一緒に鋳込んで成形体を作製した。プリフォームを構成する多孔質体に対するセラミック繊維織物の重量比は、7.6%であった。
実施例3:
セラミック繊維織物として(S1)の炭化ケイ素フェルトを用い、成形体を作製した後、カーボン接着剤で成形体表面に炭化ケイ素フェルトを貼り付け、実施例2と同様の構成とした(図3参照)。プリフォームを構成する多孔質体に対するセラミック繊維織物の重量比は、7.8%であった。
実施例4:
セラミック繊維織物として(S1)の炭化ケイ素フェルトを用い、切断した炭化ケイ素フェルト10枚のうち、全数をプリフォームの下面に配置し(図4参照)、これらを一緒に鋳込んで成形体を作製した。プリフォームを構成する多孔質体に対するセラミック繊維織物の重量比は、7.7%であった。
実施例5:
セラミック繊維織物として(S1)の炭化ケイ素フェルトを用い、成形体を作製した後、カーボン接着剤で炭化ケイ素フェルトを成形体表面に貼り付け、実施例4と同様の構成とした(図4参照)。プリフォームを構成する多孔質体に対するセラミック繊維織物の重量比は、7.5%であった。
実施例6:
セラミック繊維織物として(S1)の炭化ケイ素フェルト7枚を用い、実施例1と同様の方法で成形体を作製した。プリフォームを構成する多孔質体に対するセラミック繊維織物の重量比は、5.4%であった。
実施例7:
セラミック繊維織物として(S1)の炭化ケイ素フェルト5枚を用い、実施例1と同様の方法で成形体を作製した。プリフォームを構成する多孔質体に対するセラミック繊維織物の重量比は、3.7%であった。
実施例8:
セラミック繊維織物として(S1)の炭化ケイ素フェルト3枚を用い、実施例1と同様の方法で成形体を作製した。プリフォームを構成する多孔質体に対するセラミック繊維織物の重量比は、2.2%であった。
実施例9:
セラミック繊維織物として(S2)の炭化ケイ素織布を用い、実施例1と同様の方法で成形体を作製した。織布は、実施例1で用いた炭化ケイ素フェルト10枚に対し、重量がほぼ同じになるように準備し、6枚を用いた。プリフォームを構成する多孔質体に対するセラミック繊維織物の重量比は、7.6%であった。
実施例10:
セラミック繊維織物として(S2)の炭化ケイ素織布を用い、実施例1と同様の方法で成形体を作製した。織布は、実施例1で用いた炭化ケイ素フェルト10枚に対し、重量がほぼ半分になるように準備し、3枚を用いた。プリフォームを構成する多孔質体に対するセラミック繊維織物の重量比は、3.8%であった。
比較例1:
セラミック繊維織物を使用せず、炭化ホウ素粉末のみを用いて成形体を作製した。
比較例2:
セラミック繊維織物として炭化ケイ素でなく、市販のアルミナ繊維織物を用いたこと以外は、実施例1と同様に複合材料を作製した。
(実験結果)
図7(b)に示すように、セラミック繊維織物を中央または上下面に配置し、かつプリフォーム(脱脂体)の強度が20MPa以上であることが、クラックを回避できる条件であることが分かった。比較例1のようにセラミック繊維織物を使用しない場合、プリフォームの強度が20MPa未満となり金属ケイ素の含浸後にクラックが生じる。
実施例1で、炭化ケイ素フェルトを鋳込んで成形し、2つの多孔質体で炭化ケイ素フェルトを挟んだ成形体およびその脱脂体であるプリフォームの強度とも、フェルトを使用しない比較例1に比べ、向上していることが分かった。実施例1には、金属ケイ素の含浸後にクラックが生じなかった。また、実施例1の複合材料の試験片を切り出し、JISに従い3点曲げ強度を測定したところ、強度が5〜30%程度向上していることが分かった。
実施例2でも、炭化ケイ素フェルトを多孔質体の両主面上に配置した成形体およびその脱脂体であるプリフォームの強度が向上し、金属ケイ素の含浸後にクラックが生じなかった。また、実施例1と比較し、成形体およびその脱脂体の強度は同程度であった。
実施例3では、炭化ケイ素フェルトをカーボン接着剤で成形体表面に貼り付けた成形体およびその脱脂体であるプリフォームの強度が向上し、金属ケイ素の含浸後にクラックが生じなかった。実施例2と比較したところ、成形体および脱脂体の強度は同程度であった。
以上の実施例1〜3の結果より、プリフォームの強度向上効果、およびクラックの抑制効果は、セラミックフェルトの配置場所(中央/表面の表面)、配置方法(成形時鋳込み/プリフォームに貼付)によらず同等であることが分かる。これらの場合では、多孔質体の主面に平行な方向に広がったシート状のセラミックフェルトを中央について対称に配置している。
一方、実施例4、5として、炭化ケイ素フェルトを下面のみに配置したものでも、プリフォーム成形体およびその脱脂体の強度とも、フェルトを使用しない比較例1に比べ向上しており、実施例1〜3と同程度となっている。しかし、金属ケイ素の含浸後のクラックは、発生率は減少したものの生じており、図5で示すような、冷却時の収縮量差によるクラックが誘発されたことが分かる。
実施例6では、炭化ケイ素フェルトの枚数を10枚から7枚に減らし、実施例1と同様に炭化ケイ素フェルトを鋳込んで成形した。その結果、2つの多孔質体で炭化ケイ素フェルトを挟んだ成形体およびその脱脂体であるプリフォームの強度とも、実施例1と比較すると低下していたが、フェルトを使用しない比較例1に比べれば向上していることが分かった。実施例6では、金属ケイ素の含浸後にクラックが生じなかった。
実施例7では、炭化ケイ素フェルトの枚数を10枚から5枚に減らし、実施例1と同様に炭化ケイ素フェルトを鋳込んで成形した。その結果、2つの多孔質体で炭化ケイ素フェルトを挟んだ成形体およびその脱脂体であるプリフォームの強度とも、実施例1、および実施例6と比較すると低下していたが、フェルトを使用しない比較例1に比べれば向上していることが分かった。実施例7では、金属ケイ素の含浸後のクラックは、発生率は減少したものの生じていた。
実施例8では、炭化ケイ素フェルトの枚数を10枚から3枚に減らし、実施例1と同様に炭化ケイ素フェルトを鋳込んで成形した。その結果、2つの多孔質体で炭化ケイ素フェルトを挟んだ成形体およびその脱脂体であるプリフォームの強度とも、実施例1、実施例6、および実施例7と比較すると低下していたが、フェルトを使用しない比較例1に比べれば向上していることが分かった。実施例8では、金属ケイ素の含浸後のクラックは、発生率は減少したものの生じていた。
以上の実施例6〜8の結果より、プリフォームの強度向上効果は炭化ケイ素フェルトの枚数とともに減少することが分かる。多孔質体に対するセラミック繊維織物の重量比が5.4%である実施例6ではクラックが発生しなかったが、重量比3.7%の実施例7、および重量比2.2%の実施例8ではクラックが発生した。このことから、セラミック繊維織物を、プリフォームを構成する多孔質体に対し、セラミック繊維織物を中央または上下面に配置し、かつ重量比で5%以上含ませることが、クラックを回避する上で望ましい条件であることが分かる。
実施例9では、炭化ケイ素フェルトの代わりに、重量が同等となる炭化ケイ素織布を用い、実施例1と同様に炭化ケイ素フェルトを鋳込んで成形した。その結果、2つの多孔質体で炭化ケイ素フェルトを挟んだ成形体およびその脱脂体であるプリフォームの強度とも、フェルトを使用しない比較例1に比べ、向上していることが分かった。実施例9には、金属ケイ素の含浸後にクラックが生じなかった。また、実施例1と比較し、成形体およびその脱脂体の強度は同程度であった。
実施例10では、炭化ケイ素フェルトの代わりに、重量が実施例1の約半分となる炭化ケイ素織布を用い、実施例1と同様に炭化ケイ素フェルトを鋳込んで成形した。その結果、2つの多孔質体で炭化ケイ素フェルトを挟んだ成形体およびその脱脂体であるプリフォームの強度とも、実施例1および実施例9と比較すると低下していたが、フェルトを使用しない比較例1に比べれば向上していることが分かった。実施例10では、金属ケイ素の含浸後のクラックは、発生率は減少したものの生じていた。
以上の実施例9〜10の結果より、プリフォームの強度向上効果およびクラックの抑制効果は、セラミック繊維織物の種類(フェルト/織布)によらず同等であることが分かる。一方、プリフォームを構成する多孔質体に対するセラミック繊維織物の重量比が5%よりも多い実施例9ではクラックが発生しなかったが、重量比が5%よりも少ない実施例10ではクラックが発生した。したがって、セラミック織布であっても、セラミックフェルトと同様に、クラックを回避するためには、セラミック繊維織物を中央または上下面に配置し、かつ多孔質体に対し重量比で5%以上を用いることが望ましい条件であることが分かる。
比較例2として、アルミナフェルトを使用したものでは、金属ケイ素の含浸後に未含浸が発生した。アルミナが酸化物系であることに加え、アルミナと金属ケイ素とは濡れ性が低いことから、金属ケイ素の含浸が阻害されたためと考えられる。なお、成形体およびその脱脂体であるプリフォームの強度とも、セラミック繊維織物を配置しない比較例1に比べると向上しており、プリフォームの強度はクラックを回避できる20MPa以上には到達していた。
以上のように、炭化ケイ素繊維織物がプリフォームに含まれた複合材料では、成形体およびその脱脂体の強度とも向上し、それにより、金属ケイ素の含浸後にクラックの発生を防止することができることが実証された。
10 複合材料
11 プリフォーム
12 マトリックス
13 多孔質体
14 セラミック繊維織物
15 片方の炭化ホウ素粉末
16 残りの炭化ホウ素粉末
17 成形型
20、30、60 複合材料
21、31、61 プリフォーム
54 セラミック繊維織物側の収縮量
55 反対側の収縮量
56 クラック

Claims (7)

  1. プリフォームにマトリックスを含浸させた複合材料であって、
    炭化ホウ素の強化材で形成された多孔質体および炭化ケイ素で形成されたシート状のセラミックス繊維織物を有するプリフォームと、
    金属ケイ素を含み、前記プリフォームの空隙に充填されたマトリックスと、を備えることを特徴とする複合材料。
  2. 前記セラミック繊維織物は、前記多孔質体の主面に平行な方向に広がり、中心に対して対称に配置されていることを特徴とする請求項1記載の複合材料。
  3. プリフォームにマトリックスを含浸させた複合材料の製造方法であって、
    炭化ホウ素の強化材で形成された多孔質体および炭化ケイ素で形成されたシート状のセラミックス繊維織物によりプリフォームを作製する工程と、
    金属ケイ素を含むマトリックスを前記プリフォームに含浸させて、前記プリフォームの空隙に充填する工程と、を含むことを特徴とする複合材料の製造方法。
  4. 前記多孔質体で前記セラミック繊維織物を挟んで作製した成形体を脱脂してプリフォームを作製することを特徴とする請求項3記載の複合材料の製造方法。
  5. 前記多孔質体の主面上に前記セラミック繊維織物を配置することでプリフォームを作製することを特徴とする請求項3記載の複合材料の製造方法。
  6. 前記セラミック繊維織物を前記多孔質体の両主面に配置することを特徴とする請求項5に記載の複合材料の製造方法。
  7. 前記プリフォームは、前記セラミック繊維織物を前記多孔質体に対し重量比で5%以上加えて作製することを特徴とする請求項4または請求項6記載の複合材料の製造方法。
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