図1は、本発明の一実施例における炭酸泉生成装置10の構成の概要を説明する図である。図1に示す様に、本実施例の炭酸泉生成装置10は二酸化炭素気泡を水中に溶解するための気泡溶解流路12と、二酸化炭素気泡を水中に注入するための二酸化炭素生成部20および気泡注入部30とを有している。
具体的には、例えば水道に接続された注水管部40から注水された水は、後述する三方弁としての選択部48により、第1供給部42および第2供給部44のいずれか一方に選択的に流通させられるか、あるいは遮断される。第1供給部42に通水された場合、後述する二酸化炭素生成部20において原料物質としてのタブレット24と反応させられて二酸化炭素を生じることとなる。発生した二酸化炭素はそのまま水中に気泡として混入した状態で、三方弁としての生成切換部46により気泡溶解流路12に流通させられる。
切換生成部46は、第2供給部44と気泡溶解流路12の終端に設けられた第1吐出部18、もしくは、気泡溶解流路12を介さずに吐出される第2吐出部50のいずれか一方とを選択的に連通するか、あるいは遮断するように設けられている。選択部48により水が第2供給部44に流通させられるとともに、生成切換部46により第1吐出部18へ水が流される場合には、後述する気泡注入部30により気泡が水に注入される。また、選択部48により水が第2供給部44に流通させられるとともに、生成切換部46により第2吐出部50へ水が流される場合には、炭酸泉が生成されることなく、注水管部40から注水された水がそのまま第2吐出部50から排出される。なお、第2供給部44を流れる水が逆流することにより二酸化炭素生成部20に入り込むのを防ぐため、二酸化炭素供給部20から排出された水の配管においては、第2供給部44と合流する付近に逆止弁54が設けられている。
このうち、気泡溶解流路12は後述する二酸化炭素生成部20あるいは気泡注入部30によって二酸化炭素気泡が注入された水が流通させられることで、その二酸化炭素気泡が水中に溶解するための流路である。すなわち、二酸化炭素気泡はPlug Flow方式(管型反応方式)により溶解させられる。気泡溶解流路12においては、その気泡溶解流路12を流れる水の流速におけるその水中の二酸化炭素気泡の粘性抵抗が、その気泡溶解流路12における二酸化炭素気泡が最大径となった場合、すなわちその気泡溶解流路12の有効径となった場合のその二酸化炭素気泡の浮力以上となる様に、気泡溶解流路12の有効径が定められている。このようにすれば、気泡溶解流路12内において二酸化炭素気泡が滞留したり二酸化炭素気泡の流れが不安定になることが防止される。この結果、好適に水に二酸化炭素が溶解することができ、必要な濃度の炭酸泉が得られる。なお、以下において水と表現する場合においては、特に断りのない場合を除き、二酸化炭素気泡が注入された水を含む。
具体的には、アルキメデスの原理より、浮力Fは次式(1)により得られる。
ここで、D
B は気泡の直径の最大値[m]、ρは水の密度[kg/m
3 ]、gは重力加速度[m・s
-2]である。
一方、気泡溶解流路12を流れる水の流量などを考慮すると、気泡溶解流路12を流通する水は乱流であるとされ、その粘性抵抗Rは実験値による近似式として次式(2)のように得られる。
ここでC
D は気泡の受ける抵抗係数であり、
である。
Reは無次元数レイノルズ数であって、Re=Dvρ/μであり、
Dは気泡溶解流路12の有効径[m]、vは水の流速[m/s]、μは水の粘度[Pa・s]である。
ここで、二酸化炭素気泡の直径が最大、すなわち気泡溶解流路12の有効径となった場合に浮力Fと粘性抵抗Rとがつりあうとすれば、
であり、これを整理すれば、
となる。流速vは流量Hを気泡溶解流路12の断面積(通過面積)で割ったものであるから、
であるので、上記(4)式を流量Hと気泡の直径D
B との関係として解析的に解くと図2のような関係が得られる。このようにして得られた関係から、炭酸泉生成装置10に必要とされる水の流量H[m
3 /s]に基づいて、気泡溶解流路12の有効径D[m]が、二酸化炭素気泡の直径D
B の最大値に基づいて定められればよい。具体的には、図2における曲線よりも上の領域になるように、気泡溶解流路12の有効径が設定されればよい。図2の例において、水が例えば流量H=10L/minとなるように気泡溶解流路12を流通する場合、気泡溶解流路12の有効径Dは約16.5mm以下とされることがわかる。
なお、本実施例において、管の有効径とは、管の断面が円状である場合にはその円の直径に対応し、それ以外の形状である場合には、断面積が等しい円の直径に対応する概念である。
一方、本実施例においては、水に注入された二酸化炭素気泡はPlug Flow方式により溶解されるので、気泡溶解流路12の長さは、二酸化炭素気泡を注入された水が気泡溶解流路12を流通する時間(通過時間)が、所定の(所望の)二酸化炭素の溶解濃度を得るために必要な時間以上となる様に定められる。ここで、前記通過時間T[s]は気泡溶解流路12の長さL[m]とそれを流れる水の流速vとの関係として
であり、これをLについて解けば
となる。従って、気泡溶解流路12が細いほど、すなわち気泡溶解流路12の有効径Dが小さいほど気泡溶解流路12の長さLを長くしなければならない関係にある。具体的には、本件発明者らの実験によれば、流量H=8L/min、気泡溶解流路12の有効径Dが12mmである場合には、例えば所望の二酸化炭素濃度として1000ppmの炭酸泉を得るための通過時間Tは約4秒であるので、気泡溶解流路12の長さLは5m程度以上必要である。なお、本明細書においては水は水もしくは湯を含む概念として用いられている。また、炭酸泉とは二酸化炭素が溶解した水を広く含む概念として用いられており、例えば250ppm以上の二酸化炭素濃度を要求する温泉法の定める炭酸泉に限定されるものではない。なお、気泡溶解流路12における水の流れが完全乱流とみなすことができる場合、気泡の抵抗係数C
D は、上述の(3)式を用いるのに代えてC
D =0.44と近似してもよい。
気泡溶解流路12には、少なくとも1つの絞り部14が設けられており、絞り部14における有効径は絞り部14の設けられていない気泡溶解流路12の有効径よりも小さくなっている。図3は1つの絞り部14を含む気泡溶解流路12の長さ方向、すなわち軸方向の断面図である。
図3に示す様な絞り部14を水が通過する際に、その水に注入された二酸化炭素気泡は細粒化される。そのため、二酸化炭素気泡と水との接触面積が増えるので、溶解時間が短縮されることが期待される。発明者の実験によれば、絞り部14のない部分の有効径d12が12mmである気泡溶解流路12に、有効径d14が8mmである絞り部14を5個配置したところ、1.5m以下の気泡溶解流路12であれば、絞り部14の無い場合に5m必要であった気泡溶解流路12と同じ二酸化炭素の溶解濃度を実現することができることがわかった。すなわち、気泡溶解流路12に絞り部14を設けることにより、気泡溶解流路12の長さを短くすることが可能となる。この気泡溶解流路12の長さは、二酸化炭素気泡と水とが流通させられる場合に、生成される炭酸泉に要求される二酸化炭素濃度まで二酸化炭素が溶解することができる時間だけかけて気泡溶解流路12を通過することができるように設計されている。
ここで、気泡溶解流路12の有効径d12を12mm、気泡溶解流路12を流通する水の流量Hを8L/minとし、絞り部14の有効径d14の大きさを複数異ならせて、気泡溶解流路12の絞り部のない部分と絞り部14との圧力差を計算すると、図4のような関係が得られる。このように、絞り部14の有効径の大小に応じて圧力差が異なることは極めて小さい。従って、水中の二酸化炭素気泡が細粒化するのは、絞り部14と絞り部のない部分との圧力差ではなく、速度差によってもたらされるものと考えられる。
気泡溶解流路12の前記絞り部14よりも下流側には、圧力保持部16が設けられている。この圧力保持部16は、例えば小径あるいはスリット状の開口であり、気泡溶解流路12の終端部が大きく開口することにより、気泡溶解流路12の終端部から内部へ大気が入り、管内の圧力が大気圧まで低下してしまうのを防ぐために設けられる。これにより、気泡溶解流路12内の水の圧力が維持される。
また、絞り部14(絞り部14が複数設けられる場合はそれら絞り部14のうち、気泡溶解流路12の最も下流側、すなわち圧力保持部16側に設けられる絞り部14。以下、最終絞り部14という。)と炭酸泉が吐出される第1吐出口としてのシャワーヘッド18との距離は極力短くすることが望ましい。具体的には、最終絞り部14によって細粒化された炭酸ガス気泡が余剰となり溶け残った場合であっても、該最終絞り部14からシャワーヘッド18までの流路において溶け残った気泡が部分的に溜まったりすることなく、細粒化されたままシャワーヘッド18から吐出されるような距離とされることが望ましい。このようにすれば、該最終絞り部14からシャワーヘッド18までの流路において溶け残った気泡が溜まり大きな気泡となり、その大きな気泡が一度に押し流されてシャワーヘッド18を通過して、ゴボゴボという音が発生したり、あるいは水の流れが滞ったりするという、使用者に不快な感覚を与えることが防止できる。これは、シャワーヘッド18のように炭酸泉が吐出される孔が小さい場合に特に有効である。
この圧力保持部16における小径の開口の大きさは、例えばベルヌーイの定理から近似的に算出される。以下においては、圧力保持部16の有効径の算出方法の一例を説明する。なお、有効径と通過面積とは一対一の関係、すなわち、いずれか一方を決定すれば他方が一意に決定されるので、本明細書においては略同義のものとして説明する。
図5は、本実施例の炭酸泉生成装置10が上水道に接続されたときの態様を模式的に説明する図である。水道管82は水道本管80から分岐されている。また、図示しない蛇口などを介して水道管82と炭酸泉生成装置10が接続されている。すなわち、図5の態様においては、水道管82の水圧によって炭酸泉生成装置10に水が供給される。なお、図5には示さないが、水道管82と炭酸泉生成装置10との間に給湯器が設けられて、炭酸泉生成装置10に温水が供給されてもよい。
このような態様において、水道管82や図示しない給湯器などの流路の損失は無視できないものである。そのため、絞りと流量との関係を表すベルヌーイの定理を適用する場合であっても、摩擦損失すなわち粘性抵抗を考慮する必要がある。なお、炭酸泉生成装置10の絞り部14については、水の流通方向における厚さが極めて薄いので、損失を無視することができる。一般に摩擦損失を考慮したベルヌーイの定理(拡張ベルヌーイの定理)は、ある点における流体の密度をρ、流速をv[m/s]、圧力をP[Pa]、高さをz[m]とすると、
が成り立つというものである。
ところで、一般に前記レイノルズ数Reが数十乃至数百の範囲にあればその流れは層流である一方、1000以上であれば乱流であるとされている。本実施例の炭酸泉生成装置10においては、その流量、配管径などを考慮するとレイノルズ数Reは10000を超えるので、その内部の流れは乱流となる。乱流での摩擦損失(例えば図5の例では、B1、B2)は、実験的に得られた次の式(7)により算出することができる。
ここで、λ=0.3164/Re
0.25である。
(7)式を整理すると、
損失=B・v
1.75 (8)
B=f(D,L,ρ,μ)=定数
となり、ここで、(8)式は、
損失≒B・v
2
のように近似する。
水道本管80の元圧をP
1 [Pa]、水道管82の炭酸泉生成装置10との接続部分付近(図示しない蛇口付近;注水管部40(図1参照))の圧力をP
2 [Pa]とし、本管80から前記蛇口付近までの損失係数をB
1 とすると、次式(9)の関係が成立する。
(9)式において右辺第1項は、一般的には動圧項と呼ばれる。図6は、この動水圧と流量Lとの関係を直径の異なる水道管82について示した図である。図6から判る様に、流量が30L/minであっても例えば配管径(直径)12mmの管であれば、動圧項の値はせいぜい0.01MPaである。一方、静水圧は例えば0.2MPaのような値を取るので、(9)式において動圧項は無視できるものとする。なお、厚生労働省給水装置データベースの「給水装置標準計画・施工方法 2.3設計使用水量の決定」において、シャワーの水量は8〜15L/minであることが示されており、前述の流量30L/minというのは、これを大きく上回る値、すなわち、シャワーを使用することを想定した場合に、想定される水量を大きく上回る場合に対応している。
以上より、流量H[m
3 /s]と損失係数、および圧力との関係は、
P
1 ≒P
2 +B
1 v
2 (10)
であり、すなわち
v
2 =(P
1 −P
2 )/B (11)
となる。流速vと流量Hとを換算する管係数kを用いて、流量Hは、
のように表される。
続いて、本実施例の炭酸泉生成装置10における水の流れについて着目する。炭酸泉生成装置10の流量換算の損失係数をb
2 、圧力保持部16の上流側直前における水圧をP
3 とすると、水道本管80と水道管82との関係と同様に、
の関係が成り立つ。ここで、図5に示す様に水道本管80、水道管82、炭酸泉生成装置10は連結されているので、式(12)の流量Hと式(13)の流量Hとは同一である。
また、圧力保持部16の前後についてベルヌーイの定理を表す式(6)の左辺どうしは等しいことから、
の関係が成り立つ。ここで、圧力保持部16の後ろ側(下流側)は大気圧=0としている。上記(12)式、(13)式、および(14)式より、P
2 、P
3 、Hはそれぞれ
P
2 =P
1 −b
1 H
2 (15)
P
3 =P
1 −(b
1 +b
2 )H
2 (16)
のように得られる。ここでω=8ρ/π
2 である。逆にd2について解けば、
のように得られる。右辺の分子分母をH
2 で除して、
この式(18)および式(19)は、ある流量Hを満たす様な圧力保持部16の有効径を得るために用いることができる。
水道本管80の圧力P1 、または水の流路の摩擦損失、具体的には水道管82の損失係数b1が一般的に家庭などの水道における値から大きく異なる場合には、次の2つの要件を満たす様に、(15)式、(16)式、(19)式などにより、圧力保持部16の有効径d2を設定する必要がある。
・要件A:水道管82の水圧P2 を所定圧以上に維持する。
・要件B:流量Hを所定流量範囲となる様に制御する。
ここで、要件Aにおける所定圧とは、後述する気泡供給弁36および気泡供給停止弁34の制御ポートに供給されることにより、それら気泡供給弁36および気泡供給停止弁34のオンオフを切り換えることができる最低の水圧である。また、要件Bにおける所定流量範囲とは、後述する二酸化炭素生成部20、あるいは気泡注入部30における二酸化炭素気泡の供給能力や、気泡溶解流路12の長さなどに鑑みて、例えば1000ppm以上のように炭酸泉生成装置10に要求される炭酸泉のCO2 濃度を実現するために必要な水量(それ以上増やすと炭酸泉のCO2 濃度が要求値よりも低くなってしまう水量)を流量の上限とし、また、二酸化炭素が水中で略飽和する際の水量を流量の下限としている。このように下限が設けられる理由は、炭酸泉において二酸化炭素が略飽和すると溶け切らなかった二酸化炭素気泡が大きな気泡となって炭酸泉中に存在し、無駄となってしまうためである。
本実施例においては、圧力保持部16は薄板形状をなしており、図7に示す様に、可撓性のホースとしての気泡溶解流路12と第1吐出部としてのシャワーヘッド18とが接続される際に、その薄板形状の圧力保持部16を挟んで接続されることによって設けられる。具体的には図7の例においては、気泡溶解流路12の端部に設けられた接合部材70にもうけられたねじ部とシャワーヘッド18の端部に設けられたねじ部76とが螺合させられて固定される際に、それら気泡溶解流路12の端部とシャワーヘッド18の端部との間に圧力保持部16とその両側に設けられたOリング72、74とが挟み込まれる様になっている。これら圧力保持部16とOリング72、74とは一体化された部材となっていてもよい。
さらに、圧力保持部16としては、複数の異なる有効径の圧力保持部16が用意されており、例えば使用者によって任意の1つを選択して取り付けられる様になっている。ここで、前記複数の異なる有効径の圧力保持部16は、例えば、想定し得る水道本管80の圧力P1 、水道管82の損失係数b1 および炭酸泉生成装置10の損失係数b2 について前述の要件Aおよび要件Bを満たす様に定められ有効径d2 とされている。
本発明の発明者らが調査および実験を行なったところ、上水道や給湯器から供給される水の量(流量H)は、5L/min乃至30L/minの範囲であることが判った。そのため、圧力保持部16の有効径(流通面積)は、この範囲の流量の水が炭酸泉生成装置10の注水管部40に供給された場合において、上記要件Aおよび要件Bを満たす様に定められている。なお、流量Hが5L/minを下回ると、一般的にシャワーヘッド18からシャワー状に水を吐出することが困難となる可能性が高い。
図8は、ある圧力保持部の有効径の場合における、炭酸生成装置10に供給される水の水量とそれに対応する生成される炭酸泉の水量との関係を説明する図である。図8に示す様に、供給する水量の増加に対して、生成される(吐出される)炭酸泉の量の増加は小さくなっている。これは、上述の様に気泡溶解流路12に絞り部14が設けられ、また圧力保持部16が設けられる結果、気泡溶解流路12を流れる水の流量は制限されるためである。そのため、本実施例の炭酸泉生成装置10においては、炭酸泉生成装置10に前記流量Hの範囲で水が供給される場合であっても、前記流量Hの範囲の上限の水が炭酸泉生成装置10に供給される場合を想定して二酸化炭素気泡が発生させられれば、溶け切らずに剰余となる二酸化炭素気泡の量を少なくすることができる。逆に言えば、想定された水量よりも多くの水が炭酸泉生成装置10に供給される場合であっても、生成される炭酸泉における二酸化炭素濃度の落ち込みは緩やかなものとなる。
本実施例の炭酸泉生成装置10においては、気泡溶解流路12は例えばホースなどの可撓性の管として設けられている。これにより、炭酸泉を吐出する第1吐出部18にシャワーヘッドなどが設けられる場合において、後述する二酸化炭素生成部20あるいは気泡注入部30などが収容される筐体と第1吐出部18とを連結する流路としてのホースが気泡溶解流路12とすることができるので、炭酸泉生成装置10の管路の長さを一層短くすることができ、炭酸泉生成装置10をコンパクトにすることができる。
また、本実施例の炭酸泉生成装置10には、気泡溶解流路12に水流発電機56が設けられている。この水流発電機56は、気泡溶解流路12に水が流れる場合に、その水によって回転させられるタービンなどによって発電が行なわれるものである。水流発電機56にはLED58が電気的に接続されており、水流発電機56が発電を行なう場合に発光することができる。これにより、気泡溶解流路12に水が流れる場合にLED58が発光するので、後述する生成切換部46によって炭酸泉の生成の有無が切り換え可能とされるような場合に、炭酸泉が生成されていることが視覚によって容易に確認し得る。
二酸化炭素生成部20は、反応室22を含んでいる。反応室22には原料物質としてのタブレット24が投入されて配置される。反応室22には一度に複数のタブレット24が積み重なる様に配置されてもよい。このタブレット24は、例えば水に溶解反応することにより、二酸化炭素を発生する物質を含んでおり、具体的には例えば重曹、ソーダ灰、リンゴ酸、結合剤等などを含有して構成される。反応室22は大気から密閉されており、発生した二酸化炭素が大気中に逃げない様になっている。
反応室22へは前述の選択弁48である三方弁から水が流入する一方、反応室22に設けられた出口部26から排出される。このとき、反応室22におけるタブレット24の浸漬水位が所望の値となるように出口部26の位置が設定されている。すなわち、タブレット24の浸漬水位を所望の値とすることで、タブレット24と水との反応速度、すなわち二酸化炭素の生成速度を、炭酸泉生成装置10において生成しようとする炭酸泉の濃度に応じたものとなるようにしている。
このようにしてタブレット24が所定の水位まで浸漬されるので、所望の速度で水とタブレット24とが反応し、二酸化炭素が発生する。発生した二酸化炭素は気泡として水中に混入した状態で、出口部26から排出される。
気泡注入部30は、その気泡注入部30に接続された炭酸ガスボンベ38から供給される二酸化炭素を炭酸泉生成装置10内を流れる水に気泡として注入する。この気泡注入部30は二酸化炭素の注入量を制御するための流量制御弁32、気泡供給停止弁34、気泡供給弁36などを有して構成されている。炭酸ガスボンベ38から供給された二酸化炭素は、流量制御弁32、気泡供給停止弁34、気泡供給弁36を介して流れる様に配管が設けられており、さらに、気泡供給弁36の先においては、水の流れる配管であって気泡溶解流路12よりも上流側における接続部37において接続されている。この第2供給部44の接続部37が二酸化炭素気泡の注入口に相当し、この接続部37において水中に二酸化炭素気泡が注入される。
このうち、流量制御弁32は炭酸ガスボンベ38から供給される二酸化炭素の流量や圧力を調整するためのもので、その圧力は炭酸泉生成装置10によって得ようとする炭酸泉の濃度や水量、気泡溶解流路12の長さなどを考慮して設定される。
気泡供給停止弁34は、流量制御弁32によって圧力が調整された二酸化炭素の供給の有無を制御するためのいわゆるオンオフ弁である。この気泡供給停止弁34の制御ポートには、第1供給部42に接続された第1接続部33の水圧が供給されるようになっている。気泡供給停止弁34はノーマルオープン型の弁であって、制御ポートに所定の圧力が供給された場合に弁が閉じる一方、制御ポートに圧力が供給されない場合である通常時は弁が開くようになっている。すなわち、選択部48が第1供給部42側に水を流す様にされ、第1供給部42に水圧が供給された場合には、気泡供給停止弁34が閉じ、気泡注入部30からの気泡の注入は行なわれないことになる。一方、選択部48が第2供給部44側に水を流すようにされる場合は、第1接続部33、すなわち気泡供給停止弁34の制御ポートに水圧がかからないので、気泡供給停止弁34が開き、流量制御弁32からの二酸化炭素を気泡供給弁36へ通過させる。このようにすれば、第1供給部42に水が流れる場合には、前述の二酸化炭素発生部20による二酸化炭素の発生が行なわれるので、気泡注入部30による二酸化炭素気泡の注入を重複して行なうことを自動的に防止することができる。
気泡供給弁36は、気泡供給停止弁34を通過した二酸化炭素の供給の有無を制御するためのいわゆるオンオフ弁である。この気泡供給弁36の制御ポートには、生成切換部46と第1吐出部18との間を流れる水の水圧が供給されるようになっている。気泡供給弁36はノーマルクローズ型の弁であって、制御ポートに所定の圧力が供給された場合に弁を開く一方、制御ポートに圧力が供給されない場合である通常時は弁が閉じるようになっている。具体的には、生成切換部46が第1吐出部18への通水を行なう様にされた場合、すなわち、炭酸泉の生成を行なうように設定された場合には、気泡供給弁36が開き、気泡注入部30からの気泡の注入が行なわれることになる。一方、生成切換部46が第2吐出部50への通水を行なう様にされる場合、すなわち、炭酸泉の生成を行なわないようにされる場合には、第2接続部35における水圧から気泡制御弁36へ供給される水圧がないので、気泡供給弁36が閉じ、二酸化炭素が注入口37へ供給されるのを停止する。このようにすれば、生成切換部46から気泡溶解流路12から第1吐出部18へに水が供給される場合にのみ、気泡注入部30による二酸化炭素気泡の注入が行なわれるので、炭酸泉の生成を行なう必要がない場合に二酸化炭素を消費することが防止される。なお、気泡供給弁36と接続部37との間には、逆止弁52が設けられており、水が気泡供給弁36に侵入することを防止している。
このように、本実施例の炭酸泉生成装置10の気泡注入部30においては、前記気泡供給停止弁34と気泡供給弁36とが直列に設けられているので、選択部48によって第2供給部44に通水され、かつ、生成切換部46によって第1吐出部18に通水される場合にのみ炭酸ガスボンベ38から供給される二酸化炭素の気泡を水中に注入することができる。すなわち、選択部48を第1供給部42側に連通させ、生成切換部46を第1吐出部18側に連通させた場合には二酸化炭素生成部20によって生成された二酸化炭素を利用した炭酸泉の生成が行なわれる。選択部48を第2供給部44側に連通させ、生成切換部46を第1吐出部18側に連通させた場合には気泡注入部30によって炭酸ガスボンベ38から供給される二酸化炭素を利用した炭酸泉の生成が行なわれる。さらに選択部48を第2供給部44側に連通させた場合であっても、生成切換部46を第2吐出部50側に連通させた場合には炭酸ガスボンベ38からの二酸化炭素の供給が停止される。
本実施例の炭酸泉生成装置10によれば、二酸化炭素気泡が混合された水が流れる気泡溶解流路12を有し、その二酸化炭素気泡が水に溶解することによって炭酸泉を生成するものであって、気泡溶解流路12は、二酸化炭素気泡を分断する少なくとも1個の絞り部14と、気泡溶解流路12の出力側端において気泡溶解流路12内の水圧に保持する圧力保持部16とを有し、気泡溶解流路12の有効径は、気泡溶解流路12を流れる水の流速vにおける気泡の粘性抵抗Rが、二酸化炭素気泡が該有効径である最大径Dとなる場合の二酸化炭素気泡の浮力F以上となるように定められ、気泡溶解流路12の長さは、気泡溶解流路12に流通させられた二酸化炭素気泡が混合された水において、二酸化炭素の濃度が所定濃度まで達するための溶解時間が確保されるように定められ、絞り部14は、気泡溶解流路12よりも有効径が小さくされており、圧力保持部16は、炭酸泉生成装置10内部の水圧を二酸化炭素気泡の溶解を促すことのできる圧力に維持するための通過面積を有している。このようにすれば、絞り部14によって水中の二酸化炭素気泡が分断されるので二酸化炭素気泡と水との接触面積が増えるとともに、気泡溶解流路12の有効径により気泡が滞留することなく流れるので、二酸化炭素気泡と水との接触時間を長くすることができる。また圧力保持部16により、炭酸泉生成装置10内部の水圧が二酸化炭素気泡の溶解を促すことのできる圧力に維持されるので、ポンプ等を設けるにより水圧を高めることなく二酸化炭素の水への溶解が促進される。さらに気泡溶解流路12により、二酸化炭素気泡が混合された水は、二酸化炭素の濃度が所定濃度まで達するための溶解時間以上該気泡溶解流路に流通させられるので、所定濃度の炭酸泉が得られる。このように、一般的な上水道(例えば、配水管から給水管に分岐する箇所での配水管の最小動水圧が150kPaを下らないように設計されたもの(水道施設の技術的水準を定める省令7条8項参照))に接続されるような場合に、二酸化炭素を水に溶かすためにポンプ等により水圧を高めることを要すことなく、シャワーヘッド18から吐出される炭酸泉の圧力および水量(例えば、水量8〜15L/min、水圧0.07MPa(各自治体の給水工事施行基準など参照))を確保できる。
本実施例の炭酸泉生成装置10によれば、圧力保持部16の通過面積は、炭酸泉生成装置10に供給される水の流量が5L/min乃至30L/minの範囲である場合において、炭酸泉生成装置10内部の水圧を二酸化炭素気泡の溶解を促すことのできる圧力に維持するように設定されているので、一般的に水道あるいは給湯装置によって供給される水量である5L/min乃至30L/minの範囲で水が供給される場合において、ポンプ等により水圧を高めることなく炭酸泉を生成することができる。
本実施例の炭酸泉生成装置10によれば、最終絞り部14によって分断された二酸化炭素気泡が、炭酸泉の吐出部としてのシャワーヘッド18までの炭酸泉の流れを妨げるほど結合して大きくなることがないように、前記絞り部と前記炭酸泉の吐出部との距離が定められているので、最終絞り部14によって細粒化された二酸化炭素気泡が溶け残った場合であっても、最終絞り部14からシャワーヘッド18までの炭酸泉の流路において、溶け残った気泡が分断され細粒化されたまま吐出部から吐出され、最終絞り部14からシャワーヘッド18までの炭酸泉の流路において溶け残った気泡が溜まって大きな気泡となり、その大きな気泡が一度に押し流されて吐出部を通過してゴボゴボという音が発生したり、あるいは水の流れが滞ったりするという、使用者に不快な感覚を与えることが防止できる。
本実施例の炭酸泉生成装置10によれば、気泡溶解流路12の長さは、気泡溶解流路12に流通させられた二酸化炭素気泡が混合された水において、二酸化炭素の濃度が略飽和濃度まで達するための溶解時間が確保されるように定められているので、ポンプ等により水圧を高めることなく二酸化炭素の濃度が略飽和濃度である炭酸泉を生成することができる。
本実施例の炭酸泉生成装置10によれば、圧力保持部16の通過面積は変更可能とされているので、炭酸泉生成装置10に供給される水の水量Hが異なる場合においても、圧力保持部16の通過面積を変更することにより適切な通過面積を設定でき、ポンプ等により水圧を高めることなく炭酸泉を生成することができる。
本実施例の炭酸泉生成装置10によれば、圧力保持部16は、気泡溶解流路12の有効径d1よりも小さい有効径d2を有するものであって、有効径の異なる複数の圧力保持部から選択的に取付可能とされている。このため、炭酸泉生成装置10に流入する水の水圧P2や流量Hが異なる場合であっても、気泡溶解流路12内の水圧P3が大気圧まで下がってしまうことが防止される。同時に、気泡供給弁36、気泡供給停止弁34を作動させるための水圧を確保することができるので、これら気泡供給弁36、気泡供給停止弁34によって気泡注入部30の作動を好適に制御し得る。
本実施例の炭酸泉生成装置10によれば、気泡溶解流路12は、可撓性の管であるので、ホースなどの可撓性の管に気泡溶解流路12を設けることができる。そのため、気泡溶解流路に加えて単なる配水のためにホースが設けられる場合に比べて、配管の長さを全体として短くすることができる。
本実施例の炭酸泉生成装置10によれば、水と反応することにより二酸化炭素を発生する原料物質であるタブレット24と水とを反応させて二酸化炭素を発生させる二酸化炭素生成部20と、予め生成された炭酸ガスボンベ38中の二酸化炭素を水中に気泡として注入する気泡注入部30とを有しており、二酸化炭素気泡は、二酸化炭素生成部20と気泡注入部30とのいずれか一方が選択的に実行されることによって生成されたものである。このようにすれば、二酸化炭素気泡の発生源を二酸化炭素生成部20と気泡注入部30とのいずれかから選択することが可能になる。
本実施例の炭酸泉生成装置10によれば、気泡溶解流路12に水を供給するか否かを選択的に実行する炭酸泉生成切換部46を含み、気泡注入部30は、炭酸泉生成切換部46により気泡溶解流路12に水が供給された場合にのみ二酸化炭素の注入を可能とする気泡供給弁36を有するので、炭酸泉を生成しない場合において気泡注入部30からの二酸化炭素の注入を容易に停止することができる。
本実施例の炭酸泉生成装置10によれば、二酸化炭素生成部20に水を供給する第1供給部42と、気泡注入部30に水を供給する第2供給部44と、第1供給部42と第2供給部44とのいずれか一方に選択的に水を供給する選択部48とを含み、気泡注入部30は、選択部48により第1供給部42に水が供給された場合には二酸化炭素の注入を停止する気泡供給停止弁34を有するので、選択部48により気泡注入部30を用いるように選択された場合にのみ気泡注入部30からの二酸化炭素の注入が行なわれる様に制御することが容易になる。
続いて、本発明の別の実施例について説明する。以下の説明において、実施例相互に共通する部分については、同一の符号を付して説明を省略する。
図9乃至図11は、本実施例の炭酸泉生成装置10における二酸化炭素生成部のその他の実施態様を説明する図である。
図9の二酸化炭素生成部120は、前述の実施例1の二酸化炭素生成部20に対応するものであり、その出口部126が前述の実施例の二酸化炭素生成部20の出口部26にくらべて上方に設けられている点で異なる。このようにすれば反応室22においてより高い高さまで水位が上昇するので、より多くのタブレット24が水に浸漬し、二酸化炭素の発生量を増やすことができる。また、図9に示す様に、タブレット24を縦方向に積み重ねて配置することにより、複数のタブレット24を同時に浸漬させることも可能となる。
図10の二酸化炭素生成部130は、前述の実施例1の二酸化炭素生成部20に対応するものであり、反応室22と水の流れにおいて並列となるようにバイパス流路134が設けられている。このようにすれば、選択部48によって第1供給部42に流通させられる水の一部はそのバイパス流路134を通過するので、反応室22を通過することがない。そのため、反応室22を通過する水の水量はバイパス流路134がない場合にくらべて減少する。タブレット24の水への浸漬量は小さくなり、二酸化炭素の発生量を減少させることができる。
図11の二酸化炭素生成部140は、前述の実施例1の二酸化炭素生成部20に対応するものであり、図10の二酸化炭素生成部130と同様に、反応室22と水の流れにおいて並列となるようにバイパス流路134が設けられている点で共通する。さらに図11の二酸化炭素生成部140においては、反応室22へ水を供給する流路において、その流路の水の流量を制御するための流量制御弁146が設けられている。この流量制御弁146を制御することにより、図10の二酸化炭素生成部130の例に比べてさらに反応室22に流れ込む水の量を減少させることができるので、発生する二酸化炭素の量を減少させるように制御できる。なお、図11の例においては流量制御弁146はバイパス流路134との分岐の下流側に設けられているが、このような態様に限られず、バイパス流路134が分岐する位置よりも上流側に設けられてもよい。
本実施例の炭酸泉生成装置10によれば、原料物質は所定形状の固形物であるタブレット24として用いられ、二酸化炭素生成部20は、大気に対して密閉され、タブレット24と水とが反応させられる反応室22を含み、反応室22に供給される水量を調節可能とするとともに、反応室22におけるタブレット24の浸漬水位を調節可能とすることにより、タブレット24の反応時間が制御可能とされているので、二酸化炭素生成部20における二酸化炭素の生成量を好適に制御することができる。
以上、本発明の実施例を図面に基づいて詳細に説明したが、本発明はその他の態様においても適用される。
例えば、前述の実施例においては、二酸化炭素気泡を水中に注入するための二酸化炭素生成部20および気泡注入部30の両方が設けられたが、必ずしも両方が必要ではなく、いずれか一方と前述の気泡溶解流路12を備えていれば、ポンプなどによる加圧を要せずに炭酸泉の生成を行なうことができるとともに、炭酸泉発生装置10の小型化できるという本発明の効果を発揮し得る。
前述の実施例においては、気泡溶解流路12は可撓性の管に設けられるとされたが、これに限定されない。一定の形状を有する配管に気泡溶解流路12が設けられても差し支えない。この場合、気泡溶解流路12は炭酸泉生成装置10の筐体内に設けられてもよい。また、その一定の形状を有する配管に気泡溶解流路12が設けられる場合は可撓性の管は必須の要件ではない。さらに、第1吐出部18にはシャワーヘッドが設けられる例が示されたが、これに限定されるものではなく、シャワーヘッドは必須の要件ではない。
前述の実施例においては、気泡溶解流路12において絞り部14は複数設けられたがこれに限定されない。気泡溶解流路12において絞り部14が少なくとも1つ設けられれば本願の効果を生じ得る。
前述の実施例においては、圧力保持部16の形状は円状、スリット状の開口の例が示されたが、このような形状に限られない。気泡溶解流路12に大気が入り込まない条件を満たす限り形状は限定されない。
また前述の実施例においては、生成切換部46から第1吐出部18までの流路において水流発電機56、LED58が設けられたが、これらは必須の要件では無く、設けられない場合であっても本発明の効果は得られる。
また前述の実施例においては、出口部26は、図1、図7などに示す様に所定の高さに設けられていたが、これに限定されない。例えば、複数の高さに設けられた出口部のうちいずれか1つが選択的に開口されるなどの方法によりその高さが変更可能とされてもよい。
また前述の実施例においては、注入部37は選択部48と生成切換部46との間の配管に設けられたが、これに限定されない。第2供給部44から気泡溶解流路12の手前までであれば同様の効果を生ずる。
また、前述の実施例においては、圧力保持部16は、気泡溶解流路12の端部とシャワーヘッド18との間にOリング72、74により挟み込まれて取り付けられたが、これに限られず、炭酸泉の水漏れ、あるいは外部からの空気の流入を防止するものであればOリングに限定されない。
また、前述の実施例においては、圧力保持部16は、有効径の異なる複数の圧力保持部16のうちから選択された1つが取り付けられることにより、その通過面積が変更可能とされたが、このような態様に限定されない。具体的には例えば、圧力保持部として、その通過面積すなわち有効径が連続的に変更可能なバルブが圧力保持部として設けられてもよい。
また、前述の実施例においては、炭酸泉生成装置10に流入する水量Hのもとで前記要件AおよびBを満たす様に圧力保持部16の有効径(通過面積)が変更されたが、このような態様に限られない。例えば、圧力保持部16の有効径に替えて、あるいはそれに加えて、二酸化炭素生成部20、あるいは気泡注入部30によって発生させられる二酸化炭素気泡の量を、前記要件AおよびBを満たす様に設定してもよい。このようにすれば、前述の実施例と同様に、上記流量の水に対して、溶け切らず無駄になってしまう二酸化炭素気泡を可及的少なくすることができる一方、炭酸泉生成装置10に要求される二酸化炭素濃度を満たす炭酸性を得ることができる。
なお、前述の実施例においては水温についての言及は行なわなかったものの、生成する炭酸泉の温度、あるいは炭酸泉生成装置10に供給される水の温度を考慮して炭酸泉生成装置10の設計、具体的には気泡溶解流路12の長さや、二酸化炭素生成部20、気泡注入部30による二酸化炭素の注入量などが変更されてもよい。すなわち、二酸化炭素気泡は水温が高いほど溶けにくくなることから、水温が高いほど気泡溶解流路12の長さを長くしたり、あるいは二酸化炭素生成部20、気泡注入部30によって発生される二酸化炭素の量を減らしたりすることが可能である。このようにすれば、水温が高い場合であっても炭酸泉における二酸化炭素濃度を確保することができたり、あるいは、溶け切れず無駄となる二酸化炭素を減らすことができる。
前述の実施例においては、炭酸泉生成装置10に要求される炭酸泉の二酸化炭素濃度が1000ppmである場合の例について説明したが、これに限定されるものではない。一般に浴用に用いられる炭酸泉は高濃度のものであるほど好ましいので、二酸化炭素濃度が略飽和する濃度の炭酸泉を生成する様にすることもできる。ここで、略飽和する濃度(略飽和濃度)とは、飽和濃度にほぼ達しているとみなすことのできる濃度をいうものであり、例えば飽和濃度の95%程度以上のように定められるものであって、飽和濃度を含む概念であってもよい。これは、飽和濃度付近では溶解速度が著しく低下するため、それ以上濃度を高めることはそれまでよりも相当な時間を要する一方、前記飽和濃度に略達しているとみなすことのできる濃度であれば、飽和濃度である場合に準じる効果が得られるので、これらを考慮して設定される濃度である。この場合、前述の様に炭酸泉生成装置10に供給される水の水温によって二酸化炭素の溶解量が異なるので、これを考慮して炭酸泉生成装置10の設計を行なうことができる。